JPH0549739B2 - - Google Patents

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JPH0549739B2
JPH0549739B2 JP10192584A JP10192584A JPH0549739B2 JP H0549739 B2 JPH0549739 B2 JP H0549739B2 JP 10192584 A JP10192584 A JP 10192584A JP 10192584 A JP10192584 A JP 10192584A JP H0549739 B2 JPH0549739 B2 JP H0549739B2
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rapidly solidified
alloy
wire
atomic
toughness
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Takeshi Masumoto
Akihisa Inoe
Hiroyuki Tomioka
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、加工性に優れたFe基合金急冷凝固
材料に関するものである。 従来より、Ni及びCrを含有する鉄鋼材料には、
Ni−Cr鋼及びステンレス鋼等がある。特に、周
知のごとくステンレス鋼には、数多くの種類があ
り、それぞれ耐蝕性、耐候性、耐酸化性、溶接
性、冷間加工性、被削性、加工硬化性等に秀れて
おり、各種化学工業、建築、タービン関係、航空
機、車両等に広く利用されている。しかしなが
ら、ステンレス鋼でもオーステナイト系、フエラ
イト系、マルテンサイト系、析出硬化系等があ
り、それぞれ長所・短所を有している。例えば、
マルテンサイト系ステンレス鋼は、高い強度と硬
さが得られるのにもかかわらず、Cr量が約13原
子%と低いか、あるいは炭素量が約3原子%と高
いために、オーステナイト系、フエライト系ステ
ンレス鋼よりも耐蝕性に劣り、また深絞り冷間鍜
造等成型性にも劣る。次に、オーステナイト系ス
テンレス鋼は、耐蝕性等に秀れているにもかかわ
らず、引張強さは、約60Kg/mm2程度と低く、しか
も加工硬化させても、それほど高強度とはなりえ
なかつた。 また、靭性、加工性を向上させるために、結晶
粒の微細化処理が行われるが、普通鋼とは異なり
オーステナイト系ステンレス鋼は、熱処理による
結晶粒の微細化が困難であり、熱間加工により成
形品の結晶粒は著しく粗大化しやすいという難点
があつた。さらに、フエライト系ステンレス鋼は
オーステナイト系ステンレス鋼に比して安価であ
るが、その反面、加工性又は耐蝕性の面で不利で
ある。 一方、Ni−Cr系オーステナイト鋼のC量を増
加して高温強度を高めた材料としてACI(Alloy
Casting Institute)規格のHHあるいはHK鋼が
知られているが、これらの鋼は、通常、鋳造によ
り製品化されているため、生産性が低く、その性
質についても多量のCを含み、粗大炭化物を含む
組織であるためクリープ延性あるいは熱疲れ特性
がSUS347等に比べて著しく劣つている。 また、300Kg/mm2以上の高引張強度を示す金属
材料としては、ピアノ線、マルエージング鋼等が
ある。しかし、これらピアノ線、マルエージング
鋼は、粗大化した炭化物、析出物を含有するの
で、加工硬化等を付与するための熱間及び冷間加
工工程が煩雑になり、マルエージング鋼は線材化
が困難である。また、ピアノ線、伸線材の延性が
不足して引切れし易くなり、特に30μm以下の極
細線の製造は全く不可能である。 また、細い連続的な鋼線を製造する方法として
