JPH0541864Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は射出成形機の金型厚さの異常を検出す
る装置に関する。

（従来の技術） 第３図に金型厚さ異常検出装置を装備した射出
成形機の要部概略を示す。

射出成形機の金型厚さは、通常、型閉し雌雄の
金型６を密着状態にして、この時の型厚を型位置
検出センサー４等で読み取り、これを金型厚さの
データとして取扱い、単にその原点と比較するも
ので、金型取付時又は交換時の初めの金型密着状
態の型位置を“０mm”、即ち型位置の原点として
取扱つている。

このような単純な異常検出方法による場合には
型閉し、金型密着時に異物の挟み込み、位置検出
センサーの異常、金型の熱膨張等のあらゆる種類
の金型厚さの変化等がそのままデータとして取扱
われ、型位置が“０mm”にならず、例えば＋0.7
mm等と表示する。

一般的には上記のようにして測定した金型厚さ
に必然的に影響し、異常な状態とはされない金型
の熱膨張や型締昇圧時のタイバー３の伸び等を考
慮して原点に対して±αの許容値を与え（具体的
には＋０、＋0.7等を与える。）この許容値に対し
てサイクル毎に自動チエツクし、金型厚さが許容
値内にあるか否かを監視し制御している。

なお、第３図において１は可動盤、２は固定
盤、５は射出装置を示す。

（考案が解決しようとする課題） ところで、従来の方式のままでは金型の熱膨張
やタイバーの伸び等がどうしても発生するが為
に、微少な変化量を許容値として取扱う金型厚さ
異常検出機構を実用化することは不可能であつ
た。例えば、金型厚さ；400.0mm、型締圧昇圧時
のタイバーの伸び；＋0.2mm、金型の熱膨張変化
量；＋0.05mmと仮定すると、許容値は最小で0.2
＋0.05＝0.25mmとなり、使用する許容値としては
＋０、＋0.3mm位が適当であると思われる。従つ
て、金型の熱膨張やタイバーの伸び等を除いた微
少な金型厚さの変化を正確に監視し制御する事は
不可能である。

本考案は上記不具合に鑑みなされたもので、当
然に起こる厚さ変化要因を除いた金型厚さの異常
変化を微少な値から広範囲に亘り正確に検出でき
る異常検出装置を提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） このため、本考案は金型厚さの基準値に対する
許容値を設定する基準許容値設定手段と、型閉毎
に金型厚さを測定する厚さ測定手段と、金型厚さ
の前回実測値と今回実測値の差を演算する演算手
段と、前記実測値間の差の許容範囲を設定する偏
差許容値設定手段と、前記実測値間の差と前記偏
差許容値を比較する実測値比較手段と、前記実測
値間の差と前記基準許容値とを比較する基準値比
較手段とからなり、前記実測値間の差が前記偏差
許容値を外れ、かつ前記基準許容値を外れたとき
に機械の運転を停止させることを特徴とする射出
成形機の金型厚さ異常検出装置を構成とし、これ
を上記課題の解決手段とするものである。

（作用） １サイクル前の金型厚さデータを使用すること
により、異常金型厚さとして影響される要素が非
常に少なくなる。即ち、前回サイクル時と今回サ
イクル時では通常タイバーの伸び、金型の熱膨張
等はほとんど変化せず、金型厚さの変化としては
表面に現われないと考えられ、本考案によればこ
れらの要素以外が異常金型厚さとして的確に現わ
れてくる。こうして、異常金型厚さの中に含まれ
るタイバーの伸び、金型の熱膨張等による金型厚
さへの影響をたち切ることを可能にする。。

（実施例） 以下、本考案を図示実施例に基づいて詳しく説
明する。

第１図は本考案をハイドロ・メカニカル方式の
型締機構に適用したときの金型厚さ異常検出及び
制御のシステム図を示し、一般にハイドロ・メカ
ニカル方式の型締機構は、第２図に示す如くタイ
バー１１と割ナツト１２に設けた鋸歯ネジ１１
ａ，１２ａを噛合せ、割ナツト１２を介してタイ
バー１１を射出装置側へ引張つて型締力を発生さ
せる。

