JPH0551396A - 糖化アルブミンを分離する方法 - Google Patents

糖化アルブミンを分離する方法

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JPH0551396A
JPH0551396A JP3231045A JP23104591A JPH0551396A JP H0551396 A JPH0551396 A JP H0551396A JP 3231045 A JP3231045 A JP 3231045A JP 23104591 A JP23104591 A JP 23104591A JP H0551396 A JPH0551396 A JP H0551396A
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glycated
glycated albumin
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separating
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JP3231045A
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English (en)
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Keiko Yasukawa
恵子 安川
Takateru Uchida
高照 内田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 迅速性、操作性、再現性に優れ、さらには、
自動化が容易で装置が簡素になる糖化アルブミンと非糖
化アルブミンの分離方法を提供する。 【構成】 液体クロマトグラフィーを用いて血清、血漿
または尿から選ばれたアルブミンを含有する体液中の糖
化アルブミンを分離する方法において、体液中のアルブ
ミン以外の成分中の少なくとも免疫グロブリンGを固定
相に止め、非糖化アルブミンと糖化アルブミンを溶出し
分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体クロマトグラフィ
ーを用いて体液中の糖化アルブミンと非糖化アルブミン
を分離する方法に関する。糖尿病のような長期間血糖値
が高値を示す疾患では、さまざまな生体中の蛋白質が非
酵素的に糖化反応を受ける。血清アルブミンもそれらの
蛋白質の一つである。従来、糖尿病の診断には、血糖、
尿糖、インスリン、グルカゴンの測定、経口ブドウ糖負
荷試験等が用いられているが、生理条件あるいは測定方
法により結果が影響され易いとか、被験者にも負担がか
かる等の問題点がある。それに対して生体中の糖化蛋白
質の濃度は、一時的な生理条件の影響が少なく、過去数
週間〜数か月間の血中の平均的糖濃度の指標となるた
め、近年注目されている。例えば、糖化ヘモグロビン
は、過去1〜3か月の血糖値の平均的指標となり、糖尿
病患者の重症度と正の相関があることから、糖尿病の診
断指標、血糖コントロールの指標としてすでに臨床応用
されている。
【0002】ところが、臨床上は数週間〜一か月程度前
の血糖状態の情報が有用であり、糖化アルブミンはその
半減期が17日であることから、この要求に最も答え得
る指標として、最近各方面から注目を浴びている。すな
わち、糖化アルブミンは糖化ヘモグロビンと比較する
と、血糖状態に速やかに応答するし、また、血糖値のよ
うに一時的な生理条件の影響を受けて大きく変動するこ
ともない。
【0003】例えば、糖化アルブミンは現行の、または
新たに変更した食餌療法が、その患者に適当か否かを早
期に判定するのに有効である等、その有用性が示唆され
ている。〔ケイ・エフ・マクファーランド,ダイアベッ
ツ( Kay F. Mcfarland, DIABETS), 28, 1011, 1979 、
シー・アール・ガスロウ,プロク・ナタル・アカド・サ
イ,ユー・エス・エー( C. Earl Guthrow et al., Nat
l.Acad. Sci. USA ), 76,No.9, 4258, 1979〕
【0004】
【従来の技術】従来、糖化アルブミンの分離方法および
検出方法としては、カルボキシメチル型セルロースを固
定相として用いるイオン交換クロマトグラフィー〔ジェ
ームス・エフ・ディ,ジェー・バイオケム ( James F.D
ay, J.Biochem.) 254, No.3, 595, 1979〕、セルロース
