JPH0537418Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は、発電要素を収納した電池缶の開口
部に、ガス抜き孔及び切刃を有する端子板を用い
てなる防爆構造を具備した筒形電池に関するもの
である。

＜従来の技術＞ スパイラル型リチウム電池やインサイドアウト
型リチウム電池、あるいは円筒型Ni−cd蓄電池
等の筒形電池では、例えば外部短絡や過充電等に
おいて電池内部に発生した多量のガスに因り、電
池内圧が異常に上昇した場合、電池缶開口部に設
けた防爆機構により、端子板に形成したガス抜き
孔を介して、電池内部の異常圧を電池外部に放出
して電池の破裂を防ぐ構造を採つている。

従来、この種の防爆構造としては、例えば第２
図のように、ガス抜き孔１０ａと切刃１０ｂを設
けた皿状の端子板１０と、略中央部に弁孔１１ａ
を有した金属部材１１を用いたものがある。

即ちこの例では、金属部材１１の周縁部を折曲
げて端子板１０の上に載置し、この折曲部を締付
けることで、封口部材としての薄板１２及び樹脂
封口体１３の周縁部を挟持する構成が採られてい
る。尚、発電要素の一方の電極から導出した電流
取出し用のリード体１４は、上記金属部材１１に
溶接される。

そして、電池内圧の異常上昇により図中上側に
膨出した薄板１２及び樹脂封口体１３の中央部を
上記切刃１０ｂにより破断し、電池の異常内圧を
この破断部から、端子板１０のガス抜き孔１０ａ
を介して、電池外部に放出するようにしている。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかしながら上記従来構造では、樹脂封口体１
３を端子板１０を介して金属部材１１により締付
けていることから、樹脂封口体１３をその周縁部
において集中して締付け圧縮してやることが困難
である、端子板１０と金属部材１１との２つの部
材で樹脂封口体１３等を挟持しているので樹脂封
口体１３の圧縮が安定しない、等の欠点がある。

このため、このような構造の筒形電池では、電
池缶内の電解液が金属部材１１と樹脂封口体１３
との間からクリープして外部に漏液し易くなり、
特に電池の高温保存時における耐漏液性に問題が
あつた。

本考案は、上記のような防爆構造を備えた電池
であつて、耐漏液性に優れた筒形電池を提供する
ことを目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ 即ちこの考案の筒形電池は、発電要素を収納し
た電池缶の開口部に位置しまたガス抜き孔及び切
刃を有する端子板の外周部分を、折返し側の端部
が外周から円曲部とこれに続く平坦部とを有する
ように電池内方に折返し、またこの折返し部分に
より、少なくともこの折返し部に介在させた合成
樹脂封口体と、この合成樹脂封口体の前記切刃側
に位置させた薄板とを挟持し、更に端子板の前記
平坦部に、略中央部に弁孔を形成した金属板の外
周部を溶接してなることを要旨とするものであ
る。

上記薄板には、厚さ0.02mm程度のステンレス薄
板、アルミニウム薄板、あるいはチタン薄板等を
使用することができる。更に、これらの金属薄板
例えばアルミニウム薄板の表面に合成樹脂をコー
テイングして一体化させた、所謂金属ラミネート
シートを、上記薄板として使用することもでき
る。

一方、上記の合成樹脂封口体としては、耐電解
液性の樹脂、例えばポリプロピレンやポリエチレ
ン等のオレフイン系樹脂で作つたものを用いれば
良い。また、この合成樹脂封口体は、上記の通
り、少なくとも端子板折返し部に介在して挟持さ
れる形状であればよく、即ち環状部材でも板状部
材でも良い。

＜作用＞ 上記のように端子板の上記折返し部分のみで封
口部材周縁部を挟持する構造とすれば、封口部材
の安定した圧縮ができるようになる。

また、この折返し部分の折返し側の端部を、外
周側から円曲部とこれに続く平坦部とを有するよ
うに構成したので、樹脂封口体を特に円曲部から
平坦部にかけての間において強く締め付けること
ができ、樹脂封口体の圧縮を集中的に行うことが
可能となる。

さらに、端子板の折返し側の端部を円曲部とこ
れに続く平坦部とを有するように折返しまたこの
折返し部分により封口部材を挟持するようにした
ので、前記従来構造に比べ、電解液のクリープの
経路が長くなる。

そして以上の相乗効果により、電池の耐漏液性
を格段に向上させることができる。

＜実施例＞ 以下にこの考案の実施例を説明する。

第１図において、発電要素１を収納した有底円
筒状の電池缶２の開口部には、環状の合成樹脂製
絶縁ガスケツト３、並びにガス抜き孔４ａ及び切
刃４ｂを備えたステンレス製の端子板４が載置さ
れている。そして、電池缶開口部を絞りかしめる
ことで、合成樹脂絶縁ガスケツト３がこの開口部
と端子板外周との間で挟持されている。

このうち、端子板４は、その周縁部分が、折返
し側の端部において外周側から円曲部４ｃとこの
円曲部４ｃに続く平坦部４ｄとを有するように、
折返されている。更に、平坦部４ｄの内周側に
は、略中央部に弁孔７ａを有する金属板７の外周
部が、スポツト溶接等で溶接されている。そし
て、電池缶内の発電要素１を構成する一方の電極
から導出したリード体８が、この金属板７の内面
に同じくスポツト溶接等で溶接されている。

一方、端子板の上記折返し部には、発電要素側
にポリプロピレン製の合成樹脂封口体５を、また
上記切刃４ｂ側に厚さ0.02mmのステンレス板で作
つた薄板６をそれぞれ位置させ、またこれらを圧
着してなる、封口部材の周縁部が挟持されてい
る。

そして、電池缶開口部を以上の構造として、直
径１５mm、高さ40mmのスパイラル形リチウム電池
（本考案品）を50個作製した。一方、電池缶開口
部を第２図に示した構造とした他は本考案品と同
様なスパイラル形リチウム電池（従来品）を同じ
く50個作製した。これら２種の電池について、温
度85℃で40日間保存した後における漏液発生の度
合を調べたところ、従来品は50個中21個の電池で
漏液が生じたが、本考案品では漏液した電池はな
かつた。

尚、以上は板状の合成樹脂封口体と薄板とから
なる封口部材を用いた例であるが、この他環状の
合成樹脂封口体と薄板を組合わせた封口部材を用
いた場合も同様であり、耐漏液性の優れた筒形電
池が得られることは明らかである。

＜考案の効果＞ 以上のようにこの考案によれば、電池缶の開口
部にガス抜き孔及び切刃を有する端子板を用いて
なる防爆構造を具備した筒形電池における耐漏液
性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の電池の要部断面図、
第２図は従来の電池の要部断面図である。 ２，１５……電池缶、３，１６……絶縁ガスケ
ツト、４，１０……端子板、５，１３……樹脂封
口体、６，１２……薄板、７……金属板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発電要素を収納した電池缶の開口部に位置しま
   たガス抜き孔及び切刃を有する端子板の周縁部分
   を、折返し側の端部が外周から円曲部とこれに続
   く平坦部とを有するように電池内方に折返し、ま
   たこの折返し部分により、少なくともこの折返し
   部に介在させた合成樹脂封口体と、この合成樹脂
   封口体の前記切刃側に位置させた薄板とを挟持
   し、更に端子板の前記平坦部に、略中央部に弁孔
   を形成した金属板の外周部を溶接してなることを
   特徴とする筒形電池。