JPH0539290Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ガスタービン排気ダクト等に設置
し、殊にボイラ等の助燃に使用される多種燃料ガ
ス焚きダクトバーナに関する。

従来の技術 このような従来の多種燃料ガス焚きダクトバー
ナを第３及び４図に基づいて説明すると、図中、
符号１はダクト（ケーシング）、２，２′は燃焼
（ガス）供給管、３，３′は燃料噴出ノズル穴、４
はスタビライザ（保炎器）、及び５，５′は予混合
気噴出ノズル穴であつて、図中には一つの例とし
て燃料ガスが２種類使用されている場合を示し、
ダクトバーナは、ガスタービン排気用のダクト１
内に排ガス流れと直交させて、そのダクト内上下
方向に水平に配列する２種類の燃料供給管２，
２′により形成される。これらの燃料供給管２，
２′にはその長手方向に適当な間隔をおいて多数
の燃料噴出ノズル穴３，３′が夫々穿設されてい
る。

この場合であれば、２種類の燃料ガスがダクト
上下方向にてバーナ段１段おきに噴出するよう
に、燃料供給管２と２′とが交互に配置される。

また、種類の違う燃料ガスの性状のうち、特に
発熱量の差異の点から、発熱量の高い燃料ガスに
供する各燃料及び予混合気噴出ノズル穴３，５の
穴径は、発熱量の低い燃料ガスの各噴出ノズル穴
３′，５′よりも小さくとることとなる。

そして、燃料供給管２，２′夫々の燃料噴出ノ
ズル穴３，３′側側面を囲繞する断面略扇状のス
タピライザ４が取付けられている。即ち、このス
タビライザ４は、各供給管２，２′外周囲の頂部、
底部付近に、排気ガス取入れ用スリツト６を介在
させて平板からなる一対の案内羽根７を扇形（斜
角）に配設している。それからこれらの案内羽根
７前方で囲む間隙部には、断面略円弧状の保炎板
８が取付けられている。そして、この保炎板８に
は前記燃料噴出ノズル穴３，３′に対応する位置
に予混合気が通過可能なように、該噴出ノズル穴
３，３′よりも大きな穴径を有する予混合気噴出
ノズル穴５，５′が設けられている。

なお、案内羽根７の延長部７ａが前記保炎板８
の更に外方に向けて突設している。

そこで、このスタピライザ４と各供給管２，
２′とにより限定される空間部で、予混合気室９
が形成される。

このような構成の下で、ダクト１内のガスター
ビン排気ガスが流動する中で、まず燃料供給管
２，２′から噴射される燃料ガスの噴流効果によ
り、酸素濃度約12〜18dry volume％、ガス温度
約300〜650℃のガスタービン排気ガスの一部が、
排気ガス取入れ用スリツト６を介して予混合気室
９内に流入する。

次に、２種類の燃料ガス夫々が排気ガスと混合
して予混合気となり、各保炎板８の予混合気噴出
ノズル穴５，５′から噴出することとなる。

このとき、殊に案内羽根７の延長部７ａと円弧
状の保炎板８前面とで限定された空間部中央付近
の循環流によるリングフレーム（図示せず）の発
生と、案内羽根７の延長部７ａ周縁の上下から拡
散・吸引される排気ガスに含まれた酸素ガスの補
給とにより安定した燃焼を持続する。

考案が解決しようとする課題 以上述べた多種燃料ガス焚きダクトバーナは、
しかし次のような問題がある。

従来のように性状の異なる多種類の燃料ガスを
燃焼させるには、前述の如く各バーナ段毎に交互
に配置した燃料供給管２，２′の燃料噴出ノズル
穴３，３′の穴径、排気ガス（O₂）取入れ用スリ
ツト６の間隙及びスタビライザ４における保炎板
８の予混合気噴出ノズル穴５，５′の穴径等のバ
ーナ寸法を、特に各燃料ガスの発熱量、比重等の
性状に合わせる必要があり、製作上労力と時間を
要しコスト高となつている。

更に従来型のダクトバーナで一種類の燃料ガス
のみを専焼させる場合、使用していない燃料供給
管２または２′（バーナ段）は、その配置により
運転上不必要な圧力損失を多々発生させることと
なり、プラント全体の効率が低下する。

また、使用バーナ段の間隔が広くなり、ダクト
バーナ火炎内に補給されるべきガスタービン排気
ガス中の酸素の拡散も悪くなり、その結果細長い
燃焼火炎が形成される。

このような火炎の場合、ダクトバーナ下流に付
設する蒸発器或いは加熱器等（図示せず）におけ
る過大な熱負荷等の防護の点から、これら熱交換
器はダクトバーナよりかなり離れた位置に設置し
なくとはならず、その設置スペース及び製作コス
トの増加につながる不都合がある。

課題を解決するための手段 本考案は、このような従来の課題を解決するた
めに排ガスダクト内に排ガス流れと直交させて上
下方向に配列し、長手方向に多数の燃料噴出ノズ
ル穴を設けた複数の燃料供給管と、該供給管の燃
料噴出ノズル穴側側面を囲繞して予混合気室を形
成し、前記噴出ノズル穴に対応する位置に予混合
気噴出ノズル穴を設けたスタビライザとを具備す
る多種燃料ガス焚きダクトバーナにおいて、前記
各燃料供給管の長手方向に沿つて管内を少なくと
も２つ以上に分割して各種燃料ガス専用通路を形
成すると共に、該専用通路夫々に各燃料ガスの性
状に応じた穴径を有する前記燃料噴出ノズル穴を
多数設けたものである。

