JP2002136292A - 新規なレセプター型ホスホチロシンホスファターゼ - Google Patents

新規なレセプター型ホスホチロシンホスファターゼ

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JP2002136292A
JP2002136292A JP2001252091A JP2001252091A JP2002136292A JP 2002136292 A JP2002136292 A JP 2002136292A JP 2001252091 A JP2001252091 A JP 2001252091A JP 2001252091 A JP2001252091 A JP 2001252091A JP 2002136292 A JP2002136292 A JP 2002136292A
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ptpase
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molecule
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cell
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Joseph Schlessinger
シュレシンガー,ジョセフ
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New York University NYU
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New York University NYU
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    • C12N9/16Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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    • AHUMAN NECESSITIES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規なレセプター型タンパク質のチロシンホス
ファターゼタンパク質または糖タンパク質を提供する。 【解決手段】白血球共通抗原(CD45)および白血球共通抗
原-関連タンパク質(LAR)以外のヒトレセプター型タンパ
ク質のチロシンホスファターゼ(R-PTPase)タンパク質ま
たは糖タンパク質分子、その機能的誘導体、もしくは他
の哺乳動物におけるその同等物であって、該分子が自然
界に存在するものである場合、該分子は自然界でそれと
結合している他のタンパク質または糖タンパク質を実質
的に含まず、自然界に存在する該分子は一般に哺乳動物
の肝臓、腎臓および脳に存在していることを特徴とする
上記分子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】生化学、細胞および分子生物
学の分野における本発明は、R−PTPase −α、βお
よびγ(ガンマ)と呼ばれる新規なレセプター型タンパ
ク質、チロシンホスファターゼタンパク質または糖タン
パク質、そのDNAコード、該タンパク質の製造法およ
び同定法、並びにPTPase 酵素活性と結合することが
でき、またこれを阻害または促進することのできる物質
をスクリーニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】幾つかの成長因子レセプターおよびチロ
シン特異的プロテインキナーゼとしてのレトロウィルス
がん遺伝子の同定によって、チロシン残基上におけるタ
ンパク質のリン酸化が細胞の成長コントロールに重要な
役割を果たしていることが示唆された。この考え方は最
近になって、シグナルトランスダクション(例えばホス
ホリパーゼCなど)に重要な役割を果たすと考えられる
チロシンリン酸化のレベルが成長因子刺激に際してその
活性増加と相関し、したがってチロシンリン酸化の機能
的役割を確立することとなった観察によって支持を得た
(Ullrich, A. etal., Cell 61:203-212, 1990)。
【0003】細胞タンパク質のチロシン残基のリン酸化
の程度およびパターンは、プロテイン−チロシンキナー
ゼ(PTKase ;ATP:プロテイン−チロシンO−ホ
スホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.112)お
よびプロテイン−チロシン−ホスファターゼ(PTPas
e ;プロテイン−チロシン−ホスフェートリン酸加水分
解酵素、EC3.1.3.48)の相反する活性によっ
て調節されている。PTKase の構造の特徴と進化、並
びに細胞成長の調節における役割が総説としてまとめら
れている(Hunter, T., et al., Annu. Rev. Biochem.
54:897-930, 1985; Ullrich, A. et al., 前出)。
【0004】チロシンキナーゼはセリン/トレオニン特
異的プロテインキナーゼと共通の起源をもつが、これと
は大きく異なる別の酵素のファミリーからなる(Hanks,
S. K.ら、Science 241:42-52, 1998)。チロシンキナー
ゼの活性における変化へと導くメカニズムについは、ト
ランスメンブラントポロジーを有するレセプター型チロ
シンキナーゼで最もよく理解されている(Ullrich, A.e
t al., 前出)。このようなキナーゼでは、これらの酵
素の細胞外ドメインへの特異的リガンドの結合がそのオ
リゴマー化を誘導してチロシンキナーゼ活性の増加とシ
グナルトランスダクション経路の活性化へと導くと考え
られる(Ullrich, A. et al., 前出)。突然変異または
過剰発現によるキナーゼ活性の調節異常が癌性形質転換
のメカニズムであるという知見によってこの活性の重要
性が支持されている(Hunter, T.et al., 前出; Ullric
h, A.et al., 1990, 前出)。
【0005】プロテインホスファターゼは少なくとも2
つの異なる区別されるファミリーからなり(Hunter, T.
Cell 58:1013-1016, 1989)、これはプロテインセリン
/トレオニンホスファターゼおよびプロテインチロシン
ホスファターゼである。これはセリン/トレオニン特異
的酵素とチロシン特異的酵素との間に明らかな配列類似
性を示すプロテインキナーゼとは対照的である。
【0006】PTPase 分子には2種類あるように思わ
れる。第1のグループは、保存性ホスファターゼ触媒ド
メインを1つ含む小さな可溶性酵素からなり、(1)胎
盤PTPase 1B(Charbonneau, H. et al., Proc. Na
tl. Acad. Sci. 86:5252-5256(1989);Chernoff, J. et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2735-2789, 199
0)、(2)T細胞PTPase (Cool, D.E. et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci.USA 86:5257-5261, 1989)、およ
び(3)ラット脳PTPase (Guan, K. et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 87:1501-1503, 1990)を含む。
【0007】第2のグループは、高分子量で、56−5
7アミノ酸によって隔てられた2つの一列に並ぶ反復保
存ドメインを含む、R−PTPase と呼ばれる、より複
雑でレセプターに結合したPTPaseからなる。R−P
TPase の一例としては、白血球共通抗原(LCA)
(Ralph, S.J., EMBO J., 6:1251-1257, 1987; Charbon
neau, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:718
2-7186, 1988)が挙げられる。CD45、T200およ
びLy−5(Thomas, M.L., Ann. Rev. Immunol., 7:33
9-369, 1989にまとめられている)としても知られるL
CAは、タンパク質のアミノ酸末端を必要とする別のス
プライシングによって共通の遺伝子から得られる造血細
胞(後期赤芽球を除く)中においてのみ発現する一群の
膜糖タンパク質からなる。CD45の正確な機能はまだ
分かっていないが、細胞毒性Tリンパ球およびナチュラ
ルキラー細胞の活性、IL−2レセプター発現、B細胞
の分化、およびTリンパ球の増殖を含む多数の過程にお
ける上記抗原の関与を多くの研究が示唆している(Pinge
l, J. T.ら、Cell 58:1055-1065, 1989)。
【0008】R−PTPase のその他の例としては、L
CA関連タンパク質、LAR(Streuli, M.ら、J. Exp.
Med., 168:1523-1530, 1988)およびLAR関連ショウジ
ョウバエタンパク質DLARおよびDPTP(Streuli,
M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8698-870
2, 1989)がある。Jirikらは、ヒト肝芽腫細胞系
HepG2由来のcDNAライブラリーを、LCAの2
つのPTPase ドメインをコードするプローブでスクリ
ーニングして(FASEB J. 4:A2082, 1990, 要旨2253)、
He−PTPと名付けた新規なR−PTPase をコード
するcDNAクローンを発見した。He−PTP遺伝子
は多くのヒトおよびマウス細胞系および組織で発現する
と思われた。
【0009】我々はPTPase の構造と多様性について
より多くの理解をし始めたのであるが、その細胞での機
能についてはまだ分からないことが多い。小さい可溶性
PTPase は「ハウスキーピング」機能をもつことが示
唆された(Tonke, N.K. et al., Biochemistry 27:8695
-8701, 1989)。一方、R−PTPase は細胞膜に位置
しており、細胞外リガンドによって制御される可能性が
あるので、その活性はより制限されると予測される。T
細胞におけるLCA(CD45)の役割に関しては、L
CAの発現が不十分なT細胞クローンは、特異的抗原ま
たはCD3の架橋によって刺激しても増殖できないこと
が見いだされた(Pingel, J.T. et al.,前出)。PTP
ase 架橋は、ヒトT細胞におけるT細胞レセプターCD
3媒介性の活性化を阻害する(Kiener, P.A. et al.,
J. Immunol. 143:23-28, 1989)。LCAのPTPase
活性はリンパ球特異的PTPase であるpp56lck
活性化で役割を演じる(Mustelin, T. et al., Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 86:6302-6306,1989; Ostergaard,
H.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8959-8
963, 1989)。これらの著者は、LCAのホスファター
ゼ活性がC末端チロシン残基の脱リン酸化によってpp
56lckを活性化し、これが次いでT細胞活性化に関係
するかも知れないとの仮説を出した。
【0010】LCA中の4つの保存システイン(ホスフ
ァターゼドメイン1つ当たりに2個)のうちのどれが人
工基質の酵素活性に必要であるかを決定するために、部
位特異的突然変異誘発を用いて、Streuliら(1
989、前出)はLCAのうちの1つのシステイン残基
(LCAホスファターゼドメイン−1の残基177)だ
けが活性のために必須であることを発見し、第1のホス
ファターゼドメインだけが酵素活性を有するらしい、と
示唆した。しかしながら、第2のドメインが異なる基質
を脱リン酸化するという可能性を排除できない。もっと
最近になって、Streuliら(EMBO J. 9:2399-240
7, 1990)は、LCA(およびLAR)の第2の保存ド
メインは検出しうるホスファターゼ活性を欠くが、ドメ
イン中の配列が基質特異性に影響を及ぼすことができる
と結論した。
【0011】ホスホチロシンの代謝をよりよく理解し、
コントロールするためには、キナーゼ活性の役割だけで
なく、ホスファターゼ酵素の作用も理解しなければなら
ない。細胞性ホスホチロシンの上昇はチロシンキナーゼ
自体の活性化を必要としないメカニズムによって起きる
のかも知れない。例えば、チロシンキナーゼ自体によら
ないv−crkがん遺伝子の発現が、今までによく知ら
れていないメカニズムによってチロシン残基のリン酸化
を誘導する(Mayer, B.J. et al., Nature 332:272-27
5, 1988)。特に細胞性チロシン−リン酸の通常は高い
代謝回転速度という観点からすると、おそらく、このよ
うな結果は基質の突然変異によるか、あるいは細胞性ホ
スファターゼ活性の一般的減少によるかのいずれかによ
るものである(Sefton, B.M. et al., Cell 20:807-81
6, 1980)。チロシンホスファターゼ阻害剤が細胞を
「逆形質転換(reversibly transfo
rm)」することができることを示すことによって、後
者の可能性が示唆された(Klarlund, J.K. Cell 41:707
-717, 1985)。したがって、PTPase は劣性がん遺伝
子となりうるとみなすことができる。
【0012】チロシンの脱リン酸化自体が重要な調節メ
カニズムとして機能しうることが徐々に明らかになって
いる。C末端チロシン残基の脱リン酸化がチロシンキナ
ーゼのsrcファミリーにおけるチロシンキナーゼ活性
を刺激する(Hunter, T., Cell 49:1-1, 1987)。チロ
シン脱リン酸化はMPF(成熟促進因子:matura
tion promoting factor)キナー
ゼの有糸分裂活性化に必須の段階であることが指摘され
てきた(Morla, A.O. et al., Cell 58:193-203, 198
9)。最後に、原始的な真核生物の突然変異分析によっ
て、細胞生理学におけるセリンホスファターゼの決定的
役割が確立された(Cyert, M.S. et al.,Cell 57:891-8
93, 1989)。これらの観察は、チロシンホスファターゼ
活性を制御するメカニズムについてより理解を深める必
要性を指摘している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】細胞成長、分化および
発癌のメカニズムについての重要な理解を得るために
は、これら膜レセプターの構造と機能との関係をさらに
分析することが当該分野で必要であることは明らかであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、可能性の
ある抗腫瘍遺伝子としての、さらにはトランスメンブラ
ンシグナリングの新たに発見された機構でのエフェクタ
ーとしての、細胞制御機構におけるR−PTPaseの
役割について考えた。かくして、彼らは、このようなプ
ロセスに関与すると思われるR−PTPaseの検索に
着手し、本明細書ではトランスメンブラントポロジーを
有するR−PTPaseファミリーの広範に発現された
新規メンバーの同定について開示する。重要なことに
は、その細胞外ドメインは以前に記載された他のどのR
−PTPaseにも無関係である。新規R−PTPas
eは、レセプターチロシンキナーゼに類似した方法で、
種々の異なる細胞外リガンドによる直接調節を受けやす
い。
【0015】従って、本発明は、白血球共通抗原(LC
AまたはCD45)および白血球共通抗原- 関連タンパ
ク質(LAR)以外のヒトレセプター型タンパク質のチ
ロシンホスファターゼ(R−PTPase)タンパク質
または糖タンパク質分子、ヒトR−PTPaseの機能
的誘導体または他の哺乳動物種におけるヒトR−PTP
aseの同等物を提供する。当該分子が天然由来のもの
である場合、この分子は自然界でそれと結合している他
のタンパク質や糖タンパク質を実質的に含まない。この
自然界に存在する分子は一般に哺乳動物の肝臓、腎臓お
よび脳に存在している。これとは別に、R−PTPas
e分子は天然由来のものでなくてもよく、例えば化学的
または組換え手法により製造されたものであり得る。
【0016】本発明の実質的に純粋なR−PTPase
タンパク質または糖タンパク質は天然由来の糖タンパク
質の生化学的精製により調製することができ、またR−
PTPaseは原核または真核細胞宿主での組換え手法
により生産することもできる。
【0017】とりわけ、本発明は、図4のアミノ酸配列
を有する分子R−PTPase、またはその機能的誘導
体に関するものである。他の態様では、本発明はヒトR
−PTPase−βに向けられる。さらに他の態様で
は、本発明はヒトR−PTPase−ガンマに向けられ
る。
【0018】本発明はさらに、マウスまたはヒト由来の
R−PTPase−α、またはヒト由来のR−PTPa
se−βもしくはR−PTPase−ガンマ、あるいは
その機能的誘導体をコードするヌクレオチド配列から本
質的に成る、cDNAまたはゲノムDNAの形のDNA
分子に関するものである。本発明はまた、発現ベヒクル
(運搬体)の形のDNA配列、およびこのDNAにより
形質転換された原核または真核細胞宿主に向けられる。
【0019】本発明には、さらに、本発明のR−PTP
aseタンパク質または糖タンパク質、もしくはその機
能的誘導体を生産する方法が含まれ、この方法は: (a) 培養条件下で該タンパク質を発現し得る宿主を培養
し; (b) 該タンパク質を発現させ;そして(c) 培養物から該
タンパク質を回収する;ことから成っている。
【0020】本発明は、R−PTPase−αタンパク
質または糖タンパク質に対して特異的な、ポリクローナ
ル、モノクローナル、またはキメラの抗体にも向けられ
る。
【0021】また、本発明は、被検者における正常また
は変異R−PTPaseをコードする核酸の存在を検出
する方法に関し、この方法は: (a) 被検者由来の細胞またはその抽出物を、正常または
変異R−PTPaseの少なくとも一部をコードするオ
