JPH0543932Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は金属帯板の巻戻し機或いは巻取り機の
マンドレルリールへ装着するスリーブを搬送する
装置に関する。

〔従来の技術〕

例えば、メツキラインのような、非常に良好な
表面性状を要求される帯鋼のコイルを巻戻し機の
マンドレルリールへ挿着したり、処理済の帯鋼を
巻取り機のマンドレルリールで巻取る場合、帯鋼
がマンドレルリールに直接当接するとマンドレル
リールの軸方向分割部等によつて帯鋼の表面性状
が悪化する。そこで、マンドレルリールへゴムス
リーブを挿着し、このゴムスリーブを介して帯鋼
の巻戻し或いは巻取りを行なつている。

第４図及び第５図は、上記ゴムスリーブを、ス
リーブ着脱装置とスリーブ載置台との間を搬送す
る作業の説明図であり、第４図に示すような両持
ちの吊り具０１或いは第５図に示すような片持ち
の吊り具０２によつてゴムスリーブＳを保持し、
ワイヤロープ０３及びクレーンフツク０４を介し
て工場内の図示しない天井走行クレーンによつて
吊り上げ、搬送していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来のゴムスリーブ移送手段には次の課題
があつた。即ち、第４図或いは第５図に示すよう
な吊り具０１、同０２でゴムスリーブＳを吊り上
げると、図示するように軸方向に変形すると共に
真円度も悪化し、移載場所へ降してもその形状が
復元しないことがあり、スリーブ着脱装置へ移載
してマンドレルリールへ装着するとき、円滑に挿
入できない。また、天井走行クレーンは工場全体
の共用設備であるため、クレーン待ちが発生した
り、この作業のために他の作業のクレーン待ちの
原因になる等の不具合があつた。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記課題の解決手段として、金属帯板
の巻戻し機或いは巻取り機のマンドレルリールへ
装着するスリーブを搬送する装置において、マン
ドレルリールへのスリーブ着脱を行なうスリーブ
着脱装置と、ほぼ水平な梁体の一方の側面に沿つ
てスリーブ着脱装置とスリーブ保管場所との間を
移動する自走式走行装置と、同自走式走行装置に
垂設され、油圧シリンダの作動によつて上限位
置、スリーブ載置位置、スリーブ受渡し位置の３
位置に昇降制御されるスリーブクランプ装置、同
スリーブクランプ装置の構成部材をなすと共に上
記スリーブの軸長に相応して伸縮しその両軸端を
スリーブクランプ装置に対し所要の位置に挟持可
能な位置決め手段と、上記スリーブクランプ装置
の構成部材をなすと共に油圧シリンダの作動によ
つて外径の異なる２種類のスリーブ外周に相応す
る２位置と全開位置の３位置に開閉制御され上記
スリーブの外周を腕体の開閉によつて抱持可能な
クランプ手段とを具備してなることを特徴とする
巻戻し・巻取り機のスリーブ移載装置を提供しよ
うとするものである。

〔作用〕

本考案は上記のように構成されるので次の作用
を有する。即ち、走行装置によつてスリーブクラ
ンプ装置を移載しようとするスリーブ保管場所の
スリーブの上方へ移動してスリーブクランプ装置
を下降し、前記スリーブを位置決め手段によつて
その軸方向の位置を調節すると共にその両端部を
把持し、クランプ手段によつてスリーブの外周部
を真円を保持して把持する。そして、クランプ装
置をスリーブの移載位置であるスリーブ着脱装置
の上方へ移動させ、下降してスリーブの把持を解
放してスリーブを移載する。

