JPH05500A - 版胴装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷装置に用いる版胴の版の終端部とドクタ
ーブレードとの対向位置を傾斜させて、ドクターブレー
ドのバウンドによって生ずる印刷物の濃度の濃淡差を無
くす様にする。 【構成】 版胴４を構成するシート状の版４ａを円筒状
ローラ４ｂに巻回固定する様にし、この版４ａの巻回終
端部１０とドクターブレード３との配置関係を傾斜して
対向させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はグラビア印刷装置等に用
いる版胴装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のグラビア印刷装置はローラを用い
た捺染印刷を基本とし、版胴に凹状の版をかけ、インキ
としては比較的流動性の大きいものを用い、版に付着し
た余分のインキはドクターブレードで掻き取って印刷用
紙に印刷を行う様になされている。

【０００３】グラビア印刷装置は種々の形式のものがあ
るが、最も一般的な形は図４乃至図６に示す如き構造で
ある。

【０００４】図４乃至図６に於いて、１は略扁平な皿状
のインキ容器であり、このインキ容器１内に樹脂インキ
等を充満させる。更にこのインキ容器１内にインキロー
ラ２を回動自在に配設する。この略円筒形状に形成した
インキローラ２と一部対接して版胴４が配設される。版
胴４は円筒形状ローラ４ｂと凹状のパターンを有する版
４ａが円筒形状ローラ４ｂ上に貼着されて構成される。

【０００５】この版胴４にはドクターブレード３が対接
され、版胴４の版４ａ上に付着した余分のインキを掻き
落とす様に成されている。

【０００６】版胴４には圧胴５が線接触する様に配置さ
れ、圧胴５の円周面に沿って送られる印刷用紙６に版胴
４の版４ａのパターンが印刷される。上述の構成で印刷
装置が回転を始めればインキ容器１内のインキローラ２
は例えば、矢印の様に反時計方向に回転し、インキ７は
図６の側面図の様にインキローラ２の円周に沿って上動
して、版胴４の版４ａの表面に付き、更に、回転すれば
インキ７はドクターブレード３によって掻き落とされ
る。版胴４の版４ａは凹となされているため凹部にイン
キが充填され、表面の余分のインキは掻き取られるの
で、版胴４を更に矢印の様に時計方向に回転させれば、
版胴４の版４ａのインキ着肉面は印刷用紙５に転移し
て、版４ａに形成したパターンの印刷が行なわれる。

【０００７】上述の如き印刷装置に於いて、円筒状ロー
ラ４ｂに巻回貼着するシート状の版４ａはステンレスや
合成樹脂等が用いられるが、その形状は図５Ａ，Ｂに示
す様に版４ａの製版すべき面の反対側に接着剤層８を形
成し、版胴４を構成させるために、円筒状ローラ４ｂに
略矩形状に形成された版４ａの巻回始端部９を所定位置
に貼付けを行った後に、円筒状ローラ４ｂの外周に沿っ
て巻回貼着して行き、最後の巻回終端部１０は巻回始端
部９をオーバラップして貼着されるためにオーバラップ
部１１が形成され、このオーバラップ部１１は版４ａの
厚み分だけ版胴４の外側に出っ張ることになる。この様
なオーバラップ部１１は版４ａを円筒状ローラ４ｂの外
周に強固に貼着させるために必要となる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来構成で説明
した版胴装置によると、版胴４のオーバラップ部１１を
ドクターブレード３が通過するたびにドクターブレード
３に振動（バウンド）を生ずる。この振動は版胴４や圧
胴５の回転速度が大きくなれば振動も増大し、振動が大
きくなると、印刷用紙６に印刷される印刷の濃度が濃淡
の差となって表れ、印刷物の品位を低下させる問題があ
った。

【０００９】本発明の叙上の問題点を解決するためにな
されたもので、その目的とするところはオーバラップ部
１１で生ずる段差によるドクターブレード３の振動を抑
えて、インキ７を均一に掻きとることで印刷物に濃度の
濃淡を生じない版胴装置を提供しようとするものであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の版胴装置は、そ
の例が図１及び図２に示されている様にシート状の版４
ａを円筒状ローラ４ｂに貼着して、版胴４を形成してな
る版胴装置に於いて、シート状の版４ａの円筒状ローラ
４ｂへの巻回終端部１０と、シート状の版４ａが対向配
置されるドクターブレード３との関係を斜めに配設して
成るものである。

【００１１】

【作用】本発明の版胴装置は版胴４を構成する円筒状ロ
ーラ４ｂに巻回固定するシート状の版４ａの巻回終端部
１０と、インキを掻き落すためのドクターブレード３と
の配置関係を傾斜させて対向させたので、ドクターブレ
ード３の長手方向は終端部１０において、円筒状ローラ
４ｂの軸方向に亘って一気に段部を乗り越えることな
く、点接触状態で乗り越えるためにドクターブレード３
に大きな振動を生ぜず、印刷物の濃度に濃淡を発生させ
ないものが得られる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の版胴装置を図１乃至図３につ
いて詳記する。