は、特公昭54−39338号公報である。これは、Fe
−Si−Mn−O系合金で、冷却媒体中で固化させ
るためにSi及びMn量の適当量範囲を限定してい
る。例えば97.7Fe−0.7Si−0.4Mn−1.2C、93.5Fe
−2.3Si−1.2Mn−3C等数種類の実施例が鋼線を
形成し得たと報告している。そして、噴出された
溶湯流が冷却媒体に接触する時に固体シリカ析出
物が生じるため、この酸化生成物は、固化開始剤
及び固体促進剤として作用することを記してい
る。特に細い連続的な鋼線を得ることができる、
好ましいSi量は約1〜6原子%、Mn量は約0〜
1.5原子%の範囲内であることを明記している。
すなわち、上記の報告では製造された鋼線の特性
に関する記述は全くなく、ただ単に製造しうる合
金組成に関して報告しただけである。 他方、特開昭56−3651号公報には、Ll2型金属
間化合物に靭性を与えた報告がなされている。こ
の合金組成は、Ni及びMnの少なくとも1つが
3・9〜67.0原子%、Alが7.2〜22.5原子%、Cが
0.7〜11.0原子%、又はCと0.8原子%以下のNと
が0.7〜11.0原子%、残部がFeであり、またほと
んどLl2型金属間化合物で構成され、かつC又は
CとNのほとんどが前記金属間化合物に固溶して
いる金属間化合物材料である。また、上記合金に
Cr,Mo,Wの少なくとも1つを7.4原子%以下添
加すること、Ni及びMnをCoで42.0原子%以下置
換することも可能であると記載されており、その
他Ti,Ta,ZrNb及びSiの少なくとも1つを3.8
原子%以下であれば微量添加でき、Cr,Mo,
W,Co,Ti,Ta,Zr、Nb及びSiを添加しても
ほとんどがLl2型金属間化合物で構成され、かつ
又はCとNのほとんどが前記金属間化合物中に固
溶しているLl2型金属間化合物材料であつた。こ
の金属間化合物材料は、低Cr(7.4原子%以下)、
高Al含有量、及び高C含有量ゆえに、構造は規
則化し、逆位相領域を有すようになり、靭性を示
すようになつたが、この金属間化合物材料は、上
記組成範囲内でのみ靭性を有し、Al量が7.2原子
%未満の場合には、Ll2型金属間化合物を形成せ
ず、強度は低く、また22.5原子%以上ではLl2
金属間化合物を形成するが、ねばさ著しく低下し
脆くなる。Ni量についても、3.9原子%以下では
炭化物形成によりねばさを著しく損ない。一方
65.5原子%以上では、Fe3Cを形成してねばさを失
つてしまう。C含有量についても、0.7原子%以
下では急冷効果があらわれずLi2型金属間化合物
を形成することができず脆くなり、11.0原子%で
は、急冷してもFe3Cの析出を防ぐことが困難と
なり、著しく延性を失い脆くなる。このように、
このLl2金属間化合物材料は、前記組成範囲内で
のみ靭性を有し、前記組成範囲外では、直ちに炭
化物の析出等がおこり、全く靭性を失い、脆くな
つて実用に供さないものであつた。また、この合
金組成からなるLl2型金属間化合物材料は、靭性
を有しているが、線引き、圧延及び熱処理加工等
がしにくく、しかも加工による機械的性質等の向
上はほとんど期待できない。例えば上Ll2型金属
間化合物材料中、最高の破断強度約175Kg/mm2
有するFe59.8Ni16.4Al14.2C9.6組成合金材は、先
にも述べたように逆位相境界を多く含み微細な逆
位相領域を有しているため、加工硬化を全くせ
ず、なんらかの事後処理を施しても急冷材以上に
破断強度、降伏強度を改善することが全くできな
かつた。また、この金属間化合物材料は、非平衡
相であるがため、600℃、1hr程度の熱処理を行う
と、急激的に逆位相境界が消滅し、靭性をもたせ
るために必要不可欠であつた微細な逆位相領域が