作 用 このような手段によれば、各燃料供給管の長手
方向に沿つて管内を少なくとも２つ以上に分割し
て、各種の燃料ガス専用通路を形成し、しかもこ
れらの専用通路毎に各種の燃料ガスの性状に応じ
た穴径を有する噴出ノズル穴を別個に設けるの
で、同一の燃料供給管から１種類以上の燃料ガス
を同時に併せて噴出でき、発熱量等の異なる多種
の燃料ガスを混焼、或いは１種類の燃料ガスを専
焼させることができる。

実施例 以下第１及び２図を参照して、本考案の一実施
例について詳述する。なお、これらの図において
第３及び４図に示したものと同一の部分には同一
の符号を付して、その詳細な説明を省略する。ま
た、図中には一つの例として燃料ガスが２種類使
用されている場合を示す。

しかして、本考案によれば、各燃料供給管２ａ
の長手方向に沿つて、その供給管２ａは仕切板２
ｂを介して少なくとも２つに分割されて、各種燃
料ガス専用通路１０，１０′が形成されている。

ただし、本考案によれば、このような専用通路
は管径、強度、各噴出ノズル穴の開口位置・方向
等の関係を考慮しつつ、燃料ガスの種類に応じて
２つ以上に分割されて良いことは云うまでもな
い。

そして、前記各種燃料ガス専用通路１０，１
０′毎に、その通路に流れる各燃料ガスの性状に
応じた穴径を有する、つまり従来と同様に発熱量
の高い燃料ガスには小径の、また発熱量の低い燃
料ガスには大径の各種燃料噴出ノズル穴３，３′
が適当な間隔を置いて多数穿設される。

次にその作用について説明する。

各燃料供給管２ａ内を仕切板２ｂを介して分割
してできた各種燃料ガス専用通路１０，１０′に、
性状の異なる燃料ガスを別個に供給させることが
でき、各燃料ガスはその夫々の専用通路１０，１
０′に連通する、燃料ガスの性状に応じた大きさ
の燃料ガス噴出ノズル穴３，３′から同時に併せ
て噴出させることができる。

従つて、この場合には予混合気室９内で性状の
異なる燃料ガスを共に、排気ガス取入れ用スリツ
ト６を通して導入された排気ガスと直接混合させ
ることができる。このため、保炎板８の予混合気
噴出ノズル穴５ａを介して発熱量の異なる２種
（以上）の燃料ガスを容易に混焼させることがで
きる。

また、単一の燃料ガスのみ専焼する場合にはバ
ーナ全段を使用して、即ち各燃料管２ａ全ての専
用通路１０又は１０′を通して特定の燃料ガスを
燃焼させることができる。

また、各燃料供給管２ａの寸法に関して、その
管径を全段に亘り全く同一に設定することが可能
である。

更に、スタビライザ４の保炎板８に設けた予混
合気噴出ノズル穴５ａの穴径に関しても、大略、
各種燃料ガスの組合せの中から最も多大な予混合
気量を噴出可能ならしめる穴径を、やはりバーナ
全段に亘り全く同一に設定することが可能であ
る。

考案の効果 以上詳述したように、本考案によれば、 (1) 多種類の燃料ガスに対応できるように、各燃
料供給管内を長手方向に沿つて少なくとも２つ
以上に分割して、その分割された専用通路毎に
燃料ガスを一種類ずつ供給させる方式とするこ
とにより、従来の如く燃料ガス毎に使用バーナ
段を変更する必要がなくなる。

(2) また、単一燃料ガス専焼の場合にも全段ガス
バーナ使用が可能となつて、全段に亘つて均一
な燃焼火炎を形成できるようになり、無駄なガ
スタービン排気ガスの流れを解消することがで
きる。

この結果、ガスタービン排気ガスとダクトバ
ーナ燃焼火炎との拡散混合が良好となり、火炎
長さを短かくすることができる。

(3) このため、従来の如き不使用バーナ段による
圧力損失を防止できることにより、プラント全
体の効率が向上する。

(4) 前記項目２により、ダクトバーナとその下流
に設ける蒸発器等熱交換器との設置距離を短縮
することができ、よつて使用資材を減少でき、
設置スペースの縮少及び大幅なコストダウンを
図ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による各種燃料ガス焚きダクト
バーナの一例を示す要部断面図、第２図は第１図
の−線拡大断面図、第３図は従来の多種燃料
ガス焚きダクトバーナを示す要部断面図、第４図
は第３図の−線拡大断面図である。 １……ダクト、２ａ，２，２′……各燃料供給
管、３，３′……各燃料噴出ノズル穴、４……ス
タビライザ、５ａ，５，５′……各予混合気噴出
ノズル穴、９……予混合気室、１０，１０′……
各種燃料ガス専用通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排ガスダクト内に排ガス流れと直交させて上下
   方向に配列し、長手方向に多数の燃料噴出ノズル
   穴を設けた複数の燃料供給管と、該供給管の燃料
   噴出ノズル穴側側面を囲繞して予混合気室を形成
   し、前記噴出ノズル穴に対応する位置に予混合気
   噴出ノズル穴を設けたスタビライザとを具備する
   多種燃料ガス焚きダクトバーナにおいて、前記各
   燃料供給管の長手方向に沿つて管内を少なくとも
   ２つ以上に分割して各種燃料ガス専用通路を形成
   すると共に、該専用通路夫々に各燃料ガスの性状
   に応じた穴径を有する前記燃料噴出ノズル穴を多
   数設けたことを特徴とする多種燃料ガス焚きダク
   トバーナ。