JPH0534412B2 - - Google Patents
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- JPH0534412B2 JPH0534412B2 JP3481989A JP3481989A JPH0534412B2 JP H0534412 B2 JPH0534412 B2 JP H0534412B2 JP 3481989 A JP3481989 A JP 3481989A JP 3481989 A JP3481989 A JP 3481989A JP H0534412 B2 JPH0534412 B2 JP H0534412B2
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- Powder Metallurgy (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
この発明は原出願:特願昭57−59270号(特開
昭58−177435号)において第2項の発明として開
示したことろの“内燃機関のバルブガイドに好適
な耐摩耗性および耐熱性のすぐれた焼結合金”の
製造方法に関するものである。 従来、内燃機関のバルブガイドには普通鋳鉄、
合金鋳鉄などが使用されていたが、鋳鉄の場合は
作業環境や量産性など種々問題があり、また価格
も漸次高くなる傾向にあるためにその対策として
焼結合金の適用が進められ、さきに本件出願人も
その一環として、特公昭55−34858号公報におい
て、鉄銅系の組成に錫を添加して焼結温度を下げ
ることによつて配合した黒鉛を遊離黒鉛の形で残
存させるとともに、リンの添加により鉄のパーラ
イト基地中にFe−P−Cの三元合金相を析出さ
せた焼結合金を開示した。この合金の特徴は、基
地中に分散する硬質の三元合金相と黒鉛の固体潤
滑作用との相乗効果により耐摩耗性の向上を図つ
た点にある。 しかしこの合金の開発以後、特に近年における
自動車エンジンの高出力志向に伴つて構成部材の
特性に対する要求が一段と厳しくなり、この合金
では耐久性が満足できない場合をみるに至つた。 原出願第2項の発明は、上述の事情に鑑み上記
先発明合金の組成・組織を改良してその対摩耗性
および耐熱性をより強化させたもので、即ち
Cr0.4〜2%、Mn0.1〜1%、Mo0.1〜1%、銅
および〔Cu+Sn〕のいずれか一方1〜10%(た
だしSn≦2%)、リン0.05〜1.5%、炭素1.5〜4
%、硫黄0.05〜1%および鉄残部の成分組成で、
Cr、Mn、Moを含む基地中に遊離黒鉛およびス
テダイト相を分散させた組織を骨子とするもので
ある。しかし乍らこの合金は、融点の高い成分の
合金化を図る一方で遊離黒鉛を残す必要があり、
また各成分の添加手段の如何は原料粉の流動性、
偏析や成形性に影響する関係にあるなど、製造条
件のデリケートな、工業的に安定生産の困難な部
類に属する。 この発明は、上記の組成・組織を呈する合金の
望ましい製造方法として開発されたものであり、
即ちこの発明の骨子は各成分を下記イ〜ホの合金
粉末(ただし炭素のみ単味粉末); イ:[Cr0.5〜2%、Mn0.1〜1% Mo0.1〜1%およびFe残部] の合金粉と ロ:銅粉またはCu−5〜20%Sn合金粉を1〜10
% ハ:Fe−10〜30%P合金粉またはCu−10〜30%
P合金粉を0.5〜5% ニ:Fe−25〜50%S合金粉またはCu−25〜50%
S合金粉を0.2〜2% ホ:黒鉛粉を1.5〜4%。 の形で、それぞれの所定の重量比に配合して加圧
成形後、保護雰囲気中980〜1100℃の温度で焼結
することにある。 この発明の方法によれば、後述の実施例が示す
ように耐摩耗性は従来材より遥かに優れ被削性も
遜色ない、バルブガイドに好適な焼結合金を得る
ことができる。 ここで実施例の説明に先立ち、上記成分の作用
効果および組成範囲について以下に述べる。 Cr…基材の耐酸化性および耐摩耗性を向上させ
るが0.4%未満ではその効果が少なく、一方2