〔実施例〕

本考案の一実施例を第１図ないし第３図により
説明する。

第１図はスリーブ移載装置とこれに関連する機
器の配置及び作用を示す説明図、第２図はスリー
ブ移載装置の正面図、第３図は第２図の右側面図
である。先ず、第１図により、ゴムスリーブＳの
装着手段と帯鋼コイルＷの取付けについて説明す
る。図においてスリーブ移載装置Ａは、後述のレ
ール４２，同４３，同４４上を図の左右に走行す
る走行装置Ａ１と、この走行装置Ａ１に昇降可能
に垂設されたクランプ装置Ａ２とから成り、下部
ガーダ４０及び上部ガーダ４１のレール４２、同
４３、同４４上（但しレール４３のみは上方から
揺動抑え）を２点鎖線で示すように移動してクラ
ンプ装置Ａ２を下降し、スキツド５１上に載置さ
れているゴムスリーブＳを後述のクランプアーム
２４でクランプする。そして、クランプ装置Ａ２
を上昇させ、スリーブ着脱装置Ｂの上方へ移動し
てクランプ装置Ａ２を下降させ、ゴムスリーブＳ
をスリーブ着脱装置Ｂへ載置し、クランプを解放
して移載する。スリーブ着脱装置Ｂはこのゴムス
リーブＳをクランプし、２点鎖線で一部を示すよ
うに回動して巻戻し機Ｃのマンドレルリール６１
へ挿入する。そしてコイルカーＤによつて帯鋼コ
イルＷをマンドレルリール６１へゴムスリーブＳ
を介して挿着する。また、帯鋼コイルＷがコイル
径の大きいものに変更され、ゴムスリーブＳを大
径厚肉のものと変更したり、ゴムスリーブＳが消
耗して取替えを要する場合は、スリーブ着脱装置
Ｂによつてマンドレル６１から古いゴムスリーブ
Ｓを抜き取つて移載位置へ移動してそのクランプ
を解除し、スリーブ移載装置Ａによつて前述と逆
順の作用でスキツド５１へ載置し、待機している
他のスキツド５１上のゴムスリーブＳをスリーブ
着脱装置Ｂへ移載する。

次に実施例の詳細について説明する。

第２図及び第３図において、１は、架台１２へ
立設されたフレームであり、車輪６と、駆動輪７
と、この駆動輪７と同軸のスプロケツト８が枢着
されている。２はガイド管であり、架台１２を貫
通してフレーム１へ固着されている。３は昇降ガ
イド、４は油圧シリンダであり、ガイド管２の下
部と上部へそれぞれ固着され、油圧シリンダ４の
ピストン４Ａはガイド管２の内部で、昇降ガイド
３に嵌挿されている昇降軸５に連結されている。
１１は走行駆動装置であり、スプロケツト８、同
９及びチエーン１０を介して駆動輪７に連結され
ている。以上の部材によつて走行装置Ａ１が構成
されている。

２１はボツクス状のフレームであり、昇降軸５
の下部に固着されて懸吊され、一対の回動軸２２
が枢着されている。双方の回動軸２２の一端に
は、互いに噛合する一対の歯車２３がそれぞれ固
着され、一方の回動軸２２の他端はレバー２６を
介して油圧シリンダ２７と連結されている。ま
た、双方の回動軸２２には、フレーム２１の側面
開口部を貫通したクランプアーム２４が固着さ
れ、このクランプアーム２４の先端にはクランパ
２５が装着されている。

即ち、油圧シリンダ２７によつてレバー２６を
引けば一対の歯車２３の協同作動によりクランプ
アーム２４が開く構成となつている。２８は一対
の位置決め板であり、フレーム２１の下面に固着
されたガイド３０に摺動自在に嵌挿された一対の
バー２９の先端にそれぞれ装着されている。そし
て、双方のバー２９は各々の油圧シリンダ３１に
それぞれ連結されている。以上の部材によつてク
ランプ装置Ａ２が構成されている。

なお、２点鎖線で示すように、クランプ装置Ａ
２を昇降させる昇降軸５は上限と第１図のスキツ
ド５１及びスリーブ着脱装置Ｂの移載位置の高さ
との３段階に、クランパ２５は小径と大径のゴム
スリーブＳ用及び全開の３段階に、位置決め板２
８は開閉の２段階に、各々の油圧シリンダ４，同
２７，同３１によつて自動制御されるようになつ
ている。

次にスリーブ移載装置Ａの作用を説明する。

油圧シリンダ２７，同３１によつて回動軸２２
を所定の角度で回動してクランパ２５を全開とす
ると共に、双方のバー２９を移動して位置決め板
２８を開とし、油圧シリンダ４によつて、クラン
プ装置Ａ２をゴムスリーブＳの位置迄下降する。
そして、位置決め板２８を閉にすると共に、クラ
ンパ２５を回動してゴムスリーブＳをその軸方向
及び周方向で把持し、クランプ装置Ａ２を上限迄
上昇する。

