JPH0538122A - 可動界磁型リニアモータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】固定子側に配列したリードスイッチを可動子の
移動に合わせて適正に開閉して安定した運転制御が行え
るようにした可動界磁型リニアモータを提供する。 【構成】界磁永久磁石３を搭載した可動子１と、可動子
の移動経路に沿って配列した電機子コイル５, および各
電機子コイルと個々に接続した給電用リードスイッチ７
を装備した固定子とを組合せ、可動子の移動に合わせて
前記リードスイッチを開閉して電機子コイルヘの給電制
御を行う可動界磁型リニアモータにおいて、リードスイ
ッチと界磁永久磁石との間を仕切るように磁気遮へい板
１２を固定子側に布設するとともに、磁気遮へい板を挟
んで界磁永久磁石と反対側に界磁永久磁石の全長と同じ
長さのリードスイッチ開閉用永久磁石１３を可動子に搭
載して配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば扉，カーテンな
どの駆動装置として適用する可動界磁型リニアモータに
関する。

【０００２】

【従来の技術】頭記した可動界磁型リニアモータとし
て、界磁永久磁石を搭載した可動子と、可動子の移動経
路に沿って配列した電機子コイル, および各電機子コイ
ルと個々に対応して給電線との間に接続した給電用リー
ドスイッチを備えた固定子との組合わせからなり、可動
子の移動に合わせて前記リードスイッチを開閉し、可動
子の界磁永久磁石と対向している電機子コイルのみに電
力を供給するようにした３相バイポーラ駆動方式のもの
が、特願平３−５４１２号として本発明と同一出願人よ
り既に提案されている。

【０００３】図３（ａ）は上記提案の可動界磁型リニア
モータの構成概要図であり、図において、１は可動子、
２は可動子の台車、３はＮ極，Ｓ極を交互に並べて台車
２に搭載した界磁永久磁石、４は界磁永久磁石３の磁気
ヨーク、５は可動子１の移動経路に沿って可動子１の界
磁永久磁石３と対向するように配列した電機子コイル、
６はＵ，Ｖ，Ｗ３線式の給電線、７は各電機子コイル５
と個々に対応して電機子コイルと給電線６との間に接続
したリードスイッチである。

【０００４】ここで、前記リードスイッチ７は電機子コ
イル５の配列に合わせて可動子１に搭載した界磁永久磁
石３の側方に配備されており、走行経路に沿って移動す
る可動子１がリードスイッチ７に接近すると界磁永久磁
石３の漏れ磁束によりリードスイッチがオン動作し、該
リードスイッチに接続した電機子コイル５に電力を供給
する。一方、可動子１と離れた位置のリードスイッチ７
は全てオフとなり、該リードスイッチに接続した電機子
コイル５は非通電となる。これにより、可動子の移動に
合わせて界磁永久磁石と対向する電機子コイルにのみ電
力が供給されることになる。また、前記したリードスイ
ッチ７の開閉動作と、図示されてない磁極位置検出部，
モータドライバの動作とを組合わせことにより、リニア
モータは３相バイポーラ駆動方式で運転されて可動子が
移動経路に沿って走行する。

