JPH05363A - 圧力鋳造方法 - Google Patents

圧力鋳造方法

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JPH05363A
JPH05363A JP3153242A JP15324291A JPH05363A JP H05363 A JPH05363 A JP H05363A JP 3153242 A JP3153242 A JP 3153242A JP 15324291 A JP15324291 A JP 15324291A JP H05363 A JPH05363 A JP H05363A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳造時の砂中子からのガス発生を可及的に抑
制し、鋳造製品の品質を向上させる。 【構成】 溶湯が注入されるキャビティーと、該キャビ
ティー内の中央部に配置され、略その全周囲に溶湯が回
り込む砂中子と、上記キャビティー内に圧力を加える圧
力供給手段とを備え、上記キャビティー内に溶湯を注入
するとともに該注入された溶湯が上記砂中子の全周を覆
う直前から同全周を覆った後の所定時間までの間は上記
圧力供給手段によって上記キャビティー内に所定の圧力
を加えながら鋳造を行うようにし、砂中子からの発生ガ
ス圧よりも背圧をタイミングよく高くして、酸化膜の膨
出を防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、圧力鋳造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車においてエンジンは、車両
全重量中の20%近い重量を占める。したがって、エン
ジンを軽量化することは、車両重量の軽減に極めて効果
が高い。
【0003】そのような意味から、最近ではエンジンの
シリンダブロックおよびシリンダヘッドを例えばアルミ
ダイキャスト製のもので構成することが多くなってきて
いる。
【0004】そして、このようなエンジン部材の鋳造を
行う場合、一般には例えば特開昭63−220969号
公報に示されているような密閉炉体を使用し、該密閉炉
体中の溶湯をストークを介して鋳型内に加圧注入する圧
力鋳造方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なシリンダヘッド、シリンダブロックの圧力鋳造に際し
ては、例えばウォータジャケットやオイルジャケット形
成のために通常鋳型キャビティー内中央部にレジンサン
ドよりなる砂中子が配置されるが、該砂中子内には例え
ば水分、溶材、レジン等が混入されているために、鋳造
時に該砂中子から所定圧のガスが発生し、該ガスの圧力
が溶湯圧よりも高くなると該ガスにより溶湯面の酸化膜
が押し凹められガス欠陥による不良品が生じる問題があ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1および2
各項記載の発明の圧力鋳造方法は、それぞれ上記の問題
を解決することを目的としてなされたものであって、各
々次のように構成されている。
【0007】(1) 請求項1記載の発明の圧力鋳造方法
の構成該発明の圧力鋳造方法は、溶湯が注入されるキャ
ビティー内に所定の圧力を加えながら鋳造を行うように
したことを特徴とするものである。
【0008】(2) 請求項2記載の発明の圧力鋳造方法
の構成該発明の圧力鋳造方法は、溶湯が注入されるキャ
ビティーと、該キャビティー内の中央部に配置され、略
その全周囲に溶湯が回り込む砂中子と、上記キャビティ
ー内に圧力を加える圧力供給手段とを備え、上記キャビ
ティー内に溶湯を注入するとともに該注入された溶湯が
上記砂中子の全周を覆う直前から同全周を覆った後の所
定時間までの間は上記圧力供給手段によって上記キャビ
ティー内に所定の圧力を加えながら鋳造を行うようにし
たことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本願の請求項1および2記載の各発明の圧力鋳
造方法は、各々以上のように構成されており、当該各構
成に基いて、次のような作用を奏する。
【0010】(1) 請求項1記載の発明の圧力鋳造方法
の作用 先にも述べたように、砂中子が発生するガスは、当該砂
中子内に混入されている水分やレジン、溶材などの熱と
の反応によって発生する。従って、例えば図7に示すよ
うに本来それぞれ当該混入物毎に反応時間が異なり、ガ
ス欠陥が鋳造過程の何の時点で発生するかも異なる。
【0011】しかし、上記砂中子からガスが発生したと
しても、該発生ガスの圧力よりも溶湯側の圧力の方が高
ければ少なくとも溶湯側酸化膜が押し凹まされるような
ことはなく、ガス欠陥による巣の発生は生じない。
【0012】従って、該発明では、鋳造過程において、
キャビティー内を加圧することによって溶湯圧を高め、
砂中子からの発生ガスによっては溶湯側酸化膜が押し凹
まされるようなことがないようにしている。
【0013】(2) 請求項2記載の発明の圧力鋳造方法
の作用 該発明の圧力鋳造方法は、上記請求項1記載の発明の圧
