JPH0546410Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、血管に挿入されるカテーテルの後端
を圧力測定用トランスデユーサに接続し、その圧
電変換信号から血圧値を測定するようになつた観
血式血圧測定装置に関するものである。

〔従来の技術〕

この種の血圧測定装置においては、圧力測定用
トランスデユーサの大気開放点が被検者の圧力基
準点、則ち心臓（三尖弁）の高さになるように位
置調整した状態で、トランスデユーサの受圧面を
大気に開放してゼロ調整を行つた後に血圧測定を
行つている。

しかしながら、被検者の体位変動により高さが
変動すると、トランスデユーサに対するカテーテ
ル内の血液のヘツドが変動し、したがつて中心静
脈圧のように通常数mmHgの血圧変化に対して
0.73mmHg／cm程度である高さ変化が無視できな
い程度に測定値に影響する問題がある。このた
め、特に長時間に亙り測定する場合、トランスデ
ユーサの大気開放点を圧力基準点の高さに再調整
することなしには、安定したモニタは困難であつ
た。

そこで、本出願人は、特開平２−19132により、
血圧測定用カテーテルを、先端が開口した血圧測
定チユーブと、先端が閉鎖されて液体を充填され
た高さ補正用液体充填チユーブと、このチユーブ
の先端部分との隣接面に液体に対しては非透過性
で空気に対しては透過性の隔膜を備えると共に、
先端を閉鎖され、かつ測定時に後端が大気に開放
されている高さ補正用大気開放チユーブとの少な
くとも３本のチユーブより構成し、血圧測定チユ
ーブの後端の基台に取付けられた圧力測定用トラ
ンスデユーサの出力信号から血圧値を検出させ、
さらに液体充填チユーブの後端の圧力測定用トラ
ンスデユーサで隔膜の高さ位置に対応するヘツド
値を検出して血圧値の補正を行わせる観血式血圧
測定装置を提案した。

〔考案が解決しようとする課題〕

これにより、液体充填チユーブの先端を圧力基
準点に位置付けして、測定開始時の圧力トランス
デユーサの高さ調整を不要にし、その後の高さ変
動も自動的に補償されるが、隔膜により高さ測定
の応答が遅いという問題と、隔膜で堰き止められ
た液体及び液体充填チユーブの膨張係数の相違に
より体温等の温度変化に起因する体積変化により
測定誤差を生じさせる問題が残されていた。特
に、中心静脈圧等の低い圧力を測定する場合、そ
れらの影響を無視できない。

よつて、本考案は、体温の影響を蒙ることな
く、被検者の体位変動の影響を高精度に補正でき
る冒頭に述べた類の観血式血圧測定装置を提供す
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、血圧測定用カテーテルが、先端が開
口し、後端が血圧測定用トランスデユーサに接続
した血圧測定チユーブと、先端が閉鎖されて液体
を充填され、後端が圧力測定用トランスデユーサ
に接続した高さ補正用液体充填チユーブと、先端
を閉鎖され、後端が大気に開放されている高さ補
正用大気開放チユーブとの少なくとも３本のチユ
ーブで各周面を隣接させて構成すると共に、液体
充填チユーブ及び大気開放チユーブの先端部分で
充填液体を大気に接触させ、さらに血圧測定用ト
ランスデユーサ及び圧力測定用トランスデユーサ
を共通の基台に取付けて血圧測定用トランスデユ
ーサの出力信号から血圧値を検出して表示もしく
は記録させる血圧測定用回路部を設けると共に、
圧力測定用トランスデユーサの出力信号からこの
トランスデユーサに対する充填液の大気に接触し
た先端面の高さ位置に対応するヘツド値を検出し
て血圧値の補正を行う高さ補正手段を付属させた
観血式血圧測定装置において、前述の目的を達成
するために、液体充填チユーブ及び大気開放チユ
ーブの先端部分の互の隣接面に、大気開放チユー
ブを通して充填液体を大気に接触させる小孔を形
成したことを特徴としている。

製作を容易にするために、小孔は、液体充填チ
ユーブ及び大気開放チユーブを１本のチユーブの
折返しで構成することにより、この折返し部分で
双方のチユーブを連通させて形成することが考え
られる。