消滅するために、平衡相のLl2型金属間化合物と
なり、延性を失い、全く脆くなつてしまい、熱的
にはかなり不安定な材料であつた。さらに、この
金属間化合物材料は、粒内に逆位相境界という一
種の境界を有しており、また極高炭素の材料であ
るがゆえ、耐蝕性についてもかなり乏しいもので
あつた。 すなわち、現在のところ、300Kg/mm2以上の極
めて高い引張強度を有し、かつ耐食性、耐熱性、
耐疲労性等に優れ、さらに加工が容易な材料は存
在していない。 そこで、本発明者らは、結晶粒の微細化、超微
細な析出物の均一分散強化により優れた加工性を
有すると同時に、強靭性を有するFe基合金材料
を提供することを目的として鋭意研究した結果、
特定の組成からなるFe基合金を溶湯状態から急
冷固化すると、上記の目的がすべて達成でき、さ
らに耐食性、耐熱性、耐疲労性にも優れ、電磁気
的にも有用な合金急冷凝固材料であることを見い
出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明はNi及びMnの少なくとも1
つが2〜60原子%、Crが7.5〜90原子%、Siが1
〜15原子%、C,B及びPのうちの少なくとも1
つが0.5〜10原子%で、残部が実質的にFeからな
る加工性に優れたFe基合金急冷凝固材料及びNi
及びMnの少なくとも1つが2〜60原子%で、Cr
が7.5〜60原子%で、Siが0.25〜15原子%で、C,
B及びPのうちの少なくとも1つが0.5〜10原子
%で、Alが0.02〜0.5原子%で、残部が実質的に
Feからなる加工性に優れたFe基合金急冷凝固材
料である。 まず、本発明の第1合金急冷凝固材料について
説明すると、Ni及びMnは、靭性を有するオース
テナイト相を安定化するのに必須の元素の中のひ
とつであり、Ni及びMnの少なくとも1つが2〜
60原子%必要で、好ましくは3〜50原子%であ
る。Ni及びMnの少なくとも1つが2原子%未
満、また60原子%より多ければ、粗大化した多量
の析出物を生じるために靭性は低下し、脆く加工
性が低下する。Crは、Ni及びMnを共存してオー
ステナイト相を安定化するはたらきがあるが、
Crは7.5〜60原子%必要で、好ましくは7.5〜50原
子%である。Crが7.5原子%未満は、延性及び靭
性が低下し、加工性に乏しくなり、また60原子%
より多い場合は、不均一に粗大化した析出物が析
出するようになり、脆く加工性がなくなる。 Siは、溶湯状態から急冷固化して直接リボン
状、テープ状及び細線状材料を得るために必要な
成型性を付与する元素であり、Siは1〜15原子%
であることが必要で、2〜14原子%が好ましい。
Siが1原子%未満では、溶湯状態から急冷固化し
て直接リボン状、テープ状及び細線状の材料を連
続して得ることが困難となり、また15原子%より
多ければ、Si化合物を生じ、靭性及び加工性が低
下する。このSiは、急冷固化して得られた合金材
料の靭性、硬さを向上させ、冷間圧延、冷間線引
等の加工を加えて機械的性質を改善する際、特に
低加工率領域から加工誘起マルテンサイト変態を
生じ、著しい強度及び靭性の向上が見られる。
C,B及びPのうち少なくとも1つが0.5〜10原
子%であることが必要であり、好ましくは0.5〜
8原子%で、特にCはオーステナイト相形成元素
としても必須であり、なおかつC,B及びPは急
冷をきかせる効果、またそれぞれ炭化物、ホウ化
物、リン化物となつて、母相に均一に分して複合
強化の役割を果たし、高強度を得るためには不可
欠な要素となる。しかし、これらC,B及びPの
うちの少なくとも1つが0.5原子%未満では、急
冷固化した時に非平衡相相を得ることが困難とな
り、また10原子%より多ければ、析出物の粗大化
