JP3388418B2 - 伸線加工性に優れた高炭素鋼線材または鋼線の製造方法 - Google Patents
伸線加工性に優れた高炭素鋼線材または鋼線の製造方法Info
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Description
線材または鋼線の製造方法に関するものである。本発明
において、製品としての線材とは鋼片を線材に圧延後に
直接熱処理を施して伸線加工用とした線材を意味し、製
品としての鋼線とは伸線加工前または熱間圧延後に、伸
線加工に供すべく熱処理を施した鋼線、および熱間圧延
後冷間加工により第1次引抜加工を施した後に、第2次
引抜加工用として熱処理を施した鋼線を意味する。
の用途に応じて、伸線加工されるが、この伸線加工の前
に、線材または鋼線を予め伸線加工に適した状態にして
おく必要がある。従来、高炭素鋼線材または鋼線に関し
ては、伸線加工前に組織を均一で微細なパーライトと少
量の初析フェライトの混合組織にする必要からパテンテ
ィングと呼ばれる線材または鋼線独特の熱処理が施され
る。これは線材または鋼線をオーステナイト化温度に加
熱した後、適度な冷却速度で冷却して、パーライト変態
を完了させて微細パーライトと少量の初析フェライトの
混合組織にする熱処理方法である。しかし、パーライト
組織では伸線加工工程において高減面率における延性の
劣化、捻回試験での割れの発生(以下デラミネーション
と称する)が問題となっている。
の製造方法では、900〜1100℃の範囲に加熱した
後、線材に圧延し、得られた線材を850〜575℃の
間を100℃/sec以上の冷却速度で冷却し、次いで
450〜500℃の温度範囲に、一定時間以上保定する
ことにより、ベイナイト線材とする熱処理を行ってお
り、線材組織をベイナイト組織にすることにより優れた
伸線加工性が得られることを特徴としている。
るために必要な冷却速度に関しては、それを実現するた
めの適正な冷却媒体に対する線径と冷媒温度の関係は明
確にされていない。
線の熱処理工程において、前記の如き従来技術に関する
問題点を生じない伸線加工性に優れた高炭素鋼線材また
は鋼線の製造方法を提供することを課題とする。
発明に従い特定量のC、Mn、Siを含み、さらに必要
に応じてCr、Ti、Cu、Ni、Mo、Nb、V、
B、Caのいずれか1種以上を含み、P、SおよびAl
量の上限値が制限された化学組成からなる鋼片を熱間圧
延した後の線材の冷却にあたり、或いはオーステナイト
化温度に加熱後の前記化学組成からなる鋼線の熱処理に
おいて、カリウム硝酸塩系またはナトリウム硝酸塩系塩
類を単独または複合して、350℃以上500℃を超え
ない温度範囲で線径により定まる一定温度以下に加熱溶
融してなり、かつガス体による攪拌下にある溶融塩に浸
漬し、この温度範囲に一定時間以上保定することによ
り、ベイナイト線材もしくは鋼線が安定的に製造可能に
なることにより解決される。
記のとおりである。 (1)重量%で C:0.80〜0.90%、 Si:0.15〜1.50%、 Mn:0.10〜1.00% を含有し、合金成分としてさらに Ti:0.01〜0.20%、 Cu:0.01〜1.00%、 Ni:0.01〜1.00%、 Mo:0.01〜0.50%、 Nb:0.005〜0.20%、 V:0.005〜0.20%、 B:0.005〜0.01%、 Ca:0.001〜0.05% の1種以上を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.003%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
組成の鋼片を線材に圧延後、1100〜755℃の温度
範囲から、350℃以上500℃を超えない温度範囲で
下記式(1)で定める温度T1 に加熱溶融され、かつガ
ス体による攪拌下にある硝酸塩系溶融塩に浸漬し、この
温度範囲に、ベイナイト変態が開始しない範囲内でまた
はベイナイト変態開始後でかつベイナイト変態終了前の
範囲内で、一定時間保定した後、昇温し、完全にベイナ
イト変態が終了するまで保定することを特徴とする伸線
加工性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
れた高炭素鋼線材の製造方法。 (3)前項1または2記載の出発鋼片を線材に圧延後、
1100〜755℃の温度範囲から、350℃以上50
0℃を超えない温度範囲で下記式(1)で定める温度T
1 に加熱溶融され、かつガス体による攪拌下にある硝酸
塩系溶融塩に浸漬し、この温度範囲に、1秒以上、かつ
ベイナイト変態が開始しない範囲内で下記式(2)で定
める時間X秒以下保定した後、10℃以上、600−T
1 (T1:冷却後の保定温度)℃以下昇温し、完全にベ
イナイト変態が終了するまで保定することを特徴とする
伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
1100〜755℃の温度範囲から、350℃以上50
0℃を超えない温度範囲で下記式(1)で定める温度T
1 に加熱溶融され、かつガス体による攪拌下にある硝酸
塩系溶融塩に浸漬し、この温度範囲に、ベイナイト変態
開始後、ベイナイト変態が終了する以前、すなわち下記
式(3)で定める時間Y秒以下保定した後、10℃以
上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇
温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定するこ
とを特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製造
方法。
組成の鋼線を1100〜755℃の加温温度範囲から、
350℃以上500℃を超えない温度範囲で下記式
(1)で定める温度T1 に加熱溶融され、かつガス体に
よる攪拌下にある硝酸塩系溶融塩に浸漬し、この温度範
囲に、ベイナイト変態が開始しない範囲内でまたはベイ
ナイト変態開始後でかつベイナイト変態終了前の範囲内
で、一定時間保定した後、昇温し、完全にベイナイト変
態が終了するまで保定することを特徴とする伸線加工性
に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。
れた高炭素鋼鋼線の製造方法。 (7)前項5または6記載の出発鋼線を1100〜75
5℃の加熱温度範囲から、350℃以上500℃を超え
ない温度範囲で下記式(1)で定める温度T1に加熱溶
融され、かつガス体による攪拌下にある硝酸塩系溶融塩
に浸漬し、この温度範囲に、1秒以上、かつベイナイト
変態が開始しない範囲内で下記式(2)で定める時間X
秒以下保定した後、10℃以上、600−T1 (T1 :
冷却後の保定温度)℃以下昇温し、完全にベイナイト変
態が終了するまで保定することを特徴とする伸線加工性
に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。
5℃の加熱温度範囲から、350℃以上500℃を超え
ない温度範囲で下記式(1)で定める温度T1に加熱溶
融され、かつガス体による攪拌下にある硝酸塩系溶融塩
に浸漬し、この温度範囲に、ベイナイト変態開始後、ベ
イナイト変態が終了する以前、すなわち下記式(3)で
定める時間Y秒以下保定した後、10℃以上、600−
T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇温し、完全に
ベイナイト変態が終了するまで保定することを特徴とす
る伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。
べる。出発鋼片および鋼線の化学組成の限定理由は次の
とおりである。一次伸線性が著しく低下するのはCの添
加量が0.80wt%未満の時であるため、下限を0.
80wt%とするが、0.90wt%を超えて添加する
と中心偏析が生じるので上限を0.90wt%とした。
える。またSiは鋼を固溶強化する元素であるととも
に、鋼線のリラクセーションロスを低減できる元素であ
る。しかし、スケール生成量を減少させメカニカルデス
ケーリング性を悪くするほか、線材のボンデ潤滑性をや
や低下させる。そのためSiの上限は1.50wt%と
した。
える。またMnは鋼に固溶して強化する元素であるが、
添加量を増加させると線材中心部において偏析を生じや
すくなる。偏析部は焼入性が向上し変態終了時間が長時
間側にずれるため、未変態部がマルテンサイトとなり伸
線加工中の断線につながる。そこでMnの上限は1.0
wt%とした。
i、Cu、Ni、Mo、Nb、V、B、Caのいずれか
1種以上を含み得る。本発明のような過共析鋼の場合、
パテンティング後の組織においてセメンタイトのネット
ワークが発生しやすくセメンタイトの厚みのあるものが
析出しやすい。本発明の鋼において高強度高延性を実現
するためには、セメンタイトネットワークや厚いセメン
タイトをなくす必要がある。Crはこのようなセメンタ
イトの異常部の出現を抑制し、さらにパーライトを微細
にする効果を有するため、必要に応じて添加することが
望ましい。従って添加時の下限はその効果の期待できる
0.10wt%である。しかし、多量の添加は熱処理後
のフェライト中の転位密度を上昇させるため引き抜き加
工後の極細線の延性を著しく害することになる。従っ
て、上限を延性を害することのない1.00wt%とす
る。
炭素鋼のオーステナイト結晶粒の調整作用に利用されて
いる。上限はTi介在物の増加を抑えることと鋼中への
固溶炭窒化物の生成を抑えるため0.20wt%とし
た。添加時の下限はこれらの作用が効果的に現れる0.
