JPH0536067B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈発明の利用分野〉 本発明は、特定の構造を有した気体の加湿器を
用いた酸素富化気体供給装置に関する。さらに詳
細には本発明は、加湿の程度を適度にし且つ長時
間継続して使用できる改良された加湿器を提供す
るものである。また本発明は、医療用その他の呼
吸の改善又は補強等のために、湿度の高められた
酸素富化気体を供給する装置を提供するものであ
る。

＜従来の技術＞ 従来、呼吸器疾患患者に対して酸素ボンベから
酸素を提供する酸素療法が行われており、最近で
は空気中の酸素を濃縮して得られた酸素富化気体
を使用した酸素療法が開発されることによつてそ
の治療法が次第に普及するようになつて来てい
る。

これらの酸素療法では、酸素や酸素富化気体等
の気体を患者の鼻腔に供給する際、患者の鼻腔内
の乾燥を防止するために通常は飽和水蒸気近くま
で加湿した状態でその気体を供給するように工夫
がなされている。即ち酸素ガスボンベや液体酸素
等からの酸素の場合には、そのままでは湿度が低
すぎるために例えば気泡形式の加湿器等を通過せ
しめて加湿した後に患者に供給される。また酸素
富化気体を得るために、吸着型酸素富化器や膜型
酸素富化器が使用されるが、この吸着型酸素富化
器の場合にも通常得られる酸素富化空気に水分が
ほとんど含まれないために加湿器を用いて加湿せ
しめた富化空気が患者に供給される。

しかしながら、これまでの加湿器においては、
酸素富化気体や酸素が湿度が100％近くまで加湿
されるために、それを使用者の鼻膣等に供給する
ために流通せしめるチユーブ内での温度が低下し
て結露し水滴が発生しやすく、その水滴が使用者
の鼻膣等に入ることによる不快感やチユーブ内で
のバクテリア等の繁殖などの問題点があつた。ま
た加湿器内の水の充填量が少ないために、長期間
継続して使用することができず、短期間の間隔で
かなり頻繁に加湿器の取りはずしと水の注入を行
なわなければならない煩雑されがあつた。さらに
は、加湿器内では、気泡の発生や破壊により発生
する音が非常に大きく、それを夜昼を問わず長期
間に渡つて使用する使用者特に体力に衰えた患者
にとつてそれが騒音として苦痛の原因になる場合
が多かつた。

＜発明の目的＞ 本発明は、かかる問題点を解決することを目的
としたものである。即ち、本発明は加湿の程度を
適度に行ない得るもので、且つ長時間継続して使
用できる加湿器、及びそれを備えた酸素富化気体
供給装置を提供することを目的としている。さら
に本発明の目的は、使用時において生ずる音が小
さい加湿器、及び低騒音の酸素富化気体供給装置
を提供することにある。さらに他の目的は、取り
付け、取り外しの容易な加湿器を組み込んだ酸素
富化気体供給装置を提供するものである。

＜発明の構成＞ かかる目的を達成すべく鋭意研究した結果、特
定の構造を有した中子手段を有した加湿器が非常
に有効であることを見い出し本発明に到達した。

即ち本発明は空気よりも酸素濃度が高められ且
つ湿度の低い酸素富化気体の発生手段、酸素富化
気体の流量を調節する流量調節手段、加湿器、及
び加湿された該酸素富化気体を使用に供する供給
手段を備ええた酸素富化気体供給装置において、
該加湿器が、該酸素富化気体の流入口、加湿され
た該酸素富化気体の流出口、水を充填し得る受器
手段、該受器手段に取りはずし可能な状態で気密
的に固定された蓋手段、及び該酸素富化気体の流
入口に連結された該受器手段内の下部において開
口部を有した導管手段を備え、少なくとも該導管
手段の開口部及びその上部の水充填領域を取り囲
んだまつすぐな筒状側壁部を有し、且つ下部の少
なくとも一部に開口部を有し、該受器手段により
着脱自在な状態でその移動が実質上拘束された１
個の中子手段を備えており、該加湿器内の上部空
間が該中子手段によつて仕切られており、且つ該
中子手段上部に開口部を設けて仕切られた各空間
を連通せしめたものであつて、該流量調節手段に
より調節された酸素富化気体の流量により必要に
応じて該中子手段が取りはずされ得るものである
ことを特徴とする医療用の酸素富化気体供給装
置、 を提供するものである。

