JPH0547303U - ロッカブラケット構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロッカブラケット上面の加工性を悪化させる
ことなく、バルブギャップ調整が容易にできるロッカブ
ラケット構造を提供すること。 【構成】 シリンダヘッド２上部に、ロッカアーム６を
挿通させたシャフト５を支持するための枠状のブラケッ
ト体３を設け、上記ロッカアーム６の一端にプッシュロ
ッド７を他端にバルブ９を当接させるようにしたロッカ
ブラケット構造において、上記ブラケット体３の上縁部
を、ロッカアーム６とバルブ９との間のバルブギャップ
部１１を露出させるべく、プッシュロッド７側が高くバ
ルブ９側が低くなるように斜めにカットしたことを特徴
としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ロッカアームを支持するためのロッカブラケット構造に係り、特に 、バルブギャップ調整の簡易化を図ったロッカブラケット構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ＯＨＶ型エンジンの要部側断面図を図５に示す。このエンジンａは、シリンダ ヘッドｂの下方に位置するカムシャフトｃの回転により、タペットｄ，プッシュ ロッドｅを介してロッカアームｆが揺動し、バルブｇが上下動するようになって いる。

【０００３】 上記ロッカアームｆは、クランク軸と併行に設けられたロッカシャフトｈに軸 支されている。このロッカシャフトｈは、図６(a) に示すように、シリンダヘッ ド上部に取り付けられた枠状のロッカブラケットｉに掛け渡されている。この構 成（実開昭64-27452号など）によれば、図６(b) に示す別体式ロッカブラケット ｊよりもロッカシャフトｈの支持剛性が高まり、耐久性・信頼性が向上する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この種のＯＨＶ型エンジンａにあっては、ロッカアームｆとバルブステムｎと の間のバルブギャップｏを定期的にシックネスゲージを用いて調整する必要があ るが、上述のように枠状のロッカブラケットｉを用いるとその枠の側壁によりシ ックネスゲージの挿入性が極めて悪いという問題が生じる。

【０００５】 この対策として、図３および図４に示すように、ロッカシャフトｈの支持部分 ｋをロッカブラケットｉの上縁より上方へ突出させることにより、バルブギャッ プ部ｏをロッカブラケットｉの上縁より上方に位置させる技術が考えられる。し かし、これではロッカブラケットｉの上面にロッカシャフト支持部分ｋが突出し てしまうため、ロッカブラケット上面ｌ（ヘッドカバー取付面）の加工性が悪い という問題が生じる。

【０００６】 以上の事情を考慮して創案された本考案の目的は、ロッカブラケット上面の加 工性を悪化させることなく、バルブギャップ調整が容易にできるロッカブラケッ ト構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、シリンダヘッド上部に、ロッカアームを 挿通させたシャフトを支持するための枠状のブラケット体を設け、上記ロッカア ームの一端にプッシュロッドを他端にバルブを当接させるようにしたロッカブラ ケット構造において、上記ブラケット体の上縁部を、ロッカアームとバルブとの 間のバルブギャップ部を露出させるべく、プッシュロッド側が高くバルブ側が低 くなるように斜めにカットして構成されている。

【０００８】

【作用】

ブラケット体の上縁部を斜めにカットすることにより、ロッカアームとバルブ との間のバルブギャップ部がロッカブラケットの上縁より上方に露出するので、 このバルブギャップ部に容易にシックネスゲージを挿入することができ、バルブ ギャップ調整が容易になる。

【０００９】 また、このロッカブラケット構造は、枠状のブラケット体の上縁を斜めに切削 カットすることによって得られるので、低コストでしかも容易に製造できる。

【００１０】

【実施例】

以下に本考案の一実施例を添付図面に基づいて説明する。

【００１１】 図１にＯＨＶ型エンジン１の要部側断面図を示す。図示するように、シリンダ ヘッド２の上部に枠状のブラケット体３が取り付けられ、そのブラケット体３の 上部にヘッドカバー４が取り付けられている。上記ブラケット体３は、図６の部 材ｉの如くエンジン上方からみて枠状に形成されており、その対抗面にクランク 軸と併行にロッカシャフト５が掛け渡されている。このシャフト５にはロッカア ーム６が揺動自在に挿通されている。この構成によればロッカシャフト５の支持 剛性が高まり、耐久性・信頼性が向上する。

【００１２】 ロッカアーム６の一端には、シリンダヘッド２の下方に位置するカム（図示せ ず）の回転により昇降するプッシュロッド７が当接するようになっている。詳し くは、プッシュロッド７は、ロッカアーム６の一端にネジ込まれた調節ボルト８ を介して、ロッカアーム６に当接する。他方、ロッカアーム６の他端には、吸排 気バルブ９のステム１０部が当接するようになっている。よって、カムの回転に よりプッシュロッド７が昇降すると、ロッカアーム６が揺動してバルブ９が開閉 することになる。