01wt%である。Cuは母材の強度および靱性を向上
させる元素である。この効果を得るための最低必要な量
は0.01wt%である。しかしながら、Cu量が多す
ぎると熱間圧延時に割れが発生し製造困難を招くので上
限は1.00wt%とした。
元素である。この効果を得るための最低必要な量は0.
01wt%である。しかしながら、Ni量が多すぎると
逆に耐食性の劣化を招くので上限は1.00wt%とし
た。Moは母材の強度および靱性を向上させる元素であ
る。この効果を得るための最低必要な量は0.01wt
%である。しかしながら、Mo量が多すぎると逆に溶接
性の劣化を招くので上限は0.50wt%とした。
抑制し、結晶粒を微細化し、高強度鋼が得られる。この
効果を得るための最低必要な量は0.005wt%であ
る。しかしながら、Nb量が多すぎると逆に微細組織の
生成が妨げられるので上限0.20wt%とした。Vは
γ粒界におけるフェライトの生成を抑制し、結晶粒を微
細化し、高強度鋼が得られる。この効果を得るための最
低必要な量は0.005wt%である。しかしながら、
V量が多すぎると逆に微細組織の生成が妨げられるので
上限は0.20wt%とした。
制し、結晶粒を微細化し、高強度鋼が得られる。この効
果を得るための最低必要な量は0.005wt%であ
る。しかしながら、B量が多すぎると逆に微細組織の生
成が妨げられるので上限は0.01wt%とした。Ca
は鋼中介在物であるMnSの形態を制御し、耐遅れ破壊
特性を向上させる効果があり、この効果を得るための最
低必要な量は0.001wt%である。しかしながら、
Ca量が多すぎると逆に大型介在物が生成し、遅れ破壊
特性を劣化させるので上限は0.05wt%とした。
性を劣化させるため、できる限り低く抑える必要があ
る。Pの上限は0.02%、Sの上限は0.01%とし
た。極細線の延性を低下させる原因としてはAl
2 O3 、MgO−Al2 O3 等のAl2 O3 を主成分と
する非金属介在物の存在がある。従って、本発明におい
ては非延性介在物による延性低下を避けるためAl含有
量を0.003wt%以下とする。
述べる。線材圧延後または鋼線加熱後の冷却開始温度
(T0 )は変態後の組織に影響を与える。下限は平衡変
態開始温度であるオーステナイト変態点(755℃)以
上とした。上限はオーステナイト結晶粒の異常成長を抑
えるために1100℃とした。
の塩では線材の腐食が著しく、好ましくないためであ
る。また塩の融点が高くなると溶融塩の粘性が大きくな
り、対流が抑制されることによって塩の熱伝導性が低下
する。この点において硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等
の硝酸塩は融点が400℃以下であり、これらの塩を単
独または複合して添加すれば400℃以下の範囲で、融
点を調整することができる。
0℃と定めた理由は、350℃が上部ベイナイト組織生
成の下限温度であり、他方500℃が上部ベイナイト組
織生成の上限温度であるからである。350℃以上50
0℃を超えない温度範囲での溶融塩温度の上限は、線材
および鋼線の線径に依存する。ベイナイト組織生成に
は、臨界冷却速度60℃/sec以上の冷却速度を得る
必要がある。このため線径が太い場合は溶融塩温度を低
くし、冷却速度を臨界冷却速度以上にする必要があるの
で、溶融塩の加熱温度の上限を下記(1)式で定める温
度T1 以下とした。
冷オーステナイト組織が得られる。その後温度を上昇さ
せることにより出現するベイナイト組織は、等温変態に
比較し、セメンタイトの析出が粗くなる。このため2段
変態させた上部ベイナイト組織は軟質化する。
の温度範囲での必要な過冷時間(t 1 )は、過冷オース
テナイト組織を生成するのに必要な時間以上で、かつ上
限はベイナイト変態が開始する以前までとする。好まし
くは1秒以上で、かつ下記式(2)で示すX秒以下とす
る。 X=exp(16.03−0.0307×T1 ) ・・・(2) T1 :冷却後の保定温度 過冷後2段変態させる場合の昇温温度幅(ΔT)は、下
限を2段変態による軟質化効果が現れる10℃とし、上
限は昇温後の温度を600℃以下にする必要があるため
下記式(4)に示すΔT以下とした。
する。混合2段変態の場合は、350〜500℃の温度
範囲での必要な過冷却時間(t1 )は、ベイナイト変態
開始後下記式(3)で示すY秒以下とする。 Y=exp(19.83−0.0329×T1 ) ・・・(3) T1 :冷却後の保定温度 過冷後、2段変態させる場合の昇温温度幅(ΔT)は完
全2段変態の場合と同じ様に、下限を2段変態による軟
質化効果が現れる10℃とし、上限は昇温後の温度を6
00℃以下にする必要があるため下記式に示すΔT以下
とする。
発明鋼の例、EおよびFは比較鋼の例である。E鋼はC
量が上限以上、F鋼はMn量が上限以上である。
0×500mm鋳片とし、さらに分塊圧延により122
mm角断面の鋼片を製造した。これらの鋼片を表2に示