がおこり、脆く、加工性が低下し、実用に供さな
くなる。 次に、第2合金急冷凝固材料について説明する
と、第2合金は、第1合金中のSiの量がAlを0.02
〜0.5原子%添加することにより、0.25原子%ま
で低下させることができたものである。すなわ
ち、第1合金中のSiが1原子%未満では前記した
ごとく、溶湯物性が変化し、ノズルの材質である
セラミツク等とのぬれ性が高まり溶湯噴出用ノズ
ル孔よりの噴出が困難になり、また急冷固化時の
直接成型性も極端に低下るため、連続したリボン
状、テープ状及び細線状の材料を直接製造するこ
とが困難であつたのが、Alを0.02〜0.5原子%、
好ましくは0.03〜0.5原子%添加すると、溶湯と
ノズル材質であるセラミツクとのぬれ性が低下
し、溶湯噴出用ノズル孔よりスムーズに噴出させ
ることが可能となり、同時に低Si量のために低下
する急冷固化時の直接成型性を改良し、連続した
リボン状、テープ状及び細線状の材料を得ること
ができる。Alの添加により、Siは0.25原子%、好
ましくは0.5原子%まで低下させることができる。
Siが0.25原子%未満ではAlを添加しても連続した
リボン状、テープ状及び細線状材料を急冷固化に
より直接得ることができなくなり、15原子%より
多ければ、Si化合物が生じ、靭性及び加工性が低
下する。またAlが0.02原子%未満では前記の溶湯
の物性を改善することができなくなり、急冷固化
時の直接成型性にも劣る。Alが0.5原子%より多
ければ、溶湯の物性の改善効果はない。このよう
に極く微量のAlの添加によりSiの量を低下させ
ることができるため、急冷固化して得られた材料
の硬度が低下してダイス摩耗損失等のランニング
コストの低減化に寄与したり、また導電率も向上
し、電導部品として使用する場合にエネルギー損
失が減少する。 本発明の合金急冷凝固材料は、低Ni量、低Cr
量及び低C量の場合には、ラスマルテンサイト相
と微量のオーステナイト相の混合相に超微細な析
出物が均一に分散された組織であり、Ni,Cr及
びC量が増すにつれてラスマルテンサイト相が減
少し、オーステナイト相が増加していく。このよ
うに、本発明の合金急冷凝固材料は、ラスマルテ
ンサイト相及び均一に分散された超微細な析出物
による効果により高い破断強度、良好な靭性及び
優れた加工性を有するようになる。特に、線引、
圧延、熱処理等による加工を加えると、オーステ
ナイト相が加工誘起し、マルテンサイト変態をお
こし、靭性を飛躍的に向上させることができる。
線引き加工及び圧延加工等により靭性、強度の向
上は、Ni及びMnの少なくとも1つが3〜40原子
%で、Crが7.5〜30原子%、Siが3〜14原子%、
C,B及びPのうちの少なくとも1つが0.5〜6
原子%、残部がFeである組成範囲及びNi及びMn
の少なくとも1つが3〜40原子%、Crが7.5〜3.0
原子%、Siが0.5〜14原子%、C,B及びPのう
ちの少なくとも1つが0.5〜6原子%、Alが0.03
〜0.5原子%で、残部がFeである組成範囲が最も
好ましい。上記組成範囲において、特に本発明の
合金急冷凝固材料は、極めて優れた加工性を有し
ており、また上記組成範囲にて存在するオーステ
ナイト相は、準安定で強加工により加工誘起マル
テンサイト変態をおこしやすい状態にある。すな
わち、上記組成範囲内の本発明の合金急冷凝固材
料は、マルテンサイト相とオーステナイト相の二
相混在及びマルテンサイト相又はオーステナイト
相単相組織に、超微細な析出物が均一に分散して
いる組織であり、高い靭性を有し、さらに加工を
加えることにより加工誘起マルテンサイト変態を
おこし、例えば85%以上の冷間線引加工が可能
で、破断強度は約400Kg/mm2以上の高強力を有す
