JPH0551327A - 多糖誘導体による光学分割法 - Google Patents

多糖誘導体による光学分割法

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JPH0551327A
JPH0551327A JP3211981A JP21198191A JPH0551327A JP H0551327 A JPH0551327 A JP H0551327A JP 3211981 A JP3211981 A JP 3211981A JP 21198191 A JP21198191 A JP 21198191A JP H0551327 A JPH0551327 A JP H0551327A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 多糖誘導体を主成分とする固定相を用いた液
体クロマトグラフィーによる光学分割方法の欠点を除去
して、工業的に有利な光学分割方法を提供する。 【構成】 多糖誘導体、例えばセルローストリス(3,
5−ジメチルフェニルカルバメート)を主成分とする固
定相を用いて超臨界流体クロマトグラフィーにより光学
分割を行うことを特徴とする光学分割法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性体混合物の純
度測定、光学活性体の製造に有用な、多糖誘導体による
光学分割法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ラセミ化合物の光学分割方法としては種々の方法が知ら
れているが、本発明者等は先にラセミ化合物の光学分割
方法として、多糖誘導体の固定相による液体クロマトグ
ラフィー法を提案した(特開昭63−156538)。
併しながらこの方法では、移動相として多量の液体を用
いなければならず、この液体の粘性のため、ガスクロマ
トグラフィーのような小さな理論段高さを得ることはで
きない。また分取物は溶液状で得られるため、多量の液
を濃縮して溶媒を除去する操作が必要となり、工業的な
分離精製法としては不適当である。本発明はかかる先行
技術の欠点を解消することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
の結果、多糖誘導体を主成分とする固定相を用い、超臨
界流体を移動相として用いる超臨界流体クロマトグラフ
ィーにより、光学活性体混合物の純度測定等の分析及び
光学異性体の光学分割が工業的に有利に実施し得ること
を見出し、本発明に到ったものである。
【0004】即ち本発明は、多糖誘導体を主成分とする
固定相を用いて超臨界流体クロマトグラフィーにより光
学分割を行うことを特徴とする光学分割法に係わるもの
である。
【0005】本発明において使用される多糖誘導体と
は、多糖の有する水酸基又はアミノ基上の水素原子の一
部又は全部を下記の式(1),(2),(3) 又は(4) で示される
原子団の1種又は2種以上と置換してなる化合物であ
る。
【0006】
【化1】
【0007】式中、 Qはヘテロ原子を含んでもよい芳香
族炭化水素であり、非置換であっても、又はC1〜C12
ルキル、C1〜C12 アルコキシ、C1〜C12 アルキルチオ、
シアノ、ハロゲン、C1〜C8アシル、C1〜C8アシルオキ
シ、ヒドロキシ、C1〜C12 アルコキシカルボニル、ニト
ロ、及びジ(C1〜C8アルキル)アミノからなる群の1つ
以上の基によって置換されていてもよい。芳香族炭化水
素を例示するならば、フェニル、ナフチル、フェナント
リル、アントラシル、インデニル、インダニル、フリ
ル、チオニル、ピリル、ベンゾフリル、ベンズチオニ
ル、インジル、ピリジル、ピリミジル、キノリル及びイ
ソキノリルなどが挙げられる。特に好ましいのはフェニ
ル、ナフチル、ピリジルである。Xは、C1〜C4の炭化水
素であり、二重結合あるいは三重結合を含んでいても良
い。例示すれば、メチレン、エチレン、エチリデン、エ
テニレン、エチニレン、1,2−又は1,3−プロピレ
ン、1,1−又は2,2−プロピリジンなどである。
尚、上記原子団による置換度は少なくとも30%以上であ
り、好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上であ
る。
【0008】本発明における多糖とは、天然多糖、天然
物変性多糖、及び合成多糖、またオリゴ糖のいずれかを
問わず、光学活性であれば如何なるものでも良い。例示