本実施例装置による金型厚さの計測は、割ナツ
ト１２を開いて図示せぬ型開閉シリンダを型閉方
向へ作動させ、該シリンダのプレツシヤスイツチ
がON（型閉シリンダ予圧完了）になつたときか
ら自動計測を開始する。この金型厚さの計測デー
タを毎サイクル毎に異常検出時の判定データとし
て取扱う。

これを第１図により説明すると、 (1) 金型取付（又は交換）時に金型厚さを測定
し、金型厚さのデータとして入力し、許容値
（基準値Ａ）±0.3mmを与える。

(2) 本金型厚さ異常検出機構は、第１図の“実測
値”欄及び“前回測定値との誤差”欄に示す様
に、前回検出金型厚さと今回検出金型厚さを絶
えず比較し、その誤差を“前回測定値との許容
値”±0.2mmと比較し、許容値内にあるか否か自
動的にチエツクする。その誤差が許容値内にあ
る時は射出成形機の動作は次工程へ進む。も
し、上記誤差が許容値を超える時は、同時に
“金型厚さ設定時に与える許容値（基準値Ａ）”
±0.3mmと比較し、これが許容値内にある時は
機械の動作を次行程へ進める。しかし、この基
準値Ａを超える時は直ちに機械の動作を停止さ
せ、警報、表示灯等でその旨を知らせる。

本実施例の如くハイドロ・メカニカル方式の型
締力発生機構では、第２図に示す様に割ナツトネ
ジ１２ａとタイバーネジ１１ａの鋸歯が噛合つて
初めて有効となる。本考案によれば金型厚さの比
較を絶えず前回と今回の関係で進めている為、累
積誤差が危惧されるが、上記ハイドロ・メカニカ
ル方式をとつている為、金型厚さの変化が例えば
約0.5mm程度でも許容され、ネジ山の適正な噛合
い範囲Ｌmmであればスムーズに型締が可能であ
る。

なお、本考案の金型厚さ異常検出装置は、前記
の如き大きな変動量を扱うケース以外に、微少誤
差及び許容値でも監視、制御を同様な正確さで実
施できる。

（考案の効果） 以上、詳細に説明した如く本考案によれば、微
少な金型厚さ変動から大きな変動量まで、正確に
制御が可能となる。また、万一、大きな変動量を
許容し、例えばハイドロ・メカニカル方式による
割ナツトとタイバーの鋸歯ネジの山部が当つて噛
合わぬ時は、機械の動作行程を進めることができ
ず、同時に異常を表示する安全機能も作動する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例としての金型厚さ異
常検出装置によるデータ及び検出制御フロー図、
第２図は本考案の最適な適用例であるハイドロ・
メカニカル方式による割ナツト及びタイバーの鋸
歯ネジ断面図を示す。第３図は金型厚さ異常検出
機構を備えた従来の射出成形機の要部を示す側面
図である。 図の主要部分の説明、６……金型、１１……タ
イバー、１２……割ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金型厚さの基準値に対する許容値を設定する基
   準許容値設定手段と、型閉毎に金型厚さを測定す
   る厚さ測定手段と、金型厚さの前回実測値と今回
   実測値の差を演算する演算手段と、前記実測値間
   の差の許容範囲を設定する偏差許容値設定手段
   と、前記実測値間の差と前記偏差許容値を比較す
   る実測値比較手段と、前記実測値間の差と前記基
   準許容値とを比較する基準値比較手段とからな
   り、前記実測値間の差が前記偏差許容値を外れ、
   かつ前記基準許容値を外れたときに機械の運転を
   停止させることを特徴とする射出成形機の金型厚
   さ異常検出装置。