%以上になると合金粉末の成形性、圧縮性を著
しく低下させる。 Mn…強度向上成分であるが0.1%未満ではその効
果が少なく、また1%以上では焼結時の酸化が
問題になる。 Mo…基材の高温域における耐摩耗性を向上させ
るが0.1%未満ではその効果が少なく、一方1
%以上に増量しても効果が伴わないうえに、
Crの場合と同じく合金粉の粉末特性を劣化さ
せる。 リン…… Fe−PまたはCu−P合金粉の形で添
加され、0.05%以上でステダイト相を生成して
耐摩耗性に寄与する。ただし過剰になると脆く
なりまた被削性が低下するため1.5以下を上限
とする。 CuおよびSn…銅は鉄基地を強化する反面その増
加につれて焼結時の膨張率が大きくなるので、
強度と寸法安定性の両立する範囲1〜10%が適
正である。錫は焼結温度を低下させて遊離黒鉛
の増加を図る成分であるが、過剰になると基材
の脆化を生じるので、その上限を合金全体の2
%以下とする。なお、錫の添加は合金粉による
方が配合の工数も少なく且つ少量の錫を均一に
分散できるため、市販の錫含有量5〜20%の青
銅粉の形で配合するのが適当である。 炭素…通常黒鉛粉の形で添加され、一部は鉄基地
の固溶強化およびステダイト相の生成を行な
い、一部は遊離黒鉛の形で残留して固体潤滑性
を付与するが、そのためには1.5以上の添加を
必要とする。一方、過剰の場合は基材の強度が
低下する上に、粉末成形時に偏析、流動性阻害
などの原因になるため、4%を上限とする。 S…一般にFe−S合金粉、好ましくはCu−S合
金粉の形で添加され、S量0.05%以上で基材の
被削性向上に寄与する成分である。ただし過剰
の、特に前者の形でのSは基材の強度低下を招
くので、S量の上限を1%とする。 本発明方法の実施において原料粉の成形および
焼結は粉末冶金の通常の方法によるが、焼結時の
脱炭を避けるため炉内雰囲気は浸炭性ガスが好ま
しい。焼結温度は980℃以下では炭素の鉄基地へ
の拡散が不十分で所望の組成が得られず、他方
1100℃を超えると遊離黒鉛が消失し、網目状セメ
ンタイトが組織中に析出するため、980〜1100℃
を適正温度とする。とくに好ましいのは、錫を添
加した低温焼結では1000℃前後、錫を省いた場合
は1080〜1090℃である。 このことと関連して、前記Cr、Mn、Moは
各々の単味粉末を鉄粉に添加してもこの温度では
基地中に十分拡散しないので、必ず鉄との合金粉
の形で用いなればならない。 なお上述した製造上の諸条件が妥当なことは、
以下の実施例(合金主体の記載ではあるが。)に
おける各成分の添加方法、添加量、焼結温度等と
得られた各試料の諸特性との関係から、帰納的に
説明されるものである。 実施例 先ず、Cr、Mn、Moの添加源として組成がFe
−0.8Cr−0.8Mn−0.2Moの合金粉とFe−1.9Cr−
0.2Mn−1.0Moの合金粉、リンの添加源としてFe
−25P;Cu−25Pの合金粉を、硫黄の添加源とし
てFe−32S;Cu−25Sの合金粉を、そのほかに電
解銅粉、Cu−10SnおよびCu−20Snの青銅粉、天
然黒鉛粉およびアトマイズ鉄粉を用意した。 次にこれらの中から選択した原料粉を第1表の
下欄に示す各試料所定の割合に配合し、潤滑剤と
してステアリン酸亜鉛を0.5%添加して5t/cm2の
圧力でバルブガイドおよび各種試験片所定の形状
に成形後、錫を含む試料3〜6は1000℃、それ以
外の各試料は1090℃の温度で30分間焼結した。 かくして得られた各試料の合金組成を第1表の
上欄に示す。ここに試料2および試料10が本願発
明に係る実施例である。試料3は前述の先発明
(特公昭55−34858号)に係る従来材で、材質特性
中の被削性についてはこの試料3を比較の基準と
している。なお試料1および試料4〜9は比較例
で、原出願の第1項の発明に係るものである。 次に、上記各試料の組成、機械的性質、被削性
および実機試験による耐摩耗性を比較した結果を
第1表の中欄に示す。ここに高温硬さは400℃に
おける測定値、被削性は長さ40mm内径7.4mmの円