次に、走行駆動装置１１によつて駆動輪７を回
転し、上下のレール４３，４４と車輪６によつて
ガイドされながら、ガーダ４０上でそのレール４
２に沿つてスリーブ移載装置Ａを目的の位置へ移
動する。そして、前述と逆の順序でゴムスリーブ
Ｓをスキツド５１或いはスリーブ着脱装置Ｂへ載
置し、ゴムスリーブＳの移載作業を完了する。

なお、本考案のスリーブ移載装置の移載対象は
上記実施例に用いたゴムスリーブに限定されるも
のでなく、たとえば金属製スリーブ等、あらゆる
材質のスリーブの移載にも用いられるものであ
る。

このように本実施例によればゴムスリーブを位
置決め手段によつて軸方向に整然と揃え、外周の
適正な位置をクランプ手段によつて抱持して移載
するので、従来のようにゴムスリーブが軸方向に
変形したり、真円度が崩れたりする不具合が解消
されるものである。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成されるので次のよう
な効果がある。

(1) 位置決め手段によつてスリーブをその軸方向
の位置を一定にし、かつクランプ手段によつて
真円状態で把持できるので、スリーブの周方向
及び軸方向の変形が発生せず、マンドレルリー
ルへ円滑に自動挿入できる。

(2) 走行装置及びスリーブ昇降手段によつてスリ
ーブの移載作業専用に使用できるので、工場内
共用のクレーンを使用する必要が無くなり、本
移載作業及び他の搬送作業の能率を向上するこ
とができる。

(3) スリーブ着脱装置とスリーブ保管場所との間
にスリーブクランプ装置を垂設した自走式の走
行装置が移動するので、スリーブの保管場所の
選択が制限を受けない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のスリーブ移載装置
及び関連機器の配置及び作用を示す概略説明図、
第２図は第１図に示す一実施例のスリーブ移載装
置の正面図、第３図は第２図の右側面図、第４図
及び第５図は従来の移載作業の２つの例を示す説
明図である。 Ａ……スリーブ移載装置、Ａ１……走行装置、
Ａ２……クランプ装置、Ｃ……巻戻し機、Ｓ……
ゴムスリーブ、１……フレーム、２……ガイド
管、３……昇降ガイド、４……油圧シリンダ、４
Ａ……ピストン、５……昇降軸、７……駆動輪、
８，９……スプロケツト、１０……チエーン、１
１……走行駆動装置、２１……フレーム、２２…
…回動軸、２３……歯車、２４……クランプアー
ム、２５……クランパ、２６……レバー、２７…
…油圧シリンダ、２８……位置決め板、２９……
バー、３０……ガイド、３１……油圧シリンダ、
４０，４１……ガーダ、４２，４３，４４……レ
ール、６１……マンドレルリール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属帯板の巻戻し機或いは巻取り機のマンドレ
   ルリールへ装着するスリーブを搬送する装置にお
   いて、マンドレルリールへのスリーブ着脱を行な
   うスリーブ着脱装置と、ほぼ水平な梁体の一方の
   側面に沿つてスリーブ着脱装置とスリーブ保管場
   所との間を移動する自走式走行装置と、同走行装
   置に垂設され、油圧シリンダの作動によつて上限
   位置、スリーブ載置位置、スリーブ受渡し位置の
   ３位置に昇降制御されるスリーブクランプ装置
   と、同スリーブクランプ装置の構成部材をなすと
   共に上記スリーブの軸長に相応して伸縮しその両
   軸端をスリーブクランプ装置に対し所要の位置に
   挟持可能な位置決め手段と、上記スリーブクラン
   プ装置の構成部材をなすと共に油圧シリンダの作
   動によつて外径の異なる２種類のスリーブ外周に
   相応する２位置と全開位置の３位置に開閉制御さ
   れ上記スリーブの外周を腕体によつて抱持可能な
   クランプ手段とを具備してなることを特徴とする
   巻戻し・巻取り機のスリーブ移載装置。