JPH0544009A - 溶射複合膜形成方法及びその装置 - Google Patents
溶射複合膜形成方法及びその装置Info
- Publication number
- JPH0544009A JPH0544009A JP3226507A JP22650791A JPH0544009A JP H0544009 A JPH0544009 A JP H0544009A JP 3226507 A JP3226507 A JP 3226507A JP 22650791 A JP22650791 A JP 22650791A JP H0544009 A JPH0544009 A JP H0544009A
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- Japan
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- sprayed
- plasma
- thermal spray
- high frequency
- arc plasma
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 緻密な蒸着膜によって被溶射物は腐食物と遮
断され腐食されることがなくなるとともに、溶射剥離の
発生もなく、更に蒸着膜の上の溶射皮膜によって耐摩耗
性,断熱性も十分備えている複合膜を形成する。 【構成】 直流アークプラズマトーチ1に直流アークプ
ラズマ17を発生させるとともに同プラズマトーチ1の
前に配した絶縁円筒10に高周波誘導プラズマ18を発
生させ、直流アークプラズマ17内に供給した溶射粉末
材料の溶射粒子19を高周波誘導プラズマ18を介して
被溶射物16に溶射しながら高周波誘導プラズマ18の
出力を制御し、被溶射物16に蒸着膜とその上の溶射皮
膜とからなる溶射複合膜を形成させる。
断され腐食されることがなくなるとともに、溶射剥離の
発生もなく、更に蒸着膜の上の溶射皮膜によって耐摩耗
性,断熱性も十分備えている複合膜を形成する。 【構成】 直流アークプラズマトーチ1に直流アークプ
ラズマ17を発生させるとともに同プラズマトーチ1の
前に配した絶縁円筒10に高周波誘導プラズマ18を発
生させ、直流アークプラズマ17内に供給した溶射粉末
材料の溶射粒子19を高周波誘導プラズマ18を介して
被溶射物16に溶射しながら高周波誘導プラズマ18の
出力を制御し、被溶射物16に蒸着膜とその上の溶射皮
膜とからなる溶射複合膜を形成させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶射複合膜形成方法及び
その装置に関する。
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のプラズマ溶射方法を図3模式図に
示すと、被溶射物31の表面31aに対向して溶射を行
うプラズマ溶射ガンは、冷却水通路32aによって冷却
されている陽極ノズル32と、同ノズル32の基部に絶
縁体34を介して固定されている陰極33とで構成され
るとともに、陽極ノズル32の前部に溶射粉末材料供給
口35が穿設されて材料供給ポート36が接続され、一
方後部には作動ガス供給口37が開口しており、更に陽
極ノズル32と陰極33の間には、直流電源38と高周
波発生器39が並列に接続されている。
示すと、被溶射物31の表面31aに対向して溶射を行
うプラズマ溶射ガンは、冷却水通路32aによって冷却
されている陽極ノズル32と、同ノズル32の基部に絶
縁体34を介して固定されている陰極33とで構成され
るとともに、陽極ノズル32の前部に溶射粉末材料供給
口35が穿設されて材料供給ポート36が接続され、一
方後部には作動ガス供給口37が開口しており、更に陽
極ノズル32と陰極33の間には、直流電源38と高周
波発生器39が並列に接続されている。
【0003】しかして、プラズマ溶射を行うには、まず
作動ガスとしてArガスを作動ガス供給口37より陽極
ノズル32内に供給し、直流電源38をオンにして陽極
ノズル32と陰極33の間に無負荷電圧を与え、更に高
周波発生器39をオンにして陽極ノズル32と陰極33
の間にアーク放電を発生させると、直流電源38からの
電力により連続的なアークが発生し、作動ガスはプラズ
マガスとなり、陽極ノズル32から高温のプラズマジェ
ット40となって噴出する。すると、材料供給ポート3