るようになる。しかも、そのうえ、先に記述した
ごとく熱処理を加えられた場合に、非平衡状態か
ら平衡状態に急激に変化し、全く脆くなつてしま
うLl2型金属化合物(特開昭56−3651号公報)と
は異なり、本発明の合金急冷凝固材料は、熱処理
を加えた場合、非平衡状態から平衡状態へ変わる
途中に直径約0.03μm以下という超微細な析出物
がラスマルテンサイトの転出上に均一に分散され
た状態で析出するので、析出硬化により、靭性の
向上に効果がある。そして、析出により非平衡状
態が平衡状態にまで達しうることができないがた
めに、靭性を全く損なわず、非平衡状態ながら、
熱的に極めて安定で、従来の非平衡相の常識を全
く覆す材料である。特に、この直径約0.03μm以
下という超微細な析出物による析出硬化作用は、
ラスマルテンサイト相を含む低Ni、低Cr及び低
C領域に著しく、Niが3〜20原子%で、Crが7.5
〜25原子%で、Siが1〜7原子%で、C,B及び
Pのうちの少なくとも1つが0.5〜4原子%で、
残部が実質的にFeよりなる組成範囲及びNiが3
〜20原子%、Crが7.5〜25原子%、Suが1〜7原
子%、,B及びPのうちの少なくとも1つが0.5〜
4原子%で、A1が0.03〜0.5原子%で、残部が実
質的にFeよりなる組成範囲が最も好ましく、ま
た熱処理条件は、例えば450〜700℃で1時間程度
が好ましい。この場合、700℃を越える熱処理条
件では、引張破断強度は低下する傾向にあるが、
900℃で1時間熱処理した後も、引張破断強度は、
もとの急冷凝固材料の約2/3程度と依然として
高い強度を有している。 また、本発明の合金急冷凝固材料にNb,Ta,
Ti,Mo,V,W及びCuからなる群より選ばれた
一種又は二種以上の元素を5原子%以下で添加す
ると、急冷材は固溶体硬化により靭性の改善及び
耐蝕性、耐酸化性の改善がみられるが、特に上記
析出硬化作用の著しい組成範囲、すなわち熱処理
条件の範囲内において、Nb,Ta,Ti,Mo,
V,W及びCuからなる群より選ばれた一種又は
二種以上の元素を5原子%以下で添加すると、析
出硬化がより著しくなり、さらに高い破断強度、
靭性を示すようになるが、5原子%より多く添加
した場合には、急冷凝固材は脆くなつた。 また、上記合金系において、通常の工業材料中
に存在する程度の不純物、例えばS,Sn,In,
As,Sb,O及びN等が少量含まれていても本発
明を達成するにはなんら支障をきたすものではな
い。 本発明の合金急冷凝固材料を製造するには、前
記合金組成を用い、雰囲気中もしくは真空中で加
熱溶融し、これを急冷凝固させればよい。その急
冷方法としては、種々あるが、例えば液体急冷法
である片ロール法、双ロール法並びに回転液中紡
糸法(特開昭56−165016号公報)が特に有効であ
る。また、板状合金はピストン−アンビル法、ス
プラツトクエンチング法等で製造することもでき
る。前記の液体急冷法(片ロール法、双ロール
法、回転液中紡糸法)は約104〜105℃/secの冷
却速度を有しており、またピストンアルビン法、
スプラツトクエンチング法では約105〜106℃/
secの冷却速度を有しているので、これらの急冷
法を適用することによつて、効率よく急冷凝固さ
せることができる。 このような片ロール法、双ロール法及び回転液
中紡糸法により、リボン材、テープ材及び細線状
材料を製造する際には、必ず幅1〜3mm程度のス
リツト又は孔径0.1〜0.5mm程度のノズルを通し
て、溶湯流を冷却媒体に噴出せしめねばならな
い。ところが、前記した従来のLl2型金属間化合
物材料は、Alを非常に高濃度に含有しているた
め、通常のアルゴンガス雰囲気等の中で溶解する
と、多量のスラグを発生し、このスラグがスリツ