以下本発明について、図面を用いてさらに詳細
に説明する。図は、本発明における加湿器の好ま
し態態を模式的に例示したものである。即ち同図
に加湿器は、気体の流入口３、加湿された気体の
流出口４、水１０を充填し得る受器手段１、蓋手
段２、流入口３に連結された導管手段５とその先
端に設けられた多数の細孔からなる開口部６、及
び気泡１６の上昇を領域17に限定し且つ該気体通
過のための上部開口部８を有した中子手段７を主
要の構成要素とするものである。

ここで言う中子手段７は、気泡１６の上昇し得
る領域17を、受器１の水平方向の断面全体とはせ
ずにその一部のみに実質上限定する機能を有する
ものである。この様に気泡の上昇し得る領域の水
平方向の断面積を気体の流量に応じた所定の範囲
にすることにより、所定の流量の気体の加湿の程
度を制御し得ることを見い出し、本発明に到達し
たものである。即ち必要とする加湿された気体の
流量及び加湿の程度に合わせて、この気泡上昇領
域の水平方向の断面（すなわち水平面）の面積を
調節することにより、適正な加湿を安定に行ない
得る。

それに加えて、該中子手段の下部にも開口部９
を設けることによつて、中子手段の内側と外側を
連通させることがより好ましい。図の如く中子手
段の外側の領域即ち気泡が分散しない領域に多量
の水を充填せしめて、加湿により水が減少し水面
が低下するその低下の度合をなくすることによ
り、長期間に渡つて継続して非常に安定な加湿操
作が可能となる。この点から言えば、受器１の上
部の部分の径をより大きくし、下部の径を小さく
することによつて、同じ充填水量でより長期間安
定な連結加湿操作が可能となる。

尚上記した中子手段の開口部８，９の位置につ
いては、実質上各々の機能を果す範囲で実質上
各々上部又は下部であればよいが、機能の点で開
口部９は最下端が好ましい。また後述する如く中
子手段が多孔質な場合にはその多孔部が各々の開
口部に相当し得る。

該中子手段は、蓋手段及び／又は受器手段によ
つてその移動が拘束されていることが望ましい。
場合によつては、蓋手段及び／又は受器手段に固
定されているか、あるいは、蓋手段２と受器手段
１の両方によつて固定されていてもよい。この場
合の拘束方法としては該中子手段の上下又は下部
で位置決めをした状態で該受器の底に設置する形
式及び、直接固定する方法がある。さらに必要な
ら固定も含めた拘束手段として、ゴム状物等の音
が伝播しにくい材質からなるパツキング等の部材
を介して蓋手段及び／又は受器手段に設置又は固
定する方が、消音効果上非常に好ましい。また中
子手段は受器手段から取りはずすことが可能なも
のの方が、洗浄が容易であつてより衛生的であ
る。さらに該中子手段が気体不透過性部材からな
り、該加湿器の上部に取り付けられて、上部空間
（液部も含んでよい）が例えば領域12、13に仕切
られた場合には、その仕切られた各々の空間の均
圧化を図るための開口部１１をその中子手段の一
部に設けることが望ましい。

該中子手段の形状及び材質については、その機
能を果すものであればいかなるものでもよい。そ
のより好ましい形状は筒状であつて、特に円筒状
のものがよい。尚気泡が上昇する領域は中子手段
の内側、外側どちらでもよいが、図の如く円筒状
中子手段の内側の方が、気泡の発生、合一、破壊
等により発生した音が中子手段以外に伝わりにく
く、全体として外部に出る音が非常に小さくなる
ので望ましい態様である。また中子手段を構成す
る部材としては、実質上気泡を通さない多孔質な
ものであつてもよいが、洗浄のしやすさ等の点で
多孔質でない方が実用的である。中子手段の部材
の材質としては、その形状を保持すればいかなる
ものでもよいが、使用上ガラス、プラスチツク等
で透明のものが好ましく、重量、われにくさ等の
点で特にアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
スチロール樹脂、ポリプロピレン樹脂等の透明な
プラスチツクが好ましい。

また蓋手段と受器手段の取り付け法としては、
フランジ形式、ネジ形式、ワンタツチの嵌合形
式、その他いかなる取り付け形式によるものであ
つてもよいが、実用上、ネジ形式又はワンタツチ
型の嵌合形式等が好ましく、特にワンタツチ型の
嵌合形式が便利である。

本発明の酸素富化気体供給装置は、酸素富化気
体発生手段と酸素富化気体を使用に供する供給手
段に加えて、前記した如き加湿器を備えたもので
ある。その酸素富化気体発生手段は、空気よりも
酸素濃度の高められた酸素冨化空気又は主として
酸素からなる気体等であつて、室温での相対温度
が例えば約50％以下あるいは約30％以下といつた
温度の低い酸素富化気体の発生手段を言う。その
具体例としては、吸着型酸素富化器等の空気中か
ら酸素富化空気を得る酸素富化器、酸素ボンベ及
び液体酸素から酸素ガスを得る手段等の１種を用
いたもの又はそれらを組み合わせたものがあげら
れる。この様に本発明で言う酸素富化気体とは、
酸素富化空気や酸素ガス等を意味する。

