JPH0545014Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は電子線照射装置に関する。

（従来の技術） 周知のように電子線照射装置、たとえば走査型
の電子線照射装置は、図に示すように直流高電圧
発生装置１と、電子線加速装置２とによつて構成
され、両者は高圧ケーブル３によつて接続されて
いる。

直流高電圧発生装置１は、交流電源４の電圧を
電圧調整装置５によつて調整自在とし、調整され
た電圧を１次電圧とする変圧器６と、変圧器６の
出力を入力とする直流高電圧発生回路７とによつ
て主として構成されている。８はこれらを収納し
ている電源タンクである。電源タンク８内には絶
縁ガスが封入されている。

電子線加速装置２は、真空に保たれている加速
管１０と、加速管１０の加速電極にき電している
ブリーダ抵抗１１とによつて主として構成されて
いる。フイラメントから放出された電子は、加速
電極が作る電界によつて加速される。加速された
電子は走査管１２の金属箔を突き通つて大気中に
放出される。

加速管１０、ブリーダ抵抗１１はタンク１４内
に収納されている。タンク１４内には絶縁ガスが
封入されている。直流高電圧発生回路７の出力電
圧、すなわち加速電圧は、その出力端と、アース
との間に接続されている抵抗１５に流れる電流か
ら計測される。なお図では加速管１０のフイラメ
ントに給電する回路は省略してある。

ところで加速管１０内で電子流を発生させる
と、加速電圧が低下する。この場合はその加速電
圧を補正する必要があり、そのため従来では加速
電圧に対応する電圧を電圧変換器１６により検出
し、これと設定値Ｐとを、比較器１７によつて比
較するとともに、その比較結果に基づき制御回路
１８を介して、電圧調整装置５を調整して、加速
電圧を設定値Ｐに一致するように制御している。

（考案が解決しようとする問題点） しかしこのような加速電圧の補正動作には、あ
る程度の時間を必要とするため、その時間によつ
ては電子流の上昇時間が制限されることがある。
そのため電子線照射による生産効率が低下する欠
点があつた。

この考案は電子流が発生したことによつて低下
した加速電圧を、短時間で設定値に復帰させるこ
とを目的とする。

（問題点を解決するための手段） この考案は加速管の内部で発生する電子量に対
応する電子量信号を、電子流の立ち上がり時に制
御回路の出力に加算し、その加算出力にしたがつ
て電圧調整装置う調整するようにしたことを特徴
とする。

（作用） 電子流の発生により加速電圧が低下したとき、
加速電圧を上昇させようと制御回路が動作する
が、しかしそのとき電子量に対応する電子量信号
が制御回路の出力に加算されるので、電圧調整装
置による加速電圧の上昇値は、電子量信号が加算
されない場合よりも大きくなる。これによつて加
速電圧は急速に上昇し、短時間のうちに設定値に
復帰するようになる。

（実施例） この考案にしたがい、電子量に対応する電子量
信号を、たとえば変圧器６の２次電流から検出す
る。この電流を電圧変換器２０によつて電圧に変
換し、これをたとえばクランプ回路２１を介して
加算器２２に入力する。加算器２２にはまた制御
回路１８の出力が入力されている。加算器２２は
両入力を加算し、その加算出力を電圧調整装置５
に与える。

加速管１０内で電子流を発生させたことによつ
て加速電圧が低下すると、設定値Ｐとの差に対応
して制御回路１８から出力が出て、加算器２２に
与えられる。

なおクランプ回路２１が設けられていると、電
圧変換器２０からの出力がクランプされるので、
電子量の異常増加によつては、加速電圧の異常上
昇が回避される。

一方電子流の発生によつてその電子量に対応す
る信号も加算器２２に与えられ、ここで両入力が
加算される。そしてその加算値によつて電圧調整
装置５をして直流高電圧発生回路７を制御する。
その結果加速電圧は、制御回路１８の出力のみに
よつて制御する場合よりも、急速に加速電圧が上
昇するようになる。

なおある程度電子流が発生した後は電子流発生
量に基づく補正は少なくてよいので、クランプ回
路２１を用意し、これからの出力がある値を越え
たときは、クランプ値調整回路２３によりクラン
プ回路２１のクランプ値を減少させるようにす
る。

このようにすれば電子量が多くなつていつた場
合、クランプ回路２１から加算器２２に入力され
る値は、それほど大きくならず、したがつて加速
電圧の上昇率は小さくなる。

なお図の実施例では電子量を変圧器６の２次電
流から検出するようにしているが、これに限られ
るのではなく、他の任意の検出手段が利用できる
ことはいうまでもない。

なお電子流の立ち下げ時においても、電子流の
減少に伴つて加速電圧が上昇することとなり、こ
れを無制限に放置すると、たとえば直流高電圧発
生回路、加速管などに悪影響を及ぼすこととな
る。これを防止するために、必要があれば電子流
の立ち下がり時にも制御回路の出力に加算器か
ら、電子流の減少により加速電圧が増加したと
き、加速電圧を下降するように電子量信号を加算
するようにしてもよい。

（考案の効果） 以上詳述したようにこの考案によれば、電子流
の発生に基づく加速電圧の低下の補正を、従来に
比較して急速に補うことができ、これによつて電
子線照射による生産効率を向上させることができ
る効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示す回路図である。 １……直流高電圧発生装置、２……電子線加速
装置、５……電圧調整装置、１７……比較器、１
８……制御回路、２０……電子量検出用の電圧変
換器、２２……加算器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 直流高電圧発生装置と、前記直流高電圧発生装
   置からの出力電圧を調整する電圧調整装置と、前
   記直流高電圧発生装置からの出力電圧を加速電圧
   として印加される加速管を備えた電子線加速装置
   と、加速電圧の設定値と前記加速電圧とを比較す
   る比較器と、前記比較器による比較結果に基づい
   て、前記加速電圧が前記設定値と一致するよう
   に、前記電圧調整装置を制御する制御回路とを有
   する電子線照射装置において、 前記加速管の内部で発生する電子量に対応する
   電子量信号を、電子流の立ち上がり時に前記制御
   回路の出力に加算する加算器を、前記制御回路と
   前記電圧調整装置との間に設けてなる電子線照射
   装置。