リゴヌクレオチドプローブと、ハイブリダイゼーション
条件下で接触させ;そして(b) 該細胞の核酸へのプロー
ブのハイブリダイゼーションを測定し、これにより該核
酸の存在を検出する;ことから成っている。このDNA
は、アッセイに先立って、ポリメラーゼ・チェイン・リ
アクションを使って選択的に増幅させることができる。
【0022】本発明はさらに、細胞または被検者におけ
るR−PTPaseの存在を検出し、その量を測定する
方法に関し、この方法は: (a) 該細胞またはその抽出物を、R−PTPaseのエ
ピトープに対して特異的な抗体と接触させ;そして(b)
該細胞またはその抽出物への該抗体の結合を検出する
か、または結合した抗体の量を測定し、これによりR−
PTPaseの存在を検出し、その量を測定する;こと
から成っている。
【0023】本発明はまた、化学的または生物学的調製
物からR−PTPaseに結合し得る化合物を同定・単
離する方法に関し、この方法は: (a) R−PTPaseまたはそのリガンド結合部分を固
相マトリックスに付着させ; (b) 化学的または生物学的調製物を該固相マトリックス
と接触させて該化合物を結合させ、そして未結合物質を
洗い流し; (c) 該固相に結合した化合物の存在を検出し;そして、
単離するために、 (d) 結合した化合物を溶離し、これにより該化合物を単
離する;ことから成っている。
【0024】最後に、本発明は、R−PTPaseの酵
素活性を刺激または阻害し得る化合物を同定する方法を
含み、この方法は: (a) 純粋な形の、メンブラン調製物中の、または生存も
しくは固定した全細胞中のR−PTPaseと該化合物
とを接触させ; (b) 工程(a) からの混合物を十分な時間インキュベート
し; (c) R−PTPaseの酵素活性を測定し; (d) その酵素活性を、該化合物の不在下でインキュベー
トしたR−PTPaseのそれと比較し、これにより該
化合物が酵素活性を刺激するのかまたは阻害するのかを
判定する;ことから成っている。図面の説明 図1は、マウスR−PTPase−αの推定一次構造を
提示する。パネル(a)は、ファージラムダ−109 c
DNA挿入物の配列および推定R−PTPase−αタ
ンパク質配列(標準一文字アミノ酸表記を使用)を示
す。開始コドンATCはイタリック体で示してあり、停
止コドンは星印で示してある。推定トランスメンブラン
ドメイン(アミノ酸143−166)には下線が引いて
あり、細胞外ドメイン中の可能性のあるN−結合グリコ
シル化部位にも下線が引いてある。タンデムに反復され
たPTPaseドメイン(IおよびII)間の相同の境界
は四角のかっこで示してある。全ての既知R−PTPa
seの触媒ドメインに保存されたシステイン残基にも下
線が引いてある。パネル(b) は、R−PTPase−α
コード配列を含むラムダ−109 cDNAクローンの
概略的構造を示す。R−PTPaseドメインIおよび
IIは黒のボックスとして示してあり、トランスメンブラ
ンドメインには陰影が付けてある。図3に示したN−末
端切断型のPTP−DeltaCタンパク質の開始を矢
印(アミノ酸214)で示す。配列決定のためにnested
deletion を生成に使用された制限部位の位置も示して
ある。略号:TM,トランスメンブランドメイン;B,
BamHI部位;Bs,BstEII部位;N,NcoI部位;Nd,N
deI部位;P,PstI部位;R,EcoRI部位;S,SacII部
位;St,StuI部位。
【0025】図2は、マウスR−PTPase−α m
RNAの発現を示すノーザンブロットの図である。マウ
ス組織・細胞系由来の5μgのポリA+RNAをホルム
アルデヒド含有アガロースゲルで分画化し、プローブと
して全R−PTPase−αcDNAを使ってノーザン
分析にかけた。28Sおよび18SリボソームRNAの
位置を示す。
【0026】レーン:1,腎臓;2,肺;3,心臓;
4,胃;5,脳;6,脾臓;7,肝臓;8,NIH−3
T3線維芽細胞系 (Honegger, A.M. et al. (1987) Cel
l 51,199-209);9,BAFプレプロ−Bリンパ様細胞
系 (Palacios, R. et al. (1985) Cell 41, 727-734)。
【0027】図3は、マウスR−PTPase−αタン
パク質の免疫沈降のPAGEの結果を示す図である。D
EAE−デキストラン法を使って、COS細胞を、陰性
対照プラスミド(挿入物を含まない発現ベクターpLS
V)、pLSV−PTP−α(R−PTPase−α
cDNAを含む同一の発現ベクター)、またはトランス
メンブランおよび細胞外ドメインが除かれた(部位特異
的突然変異誘発によりこの位置にイニシエーターメチオ
ニン残基を導入した)末端切断型のR−PTPase−
αタンパク質(PTP−DeltaC、アミノ酸214
−794)を発現するようにデザインされた発現ベクタ
ーpLSVDeltaCで一時的にトランスフェクトし
た。 [35S]-メチオニンで代謝物を標識した後、免疫前
血清(レーン1および2)またはR−PTPase−α
タンパク質のC末端に対応する合成ペプチドに対して誘
導された、 100μg の免疫用ペプチドの不在または存在
下での抗血清(2A)(レーン3−8)を用いて免疫沈
降を行った。分子量マーカーの大きさはkDaで示して
ある。矢印は130 kDのR−PTPase−αタンパク質
の位置を示す(レーン5)。
【0028】レーンは次の通りである:1:pLSV,
免疫前血清;2:pLSV−PTP−α,免疫前血清;
3:pLSV,抗血清2A;4:pLSV,合成ペプチ
ドの存在下での抗血清2A;5:pLSV−PTP−
α,抗血清2A;6:pLSV−PTP−α,合成ペプ
チドの存在下での抗血清2A;7:pLSVDelta
C,抗血清2A;8:pLSVDeltaC,合成ペプ
チドの存在下での抗血清2A。
【0029】図4は、cDNAクローンの配列から推定
されたヒトR−PTPase−αの構造を示す。
【0030】(A) ヒトR−PTPase−αの全コード
領域を含む、重複するクローン31−4および27−1
の混成制限地図〔3615塩基対 (bp) 〕。
【0031】(B) クローン31−4および27−1の相
対位置。一連のオリゴヌクレオチドプライマーを使っ
て、各クローンの両鎖とも全体の配列を決定した。クロ
ーン31−4の斜線領域はノーザンブロット用(下記の
図6)および染色体指定用のプローブとして使用したフ
ラグメントに相当する。
【0032】(C) ヒト(レーン1)およびマウス(レー
ン2)R−PTPase−αのアミノ酸配列の比較。一
文字アミノ酸表記を使用する。差異だけを示してある。
ダッシュ(−)で示した線はマウス配列に存在しないア
ミノ酸の広がりを示す。ヒトR−PTPase−αのコ
ード部分、およびクローン31−4および27−1(B)
に対するその位置を上に示す。次の領域が示してある:
シグナルペプチド(I)、下線を施したヒトタンパク質の
可能なN−グリコシル化部位を含む細胞外ドメイン(I
I)、トランスメンブラン(III)、ジャクスタメンブラン
(juxtamembrane)(IV) 、第1ホスファターゼドメイン
(V)、インタードメイン(VI)、第2ホスファターゼドメ
イン(VII) 、C末端(VIII)。
【0033】図5は、ヒトR−PTPase LCA、
α、βおよびガンマの第1(A)および第2(B)保存
ホスファターゼのアミノ酸配列の比較を示す。CONは
コンセンサス配列であり、大文字は完全な一致を示す
が、小文字は4つの配列のうち2つまたは3つの一致を
示す。ダッシュはコンセンサスの欠如を示す。
【0034】図6は、R−PTPase−αプローブ
(上)とβ−アクチンプローブ(下)を用いたノーザン
ブロットハイブリダイゼーションにより測定した、種々
の組織および細胞系でのヒトR−PTPase−αの相
対的発現を示すゲルパターンの図である。表示したヒト
細胞系または組織からの全RNA(左側の5つのレー
ン)またはポリ(A)+RNA(右側の5つのレーン)
試料を分析した。A431はヒト類表皮腫細胞系であ
り、HELは赤白血病細胞系であり、他の全てのレーン
はフラッシュ凍結組織試料(HUVEC−ヒト臍静脈内
皮細胞)を表す。
【0035】図7は、17の齧歯目−ヒト体細胞ハイブリ
ッドのパネルの分析に基づいたヒトR−PTPase−
αの染色体局在化を示すマトリックス図である。完全点
刻ボックスは、そのハイブリッドが上の列に示した染色
体を含むことを示し、右下の点刻は染色体の長腕(また
は長腕の一部、より小さい点刻域で示される)の存在を
示し、左上の点刻は染色体の短腕(または短腕の一部)
の存在を示し、オープンボックスは染色体の不在を示
す。染色体20の縦列は、この染色体(または染色体領
域)の存在とR−PTPase−α遺伝子の存在との相
関性を強調するようにはっきりと描かれ、点刻されてい
る。ハイブリッドにおけるヒトR−PTPase−α配
列の保持パターンを右側(RPTPα)に示してある。
該遺伝子の存在は点刻ボックス中に「+」で示され、該
遺伝子の不在はオープンボックス中に「−」で示され
る。
【0036】
【発明の実施の形態】組換えDNA技術を用いることに
より、本発明者らは新規哺乳動物レセプター型 (トラン
スメンブラン) タンパク質チロシン・ホスファターゼ
(PTPase ;EC3.1.3.48) を同定している。マウスR
−PTPase−αは794アミノ酸を有しているが、ヒトR
−PTPase−αは802アミノ酸を有している。そのレセ
プター様構造と、あるファミリーの一員である可能性を
考慮して、本発明者らはこのタンパク質をR−PTPas
e −α (レセプター・タンパク質・チロシン・ホスファ
ターゼ・アルファ) と命名した。このファミリーをここ
では「R−PTPase」と命名する。
【0037】R−PTPase −αは他のチロシン・ホス
ファターゼの触媒ドメインに相同な細胞内ドメインを有
している。さらに本発明者らは 142アミノ酸細胞外ドメ
イン(シグナル・ペプチドを含む) をセリンとトレオニ
ン含有量が高く (32%) 、そして8ヶ所のN−グリコシ
ル化部位を有するものとして、特徴決定した。本発明者
らは、新規タンパク質をコードするcDNAクローンを
生成し、そのタンパク質を真核生物宿主で発現させた。
種々の細胞や組織中でのタンパク質の自然な発現を同定
するために、ノーザン分析を用いた。さらに本発明者ら
はR−PTPase −αの合成ペプチドで免疫化すること
によりそのタンパク質に対するポリクローナル抗体を生
成し、この抗体はR−PTPase −αの一部をコードす
るcDNAクローンでトランスフェクトした細胞中の13
0kDaタンパク質を同定する。
【0038】注目すべきことに、酵素活性を有する細胞
内ドメインにより構成されているのに加えて、R−PT
Pase が属するレセプター・ファミリーはN末端細胞外
ドメインを有するトランスメンブラン・タンパク質を含
んでいる;これはチロシン・キナーゼ酵素ファミリーに
類似している (Tonks, N.K.ら, (1988) Biochemistry2
7,8695-8701; Charbonneau, H. ら, (1988) Proc. Nat
l. Acad. Sci.USA. 85,7182-7186; Streuli, M.ら, (19
88) J.Exp, Med.168,1523-2530; Streuli, M.ら,(1989)
Proc. Natl. Acad. Sci.USA. 86, 8698-8702)。従っ
て、本発明者らは細胞外環境におけるリガンドがPTP
ase のこの膜結合サブクラスの活性を制御すると結論し
た。
【0039】本発明のR−PTPase −αと他のR−P
TPase は、R−PTPase 活性を活性化するかまたは
阻害することができ、それにより細胞の代謝の主要経路
に影響を与える、薬剤や他の作用物質をスクリーニング
する方法に有用である。固相マトリックスに完全なまま
のR−PTPase またはそのリガンド結合部分を付着さ
せることにより、結合活性に基づいてレセプターと相互
作用する能力に関して、生物学的産物または化学薬品を
スクリーニングするために用いられるアフィニティー・
プローブを作製する。続いて、結合物質を精製された形
でアフィニティー・プローブから溶出する。
【0040】固相にタンパク質やペプチドをカップリン
グする方法、これらの方法に有用な固相物質、溶出媒体
は当業者によく知られている。
【0041】酵素活性を有するR−PTPase タンパク
質またはその誘導体は、ホスファターゼ活性を高めるか
または阻害することができる化合物の検査に使用するこ
とができる。ホスファターゼ活性を変化させる被検化合
物の能力は、被検化合物を精製R−PTPaseタンパク
質またはその酵素的に活性な誘導体に加え、当業者によ
く知られている標準酵素的方法を用いて酵素活性に及ぼ
す影響を測定する、invitro系で検査される。
【0042】または、化合物のR−PTPase 活性に及
ぼす作用を生きた細胞または固定化細胞を用いて完全細
胞調製物中で、または生きた細胞または固定化細胞から
得られた膜画分中で測定する。この方法はタンパク質の
細胞外レセプター部分を介して作用する化合物およびタ
ンパク質の酵素部分に直接作用する化合物をスクリーニ
ングするのに有用である。トランスフェクトしたCOS
細胞またはNIH−3T3細胞のように本発明のR−P
TPase を多量に発現する、細胞またはそれらから得ら
れた膜調製物と被検化合物をインキュベートする。続い
て、当分野でよく知られている方法を用いて、細胞のホ
スホチロシンの量を測定する (Honegger, A. M.ら, Cel
l51:199-209 (1987); Margolis, B.ら, Cell 57:1101-1
107 (1989))。結果を、被検化合物の非存在下で得られ
た結果、またはR−PTPase の既知の活性化物質の非
存在下または存在下で得られた結果と比較する。このよ
うな研究において、チロシン・キナーゼの活性化物質の
存在下での被検化合物の作用もまた測定する。
【0043】R−PTPase 活性を刺激する化合物はホ
スホチロシン量の実質的低下をもたらし、一方R−PT
Pase 活性を阻害する化合物はホスホチロシン量の実質
的増加をもたらす。
【0044】例えば上皮細胞成長因子 (EGF) や血小
板由来増殖因子 (PDGF) のレセプターのように、チ
ロシン・キナーゼである成長因子レセプターの場合、チ
ロシンリン酸化は細胞増殖および癌形成性形質転換と関
連している。脱リン酸化へ導くPTPase の活性化は、
増殖を妨げるまたは阻害する逆の調節メカニズムとして
働き、癌に対する内在性調整メカニズムとして働くかも
しれない。従って、このレセプター/酵素系の変異また
は調節異常により、癌にかかりやすくなるかもしれな
い。
【0045】インシュリン・レセプターもまたチロシン
・キナーゼであり、インシュリン・レセプターを担持す
る細胞でのチロシンのリン酸化は正常な生理学的機能と
関連するであろう。細胞増殖および癌の場合と対照的
に、R−PTPase の活性化はインシュリン作用を中和
するであろう。正常以下のR−PTPase レベルまたは
酵素活性は、正常な逆の調節メカニズムを除去するよう
に作用するであろう。しかしながら、さらに重要なこと
は恐らく、R−PTPase の活性過剰または不適切な活
性が細胞に対するインシュリンの作用を阻害または完全
に妨げることが予想され、 (インシュリン耐性型の) 糖
尿病を生じるであろう。従って糖尿病への罹病性はR−
PTPase の調節異常と関連している。
【0046】従って、正常または変異R−PTPase 遺
伝子を同定する、または細胞または組織と関連したR−
PTPase の量または活性を測定する、本発明の方法
は、細胞のホスホチロシン代謝の変化と関連した癌、糖
尿病または他の疾患に対する罹病性を同定する方法とし
ての役割を果す。
【0047】本発明は被験者の正常または変異R−PT
Pase の存在およびレベルを評価する方法を提供する。
個人のR−PTPase の非存在または、さらに一般的に
は低い発現性または、変異R−PTPase の存在は癌形
成性形質転換や癌の発生に対する罹病性の重要な予告と
しての役割を果す。または、恐らく負の調節に反応しな
い変異レセプター/酵素系によるか、または体内の刺激
性リガンド過多によるR−PTPase の過剰発現は糖尿
病に対する罹病性の重要な予告としての役割を果す。
【0048】R−PTPase の種々の部分をコードする
オリゴヌクレオチド・プローブ (下記参照) を用いて、
R−PTPase をコードするDNAまたはRNA配列の
存在について被験者の細胞を検査する。好ましいプロー
ブは、本発明のR−PTPase −αまたは他のR−PT
Pase タンパク質の少なくとも4アミノ酸残基、好まし
くは少なくとも5アミノ酸残基をコードする核酸配列に
関するものであろう。そのようなプローブを用いて、定
性的または定量的アッセイを行う。例えば、ノーザン分
析 (下記実施例IIIとVI参照)を用いて、細胞または組織
調製物中のR−PTPase mRNAの発現を測定する。
【0049】このような方法は、選択的増幅法の採用に
より、個人から得られたDNAが極めて少ない場合にも
使用できる。精製核酸フラグメントを増幅できる、組換
えDNA方法は長い間認められている。通常、その方法
は核酸フラグメントのDNAまたはRNAベクターへの
導入、ベクターのクローン増幅、そして増幅核酸フラグ
メントの回収を必要とする。そのような方法の例は、Co
henら, (米国特許第4,237,224号) 、Sambrookら, Molec
ularCloning: A Laboratory Manual, Second Edition,
Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY
(1989)により提供され、これらの文献は参照によりここ
に引用されるものとする。
【0050】最近、そのような所望の核酸分子の濃度を
増加することができるin vitro酵素法が記載されてい
る。この方法は「ポリメラーゼ・チェイン・リアクショ
ン」すなわち「PCR」と呼ばれる (Mu llis, Kら,Col
d Spring Harbor Symp. Quant.Biol. 51:263-273(198
6); Erlich, Hら, EP 50,424; EP 84,796, EP 258,017,
EP 237,362; Mullis, K., EP 201,184; Mullis, K.ら,
