JPH053844Y2

JPH053844Y2 -

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Publication number: JPH053844Y2
Application number: JP1984180817U
Authority: JP
Priority date: 1984-11-30
Filing date: 1984-11-30
Publication date: 1993-01-29
Anticipated expiration: 1999-11-30
Also published as: JPS6196114U

Description

【考案の詳細な説明】〔考案の利用分野〕この考案は流動層燃焼装置に係り、特に、流動
層のスランピング運転時に、流動燃焼している運
転流動層の燃料および流動媒体等の粒子が飛散し
て、流動燃焼していない停止流動層の上部に堆積
することを防止するとともに、流動層のスランピ
ング操作時に、運転流動層の燃焼温度を制御する
に好適な流動層燃焼装置に関するものである。

スランピング運転およびスランピング操作と
は、大型流動層燃焼装置は流動層の床面積すなわ
ち流動層を載置している水平に設けられた空気分
散板の面積が広いので、空気分散板の下の風箱が
鉛直に設けられた分割壁によつて分割されてい
る。そして、大型流動層燃焼装置の運転を開始す
る場合は、まず最初に、一部分の風箱に燃焼用空
気を供給し、一部分の風箱の上の空気分散板上の
流動層の燃料を点火して流動燃焼する。その後、
順次、他の風箱に燃焼用空気を供給し、他の風箱
の上の空気分散板上の流動層の燃料を点火して流
動燃焼し、全部の流動層を流動燃焼して大型流動
層燃焼装置の運転を開始する。

また、大型流動層燃焼装置の負荷が減少した場
合は、一部分の風箱の燃焼用空気の供給を停止し
て、一部分の風箱の上の空気分散板上の運転流動
層の流動燃焼を停止し、運転流動層全体の床面積
を減少して大型流動層燃焼装置の運転を継続す
る。

このような運転をスランピング運転といい、こ
のような操作をスランピング操作という。

〔考案の背景〕

第５図は従来の大型流動層燃焼装置がスランピ
ング運転をしているときの流動層の状況を示す
図、第６図は従来の大型流動層燃焼装置が通常運
転をしているときの流動層の状況を示す図、第７
図は、従来の大型流動層燃焼装置が第５図に示す
スランピング運転から第６図に示す通常運転へ移
行する際に、流動燃焼していた運転流動層の燃焼
温度が変化する状況と、新たに流動燃焼を開始し
た停止流動層の燃焼温度が変化する状況とを示す
図である。

第５図〜第７図において、大型流動層燃焼装置
５の水平に設けられた空気分散板４の下の風箱
が、鉛直に設けられた分割壁２０によつて例えば
左側風箱８と右側風箱９とに分割されている。大
型流動層燃焼装置５の運転を開始する場合、ま
ず、例えば左側風箱８から矢印６で示すように燃
焼用空気を供給して、左側風箱８の上の空気分散
板４上の運転流動層１の燃料を点火して流動燃焼
する。次に、右側風箱９から矢印６で示すように
燃焼用空気を供給して、右側風箱９の上の空気分
散板４上の停止流動層２の燃料を点火して流動燃
焼し、大型流動層燃焼装置５の運転を開始する。

大型流動層燃焼装置５のスランピング運転中
は、燃焼用空気および燃料の燃焼ガス等は気泡３
となつて運転流動層１内を上昇するので、運転流
動層１の上層部の燃料および流動媒体等の粒子が
激しく流動し、矢印７で示すように運転流動層１
の表面から運転流動層１の直上の空間に向つて飛
散する。そして、飛散する燃料および流動媒体等
の粒子のうちの一部分の粒子は、隣接する停止流
動層２の上部に落下して堆積する。

したがつて、運転流動層１の層高が低くなり、
運転流動層１の上層部の燃料および流動媒体等の
粒子が激しく流動している部分すなわちスプラツ
シユゾーンの位置が低下するので、運転流動層１
内に伝熱管を埋設している場合は、埋設伝熱管が
スプラツシユゾーン内に位置するかあるいはスプ
ラツシユゾーンの表面に露出することになり、埋
設伝熱管が摩耗して破裂する危険がある。

一方、停止流動層２の層高は高くなるので、停
止流動層２に燃焼用空気を供給するために必要と
される圧力が、燃焼用空気を供給する図示しない
送風機の吐出圧力よりも高くなつて、停止流動層
２の流動燃焼を開始することができなくなること
が生ずる。

