JPH0536424Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 本考案は特に外科用の手術台において、腰椎、
脊椎の手術の際に患者の身体を支持する支持器に
関する。

Ｂ 従来の技術 腰椎または脊椎の手術をするときは、第２図に
示すように、患者Ｋは手術台Ｄ上において腰と膝
を曲げてＺ字形の体位をとる。この場合、体重は
胸部と腰部および膝部で支えられる。この体位は
出血が少ないので特によく用いられるが、特に腰
部の支承は骨盤の両側部が支持器Ｐによつて支持
されるようになつている。

第３図はこの支持器Ｐの一方側の全体を示す図
であるが、支持器Ｐは手術台Ｄの固定レールＲに
架設された支持軸Ｓとこの支持軸Ｓに挿入組合わ
せた支持パツドＬからなつている。すなわち、支
持器Ｐは、固定レールＲに任意の位置で固定架設
される支柱Ｍの上端に取り付けられた支持軸Ｓに
対して支持パツドＬが挿嵌され、その外方端には
座金Ｎを介して固定ねじＧが螺合され、支持パツ
ドＬが支持軸Ｓに対して固定保持されている。こ
の支持パツドＬに骨盤が位置する。

Ｃ 考案が解決しようとする問題点 支持器は支持パツドを介して患者の腰部を支承
するのであるが、患者の体格の大小によつて腰部
の骨盤の位置が異なる。体格の大きい患者の場合
の両骨盤間隔は大きい。しかしながら、従来の支
持器特に支持パツドＬの位置は固定であるから、
患者の骨盤に対して適確に対応できない問題点を
有している。これを解決する方法として、支持パ
ツドの大きさ、両支持器の間隔の異なる別の支持
器を準備しておき取り換えることもなされている
が、手術操作を複雑にする。

Ｄ 問題点を解決するための手段 本考案による支持器は支持軸と支持パツドの組
合わせであるが、支持軸を支持パツドに対して長
軸にし、かつ支持パツドを支持軸に対して移動可
能に構成するとともに、支持軸の一部を軸方向に
変位させたとき増径する増径機構と、この変位方
向に支持軸の一部を付勢するスプリングとを具備
して構成される。

Ｅ 作用 支持パツドは支持軸に対して移動可能であり、
両支持器間の距離が可変調整可能である。スプリ
ングの弾力によつて支持軸が増径されているとき
は、支持パツドは固定保持され、スプリングの弾
力に抗して支持軸の一部が逆方向に付勢すると、
小径となつて支持パツドが支持軸から解放され支
持軸上に対し支持パツドが変位可能となる。

Ｆ 実施例 以下、本考案を第１図に示す実施例にしたがつ
て説明する。

第１図において第３図と同一符号で示される部
品は第３図と同一であり説明は省略する。

１は支柱Ｍと一体的に構成された円管状の支持
軸であるが、この支持軸１の外方（右端）の一部
１Ｈが軸芯に対して斜面に切断され切断片として
構成されている。２はこの支持軸１，１Ｈに挿嵌
された支持パツドで、支持軸１，１Ｈより短軸に
形成されている。

３は支持軸１の内方に貫設された作動杆で、外
方（右端）のねじ部には座金６がねじ込まれて支
持軸の切断片１Ｈが当接されている。この作動杆
３の左方端にはハンドル４が形成され、このハン
ドル４と支持軸１の左方端との間に圧縮コイル形
のスプリング５が介在されている。従つて、この
スプリング５によつて作動杆３を介し切断片１Ｈ
が常時左方へ付勢されている。図示状態はハンド
ル４を矢印方向に押し、すなわち、スプリング５
をその弾力に抗して圧縮して支持軸１の切断片１
Ｈを支持軸１に軸芯合わせさせた状態で、この場
合は支持軸の径は変化していない。

しかし、ハンドル４を押すのを止めるとスプリ
ング５の弾力によつて切断片１Ｈが作動杆３を介
して左方へ変位する。すると切断片１Ｈが切断面
（斜面）に沿つて偏位し支持軸１の直径が増加さ
れる。支持軸１の増径によつて支持パツド２が支
持軸１に拘束固定される。

本考案の構成は以上のとおりであり、常時は支
持パツド２は支持軸１に対して一定の位置に固定
保持されているが、患者の体格の大きさによつて
移動させる場合には、看護婦等が簡易にハンドル
４を矢印方向に押すと、増径機構１Ｈ，６，３の
作動が中止されて支持パツド２が支持軸１から解
放され、その移動が可能となる。

本考案は図示例に限定されるものではなくいく
つかの実施例を包含する。例えば、増径機構は、
図示例のような切断片方式ではなく支持軸の外方
端部を軟らかいゴム管で構成し、スプリングの付
勢力で圧縮されて膨張大径となるような構造とす
ることもできる。ハンドルの代りに、ある支点を
中心に揺動自在なレバーとすることもできる。

Ｇ 考案の効果 本考案は支持パツドを所望する任意の位置で固
定保持でき、手術における患者の支承を好適に行
なわせることができる。ハンドルを押し込むワン
タツチ操作のみで支持パツドを移動させることが
でき、ハンドルをはなすとその位置で固定でき操
作性のすぐれた支持器である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による支持器の構成を示す図、
第２図は手術台の構成を示す図、第３図は従来の
構造を示す図である。 １……支持軸、１Ｈ……切断片の支持軸、３…
…作動杆、４……ハンドル、５……スプリング、
６……座金。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 患者を支持する支持パツドの中心に手術台固定
   部に架設された支持軸を貫設してなる支持器にお
   いて、支持パツドを支持軸に対して移動可能に構
   成するとともに、支持軸の一部を軸芯の一方向に
   変位させて直径を増加させる増径機構と、前記支
   持軸の一部を常時一方向に変位させるように付勢
   するためのスプリングとを具備し、常時は増径機
   構の作動によつて支持パツドが支持軸に固持さ
   れ、スプリングをその弾力に抗して圧縮し支持軸
   の一部を他方向に変位させたときは支持パツドが
   支持軸から解放され支持軸上を移動自在になるよ
   うに構成したことを特徴とする手術台用支持器。