ト、ノズル孔を通過する時に溶湯流に脈流が生
じ、リボンの厚さ、線径等に大きな斑ができる。
すなわち、スラグ化しやすいAlを多量に含有し
たLl2型金属間化合物は、その薄体化、線材化の
点において均一性が全く欠けている。 Alに比べ、スラグ化しにくいSiを含有する本
発明の合金急冷凝固材料は、均一な連続線を容易
に製造することが可能である。 本発明の合金急冷凝固材料は、連続して冷間加
工して行うことができ、圧延、線引加工により寸
法精度及び機械的性質を飛躍的に向上させること
が可能で、特に細線状材料は、線引加工により、
容易に圧下率85%以上、線径にして0.01mm以下の
高強度極細線を製造することが可能である。 また、加工工程の途中に必要に応じて焼なまし
等の熱処理を加えることも可能である。このよう
な液体急冷法の高速化、工程の単純さは、本発明
の合金急冷凝固材料を製造するに際して、製造費
の低減、省エネルギーといつた効果をもたらす。 さらに、急冷凝固材を100〜400℃程度の低温で
熱処理すると、伸度が約2〜5倍と著しく向上す
る。この非常に高い伸度を有するようになつた本
発明の合金急冷凝固材料は、先に記述した圧延・
線引加工が非常に容易となり、ダイス摩耗等ラン
ニングコストが著しく低減できる。 このようにして得られた本発明の合金急冷凝固
材料は、優れた加工性を有し、400Kg/mm2以上の
極めて高い引張強度及び良好な靭性を示し、さら
に次のような秀れた特性を有する。 本発明の合金急冷凝固材料の耐食性は、C量が
多く、冷間線引後マルテンサイト組織であるにも
かかわらず、ステンレス鋼と比較し、同等程度で
あり、さらに合金組成の最適組成を選べば、ステ
ンレス鋼を凌ぐ高耐食性を示すようになる。 また、本発明の合金急冷凝固材料は、大気中で
の高温酸化にも強く、大気中で700℃程度の高温
に瀑された後も種々の特性は全く劣化しない。 さらに、本発明の合金急冷凝固材料は、冷間線
引後マルテンサイト組織になる為、Hcが30〜
150O¨e,Brが10〜17KGで角形性の高い電磁気的
に半硬質の材料に変化する。例えば68Fe−10Ni
−10Cr−8Si−3C−1Moの合金組成において、冷
間線引を圧下率90%まで行つた本発明の合金急冷
凝固材料は、Hcが60O¨e,Brが15KGで、角形性
が非常に高い秀れた半硬質材料であり、さらに
400℃、1時間程度の熱処理を加えと、Br及び角
形性は著しく向上する。靭性・強度・硬さにも優
れている本発明の合金急冷凝固材料は、従来の半
硬質材料と比較し、種々の点で非常に秀れた材料
であるといえる。 また、本発明の合金急冷凝固材料は耐疲労性に
ついても、従来のステンレス線、ピアノ線と比較
して、より高い疲労限を有しており、疲労に対し
て強い材料であり、構造材等として用いる場合、
十分に信頼性の高い材料である。 以上のように、本発明の合金急冷凝固材料は、
優れた加工性、高い引張強度、良好な靭性及び耐
食性、耐酸化性、耐熱性、耐疲労性に秀れ、電磁
気特性も良好であり、さらに電気抵抗も高いこと
から、各種工業材料、フイルター及びストレーナ
用材料、発熱用抵抗体、吸音材用繊維等広く用い
られ、また、ラツチングリレー、スイツチングリ
レー用材料等としても有用で、工業的に非常に優
れた、従来例に類をみない利用価値の極めて高い
材料である。 次に本発明を実施例により具体的に説明する。 実施例1〜44、比較例1〜35 表−1、表−2に示す各種組成からなるFe−
(Ni,Mn)−Cr−(Si,Al)−(C,P,B)−
(Nb,Ta,Ti,Mo,V,W,Cu)系合金をア
ルゴンガス雰囲気中で溶融した後、アルゴンガス
噴出圧3.5Kg/cm2で、孔径0.13mmのルビー製紡糸
ノズルにより280rpmで回転している内径500mmの
