JPH0543598A - 免疫グロブリンの抗原認識領域を含むハイブリツド蛋白質受容体、その製造方法およびそれを用いる抗原測定法 - Google Patents
免疫グロブリンの抗原認識領域を含むハイブリツド蛋白質受容体、その製造方法およびそれを用いる抗原測定法Info
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- JPH0543598A JPH0543598A JP3229453A JP22945391A JPH0543598A JP H0543598 A JPH0543598 A JP H0543598A JP 3229453 A JP3229453 A JP 3229453A JP 22945391 A JP22945391 A JP 22945391A JP H0543598 A JPH0543598 A JP H0543598A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】 免疫グロブリンの抗原認識領域と細胞膜表面
受容体の信号感領域とを含むハイブリッド蛋白質受容
体、これを含む抗原測定用バイオセンサーおよび抗原測
定方法に関する。抗原認識領域は、免疫グロブリンのH
鎖−H鎖間でのジスルフィド結合に関与するシステイン
残基を含まないものが好ましい。これによって、抗原結
合量依存的に信号が発生する。さらに、この発明は、該
受容体の製法にも関し、そのための発現系にも関する。 【効果】 免疫グロブリンの抗原認識領域と細胞膜表面
受容体の信号感領域とを含む本発明のハイブリッド蛋白
質受容体は、受容体の機能を有し抗原結合量依存的に信
号を発生するため病原性ウイルス、アレルゲン、腫瘍特
異抗原などの微量特定抗原を特異的かつ高感度に検出し
得る利点をもつ。
受容体の信号感領域とを含むハイブリッド蛋白質受容
体、これを含む抗原測定用バイオセンサーおよび抗原測
定方法に関する。抗原認識領域は、免疫グロブリンのH
鎖−H鎖間でのジスルフィド結合に関与するシステイン
残基を含まないものが好ましい。これによって、抗原結
合量依存的に信号が発生する。さらに、この発明は、該
受容体の製法にも関し、そのための発現系にも関する。 【効果】 免疫グロブリンの抗原認識領域と細胞膜表面
受容体の信号感領域とを含む本発明のハイブリッド蛋白
質受容体は、受容体の機能を有し抗原結合量依存的に信
号を発生するため病原性ウイルス、アレルゲン、腫瘍特
異抗原などの微量特定抗原を特異的かつ高感度に検出し
得る利点をもつ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、免疫グロブリンの抗原
認識領域と細胞膜表面受容体の信号感応領域とを含むハ
イブリッド蛋白質受容体、該受容体の二量体、該受容体
をセンサーとして含む抗原測定用バイオセンサー、およ
び該バイオセンサーを用いる抗原測定方法に関する。
認識領域と細胞膜表面受容体の信号感応領域とを含むハ
イブリッド蛋白質受容体、該受容体の二量体、該受容体
をセンサーとして含む抗原測定用バイオセンサー、およ
び該バイオセンサーを用いる抗原測定方法に関する。
【0002】本発明はまた、前記受容体をコードする塩
基配列を含むDNA、該DNAを含む発現ベクター、該
ベクターで形質転換された形質転換体、および該受容体
の製造方法にも関する。
基配列を含むDNA、該DNAを含む発現ベクター、該
ベクターで形質転換された形質転換体、および該受容体
の製造方法にも関する。
【0003】
【従来の技術】受容体(receptor)は、細胞内または細
胞表面に存在し、外因性若しくは内因性の物質または物
理的刺激を認識して細胞に応答を誘起するタンパク質構
造体の総称である。一般に、受容体は、リガンドとして
のアゴニストまたはアンタゴニストが特異的に結合する
ことが可能な立体構造を持ち、リガンドの結合によって
例えば受容体の高次構造の変化や膜電位の変化を介して
アデニル酸シクラーゼ、イオンチャンネル、チロシンキ
ナーゼ等の活性発現を誘導し、細胞内にその情報を伝達
する役割をもつ。
胞表面に存在し、外因性若しくは内因性の物質または物
理的刺激を認識して細胞に応答を誘起するタンパク質構
造体の総称である。一般に、受容体は、リガンドとして
のアゴニストまたはアンタゴニストが特異的に結合する
ことが可能な立体構造を持ち、リガンドの結合によって
例えば受容体の高次構造の変化や膜電位の変化を介して
アデニル酸シクラーゼ、イオンチャンネル、チロシンキ
ナーゼ等の活性発現を誘導し、細胞内にその情報を伝達
する役割をもつ。
【0004】受容体の中で、特に興味が持たれているも
のに細胞増殖因子受容体がある。1970年代半ばにラウス
肉腫ウイルスの癌遺伝子産物がチロシン特異的プロテイ
ンキナーゼ活性を持つとの画期的な発見が成されて以来
(Hunter,T. とSefton,B.M.,Proc.Natl.Acad.Sci. 77,1
311 (1980))、チロシンキナーゼが細胞の増殖制御や
癌化の一部に深く関わっていることが明らかとなってき
た。細胞増殖因子とその受容体が複合体を形成するとチ
ロシンキナーゼ活性をもつようになるが、この種の細胞
増殖因子および受容体には、上皮増殖因子(EGF)と
EGE受容体(Ushiro,H. とCohen,S.,J.Biol.Chem. 2
55, 8363(1980))、インシュリンとインシュリン受容体
(Kasuga,M. ら,J.Biol.Chem. 257, 9891(1982))等が
知られている。細胞増殖因子およびチロシンキナーゼ
は、動脈硬化、発癌、炎症等の疾患と何らかの関わりを
有していると考えられており、これらの疾患のメカニズ
ムを解明し有効な治療法を見出だすために細胞増殖因子
およびその受容体を含めた細胞内情報伝達系に関する知
識が集積されつつある。
のに細胞増殖因子受容体がある。1970年代半ばにラウス
肉腫ウイルスの癌遺伝子産物がチロシン特異的プロテイ
ンキナーゼ活性を持つとの画期的な発見が成されて以来
(Hunter,T. とSefton,B.M.,Proc.Natl.Acad.Sci. 77,1
311 (1980))、チロシンキナーゼが細胞の増殖制御や
癌化の一部に深く関わっていることが明らかとなってき
た。細胞増殖因子とその受容体が複合体を形成するとチ
ロシンキナーゼ活性をもつようになるが、この種の細胞
増殖因子および受容体には、上皮増殖因子(EGF)と
EGE受容体(Ushiro,H. とCohen,S.,J.Biol.Chem. 2
55, 8363(1980))、インシュリンとインシュリン受容体
(Kasuga,M. ら,J.Biol.Chem. 257, 9891(1982))等が
知られている。細胞増殖因子およびチロシンキナーゼ
は、動脈硬化、発癌、炎症等の疾患と何らかの関わりを
有していると考えられており、これらの疾患のメカニズ
ムを解明し有効な治療法を見出だすために細胞増殖因子
およびその受容体を含めた細胞内情報伝達系に関する知
識が集積されつつある。
【0005】このような状況の中で人工受容体を開発
し、医薬としての新しいアゴニストまたはアンタゴニス
トのスクリーニング、ハイブリッド型酵素結合抗体の酵
素免疫結合法(ELISA)への利用等が試みられてい
る。
し、医薬としての新しいアゴニストまたはアンタゴニス
トのスクリーニング、ハイブリッド型酵素結合抗体の酵
素免疫結合法(ELISA)への利用等が試みられてい
る。
【0006】例えば、ジェネンテック・インコーポレイ
テッドのグループは、細胞増殖因子受容体を模倣した人
工受容体を報告している(特開昭62-272990 号公報)。
この人工受容体は、受容体のリガンド結合領域と、受容
体と無関係なシグナル生成用リポーターポリペプチドと
からなり、遺伝子組換え技術を用いて作製される。ま
た、リポーターポリペプチドによって生成されるシグナ
ルとしては、上記チロシンキナーゼ活性のような酵素活
性等が利用され、また、リガンド結合領域としては、細
胞表面に存在する受容体の細胞外領域が使用されるが、
免疫グロブリンの抗原結合部位はリガンド結合領域とし
て使用されないことが明記されている。
テッドのグループは、細胞増殖因子受容体を模倣した人
工受容体を報告している(特開昭62-272990 号公報)。
この人工受容体は、受容体のリガンド結合領域と、受容
体と無関係なシグナル生成用リポーターポリペプチドと
からなり、遺伝子組換え技術を用いて作製される。ま
た、リポーターポリペプチドによって生成されるシグナ
ルとしては、上記チロシンキナーゼ活性のような酵素活
性等が利用され、また、リガンド結合領域としては、細
胞表面に存在する受容体の細胞外領域が使用されるが、
免疫グロブリンの抗原結合部位はリガンド結合領域とし
て使用されないことが明記されている。
【0007】ヌーバーガーら(特表昭62-500352 号公
報)は、免疫グロブリンの抗原結合部位に酵素、蛋白質
毒素、異種のIg分子蛋白質などの蛋白質を連結したキ
メラ抗体を開示している。特に、該キメラ抗体中に含ま
れる酵素蛋白質として、DNAポリメラーゼIのKlenow
断片およびヌクレアーゼが挙げられおり、また、このキ
メラ抗体を構成するIg分子部分は、抗原結合部位を有
する可変領域、CH1、ヒンジおよびCH2領域からな
る。このような酵素結合キメラ抗体は、ELISAにお
いて抗体と酵素を別々に使用する従来の方法の代替法と
して利用し得ることが提案されている。
報)は、免疫グロブリンの抗原結合部位に酵素、蛋白質
毒素、異種のIg分子蛋白質などの蛋白質を連結したキ
メラ抗体を開示している。特に、該キメラ抗体中に含ま
れる酵素蛋白質として、DNAポリメラーゼIのKlenow
断片およびヌクレアーゼが挙げられおり、また、このキ
メラ抗体を構成するIg分子部分は、抗原結合部位を有
する可変領域、CH1、ヒンジおよびCH2領域からな