US 4,683,202; Erlich,H., US 4,582,788; and Saiki,
Rら, US 4,683,194) 。
【0051】ポリメラーゼ・チェイン・リアクション
は、特定の核酸配列が前もって精製されておらず、特定
の試料中に、ほんの1コピしか存在しない場合でさえ、
その配列の濃度を選択的に増加する方法を提供する。こ
の方法を用いて一本鎖DNAでもまたは二本鎖DNAで
も増幅できる。この方法の基本は、所望の核酸分子の鋳
型依存性、ポリメラーゼ媒介複製のプライマーとして働
く2本のオリゴヌクレオチド・プローブの使用を必要と
する。
【0052】PCR法の2本のオリゴヌクレオチド・プ
ローブの正確性はこの方法の成功を左右する。よく知ら
れているように、DNAまたはRNA分子は方向性を有
し、この方向性はその分子のホスフェート基の5'−3'
結合により与えられる。DNAまたはRNAの配列は第
1配列の末端5' ホスフェート基と第2配列の末端3'
ヒドロキシル基との間のホスホジエステル結合の形成に
より連結されている。5' ヌクレオチド・トリホスフェ
ートを核酸分子の3' ヒドロキシル末端に付加すること
により、核酸分子のポリメラーゼ依存性増幅が進行す
る。従って、ポリメラーゼの作用により核酸分子の3'
末端が伸長する。PCRのオリゴヌクレオチド・プロー
ブの選択では、これらの固有の性質を利用する。PCR
法のプローブのオリゴヌクレオチド・プローブは、増幅
を必要とする特定の核酸配列のフランキング配列と同じ
か、または相補となる配列を含むように選択される。
【0053】さらに詳細には、「第一」プローブのオリ
ゴヌクレオチド配列は、それが所望の配列の3' 側に位
置するオリゴヌクレオチド配列にハイブリッド形成でき
るように選択し、一方、「第二」プローブのオリゴヌク
レオチド配列は、それが所望の領域の5' 側に存在する
配列と同じオリゴヌクレオチド配列を含むように選択す
る。両プローブは3' ヒドロキシ基を保有し、従って核
酸合成のプライマーとして働く。
【0054】PCRにおいて、反応条件はハイブリッド
形成と核酸重合に導く反応条件と二本鎖分子の変性を生
じる反応条件の繰り返しである。反応の第一段階におい
て、存在し得る、あらゆる二本鎖分子を変性させるため
に試料の核酸を一時的に熱し、続いて冷ます。続いて、
「第一」および「第二」のプローブを所望の核酸分子の
濃度よりはるかに高い濃度で試料に加える。試料をハイ
ブリッド形成と重合へ導く条件下でインキュベートする
場合、「第一」のプローブは増幅される配列の3' 側の
位置で試料の核酸分子にハイブリッド形成する。試料の
核酸分子が最初二本鎖だとしたら、「第二」のプローブ
は増幅が必要な配列の相補鎖である配列の3'側の位置
で核酸分子の相補鎖とハイブリッド形成する。ポリメラ
ーゼの添加後、「第一」および (核酸分子が二本鎖の場
合) 「第二」のプローブの3'末端が伸長される。「第
一」のプローブの伸長は、所望の核酸の正確な配列を有
するオリゴヌクレオチドの合成を生じる。「第二」のプ
ローブの伸長は、所望の核酸の相補鎖の正確な配列を有
するヌクレオチドの合成を生じる。
【0055】PCR反応は特定の核酸配列の指数的増幅
を可能にする。なぜなら「第一」のプローブの伸長産物
は「第二」のプローブの配列に相補となる配列を当然含
み、従って「第二」のプローブの伸長産物の生成のため
の鋳型としての役割を果す。同様に、「第二」のプロー
ブの伸長産物は「第一」のプローブの配列に相補となる
配列を当然含み、従って「第一」のプローブの伸長産物
の生成のための鋳型としての役割を果す。従って、重合
と変性を繰り返すことにより所望の核酸分子の濃度の幾
何級数的増加が達成される。PCRの概説はMullis, K.
B. (Cold Spring Harbor Symp.Quant. Biol. 51:263-27
3 (1986)); Saiki, R.K.,ら,(Bio/Technology 3:1008-1
012 (1985)); and Mullis, K.B.,ら (Moth. Enzymol. 1
55:335-350 (1987))に載っている。
【0056】一実施態様において、本発明は自然界に存
在する哺乳動物のR−PTPase −αに関する。別の実
施態様において、本発明は組換え哺乳動物R−PTPas
e −αに関する。本発明の好ましいR−PTPase はヒ
ト起源である。本発明は、その分子が自然界で結合して
いる他のタンパク質を実質的に含まない自然界に存在す
る分子を提供する。「他のタンパク質または糖タンパク
質を実質的に含まない」とは、そのタンパク質が自然界
で結合している他のタンパク質や糖タンパク質の少なく
とも90% (重量ベースで) 、所望により少なくとも99%
までもが除かれて精製されており、従って、それらを実
質的に含まないことを示す。それは、例えばR−PTP
ase を含む細胞、組織または体液を、このタンパク質に
対して反応するモノクローナル抗体を担持する免疫吸着
カラムのような標準的タンパク質精製法にかけることに
より達成できる。アフィニティー精製の他の形態は、P
TPase ドメインに結合する固相支持体またはレセプタ
ー・ドメインに結合するリガンドを利用する。または標
準的方法の組合わせ、例えば硫安沈澱、分子ふるいクロ
マトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーに
より精製を達成する。
【0057】本発明の哺乳動物R−PTPase は様々な
細胞源または組織源から生化学的に精製されると解釈さ
れよう。自然界に存在するR−PTPase の調製のため
には哺乳動物の (特にヒト由来の) 胎盤または脳のよう
な組織が好ましい。
【0058】または、R−PTPase の遺伝子は単離ま
たは合成され得るので、必要に応じてポリペプチドは原
核生物中で、または哺乳動物以外の真核生物中で哺乳動
物由来の他のタンパク質または糖タンパク質を実質的に
含むことなしに合成することができる。本発明により意
図されているように、例えば、トランスフェクトされた
COS, NIH−3T3またはCHO細胞のような哺乳
動物細胞中で生成された組換えR−PTPase −α分子
は自然界に存在するタンパク質配列または、その機能的
誘導体である。自然界に存在するタンパク質または糖タ
ンパク質が組換え法により生成される場合、そのタンパ
ク質が天然で結合している他のタンパク質および糖タン
パク質を実質的に含まない状態で提供される。
【0059】また、固相上での所望の配列のポリペプチ
ドの合成およびその後の支持体からの分離についての方
法がよく知られている。
【0060】別の実施態様において、本発明はR−PT
Pase の「機能的誘導体」を提供する。「機能的誘導
体」とはR−PTPase の「フラグメント」、「変異
型」、「類似体」、または「化学的誘導体」を意味し、
これらの用語は下記で定義される。機能的誘導体は、本
発明通りにその有用性を可能にする、例えば特異的抗体
への結合、ホスファターゼ酵素活性または細胞外ドメイ
ンのリガンドへの結合といった、R−PTPase の機能
の少なくとも一部を保持する。
【0061】R−PTPase の「フラグメント」とは分
子の任意のサブセット、すなわち短かいペプチドを言
う。
【0062】R−PTPase の「変異型」とは、ペプチ
ド全体またはそのフラグメントに実質的に類似している
分子を言う。当分野でよく知られている方法を用いて、
変異型ペプチドはその直接的化学合成により都合よく調
製される。
【0063】または、ペプチドのアミノ酸配列変異型は
合成されたペプチドをコードするDNAの変異により調
製される。そのような変異型は、例えば、アミノ酸配列
内の残基の欠失または挿入または置換を含む。最終的構
築物が所望の活性を保有するならば、最終構築物に到る
どんな欠失、挿入および置換の組合わせも行うことがで
きる。明らかに、変異型ペプチドをコードするDNA中
になされる変異はリーディング・フレームを変化させて
はならないし、好ましくは、第二のmRNA構造をつく
り得る相補領域をつくってはならない (ヨーロッパ特許
公報EP第75,444号参照) 。
【0064】遺伝子レベルで、これらの変異型はペプチ
ド分子をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異
的突然変異誘発 (例えばAdelmanら, DNA 2:183 (1983))
により通常作製され、それにより変異型をコードするD
NAを生成し、その後組換え細胞培養物中でDNAを発
現させる (下記参照) 。変異型は非変異型ペプチドと同
じ定性的生物学的活性を通常は示す。
【0065】R−PTPase の「類似体」とは、分子全
体またはそのフラグメントと実質的に類似した天然のも
のでない分子を言う。
【0066】R−PTPase の「化学的誘導体」とは、
通常ペプチドの一部でない追加の化学的部分を含む。ペ
プチドの共有結合修飾は本発明の範囲に含まれる。ペプ
チドの標的アミノ酸残基と、選択された側鎖または末端
残基と反応できる有機誘導体化剤と、を反応させること
により、そのような修飾を分子に導入する。
【0067】最も一般的には、システイニル残基をクロ
ロ酢酸またはクロロアセトアミドのようなアルファ−ハ
ロアセテート (および相当するアミン類) と反応させ
て、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘
導体を生成する。システイニル残基はまたブロモトリフ
ルオロアセトン、アルファ−ブロモ−ベータ− (5−イ
ミドゾイル) プロピオン酸、クロロアセチル ホスフェ
ート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリ
ジル ジスルフィド、メチル2−ピリジル ジスルフィ
ド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメル
クリ−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロ
ベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応により
誘導体化される。
【0068】ヒスチジル残基は、pH5.5−7.0でジエ
チルプロカーボネートとの反応により誘導体化される。
なぜならこの薬剤がヒスチジル側鎖に比較的特異的だか
らである。パラブロモフェナシル ブロミドもまた有用
である;この反応は好ましくはpH6.0の0.1Mカコ
ジル酸ナトリウム中で行われる。
【0069】リシニルおよびアミノ末端残基を無水コハ
ク酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。これら
の薬剤での誘導体化はリシニル残基の電荷を反対に変え
る作用を用する。アルファ−アミノ含有残基の誘導体化
のための他の好適な試薬はメチルピコリンイミデートの
ようなイミドエステル;ピリドキサールホスフェート;
ピリドキサール;クロロボロハイドライド;トリニトロ
ベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ尿素;2,4ペンタ
ンジオン;およびグリオキシレートとのトランスアミナ
ーゼ触媒反応を含む。
【0070】アルギニル残基は1または数個の従来の試
薬、そのなかでもフェニルグリオキサール、2,3−ブタ
ンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンおよびニンヒド
リンとの反応により修飾される。アルギニン酸基の誘導
体化は、グアニジン官能基の高いpKa のためにアルカリ
条件下で反応を行うことが必要である。さらに、これら
の試薬はリシンのアミノ基およびアルギニンのイプシロ
ン・アミノ基と反応するだろう。
【0071】チロシル残基自体の特異的修飾は、芳香族
ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応
によりスペクトル標識をチロシル残基に導入することに
特別の関心を払って、鋭意研究された。最も一般的に
は、N−アセチルイミダゾールおよびテトラニトロメタ
ンを用いて、それぞれO−アセチルチロシル種および3
−ニトロ誘導体を生成する。
【0072】カルボキシル側基 (アスパルチルまたはグ
ルタミル) は、例えば1−シクロヘキシル−3− (2−
モルフォリニル− (4−エチル) カルボジイミドまたは
1−エチル−3− (4−アゾニア−4,4−ジメチルペン
チル) カルボジイミドのようなカルボジイミド (R'−
N−C−N−R') との反応により選択的に修飾する。
さらにアスパルチルおよびグルタミル残基はアンモニウ
ムイオンとの反応によりアスパラギニルおよびグルタミ
ニル残基に変換される。
【0073】グルタミニルおよびアスパラギニル残基は
しばしば脱アミド化されて対応するグルタミルおよびア
スパルチル残基になる。または、これらの残基は弱酸性
条件下で脱アミド化される。これらの残基のどちらの形
態も本発明の範囲に入る。
【0074】二官能性薬剤での誘導体化は水不溶性支持
体マトリックスまたは他の高分子担体へのペプチドの架
橋に有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば1,1
−ビス (ジアゾアセチル) −2−フェニルエタン、グル
タルアルデヒド;N−ヒドロキシスクシンイミドエステ
ル、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3'
−ジチオビス (スクシンイミジル−プロピオネート) の
ようなジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性
イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−
オクタンのような二官能性マレイミドを含む。メチル−
3−〔 (p−アジドフェニル) ジチオ〕プロピオイミデ
ートのような誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成で
きる光活性化可能な中間体を生成する。または、臭化シ
アン活性化炭水化物および米国特許第3,969,287号;3,6
91,016号;4,195,128号;4,247,642号;4,229,537号お
よび4,330,441号に記載されている反応性担体のような
反応性の水不溶性マトリックスをタンパク質固定化に使
用する。
【0075】他の修飾はプロリンおよびリシンのヒドロ
キシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル
基のリン酸化、リシン、アルギニン、およびヒスチジン
側鎖のα−アミノ基のメチル化 (T.E. Creighton, Prot
eins: Structure and Molecule Properties, W.H. Free
man & Co., San Francisco, pp.79-85 (1983))、N末端
アミンのアセチル化およびいくつかの場合においては、
C末端カルボキシル基のアミド化を含む。
【0076】そのような誘導体化部分は溶解度、吸収、
生物学的半減期その他を改善する。または、その部分は
タンパク質の望ましくない任意の副作用その他を除去ま
たは軽減する。そのような作用を媒介できる部分は、例
えば Remington'g Pharmaceutical Sciences, 16 th e
d., Mack Publishing Co., Easton, PA (1980) に記載
されている。
【0077】本発明はまたR−PTPase のエピトー
プ、好ましくはR−PTPase −αのエピトープ、最も
好ましくはヒトR−PTPase−αのエピトープに特異
的な抗体、および細胞中、細胞または組織抽出物中また
は生物の体液中のR−PTPase の存在を検出するため
の、または量、濃度を測定するためのそのような抗体の
使用に関する。
【0078】「抗体」の用語はポリクローナル抗体、モ
ノクローナル抗体 (mAbs) 、キメラ抗体、および抗イデ
ィオタイプ (抗Id) 抗体を含むと解される。
【0079】ポリクローナル抗体は抗原で免疫化された
動物の血清から得られた抗体分子の不均質集団である。
【0080】モノクローナル抗体は特定の抗原に対する
抗体の実質的均質集団である。mAbは当業者に知られ
ている方法により得られる。例えば、Kohler and Milst
ain,Nature 256:495-497 (1975) および米国特許第4,37
6,110号を参照。そのような抗体はIgG,IgM, Ig
E, IgA, GILDおよびその任意のサブクラスを含
む任意の免疫グロブリンクラスのものであってよい。本
発明のmAbを生成するハイブリドーマはin vitroまた
はin vivo で培養される。in vivo 生成されるmAbが
高い抗体価を示すので現在における好ましい生成方法と
なっている。簡略に述べると、個々のハイブリドーマか
らの細胞をプリスタン感作BALB/cマウスの腹腔内
に注入し、高い濃度の所望のmAbを含む腹水液を生成
する。当業者によく知られているカラムクロマトグラフ
ィーを用いて、アイソタイプIgMまたはIgGのmA
bをそのような腹水液または培養物上清から精製する。
【0081】キメラ抗体は、例えばマウスmAbから得
られた可変領域とヒト免疫グロブリン不変領域を有する
もののような、異なる動物種に由来する異なる部分を有
する分子である。キメラ抗体およびその生成方法は当分
野で知られている(Cabillyら、Proc, Natl, Acad, sc
i. USA 81:3273-3277 (1984); Morrison ら、Proc, Nat
l, Acad, Sci,USA 81:6851-6855 (1984); Boulianne
ら、Nature 312 :643-646(1984); Cabillyら、ヨーロッ
パ特許出願第125023号(1984年11月14日公告); Neuberg
erら、Nature 314:268-270 (1985);Taniguchi ら、ヨー
ロッパ特許出願第171496号(1985年2月19日公告); Mor
rison ら、ヨーロッパ特許出願第173494号(1986年3月
5日公告); Neubergerら、PCT出願 WO 86/01533 (19
86年3月13日公告); Kudo、ヨーロッパ特許出願第18418
7号(1986年7月11日公告); Morrison ら、ヨーロッパ
特許出願173494(1986年3月5日公告); Sahaganら、J.