円筒ドラム内に形成された温度6℃、深さ2.5cm
の回転冷却水中に噴出して急冷凝固させ、円形断
面を有する連続細線を作成した。 このとき、紡糸ノズルと回転冷却液面との距離
1mmに保持し、紡糸ノズルより噴出された溶融金
属流とその回転冷却液面とのなす角は65゜であつ
た。 また、この細線の組織をX線回析、光顕及び透
過電顕により観察し、180゜密着曲げ性についても
検討した。 次に、この細線を一般に市販されているダイヤ
モンドダイスを用い、中間焼なましを行うことな
く連続して冷間線引加工を行つた。 さらに、冷間線引加工を行う前の細線を550℃
で1時間熱処理を行つた時の引張破断強度の向上
についても検討した。 なお、これらの試料の破断強度は、インストロ
ン型引張試験機を用い、室温にて、速度4.17×
10-4sec-1の条件下で測定した。 それらの結果について表−1、表−2にまとめ
て示す。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 表−1におけ急冷凝固後の細線の組織欄での記
号は、γ;オーステナイト相、α′;ラスマルテン
サイト相、α;フエライト相、A;粗大化した析
出物、B;直径約0.1μm以下程度の超微細な均一
に分散した析出物を表す。 実施例1,2,10,11,12,13,15,16,18,
19,20,21,23,24,25,27,28,29,31,33,
34,35,36,37,38の合金急冷凝固材料は、ラス
マルテンサイト相又は均一分散した超微細な析出
物により、強化され、急冷材(急冷凝固後の細
線)のままでも高い強度を示した。また、これら
の本発明の合金急冷凝固材料中のオーステナイト
相、冷間での線引により強加工が加わると、加工
誘起マルテンサイト変態を起こし、約400Kg/mm2
の程度の高強度を有するようになつた。ところ
が、比較例28,29のLl2型金属間化合物材料は、
約20〜40程度の圧下率までしか、線引加工ができ
ず、それ以上の線引加工をすると、破断を頻発
し、加工が不可能で、しかも加工を加えても加工
硬化を生じないため、破断強度等の機械的性質に
関してほとんど改良されなかつた。 また、実施例3,4,5,6,7,8,9,
13,17,22,26,30,32の合金急冷凝固材料は、
Tb,Ta,Ti,Mo,V,W及びCuを少量添加す
ることにより、急冷凝固の細線でも、ねばさを有
したまま固溶体硬化により、5〜15Kg/mm2引張破
断強度が向上した。さらに、連続し冷間線引きを
高圧下率まで行うことができ、添加元素無添加の
材料としても同等あるいはさらに高い引張破断強
度を有していた。 ところが、比較例1,2,3,4,5,6,
7,8,9,10,11,12,13,14,15,17,18,
20,21,23,24,26,27は、適正範囲を逸脱して
いるため、組織が粗大化した炭化物を析出した状
態になつており、脆く線引加工も不可能で、実用
に供さないものであつた。 比較例16,19,22,25,30は、成型性溶湯物性
の改善等に必須なAl,Si及び急冷凝固させるた
め、等に必須なC,B,Pが適正範囲外であるた
め、ワイヤー状試料を得ることができなかつた。 実施例39〜44の合金急冷凝固材料はNb,Ta,
Ti,Mo,V,W及びCuを少量添加することによ
り、固溶体硬化により引張破断強度が向上する上
に、さらに、焼きもどし処理を行うと、急冷凝固
後の細線に存在していた超微細な析出物とは別に
新たにそれよりもさらに超微細な直径約0.03μm
以下の析出物が、均一に分散した状態で析出して
おり、引張破断強度がさらに向上している。液体
急冷により製造された材料は、成分偏析がほとん
どないために、熱処理によつて生じる析出物も急
冷凝固した際に生じる析出物よりも、さらに超微