す直径の線材に圧延し、DLP(Direct Lea
d Patenting)冷却を行った。これらの線材
を平均減面率17%で1.00mmφまで伸線し引張試
験、捻回試験を行なった。
用い、JISZ2241記載の方法で行った。捻回試験
は試験片長さ100d+100に切断後、チャック間距
離100d、回転速度10rpmで破断するまで回転さ
せた。dは鋼線の直径を表わす。このようにして得られ
た特性値を表3(表2のつづき)に示す。
o.5、6、No.8〜10は比較例である。No.5
は冷却速度が遅すぎたためにパーライト組織が生成し、
伸線加工性が低下し、伸線途中で断線が生じた。No.
6は昇温温度が低すぎたために2段変態させたベイナイ
ト組織が生成せず、伸線加工性が低下し、伸線途中で断
線が生じた。
すぎたために、ベイナイト組織が生成せず、伸線加工性
が低下し、伸線途中で断線が生じた。No.9はC量が
高すぎたため初析セメンタイトが発生し、伸線加工性が
低下した。
析に伴うミクロマルテンサイトが発生し、伸線加工性が
低下した。実施例2表4に供試鋼の化学成分を示す。表
4のA、B、Dは本発明鋼の例、EおよびFは比較鋼の
例である。
限以上である。これらの鋼線を表5に示す条件でオース
テナイト化、熱処理した後、平均減面率17%で1.0
0mmφまで伸線し引張試験、捻回試験を行った。引張
試験はJISZ2201の2号試験を用い、JISZ2
241記載の方法で行った。
切断後、チャック間距離100d、回転速度10rpm
で破断するまで回転させた。dは鋼線の直径を表わす。
このようにして得られた特性値を表6(表5のつづき)
に示す。No.1、2、4は本発明例である。No.
5、6、No.8〜10は比較例である。
ライト組織が生成し、伸線加工性が低下し、伸線途中で
断線が生じた。No.6は昇温温度が低すぎたために2
段変態させたベイナイト組織が生成せず、伸線加工性が
低下し、伸線途中で断線が生じた。
ベイナイト組織が生成せず、パーライト組織が生成した
ために伸線加工性が低下し、伸線途中で断線が生じた。
No.9はC量が高すぎたため初析セメンタイトが発生
し、伸線加工性が低下した。No.10はMn量が高す
ぎたため中心偏析に伴うミクロマルテンサイトが発生
し、伸線加工性が低下した。
造された線材または鋼線は、従来法にくらべてより安定
的にベイナイト組織の生成が可能である。従って、本発
明によれば伸線加工性に優れたベイナイト線材または鋼
線を安定して提供し得る。
Claims (8)
- 【請求項1】 重量%で C:0.80〜0.90%、 Si:0.15〜1.50%、 Mn:0.10〜1.00% を含有し、合金成分としてさらに Ti:0.01〜0.20%、 Cu:0.01〜1.00%、 Ni:0.01〜1.00%、 Mo:0.01〜0.50%、 Nb:0.005〜0.20%、 V:0.005〜0.20%、 B:0.005〜0.01%、 Ca:0.001〜0.05% の1種以上を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.003%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
組成の鋼片を線材に圧延後、1100〜755℃の温度
範囲から、350℃以上500℃を超えない温度範囲で
下記式(1)で定める温度T1 に加熱溶融され、かつガ
ス体による攪拌下にある硝酸塩系溶融塩に浸漬し、この
温度範囲に、ベイナイト変態が開始しない範囲内でまた
はベイナイト変態開始後でかつベイナイト変態終了前の
範囲内で、一定時間保定した後、昇温し、完全にベイナ
イト変態が終了するまで保定することを特徴とする伸線
加工性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。 T1 ≦950−100×D ・・・(1) 但し、D:線材径(mmφ) - 【請求項2】 前記鋼片の組成がさらに Cr:0.10〜1.00% 含有することを特徴とする請求項1記載の伸線加工性に
優れた高炭素鋼線材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の出発鋼片を線材
に圧延後、1100〜755℃の温度範囲から、350
℃以上500℃を超えない温度範囲で下記式(1)で定
める温度T1 に加熱溶融され、かつガス体による攪拌下
にある硝酸塩系溶融塩に浸漬し、この温度範囲に、1秒
以上、かつベイナイト変態が開始しない範囲内で下記式
(2)で定める時間X秒以下保定した後、10℃以上、
600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇温
し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定すること
を特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製造方