〔作用〕

測定に際しては、血圧測定用カテーテルの液体
充填チユーブ先端を圧力基準点の高さに位置付け
する。これにより、液体充填チユーブは、その先
端面が小孔及び大気開放チユーブを通して大気に
接触するために、圧力測定用トランスデユーサに
対するヘツドに相当する圧力を発生し、したがつ
て圧力基準点の高さ変動量に対応してヘツド値も
変動し、高さ補正手段により液体充填チユーブが
呈するヘツドに対応した血圧値が補正される。つ
まり、測定開始時における血圧測定用チユーブの
先端開口の圧力基準点に対する高さずれ及びその
後の体位変化に対応した補正が行われる。

これらのカテーテルチユーブは通常細いため
に、その先端部の小孔も対応した大きさとなり、
液体は隔膜を介さずに小孔自体又はその前後のチ
ユーブに表面張力で保持される。そして、液体又
は液体充填チユーブが測定時の体温等による温度
変化で体積変化すると、その先端面は拘束される
ことなく変位し、圧力測定用トランスデユーサの
検知する圧力値はその変位分の高さに相当する圧
力しか変化しない。

〔実施例〕

図は本考案の一実施例による観血式血圧測定装
置を示す。

同図において、１０は可とう性で直線状の通常
の管径を有する血圧測定用カテーテルである。こ
のカテーテル１０は、先端が開口した血圧測定チ
ユーブ１１と、このチユーブと先端位置が揃い、
かつ例えば生食水９を充填された液体充填チユー
ブ１２と、後端がカテーテル１０から側方へ曲げ
られて大気に開放されている大気開放チユーブ１
３とで形成されている。液体充填チユーブ１２及
び大気開放チユーブ１３は、合成樹脂性で内径が
例えば0.5mmの１本のチユーブを折返し、その折
返しで圧縮される内側部分を切欠いて折返し部分
が潰れないで小孔１４を形成するように確実に連
通させ、その切欠部分を溶着して作製されてい
る。

血圧測定チユーブ１１の後端は三方弁１５の一
方の入口１５ａを介して圧力トランスデユーサ１
８に接続し、液体充填チユーブ１２は三方弁１６
の一方の入口１６ａを通して高さ補正用の圧力ト
ランスデユーサ１９へ接続している。これらのト
ランスデユーサ１８，１９は、共通の基台１７に
取付けられている。トランスデユーサ１８，１９
には、三方弁１５，１６のレバー１５ｃ，１６ｃ
の手動操作により受圧面を他方の入口１５ｂ，１
６ｂを通して大気に開放させ、オートゼロスイツ
チ操作をすると自動的にその時点の圧電変換値を
基準とする自動平衡動作を行うオートゼロ回路２
１，２２と、オートゼロ回路２１の測定時の出力
信号からオートゼロ回路２２の極性が±の出力信
号を減算する補正回路２３と、高さ補正された血
圧信号を処理してブラウン管２５に表示させ、か
つレコーダ２６に記録させる信号処理・出力回路
２４とより成る高さ補正回路付きの血圧測定用回
路部２０が後続している。

血圧測定用カテーテル１０は、胸部１の圧力基
準点（三尖弁）のできるだけ近くの血管２に通常
の方法で挿入されている。大気開放チユーブ１３
の後端は胸部１から導出された状態で大気に開放
されている。生食水９の先端面は丁度小孔１４で
大気に接触している。基台１７で入口１５ｂ，１
６ｂは同じ高さに揃つており、レバー１５ｃ，１
６ｃで入口１５ｂ，１６ｂを通してトランスデユ
ーサ１８，１９のそれぞれの受圧面を大気に開放
させて、スイツチ操作によりオートゼロ回路２
１，２２に自動平衡動作を行わせる。

次いで、レバー１５ｃ，１６ｃを原位置に戻す
ことにより血圧測定が開始される。この状態で
は、基台１７は胸部１よりも下方へ位置している
と、トランスデユーサ１９が血圧測定用カテーテ
ル１０の先端及びトランスデユーサ１８の入口１
５ｂ間のヘツドに相当する圧力を受圧して、オー
トゼロ回路２２から相応するレベルで符号が＋の
補正信号が出力される。一方、トランスデユーサ
１８が検出して圧電変換し、オートゼロ回路２１
で発生された血圧信号は補正回路２３において減
算され、レベルを減少された実際の血圧信号が信
号処理・出力回路２４に取込まれ、血圧データが
ブラウン管２５に表示され、かつレコーダ２６に
記録される。

