JPH0541911Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はインキを中綿等に吸蔵させないで直に
インキタンクに貯溜する型式の筆記具のインキタ
ンクからペン先部へインキを供給するインキ誘導
体に関するものである。

（従来の技術） 従来の斯るインキ誘導体には、先ず第３図に示
すように合成樹脂製の棒状体の外面に断面一様な
軸方向の縦溝１７を設けてこの縦溝１７に毛細管
作用によりインキを導入させチツプ１８の先端の
ボール１９までインキを導く方式のインキ誘導体
２０や、又、同じく毛細管作用を利用した繊維束
製のインキ誘導体（図は省略）が存在する。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の従来例において先ず前者のインキ誘導体
２０には、縦溝１７の毛細管作用が弱いので振動
等の衝撃を受けると縦溝１７の途中でインキ切れ
が生じ内部に空気が侵入して筆記不能となる事故
が生ずる欠点があつた。又、後者の繊維束製のイ
ンキ誘導体には、インキの導通が遅く従つて筆記
検査に時間がかかつて生産性の悪い原因であつた
り、全長が長い場合は搬送時に曲げ、折れ等が発
生しやすく扱いにくいといつた欠点があつた。

本考案の目的は斯る問題点を解消したインキ誘
導体を提供することである。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するために案出された本願の
インキ誘導体は、縦長の棒状でその外面の後端か
ら前端近傍まで凹溝を形成すると共に該凹溝の底
面に更に幅狭な小凹溝を形成し、又前端部に斯る
凹溝、小凹溝と連通してペン先部への中継芯の後
端部を嵌入する大凹溝を形成して成るものであ
る。

（実施例） 第１図及び第２図に示した本考案の一実施例の
インキ誘導体１は、プラスチツク製で、前端部に
短かめの太径部２を有しその後方に長めの細径部
３が続いた全体的に縦長の断面円形の棒状で、そ
の後端から前端近傍まで即ち細径部３の外面にや
や幅広で浅めの第一段目の凹溝４を形成すると共
に、該凹溝４の底面中央部に幅狭の第二段目の小
凹溝５を形成し、前端部即ち太径部２には細径部
３の凹溝４や小凹溝５と連通して所要径の繊維束
製の中継芯６を嵌入可能な幅を有するＵ字状の大
凹溝７を形成して成るものである。尚、小凹溝５
は大凹溝７の底面まで連続している。該インキ誘
導体１は第２図に示す如き、筆記具８に装着され
る。即ち該筆記具８は軸筒９の後半部をインキタ
ンク１０となし、軸筒９の前半部にはインキ保溜
体１１の後半部を圧入し、軸筒９の前方に突出し
たインキ保溜体１１の前端には□プラ１２を接合
し、該□プラ１２にはボール１３を先端に抱持し
たチツプ１４を嵌着し、インキ保溜体１１の中心
孔には上記のインキ誘導体１をその後端部がイン
キタンク１０に達するよう挿通し、チツプ１４の
内孔部及び□プラ１２の内孔部には繊維束製の短
めの中継芯６をその前端がボール１３の後面に近
接し又その後端が□プラ１２から突出してインキ
保溜体１１の中心孔内のインキ誘導体１の前端太
径部２のＵ字状大凹溝７に嵌入するように挿通さ
れて構成される。尚、インキ保溜体１１は軸筒９
に圧入された後半部の外面に、円周方向の周溝１
５…を多数軸方向に縦烈させており、各周溝１５
…はインキタンク１０に後端を連通させた縦溝１
６によつて連通され、インキタンク内の圧力変化
や温度変化によつて押し出されたインキを空気孔
やペン先部から吹き出させないよう一時的に保溜
する機能を有している。

（作用） 本願のインキ誘導体１を装着した上記実施例の
如き筆記具８で筆記するためにペン先部を下向き
にすると、インキタンク１０からインキ誘導体３
の小凹溝５を通つてインキが前端部の大凹溝７ま
で導通され、ここにインキが満たされる。又、こ
のとき空気はインキ誘導体３の凹溝４を通つてイ
ンキタンク内に入り込む。即ちインキの流通路と
空気の流通路が別個に存在することにより空気と
インキの置換が円滑化する。インキ誘導体１の大
凹溝７に満たされたインキはここに嵌入された中
継芯６に誘導されてチツプ１４のボール１３まで
送られるが、中継芯６の長さは最小限に設定され
るのでボール１３までのインキ供給時間は極めて
短かくなる。又、筆記具８が振動等の衝撃を受け
てインキ誘導体１の小凹溝５内のインキ切れが生
じた場合でも、インキ誘導体１の前端部の大凹溝
７にはインキが満たされており又中継芯６にも多
少インキが吸蔵されているので筆記不能に陥るこ
とはなく、小凹溝５内に侵入した空気もやがて凹
溝４内に移動するのでインク切れもすぐに回復す
る。

（考案の効果） 本考案の構成及び作用は以上の通りであり、イ
ンキタンクからペン先までのインキの供給が迅速
化して筆記検査等の時間が短縮し生産性が向上す
る効果があり、又、筆記中に振動等の衝撃を受け
てインキ切れにより筆記不能となる事故も防止さ
れる効果があり、更に、従来の繊維束製のインキ
誘導体の如く搬送時の曲げや折れの心配がなく扱
い易い等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例に係るもの
で、第１図はインキ誘導体の一部切断斜視図、第
２図はインキ誘導体を装着した筆記具の要部縦断
面図である。又、第３図は従来例のインキ誘導体
を装着した筆記具の一部縦断面図である。 １……インキ誘導体、２……太径部、３……細
径部、４……凹溝、５……小凹溝、６……中継
芯、７……大凹溝、８……筆記具、９……軸筒、
１０……インキタンク、１１……インキ保溜体、
１２……□プラ、１３……ボール、１４……チツ
プ、１５……周溝、１６……縦溝、１７……縦
溝、１８……チツプ、１９……ボール、２０……
インキ誘導体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 縦長の棒状でその外面の後端から前端近傍まで
   凹溝を形成すると共に該凹溝の底面に更に幅狭な
   小凹溝を形成し、又前端部に斯る凹溝、小凹溝と
   連通してペン先部への中継芯の後端部を嵌入する
   大凹溝を形成して成る筆記具のインキ誘導体。