6から溶射粉末材料供給口35を通って陽極ノズル32
内に供給される溶射粉末材料は、プラズマジェット40
によって加熱加速され、高温高速の溶射粒子41となっ
て被溶射物表面31aに向かって飛んで行き、被溶射物
表面31aに衝突,付着し溶射皮膜を形成する。
作動ガスとしてArガスを作動ガス供給口37より陽極
ノズル32内に供給し、直流電源38をオンにして陽極
ノズル32と陰極33の間に無負荷電圧を与え、更に高
周波発生器39をオンにして陽極ノズル32と陰極33
の間にアーク放電を発生させると、直流電源38からの
電力により連続的なアークが発生し、作動ガスはプラズ
マガスとなり、陽極ノズル32から高温のプラズマジェ
ット40となって噴出する。すると、材料供給ポート3
6から溶射粉末材料供給口35を通って陽極ノズル32
内に供給される溶射粉末材料は、プラズマジェット40
によって加熱加速され、高温高速の溶射粒子41となっ
て被溶射物表面31aに向かって飛んで行き、被溶射物
表面31aに衝突,付着し溶射皮膜を形成する。
【0004】しかしながら、このような方法による溶射
皮膜の形成状態は、図4断面図に示すように、飛行した
溶射粒子41が被溶射物表面31aに衝突して偏平状態
となり、それが堆積して溶射皮膜42が形成され、偏平
化した溶射粒子41の重なりにより粒子間境界に空隙4
3ができ、全体として多孔性の皮膜となる。従ってこの
ような溶射皮膜42は、耐摩耗性,断熱性にすぐれてい
ても、耐食膜として適用した場合、腐食物が多孔性膜内
へ浸透し被溶射物31母材を腐食させる原因となる。ま
た粒子間境界に空隙43が存在することによって粒子間
の接触部が少なくてその密着力が小さく、空隙43から
剥離が始まり周辺の健全部へ剥離が伝播してしまうおそ
れがある。
皮膜の形成状態は、図4断面図に示すように、飛行した
溶射粒子41が被溶射物表面31aに衝突して偏平状態
となり、それが堆積して溶射皮膜42が形成され、偏平
化した溶射粒子41の重なりにより粒子間境界に空隙4
3ができ、全体として多孔性の皮膜となる。従ってこの
ような溶射皮膜42は、耐摩耗性,断熱性にすぐれてい
ても、耐食膜として適用した場合、腐食物が多孔性膜内
へ浸透し被溶射物31母材を腐食させる原因となる。ま
た粒子間境界に空隙43が存在することによって粒子間
の接触部が少なくてその密着力が小さく、空隙43から
剥離が始まり周辺の健全部へ剥離が伝播してしまうおそ
れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みて提案されたもので、緻密な蒸着膜によって
被溶射物は腐食物とは遮断され腐食されることがなくな
るとともに、溶射剥離の発生もなく、更に蒸着膜の上の
溶射皮膜によって耐摩耗性,断熱性も十分備えている複
合膜を形成する溶射複合膜形成方法及びその装置を提供
することを目的とする。
事情に鑑みて提案されたもので、緻密な蒸着膜によって
被溶射物は腐食物とは遮断され腐食されることがなくな
るとともに、溶射剥離の発生もなく、更に蒸着膜の上の
溶射皮膜によって耐摩耗性,断熱性も十分備えている複
合膜を形成する溶射複合膜形成方法及びその装置を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、直
流アークプラズマトーチに直流アークプラズマを発生さ
せるとともに上記直流アークプラズマトーチの前に配し
た絶縁円筒に高周波誘導プラズマを発生させ、上記直流
アークプラズマ内に供給した溶射粉末材料の溶射粒子を
上記高周波誘導プラズマを介して被溶射物に溶射しなが
ら同高周波誘導プラズマの出力を制御し、上記被溶射物
に蒸着膜とその上の溶射皮膜とからなる溶射複合膜を形
成させることと、陰極及び陽極ノズルからなる直流アー
クプラズマトーチと、上記陽極ノズルの前に連接された
絶縁円筒と、上記絶縁円筒の外周に巻装され高周波発振
機から適宜調節された高周波電流が印加される高周波誘
導コイルと、上記絶縁円筒の前に連接され被溶射物を収
容した雰囲気制御チャンバーとを具えたこととを、それ
ぞれ特徴とする。
流アークプラズマトーチに直流アークプラズマを発生さ
せるとともに上記直流アークプラズマトーチの前に配し
た絶縁円筒に高周波誘導プラズマを発生させ、上記直流
アークプラズマ内に供給した溶射粉末材料の溶射粒子を
上記高周波誘導プラズマを介して被溶射物に溶射しなが