また、大型流動層燃焼装置５が第５図に示すス
ランピング運転から第６図に示す通常運転に移行
する際は、流動燃焼していた運転流動層１の燃料
および流動媒体等の粒子と、新たに流動燃焼を開
始した停止流動層２の燃料および流動媒体等の粒
子とが、非常に速く混合する。そのため、運転流
動層１全体の燃焼温度が、スランピング運転から
通常運転へ移行する初期において、曲線１０で示
すように、通常燃焼温度800℃から急激に下降し
て失火限界温度400℃に到達するので、運転流動
層１が失火する恐れがある。新たに流動燃焼を開
始した停止流動層２全体の燃焼温度は、曲線１１
で示すように比較的急速に上昇する。

なお、大型流動層燃焼装置５をスランピング運
転している場合、第５図に示すように、運転流動
層１と停止流動層２との境界面Ｂは停止流動層２
側に傾斜しており、水平に設けられた空気分散板
４と境界面Ｂとの間の角度θは約60°である。

大型流動層燃焼装置をスランピング運転してい
るときおよびスランピング運転から通常運転に移
行する際には、以上説明したような欠点があり、
従来から問題になつていた。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の欠点を解消するためになさ
れたもので、スランピング運転時に、流動燃焼し
ている運転流動層の燃料および流動媒体等の粒子
が運転流動層の表面から飛散して、隣接する流動
燃焼していない停止流動層の上部に落下して堆積
することを防止できるとともに、スランピング運
転から通常運転に移行する際に、流動燃焼してい
た運転流動層の燃料および流動媒体等の粒子と、
新たに流動燃焼を開始した停止流動層の燃料およ
び流動媒体等の粒子との、混合速度を遅くして適
当な混合速度を得ることができる流動層燃焼装置
を提供することを目的とするものである。

〔考案の概要〕

この考案は、流動層燃焼装置の水平に設けられ
た空気分散板の下の風箱を分割している鉛直方向
の分割壁と空気分散板とが当接している直線の位
置から空気分散板の上方に向つて、空気分散板に
対して60〜90°の範囲の角度を有する平面上に、
仕切板を設けることによつて、空気分散板上の流
動層の上層部および流動層の直上の空間を仕切る
ことを特徴とするものである。

〔考案の実施例〕

この考案に係る実施例を図に基づいて説明す
る。第１図は、流動層燃焼装置の流動層の上層部
および流動層の直上の空間を仕切るこの考案の仕
切板を設けた状況を示す図、第２図は、この考案
の仕切板を設けた流動層燃焼装置がスランピング
運転から通常運転に移行する際に、流動燃焼して
いた運転流動層の燃焼温度が変化する状況と、新
たに流動燃焼を開始した停止流動層の燃焼温度が
変化する状況とを示す図である。

第１図および第２図において、流動層燃焼装置
５の水平に設けられた空気分散板４の下の風箱
が、鉛直に設けられた分割壁２０によつて左側風
箱８と右側風箱９とに分割されている。そして、
空気分散板４と分割壁２０とが当接している直線
の位置から空気分散板４の上方に向つて、空気分
散板４に対して60〜90°の範囲の角度を有する平
面上に、鋼板製の仕切板１２が設けられている
（第１図では、仕切板１２がほぼ鉛直に示されて
いる）。この仕切板１２によつて、空気分散板４
上の層高Ｌの流動層が運転流動層１と停止流動層
２とに仕切られている。仕切板１２の下部は運転
流動層１内に深さｌだけ埋入されており、仕切板
１２の上部は運転流動層１の表面から上方に高さ
ｈだけ突出している。

仕切板１２の下部を深さｌだけ層高Ｌの運転流
動層１内に埋入することによつて、流動層燃焼装
置５がスランピング運転から通常運転に移行する
際に、流動燃焼していた運転流動層１の燃料およ
び流動媒体等の粒子と、新たに流動燃焼を開始し
た停止流動層２の燃料および流動媒体等の粒子と
が、混合する速度が遅くなる。したがつて、運転
流動層１全体の燃焼温度が、曲線１０で示すよう
に通常燃焼温度800℃から緩やかに下降して失火
限界温度400℃に到達しないので、運転流動層１
の失火が防止される。また、新たに流動燃焼を開
始した停止流動層２全体の燃焼温度も、曲線１１
で示すように緩やかに上昇する。

