JPH0544719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は高温炉における炉温計測手段の設置機
構に関する。

従来の技術 従来、高温炉における炉温計測手段、例えば熱
電対を炉殻と断熱壁に対してそれぞれ水平方向に
挿入して炉内の温度を計測している。

即ち、炉の上方には炉蓋が、下方には冷却手段
があるのが普通であるので、当然熱電対は炉体の
中央に設置するのであるが、第１図の左上部に示
す如く、熱電対１１′を断熱壁２に対し水平方向
に取付けるようにされている。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、一般に、高温炉の測温誤差をな
るべく少なくしようとする場合には、炉温計測手
段、例えば熱電対の炉内への挿入深度をなるべく
深くする必要がある。従つて、前記従来の技術の
ように、炉内に対して水平方向に熱電対を挿入す
る場合には、測温誤差が生じるとともに、断熱壁
の内寸法を大きくしなければならないという問題
点がある。

さらに熱電対を炉内に挿入・取出する際に、炉
内の熱が断熱壁を貫通する挿入孔を介して炉外に
漏れやすく、測温による熱損失が大きくなる。さ
らに、熱電対が断熱壁に水平に設置されている関
係上、熱電対そのものに曲げ応力が作用するおそ
れがある。なお、熱電対に替えて放射温度計２
１′を使用する場合（第１図の右上部に図示）に
も前記に準じて熱損失が大きくなる。

本考案は上記事情に鑑がみてなされたもので、
前記の問題点を解消させうる高温炉における炉温
計測手段の設置機構を提供することを目的として
いる。

問題点を解決するための手段 本考案に係る高温炉における炉温計測手段の設
置機構は、炉殻と、炉殻内に設けてあり炉を形成
する断熱壁と、前記炉殻の上方に設けた炉蓋と、
炉殻に設けた冷却手段とを具備する高温炉におけ
る炉温計測手段の設置機構であつて、炉殻と断熱
壁を貫通させてあり且つ炉殻の下方から上方へ向
かう傾斜孔を設け、炉温計測手段を前記傾斜孔に
沿つて設置するようになつている。

作 用 しかるときは、炉温計測手段の炉内への挿入深
度が水平方向の場合に比べて大きくなる。

実施例 第１図は本考案の実施例を示す一部切欠模式的
断面図であり、前記したように従来の技術の実施
例も併記している。

本考案の高温炉は、床面に立設された炉殻１と
炉殻１内で炉を形成する断熱壁２と炉内加熱用ヒ
ータ３と断熱壁２の下方に設けられてあり上下方
向に図示矢印方向に可動する断熱扉４と断熱扉４
の下方に冷却手段としての冷却水を通す配管より
なるクーラ５とモータＭを駆動源とし冷風を炉内
に送り込むフアン６と炉殻１の上方に設けた炉蓋
７とを具備している。しかして、炉内加熱用ヒー
タ３によつて熱処理される被加工物は断熱扉４を
開閉して炉内外に出し入れするように構成されて
いる。

１１は炉温計測手段としての熱電対である。そ
して熱電対１１を炉殻１と断熱壁２とを貫通し、
且つ斜め下方から上方へ傾斜角αを有する傾斜孔
１２に沿つて炉殻外から炉内に挿入し、その先端
がヒータ３に近接するように配置されている。こ
こに熱電対１１の炉内への挿入深度（断熱壁２の
内壁２ａから熱電対１１の先端１１ａまでの長
さ）をｌ、熱電対１１の先端１１ａと断熱壁２の
内壁面との水平間隔をｄとすると、 ｌ＝ｄ／sinα となる。

したがつて、前記傾斜角αを小さくすることに
より、熱電対１１の挿入深度ｌを大きくとること
ができる。

第２図は断熱壁２を貫通する傾斜孔１２および
移動孔１３の部分断面説明図である。同図下方に
示す本考案の実施例においては、炉内の熱は図示
矢印の如く傾斜孔１２の傾斜面１４で放熱が防止
されるとともに傾斜孔１２の炉殻側先端が下方に
向かつているので、水平方向の場合に比べて断熱
壁２の貫通長さが長くなる。したがつてその分だ
け熱損失が減ることになる。なお、前記説明は炉
温計測手段として熱電対１１を用いる場合につき
説明したが、これに限らず放射温度計であつても
よい。

第１図において、右側に図示したものは放射温
度計２１を使用する場合を示し、右上は従来の技
術を、右下は本考案の実施例の場合を示す。

ヒータ３の近傍にターゲツト２２，２２′を設
け、ターゲツト２２，２２′により炉殻１外に設
置した放射温度計２１，２１′によつて炉温を計
測するものであるが、これの設置機構は前記と同
様とする。

考案の効果 以上説明したように、本考案によれば炉殻と断
熱壁を貫通し炉殻の下方から上方に向かう傾斜孔
を設け、傾斜孔に沿つて炉温計測手段を設置する
ようにしているので、測温による熱損失を少なく
することができる。また炉温計測手段に熱電対を
使用する場合においては、熱電対の挿入深度を水
平方向の場合に比して大きくすることができる。
したがつて、測温誤差をその分だけ小さくするこ
とができる他、挿入深度を同一とすればその分だ
け断熱壁の内寸法をそれだけ小さくすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の技術および本考案の実施例を併
せて示す一部切欠模式的断面図、第２図は傾斜孔
近傍の部分断面図である。 １……炉殻、２……断熱壁、１１……熱電対、
１２……傾斜孔、２１……放射温度計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉殻と、炉殻内に設けてあり炉を形成する断熱
   壁と、前記炉殻の上方に設けた炉蓋と、炉殻に設
   けた冷却手段とを具備する高温炉における炉温計
   測手段の設置機構であつて、炉殻と断熱壁を貫通
   させてあり且つ炉殻の下方から上方へ向かう傾斜
   孔を設け、炉温計測手段を前記傾斜孔に沿つて設
   置するようにしたことを特徴とする高温炉におけ
   る炉温計測手段の設置機構。