る。このような酵素結合キメラ抗体は、ELISAにお
いて抗体と酵素を別々に使用する従来の方法の代替法と
して利用し得ることが提案されている。
【0008】天然由来の受容体は大量取得や安定性の点
で問題があるが、人工受容体は、そのような欠点を克服
し得るだけでなく、リガンド結合領域と信号感応領域と
の多様な組み合わせが可能となるためその応用範囲も限
りなく拡がることが予想される。
で問題があるが、人工受容体は、そのような欠点を克服
し得るだけでなく、リガンド結合領域と信号感応領域と
の多様な組み合わせが可能となるためその応用範囲も限
りなく拡がることが予想される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】免疫グロブリンは,動
物体内に侵入する異物(抗原)に対して防御的に産生さ
れる抗体を指す。抗原と抗体との反応は特異的であり、
特に、モノクローナル抗体は単一のエピトープに対する
ものであり高度の特異性を有している。従って、免疫グ
ロブリンの特異的抗原認識領域と、上記公報中リポータ
ーポリペプチドと称する信号感応領域とを含む人工受容
体が得られるならば、病原ウイルス、アレルゲン、腫瘍
特異抗原などの微量特定抗原を特異的かつ高感度に検出
し得る新規のバイオセンサーを提供し得ると共に、その
応用範囲も格段に拡がる可能性を持つと言える。従来の
抗原の定性および定量法としては、免疫沈降法、ELI
SA、ラジオイムノアッセイなどが知られているが、感
染若しくは発病初期の病原ウイルス抗原、腫瘍特異抗原
などの体液微量成分をこれらの従来法で検知しようとす
る場合、検出感度の点で少なからず限界があった。本発
明は、受容体の機能を利用する微量成分の高感度検出を
達成するものである。
物体内に侵入する異物(抗原)に対して防御的に産生さ
れる抗体を指す。抗原と抗体との反応は特異的であり、
特に、モノクローナル抗体は単一のエピトープに対する
ものであり高度の特異性を有している。従って、免疫グ
ロブリンの特異的抗原認識領域と、上記公報中リポータ
ーポリペプチドと称する信号感応領域とを含む人工受容
体が得られるならば、病原ウイルス、アレルゲン、腫瘍
特異抗原などの微量特定抗原を特異的かつ高感度に検出
し得る新規のバイオセンサーを提供し得ると共に、その
応用範囲も格段に拡がる可能性を持つと言える。従来の
抗原の定性および定量法としては、免疫沈降法、ELI
SA、ラジオイムノアッセイなどが知られているが、感
染若しくは発病初期の病原ウイルス抗原、腫瘍特異抗原
などの体液微量成分をこれらの従来法で検知しようとす
る場合、検出感度の点で少なからず限界があった。本発
明は、受容体の機能を利用する微量成分の高感度検出を
達成するものである。
【0010】本発明は、免疫グロブリンの抗原認識領域
と細胞膜表面受容体の信号感応領域を含むハイブリッド
蛋白質受容体およびその二量体を提供することを目的と
する。
と細胞膜表面受容体の信号感応領域を含むハイブリッド
蛋白質受容体およびその二量体を提供することを目的と
する。
【0011】本発明はまた、該受容体をセンサーとして
含む抗原測定用バイオセンサーおよびそれを用いる抗原
測定方法を提供することを目的とする。
含む抗原測定用バイオセンサーおよびそれを用いる抗原
測定方法を提供することを目的とする。
【0012】本発明は更に、該受容体をコードする塩基
配列を含むDNA、関連する発現ベクターおよび形質転
換体、並びに該受容体の製造方法を提供することを目的
とする。
配列を含むDNA、関連する発現ベクターおよび形質転
換体、並びに該受容体の製造方法を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、免疫グロブリ
ンの抗原認識領域と細胞膜表面受容体の信号感応領域と
を含む新規のハイブリッド蛋白質受容体を提供する。
ンの抗原認識領域と細胞膜表面受容体の信号感応領域と
を含む新規のハイブリッド蛋白質受容体を提供する。
【0014】ヌーバーガーら(特表昭62-500352 号公
報)によって開示された酵素結合キメラ抗体は、抗原の
結合の有無に拘らずはじめから酵素活性を有するもので
あるのに対し、本発明の受容体は、抗原が結合すること
によってはじめて酵素活性の発現および/または細胞増
殖などの信号を発生する点で画期的である。
報)によって開示された酵素結合キメラ抗体は、抗原の
結合の有無に拘らずはじめから酵素活性を有するもので
あるのに対し、本発明の受容体は、抗原が結合すること
によってはじめて酵素活性の発現および/または細胞増
殖などの信号を発生する点で画期的である。
【0015】本発明者らは、最初ヌーバーガーらによっ
て開示された方法に従い、酵素として上皮細胞増殖因子
受容体(EGFR)を用いてキメラ抗体を作製したとこ
ろこれはたしかにチロシンキナーゼ活性を有していた
が、その活性は抗原濃度に関係なく発現しバイオセンサ
ーとしての特性を有していなかった。チロシンキナーゼ
活性が免疫グロブリンに認識される抗原の量(濃度)に
比例して発現されるような方法を種々模索したところ、
上皮細胞増殖因子受容体とのキメラ抗体の場合は免疫グ
ロブリンの遺伝子領域の中から定常領域の一部CH2ド
メインを外して上皮細胞増殖因子受容体の遺伝子と結合
してキメラ抗体を発現させるとチロシンキナーゼ活性が
抗原濃度依存的に変化することを発見した(図5)。
て開示された方法に従い、酵素として上皮細胞増殖因子
受容体(EGFR)を用いてキメラ抗体を作製したとこ
ろこれはたしかにチロシンキナーゼ活性を有していた
が、その活性は抗原濃度に関係なく発現しバイオセンサ
ーとしての特性を有していなかった。チロシンキナーゼ
活性が免疫グロブリンに認識される抗原の量(濃度)に
比例して発現されるような方法を種々模索したところ、
上皮細胞増殖因子受容体とのキメラ抗体の場合は免疫グ
ロブリンの遺伝子領域の中から定常領域の一部CH2ド
メインを外して上皮細胞増殖因子受容体の遺伝子と結合
してキメラ抗体を発現させるとチロシンキナーゼ活性が
抗原濃度依存的に変化することを発見した(図5)。
【0016】理論に拘束されるつもりはないが、この理
由は上皮細胞増殖因子受容体のチロシンキナーゼ発現の
機構が二量体形成によっているためと解釈される。つま
りCH2ドメインを含むキメラ抗体ではCH2ドメイン
に含まれるシステインのために二つのキメラ抗体がジス
ルフィド結合によって抗原濃度非依存的に二量体を形成
し(図4のIgM−EGFR)、よって上皮細胞増殖因
子受容体のチロシンキナーゼ活性が抗原認識とは無関係
に常に誘導されるためと考えられる。
由は上皮細胞増殖因子受容体のチロシンキナーゼ発現の
機構が二量体形成によっているためと解釈される。つま
りCH2ドメインを含むキメラ抗体ではCH2ドメイン
に含まれるシステインのために二つのキメラ抗体がジス
ルフィド結合によって抗原濃度非依存的に二量体を形成
し(図4のIgM−EGFR)、よって上皮細胞増殖因
子受容体のチロシンキナーゼ活性が抗原認識とは無関係
に常に誘導されるためと考えられる。
【0017】したがって、ほっておけば二量体を形成す
る免疫グロブリン分子に加工を加え、上皮細胞増殖因子
受容体とのキメラ抗体が抗原なしには二量体を形成しな
いようにもっていくことが必要である(図4のIgM−
EGFRdCH2)。そのために、免疫グロブリンの抗
原認識領域が、H鎖−H鎖間のジスルフィド結合をもつ
ヒンジ領域および/またはCH2ドメインを含まないよ
うにハイブリッド蛋白質受容体を形成することによっ
て、結合抗原濃度依存的に該受容体の信号感応領域が活
性化されるようになり、抗原の定性、定量分析への使用
が可能となった。
る免疫グロブリン分子に加工を加え、上皮細胞増殖因子
受容体とのキメラ抗体が抗原なしには二量体を形成しな
いようにもっていくことが必要である(図4のIgM−
EGFRdCH2)。そのために、免疫グロブリンの抗
原認識領域が、H鎖−H鎖間のジスルフィド結合をもつ
ヒンジ領域および/またはCH2ドメインを含まないよ
うにハイブリッド蛋白質受容体を形成することによっ
て、結合抗原濃度依存的に該受容体の信号感応領域が活
性化されるようになり、抗原の定性、定量分析への使用
が可能となった。
【0018】本明細書中、「抗原認識領域」とは、免疫
グロブリンのL鎖およびH鎖によって構成される、可変
領域を含むポリペプチドを意味する。この中には、H鎖
とL鎖が1つのポリペプチドで構成されるものも含まれ
る。このポリペプチドは、H鎖上にH鎖−H鎖間でのジ
スルフィド結合形成に関与するシステイン残基を含まな
いものが特に好ましい。
グロブリンのL鎖およびH鎖によって構成される、可変
領域を含むポリペプチドを意味する。この中には、H鎖
とL鎖が1つのポリペプチドで構成されるものも含まれ
る。このポリペプチドは、H鎖上にH鎖−H鎖間でのジ
スルフィド結合形成に関与するシステイン残基を含まな
いものが特に好ましい。
【0019】免疫グロブリンはIgA、IgD、Ig
E、、IgGおよびIgMの5つのクラスに分けられ
る。これらのクラスは、L鎖が同一であり、H鎖が互い
に異なる。また、免疫グロブリンは、通常、H鎖および
L鎖の2種のポリペプチド鎖がH2 L2 (IgG、Ig
A、IgD、IgE、膜結合型IgM)かあるいはH2
L2 のペンターマー(分泌型IgM)を構成している。
H−L間は合計2個の、またH−H間は1個以上のジス
ルフィド結合で結合されている。
E、、IgGおよびIgMの5つのクラスに分けられ
る。これらのクラスは、L鎖が同一であり、H鎖が互い
に異なる。また、免疫グロブリンは、通常、H鎖および
L鎖の2種のポリペプチド鎖がH2 L2 (IgG、Ig
A、IgD、IgE、膜結合型IgM)かあるいはH2
L2 のペンターマー(分泌型IgM)を構成している。
H−L間は合計2個の、またH−H間は1個以上のジス