吸着型酸素富化器は、酸素と窒素の吸着能の差
がある吸着剤を用いて空気中より酸素富化空気を
得るものがあるが、この際に水分も分離されて該
富化空気が乾燥される場合にさらに加湿器を付加
することが必要である。また酸素ボンベや液体酸
素等から酸素ガスを得る場合には、通常は加湿式
を設ける必要がある。

本発明の好ましい態様の１つである吸着型酸素
富化器の具体例として、窒素ガスを選択的に吸着
する吸着剤を充填した吸着剤床を１基以上、該吸
着剤床に加圧された大気を流入するためのコンプ
レツサー手段、及び該吸着剤床から酸素富化空気
を取り出し出口に流通せしめるための富化器内導
管手段を具備したものであつて、１基以上の吸着
床が単独で又は交互に加圧−減圧のサイクルを繰
り返すように運転される圧力変動吸着型酸素富化
器が挙げられる。尚いずれの酸素富化気体発生手
段においても、使用に供する酸素富化空気の流量
を調節する手段を有することが望ましい。

また本発明の装置は、酸素富化気体発生手段、
特に酸素富化器において、得られる酸素富化気体
の流出口等に加湿器をワンタツチ形式のジヨイン
トにより取りつけることによつてその加湿器の取
り付け取り外し容易にすることでさらに運転の操
作性をよくすることができる。

さらに本発明の装置における酸素富化気体を使
用に供する供給手段の形式はいかなるものであつ
てもよく、その具体例として鼻腔内に細いチユー
ブの先端を挿入する鼻カニユーラ形式やマスク形
式のものがあげられる。場合によつては、前記加
湿器の気体流出口に単にチユーブのみを取りつけ
ものあるいは、鼻カニユーラ等がさらに取りつけ
られるようなジヨイントを有したものであつても
よい。即ち本発明に言う供給手段とは、加湿器の
気体流出口に取り付けられた導管手段を言う。ま
た、本発明の装置は、酸素富化気体発生手段と加
湿器の間にも導管手段を備えており、場合によつ
ては、その導管手段を長くすることによつて加湿
器を使用者のすぐ近くに位置せしめ、加湿器の下
流の導管手段を短くすることによつてそこでの水
滴発生をさらに防止してもよい。

＜発明の効果＞ 本発明の加湿器によれば、長期間連続して適度
に加湿された気体が安定に得ることができる。さ
らに該加湿器によれば、加湿操作時において発生
する音が非常に小さく、騒音源となりにくい利点
がある。

また本発明の酸素富化気体供給装置によれば、
長期間連続して適度に加湿された酸素富化気体を
安定に得ることができ、その操作性もよく、安心
してその装置を使用できる。またその使用時にお
ける騒音も小さく、場合によつては使用者のすぐ
そばに加湿器をセツトして使用することもできる
利点がある。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明に係る加湿器の実施態様の１つを
模式的に断面図にして例示したものである。同図
では、１が受器手段、２が蓋手段、３が気体流入
口、４が気体流出口、７が中子手段である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 空気よりも酸素濃度が高められ且つ湿度の低
   い酸素富化気体の発生手段、酸素富化気体の流量
   を調節する流量調節手段、加湿器、及び加湿され
   た該酸素富化気体を使用に供する供給手段を備え
   た酸素富化気体供給装置において、該加湿器が、
   該酸素富化気体の流入口、加湿された該酸素富化
   気体の流出口、水を充填し得る受器手段、該受器
   手段に取りはずし可能な状態で気密的に固定され
   た蓋手段、及び該酸素富化気体の流入口に連結さ
   れ該受器手段内の下部において開口部を有した導
   管手段を備え、少なくとも該導管手段の開口部及
   びその上部の水充填領域を取り囲んだまつすぐな
   筒状側壁部を有し、且つ下部の少なくとも一部に
   開口部を有し、該受器手段により着脱自在な状態
   でその移動が実質上拘束された１個の中子手段を
   備えており、該加湿器内の上部空間が該中子手段
   によつて仕切られており、且つ該中子手段上部に
   開口部を設けて仕切られた各空間を連通せしめた
   ものであつて、該流量調節手段により調節された
   酸素富化気体の流量により必要に応じて該中子手
   段が取りはずされ得るものであることを特徴とす
   る医療用の酸素富化気体供給装置。