等の軟質ゲルにジヒドロキシボロニル基を導入し、この
官能基とグルコースとの相互作用を利用するアフィニテ
ィクロマトグラフィー〔エイ・ケイ・マリア,アナリテ
ィカル・レターズ( A.K.Mallia, et al., Analytical
Letters ), 14 ( B 8 ), 649, 1981〕等が試みられてい
る。
【0005】血清、血漿など体液中の糖化アルブミン、
非糖化アルブミンを分離、定量するには、アルブミンと
血清、血漿中のその他の成分、例えば、免疫グロブリン
類(IgG、IgM等)、ハプトグロビン、トランスフ
ェリン等を分離する必要がある。
【0006】上記の従来技術は、糖化アルブミンと非糖
化アルブミンの分離は可能であるが、それらと血清、血
漿など体液中のその他の成分との分離はできず、実質的
に体液中の糖化アルブミンと非糖化アルブミンを定量す
ることはできない。イオン交換クロマトグラフィーの場
合には、体液中にプレアルブミン、アルファグロブリン
の一部等アルブミンの等電点に近い物質が多数あるため
であり、アフィニティクロマトグラフィーの場合には、
体液中のアルブミンを除くタンパク質のほとんどが糖タ
ンパク質であるからである。
【0007】したがって、例えば、アルブミンと親和性
の高い色素チバクロン・ブルー( Cibacron Blue )F3
GA等を結合させたゲルを用いて、体液中からアルブミ
ンのみを単離する前処理が行なわれる〔中山,糖尿病,
25, 963, 1982 〕。しかし、従来の方法は、試料中から
アルブミンを単離した後、一旦クロマトグラフィーの系
外に出し、濃縮後、改めて糖化アルブミンと非糖化アル
ブミンを分離できるカラムに導くという方法がとられて
いたが、煩雑で長時間を要していた。
【0008】また、アルブミン分離用の第一段カラム
と、糖化アルブミンと非糖化アルブミン分離用の第二段
カラムを切り替えバルブを介して連結し、第一段のカラ
ムで分離したアルブミン分画を流路系外に出すことなく
連続的に第二段カラムに導入し、糖化アルブミンと非糖
化アルブミンを分離する方法も挙げられる〔特開昭62
−226999〕。この方法は、分離されたアルブミン
を系外に取り出す必要がなく、簡便で迅速であるが、第
一のカラムでアルブミンとその他の血清タンパク質を分
離した後、アルブミンのみを第二のカラムに導き、その
他の成分は系外に排出するための切り替えバルブが設け
られており、装置が煩雑である。さらに、試料を装置に
注入するだけで自動的に分析するには、バルブの自動切
り替えのためのコントロールシステムも必要になり、高
価になる。また、二本のカラムが必要なので、その点で
もコストがかかる。
【0009】また、別の方法として、下記のA群および
B群から選ばれた官能基を有する充填剤を用いて、糖化
アルブミンと非糖化アルブミンを分離する方法を挙げる
ことができる(特開昭64−78154)。 A群:ジヒドロキシボロニル基、カルボキシル基、スル
ホン酸基 B群:アミノ基、チバクロンブルーF3G−A この方法は必ずしも切り替えバルブを必要とせず、前述
の方法よりも装置は簡便になるが、糖化アルブミン、非
糖化アルブミンとそれ以外の血清タンパク質を相互に分
離する必要があり、時間がかかる。
【0010】また、ジヒドロキシボロニル基を結合した
ゲルを用いて糖化タンパク質と非糖化タンパク質を分離
し、それぞれの分画に、例えば、ブロムクレゾールパー
プル、ブロムクレゾールグリーン等のアルブミン発色用
の試薬を添加して、各分画中のアルブミン量を定量する
方法が知られている〔レンデル、クリニ・ケム,( Ren
dell, Clin. Chem.,) 31, 229, 1985 〕。この方法は、
あらかじめアルブミンとその他のタンパク質を分離する
必要はないが、糖化タンパク質と非糖化タンパク質を分
離した後、試薬を添加する必要があり、煩雑である。ま
た、発色の再現性が不十分で、したがって、再現性が損
なわれる恐れがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来の技術は、
2つ以上の工程を伴うため煩雑であったり、装置が複雑
で高価であったり、あるいは血清中のタンパク質をお互
いに高度に分離する必要があり、したがって、時間がか
かる等の問題点があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するため鋭意研究の結果、迅速性、操作性、再
現性に優れ、さらには、自動化が容易で装置が簡素にな