Immunol, 137:1066-1074 (1986); Robinsonら、国際特
許公告PCT/US86/02269(1987年5月7日公告); Liu
ら、Proc, Natl, Acad, Soi, USA 84:3439-3443 (198
7);Sunら、Proc, Natl, Acad, Sci, USA 84:214-218 (1
987); Betterら、Science240:1041-1043 (1988))。これ
らの文献は参照によりここに引用されるものとする。
【0082】抗イディオタイプ(抗Id)抗体は抗体の
抗原結合部位と一般に関連している特有の抗原決定基を
認識する抗体である。抗Id抗体は、抗Idを調製しよ
うとするmAbで、mAbの起源と同じ種および遺伝子
型(例えばマウス株)の動物を免疫化することにより調
製される。免疫化された動物は免疫抗体のイディオタイ
プ決定基を認識し、これに応答して、これらのイディオ
タイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を生成する。
【0083】抗Id抗体もまたさらに別の動物中で免疫
応答を誘発する「免疫原」として用いられ、いわゆる抗
−抗Id抗体を生成する。抗−抗Idは抗Idを誘発し
た最初のmAbとエプトープが同じである。従ってmA
bのイディオタイプ決定基に対する抗体を用いることに
より、同じ特異性を有する抗体を発現する他のクローン
を同定することが可能である。
【0084】従って、本発明のR−PTPase に対して
生成されたmAbはBALB/cマウスのような好適な
動物中で抗Id抗体を誘発するために用いられる。その
ような免疫マウスからの脾臓細胞を用いて抗Id mA
bを分泌する抗Idハイブリドーマを生成する。さら
に、抗Id mAbをキーホール・リンペット・ヘモシ
アニン(KLH)のような担体に結合させ、別のBAL
B/cマウスを免疫化するのに用いる。これらのマウス
からの血清は、R−PTPase エピトープに特異的な最
初のmAbの結合特性を有する抗−抗Id抗体を含むだ
ろう。
【0085】従って、抗Id mAbは、R−PTPase
−αのような、評価しようとするエピトープに構造的に
類似している、独自のイディオタイプエピトープすなわ
ち「イディオトープ」を有している。
【0086】「抗体」の用語もまた完全な分子およびそ
のフラグメント、例えば抗原に結合可能なFabおよびF
(ab')2、を両方とも含むことを意味する。FabおよびF
(ab')2フラグメントは完全な抗体のFcフラグメントを
欠いており、循環系からより速く消失し、完全な抗体よ
りも非特異的組織結合が少ない(Wahlら、J. Nucl, Me
d, 21: 316-325 (1983))。
【0087】本発明において有用な抗体のFabとF(a
b')2および他のフラグメントが、完全な抗体分子に関し
てここに開示された方法により、R−PTPase の検出
および定量化に用いられることが認識されよう。そのよ
うなフラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを生
成する)またはペプシン(F(ab')2フラグメントを生成
する)のような酵素を用いてタンパク質分解切断により
通常生成される。
【0088】抗体が分子と特異的に反応して、それによ
り分子を抗体に結合させることができる場合、抗体は分
子に「結合できる」と言われる。「エピトープ」の用語
は、抗体により結合される任意の分子の部分をさすもの
と解され、またその抗体により認識されるものでもあ
る。エピトープまたは「抗原決定基」は通常アミノ酸や
糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面配置から成
り、特別の三次元構造特性および特別の電荷特性を有す
る。
【0089】「抗原」は抗体により結合される分子また
は分子の部分であり、さらに動物にその抗原のエピトー
プに結合可能な抗体の生成を誘発できる。抗原は1また
は1以上のエピトープを有する。上述の特異的反応と
は、非常に選択的に抗原がその対応する抗体と反応し、
他の抗原により誘起される多数の他の抗体とは反応しな
いことを指すと解される。
【0090】本発明に有用な抗体または抗体のフラグメ
ントは、R−PTPase タンパク質を発現する細胞の存
在を定量的または定性的に検出するために用いられる。
これは、光学顕微鏡、フローサイトメトリーまたは蛍光
定量検出と共に蛍光標識抗体(下記参照)を使用する免
疫蛍光法により達成される。
【0091】免疫蛍光法または免疫電子顕微鏡における
ようにR−PTPaseのin situ検出のために、本発明に
有用な抗体(またはそのフラグメント)を、組織学的に
使用しうる。患者から組織学的標本を取り出し、本発明
の標識抗体をそのような標本に供給することにより、in
situ 検出は達成される。標識抗体(またはフラグメン
ト)を生物学的試料に加えることにより、または重層す
ることにより抗体(またはフラグメント)を供給するこ
とが好ましい。そのような方法の使用により、R−PT
Pase の存在だけでなく検査組織上のその分布もまた決
定することが可能である。本発明を用いることにより、
当業者は、そのような in situ検出を達成するように広
く様々な組織学的方法(例えば染色法)のどれも改変可
能であることを容易に考え及ぶであろう。R−PTPas
e のためのそのようなアッセイは、通常R−PTPase
を同定できる検出用に標識された抗体の存在下で生物学
的試料、例えば生物学的体液、組織抽出物、リンパ球ま
たは白血球のような新しく収穫した細胞、または組織培
養でインキュベートされている細胞をインキュベート
し、当分野でよく知られている数多くの方法のうちの任
意のものを用いて抗体を検出することから成る。
【0092】生物学的試料は、ニトロセルロースのよう
な固相支持体または細胞、細胞粒子または可溶性タンパ
ク質を固定化できる他の固相支持体で処理する。続い
て、支持体を好適な緩衝液で洗浄し、続いて検出用に標
識したR−PTPase 特異的抗体で処理する。続いて、
固相支持体を2回目に緩衝液で洗浄し未結合抗体を取り
除く。続いて、該固相支持体上の結合標識物の量を従来
の方法により検出する。
【0093】「固相支持体」とは抗原または抗体に結合
可能な任意の支持体を意図する。よく知られている支持
体または担体はガラス、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラー
ゼ、天然および修飾されたセルロース、ポリアクリルア
ミド、斑れい岩および磁鉄鉱を含む。担体の性質は本発
明の目的のためにある程度可溶性であっても、不溶性で
あってもよい。支持体材料は、結合分子が抗原または抗
体に結合できる限り、事実上あらゆる可能な構造的形状
をとり得る。従って、支持体形状はビーズのように球
体、試験管の内面のようにまたは棒の外面のように円筒
状である。または、その表面はシート、テスト帯片その
他のように平らである。好ましい支持体はポリスチレン
ビーズを含む。当業者は抗体または抗原を結合するため
に他の多くの好適な担体を知っていようし、またはそれ
らを通常の実験で用いることにより確認できるであろ
う。
【0094】所定のロットの抗R−PTPase の結合活
性はよく知られた方法により測定できる。当業者は通常
の実験を使用することにより各測定の最適アッセイ条件
を決定することができるだろう。
【0095】特定の状況に通常用いられるまたは必要と
される洗浄、攪拌、振とう、ろ過等の他の工程をアッセ
イに加えてもよい。
【0096】R−PTPase 特異的抗体を検出用に標識
する方法の一つはその抗体を酵素イムノアッセイ(EI
A)に用いる酵素に結合することである。その後適切な
基質にさらされた場合、この酵素は、例えば分光光度
計、フルオロメトリーまたは可視手段により検出可能な
化学部分を生成するように、基質と反応することにな
る。抗体を検出用に標識するために用いられる酵素は、
マレート・デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカス・ヌ
クレアーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵
母アルコール・デヒドロゲナーゼ、アルファ−グリセロ
ホスフェート・デヒドロゲナーゼ、トリオース・ホスフ
ェート・イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、
アルカリ・ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコ
ース・オキシダーゼ、ベータ・ガラクトシダーゼ、リボ
ヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−
6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ
およびアセチルコリンエステラーゼを含むが、これらに
限定されない。酵素に対して発色性基質を用いる比色法
により検出は達成される。検出はまた、同じ様に調製さ
れた標準と基質の酵素反応の程度を視覚的に比較するこ
とにより達成される。
【0097】検出は、様々な他のイムノアッセイのどれ
を用いても達成される。例えば、抗体または抗体フラグ
メントを放射性標識することにより、ラジオイムノアッ
セイ(RIA)を用いてR−PTPaseを検出すること
が可能である(たとえば、ここに参照により引用され
る、Work, T.S.ら、Laboratory Technigues and Bioche
mistry in Molecular Biology, North Holland Publish
ing Company, New York,1978 を参照)。放射性アイソ
トープはガンマ・カウンターまたはシンチレーション・
カウンターまたまオートラジオグラフィーのような方法
により検出できる。
【0098】抗体を蛍光化合物で標識することも可能で
ある。蛍光標識された抗体を適正な波長の光にさらした
場合、その存在が蛍光によりすぐに検出される。なかで
も最も一般に用いられる蛍光標識化合物は、フルオレセ
イン・イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリト
リン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、O−フタ
ルアルデヒドおよびフルオレサミンである。
【0099】抗体はまた蛍光発光金属、例えば152Euま
たは他のランタニド系のものを用いて検出用に標識する
ことができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン
五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(E
DTA)のようなキレート化剤を用いて抗体に付着させ
る。
【0100】抗体はまたそれを化学発光化合物と結合さ
せることにより検出用に標識できる。続いて化学発光標
識抗体の存在を化学反応中に起る発光の存在を検出する
ことにより決定する。特に有用な化学発光標識化合物の
例はルミノール、イソルミノール、theromaticアクリジ
ニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およ
びシュウ酸エステルである。
【0101】同様に、生物発光化合物を本発明の抗体を
標識するために用いてもよい。生物発光は、触媒タンパ
ク質が化学発光反応の効率を増加させる生物学的系にみ
られる化学発光の型である。生物発光タンパク質の存在
は、発光の存在を検出することにより測定される。標識
の目的で重要な生物発光化合物はルシフェリン、ルシフ
ェラーゼおよびエクオリンである。
【0102】本発明の抗体分子は「2サイト」または
「サンドイッチ」アッセイとしても知られる、イムノメ
トリックアッセイに有用なように適合させ得る。通常の
イムノメトリックアッセイでは、ある量の非標識抗体
(または抗体のフラグメント) を固相支持体に結合さ
せ、ある量の検出可能に標識した、可溶性抗体を加え
て、固相抗体、抗原および標識抗体との間で形成された
三成分複合体の検出および/または定量化を可能にす
る。
【0103】通常の、かつ好ましいイムノメトリックア
ッセイは、固相に結合された抗体を最初に検査される試
料と接触させて、二成分から成る固相抗体−抗原複合体
の形成により試料から抗原を抽出する、「フォーワード
(forward) 」アッセイを含む。適切なインキュベーショ
ン期間の後、固相を洗浄し、未反応の抗原 (もしあれ
ば)を含む液体試料の残渣を取り除き、続いて未知の量
の標識抗体(「リポーター分子」として機能する) を含
む溶液と接触させる。標識抗体が非標識抗体により固相
と結合した抗原と複合体形成する2回目のインキュベー
ション期間の後、固相は2回目の洗浄をして未反応標識
抗体を取り除く。
【0104】本発明の抗原にも有用である別の型の「サ
ンドイッチ」アッセイでは、いわゆる「同時」および
「逆」アッセイを用いる。同時アッセイは固相支持体に
結合された抗体と標識抗体との両方が検査される試料に
同時に加えられる、1回のインキュベーション・ステッ
プを必要とする。インキュベーション終了後、固相を洗
浄し、液体試料および未複合化標識抗体の残渣を取り除
く。続いて、固相支持体と結合した標識抗体の存在を、
従来の「フォーワード」サンドイッチアッセイでなされ
るように測定する。
【0105】「逆」アッセイでは、最初に標識抗体の溶
液を液体試料へ添加し、適当なインキュベーション期間
の後に固相に結合した非標識抗体を添加する段階的添加
を用いる。2度目のインキュベーション後、固相を従来
の方法で洗浄し、検査される試料の残渣および未反応標
識抗体の溶液を固相から取り除く。続いて固相に結合し
た標識抗体の測定は「同時」および「フォーワード」ア
ッセイのように測定される。
【0106】被験者の正常に機能するR−PTPase の
存在は、直接酵素アッセイを用いて、チロシンホスファ
ターゼ活性について検査することもできる。酵素活性の
正確な測定を可能にする精製された酵素を用いて、また
は正味のホスフォチロシンレベルが測定される膜調製物
または完全細胞を用いて、そのような生化学測定をinvi
tro で行う。
【0107】本発明の別の実施態様において、R−PT
Pase 分子をコードするDNA配列およびそのDNA配
列を発現する方法が提供される。当業者は、過度な実験
をすることなく、本発明の遺伝子配列およびオリゴヌク
レオチドを用いて、ここで記載されているR−PTPas
e 分子に相同の配列を有する、ヒトまたは他の哺乳動物
種の別のPTPase 分子を同定しクローン化する方法が
わかるであろう。さらに、本発明の遺伝子構築物の操作
により、R−PTPase のトランスメンブランおよび触
媒部分に特定のリガンド結合レセプター・ドメインをグ
ラフトしてキメラ分子を生成することができる。そのよ
うなキメラ分子の例としては、レセプターが上皮細胞成
長因子レセプター、線維芽細胞成長因子レセプター等で
あるR−PTPase を含む。遺伝子工学的に操作された
キメラ・レセプターは当分野で知られている (例えばRi
edel, H.ら, Nature 324:628-670 (1986) を参照) 。
【0108】R−PTPase −α、その機能的誘導体、
および記載されているキメラ分子をコードする遺伝子構
築物は遺伝子療法に用いられる。疾患を起こす、異常ま
たは機能不全R−PTPase は正常のR−PTPase で
トランスフェクトされた所望の系統の細胞 (例えば造血
細胞) の注入により置換される。また、あるいは、さら
に、所定のリガンド (例えばEGF) に対するレセプタ
ーを有するキメラR−PTPase を担持する細胞はその
ような遺伝子療法に用いられる。
【0109】本発明の組換えDNA分子は、例えばDN
AまたはRNA合成、より好ましくは組換えDNA法の
適用のような種々の方法のうちのどれによっても生成さ
れる。そのような分子を合成する方法は、例えば Wu,
R.,ら (Prog. Nucl. Acid. Res. Molec. Biol. 21:101-
141 (1978))により開示されている。上記方法により組
換え分子を構築する方法はSambrookら (上記) により開
示されている。
【0110】本発明の組換え分子の3' 末端は、それが
重合に不向きになるように処理することが好ましい。そ
のような処理は、化学的方法により末端をブロックする
か、または末端塩基がポリメラーゼ作用を立体的に妨げ
るようにそれらを変更することにより達成される。好ま
しい実施態様において、そのような処理は、例えば3'
末端を固相支持体 (例えば、ガラス、プラスチック、ラ
テックス等) に結合させて、それを固定化することによ
り達成される。支持体はどのような形態でもよい (すな
わちシート、棒、球体、卵形等) 。そのような固定化の
方法は当業者によく知られている。最も好ましい実施態
様において、組換え分子の3' 末端部は固相支持体に共
有結合で結合される。スペーサー領域は、(1)それが
組換え分子のどのような機能または特性も立体的に妨害
せず、そして(2)スペーサー領域の配列がアッセイの
ハイブリッド形成または重合反応に関与しない限り、固
相支持体から外方向にプローブを伸長させるために用い
られる。通常、数個の、好ましくは数多くのそのような
組換え分子を支持体に固定化することが望ましい。
【0111】R−PTPase の一部に相当するオリゴヌ
クレオチドは、そのようなタンパク質をコードする遺伝
子の存在をスクリーニングするために、そしてR−PT
Pase 遺伝子のクローニングに有用である。そのような
オリゴヌクレオチドを合成する方法は、例えばWu, R.,
ら (Prog. Nucl. Acid. Res. Molec. Biol. 21:101-141
(1978))に開示されている。
【0112】タンパク質分子は臭化シアンまたはパパイ
ン、キモトリプシン、トリプシン等のようなプロテアー
ゼでフラグメント化される(Oike, Y.,ら, J. Biol. Che
m. 257:9751-9758 (1982); Liu, C.,ら,Int. J. Pept.