すれば、α−1,4−グルカン(アミロース、アミノペ
クチン)、β−1,4−グルカン(セルロース)、α−
1,6−グルカン(デキストラン)、β−1,3−グル
カン(例えば、カードラン、シゾフィランなど)、α−
1,3−グルカン、β−1,2−グルカン(CrownGall多
糖)、β−1,4−マンナン、α−1,6−マンナン、
β−1,2−フラクタン(イヌリン)、β−2,6−フ
ラクタン(レバン)、β−1,4−キシラン、β−1,
3−キシラン、β−1,4−キトサン、β−1,4−N
−アセチルキトサン(キチン)、プルラン、アガロー
ス、アルギン酸、マルトース、マルトテトラオース、マ
ルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタ
オース、イソマルトース、エルロース、パラチノース、
マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライト
ール、イソマルチトール、α−シクロデキストリン、β
−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等であ
る。
【0009】これら多糖の数平均重合度(1分子中に含
まれるピラノースあるいはフラノース環の平均数)の上
限は2000、好ましくは 500以下であることが取り扱いの
容易さにおいて好ましい。
【0010】多糖誘導体の合成法としては、糖の水酸基
あるいはアミノ基に酸クロライド、もくしはイソシアネ
ートを反応させる方法が一般的である。
【0011】本発明において多糖誘導体を分離剤として
超臨界流体クロマトグラフィーに使用するには、キャピ
ラリーカラムの内面に多糖誘導体をコーティングする方
法、あるいは多糖誘導体を担体に担持あるいは結合させ
た粒子をカラムに充填する方法、及び多糖誘導体そのも
のを粉砕した粒子をカラムに充填する方法がある。好ま
しくは、キャピラリーカラムの内面に多糖誘導体をコー
ティングしたもの、あるいは多糖誘導体を担体に担持あ
るいは結合させた粒子をカラムに充填したものが理論段
数の向上のために好ましい。
【0012】多糖誘導体を担体に担持させる方法は化学
的方法でも物理的方法でもよい。物理的方法としては、
多糖誘導体を可溶性の溶剤に溶解させ、担体と良く混合
し、減圧又は加温下、気流により溶剤を留去させる方法
や、多糖誘導体を可溶性の溶剤に溶解させ、担体と良く
混合した後、多糖誘導体に対し不溶性の溶剤に分散させ
ることによって可溶性溶剤を拡散させてしまう方法もあ
る。
【0013】粉体として用いる場合の粒子の大きさ及び
担体の大きさは使用するカラムの大きさによって異なる
が、1μm 〜1mmであり、好ましくは5μm 〜 300μm
である。担体は無孔質でもよいが好ましくは多孔質であ
り、細孔径は10Å〜 100μmであり、好ましくは50Å〜5
000Åである。担体に担持させる多糖誘導体の量は担体
に対して1〜 100重量%、好ましくは5〜50重量%であ
る。
【0014】用いる担体としては多孔質有機担体又は多
孔質無機担体がある。多孔質有機担体としては、ポリス
チレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート等から
なる高分子物質が挙げられる。多孔質無機担体として適
当なものは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシ
ア、ガラス、カオリン、酸化チタン、ケイ酸塩、ケイソ
ウ土等である。これら担体は、担体自身の表面を改質す
るために処理を施したものを用いてもよい。
【0015】次に本発明に用いられる超臨界流体クロマ
トグラフィーにおいて、移動相の超臨界流体としては、
二酸化炭素、アンモニア、二酸化イオウ、ハロゲン化水
素、亜酸化窒素、硫化水素、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、エチレン、プロピレン、ハロゲン化炭化水
素などが用いられる。しかし可燃性、爆発性、人体への
有害性などを考慮すると、二酸化炭素が適当である。二
酸化炭素の場合、臨界温度31.3℃、臨界圧力72.9気圧で
あり、これ以上の温度、圧力下で用いる。
【0016】本発明においては二酸化炭素に少割合の低
級アルコール、好ましくはエタノール、2−プロパノー
ルを加えた混合溶媒を使用することが望ましい。これら
の低級アルコールの添加により溶出時間を適当に調節で
き、又分離度を向上させ得る。低級アルコールの添加量
としては、二酸化炭素に対し0〜50%、好ましくは0〜