ら同高周波誘導プラズマの出力を制御し、上記被溶射物
に蒸着膜とその上の溶射皮膜とからなる溶射複合膜を形
成させることと、陰極及び陽極ノズルからなる直流アー
クプラズマトーチと、上記陽極ノズルの前に連接された
絶縁円筒と、上記絶縁円筒の外周に巻装され高周波発振
機から適宜調節された高周波電流が印加される高周波誘
導コイルと、上記絶縁円筒の前に連接され被溶射物を収
容した雰囲気制御チャンバーとを具えたこととを、それ
ぞれ特徴とする。
【0007】
【作用】本発明溶射複合膜形成方法及びその装置におい
ては、直流アークプラズマの熱量によって溶射粉末材料
が加熱されて溶融し、この溶融した溶射粒子は高周波誘
導プラズマに供給され、更に加熱される。この際、直流
アークプラズマによって溶融した溶射粒子を蒸発させる
ように高周波誘導プラズマの出力を高くすると、被溶射
物に蒸着膜が堆積する。更に次いで直流アークプラズマ
によって溶融した粒子が蒸発しないように高周波誘導プ
ラズマの出力を調節すると、蒸着膜の上に溶射皮膜が堆
積する。なお高周波誘導プラズマの出力を連続的に下げ
ていくと蒸着膜と溶射皮膜の連続した複合膜が堆積す
る。この複合膜により腐食物は被溶射物と遮断され、被
溶射物は腐食によって損傷することなく、溶射剥離を引
き起こすこともない。更にこの複合膜は従来の溶射皮膜
と同様に耐摩耗性,断熱性も備えている。
ては、直流アークプラズマの熱量によって溶射粉末材料
が加熱されて溶融し、この溶融した溶射粒子は高周波誘
導プラズマに供給され、更に加熱される。この際、直流
アークプラズマによって溶融した溶射粒子を蒸発させる
ように高周波誘導プラズマの出力を高くすると、被溶射
物に蒸着膜が堆積する。更に次いで直流アークプラズマ
によって溶融した粒子が蒸発しないように高周波誘導プ
ラズマの出力を調節すると、蒸着膜の上に溶射皮膜が堆
積する。なお高周波誘導プラズマの出力を連続的に下げ
ていくと蒸着膜と溶射皮膜の連続した複合膜が堆積す
る。この複合膜により腐食物は被溶射物と遮断され、被
溶射物は腐食によって損傷することなく、溶射剥離を引
き起こすこともない。更にこの複合膜は従来の溶射皮膜
と同様に耐摩耗性,断熱性も備えている。
【0008】
【実施例】本発明溶射複合膜形成方法及びその装置の一
実施例を図面について説明すると、図1は本発明方法の
実施要領を示す縦断面図、図2は同上方法による溶射複
合膜の断面図である。
実施例を図面について説明すると、図1は本発明方法の
実施要領を示す縦断面図、図2は同上方法による溶射複
合膜の断面図である。
【0009】図1において、直流アークプラズマトーチ
1は、タングステン棒製の陰極2と銅製の陽極ノズル3
から構成され、後者の基部中央に絶縁体4を介して前者
が先端を突入して固定されるとともに、後者のノズル壁
には冷却水通路5が穿設されている。陽極ノズル3の先
端近傍に溶射粉末材料供給口6が設けられるとともに、
基部の絶縁体4に作動ガス供給口7が設けられており、
陰極2と陽極ノズル3との間に直流電源8と高周波発生
器9が並列に接続されている。
1は、タングステン棒製の陰極2と銅製の陽極ノズル3
から構成され、後者の基部中央に絶縁体4を介して前者
が先端を突入して固定されるとともに、後者のノズル壁
には冷却水通路5が穿設されている。陽極ノズル3の先
端近傍に溶射粉末材料供給口6が設けられるとともに、
基部の絶縁体4に作動ガス供給口7が設けられており、
陰極2と陽極ノズル3との間に直流電源8と高周波発生
器9が並列に接続されている。
【0010】また陽極ノズル3の前に例えば石英ガラス
管からなる絶縁円筒10が同軸的に連設されて、その基
部に作動ガス供給口11が配設されるとともに、外周に
例えば水冷銅管からなる高周波誘導コイル12が巻装さ
れ、同コイル12には、最大出力80kW,周波数4M
Hzの高周波発振機13が接続されている。更に絶縁円
筒10の前に雰囲気制御チャンバー14が連設されて、
その側方に図示せざる排気装置に接続される排気口15
が設けられるとともに、内部に被溶射物16が収容され
ている。なお図中において、17は陰極2及び陽極ノズ
ル3間に直流印加して発生する直流アークプラズマ、1
8は高周波誘導コイル12に高周波印加して発生する高
周波誘導プラズマ、19は飛行する溶射粒子である。
管からなる絶縁円筒10が同軸的に連設されて、その基
部に作動ガス供給口11が配設されるとともに、外周に