【０００５】また、図３（ｂ）は可動子１の移動に伴っ
て前記リードスイッチ７に作用する界磁永久磁石３の磁
束分布，並びにリードスイッチの開閉動作を表す図であ
る。すなわち、図示の磁束分布から判るように界磁永久
磁石３のＮ，Ｓ極の極性切り替わり地点では磁束密度が
ゼロとなる。一方、前記した３相バイポーラ駆動方式で
は、給電線６のＵ，Ｖ，Ｗ各相の通電期間は電気角で１
２０゜、非通電期間は６０゜である。したがって各電機
子コイル５と個々に対応するリードスイッチ７を電機子
コイル５の配列に対して図３（ｂ）のように可動子１の
界磁永久磁石３の極性切り替わり位置に合わせて配列
し、かつリードスイッチ７の動作しきい値（オンからオ
フ動作に切換わる磁界強さ），およびリードスイッチ７
と界磁永久磁石３との間の空隙を適正に調整すれば、図
３（ｂ）のようにＮ，Ｓ極性の切り替わりに伴うリード
スイッチ７のオフ動作期間を給電線６の非通電期間（電
気角６０゜）に合わせて電機子コイル５への通電制御を
支障なく行える。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の構成
でリニアモータを３相バイポーラ駆動方式で運転制御す
るには、リードスイッチのオフ期間が電気角で６０゜以
下となるように、リードスイッチと可動子に搭載した界
磁永久磁石との間の空隙をリードスイッチの動作しきい
値に対して微妙に設定する必要があり、モータ組立時に
おけるこれらの位置決め調整が極めて厄介である。仮に
リードスイッチと界磁永久磁石との間の空隙の調整不良
が原因でＮ，Ｓ極性の切り替わり地点でリードスイッチ
のオフ期間が電気角６０゜以上であると、電力線が非通
電から通電期間に変わっても界磁永久磁石と対向する電
機子コイルに接続したリードスイッチがオフ状態にある
ため、当該電機子コイルに電力が供給されない状態が生
じて可動子の安定走行が実現できなくなる。

【０００７】本発明は上記の点にかんがみなされたもの
であり、その目的は固定子側に配列したリードスイッチ
と可動子の界磁永久磁石との間の空隙の微妙な調整を必
要とせずに、簡易な手段でリードスイッチを可動子の移
動に合わせて適正に開閉して安定した運転制御が行える
ようにした可動界磁型リニアモータを提供することを目
的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の可動界磁型リニアモータにおいては、リー
ドスイッチと可動子に搭載した界磁永久磁石との間の磁
気的干渉を阻止する磁気遮へい手段と、界磁永久磁石と
は別に可動子に搭載したリードスイッチ開閉用永久磁石
とを備えるものとする。

【０００９】ここで、前記構成における磁気遮へい手段
は、リードスイッチの列と可動子の界磁永久磁石との間
を仕切るように可動子の移動経路に沿って固定子側に布
設した磁気遮へい板となし、該磁気遮へい板を挟んで界
磁永久磁石と反対側には界磁永久磁石の全長と同じ長さ
のリードスイッチ開閉用永久磁石をリードスイッチと対
向配備して構成することができる。

【００１０】

【作用】前記の構成で、リードスイッチの列と可動子に
搭載した界磁永久磁石との間に布設した磁気遮へい板
は、界磁永久磁石の漏れ磁束を吸収してリードスイッチ
への磁気的な影響を阻止するように作用する。一方、界
磁永久磁石と別に可動子に搭載したリードスイッチ開閉
用の永久磁石は、界磁永久磁石の磁束とこれに対向する
電機子コイルとが鎖交している間は、界磁永久磁石の極
性切り替わりに伴う磁束密度の変化に関係なく当該電機
子コイルに接続したリードスイッチを常にオン状態に保
つように働く。これにより、固定子側に配列したリード
スイッチと可動子に搭載したリードスイッチ開閉用永久
磁石との間の微妙な空隙調整の必要なしに、電機子コイ
ルに対する適正な給電制御が行える。

【００１１】

【実施例】図１，図２は本発明の実施例を示すものであ
り、図３に対応する同一部材には同じ符号が付してあ
る。まず、図１において、８は可動子１の移動経路に沿
って敷設した固定子側のチャンネル形レールケースであ
り、可動子１の台車２はレールケース８の内部を走行す
る。また電機子コイル５，給電線６，リードスイッチ
７，および界磁永久磁石３の磁極位置検出用導体パター
ン９などの各部品はプリント配線板１０に実装してレー
ルケース８に組み込まれている。なお、１１は電機子コ
イル５を取付けたバックプレートである。また、レール
ケース９の内部には、界磁永久磁石３の側面との間に間
隔を隔てて強磁性材の磁気遮へい板１２が垂直姿勢に布
設してあり、該磁気遮へい板１２の裏面側（界磁永久磁
石３と反対側）には電機子コイル５の配列に合わせて各
電機子コイルと個々に接続したリードスイッチ７が取付
けられている。さらに、前記の磁気遮へい板１２を挟ん
で界磁永久磁石３と反対側には、界磁永久磁石３に位置
を合わせて界磁永久磁石３の全長（図３に表した寸法
Ｌ）と同じ長さＬのリードスイッチ開閉用永久磁石（単
極の永久磁石）１３がリードスイッチ７の近くを通るよ
うに可動子１の台車２に搭載されている。