この間、体位が変化することにより、カテーテ
ル１０のヘツドが初期の位置から変化すると、液
体充填チユーブ１２が連動することによりトラン
スデユーサ１９がこのヘツド変化に相当する圧力
変化を受圧して補正を行う。これにより、体位の
変化に影響を受けない高精度の血圧データがモニ
タされる。また、測定時に体温による温度上昇で
例えば生食水９が膨張すると、その先端面が変位
するだけで、圧力測定用トランスデユーサの検知
する圧力値はその高さ変位分に相当する圧力しか
変化しない。生食水９の充填時又は膨張により、
その先端が小孔１４の位置から僅かに前進して
も、チユーブ径自体が小さいために、生食水９は
その表面張力で保持される。

基台１７が胸部１の圧力基準点に調整されてい
る場合において、体位の変化により入口１５ｂ，
１６ｂが圧力基準点よりも上方へ位置すると、オ
ートゼロ回路２２から相応するレベルで符号が−
の補正信号が出力され、補正回路２３において実
際の血圧信号から減算されてそのレベルを増大さ
せる。

尚、生食水９の先端面を大気に接触させる小孔
は、先端がそれぞれ閉鎖された互に別体の液体充
填チユーブ及び大気開放チユーブの先端部分の隣
接面を穿孔して形成することもできる。この場合
も、小孔は小さなチユーブ内径により、おのずと
表面張力で液体を保持する大きさになるが、生食
水９の先端面が必ずしも丁度小孔に位置しなくて
も、通常は小さなチユーブ内径による表面張力で
保持される。また、本考案は、特開平２−19132
号公報に詳述してあるように、高さ補正手段に回
路部分を含まないように、図における血圧測定チ
ユーブ１１及び液体充填チユーブ１２に、専用の
トランスデユーサの代りに１個の差圧トランスデ
ユーサを後続させたり、或は血圧測定チユーブが
圧力基準点の位置よりも中心静脈圧測定位置に対
応する距離だけ後方へ位置したスワンガンツカテ
ーテルを用いる観血式血圧測定装置にも当然適用
される。

〔考案の効果〕

以上、本考案によれば少なくとも液体充填チユ
ーブの大気に接触した先端面を圧力基準点に位置
付けすることにより、測定開始時の圧力トランス
デユーサの高さ調整が不要になると共に、その後
の高さ変動も補償されるために、長時間に亙る血
圧モニタい際しても高精度の血圧データが得られ
る。しかも、液体充填チユーブの先端が液体隔膜
を介さずに直接大気に接触するために、応答性が
良く、速いもしくは振動性のい高さ変動に対して
十分補正ができる。さらに、体温等による温度上
昇に対しても、その先端面が変位するだけで圧力
測定用トランスデユーサの検知する圧力値の変化
は最少限に抑制される。特に中心静脈圧のように
絶対値の低い圧力のトレンドデータの精度が大幅
に向上する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例による観血式血圧測定装
置のカテーテル部分の断面図及び付属回路を示す
図である。 １０……カテーテル、１１……血圧測定チユー
ブ、１２……液体充填チユーブ、１３……大気開
放チユーブ、１４……小孔、１７……基台、１
８，１９……圧力トランスデユーサ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １） 血圧測定用カテーテルが、先端が開口し、
   後端が血圧測定用トランスデユーサに接続した
   血圧測定チユーブと、先端が閉鎖されて液体を
   充填され、後端が圧力測定用トランスデユーサ
   に接続した高さ補正用液体充填チユーブと、先
   端を閉鎖され、後端が大気に開放されている高
   さ補正用大気開放チユーブとの少なくとも３本
   のチユーブで各周面を隣接させて構成すると共
   に、液体充填チユーブ及び大気開放チユーブの
   先端部分で充填液体を大気に接触させ、さらに
   血圧測定用トランスデユーサ及び圧力測定用ト
   ランスデユーサを共通の基台に取付けて血圧測
   定用トランスデユーサの出力信号から血圧値を
   検出して表示もしくは記録させる血圧測定用回
   路部を設けると共に、圧力測定用トランスデユ
   ーサの出力信号からこのトランスデユーサに対
   する充填液の大気に接触した先端面の高さ位置
   に対応するヘツド値を検出して血圧値の補正を
   行う高さ補正手段を付属させた観血式血圧測定
   装置において、 液体充填チユーブ及び大気開放チユーブの先
   端部分の互の隣接面に、前記大気開放チユーブ
   を通して充填液体を大気に接触させる小孔を形
   成したことを特徴とする観血式血圧測定装置。 ２） 小孔が、液体充填チユーブ及び大気開放チ
   ユーブを１本のチユーブの折返しで構成するこ
   とにより、この折返し部分で前記双方のチユー
   ブを連通させて形成されていることを特徴とす
   る請求項１に記載の観血式血圧測定装置。