筒状試料にリーマ加工を施して内径が8mmになる
までの所要時間を求め、それを試料3(従来材)
の場合を100とする指数で表示したものである。
従つて指数が小さいほど加工時間が短い、即ち被
削性が良好なことを示している。耐摩耗性は4気
筒1600c.c.のOHC型エンジンに各試料(バルブガ
イド)を装着し、連続400時間の耐久試験におけ
る内径の摩耗量で示した。 この結果で先ず目につくのはCr、Mn、Moの
耐摩耗性に対する影響で、試料3(従来材)と他
の試料との比較からわかるように、その添加によ
り摩耗量が半分以下に減少している。 また耐摩耗性と硬さとはほぼ相関しているが、
硬さに対する組成面の因子はリンの添加量(試料
8、1、9参照)とCr、MnおよびMoの総量
(試料1、4、7参照)で、なかでもインの影響
の方がやや大きいようである。 試料4と試料1、7の材質特性が互いに等しい
ことからわかるように、(錫の添加で)低温焼結
により遊離黒鉛を残したものと、高温焼結により
基材全体を強化したものとは、上述の特性試験の
範囲では有意差が現われない。従つて、Cu1〜10
%と、その一部を2%以下のSnで置換すること、
換言すれば、合金組成中における〔Cu〕1〜10
%と〔Cu+Sn〕1〜10%(ただしSn/〔Cu+
Sn〕≦0.2)とは、耐摩耗性に及ぼす作用効果の点
では同等なものと言うことができる。 しかし、適するエンジンが代われば機種毎にバ
ルブとの相性、摺動速度その他エンジンの用途性
格に基づく要因が大きく働き、固体潤滑効果が勝
る場合と基材全体の強化の方が事ましい場合とが
ある。従つて必要に応じ実車耐久などの試験を行
ない、機種毎により適切な方を選択している。 そして表の結果から明らかなように、本発明に
より得られる合金(試料2および10)は従来材
(試料3)に比べ強度および高温硬さが向上し、
殊に耐摩耗性が著しく向上(摩耗量が半減)して
いるにも拘らず、被削性は従来材と同等の水準を
保つている。 ちなみに原出願の第1項のもの(試料1)との
比較については、摩耗量は幾分か増加するものの
硫黄の効果で被削性が優つていることがわかる。
このように被削性は硫黄の添加で改善できるが耐
摩耗性の低下を伴うので、その添加量は要求特性
とのバランスを図りながら定められる。 以上詳述した通り、この発明によれば内燃機関
部品に必須の高温硬さおよび耐摩耗性の点で従来
材より明らかに優れ、過酷な条件に耐え得る材料
を容易に得ることができる。 そしてこの発明が、被削性をより重視する材料
を求められた場合にその製造上大きな意義を持つ
ことは言うまでもない。 【表】
昭58−177435号)において第2項の発明として開
示したことろの“内燃機関のバルブガイドに好適
な耐摩耗性および耐熱性のすぐれた焼結合金”の
製造方法に関するものである。 従来、内燃機関のバルブガイドには普通鋳鉄、
合金鋳鉄などが使用されていたが、鋳鉄の場合は
作業環境や量産性など種々問題があり、また価格
も漸次高くなる傾向にあるためにその対策として
焼結合金の適用が進められ、さきに本件出願人も
その一環として、特公昭55−34858号公報におい
て、鉄銅系の組成に錫を添加して焼結温度を下げ
ることによつて配合した黒鉛を遊離黒鉛の形で残
存させるとともに、リンの添加により鉄のパーラ
イト基地中にFe−P−Cの三元合金相を析出さ
せた焼結合金を開示した。この合金の特徴は、基
地中に分散する硬質の三元合金相と黒鉛の固体潤
滑作用との相乗効果により耐摩耗性の向上を図つ
た点にある。 しかしこの合金の開発以後、特に近年における
自動車エンジンの高出力志向に伴つて構成部材の
特性に対する要求が一段と厳しくなり、この合金
では耐久性が満足できない場合をみるに至つた。 原出願第2項の発明は、上述の事情に鑑み上記
先発明合金の組成・組織を改良してその対摩耗性
および耐熱性をより強化させたもので、即ち
Cr0.4〜2%、Mn0.1〜1%、Mo0.1〜1%、銅
および〔Cu+Sn〕のいずれか一方1〜10%(た
だしSn≦2%)、リン0.05〜1.5%、炭素1.5〜4