Protein Res. 21:209-215 (1983))。遺伝暗号は縮重す
るので、1以上の暗号が特定のアミノ酸をコードするの
に用いられる (Watson, J.D., In: Molecular Biology
of the Gene, 4th Ed., Benjamin/Cummings Publishin
g Co., Inc.,Menlo Park, CA (1987))。遺伝暗号を用い
て、1またはそれ以上の異なるオリゴヌクレオチドが同
定され、その各々はアミノ酸をコードし得るであろう。
事実、特定のオリゴヌクレオチドが実際のXXXコード
配列を構成するという可能性は、異常な塩基対合関係お
よび特定のコドンが実際に真核細胞で (特定のアミノ酸
をコードするために) 用いられる頻度を考慮することに
より推定される。そのような「コドン使用規則」は Lat
he, R., ら, J. Molec. B iol. 163:1-12 (1985)によ
り開示されている。Latheの「コドン使用規則」を用い
て、R−PTPase をコードできる、理論上の「最も可
能性のある」ヌクレオチド配列を含む単一のオリゴヌク
レオチドまたは1組のオリゴヌクレオチドを同定する。
【0113】時々、アミノ酸配列は単一のオリゴヌクレ
オチドでのみコードされるが、しばしばアミノ酸配列は
1組の類似のオリゴヌクレオチドのどれかによりコード
される。重要なことは、この組の全てのメンバーはペプ
チドフラグメントをコードできるオリゴヌクレオチドを
含み、従って、ペプチドフラグメントをコードする遺伝
子と同じオリゴヌクレオチド配列を含み得るが、その組
のひとつのメンバーだけが遺伝子のヌクレオチド配列と
同じヌクレオチド配列を含むことである。このメンバー
はその組の中に存在し、その組の他のメンバーの存在下
でさえDNAとハイブリッド形成できるので、単一のオ
リゴヌクレオチドを用いてペプチドをコードする遺伝子
をクローンするのと同じ方法で、分画化してない組のオ
リゴヌクレオチドを用いることが可能である。
【0114】R−PTPase フラグメントをコードでき
る、理論上の「最も可能性の高い」配列を含むオリゴヌ
クレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組を用いて、
「最も可能性の高い」配列または配列の組にハイブリッ
ド形成できる、相補オリゴヌクレオチドの配列またはオ
リゴヌクレオチドの組を同定する。そのような相補配列
を含むオリゴヌクレオチドは、R−PTPase 遺伝子を
同定、単離するプローブとして用いられる (Sambrook
et al., 上記) 。
【0115】R−PTPase 遺伝子のフラグメントをコ
ードしうる好適なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌク
レオチドの組 (または、そのようなオリゴヌクレオチド
またはオリゴヌクレオチドの組に相補的なもの) は同定
され (上記方法を用いて) 、合成され、そして当分野で
知られている方法によりDNAまたは最も好ましくはR
−PTPase 遺伝子を発現できる細胞から得られたcD
NA調製物とハイブリッド形成される。「最も可能性の
高い」R−PTPase ペプチドをコードする配列に相補
的な一本鎖オリゴヌクレオチド分子は当業者によく知ら
れている方法を用いて合成される (Belagaje, R., ら,
J. Biol. Chem. 254:5765-5780 (1979);Maniatis, T.,
ら, In: Molecular Mechanigms in the Controlof Gene
Expresgion, Nierlich, D.P., ら, Eds., Acad. Pers
s,NY (1976); Wu, R.,ら, Prog. Nucl. Acid Res, Mole
c. Biol. 21:101-141 (1978); Khorana, R.G., Scienc
e 203:614-625 (1979)) 。さらに、DNA合成は自動合
成機の使用により達成される。核酸ハイブリッド形成の
方法はSambrookら (上記) 、およびHaymes, B.D., ら(I
n: Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approac
h, IRL Press, Washington, DC (1985)) 、により開示
され、これらの文献は、ここに参照により引用されるも
のとする。例えば上記のような技法、またはそれに類似
の技法はヒトアルデヒドデヒドロゲナーゼ (Hsu, L.C.,
ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3771 -3775 (198
5)) 、フィブロネクチン(Suzuki, S.,ら,EMBO J. 4:25
19-2524 (1985))の遺伝子、ヒトエストロゲンレセプタ
ー遺伝子 (Walter, P., ら, Proc.Natl. Acad. Sci. US
A 82:7889-7893 (1985))、組織型プラスミノーゲンア
クチベーター (Pennlca, D.,ら, Nature 301:214-221
(1983))およびヒト出産期胎盤アルカリホスファターゼ
相補DNA (Kam, W.,ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
82:8715-8719 (1985)) のクローニングを可能にするこ
とに成功した。
【0116】R−PTPase 遺伝子をクローニングする
別の方法において、発現ベクターのライブラリーがDN
Aまたはさらに好ましくはcDNA (R−PTPase を
発現できる細胞からの) を発現ベクターにクローニング
することにより調製される。続いて、ライブラリーを、
抗R−PTPase 抗体に結合し、R−PTPase または
そのフラグメントと同じアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをコードできるヌクレオチド配列を有するタンパク
質を発現することができるメンバーを選ぶためにスクリ
ーニングする。この実施態様において、DNAまたはさ
らに好ましくはcDNAをR−PTPase タンパク質を
発現できる細胞から抽出、精製する。精製したcDNA
をフラグメント化し (剪断、エンドヌクレアーゼ消化等
により)DNAまたはcDNAフラグメントのプールを
生成する。続いてメンバーの各々が唯一のクローン化D
NAまたはcDNAフラグメントを含む発現ベクターの
ゲノムライブラリーを生成するために、このプールから
のDNAまたはcDNAフラグメントを発現するベクタ
ーにクローン化する。
【0117】「発現ベクター」とはベクターにクローン
化されたDNA (またはcDNA)分子を発現でき、そ
れによりポリペプチドまたはタンパク質を生成できるベ
クター (適切な転写および/または翻訳制御配列の存在
により) である。クローン化配列の発現は発現ベクター
が適切な宿主細胞に導入された時に起る。原核生物発現
ベクターを用いる場合、適切な宿主細胞はクローン化配
列を発現できる任意の原核生物細胞であろう。同様に、
真核生物発現ベクターを用いる場合、適切な宿主細胞は
クローン化配列を発現できる任意の真核生物細胞であろ
う。重要なことは、真核生物DNAは介在配列を含み、
そのような配列が原核生物細胞で正しくプロセシングで
きないので、原核生物ゲノム発現ベクター・ライブラリ
ーを生成するためにはR−PTPase を発現できる細胞
からのcDNAを使用することが好ましい。cDNAを
調製する方法、ゲノムライブラリーを生成する方法はSa
mbrookらの上記により開示されている。
【0118】本発明のR−PTPase をコードするDN
A配列またはその機能的誘導体は、ライゲーションのた
めの平滑末端化または粘着末端化末端、適切な末端を生
成するための制限酵素消化、適切になるように粘着末端
部の充填、望ましくない結合を避けるためのアルカリホ
スファターゼ処理、および適切なリガーゼでのライゲー
ションを含む従来の方法に従ってベクターDNAと再結
合される。そのような操作の技術はSambrookらの上記に
より開示され、当業者によく知られている。
【0119】DNAのような核酸分子は、それが転写お
よび翻訳調節情報を含むヌクレオチド配列を含み、そし
てそのような配列がポリペプチドをコードするヌクレオ
チド配列と「操作可能な連結」をしているならば、ポリ
ペプチドを「発現できる」と言われる。操作可能な連結
とは、調節DNA配列と発現を求められるDNA配列が
遺伝子発現を可能にするように接続されている連結であ
る。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は種々に
生物により異なり、原核生物では( RNA転写の開始を
指示する) プロモーターおよび、RNAに転写された場
合にタンパク質合成の開始を知らせるDNA配列の両方
を含むプロモーター領域を一般に含む。そのような領域
は、例えばTATAボックス、キャップ配列、CAAT配列等の
転写や翻訳の開始に必要なこれらの5' 非コード配列を
通常含む。
【0120】必要に応じて、タンパク質をコードする遺
伝子配列の3' 非コード領域を上記方法により得る。こ
の領域はターミネーションおよびポリアデニレーション
のようなその転写終了調節配列を保持する。従って、タ
ンパク質をコードするDNA配列に天然では隣接する
3' 領域を保持することにより、転写終了シグナルが提
供される。転写終了シグナルが発現宿主細胞中で十分に
機能しない場合は、宿主細胞で機能する3' 領域が置換
される。
【0121】2つのDNA配列間の連結の性質が(1)
フレームシフト変異の導入を生じない、(2)R−PT
Pase 遺伝子配列の転写を指示するプロモーター領域配
列の能力を妨げない、または(3)プロモーター領域配
列により転写されるR−PTPase 遺伝子配列の能力を
妨げない、ならば2つのDNA配列 (例えばプロモータ
ー領域配列およびR−PTPase をコードする配列) は
操作可能な連結であると言える。プロモーター領域は、
プロモーターがそのDNA配列の転写に作用できるなら
ばDNA配列と操作可能な連結であろう。従って、タン
パク質を発現するためには、適切な宿主により認識され
る転写および翻訳シグナルが必要である。
【0122】プロモーターはRNAポリメラーゼに結合
でき、「操作可能な連結」核酸配列の転写を促進できる
二本鎖DNAまたはRNA分子である。ここで用いられ
ているように、「プロモーター配列」はRNAポリメラ
ーゼにより転写されるDNAまたはRNAの鎖上にみら
れるプロモーターの配列である。「プロモーター配列相
補」とはその配列が「プロモーター配列」の相補である
核酸分子である。従って、一本鎖「プロモーター配列相
補」に隣接するプライマーDNAまたはRNAの伸長ま
たは「プロモーター配列」の伸長後に、その伸長が「プ
ロモーター配列」または「プロモーター配列相補」の方
向へ進行するならば機能的プロモーターを含む二本鎖分
子が生成される。この機能的プロモーターは、(「プロ
モーター配列相補」を含む分子の鎖ではなく)「プロモ
ーター配列」を含む二本鎖分子の鎖に操作可能な連結を
している核酸分子の転写を指示する。
【0123】いくつかのRNAポリメラーゼはそのよう
なプロモーターに高い特異性を示す。バクテリオファー
ジT7, T3およびSP−6のRNAポリメラーゼは特
によく特徴づけられ、高いプロモーター特異性を示す。
これらRNAポリメラーゼの各々に特異的なプロモータ
ー配列もまたポリメラーゼが二本鎖DNA鋳型の二本鎖
の一本鎖だけを利用する (すなわち転写) ように指示す
る。どの鎖が転写されるかの選択は、プロモーター配列
の方向性により決定される。RNAは、3' ヒドロキシ
ル末端にヌクレオチド5'ホスフェートを加えることに
より酵素的に重合されるだけなので、この選択が転写の
方向を決定する。
【0124】核酸分子の2つの配列は、両配列が同じR
NA転写物に転写されるかまたはRNA転写物が1配列
に始まり2番目の配列に伸長するような仕方でそれらが
互いに連結している場合、「操作可能な連結」であると
言える。従って、プロモーター配列およびDNAまたは
RNAの他の「第2」配列のような2つの配列は、プロ
モーター配列で始まる転写が操作可能な連結をした第2
配列のRNA転写物を生成する場合、操作可能な連結で
ある。「操作可能な連結」であるためには、2配列が互
いに直接隣接している必要はない。
【0125】従って、上に示しているように、プロモー
ターとして機能するためには、プロモーター配列は二本
鎖分子として存在しなければならない。本発明の目的の
ために、機能的プロモーター配列の二本鎖を「転写」鎖
および「相補」鎖と呼ぶ。「転写」鎖はRNAポリメラ
ーゼにより転写される二本鎖のうちのその鎖である (す
なわち転写の鋳型として働く) 。「相補」鎖とは、「転
写」鎖に相補な配列を有し、転写が行なわれるためには
存在してかつ「転写」鎖とハイブリッド形成しなければ
ならない鎖である。従って、プロモーター配列の「転
写」鎖が2番目の配列と操作可能な連結をしている場
合、「転写」鎖の「相補」鎖とのハイブリッド形成はポ
リメラーゼ存在で「転写」鎖の転写を生じて、鋳型とし
て「転写」鎖の配列を用いてRNA転写物を生成する。
【0126】本発明のプロモーター配列は原核生物、真
核生物またはウイルスである。好適なプロモーターは抑
制可能であるかまたはさらに好ましくは構成的である。
好適な原核生物プロモーターの例は、T4 (Malik, S.
ら, J. Biol. Chem. 263:1174-1181 (1984);Rosenberg,
A.H.ら, Gene 59:191-200 (1987); Shinedling, S.ら,
J. Molec. Biol. 195;471-480 (1987); Hu, M. ら, Ge
ne 42:21-30 (1986))、T3, Sp6,およびT7 (Cha
mberlin, M.ら, Nature 228:227-231 (1970);Bailey,
J.N,ら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 80:2814-28
18 (1983); Davanloo, P.ら,Proc. Natl. Acad. Sci.
(U.S.A.) 81:2035-2039 (1984))ポリメラーゼを認識で
きるプロモーター;バクテリオファージラムダのPR と
PL プロモーター (The Bacteriophage Lambda, Hershe
y, A.D., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Sprin
g Harbor, NY (1973);ラムダIIHendrix, R.W., Ed.,Col
d Spring Harbor, Press, Cold Spring Harbor, NY (19
80); E.coliのtrp,recA, ヒートショックおよびlaczプ
ロモーター;α−アミラーゼ (Ulmanen, I.,ら, J. Bac
teriol. 162:176-182 (1985) およびB.サブチリスのσ-
28-特異的プロモーター(Cilman, M.Z.,ら, Gene 32 :11
-20 (1984)); バチルスのバクテリオファージのプロモ
ーター (Gryozan, T.J.,In: The Molecular Biology of
the Bacilli, Academic Press, Inc., NY (1982));ス
トレプトミセスのプロモーター(Ward, J.M.,ら, Mol. G
en. Genet, 203: 468-478 (1986));バクテリオファージ
ラムダの intプロモーター;pBR322のβ−ラクタマーゼ
遺伝子の blaプロモーターおよびpPR325のクロラムフェ
ニコールアセチルトランスファラーゼ遺伝子の CATプロ
モーター等を含む。
【0127】原核生物プロモーターは、Glick, B.R.