る糖化アルブミンと非糖化アルブミンの分離方法を見出
し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、液体クロマトグラフ
ィーを用いて血清、血漿または尿から選ばれたアルブミ
ンを含有する体液中の糖化アルブミンを分離する方法に
おいて、少なくとも該体液中に含まれる免疫グロブリン
G(以下、IgGと称する)を固定相に止め、非糖化ア
ルブミンと糖化アルブミンを溶出し分離することを特徴
とする、糖化アルブミンの分離方法に関する。本発明に
おいて、糖化アルブミンとはグルコースと共有結合した
アルブミン、非糖化アルブミンとはグルコースと結合し
ていないアルブミンを言う。また、本発明で言うアルブ
ミンとは、糖化アルブミンと非糖化アルブミンの両方を
指す。
【0014】本発明で言う試料とは、少なくとも糖化ア
ルブミンと非糖化アルブミンのどちらか、もしくはその
両方を含有するもので、例えば、血清、血漿、尿を挙げ
ることができる。
【0015】本発明においては、糖化アルブミンに対し
て親和性のあるゲル、および少なくともIgGに対して
親和性のあるゲルをカラムに充填して用いる。糖化アル
ブミンに対して親和性のあるゲルとしては、ジヒドロキ
シボロニル基を結合したゲルを挙げることができる。ジ
ヒドロキシボロニル基は糖化アルブミンと非糖化アルブ
ミンの分離に有効である。ジヒドロキシボロニル基の量
は、ゲル重量当たり0.05〜5.0meq/gであり、好
ましくは0.05〜3.0meq/gであり、さらに好まし
くは0.1〜2.0meq/gである。ゲルに結合したジヒ
ドロキシボロニル基の量を求める方法としては、例え
ば、特開昭62−192405号公報に記載の方法を挙
げることができる。
【0016】IgGに対して親和性のあるゲルとして
は、例えば、IgGに対する抗体あるいはプロテイン
G、プロテインAを固定化したゲルを挙げることができ
る。IgGに対して親和性のある官能基の量は、ゲル重
量当たり0.05〜10mg/gである。IgGに対して
親和性のある基の固定化量は、例えば、固定化時に使用
した親和性のある基を有する化合物の量と、固定化後に
反応液に残った該化合物の量の差より求めることができ
る。
【0017】ジヒドロキシボロニル基とIgGに対して
親和性のある基は、別々のゲルに固定化されていてもよ
いし、同一のゲルに固定化されていもよい。別々のゲル
に固定化されている場合は、ジヒドロキシボロニル基が
固定化されたゲルとIgGに対して親和性のある基を結
合したゲルを混合して、同一のカラムに充填して用いる
方法を挙げることができる。また、それぞれ別々のカラ
ムに充填して連結して用いてもよい。
【0018】IgGはアルブミンに次いで血清、血漿中
の含有量が多く、糖化アルブミンの測定において妨害に
なり得るので、なんらかの方法で除くのが望ましい。上
記のゲルを用いることによって、試料の糖化アルブミン
と非糖化アルブミンを溶出し分離することができるが、
さらに好ましくはIgG以外の免疫グロブリン類、例え
ば、IgA、IgMも分離の妨害になり得るので、それ
ぞれに親和性のあるゲルを同時に用いて、これらの免疫
グロブリン類も同時に固定相に止めるようにするのが好
ましい。また、より好ましくはハプトグロビン、アルフ
ァ2マクログロブリン、アルファ1アンチトリプシン、
トランスェリン、フィブリノーゲンも固定相に止めるよ
うにするのが好ましい。
【0019】それぞれのタンパク質に親和性のあるゲル
を用いることにより、これらの血中タンパク質を固定相
に止めることができる。それぞれのタンパク質に親和性
のあるゲルとしては、それぞれのタンパク質の抗体を固
定化したゲルを挙げることができる。その場合、それぞ
れの抗体は同一のゲルに固定化されていてもよいし、ま
た、別々のゲルに固定化されていてもよい。これらのア
ルブミン以外のタンパク質に親和性のあるそれぞれの基
の固定化量は、対象とするそれぞれの血中タンパク質の
量によって異なるが、ゲル重量当たり0.05〜10mg
/gの範囲にあるのが好ましい。
【0020】ジヒドロキシボロニル基およびアルブミン
以外の試料中タンパク質に対して親和性のある基を導入
する担体としては、例えば、従来、液体クロマトグラフ
ィーに用いられる担体を用いることができるが、機械的
強度、化学的安定性に優れ、本発明の分離に用いる溶離
液になじみやすいという点で、例えば、架橋共重合体重
量当たりアルコール性水酸基0.5〜10.0meq/g、
比表面積5〜1000meq/g、保持し得る水の量が0.