【００１２】かかる構成により、可動子１に搭載した界
磁永久磁石３の漏れ磁束は磁気遮へい板１３に吸収され
るので、その裏面側に配列したリードスイッチ７は界磁
永久磁石３からの磁気的な影響を受けることがない。一
方、リードスイッチ７は可動子１の移動過程で可動子に
搭載したリードスイッチ開閉用永久磁石１３と対向して
いる期間に永久磁石１３の磁力作用でオン動作する。し
かも、リードスイッチ開閉用永久磁石１３の長さ寸法Ｌ
は界磁永久磁石３の全長と同じ長さで同じ位置に並べて
可動子１の台車２に搭載されているので、可動子１の移
動過程で界磁永久磁石３と対向し合う電機子コイル５に
接続したリードスイッチ７は、該電機子コイルと界磁永
久磁石の磁束とが鎖交する間は磁極極性の切り替わりに
伴う磁束密度の変化に関係なくオン状態に保持されて電
機子コイル５に電力を供給する。なお、図２（ｂ）はリ
ードスイッチ開閉用永久磁石の磁束分布，およびこの磁
束分布に対応するリードスイッチの動作を表した図であ
る。

【００１３】

【発明の効果】本発明の可動界磁形リニアモータは、以
上説明したように構成されているので、固定子側に配備
したリードスイッチと可動子に搭載した界磁永久磁石と
の間の磁気的干渉を磁気遮へい手段で阻止しつつ、一方
では界磁永久磁石と別に設けたリードスイッチ開閉用永
久磁石の作用により、可動子の移動過程で界磁永久磁石
と対向する電機子コイルのみに電力を供給させるように
リードスイッチを適正に開閉制御することができ、これ
によりリードスイッチと界磁永久磁石との間の微妙な空
隙調整を必要とせずに安定したリニアモータの運転制御
が達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の要部構成図

【図２】図１の補足説明図であり、（ａ）はリニアモー
タ全体の模式図、（ｂ）はリードスイッチ開閉用永久磁
石の磁束分布，およびリードスイッチの動作を表す図

【図３】従来の可動界磁形リニアモータの説明図であ
り、（ａ）はリニアモータ全体の模式図、（ｂ）は界磁
永久磁石の磁束分布，およびリードスイッチの動作を表
す図

【符号の説明】

１ 可動子 ３ 界磁永久磁石 ５ 電機子コイル ６ 給電線 ７ リードスイッチ １２ 磁気遮へい板 １３ リードスイッチ開閉用永久磁石

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】界磁永久磁石を搭載した可動子と、可動子
   の移動経路に沿って配列した電機子コイル, および各電
   機子コイルと個々に接続した給電用リードスイッチを装
   備した固定子との組合わせからなり、可動子の移動に合
   わせて前記リードスイッチを開閉して電機子コイルヘの
   給電制御を行う可動界磁型リニアモータにおいて、前記
   リードスイッチと可動子に搭載した界磁永久磁石との間
   の磁気的干渉を阻止する磁気遮へい手段と、界磁永久磁
   石とは別に可動子に搭載したリードスイッチ開閉用永久
   磁石とを備えたことを特徴とする可動界磁型リニアモー
   タ。
2. 【請求項２】請求項１記載のリニアモータにおいて、磁
   気遮へい手段が、リードスイッチの列と可動子の界磁永
   久磁石との間を仕切るように可動子の移動経路に沿って
   固定子側に布設した磁気遮へい板であり、該磁気遮へい
   板を挟んで界磁永久磁石と反対側にはリードスイッチ開
   閉用永久磁石をリードスイッチと対向配備したことを特
   徴とする可動界磁型リニアモータ。
3. 【請求項３】請求項２記載のリニアモータにおいて、リ
   ードスイッチ開閉用永久磁石が可動子に搭載した界磁永
   久磁石の全長と同じ長さの永久磁石であることを特徴と
   する可動界磁型リニアモータ。