この場合、仕切板１２の下部が層高Ｌの運転流
動層１内に埋入される深さｌは、流動層燃焼装置
５の大きさ、流動燃焼室の形状、流動層高Ｌ等に
よつて異なるが、実験の結果から、流動層高Ｌの
約1/3以上の深さであればよい。

仕切板１２の上部を運転流動層１の表面から上
方に高さｈだけ突出させることによつて、流動燃
焼している運転流動層１の燃料および流動媒体等
の粒子が運転流動層１の表面から矢印７で示すよ
うに飛散しても、仕切板１２の上部を飛び越すこ
とができないので、隣接する停止流動層２の上部
に落下して堆積することが防止される。

この場合、流動燃焼している運転流動層１の空
塔基準速度（燃料および流動媒体等の粒子が存在
しないときのガス速度）が例えば2m／ｓであれ
ば、運転流動層１の燃料および流動媒体等の粒子
が飛散する高さHmは、運転流動層１の表面から
最大２ｍである。また、運転流動層１の表面から
飛散する燃料および流動媒体等の粒子の濃度すな
わち運転流動層１の上方の空間における粒子の滞
留密度C_Pｇ／m³と、運転流動層１の燃料および
流動媒体等の粒子が飛散する高さHmとの関係
は、 C_P＝k₁EXP（−k₂Ｈ） k₁，k₂……係数（AIChEジヤーナル 1958年第４巻 472頁 ZENZ）で表わされ、粒子の濃度C_Pｇ／m³は高さHm方向
で指数関数的に減少する。したがつて、仕切板１
２の上部を運転流動層１の表面から上方に突出さ
せる高さｈは、空塔基準速度すなわち燃料および
流動媒体等の粒子の最大飛散高さHmの1/2〜1/4
の高さがあればよい。すなわち、上記のように空
塔基準速度が2m／ｓすなわち粒子の最大飛散高
さが２ｍであれば、仕切板１２の上部を運転流動
層１の表面から突出させる高さｈは1.0〜0.5ｍが
適当である。

空気分散板４と分割壁２０とが当接する直線の
位置から空気分散板４の上方に向つて、空気分散
板４に対して60〜90°の範囲の角度を有する平面
上に、仕切板１２を設けることによつて、運転流
動層１の燃料および流動媒体等の粒子の流動燃焼
に支障を来さないとともに、粒子の飛散防止に有
効であることは、実機の運転状況の観察および実
験の結果から確かめられている。

すなわち、仕切板１２の角度が空気分散板４に
対して60°より小さければ、下記のような欠点が
生ずる。すなわち、運転流動層１内の燃焼用空気
および燃料の燃焼ガス等の気泡３の上昇流が片寄
つて、運転流動層１内の燃料および流動媒体等の
粒子の均一な流動燃焼が阻害される。また、運転
流動層１の表面から上昇する燃焼ガスが抑制され
るとともに片寄る。さらに、運転流動層１内の燃
料および流動媒体等の粒子の流動によつて、仕切
板１２が摩耗する。

なお、空気分散板４に対して60〜90°の範囲の
角度を有する平面すなわち仕切板１２が設けられ
る平面は、運転流動層１の側あるいは停止流動層
２の側のどちらの側に傾斜していてもよい。運転
流動層１の側あるいは停止流動層２の側のどちら
の側に傾斜していても、仕切板１２の下部の運転
流動層１内の埋入深さｌと、仕切板１２の上部の
運転流動層１の上方の突出長さｈとを、調整する
ことによつて仕切板１２の効果を発揮することが
できる。

第３図はこの考案の他の実施例を示す図、第４
図は第３図におけるこの考案の水冷壁を示す図で
ある。

第３図および第４図に示すように、配列された
水冷管１８と水冷管１８との間にメンブレンバー
を溶接した水冷壁１３によつて構成される流動層
ボイラ２１においては、運転流動層１および停止
流動層２内を縦方向に貫通する水冷管１８と水冷
管１８との間をあけた櫛の歯状のスクリーン１５
を利用して、第１図において説明した仕切板１２
を形成することができる。すなわち、スクリーン
１５の水冷管１８相互の間にメンブレンバー１９
を溶接し、水冷管１８相互の間を閉塞してこの考
案の水冷壁１４を形成すればよい。