法。 T1 ≦950−100×D ・・・(1) 但し、D:線材径(mmφ) X=exp(16.03−0.0307×T1 ) ・・・(2) T1 :冷却後の保定温度(℃) - 【請求項4】 請求項1または2記載の出発鋼片を線材
に圧延後、1100〜755℃の温度範囲から、350
℃以上500℃を超えない温度範囲で下記式(1)で定
める温度T1 に加熱溶融され、かつガス体による攪拌下
にある硝酸塩系溶融塩に浸漬し、この温度範囲に、ベイ
ナイト変態開始後、ベイナイト変態が終了する以前、す
なわち下記式(3)で定める時間Y秒以下保定した後、
10℃以上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)
℃以下昇温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保
定することを特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼線
材の製造方法。 T1 ≦950−100×D ・・・(1) 但し、D:線材径(mmφ) Y=exp(19.83−0.0329×T1 ) ・・・(3) T1 :冷却後の保定温度(℃) - 【請求項5】 重量%で C:0.80〜0.90%、 Si:0.15〜1.50%、 Mn:0.10〜1.00% を含有し、合金成分としてさらに Ti:0.01〜0.20%、 Cu:0.01〜1.00%、 Ni:0.01〜1.00%、 Mo:0.01〜0.50%、 Nb:0.005〜0.20%、 V:0.005〜0.20%、 B:0.005〜0.01%、 Ca:0.001〜0.05% の1種以上を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.003%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
組成の鋼線を1100〜755℃の加温温度範囲から、
350℃以上500℃を超えない温度範囲で下記式
(1)で定める温度T1 に加熱溶融され、かつガス体に
よる攪拌下にある硝酸塩系溶融塩に浸漬し、この温度範
囲に、ベイナイト変態が開始しない範囲内でまたはベイ
ナイト変態開始後でかつベイナイト変態終了前の範囲内
で、一定時間保定した後、昇温し、完全にベイナイト変
態が終了するまで保定することを特徴とする伸線加工性
に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。 T1 ≦950−100×D ・・・(1) 但し、D:鋼線径(mmφ) - 【請求項6】 前記鋼線の組成がさらに Cr:0.10〜1.00% 含有することを特徴とする請求項5記載の伸線加工性に
優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。 - 【請求項7】 請求項5または6記載の出発鋼線を11
00〜755℃の加熱温度範囲から、350℃以上50
0℃を超えない温度範囲で下記式(1)で定める温度T
1 に加熱溶融され、かつガス体による攪拌下にある硝酸
塩系溶融塩に浸漬し、この温度範囲に、1秒以上、かつ
ベイナイト変態が開始しない範囲内で下記式(2)で定
める時間X秒以下保定した後、10℃以上、600−T
1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇温し、完全にベ
イナイト変態が終了するまで保定することを特徴とする
伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。 T1 ≦950−100×D ・・・(1) 但し、D:鋼線径(mmφ) X=exp(16.03−0.0307×T1 ) ・・・(2) T1 :冷却後の保定温度(℃) - 【請求項8】 請求項5または6記載の出発鋼線を11
00〜755℃の加熱温度範囲から、350℃以上50
0℃を超えない温度範囲で下記式(1)で定める温度T
1 に加熱溶融され、かつガス体による攪拌下にある硝酸
塩系溶融塩に浸漬し、この温度範囲に、ベイナイト変態
開始後、ベイナイト変態が終了する以前、すなわち下記
式(3)で定める時間Y秒以下保定した後、10℃以
上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇
温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定するこ
とを特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼線の製造
方法。 T1 ≦950−100×D ・・・(1) 但し、D:線材径(mmφ) Y=exp(19.83−0.0329×T1 ) ・・・(3) T1 :冷却後の保定温度(℃)
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