例えば水冷銅管からなる高周波誘導コイル12が巻装さ
れ、同コイル12には、最大出力80kW,周波数4M
Hzの高周波発振機13が接続されている。更に絶縁円
筒10の前に雰囲気制御チャンバー14が連設されて、
その側方に図示せざる排気装置に接続される排気口15
が設けられるとともに、内部に被溶射物16が収容され
ている。なお図中において、17は陰極2及び陽極ノズ
ル3間に直流印加して発生する直流アークプラズマ、1
8は高周波誘導コイル12に高周波印加して発生する高
周波誘導プラズマ、19は飛行する溶射粒子である。
【0011】このような装置構成において、まず排気口
15から図示せざる排気装置により雰囲気制御チャンバ
ー14内を真空引きし、数Torrの真空度まで排気する。
これは形成される溶射複合膜中に大気中のガスが不純物
として混入しないようにするためである。続いて作動ガ
ス供給口7から、Ar:5 l/minの作動ガスを陽極ノズ
ル3内へ供給するとともに、作動ガス供給口11から、
Ar:30 l/min,H2 :5 l/minの作動ガスを絶縁円
筒10内へ供給する。
15から図示せざる排気装置により雰囲気制御チャンバ
ー14内を真空引きし、数Torrの真空度まで排気する。
これは形成される溶射複合膜中に大気中のガスが不純物
として混入しないようにするためである。続いて作動ガ
ス供給口7から、Ar:5 l/minの作動ガスを陽極ノズ
ル3内へ供給するとともに、作動ガス供給口11から、
Ar:30 l/min,H2 :5 l/minの作動ガスを絶縁円
筒10内へ供給する。
【0012】この状態で、まず直流電源8をオンにし陰
極2と陽極ノズル3の間に40〜60Vの無負荷電圧を
かけるとともに、高周波発生器9を作動させると、陰極
2と陽極ノズル3の間でアークが発生して作動ガスが励
起され、直流アークプラズマ17が発生する。次に高周
波発振機13をオンにすると、高周波誘導コイル12に
高周波電流が流れて絶縁円筒10内に交番磁場が発生
し、直流アークプラズマ17が種火となり絶縁円筒10
内を流れる作動ガスが励起され、高周波誘導プラズマ1
8となる。
極2と陽極ノズル3の間に40〜60Vの無負荷電圧を
かけるとともに、高周波発生器9を作動させると、陰極
2と陽極ノズル3の間でアークが発生して作動ガスが励
起され、直流アークプラズマ17が発生する。次に高周
波発振機13をオンにすると、高周波誘導コイル12に
高周波電流が流れて絶縁円筒10内に交番磁場が発生
し、直流アークプラズマ17が種火となり絶縁円筒10
内を流れる作動ガスが励起され、高周波誘導プラズマ1
8となる。
【0013】その後、図示せざる排気装置の排気量を調
節し、雰囲気制御チャンバー14内の圧力を200〜7
60Torrに保ち、同時に直流アークプラズマ17の直流
電源8の出力を2kW,高周波誘導プラズマ18の高周
波発振機13の出力を40kWに設定する。そして溶射
粉末材料として10〜40μm粒度のAl2O3 を、溶射粉
末材料供給口6からAr:5 l/minのキャリアガスによ
り陽極ノズル3内へ供給する。
節し、雰囲気制御チャンバー14内の圧力を200〜7
60Torrに保ち、同時に直流アークプラズマ17の直流
電源8の出力を2kW,高周波誘導プラズマ18の高周
波発振機13の出力を40kWに設定する。そして溶射
粉末材料として10〜40μm粒度のAl2O3 を、溶射粉
末材料供給口6からAr:5 l/minのキャリアガスによ
り陽極ノズル3内へ供給する。
【0014】すると、直流アークプラズマ17に供給さ
れた溶射粉末材料は直流アークプラズマ17の熱量によ
って加熱され溶融して溶射粒子19となり、溶射粒子1
9は更に高周波誘導プラズマ18に供給され加熱されて
溶射粒子の表面から蒸発が始まり、遂にはすべて蒸発し
てしまう。この蒸発物は高周波誘導プラズマ18の流れ
に沿って被溶射物16に到達し、図2に示すように、被
溶射物表面16aに蒸着膜層20を形成する。
れた溶射粉末材料は直流アークプラズマ17の熱量によ
って加熱され溶融して溶射粒子19となり、溶射粒子1
9は更に高周波誘導プラズマ18に供給され加熱されて
溶射粒子の表面から蒸発が始まり、遂にはすべて蒸発し
てしまう。この蒸発物は高周波誘導プラズマ18の流れ
に沿って被溶射物16に到達し、図2に示すように、被
溶射物表面16aに蒸着膜層20を形成する。
【0015】この蒸着膜層20が約10μmの厚さにな