〔考案の効果〕

この考案は、以上説明したように、空気分散板
と風箱の分割壁とが当接している直線の位置から
空気分散板の上方に向つて、空気分散板に対して
60〜90°の範囲の角度を有する平面上に、空気分
散板上の流動層の上層部および流動層の直上の空
間を仕切る仕切板を設けている。

したがつて、流動層燃焼装置がスランピング運
転から通常運転に移行する際に、流動燃焼してい
た運転流動層の燃料および流動媒体等の粒子と、
新たに流動燃焼を開始した停止流動層の燃料およ
び流動媒体等の粒子との、混合速度が遅くなるの
で、運転流動層の燃焼温度が緩やかに下降して運
転流動層の失火を防止できるとともに、運転流動
層の燃焼温度の制御が容易になる効果がある。

また、スランピング運転中に、運転流動層の燃
料および流動媒体等の粒子が飛散して、隣接する
停止流動層の上部に落下して堆積することが無く
なるので、運転流動層の層高が低くなつて運転流
動層内の埋設伝熱管がスプラツシユゾーンによつ
て摩耗することを防止できるとともに、停止流動
層の燃料の燃焼用空気を供給する送風機の吐出圧
力を高くする必要がなくなる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、流動層燃焼装置の流動層の上層部お
よび流動層の直上の空間を仕切るこの考案の仕切
板を設けた状況を示す図、第２図は、この考案の
仕切板を設けた流動層燃焼装置がスランピング運
転から通常運転に移行する際に、流動燃焼してい
た運転流動層の燃焼温度が変化する状況と、新た
に流動燃焼を開始した停止流動層の燃焼温度が変
化する状況とを示す図、第３図はこの考案の他の
実施例を示す図、第４図は第３図におけるこの考
案の水冷壁を示す図、第５図は従来の大型流動層
燃焼装置がスランピング運転をしているときの流
動層の状況を示す図、第６図は従来の大型流動層
燃焼装置が通常運転をしているときの流動層の状
況を示す図、第７図は従来の大型流動層燃焼装置
がスランピング運転から通常運転に移行する際
に、流動燃焼していた運転流動層の燃焼温度が変
化する状況と、新たに流動燃焼を開始した停止流
動層の燃焼温度が変化する状況とを示す図であ
る。１……運転流動層、２……停止流動層、３……
気泡、４……空気分散板、５……大型流動層燃焼
装置、６，７……矢印、８……左側風箱、９……
右側風箱、１０，１１……曲線、１２……仕切
板、１３……水冷壁、１４……この考案の水冷
壁、１５……スクリーン、１８……水冷管、１９
……メンブレンバー、２０……分割壁、２１……
流動層ボイラ。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】１複数の分割壁により仕切つて構成された複数
の流動層を有する風箱の上部にけられている
空気分散板から、流動燃焼用空気を噴出させて
上記空気分散板上に載置された燃料と流動媒体
を流動させながら燃焼を行う流動層燃焼装置に
おいて、上記複数の流動層によつて形成される
各流動層の境界部に、該境界部上方の燃焼空間
部から上記境界部の流動層内の所定深さまでの
間を仕切りする仕切板を設け、該仕切板は、隣
接する停止流動層への燃料および流動媒体の飛
散、堆積を防止する高さに上記境界部の上方に
突出させ、かつ停止流動層の起動時に、隣接す
る運転流動層への燃料および流動媒体粒子の混
合速度を遅延させるために上記流動層内の所定
深さに挿着したことを特徴とする流動層燃焼装
置。２複数の流動層によつて形成される各流動層の
境界部に設ける仕切板は、水冷管とメンブレン
バーによつて構成される水冷式の仕切板である
ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
項記載の流動層燃焼装置。３複数の流動層によつて形成される各流動層の
境界部に設ける仕切板の流動層上方空間部に突
出させる高さは、燃料および流動媒体粒子の最
大飛散高さの1/2から1/4となし、かつ流動層高
さの1/3以上の深さにまで挿入して設けたこと
を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項ま
たは第２項記載の流動層燃焼装置。４複数の流動層によつて形成される各流動層の
境界部に設ける仕切板は、空気分散板に対して
60〜90度の範囲の角度を有するほぼ平面上にあ
ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
１項ないし第３項のいずれか１項に記載の流動
層燃焼装置。