【００１３】 上記枠状ブラケット体３は、図１に示すように、その上縁部が側面からみてプ ッシュロッド７側が高くバルブ９側が低くなるように斜めに（角度θ）成形され ている。そして、ロッカアーム６とバルブステム１０との間のバルブギャップ１ １部が、ブラケット体３の上縁部より上方に位置されている。

【００１４】 上記枠状ブラケット体３には、下方のシリンダヘッド２の吸気ポート１３と連 続するように延長吸気ポート１４が上向きに形成されている。図２は図１のＡ− Ａ線断面図である。図中１３は吸気ポート，１４は延長吸気ポート，１５は排気 ポート，２はシリンダヘッド，３は枠状ブラケット体，４はヘッドカバーである 。

【００１５】 以上の構成からなる本実施例の作用について述べる。

【００１６】 図１に示すように、枠状ブラケット体３の上縁部が直線的に斜めに成形され、 ロッカアーム６とバルブステム１０との間のバルブギャップ１１部がブラケット 体３の上縁より上方に位置しているので、ヘッドカバー４さえ取り外せばこのバ ルブギャップ１１部に矢印方向１２から容易にシックネスゲージを挿入すること ができ、バルブギャップ１１調整が極めて容易になる。ここで、上記枠状ブラケ ット体３は、四角筒状の原料部材を所定角度θだけ直線状に切削することで容易 に製造可能であるので、加工性が高く容易に製造できる。

【００１７】 また、シリンダヘッド２に形成された吸気ポート１３が枠状ブラケット体３に 形成された延長吸気ポート１４によって上方へ延長されるので、実質的な吸気ポ ート長（１３＋１４）が上向きに長くなり、慣性過給効果により吸気効率が高ま る。

【００１８】 また、枠状のブラケット体３と延長吸気ポート１４とが一つの部品で兼用され ているので、これらが別々に取り付けられたエンジンと比べるとシリンダ２ヘッ ド廻りがコンパクトになり、吸気ポート１３廻りの設計自由度が向上する。具体 的には図５に示す従来のエンジンａは枠状ブラケット体ｉと吸気チャンバｐとを 別々に並設していたので、これらが隣接する部分のシール座幅寸法ｍが不必要に 大きくなり、吸気ポートｋの面積が圧迫されシリンダヘッドｂの幅寸法が大型化 していたのに対し、本実施例のエンジン１では枠状ブラケット体３に延長吸気ポ ート１４を一体的に組み込んだのでシール座幅寸法１６が小さくなり、吸気ポー ト１３の面積の縮小化およびシリンダヘッド２の幅寸法の大型化の問題が解決す る。

【００１９】 なお、関連する技術として実開昭52-162339 号に開示されたものが知られてい るが、この技術は本願の図６(b) に示す別体型のロッカブラケット構造であり、 ロッカシャフト５の支持剛性の点で本願考案より劣る。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係るロッカブラケット構造によれば次の如き優れ た効果を発揮できる。

【００２１】 (1) 枠状のブラケット体の上縁部を斜めにカットすることにより、ロッカアーム とバルブステムとの間のバルブギャップ部をブラケット体の上縁部より上方に露 出させたので、バルブギャップ調整時にそのバルブギャップ部にシックネスゲー ジを容易に挿入することができ、バルブギャップ調整が容易になる。

【００２２】 (2) ブラケット体の上縁部を直線的に斜めにカットすることで製造可能であるの で、加工性が高く安価に製造できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すロッカブラケット構造
を適用したＯＨＶ型エンジンの要部側断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線矢視断面図である。

【図３】本考案者が先に開発したロッカブラケット構造
を適用したＯＨＶ型エンジンの要部側断面図である。

【図４】図３に示すのロッカブラケット構造の斜視図で
ある。

【図５】従来のロッカブラケット構造を適用したＯＨＶ
型エンジンの要部側断面図である。

【図６】従来のロッカブラケット構造を示す平面図であ
り、(a) は一体型ロッカブラケット，(b) は別体型ロッ
カブラケットを示す。

【符号の説明】

２ シリンダヘッド ３ 枠状のブラケット体 ５ シャフト ６ ロッカアーム ７ プッシュロッド ９ バルブ １１ バルブギャップ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダヘッド上部に、ロッカアームを
   挿通させたシャフトを支持するための枠状のブラケット
   体を設け、上記ロッカアームの一端にプッシュロッドを
   他端にバルブを当接させるようにしたロッカブラケット
   構造において、上記ブラケット体の上縁部を、ロッカア
   ームとバルブとの間のバルブギャップ部を露出させるべ
   く、プッシュロッド側が高くバルブ側が低くなるように
   斜めにカットしたことを特徴とするロッカブラケット構
   造。