ルフィド結合で結合されている。
【0020】本発明のハイブリッド蛋白質受容体中の抗
原認識領域は、上記5クラスのいずれのものであっても
よいが、好ましくはIgM、IgGおよびIgEのクラ
ス並びにサブクラスから選択される。IgM、IgGお
よびIgEはそのFc領域をそれぞれ、ある種のリンパ
球細胞、マクロファージおよび肥満細胞の細胞膜上の各
Fc受容体と結合して、B細胞増殖、ファゴサイトーシ
スおよびヒスタミン放出を誘導する抗原受容体として機
能することが知られている。
原認識領域は、上記5クラスのいずれのものであっても
よいが、好ましくはIgM、IgGおよびIgEのクラ
ス並びにサブクラスから選択される。IgM、IgGお
よびIgEはそのFc領域をそれぞれ、ある種のリンパ
球細胞、マクロファージおよび肥満細胞の細胞膜上の各
Fc受容体と結合して、B細胞増殖、ファゴサイトーシ
スおよびヒスタミン放出を誘導する抗原受容体として機
能することが知られている。
【0021】また、「信号感応領域」とは、抗原認識領
域即ち免疫グロブリン部分とは由来の異なる、細胞膜表
面受容体中のポリペプチドであって、抗原が認識領域に
結合した際に信号感応領域の性質を変化させ得るもので
あればいかなるものであっても良い。一般に、このよう
な性質の変化は、ハイブリッド蛋白質受容体の二量化、
コンホメーション変化等の構造変化によって酵素活性お
よび/または細胞増殖が発現され得るものが好ましい。
該信号感応領域は、自己リン酸化活性能を有する細胞増
殖因子受容体のものが好適であり、例えば上皮増殖因子
受容体、インシュリン受容体、血小板由来増殖因子受容
体、erbBのような遺伝子産物などの信号感応領域が
挙げられる。これらの受容体は何れもチロシンキナーゼ
活性を持つことが知られている。実際の細胞膜表面受容
体中の信号感応領域は、細胞内領域に存在しているが、
ハイブリッド化に際しては、該受容体の細胞内領域の全
体を必ずしも含有させる必要はなく、酵素活性発現およ
び/または細胞増殖が得られるならば所望の機能を示す
部分のみを含有すればよい。このような信号感応領域
は、受容体の二量化、コンホメーション変化等の構造変
化を介して活性を発現する酵素部分であってもよく、例
示した受容体の性質上特にホスホキナーゼが好ましい。
域即ち免疫グロブリン部分とは由来の異なる、細胞膜表
面受容体中のポリペプチドであって、抗原が認識領域に
結合した際に信号感応領域の性質を変化させ得るもので
あればいかなるものであっても良い。一般に、このよう
な性質の変化は、ハイブリッド蛋白質受容体の二量化、
コンホメーション変化等の構造変化によって酵素活性お
よび/または細胞増殖が発現され得るものが好ましい。
該信号感応領域は、自己リン酸化活性能を有する細胞増
殖因子受容体のものが好適であり、例えば上皮増殖因子
受容体、インシュリン受容体、血小板由来増殖因子受容
体、erbBのような遺伝子産物などの信号感応領域が
挙げられる。これらの受容体は何れもチロシンキナーゼ
活性を持つことが知られている。実際の細胞膜表面受容
体中の信号感応領域は、細胞内領域に存在しているが、
ハイブリッド化に際しては、該受容体の細胞内領域の全
体を必ずしも含有させる必要はなく、酵素活性発現およ
び/または細胞増殖が得られるならば所望の機能を示す
部分のみを含有すればよい。このような信号感応領域
は、受容体の二量化、コンホメーション変化等の構造変
化を介して活性を発現する酵素部分であってもよく、例
示した受容体の性質上特にホスホキナーゼが好ましい。
【0022】本発明のハイブリッド蛋白質受容体をin v
ivo で使用することも可能である。例えば、該受容体を
コードする遺伝子を含む線状化発現ベクターを動物細胞
内で相同的組換えを可能とする受容体関連遺伝子に相同
的組換えを起こすことによって、細胞膜表面に該受容体
を発現させ、この細胞上に抗原が結合したときに信号感
応領域が活性化され細胞増殖を誘導する。このような例
としては、リンパ球細胞を用いるB細胞増殖がある。
ivo で使用することも可能である。例えば、該受容体を
コードする遺伝子を含む線状化発現ベクターを動物細胞
内で相同的組換えを可能とする受容体関連遺伝子に相同
的組換えを起こすことによって、細胞膜表面に該受容体
を発現させ、この細胞上に抗原が結合したときに信号感
応領域が活性化され細胞増殖を誘導する。このような例
としては、リンパ球細胞を用いるB細胞増殖がある。
【0023】本発明の好適実施態様により、受容体は、
膜結合型IgMの抗原認識領域を含有する細胞外領域
と、細胞膜表面受容体の信号感応領域を含有する細胞内
領域とから構成される。このとき、該細胞外領域と該細
胞内領域との間に、該細胞膜表面受容体由来のまたはI
gM由来の膜貫通(トランスメンブラン)領域を含有さ
せることも可能である。
膜結合型IgMの抗原認識領域を含有する細胞外領域
と、細胞膜表面受容体の信号感応領域を含有する細胞内
領域とから構成される。このとき、該細胞外領域と該細
胞内領域との間に、該細胞膜表面受容体由来のまたはI
gM由来の膜貫通(トランスメンブラン)領域を含有さ
せることも可能である。
【0024】本発明はまた、上記ハイブリッド蛋白質受
容体の二量体も提供する。このような二量体は、免疫グ
ロブリンのH鎖−H鎖間でのジスルフィド結合形成に関
与するシステイン残基をもつ抗原認識領域を含有するハ
イブリッド蛋白質受容体の二量体(例えば、二量化Ig
M−EGFR)、および該システイン残基をもたない抗
原認識領域を含有するハイブリッド蛋白質受容体の二量
体(例えば、IgM−EGFRdCH2の二量体)の両
方を包含するものとする。但し、後者の二量体はその抗
原認識領域に抗原が結合することによって生成されるも
のを指す。
容体の二量体も提供する。このような二量体は、免疫グ
ロブリンのH鎖−H鎖間でのジスルフィド結合形成に関
与するシステイン残基をもつ抗原認識領域を含有するハ
イブリッド蛋白質受容体の二量体(例えば、二量化Ig
M−EGFR)、および該システイン残基をもたない抗
原認識領域を含有するハイブリッド蛋白質受容体の二量
体(例えば、IgM−EGFRdCH2の二量体)の両
方を包含するものとする。但し、後者の二量体はその抗
原認識領域に抗原が結合することによって生成されるも
のを指す。
【0025】本発明はさらに、上記ハイブリッド蛋白質
受容体をコードする塩基配列を含むDNAを提供する。
受容体をコードする塩基配列を含むDNAを提供する。
【0026】異なる蛋白質同士のハイブリッド化は、化
学合成法よりはむしろ伝統的な遺伝子組換え技術を用い
て実施し得る。以下にその基本操作を示す。
学合成法よりはむしろ伝統的な遺伝子組換え技術を用い
て実施し得る。以下にその基本操作を示す。
【0027】 (A)受容体細胞内領域をコードするDNA断片の調製 1)一次構造既知の細胞受容体に特徴的なアミノ酸配列
部分をコードする核酸プローブを合成し、 2)受容体を取得した生物の組織または細胞から該受容
体mRNAを取得し、このmRNAから受容体cDNA
ライブラリーを調製し、 3)コロニーハイブリダイゼーション法により、所望の
受容体をコードするcDNAを含有しているファージを
保有するコロニーをスクリーニングし、 4)受容体cDNAの塩基配列および推定アミノ酸配列
を決定して所望の受容体をコードするものであることを
確認し、並びに、 5)受容体をコードするDNAを含有するファージを特
定の制限酵素で消化し、精製し、該細胞内領域をコード
するDNA断片を得る。
部分をコードする核酸プローブを合成し、 2)受容体を取得した生物の組織または細胞から該受容
体mRNAを取得し、このmRNAから受容体cDNA
ライブラリーを調製し、 3)コロニーハイブリダイゼーション法により、所望の
受容体をコードするcDNAを含有しているファージを
保有するコロニーをスクリーニングし、 4)受容体cDNAの塩基配列および推定アミノ酸配列
を決定して所望の受容体をコードするものであることを
確認し、並びに、 5)受容体をコードするDNAを含有するファージを特
定の制限酵素で消化し、精製し、該細胞内領域をコード
するDNA断片を得る。
【0028】(B)特定抗原に特異的な免疫グロブリン
H又はL鎖発現ベクターの構築 1)適切な動物細胞培養物から所望の免疫グロブリンの
H又はL鎖mRNAを取得し、このmRNAからcDN
Aライブラリーを調製し、 2)合成プローブを用いるコロニーハイブリダイゼーシ
ョン法により、所望のH又はL鎖をコードするcDNA
を含有しているファージを保有するコロニーをスクリー
ニングし、 3)H又はL鎖をコードするDNAを含有するファージ
を特定の制限酵素で消化し、精製し、H又はL鎖をコー
ドするDNAを得、 4)H又はL鎖をコードするDNAを適切な制限酵素で
消化して、所望の抗原認識領域を構成するH又はL鎖ポ
リペプチドをコードするDNA断片を調製し、 5)H及び/又はL鎖ポリペプチドをコードするDNA
断片を適切なベクター内のプロモーター下流部位に組み
込み、免疫グロブリンH及び/又はL鎖発現ベクターを
作製する。このとき、免疫グロブリンH及びL鎖連結遺
伝子は、L鎖遺伝子の下流の部位に、抗原結合可能な高
次構造形成を妨げない任意ポリペプチドをコードする遺
伝子を介して、H鎖遺伝子を配置するのが好ましい。
H又はL鎖発現ベクターの構築 1)適切な動物細胞培養物から所望の免疫グロブリンの
H又はL鎖mRNAを取得し、このmRNAからcDN
Aライブラリーを調製し、 2)合成プローブを用いるコロニーハイブリダイゼーシ
ョン法により、所望のH又はL鎖をコードするcDNA
を含有しているファージを保有するコロニーをスクリー
ニングし、 3)H又はL鎖をコードするDNAを含有するファージ
を特定の制限酵素で消化し、精製し、H又はL鎖をコー
ドするDNAを得、 4)H又はL鎖をコードするDNAを適切な制限酵素で