(J. Ind. Microbiol. 1:277-282 (1987)); Cenatiempo,
Y. (Biochimie 68:505-516(1986)); Watson, J.D. ら,
(In:Molecular Biology of the Gene, Fourth Editio
n, Benjamin Cummins, Menlo Park, CA (1987)); およ
びGottesman, S. (Ann. Rev. Genet. 18:415-442 (198
4))により概説されている。好ましい原核生物プロモー
ターはマウスメタロチオネインI遺伝子のプロモーター
(Hamer, D.,ら, J. Mol. Appl. Gen. 1:273-288 (198
2)); ヘルペスウイルスのTKプロモーター (McKnight,
S., Cell 31:355-365 (1982));SV初期プロモーター
(Benoist, C.,ら, Nature (London) 290:304-310 (198
1));および酵母 gal4遺伝子プロモーター(Johnston,
S.A., ら, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA)71:6971-6975
(1982);Silver, P.A., ら, Proc. Natl. Acad. Sci.(U
SA) 81:5951-5955 (1981))を含む。上記の参照文献はこ
こに参照文献として編入されている。
【0128】強力なプロモーターが好ましい。そのよう
な好ましいプロモーターの例は、T3、SP6およびT
7ポリメラーゼを認識するプロモーター、バクテリオフ
ァージラムダのPL プロモーター、recAプロモーターお
よびマウスモタロチロネインI遺伝子のプロモーターで
ある。R−PTPase の真核生物発現のために最も好ま
しいプロモーターは、pLSVベクター(Livneh, E., ら,
(1986) J. Biol. Chem. 261, 12490-12497) 中で転写を
うながすSV40プロモーターであるる。そのようなポリメ
ラーゼ認識部位の配列はWatson, J.D.ら, (In: Molecul
ar Biology ofthe Gene, Fourth Edition, Benjamin/Cu
mmings Publishing Co., Inc., MenloPark, CA, (198
7))により開示されている。
【0129】本発明を一般的に記載したが、本発明は下
記の実施例を参考にすることにより、より容易に理解さ
れるであろう。しかし実施例は説明のために提供してい
るのであり、特にことわらない限り、本発明を限定する
ことを意図するものではない。
【0130】
【実施例】実施例I マウスR−PTPase −α cDNAクローンの単離と
分析 1.ライブラリー・スクリーニング ラムダgt11中のBALB/Cマウス脳cDNAライ
ブラリー(Dr.Y.Citriから恵与された)を、
緩和な緊縮条件(6xSSC、5xDenhardt
s、0.1% SDS、50mM Tris pH7.
5、1mM EDTA、 0.1mg/ml サケ精子
DNA、ハイブリダイゼーション温度50℃)で、あら
かじめランダムプライミング法で32P標識しておいたヒ
トT200糖タンパク質(Ralph, S.J. et al., EMBO
J. 6:1251-1257, 1987)の細胞内およびトランスメンブ
ランドメインを表す2400bpのBglII−Acc
I断片をプローブとして用いてスクリーニングした。6
xSSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄を行っ
た。106個のクローンから51個のポジティブなクロ
ーンを取り出し、選択し、制限酵素マッピングにより特
徴決定した。最長の挿入物を含むファージクローン(ラ
ムダ−109)から単離した0.95、1.6および
0.3KbのEcoRI断片をブルースクリプト(Bl
uescript)KSプラアスおよびマイナスベクタ
ー中にサブクローニングした。クローン化cDNA断片
とプラスミドベクターのポリリンカー領域に共通な制限
部位を使用することにより、一連のnested de
letionを作成した。使用した個々の制限部位を図
1bに示す。これら構築物から1本鎖DNAを調製し、
ジデオキシヌクレオチド鎖末端法(シーケナーゼ、Un
ited StatesBiochemical)を用
いる配列決定の鋳型として用いた。両方の鎖の全ての領
域を配列決定した。組換えファージ中のEcoRI断片
の相対的順序および方向性は制限酵素マッピングにより
決定した。異なるEcoRI断片が、ライブラリー構築
過程で一緒にライゲーションした無関係なcDNA断片
に対応しないことを確認するために、別の独立した単離
物であるラムダ−113についても制限酵素マッピング
を実施した。 2.結果 脳組織は、多くの型のチロシンキナーゼに富むことが既
に証明されており、最近の生化学的検証により複数の型
のPTPase 活性の存在も示唆されている(Jones, S.
W. et al., J. Biol. Chem., 264:7747-7753, 1989)。
新しいレセプター型PTPase を検索するために、本発
明者らは、2つの一列に並ぶPTPaseドメインを含む
ヒトCD45の細胞内ドメインをハイブリダイゼーショ
ンプローブとして用いて、マウス脳cDNAライブラリ
ーを低緊縮条件でスクリーニングした(Tonks, N.K. et
al., 前出;Charbonneau, H. et al., 前出; Ralph, S.
J.et al., 前出)。クロスハイブリダイゼーションおよ
び制限酵素マッピングによりポジティブなクローンをい
くつかの範疇に分類して、最も多く現れたクラスに対応
する最長のファージ挿入物(ラムダ−109)を選択し
て次のサブクローニングおよび分析に用いた。
【0131】ヌクレオチド配列分析の結果を図1に示
す。cDNA配列の概念的翻訳から、794アミノ酸の
主要オープンリーディングフレームの存在が明らかとな
り、ヌクレオチド259で翻訳が開始される(フレーム
内停止コドンは60ヌクレオチド上流に存在する)こと
が推定された。推定される開始メチオニンコドンは翻訳
開始にとって比較的標準的な環境中(Kozak, M., Nucl.
Ac. Res., 15:8125-8146, 1987)に位置しており、お
そらくシグナルペプチドとして機能する典型的疎水性ア
ミノ酸群がこれに続く。「−3,−1」ルール(von He
ijne, G., Nucl.Ac. Res., 14:4683-4690, 1986)に従
えば、残基20および25がいずれも成熟タンパク質の
N末端を構成する候補となりうる。第2の疎水性アミノ
酸群はアミノ酸143から166に見られ、一連の高荷
電残基がこれに続き、これは多くの膜橋かけ(memb
rane−spanning)ドメインに関連して見ら
れる停止−移動シグナルと一致する。タンパク質の予測
される細胞内ドメインは、お互いに44%の配列同一性
を有する2つのタンデムリピートからなる(残基259
−486および552−776)。これらのリピートの
それぞれは、以前記載されたトランスメンブランPTP
ase CD45(Ralph, S.J. et al., 前出)およびLA
R(Streuli, M. et al., 1988, 前出)の細胞内触媒ド
メインと有意な配列同一性を示す(それぞれ45%およ
び53%のアミノ酸配列が同一)。これとは対照的に、
EMBLおよびGENBANKデータベースには、コー
ドされるタンパク質の推定細胞外ドメインの既知の配列
と有意な相同性を示すものを含まない。細胞外ドメイン
の特徴は、セリンおよびトレオニン残基の極めて高い含
量(>32%)、システイン残基の非存在並びに8個の
N−結合グリコシル化しうる部位の存在を含む。
【0132】単離されたcDNAは、新規な型の細胞外
ドメインをもつ新しいトランスメンブランPTPase フ
ァミリーをコードすることが結論された。そのレセプタ
ー様の構造と、本実験の結果からこのファミリーの別の
ものがさらに発見される可能性があることから、このタ
ンパク質をmuR−PTPase −α(murinere
ceptor protein tyrosine p
hosphatase−α)と命名した。実施例II マウスR−PTPase −α遺伝子の染色体分布 STS/A、020/A、CXSおよびOXA組換え同
種交配(RI)マウス、並びにCXB RI株N、O、
P、QおよびRは、Dr.Jo Hilgers(Th
e Netherlands Cancer Inst
itute)から恵与された。その他の全ての同種交配
マウスはJackson Laboratory(Ba
r Harbor, Maine)から購入した。戻し
交雑(BC)動物はJackson Laborato
ryから購入した同種交配の原種との間でNew Yo
rk Universityにおいて交配した。全ての
交配において雌親を第1代とし、F1と名付けた。AK
XD、AKXL、BXD、BXHおよびG、H、I S
WXL RI株からの、並びにCXB、RI株D、E、
G、H、I、JおよびKからの脾臓ゲノムDNAはJa
ckson LaboratoryのDNA Reso
urceから購入した。その他の全てのマウスについて
は、プロテase 消化、フェノールおよびクロロホルム抽
出、およびエタノール沈殿などの標準法によって肝臓の
粗核からゲノムDNAを調製した。文献(Silver, J.,
J. Hered., 76:436-440, 1985)に詳述するように、標
準法を少し変更したサザンブロット分析にマウスゲノム
DNAを付す。R−PTPase−αの細胞内ホスファタ
ーゼドメインに対応する1.8kbのEcoRI断片、
並びにその細胞外およびトランスメンブランドメインに
対応する0.7kbのSacII−EcoRI断片をブ
ルースクリプトKSベクターにクローニングして、それ
ぞれプラスミドp109およびp923を作成した。
【0133】Il−1α(インターロイキン−1 アル
ファ)遺伝子座と関連するDNA制限断片長変異型を、
文献に記載されているようにサザンブロット法(D'Eust
achio, P. et al., Immunogenetics 26:339-343, 198
7)で検出した。マーカー対の1:1分離から得られる
偏差の有意性をSilverおよびBucklerのB
ayesian法から計算した(Silver, J. et al., P
roc. Natl. Acad. Sci.USA 83:1423-1427, 1986; Blan
k, R.D. et al., Genetics 120:1073-1083, 1988)。地
図上の距離を,B.A.Taylorの方法(Morse,
H.C. III,編集 Origins of Inbred Mice, Academic Pre
ss, New York, 1978, pp.423-438)に従い、RI株の組
換え分画測定から算出し、Silverの方法(198
5,前出)によりその関連95%二項信頼限界(bin
ominal confidence limits)
を計算した。D.Bishopの方法(Genet. Epidemi
ol.,2:349-361, 1985、 等式1)によりマーカー3つの
順序の可能性を計算した。コンピュター処理はVAX6
000−410コンピューターで行った。
【0134】マウスの同種交配株からのゲノムDNAの
サザンブロット分析によって、2つの有用な制限断片長
変異型が明らかとなり、1つはmuR−PTPase−α
(p109)の細胞内ドメインに対応するプローブで見
ることができ、他の1つは細胞外およびトランスメンブ
ランドメインプローブ(p923)で見ることができた。
結合すると、これらの変異型によって、検索したマウス
の10の同種交配株中にmuR−PTPase −αの3つ
の対立遺伝子型が同定された(表1)。
【0135】
【表1】 TaqI制限エンドヌクレアーゼで消化した肝臓ゲノムDNA
をサザンブロットで分析した。断片の大きさはキロベー
スで示す。
【0136】RIマウスにおけるこれらの対立遺伝子の
遺伝を測定した。RIマウスにおける既知の染色体位座
位のその他のマーカーで観察されたものと比較したmu
R−PTPase −αでの株分布パターン(表2)は、染
色体2上でのmuR−PTPase −αとIl−1a(イ
ンターロイキン−1 アルファ)との間の緊密な連鎖を
示唆した(検索した89のうち3つのRI株で)。この
一致度は、もしも遺伝子座が連鎖していない場合に起こ
る可能性の0.00001よりも小さい。観察された組
換え株の分画から、遺伝子座の間の地図距離は0.9c
Mであることが示された(95%信頼限界 0.2−
0.6cM)。
【0137】
【表2】
【0138】TaqIで消化したDNAのサザンブロッ
トにより、RI株をmuR−PTPase −αおよびIl
−1aの対立遺伝子に分けた(表1および D'Eustachi
o, P.et al., Immunogenetics 26:339-343, 1987 参
照)。AKXD、CXB株D−K,およびBXHマウス
のIl−1a対立遺伝子はD’Eustachioら、
前出に記載されている。全てのRIマウスは各遺伝子座
における原種株対立遺伝子のうちの1つのホモ接合体で
ある。対立遺伝子は以下の親株に対応する大文字で示
す:A,AKR/J;B,C57BL/6J;C,BA
LB/c;D,DBA/2J;H,C3H/HeJ;
J,SJL/J;L,C57L/J;S,SWR/J;
T,STS/A。
【0139】C57BL/6JとSWR/J株との間の
相互戻し交雑による子孫におけるmuR−PTPase −
α、Il−1aおよびa(ノンアグーチ:nonago
uti)の遺伝の追跡調査によって、muR−PTPas
e −αとIl−1aとの連鎖が確認され、2つの遺伝子
の順序を示唆した(表3)。150の子孫のうち、14
はmuR−PTPase −αとaとの間の組換えであり、
1つはmuR−PTPase −αとIl−1aとの間の組
換えであった。もしも遺伝子座がセントロメア・Il−
1a・muR−PTPase−α・aの順序であるなら
ば、二重交差が全く起こらないことになり;これ以外の
順序ならば1または14のこのような事象を要すること
になり、Bishopの方法(前出)から計算して、少
なくとも9.5倍ありそうにない。Il−1aとmuR
−PTPase −αとの距離、0.6cM(95%信頼限
界:0.1−2.4cM)は、RI株のデータから計算
される距離とサンプリング変動の範囲内で一致する。こ
の結果を最近Bmp−2a(骨形態タンパク質2a:b
one morphogenic protein2
a;Dickinson, M.E. et al., Genomics 6:505-520,199
0)で得られた結果と比較して、2つの遺伝子の間には
明瞭な構造的相同性がないが、これら2つの遺伝子は緊
密に連鎖していることが示唆された。
【0140】
【表3】
【0141】(C57BL/6J x SWR/J)F
1(F1)およびC57BL/6J(B)マウスの間の
BCから得た150の子孫について、ノンアグーチ
(a)マーカーの遺伝を肉眼で型に分け、muR−PT
Pase −αおよびIl−1aの対立遺伝子をサザンブロ