30%が適当である。
【0017】
【実施例】以下に本発明を実施例によって詳述するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】実施例1〔セルロース トリス(3,5−
ジメチルフェニルカルバメート)固定相による超臨界流
体クロマトグラフィー〕 セルロース トリス(3,5−ジメチルフェニルカルバ
メート)をシリカゲルにコーティングしたものを内径
4.6mm、長さ 250mmのステンレスカラムに充填し、日本
分光(株)製JASCO−880PUポンプ、JASC
O−875UV検出器を用い、移動相 CO2/EtOH=3/
0.5 、流速 3.5ml/min 、温度60℃、背圧200kg/cm2
で測定を行った。表1にその結果を示す。
【0019】実施例2〔セルロース トリス(3,5−
ジクロルフェニルカルバメート)固定相による超臨界流
体クロマトグラフィー〕 セルロース トリス(3,5−ジクロルフェニルカルバ
メート)をシリカゲルにコーティングしたものを内径
4.6mm、長さ 250mmのステンレスカラムに充填し、日本
分光(株)製JASCO−880PUポンプ、JASC
O−875UV検出器を用い、移動相 CO2/2-PrOH=3
/0.2 、流速 3.2ml/min 、温度60℃、背圧 200kg/cm
2 で測定を行った。表2にその結果を示す。
【0020】実施例3〔セルロース トリス(3,5−
ジクロルフェニルカルバメート)固定相による超臨界流
体クロマトグラフィー〕 セルロース トリス(3,5−ジクロルフェニルカルバ
メート)をシリカゲルにコーティングしたものを内径
4.6mm、長さ 250mmのステンレスカラムに充填し、日本
分光(株)製JASCO−880PUポンプ、JASC
O−875UV検出器を用い、移動相 CO2/EtOH=3/
0.2 、流速 3.2ml/min 、温度60℃、背圧200kg/cm2
で測定を行った。表3にその結果を示す。
【0021】実施例4〔セルロース トリス(4−メチ
ルベンゾエート)固定相による超臨界流体クロマトグラ
フィー〕 セルロース トリス(4−メチルベンゾエート)をシリ
カゲルにコーティングしたものを内径 4.6mm、長さ 250
mmのステンレスカラムに充填し、日本分光(株)製JA
SCO−880PUポンプ、JASCO−875UV検
出器を用い、移動相 CO2/2-PrOH=3/0.2 、流速 3.2
ml/min 、温度60℃、背圧 200kg/cm2で測定を行っ
た。表4にその結果を示す。
【0022】実施例5〔セルロース トリス(4−メチ
ルベンゾエート)固定相による超臨界流体クロマトグラ
フィー〕 セルロース トリス(4−メチルベンゾエート)をシリ
カゲルにコーティングしたものを内径 4.6mm、長さ 250
mmのステンレスカラムに充填し、日本分光(株)製JA
SCO−880PUポンプ、JASCO−875UV検
出器を用い、移動相 CO2/EtOH=3/0.2 、流速 3.2ml
/min 、温度60℃、背圧 200kg/cm2 で測定を行った。
表5にその結果を示す。尚、表1〜表5中の分割結果を
示す用語の定義は以下の通りである。
【0023】
【数1】
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖誘導体を主成分とする固定相を用い
    て超臨界流体クロマトグラフィーにより光学分割を行う
    ことを特徴とする光学分割法。
  2. 【請求項2】 固定相が多糖誘導体を基材に担持した固
    定相である請求項1記載の光学分割法。
  3. 【請求項3】 多糖誘導体がセルロース誘導体である請
    求項1又は2記載の光学分割法。
  4. 【請求項4】 セルロース誘導体がセルロース トリス
    (3,5−ジメチルフェニルカルバメート)、セルロー
    ス トリス(3,5−ジクロルフェニルカルバメート)
    あるいはセルロース トリス(4−メチルベンゾエー
    ト)である請求項3記載の光学分割法。
  5. 【請求項5】 セルロース トリス(3,5−ジメチル
    フェニルカルバメート)、セルロース トリス(3,5
    −ジクロルフェニルカルバメート)あるいはセルロース
    トリス(4−メチルベンゾエート)がシリカゲルに担
    持されている請求項4記載の光学分割法。
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