消化して、所望の抗原認識領域を構成するH又はL鎖ポ
リペプチドをコードするDNA断片を調製し、 5)H及び/又はL鎖ポリペプチドをコードするDNA
断片を適切なベクター内のプロモーター下流部位に組み
込み、免疫グロブリンH及び/又はL鎖発現ベクターを
作製する。このとき、免疫グロブリンH及びL鎖連結遺
伝子は、L鎖遺伝子の下流の部位に、抗原結合可能な高
次構造形成を妨げない任意ポリペプチドをコードする遺
伝子を介して、H鎖遺伝子を配置するのが好ましい。
【0029】(C)免疫グロブリンH及び/又はL鎖−
受容体ハイブリッド蛋白質発現ベクターの構築 1)段階(B)で得た免疫グロブリンH及び/又はL鎖
発現ベクターを特定の制限酵素で消化し、 2)このベクター断片中の抗原認識領域コード配列に任
意の方向で、好ましくはその下流側に段階(A)で得た
受容体細胞内領域をコードするDNA断片を連結し、お
よび、 3)所望の方向性で含まれるクローンをコロニーハイブ
リダイゼーション法によりスクリーニングして、免疫グ
ロブリンH及び/又はL鎖−受容体ハイブリッド蛋白質
発現ベクターを得る。
受容体ハイブリッド蛋白質発現ベクターの構築 1)段階(B)で得た免疫グロブリンH及び/又はL鎖
発現ベクターを特定の制限酵素で消化し、 2)このベクター断片中の抗原認識領域コード配列に任
意の方向で、好ましくはその下流側に段階(A)で得た
受容体細胞内領域をコードするDNA断片を連結し、お
よび、 3)所望の方向性で含まれるクローンをコロニーハイブ
リダイゼーション法によりスクリーニングして、免疫グ
ロブリンH及び/又はL鎖−受容体ハイブリッド蛋白質
発現ベクターを得る。
【0030】(D)免疫グロブリン−受容体ハイブリッ
ド蛋白質の産生 1)段階(C)で得た免疫グロブリンH及びL鎖−受容
体ハイブリッド蛋白質発現ベクター単独か又は、免疫グ
ロブリンH又はL鎖−受容体ハイブリッド蛋白質発現ベ
クター及び段階(B)で得た免疫グロブリンL又はH鎖
発現ベクターの両方を真核宿主細胞内に導入して宿主を
形質転換し、 2)得られた形質転換体を適切な培地中で培養してハイ
ブリッド蛋白質を発現、分泌させ、および、 3)ハイブリッド蛋白質を回収する。
ド蛋白質の産生 1)段階(C)で得た免疫グロブリンH及びL鎖−受容
体ハイブリッド蛋白質発現ベクター単独か又は、免疫グ
ロブリンH又はL鎖−受容体ハイブリッド蛋白質発現ベ
クター及び段階(B)で得た免疫グロブリンL又はH鎖
発現ベクターの両方を真核宿主細胞内に導入して宿主を
形質転換し、 2)得られた形質転換体を適切な培地中で培養してハイ
ブリッド蛋白質を発現、分泌させ、および、 3)ハイブリッド蛋白質を回収する。
【0031】従って、上記のハイブリッド蛋白質受容体
をコードするDNAを含む複製可能な発現ベクター、該
ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体、お
よびハイブリッド蛋白質受容体の製造方法も本発明の範
囲に含まれる。
をコードするDNAを含む複製可能な発現ベクター、該
ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体、お
よびハイブリッド蛋白質受容体の製造方法も本発明の範
囲に含まれる。
【0032】発現ベクターは、ハイブリッド蛋白質受容
体をコードしているDNAが発現および複製可能なよう
に、該DNAの上流にプロモーター配列を含み、必要に
応じてリボソーム結合部位、複製起点、転写終結部位な
どの配列を含む。また、所望のDNAを発現するコロニ
ーのスクリーニングが容易となるように選択マーカー配
列を含み得る。
体をコードしているDNAが発現および複製可能なよう
に、該DNAの上流にプロモーター配列を含み、必要に
応じてリボソーム結合部位、複製起点、転写終結部位な
どの配列を含む。また、所望のDNAを発現するコロニ
ーのスクリーニングが容易となるように選択マーカー配
列を含み得る。
【0033】プロモーターとしては、酵母のような真核
宿主細胞の場合、例えば例えば3−ホスホグリセレート
キナーゼ(Hitzenman ら,J.Biol.Chem.,255:2073(198
0))、他の解糖系酵素(Hessら,J.Adv.Enzyme Reg.,7:1
49(1968);Hollandら,Biochemistry,17:4900(1978) )等
が使用され、また哺乳動物細胞のような宿主細胞の場
合、例えば常用のプロモーターはポリオーマウイルス、
アデノウイルス2から誘導される、更に一般的にはサル
ウイルス40(SV40)から誘導される、特にSV40ウ
イルスの初期プロモーターまたは後期プロモーターある
いは免疫グロブリンプロモーターが好適に使用され得
る。
宿主細胞の場合、例えば例えば3−ホスホグリセレート
キナーゼ(Hitzenman ら,J.Biol.Chem.,255:2073(198
0))、他の解糖系酵素(Hessら,J.Adv.Enzyme Reg.,7:1
49(1968);Hollandら,Biochemistry,17:4900(1978) )等
が使用され、また哺乳動物細胞のような宿主細胞の場
合、例えば常用のプロモーターはポリオーマウイルス、
アデノウイルス2から誘導される、更に一般的にはサル
ウイルス40(SV40)から誘導される、特にSV40ウ
イルスの初期プロモーターまたは後期プロモーターある
いは免疫グロブリンプロモーターが好適に使用され得
る。
【0034】宿主としては、酵母、動物細胞等の真核細
胞が使用される。受容体はしばしば、多数のS−S結合
を介してサブユニット構造を形成しており、またグリコ
シル化等の翻訳後修飾を受けているため、このように複
雑な構造をもつハイブリッド蛋白質受容体の発現におい
ては真核細胞を使用するのが好都合である。
胞が使用される。受容体はしばしば、多数のS−S結合
を介してサブユニット構造を形成しており、またグリコ
シル化等の翻訳後修飾を受けているため、このように複
雑な構造をもつハイブリッド蛋白質受容体の発現におい
ては真核細胞を使用するのが好都合である。
【0035】ある種のミエローマ細胞系、特にマウスミ
エローマJ558L 細胞は、免疫グロブリンL鎖の一種であ
るλ1鎖を分泌するため、この細胞にH鎖の遺伝子を導
入することにより完全な免疫グロブリンを分泌する細胞
を得ることができる(Oiら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
80,825-826(1983))。それ故、J558L 細胞を、H鎖ポリ
ペプチドをコードする遺伝子と受容体細胞内領域をコー
ドする遺伝子との連結遺伝子を含有する発現プラスミド
で形質転換することにより、所定の位置にL鎖の結合し
たハイブリッド蛋白質受容体を容易に得ることができる
だろう。従って、宿主としてこのようなミエローマ細胞
系を使用するのがさらに好都合である。ハイブリッド蛋
白質受容体をコードする遺伝子を含む発現ベクターで宿
主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、ハ
イブリッド蛋白質を発現、分泌させ、次いで該受容体を
回収することによって、ハイブリッド蛋白質受容体を製
造し得る。このような該受容体の製造方法も本発明の範
囲に含まれる。
エローマJ558L 細胞は、免疫グロブリンL鎖の一種であ
るλ1鎖を分泌するため、この細胞にH鎖の遺伝子を導
入することにより完全な免疫グロブリンを分泌する細胞
を得ることができる(Oiら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
80,825-826(1983))。それ故、J558L 細胞を、H鎖ポリ
ペプチドをコードする遺伝子と受容体細胞内領域をコー
ドする遺伝子との連結遺伝子を含有する発現プラスミド
で形質転換することにより、所定の位置にL鎖の結合し
たハイブリッド蛋白質受容体を容易に得ることができる
だろう。従って、宿主としてこのようなミエローマ細胞
系を使用するのがさらに好都合である。ハイブリッド蛋
白質受容体をコードする遺伝子を含む発現ベクターで宿
主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、ハ
イブリッド蛋白質を発現、分泌させ、次いで該受容体を
回収することによって、ハイブリッド蛋白質受容体を製
造し得る。このような該受容体の製造方法も本発明の範
囲に含まれる。
【0036】本発明はまた、上記ハイブリッド蛋白質受
容体をセンサーとして含む抗原測定用バイオセンサーを
提供する。
容体をセンサーとして含む抗原測定用バイオセンサーを
提供する。
【0037】このバイオセンサーは、該受容体上の抗原
認識領域に特定抗原が特異的に結合すると、受容体蛋白
質が二量化、コンホメーション変化等の構造変化を起こ
すことにより該受容体上の信号感応領域を活性化し、こ
れによって発生した信号を検出することにより、抗原の
定性および定量分析を可能にする。信号の検出は、invi
troでは好ましくは酵素活性の発現で捕えるのがよく、
より好ましくはホスホキナーゼ活性を測定するのがよ
い。ホスホキナーゼ活性は、受容体自体または外部添加
基質中に取込まれた放射性リン(32P)の量を測定する
ことにより求められる。あるいは、in vivo では細胞増
殖量を検出する方法でも可能である。従って、このよう
な検出方法は、複数の情報伝達段階を経て信号が増幅さ
れるため、ナノモル以下のレベルの抗原を高感度に検出
し得る利点をもつ。
認識領域に特定抗原が特異的に結合すると、受容体蛋白
質が二量化、コンホメーション変化等の構造変化を起こ
すことにより該受容体上の信号感応領域を活性化し、こ
れによって発生した信号を検出することにより、抗原の
定性および定量分析を可能にする。信号の検出は、invi
troでは好ましくは酵素活性の発現で捕えるのがよく、