るまでこの状態を続けた後、高周波発振機13の出力を
40kWから5kWに約5分間で低下させる。これによ
って高周波誘導プラズマ18が溶射粒子19に与える熱
量は低下するため、溶射粒子19表面からの蒸発量は高
周波発振機13の出力と共に減少し、最終的には蒸発す
るだけの熱量が得られなくなる。この結果、図2に示す
ように、被溶射物表面16aには、蒸着膜層20の上に
蒸着物と溶射粒子19とが堆積していき、最後は溶射粒
子19のみが堆積して溶射皮膜層21を形成することに
なり、結局蒸着膜層20と溶射皮膜層21とからなる複
合膜が形成される。
るまでこの状態を続けた後、高周波発振機13の出力を
40kWから5kWに約5分間で低下させる。これによ
って高周波誘導プラズマ18が溶射粒子19に与える熱
量は低下するため、溶射粒子19表面からの蒸発量は高
周波発振機13の出力と共に減少し、最終的には蒸発す
るだけの熱量が得られなくなる。この結果、図2に示す
ように、被溶射物表面16aには、蒸着膜層20の上に
蒸着物と溶射粒子19とが堆積していき、最後は溶射粒
子19のみが堆積して溶射皮膜層21を形成することに
なり、結局蒸着膜層20と溶射皮膜層21とからなる複
合膜が形成される。
【0016】かくして形成された複合膜においては、腐
食物は緻密な蒸着膜層20によって被溶射物16とは遮
断されるため、被溶射物表面16aが腐食されなくなる
とともに、緻密な蒸着膜層20が被溶射物表面16aに
密着しているので、蒸着膜層20及び溶射皮膜層21が
剥離することがなくなる。また蒸着膜層20の上に溶射
皮膜層21があるため、従来と同様な耐摩耗性,断熱性
も兼ね備えることができる。
食物は緻密な蒸着膜層20によって被溶射物16とは遮
断されるため、被溶射物表面16aが腐食されなくなる
とともに、緻密な蒸着膜層20が被溶射物表面16aに
密着しているので、蒸着膜層20及び溶射皮膜層21が
剥離することがなくなる。また蒸着膜層20の上に溶射
皮膜層21があるため、従来と同様な耐摩耗性,断熱性
も兼ね備えることができる。
【0017】
【発明の効果】要するに本発明によれば、直流アークプ
ラズマトーチに直流アークプラズマを発生させるととも
に上記直流アークプラズマトーチの前に配した絶縁円筒
に高周波誘導プラズマを発生させ、上記直流アークプラ
ズマ内に供給した溶射粉末材料の溶射粒子を上記高周波
誘導プラズマを介して被溶射物に溶射しながら同高周波
誘導プラズマの出力を制御し、上記被溶射物に蒸着膜と
その上の溶射皮膜とからなる溶射複合膜を形成させるこ
とと、陰極及び陽極ノズルからなる直流アークプラズマ
トーチと、上記陽極ノズルの前に連接された絶縁円筒
と、上記絶縁円筒の外周に巻装され高周波発振機から適
宜調節された高周波電流が印加される高周波誘導コイル
と、上記絶縁円筒の前に連接され被溶射物を収容した雰
囲気制御チャンバーとを具えたこととにより、緻密な蒸
着膜によって被溶射物は腐食物とは遮断され腐食される
ことがなくなるとともに、溶射剥離の発生もなく、更に
蒸着膜の上の溶射皮膜によって耐摩耗性,断熱性も十分
備えている複合膜を形成する溶射複合膜形成方法及びそ
の装置を得るから、本発明は産業上極めて有益なもので
ある。
ラズマトーチに直流アークプラズマを発生させるととも
に上記直流アークプラズマトーチの前に配した絶縁円筒
に高周波誘導プラズマを発生させ、上記直流アークプラ
ズマ内に供給した溶射粉末材料の溶射粒子を上記高周波
誘導プラズマを介して被溶射物に溶射しながら同高周波
誘導プラズマの出力を制御し、上記被溶射物に蒸着膜と
その上の溶射皮膜とからなる溶射複合膜を形成させるこ
とと、陰極及び陽極ノズルからなる直流アークプラズマ
トーチと、上記陽極ノズルの前に連接された絶縁円筒
と、上記絶縁円筒の外周に巻装され高周波発振機から適
宜調節された高周波電流が印加される高周波誘導コイル
と、上記絶縁円筒の前に連接され被溶射物を収容した雰
囲気制御チャンバーとを具えたこととにより、緻密な蒸
着膜によって被溶射物は腐食物とは遮断され腐食される
ことがなくなるとともに、溶射剥離の発生もなく、更に
蒸着膜の上の溶射皮膜によって耐摩耗性,断熱性も十分
備えている複合膜を形成する溶射複合膜形成方法及びそ
の装置を得るから、本発明は産業上極めて有益なもので
ある。
【図1】本発明溶射複合膜形成方法の一実施例における
実施要領を示す縦断面図である。