力鋳造方法の基本思想を採用し、先ず鋳造過程におい
て、キャビティー内を圧力供給手段によって加圧するこ
とによって溶湯圧を高め、砂中子からの発生ガスによっ
ては溶湯側酸化膜が押し凹まされるようなことがないよ
うにしている。
【0014】しかし、実際の測定の結果、例えば図7の
A,B,Cの3つの時点で砂中子からのガスの発生が見ら
れるとしても、鋳造の進行により例えば同図7のB時点
やC時点では既に溶湯の凝固が進んでいることから、仮
にガスが発生しても酸化膜の変形を生じることがないこ
とが確認された。
【0015】一方、上記測定の結果、上記図7のA時点
は、少なくともキャビティー内に注入された溶湯が砂中
子の全周を覆う直前から覆った後の所定時間までの溶湯
温度が高く、溶湯注入途中の期間内に含まれていること
が判明した。
【0016】そこで、該発明の圧力鋳造方法では、該期
間内のみを対象として効率よくキャビティー内の加圧制
御を行ない、効果的なガス欠陥防止作用を実現した。
【0017】
【発明の効果】従って、本願発明の圧力鋳造方法による
と、砂中子からの発生ガスが溶湯中に侵入してガス欠陥
を生ぜしめるのを確実に防止することができ、鋳造製品
の品質を向上させることが可能となる。
【0018】
【実施例】図1〜図8は、例えばレシプロエンジンのシ
リンダヘッドの製造に適用した本願発明の実施例に係る
圧力鋳造方法および同圧力鋳造方法を実施するための圧
力鋳造装置の構成を示している。
【0019】先ず図1は、同圧力鋳造装置の全体的な構
造を示しており、図中符号1は内部にアルミ合金溶湯2
が貯留されている密閉炉体である。該密閉炉体1は図示
しない加熱装置によって加熱され、鋳造に適した溶湯温
度に保持されている。
【0020】一方、符号4は上記密閉炉体1の上部に隔
壁3を介して設置された鋳型である。該鋳型4は、下部
側の固定型(下型)4Aと上部側可動型(上型)4Bとから
なり、これら固定型4Aと可動型4B間に、上記密閉炉
体1内の溶湯2が注入されるエンジンのシリンダヘッド
鋳造用のキャビティー5が形成されている。そして、該
キャビティー5の中央部には、例えばウォータジャケッ
ト形成用の第1の砂中子6Aとオイルジャケット形成用
の第2の砂中子6Bが各々設けられている。
【0021】そして、上記鋳型4の湯道7は、湯口9を
介してストーク8に連通しており、炉体内加圧手段が作
動すると同ストーク8を介して上記密閉炉体1内の溶湯
2が湯口9を経て湯道7よりキャビティー5側に所定圧
で注入されるようになっている。
【0022】さらに、符号11は上記キャビティー5内
に所定の背圧を供給して溶湯圧を高くする圧力供給路で
あって、該圧力供給路11は配管12を介して圧力ポン
プ14に接続されている。そして、配管12の途中には
圧力制御弁13が介設されており、上記キャビティー5
内に供給される圧力ポンプ14からの圧力レベルを圧力
制御手段15から印加される制御信号値に応じて所定の
値にコントロールするようになっている。該キャビティ
ー5内への背圧の供給は、次に述べるような事情に基
き、上記キャビティー5内に注入された溶湯2が上記水
分、溶材、レジン等を含む第1、第2の砂中子6A,6
Bの全周を覆う直前から同第1、第2の砂中子6A,6
Bの全周を覆った後の所定時間までの間、ガス圧による
酸化膜の溶湯内への膨出を阻止するために行なわれる。
【0023】すなわち、先にも述べたように、本実施例
のような圧力鋳造方法によるエンジンシリンダヘッドの
アルミ鋳造過程では、例えば図2に示すように少なくと
も或る2つの時点A,Bにおいて上記各砂中子6A,6B
から所定圧以上のガスが発生する事実が見出される。そ
して、このようにA,B2つの時点で所定圧以上のガス
が発生した製品では、一般に該ガスが漏出したと見られ
る部分に巣ができており、結局欠陥品となる。
【0024】ところで、このようなガス欠陥を生じた欠
陥品とガス欠陥を生じなかった良品との鋳造過程におけ
る各砂中子6A,6Bのガス圧の変化を測定して対比し
て見ると、図2と図3のような関係になった。このこと
から、仮に砂中子6A,6Bからガスが発生したとして
も、その発生圧が溶湯圧(比重+高さ)自体よりも低い
か、又は同溶湯圧よりも或る程度高くても例えば注入さ
れた溶湯2が上記砂中子6A,6Bの全周を覆ってから
所定時間が経過して同溶湯2が或る程度硬化したB時点
では最早巣ができないということが判明する。
【0025】ところで、上記溶湯注入時に砂中子6A,
6Bが発生するガスは、当該砂中子6A,6B内に混入
されている上記水分や溶材、レジンなどが熱と反応する
ことによって生じているであろうことは容易に想像がつ
く。しかし、これら各混入物は、それぞれ反応時間が異
なり、上記ガス発生による欠陥が上記シリンダヘッド鋳
造過程の常に何の時点で発生するかということを特定し
得ないと上記のようなキャビティー内の背圧の制御を行
っても余り効果的ではない。
【0026】そこで、本実施例では、例えば図4〜図6
に示すような砂中子6A,6Bからのガスの発生による
溶湯酸化膜の膨出変形を検出、計測する酸化膜計測装置
を考案し、同酸化膜の溶湯内への膨出によるガス欠陥発