より好ましくはホスホキナーゼ活性を測定するのがよ
い。ホスホキナーゼ活性は、受容体自体または外部添加
基質中に取込まれた放射性リン(32P)の量を測定する
ことにより求められる。あるいは、in vivo では細胞増
殖量を検出する方法でも可能である。従って、このよう
な検出方法は、複数の情報伝達段階を経て信号が増幅さ
れるため、ナノモル以下のレベルの抗原を高感度に検出
し得る利点をもつ。
【0038】本発明のバイオセンサーは、例えば緩衝液
に溶解された該受容体の溶液形態であってもよいし、ま
たは膜などの担体上に活性発現可能なように吸着若しく
は固定化された形態であってもよい。バイオセンサー
は、通常、該受容体を安定に維持し得る緩衝液中で使用
され、必要によりグリセロール等の蛋白質安定化剤を含
み得る。
に溶解された該受容体の溶液形態であってもよいし、ま
たは膜などの担体上に活性発現可能なように吸着若しく
は固定化された形態であってもよい。バイオセンサー
は、通常、該受容体を安定に維持し得る緩衝液中で使用
され、必要によりグリセロール等の蛋白質安定化剤を含
み得る。
【0039】本発明はさらに、上記バイオセンサーを使
用する抗原測定方法も提供する。
用する抗原測定方法も提供する。
【0040】即ち、この方法は、バイオセンサーに抗原
を接触させて該バイオセンサーのハイブリッド蛋白質受
容体上の抗原認識領域に抗原を結合させる段階、抗原結
合を介して該ハイブリッド蛋白質受容体上の信号感応領
域を活性化する段階、及び発生した信号を検出する段階
を包含する。信号をホスホキナーゼ活性として検出する
場合、リン酸化を受けるペプチドもしくはタンパク質基
質のような外部添加基質の放射能を測定するか、または
受容体の自己リン酸化による放射能を測定することによ
って行なわれる。
を接触させて該バイオセンサーのハイブリッド蛋白質受
容体上の抗原認識領域に抗原を結合させる段階、抗原結
合を介して該ハイブリッド蛋白質受容体上の信号感応領
域を活性化する段階、及び発生した信号を検出する段階
を包含する。信号をホスホキナーゼ活性として検出する
場合、リン酸化を受けるペプチドもしくはタンパク質基
質のような外部添加基質の放射能を測定するか、または
受容体の自己リン酸化による放射能を測定することによ
って行なわれる。
【0041】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されない。
が、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0042】実施例 1 ハプテンNP特異的免疫グロブリンIgM−上皮増殖因
子受容体融合蛋白質発現プラスミドの構築 該発現プラスミドの構築のためにマウスIgMプラスミ
ドpSV−Vμ1(Neuberger, EMBO J. 2, 1373−1378
(1983))を使用した。このプラスミドは、ミエローマB
1−8由来の抗原NP(4−ヒドロキシ−3−ニトロフ
ェニル酢酸)特異的可変領域と、IgMの定常領域と、
選択マーカーとしての大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子
及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラ
ーゼ(gpt)とをコードするプラスミドである。ま
た、ヒトEGFRcDNAは、ヒト胎盤由来ライブラリーからク
ローニングされたEGFRcDNA(受容体蛋白質カルボキシル
末端部分)及び遺伝子バンク(JCRB−DNA)より
供給を受けたプローブcDNAであるpE7(受容体蛋
白質膜貫通領域〜キナーゼドメイン部分)を使用した。
子受容体融合蛋白質発現プラスミドの構築 該発現プラスミドの構築のためにマウスIgMプラスミ
ドpSV−Vμ1(Neuberger, EMBO J. 2, 1373−1378
(1983))を使用した。このプラスミドは、ミエローマB
1−8由来の抗原NP(4−ヒドロキシ−3−ニトロフ
ェニル酢酸)特異的可変領域と、IgMの定常領域と、
選択マーカーとしての大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子
及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラ
ーゼ(gpt)とをコードするプラスミドである。ま
た、ヒトEGFRcDNAは、ヒト胎盤由来ライブラリーからク
ローニングされたEGFRcDNA(受容体蛋白質カルボキシル
末端部分)及び遺伝子バンク(JCRB−DNA)より
供給を受けたプローブcDNAであるpE7(受容体蛋
白質膜貫通領域〜キナーゼドメイン部分)を使用した。
【0043】ハプテンNP特異的マウス免疫グロブリン
IgM発現プラスミドであるpSV−Vμ1から得たゲ
ル精製KpnIフラグメント(3.2kb)を、クローニ
ングベクターpUC119 をKpnIで切断したものにサブ
クローニングした。このベクターをPstIで消化した
後、ウシ小腸ホスファターゼで末端のリン酸を除き、I
gMのM1エクソンとpUC119 の複製起点を含むベク
ター断片5.6kbをゲルで精製した。これにEGFRcDNA
をコードするベクターをPstIで消化、ゲル精製して得
たEGFRの細胞質領域をコードする1.3kbの断片
を挿入した。そして所望の方向性で含まれるクローンを
スクリーニングした。このベクターで大腸菌dam- 株
GM33を形質転換し、プラスミドDNAを調製した。
このプラスミドをBclI(この酵素はdam- 株から得
たDNAしか切断し得ない)とClaIで消化し、M1ド
メインとEGFRcDNA配列を含む断片1.5kbをゲル精製
した。更にEGFRcDNAをコードするベクターをClaIとc
DNAの3′側に位置するポリリンカー配列中のSalI
で消化してEGFRcDNA断片1.0kbをゲル精製した。こ
れらの断片をGM33株より調製したpSV−Vμlを
BclIとXhoIで消化した後ゲル精製した15kbのベ
クター断片に挿入した。このようにして得られた発現プ
ラスミドをpSV−VμMERと命名した(図1参
照)。pSV−VμMERは、IgMの膜結合配列をコ
ードするM1ドメインからスプライシングを介してEG
FRの661番目の残基(EGFRの細胞質側に位置し
てキナーゼドメインの上流にある)に相当する塩基配列
を結合させたmRNAを転写させることにより、目的の
融合蛋白IgM−EGFRを発現する。
IgM発現プラスミドであるpSV−Vμ1から得たゲ
ル精製KpnIフラグメント(3.2kb)を、クローニ
ングベクターpUC119 をKpnIで切断したものにサブ
クローニングした。このベクターをPstIで消化した
後、ウシ小腸ホスファターゼで末端のリン酸を除き、I
gMのM1エクソンとpUC119 の複製起点を含むベク
ター断片5.6kbをゲルで精製した。これにEGFRcDNA
をコードするベクターをPstIで消化、ゲル精製して得
たEGFRの細胞質領域をコードする1.3kbの断片
を挿入した。そして所望の方向性で含まれるクローンを
スクリーニングした。このベクターで大腸菌dam- 株
GM33を形質転換し、プラスミドDNAを調製した。
このプラスミドをBclI(この酵素はdam- 株から得
たDNAしか切断し得ない)とClaIで消化し、M1ド
メインとEGFRcDNA配列を含む断片1.5kbをゲル精製
した。更にEGFRcDNAをコードするベクターをClaIとc
DNAの3′側に位置するポリリンカー配列中のSalI
で消化してEGFRcDNA断片1.0kbをゲル精製した。こ
れらの断片をGM33株より調製したpSV−Vμlを
BclIとXhoIで消化した後ゲル精製した15kbのベ
クター断片に挿入した。このようにして得られた発現プ
ラスミドをpSV−VμMERと命名した(図1参
照)。pSV−VμMERは、IgMの膜結合配列をコ
ードするM1ドメインからスプライシングを介してEG
FRの661番目の残基(EGFRの細胞質側に位置し
てキナーゼドメインの上流にある)に相当する塩基配列
を結合させたmRNAを転写させることにより、目的の
融合蛋白IgM−EGFRを発現する。
【0044】実施例 2 H鎖間のS−S結合を欠いたIgM−EGFRdCH2
発現プラスミドの構築 IgM−EGFR発現プラスミドであるpSV−VμM
ERから得たゲル精製SamI−ClaI断片3kb(Ig
MのCH1ドメイン中よりEGFRキナーゼドメイン中
までをコードする)を、クローニングベクターpUC11
9 のHincII(=SalI)サイトにClaIリンカーを組
み込んで作製したベクターpUC119 CのSmaI−Cla
I消化物にサブクローニングした。
発現プラスミドの構築 IgM−EGFR発現プラスミドであるpSV−VμM
ERから得たゲル精製SamI−ClaI断片3kb(Ig
MのCH1ドメイン中よりEGFRキナーゼドメイン中
までをコードする)を、クローニングベクターpUC11
9 のHincII(=SalI)サイトにClaIリンカーを組
み込んで作製したベクターpUC119 CのSmaI−Cla
I消化物にサブクローニングした。
【0045】このベクターを唯一の切断部位がIgMC
H2ドメインの3′側に存在するAflIIで完全消化した
後、SacIで部分消化し、T4DNAポリメラーゼで末
端を平滑化し、セルフライゲーションさせた。得られた
コロニーを培養し、目的のCH2ドメイン部分のDNA
断片のみを欠いたクローンをスクリーニングした。この
ベクターをSmaI,ClaIおよびDraIで消化し、Sma
I−ClaI 2.4kb断片をゲル精製した。これとpSV
−VμlのSmaI,XhoI消化物のゲル断片(13k
b)とEGFRcDNAをコードするベクターのClaI,SalI
消化物のゲル断片(1.0kb)をライゲーションさせ