5〜8.0meq/gである硬質の親水性架橋共重合体(以
下、共重合体と称する)を好ましい例として挙げること
ができる。アルコール性水酸基の量は、さらに好ましく
は1.5〜7.0meq/gである。アルコール性水酸基の
量がこの範囲にあることにより、ゲルの適度な親水性を
保つことができる。
【0021】水酸基の量は、例えば、特開昭57−30
945号公報に記載の方法で求めることができる。本発
明で用いる共重合体の比表面積(以下、SAと称する)
は、1000m2 /gの範囲にある。セファデックス等
の軟質ゲルは、乾燥時にポアが失われるため、1m2
g以下のSAしか示さないが、本発明の共重合体は硬質
で、パーマネントポアを有するため、乾燥時も膨潤時の
状態をほとんど維持する。比表面積は、例えば、特開昭
57−30945号公報に記載の方法で求めることがで
きる。
【0022】また、保持し得る水の量(以下、WRと称
する)は、好ましくは0.5〜3.0meq/gであり、さ
らに好ましくは1.0〜2.5meq/gである。WRは共
重合体内の孔量の目安となる。WRが大きくなると、水
中において共重合体の骨格を形成する部分、すなわち、
共重合体そのものの重量が相対的に低下する。そのため
WRが大きすぎると、水中において共重合体の機械的強
度が低下する。WRが小さすぎると、分離に有効な孔量
が少なくなり好ましくない。WRは、例えば、特開昭5
7−30945号公報に記載の方法で求めることができ
る。
【0023】本発明で用いる共重合体を形成する全単量
体単位は、下記数1式におけるXが0.2≦X≦0.7
の範囲にあるのが好ましい。
【0024】
【数1】
【0025】(式中、aは共重合体中の架橋性単量体単
位を除く単量体単位のモル分率、bは架橋性単量体単位
のモル分率、nは架橋性単量体1分子が有する重合可能
なビニル基等の官能基の数を表す。)
【0026】Xがこの範囲の共重合体は、高い機械的強
度を示すことができ、例えば、高速液体クロマトグラフ
ィーによって糖化アルブミンと非糖化アルブミンを分離
するのに適している。本発明で用いる共重合体の骨格と
して特に好ましいものとしては、ビニルアルコール単位
がトリアリルイソシアヌレート単位で架橋された重合体
を挙げることができる。
【0027】該架橋単位で架橋された重合体を、試料中
のIgG等アルブミン以外のタンパク質を吸着するため
のゲルの担体として用いる場合は、Xが0.40≦X≦
0.65の範囲の重合体を好ましい範囲として挙げるこ
とができる。この範囲のゲルは、そのままで免疫グロブ
リン、例えば、IgG、IgA、IgMに対する親和性
を示し、これらを吸着することができると同時に、アル
ブミンを溶出することができる。また、Xがこの範囲に
ある共重合体は、同様にハプトグロビン、アルファ2マ
クログロブリン、アルファ1アンチトリプシン、フィブ
リノーゲンも同様に吸着することができる。
【0028】本発明で用いる共重合体は、例えば、特開
昭57−30945号公報の方法で得ることができる。
上記の担体にジヒドロキシボロニル基を結合する方法と
しては、次の方法を挙げることができる。すなわち、上
記の共重合体とエピハロヒドリン、ビスエポキシド等を
反応させ、エポキシ基含有共重合体を得、ついでメタア
ミノフェニルボロン酸を反応させることによって得るこ
とができる。また、上記の担体にIgG等に対して親和
性のある基を結合する方法としても、同様の方法を挙げ
ることができる。
【0029】本発明において用いられるゲルの形状は、
球状、破砕状等種々挙げることができるが、好ましくは
球状である。その場合、重量平均粒径は1〜500μm
であり、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1
〜10μmである。本発明で用いるカラムの形状は特に
限定されないが、好ましくは内径10mm以下、長さ30
cmであり、内径2〜8mm、長さ1〜10cmが特に好まし
い。
【0030】次に、本発明で用いる移動相について述べ
る。本発明においては、試料中のアルブミン以外のタン