%、硫黄0.05〜1%および鉄残部の成分組成で、
Cr、Mn、Moを含む基地中に遊離黒鉛およびス
テダイト相を分散させた組織を骨子とするもので
ある。しかし乍らこの合金は、融点の高い成分の
合金化を図る一方で遊離黒鉛を残す必要があり、
また各成分の添加手段の如何は原料粉の流動性、
偏析や成形性に影響する関係にあるなど、製造条
件のデリケートな、工業的に安定生産の困難な部
類に属する。 この発明は、上記の組成・組織を呈する合金の
望ましい製造方法として開発されたものであり、
即ちこの発明の骨子は各成分を下記イ〜ホの合金
粉末(ただし炭素のみ単味粉末); イ:[Cr0.5〜2%、Mn0.1〜1% Mo0.1〜1%およびFe残部] の合金粉と ロ:銅粉またはCu−5〜20%Sn合金粉を1〜10
% ハ:Fe−10〜30%P合金粉またはCu−10〜30%
P合金粉を0.5〜5% ニ:Fe−25〜50%S合金粉またはCu−25〜50%
S合金粉を0.2〜2% ホ:黒鉛粉を1.5〜4%。 の形で、それぞれの所定の重量比に配合して加圧
成形後、保護雰囲気中980〜1100℃の温度で焼結
することにある。 この発明の方法によれば、後述の実施例が示す
ように耐摩耗性は従来材より遥かに優れ被削性も
遜色ない、バルブガイドに好適な焼結合金を得る
ことができる。 ここで実施例の説明に先立ち、上記成分の作用
効果および組成範囲について以下に述べる。 Cr…基材の耐酸化性および耐摩耗性を向上させ
るが0.4%未満ではその効果が少なく、一方2
%以上になると合金粉末の成形性、圧縮性を著
しく低下させる。 Mn…強度向上成分であるが0.1%未満ではその効
果が少なく、また1%以上では焼結時の酸化が
問題になる。 Mo…基材の高温域における耐摩耗性を向上させ
るが0.1%未満ではその効果が少なく、一方1
%以上に増量しても効果が伴わないうえに、
Crの場合と同じく合金粉の粉末特性を劣化さ
せる。 リン…… Fe−PまたはCu−P合金粉の形で添
加され、0.05%以上でステダイト相を生成して
耐摩耗性に寄与する。ただし過剰になると脆く
なりまた被削性が低下するため1.5以下を上限
とする。 CuおよびSn…銅は鉄基地を強化する反面その増
加につれて焼結時の膨張率が大きくなるので、
強度と寸法安定性の両立する範囲1〜10%が適
正である。錫は焼結温度を低下させて遊離黒鉛
の増加を図る成分であるが、過剰になると基材
の脆化を生じるので、その上限を合金全体の2
%以下とする。なお、錫の添加は合金粉による
方が配合の工数も少なく且つ少量の錫を均一に
分散できるため、市販の錫含有量5〜20%の青
銅粉の形で配合するのが適当である。 炭素…通常黒鉛粉の形で添加され、一部は鉄基地
の固溶強化およびステダイト相の生成を行な
い、一部は遊離黒鉛の形で残留して固体潤滑性
を付与するが、そのためには1.5以上の添加を
必要とする。一方、過剰の場合は基材の強度が
低下する上に、粉末成形時に偏析、流動性阻害
などの原因になるため、4%を上限とする。 S…一般にFe−S合金粉、好ましくはCu−S合
金粉の形で添加され、S量0.05%以上で基材の
被削性向上に寄与する成分である。ただし過剰
の、特に前者の形でのSは基材の強度低下を招
くので、S量の上限を1%とする。 本発明方法の実施において原料粉の成形および
焼結は粉末冶金の通常の方法によるが、焼結時の
脱炭を避けるため炉内雰囲気は浸炭性ガスが好ま
しい。焼結温度は980℃以下では炭素の鉄基地へ
の拡散が不十分で所望の組成が得られず、他方
1100℃を超えると遊離黒鉛が消失し、網目状セメ
ンタイトが組織中に析出するため、980〜1100℃
を適正温度とする。とくに好ましいのは、錫を添
加した低温焼結では1000℃前後、錫を省いた場合
は1080〜1090℃である。 このことと関連して、前記Cr、Mn、Moは
各々の単味粉末を鉄粉に添加してもこの温度では
基地中に十分拡散しないので、必ず鉄との合金粉
の形で用いなればならない。 なお上述した製造上の諸条件が妥当なことは、