て、発現プラスミドを作製した。スクリーニングの結果
目的のプラスミドを得てpSV−VμMER△CH2と
命名した(図2参照)。
H2ドメインの3′側に存在するAflIIで完全消化した
後、SacIで部分消化し、T4DNAポリメラーゼで末
端を平滑化し、セルフライゲーションさせた。得られた
コロニーを培養し、目的のCH2ドメイン部分のDNA
断片のみを欠いたクローンをスクリーニングした。この
ベクターをSmaI,ClaIおよびDraIで消化し、Sma
I−ClaI 2.4kb断片をゲル精製した。これとpSV
−VμlのSmaI,XhoI消化物のゲル断片(13k
b)とEGFRcDNAをコードするベクターのClaI,SalI
消化物のゲル断片(1.0kb)をライゲーションさせ
て、発現プラスミドを作製した。スクリーニングの結果
目的のプラスミドを得てpSV−VμMER△CH2と
命名した(図2参照)。
【0046】実施例 3 IgM−EGFR又はIgM−EGFRdCH2融合蛋
白質の発現 融合蛋白質を発現させるために、発現プラスミドをマウ
スミエローマJ558L細胞(Oiら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A. 80, 825-829 (1983))に導入した。J
558L細胞は免疫グロブリンL鎖の一種であるλ1鎖
を分泌するので、ここにH鎖の遺伝子を導入することに
より完全な免疫グロブリンを分泌する細胞を得ることが
できる。特にプラスミドpSV−Vμlを導入した場
合、分泌されたIgM抗体は抗原NPに対する結合性を
持つことが知られている(Neuberger ら、 Nature 31
2, 604-607 (1984))。J558L細胞へのDNA導入
法としては電気穿孔法を用いた。ゲル濾過法で精製して
エタノール沈殿させたpSV−VμMERあるいはpS
V−VμMER△CH2プラスミドのペレット20μg
を、250μlのハンクス緩衝液に溶解し、250μl
のハンクス緩衝液に懸濁させた1×107 のJ558L
細胞と混合させた。混合液を4mm幅のアルミニウム電極
入りチェンバーに入れて1kV/cm、0.2ミリ秒の矩型
波を2秒間隔で12回かけた。室温で10分間置いたあ
と、20mlの10%ウシ胎児血清入りDME(ダルベッ
コ改良イーグル)培地に細胞を移した。遺伝子導入され
たJ558L細胞は、37℃5%CO2 存在下で培養
し、翌日20mlの選択培地(DMEM+10%FCS、
6μg/mlミコフェノール酸、250μg/mlキサンチ
ン)を加え2日間培養した。その後2日毎に2回、20
mlの上清を除き20mlの新鮮な選択培地を加えた。
白質の発現 融合蛋白質を発現させるために、発現プラスミドをマウ
スミエローマJ558L細胞(Oiら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A. 80, 825-829 (1983))に導入した。J
558L細胞は免疫グロブリンL鎖の一種であるλ1鎖
を分泌するので、ここにH鎖の遺伝子を導入することに
より完全な免疫グロブリンを分泌する細胞を得ることが
できる。特にプラスミドpSV−Vμlを導入した場
合、分泌されたIgM抗体は抗原NPに対する結合性を
持つことが知られている(Neuberger ら、 Nature 31
2, 604-607 (1984))。J558L細胞へのDNA導入
法としては電気穿孔法を用いた。ゲル濾過法で精製して
エタノール沈殿させたpSV−VμMERあるいはpS
V−VμMER△CH2プラスミドのペレット20μg
を、250μlのハンクス緩衝液に溶解し、250μl
のハンクス緩衝液に懸濁させた1×107 のJ558L
細胞と混合させた。混合液を4mm幅のアルミニウム電極
入りチェンバーに入れて1kV/cm、0.2ミリ秒の矩型
波を2秒間隔で12回かけた。室温で10分間置いたあ
と、20mlの10%ウシ胎児血清入りDME(ダルベッ
コ改良イーグル)培地に細胞を移した。遺伝子導入され
たJ558L細胞は、37℃5%CO2 存在下で培養
し、翌日20mlの選択培地(DMEM+10%FCS、
6μg/mlミコフェノール酸、250μg/mlキサンチ
ン)を加え2日間培養した。その後2日毎に2回、20
mlの上清を除き20mlの新鮮な選択培地を加えた。
【0047】導入後10日〜14日で遺伝子導入細胞の
みが選択的に増殖してきたので、ある程度継代して死細
胞の割合が少なくなった所でNP−BSAを抗原として
用いたELISA間接法により細胞内のIgM−EGF
R蛋白発現量を定量した。すなわちあらかじめNP−B
SAを吸着させておいてマイクロタイタープレートに、
一定数の細胞(例えば106 )を 100μlの界面活性剤
Triton X-100 を1%含むPBS緩衝液で可溶化したラ
イセートを加えて室温で1時間置いた。そののち界面活
性剤 Tween 20 を0.1%含むPBS緩衝液で洗浄して
余分のライセートを除き、適度に希釈したペルオキシダ
ーゼ標識抗マウスIgM抗体を加え、室温で1時間置
く。その後洗浄して余分の抗体を除き、基質二塩酸オル
トフェニレンジアミンを含む反応液を加えて反応させて
マイクロプレートリーダーで492nmの吸光度を測定し
た。
みが選択的に増殖してきたので、ある程度継代して死細
胞の割合が少なくなった所でNP−BSAを抗原として
用いたELISA間接法により細胞内のIgM−EGF
R蛋白発現量を定量した。すなわちあらかじめNP−B
SAを吸着させておいてマイクロタイタープレートに、
一定数の細胞(例えば106 )を 100μlの界面活性剤
Triton X-100 を1%含むPBS緩衝液で可溶化したラ
イセートを加えて室温で1時間置いた。そののち界面活
性剤 Tween 20 を0.1%含むPBS緩衝液で洗浄して
余分のライセートを除き、適度に希釈したペルオキシダ
ーゼ標識抗マウスIgM抗体を加え、室温で1時間置
く。その後洗浄して余分の抗体を除き、基質二塩酸オル
トフェニレンジアミンを含む反応液を加えて反応させて
マイクロプレートリーダーで492nmの吸光度を測定し
た。
【0048】この結果、遺伝子導入細胞では導入されて
いないJ558L細胞に比べて吸光度が増大しているこ
とが判明した。そこでIgM−EGFR蛋白が発現され
ていると判断し、遺伝子導入細胞を限界希釈法によりク
ローニングを行なった。増殖してきたクローンについ
て、同様のELISA間接法による蛋白発現量の定量を
行ない、発現量の多いクローンを以下の実験に使用し
た。
いないJ558L細胞に比べて吸光度が増大しているこ
とが判明した。そこでIgM−EGFR蛋白が発現され
ていると判断し、遺伝子導入細胞を限界希釈法によりク
ローニングを行なった。増殖してきたクローンについ
て、同様のELISA間接法による蛋白発現量の定量を
行ない、発現量の多いクローンを以下の実験に使用し
た。
【0049】まず免疫沈降法によりIgM−EGFR蛋
白の核サブユニットの分子量を確認した。対数増殖期の
細胞5×107 をメチオニンフリーのMEM+1%FC
S培地で洗浄した後、3.7MBq(100μCi)の
[35S]メチオニンを含む4mlメチオニンフリーMEM
+1%FCSで37℃,3時間培養した。PBSで2回
洗浄し、0.5mlの可溶化緩衝液(20mM Hepes, 150mM
NaCl, 10% glycerol,1% Triton X-100, 1.5mM MgCl2 ,
1.0mM EGTA, 1% 1mg/ml アプロチニン,1%1 mg/ml ロ
イペプチン,1mM PMSF, pH7.5 )で細胞膜を溶かし0℃
で10分間おいた後、15 krpm で10分間遠心して核
を除いた。上清を2分し、予め30分間、4℃でプロテ
インAセファロースビーズ(Sigma )に結合させておい
たウサギ抗マウスIgM(Zymed :コスモバイオ)ある
いはウサギ抗ヒトEGFRと混合し、4℃、60分間回
転混合させた。ビーズを洗浄緩衝液1(50mM Hepes, 50
0mM NaCl, 0.1% SDS, 0.2% Triton X-100, 5mM EGTA, p
H 8.0)で4回、洗浄緩衝液2(50mM Hepes, 150mM NaC
l, 0.1% SDS, 0.2% Triton X-100, 5mM EGTA, pH8.0)で
1回洗浄し、50μlの2×泳動用緩衝液(0.125M Tri
s-HCl, 4% SDS,10% 2-メルカプトエタノール,pH 6.8)
で95℃で3分間処理してSDS/9%ポリアクリルア
ミド電気泳動を行った(Laemmli 、Nature, 277,680-
685 (1970))。泳動終了後30%メタノール−10%酢
酸で30分処理したのち増感液(EN3 HANCE, Du Pont)
で20分処理し、乾燥して−80℃,2日間オートラジ
オグラフィーを行なった。この結果、発現ベクターを導
入した細胞では抗IgMと抗EGFRの両方の抗体によ
って認識される分子量120−140キロダルトンのH
鎖のバンドと30キロダルトンのL鎖のバンドの両方が
確認された(図3)。
白の核サブユニットの分子量を確認した。対数増殖期の
細胞5×107 をメチオニンフリーのMEM+1%FC
S培地で洗浄した後、3.7MBq(100μCi)の
[35S]メチオニンを含む4mlメチオニンフリーMEM
+1%FCSで37℃,3時間培養した。PBSで2回
洗浄し、0.5mlの可溶化緩衝液(20mM Hepes, 150mM
NaCl, 10% glycerol,1% Triton X-100, 1.5mM MgCl2 ,
1.0mM EGTA, 1% 1mg/ml アプロチニン,1%1 mg/ml ロ
イペプチン,1mM PMSF, pH7.5 )で細胞膜を溶かし0℃
で10分間おいた後、15 krpm で10分間遠心して核
を除いた。上清を2分し、予め30分間、4℃でプロテ