パク質を固定相に止め、アルブミンのみを糖化アルブミ
ンと非糖化アルブミンに分離する。したがって、両方の
目的が同時に達成できる移動相を選択することが重要で
ある。本発明の目的を達成するために、例えば、2種類
の移動相(A液とB液)を用意し、途中でA液からB液
に切り替える方法を好ましい方法として挙げることがで
きる。A液からB液への切り替えは、ステップワイズに
行なうこともできるし、連続的に両液の比率を変える、
いわゆるグラジエント法で行なうこともできる。
【0031】ここで言うA液は、試料中のアルブミン以
外のタンパク質を固定相に止め、かつ、糖化アルブミン
と非糖化アルブミンを効果的に分離する機能を有してい
る必要があり、そのようなものとしては、10〜500
mMの緩衝用基剤を有し、1,2シスジオールを有する
物質を含有しないpH7.0〜9.5の水溶液を挙げる
ことができる。緩衝用基剤としては、pH7.0〜9.
5において緩衝能を有する基剤が好ましく、例えば、酢
酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モルフォリン、N
−2エタンスルホン酸、グリシン等を挙げることができ
る。これらの緩衝用基剤は、試料中のアルブミン以外の
タンパク質を固定相に止め、かつ、ジヒドロキシボロニ
ル基と糖化アルブミンなどの糖化タンパク質の糖の部分
の結合を強めることができるため、糖化アルブミン等の
糖化タンパク質と、非糖化タンパク質を高度に分離する
のに有利である。pHが7より低いと、アルブミン以外
のタンパク質を固定相に止めることがうまくいかなくな
る場合があり、また、ジヒドロキシボロニル基とアルブ
ミンの糖鎖との結合が弱くなる。また、pHが9.5よ
り高くなると、アルブミン等のタンパク質が変成し、沈
殿が生ずる恐れがあり、好ましくない。A液のpHは好
ましくは7.5〜9.5の範囲である。
【0032】また、A液は緩衝用基剤以外の塩を含むこ
とができる。特に、二価金属イオンの塩、例えば、塩化
マグネシウム等の塩を含むことにより、アルブミン以外
のタンパク質を固定相に止め、また、糖化アルブミンの
糖鎖とジヒドロキシボロニル基の結合を強め、固定相に
止め、かつ、非糖化アルブミンを溶出させることができ
る。二価金属イオンの塩の濃度は30mM〜300mM
であり、好ましくは50mM〜250mMである。一価
金属イオンの塩、例えば、塩化ナトリウム等も含むこと
ができ、その濃度は好ましくは500mM以下である。
【0033】一方、B液は10〜500mMの緩衝用基
剤を有するpH7〜9.5の水溶液が好ましい。その場
合、B液は1,2シスジオールを有する物質を含んでい
る。緩衝用基剤としては、使用pHで緩衝能を有する緩
衝用基剤が好ましく、例えば、トリスヒドロキシメチル
アミノメタン、トリエタノールアミン等を挙げることが
できる。これらの緩衝用基剤は、ジヒドロキシボロニル
基と糖鎖の結合を弱めることができ、ジヒドロキシボロ
ニル基と結合した糖化タンパク質の溶出を容易にする。
また、グリシン等の緩衝用基剤を用いることもできる。
1,2シスジオールを有する物質としては、例えば、ソ
ルビトール、マニトール等の糖類を挙げることができ
る。1,2シスジオールを有する物質の濃度は、20〜
1000mMが好ましい。この条件を用いると、アルブ
ミン以外のタンパク質を固定相に止めたまま、糖化アル
ブミンを溶出させることができる。
【0034】さらに、A液が二価イオンの塩を含有する
場合は、B液にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等
の金属キレート剤を添加するのが好ましい。その場合、
金属キレート剤の濃度は5〜100mMが好ましい。
A,B両液共に、例えば、エタノール、メタノール、ア
セトニトリルおよびエチレングリコール等の水溶性の有
機溶媒を少量含有していたほうが好ましい場合がある。
その場合、有機溶媒の濃度は特に限定されないが、10
%以下が好ましい。
【0035】移動相の通液方法としては、重力を利用し