【００１３】図１は本例に適用して好適なシート状の版
４ａを説明する平面及び側面図である。

【００１４】図１乃至図３で図４乃至図６の従来構成と
の対応部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
図１Ａ，Ｂは本例の版胴装置に用いるシート状の版４ａ
であり、図１Ａの様に略矩形状に形成されたシート状の
版４ａは例えば合成樹脂等で形成され、製版の施されな
い反対面には図１Ｂに示す様に接着剤の如き粘着剤層８
が形成され、版胴４を構成する円筒状ローラ４ｂに巻回
始端部９から貼付けられ、巻回終端部１０はオーバラッ
プ部１１を構成する様に重ねられて貼着される。

【００１５】本例のシート状の版４ａの巻回終端部１０
は図１Ａの破線で示す従来構成に比べて円筒状ローラ４
ｂの巻付方向に傾斜して切断されている。この傾斜の方
向は一点鎖線で示す様にどちら側に傾斜して切断しても
よい。傾斜角度θは版胴を構成する円筒状ローラの軸方
向長さによって適宣選択可能であるが、版４ａに対向配
置されるドクターブレード３の版４ａとの接触線が同時
に段部を乗り越えず序々に点接触状態で乗り越える様に
選択する様になせばよい。

【００１６】図２は本例のシート状の版４ａを円筒状ロ
ーラ４ｂに巻回して、インキローラ２を介してインキ７
を版４ａ上に塗布して、圧胴５に巻回した印刷用紙６上
に版胴４の版４ａのパターンを印刷する状態の斜視図で
あり、版胴を構成する版４ａのオーバラップ部１１の巻
回終端部１０の段部はドクターブレード３の長手方向に
対し、版胴４が矢印の様に時計方向に回転しているとす
れば、巻回終端部１０はＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆと順次
に奥方向から手前側に傾斜した切断部を乗り越えるため
にドクターブレード３に大きな振動を与えることがな
い。

【００１７】上述の構成では円筒上ローラ４ｂに巻回す
る版４ａの巻回終端部１０をテーパ状に切断し、ドクタ
ーブレード３の版４ａとの対接ラインを円筒状ローラ４
ｂの軸方向の中心線と平行に配したが、図３に示す様に
構成させてもよい。

【００１８】図３の版４ａは図５に示すと同様の略矩形
状のもので巻回終端部は傾斜した切断面を持っていない
が、ドクターブレード３は円筒状ローラ４ｂの軸方向の
中心に対し所定の角度傾いて配置されている。

【００１９】この様な版胴装置においても、図２と同様
の効果が得られることは明らかである。

【００２０】本発明の版胴装置によれば、ドクターブレ
ード３は版４ａのオーバラップ部１１の巻回終端部１０
の段部を一気に通過することなく、一端から他端にかけ
て徐々に段部を通過するのでドクターブレード３の振動
（バウンド）が小さくなり、ドクターブレードのインキ
７の掻き取りむらがほとんどなくなり、高品位の印刷物
が得られる効果を有する。

【００２１】尚、本発明は上述の実施例に限定されるこ
となく、版４ａの巻回終端部１０を傾斜してカットした
ものを円筒状ローラ４ｂに巻回し、この傾斜方向と反対
方向にドクターブレード３を傾斜させて、配設する等、
本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更し得ることは
明らかである。

【００２２】

【発明の効果】本発明の版胴装置によれば、印刷時のオ
ーバラップ部１１の段部で生ずるドクターブレード３の
バウンドが抑えられ、インキ７はドクターブレード３に
よって均一に掻き取られるので印刷物に濃度の濃淡を生
ずることのないものが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の版胴装置に用いる版の平面及び側断面
図である。

【図２】本発明の版胴装置の一実施例を示す斜視図であ
る。

【図３】本発明の版胴装置の他の実施例を示す斜視図で
ある。

【図４】従来の版胴装置の斜視図である。

【図５】従来の版胴装置に用いる版の平面及び側断面図
である。

【図６】従来の版胴装置の版巻回状態を説明する側面図
である。

【符号の説明】

１ インキ容器 ３ ドクターブレード ４ 版胴 ４ａ 版 ４ｂ 円筒状ローラ １０ 巻回終端部 １１ オーバラップ部

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 シート状の版を円筒状ローラに貼着して
   版胴を形成してなる版胴装置に於いて、上記シート状の
   版の円筒状ローラへの巻回終端部と、該シート状の版が
   対向配置されるドクターブレードとの関係を斜めに配設
   して成ることを特徴とする版胴装置。