インAセファロースビーズ(Sigma )に結合させておい
たウサギ抗マウスIgM(Zymed :コスモバイオ)ある
いはウサギ抗ヒトEGFRと混合し、4℃、60分間回
転混合させた。ビーズを洗浄緩衝液1(50mM Hepes, 50
0mM NaCl, 0.1% SDS, 0.2% Triton X-100, 5mM EGTA, p
H 8.0)で4回、洗浄緩衝液2(50mM Hepes, 150mM NaC
l, 0.1% SDS, 0.2% Triton X-100, 5mM EGTA, pH8.0)で
1回洗浄し、50μlの2×泳動用緩衝液(0.125M Tri
s-HCl, 4% SDS,10% 2-メルカプトエタノール,pH 6.8)
で95℃で3分間処理してSDS/9%ポリアクリルア
ミド電気泳動を行った(Laemmli 、Nature, 277,680-
685 (1970))。泳動終了後30%メタノール−10%酢
酸で30分処理したのち増感液(EN3 HANCE, Du Pont)
で20分処理し、乾燥して−80℃,2日間オートラジ
オグラフィーを行なった。この結果、発現ベクターを導
入した細胞では抗IgMと抗EGFRの両方の抗体によ
って認識される分子量120−140キロダルトンのH
鎖のバンドと30キロダルトンのL鎖のバンドの両方が
確認された(図3)。
【0050】次に融合蛋白質の蛋白質チロシンキナーゼ
活性を測定した。107 の細胞を500μlの可溶化緩
衝液で可溶化して3mgのNPカプロン酸アフィニティー
カラムと4℃60分間回転混合させた。NPカプロン酸
アフィニティーカラムは30mgのNPカプロン酸(Camb
ridge Research Biochemicals :コスモバイオ)、30
mgの水溶性カルボジイミド(和光純薬)1mlのEAH−
セファロース4B(ファルマシア)をまぜてpHを5〜
6に保ちながら一晩室温で回転混合したのち蒸留水でよ
く洗う事により作製した。回転させた細胞ライセートと
カラムは15 krpm で1分間遠心して上清を除き、ペレ
ットを500μlの HNTG500緩衝液(20mM Hepes, 500m
M NaCl, 0.1% Triton X-100, 10% glycerol,pH 7.5 )
で4回洗浄しHNTG緩衝液(20mM Hepes, 150mM NaC
l, 0.1% Triton X-100, 10%glycerol, pH 7.5)で1回
洗浄した。ペレットに25μlの1 mM NPカプロン酸
を含むHNTG緩衝液を加えてよくまぜ、氷上で5分置
き15 krpm で1分間遠心して上清20μlを回収し
た。これにγ位を[32P]でラベルしたATP111 kBq
(3μCi), 15mM MnCl2 , 100μM Na3 VO4 を含む
HNTG緩衝液10μlを加えて37℃で5分反応さ
せ、蛋白質に取り込まれた[32P]をSDS/6%ポリ
アクリルアミド電気泳動後のオートラジオグラフィーで
検出した。このときサンプルは二分し、一方(15μ
l)には2−メルカプトエタノールを含まない4×泳動
用緩衝液5μlを加えて95℃3分間処理して同時に泳
動した(図4)。
活性を測定した。107 の細胞を500μlの可溶化緩
衝液で可溶化して3mgのNPカプロン酸アフィニティー
カラムと4℃60分間回転混合させた。NPカプロン酸
アフィニティーカラムは30mgのNPカプロン酸(Camb
ridge Research Biochemicals :コスモバイオ)、30
mgの水溶性カルボジイミド(和光純薬)1mlのEAH−
セファロース4B(ファルマシア)をまぜてpHを5〜
6に保ちながら一晩室温で回転混合したのち蒸留水でよ
く洗う事により作製した。回転させた細胞ライセートと
カラムは15 krpm で1分間遠心して上清を除き、ペレ
ットを500μlの HNTG500緩衝液(20mM Hepes, 500m
M NaCl, 0.1% Triton X-100, 10% glycerol,pH 7.5 )
で4回洗浄しHNTG緩衝液(20mM Hepes, 150mM NaC
l, 0.1% Triton X-100, 10%glycerol, pH 7.5)で1回
洗浄した。ペレットに25μlの1 mM NPカプロン酸
を含むHNTG緩衝液を加えてよくまぜ、氷上で5分置
き15 krpm で1分間遠心して上清20μlを回収し
た。これにγ位を[32P]でラベルしたATP111 kBq
(3μCi), 15mM MnCl2 , 100μM Na3 VO4 を含む
HNTG緩衝液10μlを加えて37℃で5分反応さ
せ、蛋白質に取り込まれた[32P]をSDS/6%ポリ
アクリルアミド電気泳動後のオートラジオグラフィーで
検出した。このときサンプルは二分し、一方(15μ
l)には2−メルカプトエタノールを含まない4×泳動
用緩衝液5μlを加えて95℃3分間処理して同時に泳
動した(図4)。
【0051】実施例 4 IgM−EGFR又はIgM−EGFRdCH2発現蛋
白質のタンパク質キナーゼ活性および抗IgM抗体また
は抗原(NP−BSA)によるキナーゼ活性の変化の測
定 実施例3に示した方法で得たIgM−EGFRあるいは
CH2ドメインを欠いたIgM−EGFR蛋白(IgM
−EGFRdCH2と呼ぶ)を発現する細胞株につい
て、その発現する蛋白のライセート中でのキナーゼ活性
を以下の方法で測定した。
白質のタンパク質キナーゼ活性および抗IgM抗体また
は抗原(NP−BSA)によるキナーゼ活性の変化の測
定 実施例3に示した方法で得たIgM−EGFRあるいは
CH2ドメインを欠いたIgM−EGFR蛋白(IgM
−EGFRdCH2と呼ぶ)を発現する細胞株につい
て、その発現する蛋白のライセート中でのキナーゼ活性
を以下の方法で測定した。
【0052】得られた細胞を1% Triton X-100, 150mM
NaCl,10%グリセリン, 1.5mMMgCl2 ,1.0mM EGTA,
1mM PMSF(フェニルメタンスルホニルフルオリド),1
0μg/mlアプロチニン,10μg/mlロイペプチンを
含むHEPES緩衝液(pH7.5)で濃度を108 細胞/m
lとなる様に可溶化して氷上に5分間置いた後15Krpm
で5分間遠心し核を除いた。そして上清を20μlづつ
に小分けして1μlの抗IgM抗体あるいは抗原NPカ
プロン酸BSAと氷上でプレインキュベーションをおこ
なった。その後10μlの3μCiの[γ32P]ATP
を含む反応液を加え、37℃10分間反応をおこないそ
のうち15μlを抗IgM抗体を用いた免疫沈降に供し
た。そして免疫沈降させた融合蛋白に含まれるラベルさ
れたリン酸基の量をSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動とオートラジオグラフィーで測定した(図5)。
J558Lでは融合蛋白のバンドが認められず、他のバ
ンドの濃度にも変化が認められないのに対し、IgM−
EGFRdCH2蛋白発現細胞では融合蛋白に相当する
分子量のバンドの濃度が、抗IgM抗体あるいは抗原の
濃度に依存して変化することが確認された。すなわち抗
IgM抗体あるいは抗原の濃度に依存して融合蛋白の自
己リン酸化活性が変化する(融合蛋白がセンサー活性を
持つ)ことが確認された。CH2ドメインを持ったIg
M−EGFR蛋白発現細胞では融合蛋白のバンドは見ら
れたがこの様な変化は見られなかった。すなわちCH2
ドメインの有無がセンサー活性の有無に密接に関与する
ことが分かった。
NaCl,10%グリセリン, 1.5mMMgCl2 ,1.0mM EGTA,
1mM PMSF(フェニルメタンスルホニルフルオリド),1
0μg/mlアプロチニン,10μg/mlロイペプチンを
含むHEPES緩衝液(pH7.5)で濃度を108 細胞/m
lとなる様に可溶化して氷上に5分間置いた後15Krpm
で5分間遠心し核を除いた。そして上清を20μlづつ
に小分けして1μlの抗IgM抗体あるいは抗原NPカ
プロン酸BSAと氷上でプレインキュベーションをおこ
なった。その後10μlの3μCiの[γ32P]ATP
を含む反応液を加え、37℃10分間反応をおこないそ
のうち15μlを抗IgM抗体を用いた免疫沈降に供し
た。そして免疫沈降させた融合蛋白に含まれるラベルさ
れたリン酸基の量をSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動とオートラジオグラフィーで測定した(図5)。
J558Lでは融合蛋白のバンドが認められず、他のバ
ンドの濃度にも変化が認められないのに対し、IgM−
EGFRdCH2蛋白発現細胞では融合蛋白に相当する
分子量のバンドの濃度が、抗IgM抗体あるいは抗原の
濃度に依存して変化することが確認された。すなわち抗
IgM抗体あるいは抗原の濃度に依存して融合蛋白の自
己リン酸化活性が変化する(融合蛋白がセンサー活性を
持つ)ことが確認された。CH2ドメインを持ったIg
M−EGFR蛋白発現細胞では融合蛋白のバンドは見ら
れたがこの様な変化は見られなかった。すなわちCH2
ドメインの有無がセンサー活性の有無に密接に関与する
ことが分かった。
【0053】
【発明の効果】免疫グロブリンの抗原認識領域と細胞膜
表面受容体の信号感応領域とを含む本発明のハイブリッ
ド蛋白質受容体は、受容体の機能を有し抗原結合量依存
的に信号を発生するため病原性ウイルス、アレルゲン、
腫瘍特異抗原などの微量特定抗原を特異的かつ高感度に
検出し得る利点をもつ。
表面受容体の信号感応領域とを含む本発明のハイブリッ
ド蛋白質受容体は、受容体の機能を有し抗原結合量依存
的に信号を発生するため病原性ウイルス、アレルゲン、
腫瘍特異抗原などの微量特定抗原を特異的かつ高感度に
検出し得る利点をもつ。
【図1】この図は、発現プラスミドpSV−VμMER
の構築方法を示す。
の構築方法を示す。
