JPH054431U - ガス封入電気機器の劣化防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス封入電気機器の劣化防止装置に用いる吸
着剤への分解生成物や水分の吸着量を機器外部から確認
して、電気絶縁性能の低下を監視し、必要に応じて機器
の運転を停止することなく吸着剤を交換できるようにす
る。 【構成】 ガス封入電気機器の密閉容器１と２箇所で連
通する側路４の内部に電気絶縁ガス３の分解生成物や水
分を吸着除去する吸着剤５を封入し、吸着剤５への分解
生成物や水分の吸着量を機器外部から確認する手段とし
てのぞき窓６を設ける。さらに、側路４の上部と下部
に、吸着剤５の出し入れを行う交換口７ａ、７ｂと、密
閉容器１内と側路４内の電気絶縁ガス３を区分する弁８
ａ、８ｂとを設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば六フッ化硫黄ガスなどの電気絶縁ガスを封入した開閉装置や 変圧器などの、電気絶縁ガスの分解生成物や水分を除去する劣化防止装置に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

ガス封入電気機器の内部では、機器運転時の電気的ストレスや熱的ストレスに より、化学的な反応が促進されて、電気絶縁ガスの分解生成物が生じる。この分 解生成物や化学的な反応を促進させる水分などを除去して電気絶縁性能を維持す ることが、ガス封入電気機器の事故防止や劣化防止に有効であり、通常は図２に 示すように密閉容器１の内部の電気的な構成部品２の傍らに吸着剤５を封入して 、電気絶縁ガス３の分解生成物や水分の吸着除去を行っている。吸着剤５の封入 量については、運転中に発生することの予想される分解生成物の量や、機器製作 当初から電気絶縁ガス３に混入している水分量、運転中に封止パッキンなどから 侵入する水分量などを考慮して、期待寿命期間に対して十分な余裕をもつ量とし ている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術では、吸着剤５への分解生成物や水分の吸着量を機器外部から確認 することができず、また、吸着剤５を交換するためには、機器の運転を停止して 密閉容器１の内部の電気絶縁ガス３を全て放出、再封入する必要があった。一方 、製作時の組立不良や据付時の施工不良があると、電気的な構成部品２において 部分放電や過熱などの異常現象が発生して分解生成物の量が極端に増加したり、 侵入水分量が増加したりして、吸着剤５への分解生成物や水分の吸着量が限界に 達して余剰の分解生成物や水分が残留し、電気絶縁ガス３の純度が低下して、電 気絶縁性能の低下を引き起こす場合がある。従来の技術では、このような劣化現 象を機器外部から検出することができず、重大な電気事故に至るケースがあった 。 そこで、本考案は、吸着剤への分解生成物や水分の吸着量を機器外部から確認 して、電気絶縁性能の低下を監視し、必要に応じて機器の運転を停止することな く吸着剤を交換できるようにしたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案では、ガス封入電気機器の密閉容器に電気絶縁ガスを循環させる側路を 設け、その側路内に電気絶縁ガスの分解生成物や水分を除去するための吸着剤と 、吸着剤への分解生成物や水分の吸着量を機器外部から確認する手段とを設ける 。さらに、吸着剤を出し入れするための交換口と、側路の上部と下部に密閉容器 内と側路内の電気絶縁ガスを区分するための弁とを設ける。

【０００５】

【作用】

機器の運転時に側路の上部と下部に設けた前記の弁を開いた状態にしておけば 、分解生成物や水分は拡散や対流により側路内の吸着剤に達して、吸着除去され る。ここで、前記の吸着量を機器外部から確認する手段を用いることにより、電 気絶縁性能の低下を監視することができる。また吸着剤への分解生成物や水分の 吸着量が増加して限界に近づいた場合には、前記の弁を両方閉じて密閉容器内の 電気絶縁ガスを側路内と区分して、交換口から吸着剤を交換することができる。