て移動相を自然落下させる、いわゆるオープンカラム法
を挙げることができるが、迅速性、再現性の点から移動
相をポンプを用いて送液する、いわゆるHPLC法を好
ましい方法として挙げることができる。
【0036】移動相の流量は、0.1〜10ml/min で
あり、特に好ましくは0.3〜5ml/min である。本発
明においては、カラムから溶出した各フラクションのア
ルブミン濃度を、例えば、紫外吸光光度検出器、蛍光検
出器等を用いて測定することができる。その場合、上記
の光度計を用いて、カラムから溶出した各フラクション
中のアルブミン量をそれぞれ測定することもできるが、
カラムの出口に上記の検出器を連結してカラムからの溶
出液を直接検出器に導入し、各フラクション中のアルブ
ミン量を求める方法を好ましい方法として挙げることが
できる。
【0037】
【発明の効果】本発明の糖化アルブミンと非糖化アルブ
ミンの分離方法は、液体クロマトグラフィーにおいて、
アルブミンを含有する試料溶液を固定相に接触させ、I
gG等のタンパク質を固定相に止め、糖化アルブミンと
非糖化アルブミンを溶出し、分離することを特徴とす
る。従来、アルブミン以外の成分を含む試料から糖化ア
ルブミンと非糖化アルブミンを分離する方法としては、
2本のカラムを用い、前段のカラムでアルブミンと他の
タンパク質を分離し、ついでアルブミンのみを後段のカ
ラムに導入し、糖化アルブミンと非糖化アルブミンを分
離する方法が挙げられる。しかし、この方法はカラムが
2本必要で、かつ2本のカラムの間に流路切替バルブを
設置する必要があり、システムが煩雑でコストがかか
る。また、別の方法としては、アルブミンと他のタンパ
ク質を分離する官能基と糖化アルブミンと非糖化アルブ
ミンを分離する官能基を有する固定相を用いて、試料中
の糖化アルブミンと非糖化アルブミンを分離する方法が
挙げられる。この方法は、切替バルブが不要であり、上
述の方法よりコストが安いが、多数の成分を分離、溶出
させる必要があるため時間がかかる。
【0038】一方、本発明の方法によれば、アルブミン
以外のタンパク質は固定相内に止まるため、切替バルブ
を用いてアルブミン以外の成分を系外に排出する必要が
ない。また、アルブミン以外の成分を溶出しないので、
アルブミン以外の成分と糖化アルブミン、非糖化アルブ
ミンを相互に分離する必要がない。したがって、糖化ア
ルブミン、非糖化アルブミンの分離、分析が容易で、か
つ、迅速化が可能である。
【0039】本発明の方法によれば、一般の臨床検査室
で簡便かつ迅速に、再現性良く、糖化アルブミンと非糖
化アルブミンの分離、分析ができ、また、自動化も可能
であり、その場合は、従来の方法に比べて装置が簡便で
安価になる。したがって、本発明は、糖化アルブミンの
分析の普及に寄与するところ大である。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範
囲は、これらの実施例に限定されるものではない。 実施例1IgG等吸着カラムの作成 特開昭57−30945号公報の実施例1に記載のビニ
ルアルコールコポリマーゲル(X;0.3、水酸基量;
7.8eq/g、WR;1.78g/g、SA;78m2
/g)100gに、エピクロルヒドリン470g、ジメ
チルスルホキシド1000ml、10N NaOH 50
mlを加え、30℃で20時間反応させた。エポキシの導
入量は1.0meq/gであった。
【0041】次に、上記のエポキシ基含有ゲルを10等
分し、その一つを0.5M Na2 CO3 水溶液10ml
中に分散し、ついで少量のNa2 CO3 水溶液に溶解し
たプロテインGを添加し、攪拌しつつ室温で50時間固
定化反応を行ない、プロテインG固定化ゲル(固定化量
3.2mg/g)を得た。同様に残りのエポキシ基含有ゲ
ルを用いて、それぞれIgA抗体固定化ゲル(同2.4
mg/g)、IgM抗体固定化ゲル(同2.0mg/g)、
トランスフェリン抗体固定化ゲル(同2.8mg/g)、
ハプトグロビン抗体固定化ゲル(同1.8mg/g)、ア
ルファ2マクログロブリン抗体固定化ゲル(同1.7mg