実施要領を示す縦断面図である。
【図2】同上方法における溶射複合膜の断面図である。
【図3】従来のプラズマ溶射方法を示す模式図である。
【図4】同上方法における溶射皮膜の断面図である。
1 直流アークプラズマトーチ 2 陰極 3 陽極ノズル 4 絶縁体 5 冷却水通路 6 溶射粉末材料供給口 7 作動ガス供給口 8 直流電源 9 高周波発生器 10 絶縁円筒 11 作動ガス供給口 12 高周波誘導コイル 13 高周波発振機 14 雰囲気制御チャンバー 15 排気口 16 被溶射物 16a 被溶射物表面 17 直流アークプラズマ 18 高周波誘導プラズマ 19 溶射粒子 20 蒸着膜層 21 溶射皮膜層
Claims (3)
- 【請求項1】 直流アークプラズマトーチに直流アーク
プラズマを発生させるとともに上記直流アークプラズマ
トーチの前に配した絶縁円筒に高周波誘導プラズマを発
生させ、上記直流アークプラズマ内に供給した溶射粉末
材料の溶射粒子を上記高周波誘導プラズマを介して被溶
射物に溶射しながら同高周波誘導プラズマの出力を制御
し、上記被溶射物に蒸着膜とその上の溶射皮膜とからな
る溶射複合膜を形成させることを特徴とする溶射複合膜
形成方法。 - 【請求項2】 陰極及び陽極ノズルからなる直流アーク
プラズマトーチと、上記陽極ノズルの前に連接された絶
縁円筒と、上記絶縁円筒の外周に巻装され高周波発振機
から適宜調節された高周波電流が印加される高周波誘導
コイルと、上記絶縁円筒の前に連接され被溶射物を収容
した雰囲気制御チャンバーとを具えたことを特徴とする
溶射複合膜形成装置。 - 【請求項3】 直流アークプラズマにより溶融した溶射
粒子が高周波誘導プラズマにより蒸発されて被溶射物表
面に堆積する蒸着膜と、上記蒸着膜の上に直流アークプ
ラズマにより溶融した溶射粒子が蒸発することなく堆積
する溶射皮膜とからなることを特徴とする溶射複合膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3226507A JPH0544009A (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | 溶射複合膜形成方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3226507A JPH0544009A (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | 溶射複合膜形成方法及びその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0544009A true JPH0544009A (ja) | 1993-02-23 |
Family
ID=16846208
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3226507A Pending JPH0544009A (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | 溶射複合膜形成方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0544009A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113930708A (zh) * | 2021-10-12 | 2022-01-14 | 青岛科技大学 | 一种电磁感应加热辅助超音速等离子喷涂喷枪装置 |
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1991
- 1991-08-12 JP JP3226507A patent/JPH0544009A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113930708A (zh) * | 2021-10-12 | 2022-01-14 | 青岛科技大学 | 一种电磁感应加热辅助超音速等离子喷涂喷枪装置 |
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A02 | Decision of refusal |
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