以下の実施例(合金主体の記載ではあるが。)に
おける各成分の添加方法、添加量、焼結温度等と
得られた各試料の諸特性との関係から、帰納的に
説明されるものである。 実施例 先ず、Cr、Mn、Moの添加源として組成がFe
−0.8Cr−0.8Mn−0.2Moの合金粉とFe−1.9Cr−
0.2Mn−1.0Moの合金粉、リンの添加源としてFe
−25P;Cu−25Pの合金粉を、硫黄の添加源とし
てFe−32S;Cu−25Sの合金粉を、そのほかに電
解銅粉、Cu−10SnおよびCu−20Snの青銅粉、天
然黒鉛粉およびアトマイズ鉄粉を用意した。 次にこれらの中から選択した原料粉を第1表の
下欄に示す各試料所定の割合に配合し、潤滑剤と
してステアリン酸亜鉛を0.5%添加して5t/cm2の
圧力でバルブガイドおよび各種試験片所定の形状
に成形後、錫を含む試料3〜6は1000℃、それ以
外の各試料は1090℃の温度で30分間焼結した。 かくして得られた各試料の合金組成を第1表の
上欄に示す。ここに試料2および試料10が本願発
明に係る実施例である。試料3は前述の先発明
(特公昭55−34858号)に係る従来材で、材質特性
中の被削性についてはこの試料3を比較の基準と
している。なお試料1および試料4〜9は比較例
で、原出願の第1項の発明に係るものである。 次に、上記各試料の組成、機械的性質、被削性
および実機試験による耐摩耗性を比較した結果を
第1表の中欄に示す。ここに高温硬さは400℃に
おける測定値、被削性は長さ40mm内径7.4mmの円
筒状試料にリーマ加工を施して内径が8mmになる
までの所要時間を求め、それを試料3(従来材)
の場合を100とする指数で表示したものである。
従つて指数が小さいほど加工時間が短い、即ち被
削性が良好なことを示している。耐摩耗性は4気
筒1600c.c.のOHC型エンジンに各試料(バルブガ
イド)を装着し、連続400時間の耐久試験におけ
る内径の摩耗量で示した。 この結果で先ず目につくのはCr、Mn、Moの
耐摩耗性に対する影響で、試料3(従来材)と他
の試料との比較からわかるように、その添加によ
り摩耗量が半分以下に減少している。 また耐摩耗性と硬さとはほぼ相関しているが、
硬さに対する組成面の因子はリンの添加量(試料
8、1、9参照)とCr、MnおよびMoの総量
(試料1、4、7参照)で、なかでもインの影響
の方がやや大きいようである。 試料4と試料1、7の材質特性が互いに等しい
ことからわかるように、(錫の添加で)低温焼結
により遊離黒鉛を残したものと、高温焼結により
基材全体を強化したものとは、上述の特性試験の
範囲では有意差が現われない。従つて、Cu1〜10
%と、その一部を2%以下のSnで置換すること、
換言すれば、合金組成中における〔Cu〕1〜10
%と〔Cu+Sn〕1〜10%(ただしSn/〔Cu+
Sn〕≦0.2)とは、耐摩耗性に及ぼす作用効果の点
では同等なものと言うことができる。 しかし、適するエンジンが代われば機種毎にバ
ルブとの相性、摺動速度その他エンジンの用途性
格に基づく要因が大きく働き、固体潤滑効果が勝
る場合と基材全体の強化の方が事ましい場合とが
ある。従つて必要に応じ実車耐久などの試験を行
ない、機種毎により適切な方を選択している。 そして表の結果から明らかなように、本発明に
より得られる合金(試料2および10)は従来材
(試料3)に比べ強度および高温硬さが向上し、
殊に耐摩耗性が著しく向上(摩耗量が半減)して
いるにも拘らず、被削性は従来材と同等の水準を
保つている。 ちなみに原出願の第1項のもの(試料1)との
比較については、摩耗量は幾分か増加するものの
硫黄の効果で被削性が優つていることがわかる。
このように被削性は硫黄の添加で改善できるが耐
摩耗性の低下を伴うので、その添加量は要求特性
とのバランスを図りながら定められる。 以上詳述した通り、この発明によれば内燃機関
部品に必須の高温硬さおよび耐摩耗性の点で従来
材より明らかに優れ、過酷な条件に耐え得る材料
を容易に得ることができる。 そしてこの発明が、被削性をより重視する材料