/g)、アルファ1アンチトリプシン抗体固定化ゲル
(同3.4mg/g)、アルファ1アシッドグリコプロテ
ィン抗体固定化ゲル(同3.7mg/g)、フィブリノー
ゲン抗体固定化ゲル(同1.9mg/g)を得た。
【0042】次に、これらのゲルを同量ずつ混合して、
内径7.6mm、長さ50mmのステンレス製カラムに充填
して、IgG等吸着カラムを作成した。
【0043】ボロニル基固定化カラムの作成 アミノフェニルボロニル基固定化ゲルの合成は、特開昭
62−192405号公報と同様の方法で行ない、ボロ
ニル基固定化量が0.28meq/gのゲルを得た。このゲ
ルを内径4.6mm、長さ50mmのステンレス製カラムに
充填した。
【0044】IgG等吸着カラムの試験 先に作成したIgG等吸着カラムを用いて、血清中のタ
ンパク質の吸着試験を実施した。試験の条件を以下に示
す。 試 料:アルブミン(負荷量36μg)、IgG(同1
4μg)、IgA(同4μg)、IgM(同2μg)、
トランスフェリン(同4μg)、ハプトグロビン(同3
μg)、アルファ2マクログロブリン(同3μg)、ア
ルファ1アンチトリプシン(同4μg)、アルファ1ア
シッドグリコプロティン(同2μg)以上はいずれもシ
グマ社製 移動相:(A液)50mM酢酸アンモニウム+100m
M塩化マグネシウム(pH8.5) (B液)100mMトリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン+150mMソルビトール+100mM塩化ナトリウ
ム+50mM EDTA(pH8.5) システムコントローラ:日本分光工業(株)商品名 8
01−SC ポンプ:日本分光工業(株)商品名 880−PU(2
台) 流 量:2.0ml/min 検出器:蛍光検出器 日本分光工業(株)商品名 82
0−FP 励起波長:280nm 蛍光波長:340nm 温 度:35℃
【0045】上記の装置を用いて、まずA液を移動相と
して各試料の吸着試験を実施したところ、アルブミンは
100%回収された。アルブミン以外のタンパク質はゲ
ルに吸着され、溶出しなかった。また、同様にB液を移
動相として各試料の吸着試験を実施したところ、アルブ
ミンは100%回収された。アルブミン以外のタンパク
質はゲルに吸着され、溶出しなかった。
【0046】血清中の糖化アルブミンと非糖化アルブミ
ンの分離試験 上記のIgG等吸着カラムとボロニル基固定化カラムを
図1のように連結し、血清中の糖化アルブミンと非糖化
アルブミンの分離試験を行なった。クロマトグラフィー
の条件は、下記の条件を用いた他は実施例1の条件を適
用した。 試 料:健常人血清および糖尿病患者血清(1μl) 移動相:(A液)50mMグリシン+100mM塩化マ
グネシウム(pH8.5) (B液)100mMトリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン+150mMソルビトール+100mM塩化ナトリウ
ム+50mM EDTA(pH8.5) (注)試料を注入した後、2分後にA液からB液に切り
替えた。
【0047】上記の装置および条件を用いて、健常人血
清中の糖化アルブミンと非糖化アルブミンを分離し、得
られたクロマトグラムを図2に示す。また、糖尿病患者
血清中の糖化アルブミンと非糖化アルブミンを分離し、
得られたクロマトグラムを図3に示す。健常人血清に比
べて糖化アルブミンのピークが大きくなっている。
【0048】なお、健常人を試料とした試験において、
ピークA,ピークBのフラクションをそれぞれ分取し、
二次元電気泳動で調べたところ、いずれのフラクション
においてもアルブミンのみが確認された。また、A,B
それぞれのピークのフラクションについて、チオバルビ
ツール酸法によって糖の特異発色を行ない、Bが糖と結
合したアルブミン、Aが糖と結合しないアルブミンであ
ることを確認した。
【0049】実施例2IgG等吸着カラムの作成 酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレート14