ットで調べて分類した。実施例III マウスR−PTPase −α RNAの発現 1.ノーザン分析 文献記載の方法(Vennstrom, B. et al., Cell 28:135-
143, 1982)によるオリゴ(dT)選択により、成人マ
ウス組織および細胞系からポリA+RNAを調製し、ホ
ルムアルデヒド含有ゲル上で分画し(レーン当たり5μ
g)、標準法を用いてニトロセルロース(Hybond
C、Amersham)に移しとった。32P−dAT
Pの存在下に、アニールしたT7プライマーからの伸長
を行うためのDNAポリメラーゼのクレノウフラグメン
トを用いて、ブルースクリプト・ベクターのEcoRI
部位にアンチセンスの方向にクローン化した全ラムダ−
109cDNAからなる1本鎖鋳型上で、プライマー伸
長法により32P標識プローブを調製した。50%ホルム
アルデヒド、5xSSC、25mM KPO4、5xD
enhardt’s、10μg/mlサケ精子DNA、
および10%硫酸塩中、42℃でハイブリダイゼーショ
ンを行った。洗浄は0.1×SSC、0.1%SDS中
で48℃で行った。フィルターを高緊縮条件(58℃)
で洗浄しても、ハイブリダイゼーション・パターンに検
知し得る影響を与えなかった。 2.マウスR−PTPase −αタンパク質の発現 ファージ・ラムダ−109からの全cDNA挿入物を部
分的EcoRI消化によってファージから1断片として
放出し、ブルースクリプトKSベクター中にクローン化
した。非翻訳リーダー配列の大半を欠くcDNA断片
(位置226にあるSacII部位から開始する;図1
b参照)を、SV40プロモーターを入れたpLSV−
ベクターにサブクローニングし(Livneh, E. et al.,
J. Biol. Chem., 261:12490-12497, 1986)、得られた
プラスミドDNA(pLSV−PTP−α)をDEAE
−デキストラン法によってCOS細胞にトランスフェク
ションした(Lopata, M.A. et al., Nucl. Ac. Res., 1
2:5707-5717, 1984)。N末端を切ったmuR−PTPa
se −αタンパク質をコードする発現ベクターpLSV
Cを免疫沈降試験の対照として用いた。 3.結果 各種のマウス組織からのポリA+RNAを調製して、m
uR−PTPase −α遺伝子の発現を研究した。ノーザ
ン分析(図2)によって広範な発現パターンが明らかに
なった。脾臓を除く試験した全ての組織に3.0kbの
mRNAが存在し、脳と腎臓が最も高い発現レベルを示
した。同様の大きさのmRNAがNIH−3T3マウス
繊維芽細胞系2.2、およびプレプロ−Bリンパ球系B
AFにも観察された(図2)。ノーザンブロットを短時
間さらすと、別の非常によく似た大きさ(3.2kb)
の第2のmRNA種が幾つかの組織(例えば脳)で少量
存在することを明らかに示した。cDNA配列の3’末
端にポリAテイルおよびポリアデニル化シグナルは観察
されなかったが、単離したcDNAクローン(2872ヌ
クレオチド)はmRNAの全長にほぼ一致することもデ
ータは示唆している。実施例IV マウスR−PTPase −αタンパク質の過渡的発現 1.抗体の調製および免疫沈降 カップリング試薬としてEDCI(1−エチル−3−
(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)を用いて
BSAとカップリングさせたmuR−PTPase−αタ
ンパク質の予測されるC末端(残基777−794)に
対応する合成ペプチドをウサギに注射した。抗原は1m
gのペプチドと完全フロインド・アジュバントの懸濁液
を皮内および経皮で注射した。0.5mgのペプチドと
不完全アジュバントで3回のブースター注射を2−3週
間の間隔で行った。この方法を用いて得られた抗血清を
「2A」と命名した。代謝性35S−メチオニン標識、細
胞抽出物の調製(トランスフェクション後60時間)お
よびプロテイン−A−セファロースを用いる間接免疫沈
降は標準法で実施した(Yarden, Y. et al., EMBO J.6:
3341-3351, 1987)。 2.結果 成熟タンパク質の大きさを決定するために、SV40プ
ロモーターの制御下に、非翻訳リーダーの大半を除い
て、muR−PTP−ase −αをpLSVベクター中に
クローニングして(Linvneh, E. et al., J. Biol. Che
m. 261:12490-12497, 1986)、発現ベクターpLSV−
PTP−αを得た。このベクターをCOS細胞にトラン
スフェクションし、60時間後に35S−メチオニン標識
された全細胞抽出物を抗血清2Aを用いて調製して、免
疫沈降に用いた。
【0142】図3から明らかなように、抗血清は幾つか
のバンドを認識し、そのうちの1つである拡散した13
0kDaのバンド(矢印)はトランスフェクションされ
た細胞からの免疫沈降(レーン5)にのみ存在し、モッ
ク・トランスフェクションされた細胞(レーン3)(m
uR−PTPase −α cDNAのないpLSVでトラ
ンスフェクションされた)からの免疫沈降には存在しな
かった。沈降は免疫感作に用いたペプチドで競合された
(レーン6)。
【0143】muR−PTPase −αの予測される分子
量(88kDa)と実測分子量(130kDa)との差
は、著しいグリコシル化によるものである。
【0144】抗血清の特異性の別の制御として、muR
−PTPase −αcDNAのN末端切断形(アミノ酸2
14から始まり、したがってトランスメンブランおよび
細胞外ドメインを欠く)を同じベクター中に入れたもの
でもCOS細胞をトランスフェクションした。このベク
ターでトランスフェクションした細胞からの免疫沈降
で、55kDaの見かけ上の分子量をもつ新規で大量の
タンパク質が観察され、これを再び抗原性ペプチドと競
合させた(レーン7および8)。成熟muR−PTPas
e −αと比較してのN末端切断形タンパク質の豊富さ
は、複数の独立したトランスフェクション実験での結果
と一致した。実施例I〜IVに関する一般的議論 上記の実施例は広範な発現パターンをもつ新規なレセプ
ター様PTPase 、R−PTPase −αの同定を記載し
たものである。したがって、R−PTPase は、従来C
D45の研究をもとにして考えられていたようなリンパ
球細胞活性の調節以外の広範な機能を有することが期待
される。
【0145】CD45タンパク質の細胞外ドメインに対
するモノクローナル抗体を用いる研究によって、R−P
TPase の架橋が様々な細胞活性に重大な影響を及ぼし
得ることを示したが、PTPase 酵素活性に対する影響
はまだ研究の余地がある。しかしながら、リガンド誘導
のレセプターの凝集が、レセプター・チロシン・キナー
ゼによるトランスメンブラン・シグナリングの中心的な
出来事であるので(Ullrich, A. et al., 前出)、R−
PTPase のための推定的細胞外リガンドがin vi
voでのR−PTPase の活性を調節する能力をもつこ
とを本発明者らは提案する。
【0146】レセプター・チロシン・キナーゼ(PT
K)について提案されたのと類似の方法で、R−PTP
ase は、先祖代々のPTPaseドメインと、細胞外リガ
ンドと結合し得るドメインとの複数の遺伝子融合を経て
生じたものだと提案することができる(Ullrich, A. et
al.; Hanks, S.K. et al., 前出)。
【0147】PTPase ドメインと結合してレセプター
様タンパク質を形成し得る細胞外ドメインの多様性が、
同様のメカニズムで作用し得る可能なリガンドの範囲と
対応することが期待される。本明細書に開示したような
クローン化R−PTPase の入手可能性は、その基質特
異性を決定するうえで、またその機能を理解しその活性
を操作するうえで有用である。
【0148】R−PTPase は主要なチロシン・キナー
ゼ基質に対する広範な特異性を有しており、その異なる
細胞外ドメインが、細胞外環境における異なるシグナル
に応答する異なる調節メカニズムを可能にする主な原因
である。この観点に基づいて、レセプター・タンパク
質、チロシン・キナーゼを通して作用するこれらのポリ
ペプチド成長因子に対して細胞の応答性をR−PTPa
seが変えることが予期される。PTKではリガンド結
合が酵素活性の活性化を導く。これから考えると、R−
PTPase −α並びにその類似分子はネガティブな成長
調節物質であり、劣勢がん遺伝子と考えることができ
る。
【0149】例えば、R−PTPase −αが位置するマ
ウス染色体2の部分を欠失すると、SJL/Jマウスに
おける放射線誘導の骨髄白血病(Tracktenbrot, L. et a
l.,Leukemia 2:545-550, 1988)の初期症状を呈し、これ
は劣勢がん遺伝子の概念と一致する。さらに、ヒトR−
PTPase −α遺伝子が位置するヒト染色体20に係る
再配置はヒトリンパ球白血病と結び付けられてきた(Mit
elman, F. (編集) Catalog of Chromosome Aberrations
in Human Cancer, A. Liss, New York)。
【0150】あるいは、R−PTPase −αは、CD4
5とc−lckとの間の相互作用に対して提案されたの
と同様の方法で作用するのかも知れない(Oostergaard,
H.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8959-8
963, 1989; Mustelin, T. etal., Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 86:6302-6306, 1989)。この観点からすると、
R−PTPase −αは、レセプターではなく、かつlc
kよりも広く発現している膜関連のPTKにおけるネガ
ティブな調節部位(例えば、pp60c-srcにおけるt
yr527など)を脱リン酸化する。このように作用する
ことにより、R−PTPase −αはポジティブな成長コ
ントロールおよび分化に関与するであろう。
【0151】本発明者らは何ら特定の理論に拘泥するつ
もりはないが、各種レセプター・PTPase の触媒ドメ
インにおける高い種間保存は、細胞成長のコントロール
におけるこれらレセプターの重要な役割を示唆する。実施例V ヒトR−PTPase cDNAの単離および特徴 (Kaplan, R.et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:
7000-7004, 1990) A.材料 制限エンドヌクレアーゼおよび修飾酵素はBoehri
nger−MnnheimまたはNew Englan
d Biolabsから購入した。Taq DNAポリ
メラーゼはPerkin−Elmer/Cetusから
購入した。全ての配列決定に用いるプライマー、並びに
ポリメラーゼ・チェーン・リアクションに用いるラムダ
gt11前向きおよび逆向きプライマー(24−mer
s)は、メトキシまたはβ−シアノエチルホスホアミダ
イトを用いて、自動DNA合成機(Applied B
iosystems,モデル380A)で合成した(Ho
use, C. et al., J. Biol. Chem. 262:772-777, 198
7)。ラムダgt11ヒト脳幹cDNAライブラリーは
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(寄託
番号37432)から得た。ライブラリーのスクリーニ
ング用プローブとして用いるLCA(CD45)クロー
ンはE.H.Fischer(University
of Washington, Seatle)から恵
与された。全ての配列決定反応はシーケナーゼキット
(United States Biochemica
l)を用いて行った。 B.方法 1日齢のヒト幼児脳幹のラムダgt11 cDNAライ
ブラリーから得た約300,000プラークを、両方の
保存ホスファターゼドメインにまたがるニック・トラン
スレーションしたLCAプローブを用いて、ゆるやかな
緊縮条件でふたつのニトロセルロースフィルター上でス
クリーニングした(Charbonneau, H. etal., 1989, 前
出)。0.25%無脂肪ドライミルク、0.1%SD
S、および106cpm/mlの32P標識LCAプロー
ブを含む5x SSPE溶液(SSPEは10mM N
aH2PO4、pH7.4/0.18M NaCl/1m
MEDTA)中、55℃で一夜ハイブリダイゼーション
を実施した。フィルターを2x SSPE/0.2%
SDS中、55℃で20分間、3回洗浄し、次いでオー
トラジオグラフィーに付した。このスクリーニングによ
り79個の二重にポジティブなものが得られ、そのうち
のLCAプローブと種々の程度のハイブリダイゼーショ
ンを示した12個を、同じプローブを用いて繰り返しス
クリーニングすることによってプラーク精製した。次い
でcDNA挿入物の大きさを決定するために、ポリメラ
ーゼ・チェーン・リアクションを用いた(Saiki, R.K.
et al., Science 230:1350-1354, 1985)。各精製プラ
ークからの溶出物の部分からなるDNA鋳型を75℃、
15分間加熱してDNAを放出させた。鋳型にラムダg
t11前向きおよび逆向きプライマーを付けた。反応混
合物(0.1ml)を文献記載の方法により調製した
(Dionne, C.A. et al., Biotechniques 8:190-194, 19
90)。自動Perkin−Elmer/Cetus D
NA熱サイクラー中で増幅を30サイクル行い、各サイ
クルは94℃で1.5分変性、65℃で2分アニーリン
グ、および72℃で4分伸長した。各サンプルの一部
(15μl)を1μg/mlのエチジウムブロミドを含
む1%アガロースゲルで電気泳動して分析した(Sambro
ok et al., 前出)。ラムダソルブ(LambdaSor
b)(Promega)を用いて4つの最大クローンか
らDNAを調製し、次いでEcoRIで消化した。配列
決定のために断片を別々にM13mp18のEcoRI
部位にサブクローニングした。ヌクレオチド配列は、修
飾T7ポリメラーゼ(Tabor, S. et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 84:4767-4771, 1987)を用いてジデオ
キシヌクレオチド鎖末端法で決定した(Sanger, F. et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463-5467, 197
7)。
【0152】配列データに関する全てのコンピューター
分析はIntelliGeneticsの書いたプログ
ラムを用いてMicro VAX IIで行った。DN
A配列を分析してGELプログラムを用いて組み立て
た。タンパク質の疎水性分析は、KyteおよびDoo
littleのアルゴリズム(Kyte, J. et al., J. Mo
l. Biol., 157:105-132, 1982)に基づき、PEPプロ
グラムで行った。タンパク質配列順はGENALIGN
プログラムを用いて行った(Sobel, E. et al.,Nucleic
Scids Res., 14:363-374,1985; Karlin, S. et al., M
ol. Biol. Evol., 1:357-370, 1984; Needleman, S.B.