を求められた場合にその製造上大きな意義を持つ
ことは言うまでもない。 【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鉄基地中に遊離黒鉛およびステダイト相が分
散した組織を呈し、且つ全体組織が重量比にて C1.5〜4%、Mn0.1〜1%、 Cr0.4〜2%、Mo0.1〜1%、 〔Cu;Cu+Su〕のいずれか一方1〜10%(ただ
しSn/〔Cu+Sn〕≦0.2)、 S0.05〜1%、P0.05〜1.5%、 および鉄残部。 である耐摩耗性鉄系焼結合金の製造において、下
記イ〜ホの粉末を所定の重量比に配合して加圧成
形し、保護雰囲気中980〜1100℃の温度で焼結す
ることを特徴とする製造方法。 イ:[Cr0.5〜2%、Mn0.1〜1% Mo0.1〜1%およびFe残部] の合金粉と ロ:銅粉またはCu−5〜20%Sn合金粉を1〜10
% ハ:Fe−10〜30%P合金粉またはCu−10〜30%
P合金粉を0.5〜5% ニ:Fe−25〜50%S合金粉またはCu−25〜50%
S合金粉を0.2〜2% ホ:黒鉛粉を1.5〜4%。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3481989A JPH0277552A (ja) | 1989-02-14 | 1989-02-14 | 耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3481989A JPH0277552A (ja) | 1989-02-14 | 1989-02-14 | 耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5927082A Division JPS58177435A (ja) | 1982-04-09 | 1982-04-09 | 耐摩耗性鉄系焼結合金およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0277552A JPH0277552A (ja) | 1990-03-16 |
JPH0534412B2 true JPH0534412B2 (ja) | 1993-05-24 |
Family
ID=12424811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3481989A Granted JPH0277552A (ja) | 1989-02-14 | 1989-02-14 | 耐摩耗性鉄系焼結合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0277552A (ja) |
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JP3340908B2 (ja) * | 1996-02-29 | 2002-11-05 | 大同メタル工業株式会社 | 焼結摺動部材及びその製造方法 |
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JP4649761B2 (ja) * | 2001-04-05 | 2011-03-16 | パナソニック株式会社 | 太陽熱利用装置 |
US20060032328A1 (en) * | 2004-07-15 | 2006-02-16 | Katsunao Chikahata | Sintered valve guide and manufacturing method thereof |
-
1989
- 1989-02-14 JP JP3481989A patent/JPH0277552A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0277552A (ja) | 1990-03-16 |
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