細に析出するので、本発明の合金急冷凝固材料
は、熱処理されても平衡相に変態せず、ねばさを
全く失わず脆くならなかつた。 一方、比較例35は、液体急冷によつて得られた
非平衡Ll2型金属間化合物材料で、本発明の合金
急冷凝固材料とは異なり、析出等の現象を伴わ
ず、焼もどしにより非平衡相から急激に平衡相に
変わるので、全く脆くなつてしまい、熱的に不安
定な材料であつた。 実施例45〜50、比較例36,37 Fe−Ni−Cr(Al,Si)−C−Mo系合金におけ
る耐食性について検討するために、実施例−1と
同一の装置及び条件により、約0.08〜0.13mmの線
径を有する細線を製造し、交流インピーダンス法
による腐食抵抗測定法(理研電子製交流インピー
ダンス腐食抵抗測定器)を用い、平均浸食度を求
めた。 この交流インピーダンス法による腐食抵孔測定
法とは、試料を電極として対象腐食液に浸漬し、
間歇的に一定時間電極間に通電を行い、その抵抗
値により腐食量を求めようとする加速試験である
(参考文献;春山志郎、水流徹:金属物理セミナ
ー、vol4,No.2,1979等)。 その結果を表−3に示す。
【表】 実施例45〜50合金急冷凝固材料は、Ni,Cr,
Si,Al,Mo等の元素によ耐食性の向上、微細な
結晶粒の硬化及び成分元素が液体急冷により均一
濃度になつている等の種々の相乗効果により、秀
れた耐食性を有していた。また、冷間線引による
強加工を行つても耐食性の低下は全く見られなか
つた。 ところが、比較例36は、従来よく利用されてい
るピアノ線であるが、防錆油を付着させたまま腐
食試験を行つても、耐食性は全くなく、さらに引
張破断強度も本発明の合金急冷凝固材料と比較し
てもかなり低かつた。また、比較例37のステンレ
ス線は、本発明の合金急冷凝固材料と比較して、
耐食性は劣り、引張破断強度も1/4以下であつた。 実施例51〜55、比較例38,39 Fe−Ni−Cr−C−Mo系合金における耐疲労
性について検討するため、実施例−1と同一の装
置及び条件により、約0.03mmの線径を有する細線
を製造した。 耐疲労性の試験には、ローラ−屈曲型疲労試験
機を用い、表−4に示す細線にローラ−により表
面歪を与えながら、破断するまでの屈曲回数と表
面歪との関係を測定し、ある歪以下では、107
以上屈曲させても破断しないという限界、いわゆ
る疲労限を求めた。 その結果を表−4に示す。
【表】
【表】 実施例51〜55の合金急冷凝固材料は、長く繊維
状に伸びた結晶粒、超微細に析出した析出物及び
加工誘起したマルテンサイト等の効果により、よ
り靭性の高い、耐疲労性に秀れた材料であること
が明確となつた。 比較例38,39はそれぞれ市販のピアノ線、ステ
ンレス線であり、疲労限は、本発明の合金急冷凝
固材料よりも低く、さほど耐疲労性に秀れた材料
であるとはいえなかつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 Ni及びMnの少なくとも1つが2〜60原子%
    で、Crが7.5〜60原子%で、Siが1〜15原子%で、
    C,B及びPのうちの少なくとも1つが0.5〜10
    原子%で、残部が実質的にFeからなる加工性に
    優れたFe基合金急冷凝固材料。 2 Ni及びMnの少なくとも1つが2〜60原子%
    で、Crが7.5〜60原子%で、Siが0.25〜15原子%
    で、C,B及びPのうちの少なくとも1つが0.5
    〜10原子%で、A1が0.02〜0.5原子%で残部が実
    質的にFeからなる加工性に優れたFe基合金急冷
    凝固材料。
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