JPH0554292U - 容器用キャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 容器に装着されるキャップの亀裂、割れ現象
を防止した、容器用キャップ。 【構成】 キャップの材質に、中低圧法により製造され
た低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）を用いた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は容器用キャップに関し、さらに詳しくはキャップの亀裂、割れを防 止することにより品質の向上を図った容器用キャップに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、チューブ容器、ボトル容器等の口部に装着されるキャップの材質は一般 に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の合成樹脂が用いられ ている。中でも、ポリエチレンで成形されたキャップが数多く容器の口部に装着 されている。このように、ポリエチレンをキャップの材質とする理由は、比較的 比重が小さく、耐薬品性、耐水性に優れ、また誘電率や誘電体力率が小さいので 、高周波絶縁性に優れている等の特徴を有しているからである。因みに、キャッ プの材質をポリプロピレンにすることも可能であるが、耐薬品性に優れているも のの、表面硬度が高いため、パッキン材等が必要になり、製造コストが高くなる 欠点がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来のチューブ容器、ボトル容器内に浸透性の高い薬品、接着 剤等が収納されたチューブ容器の場合、その口部に螺合されるポリエチレンのキ ャップは、口部に螺合されて一定期間経過すると、キャップ天面に亀裂が発生し 、徐々にキャップ内部へ、割れが進行するという欠点があった（例えば、薬品チ ューブ容器のキャップでは製造から５年以上経過すると、使用、未使用にかかわ らず、キャップ割れ現象が発生した）。特に、容器がアルミニウム等の金属チュ ーブの場合に、この口部に螺合されたキャップに、キャップ割れが著しいという 欠点があった。

【０００４】 この考案は、このような従来の課題に着目してなされたもので、容器に装着さ れるキャップの亀裂、割れ現象を防止することにより、耐久性に優れ、かつ製造 容易、低コストの容器キャップを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この課題を解決するため、この考案は容器の口部に装着される容器用キャップ において、キャップの材質に中低圧法により製造された低密度ポリエチレンを用 いたことを特徴とする容器用キャップである。

【０００６】

【作用】

以上のような構成をもった、この考案の作用について説明する。 この考案は、キャップを構成する材質として、通常のポリエチレン（以下ＰＥ と称す）から中低圧法により製造された低密度ポリエチレン（以下ＬＬＤＰＥと 称す）に材質変更したから、容器内の内容物の種類、容器の材質（金属、合成樹 脂等）、キャップが保存される温度、口部へのキャップの締めトルクの強さ等に かかわらず、キャップの亀裂、割れを完全に防止することができた。

【０００７】

【実施例】

次に、この考案を図面に基づいて説明する。 図１は、チューブ容器の口部に装着されるＰＥ、またはＬＬＤＰＥキャップの 実施例を示した断面図、図２はボトル容器の口部に装着されるＰＥ、またはＬＬ ＤＰＥキャップの実施例を示した断面図、図３はヒンジキャップチューブ容器の 口部に装着されるＰＥ、またはＬＬＤＰＥキャップの実施例を示した断面図であ る。

【０００８】 図１中、１はチューブ容器であり、チューブ容器１の口部１ａにはＰＥ、また はＬＬＤＰＥを材質とする、キャップ２が螺合されている。そして、ＰＥキャッ プの場合、図１に示すように亀裂部２ａはキャップ２の天面の両隅から、キャッ プ２の外周面にかけて発生することが多い（矢印Ａ内の二点鎖線）。この亀裂部 ２ａが発生するか否かは、容器に螺合されるキャップの保存温度、収納される内 容物の種類、容器の材質（金属と合成樹脂容器で異なる）、キャップの口部への 締めトルクの強さ等によって異なる。図２中、３はボトル容器であり、ボトル容 器３の口部３ａには同様にＰＥまたはＬＬＤＰＥを材質とするキャップ４が螺合 されている。そして、ＰＥキャップの場合、図２に示すように、亀裂部４ａはキ ャップ４の天面の両隅からキャップ４の外周面にかけて発生することが多い（矢 印Ｂ内の二点鎖線）。図３中、５はヒンジキャップを有するチューブ容器であり 、ヒンジキャップチューブ容器５の口部５ａにはＰＥ、またはＬＬＤＰＥのヒン ジキャップ６が螺合されている。そして、ＰＥキャップの場合、図３に示すよう に亀裂部６ａはヒンジキャップ６の、天面両隅からヒンジキャップ６の、外周面 にかけて発生することが多い（矢印Ｃ内の二点鎖線）。