et al., J. Mol. Biol., 48:443-453, 1970)。最初の順
序付けはJimenez−Montanoプロテインア
ルファベットを用いて行った(Jimenez-Montano, M. et
al., Proc. 7th Int'l Biophysics Congress, 1981, M
exico City)。 C.結果 PTPase ファミリーの新たなメンバーを同定するため
に、ラムダgt11中のヒト幼児脳幹cDNAライブラ
リーから得た300,000プラークを、両方の保存ホ
スファターゼドメインにまたがるニックトランスレーシ
ョンしたLCAプローブを用いて、非緊縮条件でスクリ
ーニングした。二重ポジティブな最初の79個のうちの
4個を完全に配列決定した。2つのクローン、31−4
および27−1はαと命名したヒトR−PTPase (h
uR−PTPase)の全長コーディング領域のオーバ
ーラップする部分を含んでいた(図4B)。クローン3
1−4と27−1を組み合わせた長さは3615bp
(図4A)であり、802アミノ酸のタンパク質をコー
ドしており(図4C)、さらに5’および3’非翻訳領
域にそれぞれ695bpおよび510bpを含む。4個
のクローンのうちの2個は、βおよびγ(ガンマ)と命
名したさらに2つのR−PTPase をコードする遺伝子
部分を含む(図5)。R−PTPase −αと同様、これら
2つのタンパク質は典型的な疎水性トランスメンブラン
領域と、別個の細胞外ドメインとを含み、これらが別の
R−PTPase であることを示唆する。
【0153】この遺伝子と相同なマウス由来のものをヒ
トR−PTPase −αと同時に配列決定した(前記実施
例I〜IV参照)。マウスとヒトタンパク質の比較を図4
Cに示す。いくらかの多様性の存在する細胞外ドメイン
を除けば、2つの多様性は5残基が異なるのみである。
ヒトR−PTPase −αの構造を検討したところ、該領
域中に1個のシステインのみをもつ疎水性シグナルペプ
チドを含む150残基からなる比較的短い細胞外ドメイ
ンが明らかとなった。N−グリコシル化を生じ得る部位
は8個あり、またO−グリコシル化を生じ得る部位は多
数存在する(このドメインにはセリンおよびトレオニン
に富むので)。R−PTPase −α、LCA、およびL
ARは構造的に無関係であるように思われる。両側を荷
電した残基で固着された疎水性トランスメンブラン領域
が存在する。これに続いてそれぞれ約235残基の一列
に並んで繰り返す2つの保存性ホスファターゼ・ドメイ
ンがあり、この2つのは57アミノ酸によって隔てられ
ており、これはLCA、LARのようなR−PTPase
類、並びに2つのショウジョウバエPTPase であるD
LARおよびDPTPに典型的な特徴である。
【0154】図5Aおよび5Bは、それぞれLCA並び
にR−PTPase α、βおよびγ(ガンマ)の第1と第
2保存性ホスファターゼ・ドメイン間のアミノ酸配列を
示す。4つのR−PTPase のうち、βとγが最もよく
配列が似ていることが容易に見て取れる。PTPase 1
B、LCA、LAR、DLARおよびDPTPの保存性
ホスファターゼ・ドメインの配列のうち、29残基が不
変であることが報告されている(Hunter, T. et al.,
前出)。これらの残基の多くはR−PTPase−α、β
およびγの両方のホスファターゼドメインにも存在する
が、βおよびγの第2の保存性ホスファターゼ・ドメイ
ンは、LCAのホスファターゼ・ドメイン2にある10
4および201位の2つのシステインを含むこれらのア
ミノ酸の多くを欠いていることは興味深い。 D.議論 本明細書で同定された3つのヒトR−PTPase (α、
βおよびγ)の保存性ホスファターゼ・ドメインの配列
をお互いに比較し、またLCA、LAR、並びに2つの
可溶性PTPase である胎盤ホスファターゼ1Bおよび
T細胞PTPase の配列と比較した(表4)。2つの可
溶性酵素は70%の配列同一性を有していたが、それぞ
れをR−PTPase (ホスファターゼドメインPD1ま
たはPD2)と比較すると、この数字は29−42%に
落ちる。全ての場合において、可溶性PTPase はR−
PTPase のPD2よりもPD1とより多くの同一性を
示した。R−PTPase−αは、そのPD1配列がLA
Rと56%同一であり、PD2配列は52%同一である
ので、LARと最も関連しているように思われる。R−
PTPase βおよびγの保存性ドメインはお互いに最も
関連しており、2つの可溶性PTPase βおよびγがP
D1およびPD2の双方で75%同一であるよりももっ
と関連している。一般に、いかなるR−PTPase でも
そのPD1とPD2の間の配列関連性はそのファミリー
の異なるもの同志の間に見られる関連性よりも高くない
のは興味深いことである。例えば、高いものでLARの
PD1とPD2領域の間の同一性は47%であり、低い
ものではR−PTPase γでは29%である。
【0155】R−PTPase −α、βおよびγの細胞質
ドメインは高度に保存されているが、これらレセプター
の細胞外ドメインはお互いに関連がなく、またLARお
よびLCAの細胞外ドメインとも関連がない。このこと
はこれらレセプターのそれぞれが別々のリガンドをもっ
ていることを示唆する。これらリガンドのR−PTPas
eへの結合が、PTKase 活性を示す成長因子レセプタ
ーとともに、シグナルトランスダクションに関与する標
的タンパク質のチロシンリン酸化の調節に決定的な役割
を果たしているようである。本明細書に記載するR−P
TPase の多様性が多重遺伝子ファミリーの存在を明ら
かにするものである。これらの膜レセプター間の構造と
機能の関係をより理解することが、細胞成長、分化、お
よび発癌に関与するメカニズム解明への重要な洞察を提
供する。
【0156】
【表4】
【0157】保存性ホスファターゼ・ドメインの並び方
は前記の方法で決定した。比較した領域は図4Cおよび
図5に示す。PDはホスファターゼドメインを表す。実施例VI ノーザンブロット分析によるヒトR−PTPase −αの
発現 全RNA20μgまたはポリ(A)+RNA2μgを含
むサンプルをホルムアルデヒド/アガロースゲル中に溶
解し、ニトロセルロースに移し取った。R−PTPase
−αおよびβ−アクチンプローブをランダムプライミン
グによって標識した(Sambrooket al., 前出)。前述
したように65℃でハイブリダイゼーションと洗浄を行
った(Church, G. et al., Proc. Natl. Acad.Sci. USA
81:1991-1995, 1984 )。このR−PTPase −αとハ
イブリダイズしたブロットを、−80℃、72時間、増
感板とともにXAR−2−X線フィルム(Kodak)
にさらした。同じ条件で15時間後にアクチンプローブ
・ブロットからの結果を得た。
【0158】R−PTPase −αの発現を種々の細胞系
および組織で試験した(図6)。結果は、それぞれ約
4.3kbおよび6.3kbの2つの主要R−PTPas
e −転写物の存在を示唆する。この2つのうちの大きい
方は胎児組織により広く存在し、特にポリ(A)+胎児
肝臓サンプルに顕著であり、ここには4.3kbの転写
物も相対的に最も高い量が存在した。2つの転写物の発
現が個別に発生的に調節されており、また/あるいはL
CAで見られるように(Ralph, S.J. 前出)、別のスプ
ライシングメカニズムによる結果かも知れない。成人の
脳はR−PTPase −αの発現が相対的に少ない。この
結果は、R−PTPase −αがある程度、多くの組織で
発現していることを示唆する。マウスR−PTPase −
αもまた、多くの組織および細胞系で発現し、脳および
腎臓で最も多く発現することが観察された(Sap, J. et
al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA 87:6112-6116, 199
0;前述の実施例IIIおよびIVも参照されたい)。実施例VII ヒトR−PTPase −α遺伝子の染色体局在化 本研究で用いた親細胞と体細胞とのハイブリッドの単
離、増殖および性質については既に文献に記載されてい
る(Durst, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 8
4:1070-1074, 1987; Ku, D-H. et al., Somatic Cell M
ol. Genet. 15:297-307, 1989; Juan, C-C. et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8910-8913,1988)。特定
のヒト染色体または染色体領域の存在は、特定の染色体
領域に帰せられる遺伝子のプローブを用いてDNAハイ
ブリダイゼーションによって確認した。ハイブリッドD
NAを過剰の制限エンドヌクレアーゼHindIIIま
たはEcoRIで消化し、0.8%アガロースゲルの電
気泳動で大きさを分け、ナイロンフィルターに移し取っ
て、上記のようにハイブリダイゼーションした(Durst
et al., 前出)。R−PTPase −αプローブはクロー
ン31−4の3’側にある0.8kbからなる(図4B
参照)。
【0159】サザンブロット分析によって、全ヒトゲノ
ムを表すヒト染色体領域のオーバーラッピング・サブセ
ットをもつ17個のげっし類−ヒト体細胞ハイブリッド
からのDNAにおける、ヒトR−PTPase −α遺伝子
座の存在を調べた。結果(図7)は、ハイブリッド細胞
中のヒトR−PTPase −α遺伝子座の存在が部分的ヒ
ト染色体20の存在とのみ相関することを示す。ハイブ
リッドPB5−1およびAB3のそれぞれが染色体20
の長腕を欠き、かつR−PTPase −α遺伝子座を保持
しているので、R−PTPase −α遺伝子座の領域局在
化もできうることをデータは示している。したがって、
ヒトR−PTPase −α遺伝子は20pter−20q
12に位置する。
【0160】ヒト染色体20に位置する全てのヒト遺伝
子と相同なマウス遺伝子はマウス染色体2に位置するこ
とが観察されている(Lalley, P.A. et al., Cytogene
t. Cell Genet. 51:503-532, 1989)。これはR−PT
Pase −αについても同様であると思われる(上記実施
例II参照)。
【0161】骨髄障害および腫瘍における転座および欠
失にはヒト染色体20の長腕が関与する(Trent, J.M.
et al., Cytogenet. Cell Genet., 51:533-562, 198
9)。ヒトR−PTPase −α遺伝子座は特に20qの
欠失に関与するのかも知れない。この場合には、これが
がんサプレッサー遺伝子あるいは抗−がん遺伝子である
可能性が強くなる。SJL/J株におけるマウスでも同
様に、染色体2の欠失が放射線誘導の骨髄白血病の進展
に関与するようである(Trakhtenbrot, I. et al.,Leuk
emia 2:545-550, 1988)。
【0162】本明細書で引用した全ての文献は、特別に
包含したとしないにかかわらず、参照として本明細書に
包含される。
【0163】今や本発明を十分に記載したので、本発明
の精神および範囲を逸脱することなく、かつ過度な実験
を行うことなく、均等なパラメーター、濃度、および条
件の広範な範囲内で当業者が同じことを実施できること
が理解されよう。
【0164】本発明はその特定の態様に基づいて記載し
たが、さらに修飾が可能なことが理解されるであろう。
本出願は、本発明の原理に従う本発明の全ての変更、使
用、または応用を含み、また既知あるいは慣用の方法に
よって本発明が適合する分野内に含まれるもの、および
後述する請求の範囲に示す本発明の本質的特徴に応用で
きるものは、たとえ本明細書の記載から逸脱するもので
あってもこれを含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、マウスR−PTPase−αの推定一
次構造を提示する。
【図2】図2は、マウスR−PTPase−α mRN
Aの発現を示すノーザンブロットの図である。レーン:
1,腎臓;2,肺;3,心臓;4,胃;5,脳;6,脾
臓;7,肝臓;8,NIH−3T3線維芽細胞系;9,
BAFプレプロ−Bリンパ様細胞系。
【図3】図3は、マウスR−PTPase−αタンパク
質の免疫沈降のPAGEの結果を示す図である。分子量
マーカーの大きさはkDaで示してある。矢印は130 kD
のR−PTPase−αタンパク質の位置を示す(レー
ン5)。
【図4】図4は、cDNAクローンの配列から推定され
たヒトR−PTPase−αの構造を示す。
【図5】図5は、ヒトR−PTPase LCA、α、
βおよびガンマの第1(A)および第2(B)保存ホス
ファターゼのアミノ酸配列の比較を示す。
【図6】図6は、R−PTPase−αプローブ(上)
とβ−アクチンプローブ(下)を用いたノーザンブロッ
トハイブリダイゼーションにより測定した、種々の組織
および細胞系でのヒトR−PTPase−αの相対的発
現を示すゲルパターンの図である。
【図7】図7は、17の齧歯目−ヒト体細胞ハイブリッド
のパネルの分析に基づいたヒトR−PTPase−αの
染色体局在化を示すマトリックス図である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月21日(2001.9.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 21/02 C 4B065 9/16 C12Q 1/42 4H045 C12P 21/02 1/68 A C12Q 1/42 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 M 33/50 33/566 33/53 33/573 A 33/566 33/577 B 33/573 C12P 21/08 33/577 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 B Fターム(参考) 2G045 AA40 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA20 DA36 FB01 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA11 CA04 DA01 DA02 DA05 DA11 EA04 HA14 4B050 CC03 DD11 LL03 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ02 QQ42 QQ53 QR08 QR13 QR55 QR62 QS25 QS34 4B064 AG20 AG27 CA19 CC24 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 CA25 CA31 CA46 4H045 AA10 AA20 BA10 CA40 DA50 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白血球共通抗原(CD45)および白血
    球共通抗原- 関連タンパク質(LAR)以外のヒトレセ
    プター型タンパク質のチロシンホスファターゼ(R−P
    TPase)タンパク質または糖タンパク質分子、その
    機能的誘導体、もしくは他の哺乳動物におけるその同等
    物であって、該分子が自然界に存在するものである場
    合、該分子は自然界でそれと結合している他のタンパク
    質または糖タンパク質を実質的に含まず、自然界に存在
    する該分子は一般に哺乳動物の肝臓、腎臓および脳に存
    在していることを特徴とする上記分子。
  2. 【請求項2】 自然界に存在していない、請求項1記載
    の分子。
  3. 【請求項3】 自然界に存在しており、それが自然界で
    結合している他のタンパク質または糖タンパク質を実質
    的に含まない、請求項1記載の分子。
  4. 【請求項4】 図4に示したアミノ酸配列を有するR−
    PTPase−αまたはその機能的誘導体である、請求
    項1記載の分子。
  5. 【請求項5】 図5に示したアミノ酸配列を有するR−
    PTPase−βまたはその機能的誘導体である、請求
    項1記載の分子。
  6. 【請求項6】 配列番号3のアミノ酸配列を有するR−
    PTPase−ガンマまたはその機能的誘導体である、
    請求項1記載の分子。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のR−PTPaseタンパ
    ク質をコードするか、またはその機能的誘導体をコード
    するDNA分子であって、該タンパク質または該機能的
    誘導体が自然界に存在するものである場合、該DNA分
    子は該タンパク質または該機能的誘導体と自然界で結合
    しているタンパク質をコードするヌクレオチド配列を実
    質的に含まないことを特徴とする上記DNA分子。
  8. 【請求項8】 cDNA配列である、請求項7記載のD
    NA分子。
  9. 【請求項9】 ゲノムDNA配列である、請求項7記載
    のDNA分子。
  10. 【請求項10】 配列番号4、配列番号5、配列番号
    6、または該配列の機能的誘導体より成る群から選ばれ
    るヌクレオチド配列を有する、請求項7記載のDNA分
    子。
  11. 【請求項11】 発現ベヒクルである、請求項7記載の
    DNA分子。
  12. 【請求項12】 発現ベヒクルがプラスミドである、請
    求項11記載のDNA分子。
  13. 【請求項13】 請求項12のDNA分子で形質転換さ
    れた原核細胞宿主。
  14. 【請求項14】 細菌である、請求項13記載の宿主。
  15. 【請求項15】 請求項11のDNA分子でトランスフ
    ェクトされた真核細胞宿主。
  16. 【請求項16】 酵母細胞または哺乳動物細胞である、
    請求項15記載の宿主。
  17. 【請求項17】 請求項1記載のR−PTPaseタン
    パク質または糖タンパク質、もしくはその機能的誘導体
    の生産方法であって、 (a) 培養条件下で該タンパク質を発現し得る宿主を培養
    し; (b) 該タンパク質を発現させ;そして(c) 培養物から該
    タンパク質を回収する;ことから成る方法。
  18. 【請求項18】 前記宿主が原核細胞である、請求項1
    7記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記宿主が真核細胞である、請求項1
    8記載の方法。
  20. 【請求項20】 請求項1記載のタンパク質または糖タ
    ンパク質に対して特異的な抗体。
  21. 【請求項21】 モノクローナルである、請求項20記
    載の抗体。
  22. 【請求項22】 被検者における請求項7記載の核酸配
    列または変異型R−PTPaseをコードする核酸配列
    の存在を検出する方法であって、 (a) 被検者由来の細胞またはその抽出物を、正常または
    変異型R−PTPaseの少なくとも一部をコードする
    オリゴヌクレオチドプローブと、ハイブリダイゼーショ
    ン条件下で接触させ;そして(b) 該細胞の核酸への該プ
    ローブのハイブリダイゼーションを測定し、これにより
    該核酸配列の存在を検出する;ことから成る方法。
  23. 【請求項23】 工程(a) の前に、 (c) R−PTPaseをコードする該細胞のDNAの量
    を選択的に増幅する;ことをさらに含む、請求項22記
    載の方法。
  24. 【請求項24】 細胞におけるR−PTPaseの存在
    を検出し、またはその量を測定する方法であって、 (a) 該細胞またはその抽出物を請求項20記載の抗体と接
    触させ;そして(b) 該細胞またはその抽出物への該抗体
    の結合を検出するか、または結合した抗体の量を測定
    し、これによりR−PTPaseタンパク質または糖タ
    ンパク質の存在を判定し、またはその量を測定する;こ
    とから成る方法。
  25. 【請求項25】 化学的または生物学的調製物におい
    て請求項1記載のR−PTPaseタンパク質、糖タン
    パク質または誘導体に結合し得る化合物を同定する方法
    であって、 (a) R−PTPaseタンパク質、糖タンパク質または
    誘導体、もしくはそのリガンド結合部分を固相マトリッ
    クスに付着させ; (b) 化学的または生物学的調製物を該固相マトリックス
    と接触させて該化合物を結合させ、未結合物質を洗い流
    し;そして(c) 該固相に結合した該化合物の存在を検出
    する;ことから成る方法。
  26. 【請求項26】 請求項1記載のR−PTPaseタン
    パク質、糖タンパク質または機能的誘導体に結合し得る
    化合物を複合混合物から単離する方法であって、 (a) R−PTPaseタンパク質または機能的誘導体、
    もしくはそのリガンド結合部分を固相マトリックスに付
    着させ; (b) 複合混合物と該固相マトリックスとを接触させて該
    化合物を結合させ、未結合物質を洗い流し;そして(c)
    結合した該化合物を溶離し、これにより該化合物を単離
    する;ことから成る方法。
  27. 【請求項27】 R−PTPaseの酵素活性を刺激ま
    たは阻害し得る化合物を同定する方法であって、 (a) 純粋な形の、メンブラン調製物中の、または全細胞
    中のR−PTPaseと該化合物とを接触させ; (b) 工程(a) の混合物を十分な時間インキュベートし; (c) R−PTPaseの酵素活性を測定し; (d) その酵素活性を、該化合物の不在下でインキュベー
    トしたR−PTPaseのそれと比較し、これにより該
    化合物が酵素活性を刺激するのかまたは阻害するのかを
    判定する;ことから成る方法。
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