【０００６】

【実施例】

図１は本考案の一実施例であり、ガス封入電気機器の密閉容器１の内部には、 例えば電路の開閉機構や変圧器巻線などの電気的な構成部品２が配置されており 、その空隙部には例えば六フッ化硫黄ガスなどの電気絶縁ガス３が封入されてい る。側路４は密閉容器１の内部と２箇所で連通する流路であり、側路４の内部に 電気絶縁ガス３の分解生成物や水分を吸着除去するために、合成ゼネライトなど の吸着剤５を封入し、吸着剤５への分解生成物や水分の吸着量を機器外部から確 認する手段としてのぞき窓６を設けてある。また、側路４の上部と下部には常時 は閉じた状態の交換口７ａ、７ｂと、常時は開いた状態の弁８ａ、８ｂが設けて あり、側路４の途中には電気絶縁ガス３を循環するための送風機９が設けてある 。

【０００７】 前記の実施例において、六フッ化硫黄ガス中の構成部品２が接触不良などによ り過熱すると、六フッ化硫黄ガスと混入水分との化学的な反応により四フッ化硫 黄ガスや二酸化硫黄ガスが発生する。これらの分解生成物は、送風機９により側 路４の内部に移動し、吸着剤５に達して吸着除去される。同様にして、密閉容器 １の内部に侵入した水分についても吸着除去され、六フッ化硫黄ガスの純度が保 たれる。ここで、機器外部からのぞき窓６をとおして吸着剤５の変色の程度を目 視確認することで、吸着剤５への分解生成物や水分の吸着量を確認することがで きる。

【０００８】 また、吸着剤５への分解生成物や水分の吸着量が限界に近づき、吸着剤５を新 品と交換する必要の生じた場合には、弁８ａ，８ｂを閉じた状態として、交換口 ７ｂより吸着剤５を抜き取り、交換口７ａより新品の吸着剤を封入することによ り、密閉容器１の内部の電気絶縁ガス３を放出することなく吸着剤５を交換する ことができる。

【０００９】 なお、送風機９を設けるのが望ましいが、電気絶縁ガスの対流および分解生成 物や水分の拡散が期待できるので、本考案には必要ではない。交換口７ａ、７ｂ についても、実施例は２箇所としたが、１箇所でも吸着剤５の交換ができればさ しつかえない。

【００１０】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案は電気絶縁ガスの分解生成物や水分を吸着除去する ための吸着剤を側路内に封入し、かつ、吸着剤への分解生成物や水分の吸着量を 機器外部から確認する手段を設けたので、吸着量を機器外部から確認することが でき、電気絶縁性能の低下を監視して、重大な電気事故を未然に防止することが できる。また、吸着剤を出し入れするための交換口と、密閉容器内と側路内の電 気絶縁ガスを区分するための弁を設けたので、吸着剤の交換には密閉容器内の全 ての電気絶縁ガスの放出、再封入による機器の運転の停止は不要である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による劣化防止装置の一実施例を示す図
である。

【図２】従来の劣化防止装置を示す図である。

【符号の説明】

１ 密閉容器 ２ 電気的な構成部品 ３ 電気絶縁ガス ４ 側路 ５ 吸着剤 ６ のぞき窓 ７ａ、７ｂ 交換口 ８ａ、８ｂ 弁 ９ 送風機

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 密閉容器内に電気的な構成部品を配置
   し、その空隙部に電気絶縁ガスを封入した電気機器にお
   いて、 電気絶縁ガスを循環させる側路と、 その側路内に封入した電気絶縁ガスの分解生成物や水分
   を除去するための吸着剤と、 吸着剤への分解生成物や水分の吸着量を機器外部から確
   認する手段と、 吸着剤を出し入れするための交換口と、 前記側路の上部と下部に設けた、密閉容器内と側路内の
   電気絶縁ガスを区分するための弁と、 を備えるガス封入電気機器の劣化防止装置。