【０００９】 この考案は、従来使用されているＰＥキャップの材質を変更し、より耐久性の ある材質を用いることにより、キャップの亀裂、割れを防止するためになされた もので、考案者はＬＬＤＰＥをキャップの材質に特定することで問題を解決した ものである。一般に、中低圧法により製造される低密度ポリエチレンは、長鎖分 岐がほとんど存在せず、短分岐をもった線状構造の公知材料であるが、この材料 を容器のキャップに用いた例は従来なかった。以下、ＰＥキャップとＬＬＤＰＥ キャップについて、キャップ亀裂試験およびキャップ割れ再現試験結果を表１及 び表２に示す。 （１）キャップ亀裂試験 ａ．試験条件・・・・キャップの内側全域に、図１に示すチューブ容器に収納する薬 剤（ソルジャーエース軟膏）と同様の薬剤を塗布し、チューブ容器に装着
後 ４０℃、５０℃に保存した。そしてＰＥキャップは２５日経過後、ＬＬＤ
Ｐ Ｅキャップは６０日経過後に、各々のキャップに亀裂発生の有無を観察し
た 。

【表１】 ｂ．結果・・・・４０℃においては、ＰＥおよびＬＬＤＰＥ共にキャップの亀裂発生 はみられなかったが、５０℃においてはＰＥキャップのみに亀裂が発生した 。 しかし、ＬＬＤＰＥキャップにおいては、亀裂が発生しなかった（図１矢印 Ａ内の二点鎖線）。 （２）キャップ割れ再現試験 ａ．試験条件・・・・５０℃下において、締めトルク２．５ｋｇ・ｃｍおよび５．０ ｋｇ・ｃｍでチューブ容器の口部に螺合された、各々のキャップにつき２０ 日経過後にキャップの亀裂発生の有無を観察した。なお、試験条件Ａはキャ ップ内に浸透性のジェルを塗布しない試験片、試験条件Ｂはキャップ内面に 浸透性のジェルを塗布した試験片である。

【表２】 ｂ．結果・・・・締めトルク２．５ｋｇ・ｃｍにおいては、ＰＥ、ＬＬＤＰＥ共に、 亀裂発生はみられなかったが、締めトルク５．０ｋｇ・ｃｍではＰＥキャッ プのみに亀裂が発生した（図１矢印Ａ内の二点鎖線）。なお、試験ＮＯ．４ においては、ＬＬＤＰＥについてのみ浸透性のジェルを用いて、浸漬試験を 行ったが、キャップにはまったく亀裂が発生しなかった。

【００１０】 以上の試験結果から、ＬＬＤＰＥキャップはＰＥキャップよりも、耐薬品性、 耐トルク性において優れているという結果が得られた。そして、ＰＥキャップの 亀裂発生の原因は、キャップが保存される温度、キャップの締めトルク並びに薬 品の浸透による相乗作用によると考えられる（天面のＲの大小は影響を及ぼさな い）。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明してきたように、この考案によればＰＥキャップからＬＬＤＰＥキャ ップに変更することにより、容器に装着されるキャップの亀裂、割れ現象を確実 に防止することができると共に、キャップの品質の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】チューブ容器の口部にＰＥ、またはＬＬＤＰＥ
のキャップを装着した断面図。

【図２】ボトル容器の口部にＰＥ、またはＬＬＤＰＥの
キャップを装着した断面図。

【図３】ヒンジキャップチューブ容器の口部にＰＥ、ま
たはＬＬＤＰＥのヒンジキャップを装着した断面図。

【符号の説明】 １ チューブ容器 １ａ 口部 ２ キャップ ２ａ 亀裂部 ３ ボトル容器 ３ａ 口部 ４ キャップ ４ａ 亀裂部 ５ ヒンジキャップチューブ容器 ５ａ 口部 ６ ヒンジキャップ ６ａ 亀裂部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器の口部に装着される容器用キャップ
   において、キャップの材質に中低圧法により製造された
   低密度ポリエチレンを用いたことを特徴とする容器用キ
   ャップ。