生メカニズムを先ず解析した。
【0027】該計測装置では、鋳型モデルとして上記図
1と同様の構成のものが採用されており、ここでは各部
の構成を分かり易く示すために1つの図面中に便宜上同
一鋳型の2つの断面を併せて示している。
【0028】そして、同図面において先ず符号31は、
第1のパイプ31を通しキャビティー5内に注入された
溶湯2の圧力(比重+高さ)P1を検出する第1の圧力セ
ンサ、また同32は第2のパイプ32を通し第1の砂中
子6Aの発生ガス圧P2を検出する第2の圧力センサで
あり、該第1、第2の各圧力センサ21,22の圧力検
出信号はアンプ23を介して所定のレベルに増幅された
後に計測器25に入力される。
【0029】また、符号24は図示の如く複数の溶湯注
入部に各々配設された酸化膜検出用の複数の電極41〜
44を備えた導通センサーであり、該導通センサー24
の各電極41〜44からの検出信号も同じく計測器25
に入力される。該導通センサ24の電極41〜44は、
例えば図5に符号43のもので代表させて示すように、
キャビティー等溶湯注入空間内に突出して配置された先
端側導電部40aと、該導電部40aの一部を残して耐熱
性のあるセラミック部材が被覆されたセラミックコーテ
ィング部40bと、該セラミックコーティング部40bの
上に更に絶縁部材を被覆したリード線部40cとから形
成されており、上記導電部40aには例えば常時1.0(V)
の直流電位が印加されている。
【0030】従って、今例えば上記キャビティー等の溶
湯注入空間内に溶湯2が注入され、該溶湯2が第1の砂
中子6Aの周囲を覆い初めた状態において、例えば図6
の仮想線に示すように同第1の砂中子6A中の水分、溶
材、レジンが反応して所定圧のガスを発生するようにな
ると、該ガスの圧力P2が上記第2の圧力センサ22に
よって検出されるとともに、それによって酸化膜50の
膨出が生じる。そして、該酸化膜50の上端が上記電極
43の導電部40aに接触すると、導電部40bは地絡さ
れて一旦零ボルト電位となる。そしてその後、更にガス
の発生量が増加して酸化膜50の膨出量が増し、図示実
線の状態になると、再び1.0(V)となる。この結果、導
通センサ24の出力電圧は図8のように変化する。
【0031】そこで、この導通センサ24の出力データ
を上記第1、第2の圧力センサ21,22の検出データ
とともに計測器25からパーソナルコンピュータ26に
入力してデータ処理すると、例えば図7のA,B,Cに示
すように第1の砂中子6A中の混入物毎のガス発生状態
をパターン化して認識することができる。従って、これ
らのデータを基にして、上述の図2のA時点を特定する
ことができ、それに対応して上記圧力制御手段15を作
動させ、上記キャビティー5内の背圧を溶湯圧P1が上
記第2の圧力センサ22で検出されたA時点における第
1の砂中子6Aからのガス圧P2よりも高いP1+ΔP1
になるように加えると、第1の砂中子6A(6B)からの
発生ガスが溶湯2側に膨出することはできなくなり、従
来のようなガス欠陥の発生を確実に抑制し得るようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例に係るエンジンのシ
リンダヘッドの圧力鋳造装置の構成を示す断面図であ
る。
【図2】図2は、上記鋳造装置による鋳造過程におい
て、ガス欠陥が生じる場合の砂中子のガス圧特性図であ
る。
【図3】図3は、同鋳造過程において、ガス欠陥が生じ
ない場合の砂中子のガス圧特性図である。
【図4】図4は、図2のガス欠陥発生メカニズムを分析
するための計測装置の構成を示す概略図である。
【図5】図5は、同計測装置の要部の構成を示す断面図
である。
【図6】図6は、同図5の計測装置の要部の作用を示す
説明図である。
【図7】図7は、砂中子中の3つの混入成分の各成分毎
の熱反応時のガス圧特性を示す特性図である。
【図8】図8は、ガス欠陥発生時の計測信号変化を示す
タイムチャートである。
【符号の説明】
1は密閉炉体、2は溶湯、3は隔壁、4は鋳型、4Aは
固定型、4Bは可動型、5はキャビティー、6Aは第1
の砂中子、6Bは第2の砂中子、7は湯道、8はストー
クである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯が注入されるキャビティー内に所定
    の圧力を加えながら鋳造を行うようにしたことを特徴と
    する圧力鋳造方法。
  2. 【請求項2】 溶湯が注入されるキャビティーと、該キ
    ャビティー内の中央部に配置され、略その全周囲に溶湯
    が回り込む砂中子と、上記キャビティー内に圧力を加え
    る圧力供給手段とを備え、上記キャビティー内に溶湯を
    注入するとともに該注入された溶湯が上記砂中子の全周
    を覆う直前から同全周を覆った後の所定時間までの間は
    上記圧力供給手段によって上記キャビティー内に所定の
    圧力を加えながら鋳造を行うようにしたことを特徴とす
    る圧力鋳造方法。
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