【図2】この図は、発現プラスミドpSV−VμMER
△CH2の構築方法を示す。
△CH2の構築方法を示す。
【図3】この図は、IgM−EGFRdCH2およびI
gM−EGFR発現蛋白質のSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動の結果を示す写真である。但し、バンデ
ィングは抗IgM抗体(M)又は抗EGFR抗体(E)
との免疫沈降反応による。
gM−EGFR発現蛋白質のSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動の結果を示す写真である。但し、バンデ
ィングは抗IgM抗体(M)又は抗EGFR抗体(E)
との免疫沈降反応による。
【図4】この図は、IgM−EGFRdCH2およびI
gM−EGFR発現蛋白質の蛋白質チロシンキナーゼ活
性を示す還元条件又は非還元条件下でのSDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。
gM−EGFR発現蛋白質の蛋白質チロシンキナーゼ活
性を示す還元条件又は非還元条件下でのSDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。
【図5】この図は、IgM−EGFRdCH2発現蛋白
質の、抗IgM抗体又はNP抗原濃度依存的自己リン酸
化活性を、リン酸化、SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動後オートラジオグラフィーで測定した結果を示
す写真(上)である。また、下の写真は、リン酸化活性
の抗原濃度依存性をより明瞭にするためのものであり、
リン酸化反応液を抗IgM抗体を結合したプロテインA
−セファロースカラムで処理して発現ハイブリッド受容
体蛋白質を精製した後、SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動にかけ、次いでオートラジオグラフィーで測
定した結果を示す。
質の、抗IgM抗体又はNP抗原濃度依存的自己リン酸
化活性を、リン酸化、SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動後オートラジオグラフィーで測定した結果を示
す写真(上)である。また、下の写真は、リン酸化活性
の抗原濃度依存性をより明瞭にするためのものであり、
リン酸化反応液を抗IgM抗体を結合したプロテインA
−セファロースカラムで処理して発現ハイブリッド受容
体蛋白質を精製した後、SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動にかけ、次いでオートラジオグラフィーで測
定した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/13 15/62 C12P 21/00 C 8214−4B 21/08 8214−4B G01N 27/327 27/416 33/566 9015−2J 33/577 B 9015−2J //(C12P 21/00 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) 7236−4B C12N 5/00 B 8828−4B 15/00 A
Claims (22)
- 【請求項1】 免疫グロブリンの抗原認識領域と細胞膜
表面受容体の信号感応領域とを含むハイブリッド蛋白質
受容体。 - 【請求項2】 前記抗原認識領域が、H鎖−H鎖間での
ジスルフィド結合形成に関与するシステイン残基を含ま
ない請求項1記載の受容体。 - 【請求項3】 前記免疫グロブリンがIgM、IgGま
たはIgEである請求項1又は2記載の受容体。 - 【請求項4】 前記細胞膜表面受容体が細胞増殖因子受
容体である請求項1又は2記載の受容体。 - 【請求項5】 前記細胞増殖因子が自己リン酸化活性を
有するものである請求項4記載の受容体。 - 【請求項6】 前記細胞増殖因子受容体が上皮増殖因子
受容体、インシュリン受容体、血小板由来増殖因子受容
体またはerbB遺伝子産物である請求項5記載の受容
体。 - 【請求項7】 前記信号感応領域が、受容体の構造変化
を介して活性を発現する酵素である請求項1又は2記載
の受容体。 - 【請求項8】 前記酵素がホスホキナーゼである請求項
7記載の受容体。 - 【請求項9】 前記受容体が、IgMの抗原認識領域含
有細胞外領域と、細胞膜表面受容体の信号感応領域含有
細胞内領域とからなる請求項1、2または4〜8の何れ
か一項に記載の受容体。 - 【請求項10】 前記受容体が、前記細胞外領域と前記
細胞内領域との間に膜貫通領域を更に有する請求項9記
載の受容体。 - 【請求項11】 前記膜貫通領域が前記細胞膜表面受容
体由来のものである請求項10記載の受容体。 - 【請求項12】 前記膜貫通領域がIgM由来のもので
ある請求項10記載の受容体。 - 【請求項13】 請求項1〜12の何れか一項に記載の
ハイブリッド蛋白質受容体の二量体。 - 【請求項14】 請求項1〜12の何れか一項に記載の
ハイブリッド蛋白質受容体をセンサーとして含む抗原測
定用バイオセンサー。 - 【請求項15】 請求項14記載のバイオセンサーに抗
原を接触させてバイオセンサーのハイブリッド蛋白質受
容体上の抗原認識領域に抗原を結合させる段階、 前記抗原結合を介して前記受容体上の信号感応領域を活
性化する段階、および、 発生した信号を検出する段階、を含む抗原測定方法。 - 【請求項16】 前記信号を、前記ハイブリッド蛋白質
受容体上の自己リン酸化部位のリン酸化またはリン酸化
を受ける外部添加基質のリン酸化で検出する請求項15
記載の方法。 - 【請求項17】 請求項1〜12の何れか一項に記載の
ハイブッリド蛋白質受容体をコードする塩基配列を含む
DNA。 - 【請求項18】 請求項17記載のDNAを含む複製可
能な発現ベクター。 - 【請求項19】 請求項18記載の発現ベククターで宿
主を形質転換して得られる形質転換体。 - 【請求項20】 前記宿主が真核細胞である請求項19
記載の形質転換体。 - 【請求項21】 前記真核細胞がミエローマ細胞系であ
る請求項20記載の形質転換体。 - 【請求項22】 請求項1〜12の何れか一項に記載の
ハイブリッド蛋白質受容体の製造方法であって、 請求項18記載の発現ベクターで宿主細胞を形質転換す
る工程、 前記宿主細胞を、ハイブリッド蛋白質受容体をコードす
るDNAを発現させ得る条件下で培養する工程、および
前記ハイブリッド蛋白質受容体を発現させ、これを回収
する工程、を含む方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3229453A JPH0543598A (ja) | 1991-08-15 | 1991-08-15 | 免疫グロブリンの抗原認識領域を含むハイブリツド蛋白質受容体、その製造方法およびそれを用いる抗原測定法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3229453A JPH0543598A (ja) | 1991-08-15 | 1991-08-15 | 免疫グロブリンの抗原認識領域を含むハイブリツド蛋白質受容体、その製造方法およびそれを用いる抗原測定法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0543598A true JPH0543598A (ja) | 1993-02-23 |
Family
ID=16892442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3229453A Pending JPH0543598A (ja) | 1991-08-15 | 1991-08-15 | 免疫グロブリンの抗原認識領域を含むハイブリツド蛋白質受容体、その製造方法およびそれを用いる抗原測定法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0543598A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998038324A3 (en) * | 1997-02-27 | 1999-01-28 | Boehringer Mannheim Corp | Chimeric cell-surface receptors that undergo antigen-induced association |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02174681A (ja) * | 1988-05-04 | 1990-07-06 | Yeda Res & Dev Co Ltd | 組換え体遺伝子対 |
-
1991
- 1991-08-15 JP JP3229453A patent/JPH0543598A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH02174681A (ja) * | 1988-05-04 | 1990-07-06 | Yeda Res & Dev Co Ltd | 組換え体遺伝子対 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO1998038324A3 (en) * | 1997-02-27 | 1999-01-28 | Boehringer Mannheim Corp | Chimeric cell-surface receptors that undergo antigen-induced association |
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