5g(X=0.6)、酢酸nブチル145g、nデカン
25gおよび2,2アゾビスイソブチロニトリル7gよ
りなる均一混合液と、少量のポリビニルアルコールおよ
びリン酸ナトリウムを溶解した水1400mlとを、還流
冷却器、窒素導入管および攪拌器を備えた5Lの三つ口
フラスコに入れ、十分攪拌した。次いで、窒素気流下で
攪拌しつつ、60℃で16時間重合を行ない、粒状コポ
リマーを得た。該コポリマーを洗浄し、乾燥した。つい
で該コポリマーをカセイソーダ60gを溶解した水3L
と共に、還流冷却器、窒素導入管および攪拌器を備えた
5Lの三つ口フラスコに入れ、窒素気流下15℃で20
時間攪拌して、該コポリマーのケン化反応を行なった
後、濾過、水洗、乾燥した。該共重合体の水酸基密度は
2.2meq/g、比表面積は65m2 /gであった。つい
で、該コポリマーに実施例1と同様の方法でエポキシ基
を導入した。エポキシ基の量は0.4meq/gであった。
【0050】このエポキシ基含有ゲルに、実施例1と同
様の方法を用いてトランスフェリン抗体を固定化した
(固定化量2.2mM/g)。ついで該ゲルを内径7.
6mm、長さ50mmのステンレスカラムに充填してIgG
等吸着カラムを作成した。
【0051】血清中の糖化アルブミンと非糖化アルブミ
ンの分離試験 上記のIgG等吸着カラムと実施例1のボロニル基固定
化カラムを図1のように連結し、実施例1と同様の方法
で血清中の糖化アルブミンと非糖化アルブミンの分離試
験を行なった。その結果、得られた健常人血清の糖化ア
ルブミンと非糖化アルブミンの分離クロマトグラムを示
すと、図4のとおりである。
【0052】なお、ピークA、ピークBのフラクション
をそれぞれ分取し、二次元電気泳動で調べたところ、い
ずれのフラクションにおいてもアルブミンのみが確認さ
れた。また、A、Bそれぞれのフラクションについてチ
オバルビツール酸法によって糖の特異発色を行ない、B
が糖と結合したアルブミン、Aが糖と結合しないアルブ
ミンであることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる高速液体クロマトグラフの説明
図である。
【図2】実施例1において健常人血清から糖化アルブミ
ンと非糖化アルブミンを分離したクロマトグラムであ
る。
【図3】実施例1において糖尿病患者血清から糖化アル
ブミンと非糖化アルブミンを分離したクロマトグラムで
ある。
【図4】実施例2において健常人血清から糖化アルブミ
ンと非糖化アルブミンを分離したクロマトグラムであ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体クロマトグラフィーを用いて血清、
    血漿または尿から選ばれたアルブミンを含有する体液中
    の糖化アルブミンを分離する方法において、体液中のア
    ルブミン以外の成分中少なくとも免疫グロブリンGを固
    定相に止め、非糖化アルブミンと糖化アルブミンを溶出
    し分離することを特徴とする、糖化アルブミンを分離す
    る方法。
JP3231045A 1991-08-20 1991-08-20 糖化アルブミンを分離する方法 Withdrawn JPH0551396A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000034453A1 (en) * 1998-12-04 2000-06-15 Csl Limited PURIFICATION OF α1-PROTEINASE INHIBITOR

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000034453A1 (en) * 1998-12-04 2000-06-15 Csl Limited PURIFICATION OF α1-PROTEINASE INHIBITOR

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Effective date: 19981112