JPH05340898A - 蛍光x線分析装置 - Google Patents

蛍光x線分析装置

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JPH05340898A
JPH05340898A JP4153428A JP15342892A JPH05340898A JP H05340898 A JPH05340898 A JP H05340898A JP 4153428 A JP4153428 A JP 4153428A JP 15342892 A JP15342892 A JP 15342892A JP H05340898 A JPH05340898 A JP H05340898A
Authority
JP
Japan
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ray
detector
rays
fluorescent
dimensional
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Application number
JP4153428A
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English (en)
Inventor
Naoki Yamamoto
直樹 山本
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 LSIなどの基板表面に形成された薄膜層を
被測定対象物とし、X線や電子線の微細ビームを対象物
表面に照射することで励起放射される蛍光X線を、その
取り出し角を精度良く決定できるように検出して、薄膜
層の厚さや深さ方向元素濃度分布の決定、基板表面のう
ねりの解析などを、従来用いられているスリットを設け
る必要のない簡易な光学系及び装置構成により、非破壊
で可能とする蛍光X線分析装置を実現する。 【構成】 測定探針用の微細一次ビーム(7)照射系
(1、2)、面内移動が可能な試料台(4)、X線検出
素子の多数個を平面配列してなる2次元X線検出器
(5、10、12)、この検出器を前後、上下及び左右
方向の移動、さらに対象物を回転中心とする回転駆動も
可能に駆動させる駆動装置(9)、検出器の各設定位置
で検出された素子出力電荷量を2次元分布情報として記
憶する画像収集装置(13)、この記憶内容を読み出し
て所定の演算処理を行う情報処理装置(14)から構成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線ビームあるいは電
子ビームを被測定対象物の表面に照射し、そこから励起
放射された蛍光X線の空間分布より対象物の被照射部薄
層の層厚さ、深さ方向の元素濃度分布などを解析するに
好適な蛍光X線分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、該材料の深さ方向元素分布測定に
あたっては、2次イオン質量分析装置あるいはオージェ
電子分析装置が適用されてきた。しかしながら、これら
の分析法では、アルゴンや酸素及びセシウムなどの加速
イオンにより被測定材料を掘りながら深さ方向元素分布
を測定する。このため、LSIチップの不良個所分析な
どのように、微小部で、しかも試料ごとに発生個所が異
なり再現性が無い分析対象においては、一度測定すると
非測定個所が消失してしまう上記のような破壊分析は適
用が躊躇される。このため、対象物を壊さないで繰返し
測定可能な非破壊分析法が望まれている。
【0003】非破壊分析では、一次ビームが該対象物と
相互作用するだけで原子の配列や形状変化を伴わないこ
とが必要である。このような条件に対しては、光などの
電磁波を利用した分析法が適している。しかしながら被
測定対象は可視光などを透過しない試料の場合があり、
これらを考慮に入れると一次ビームに各種材料に対する
透過性の高いX線を利用する方法が最も上記の目的を達
成できる可能性を有している。一次X線を対象物表面の
全反射臨界角以下で照射し、表面付着微量元素から放射
される蛍光X線の輝度を検出することにより元素濃度を
評価する全反射蛍光X線分析が近年広く使われるように
なった。一方、深さ方向元素分析に対しては一次ビーム
を対象物表面の被測定薄層を透過する程度の比較的高角
度から照射し、その時該薄層から放射される蛍光X線の
輝度の取り出し角(検出角)依存性を解析することによ
り極薄層の膜厚など、元素分布を評価する方法が提案さ
れている。フィジカル レビュ レターズ、ボリューム
50、ナンバー3、1983、153−156頁(Phys
ical Review Letters, Vol.50, No.3, 1983, 153-15
6)、および、日本分析化学会主催;第25回X線分析
討論会講演要旨集、1988年、79−80頁、講演番
号42番、“蛍光X線全反射角の存在確認とその表面分
析への応用”(東北大学金属材料研究所 佐々木裕次、
広川吉之助)。また、同じ目的で一次ビームとして電子
線を応用した例が報告されている。ジャパニーズ ジャ
ーナル オブ アプライド フィジクス、ボリューム2
4、ナンバー6、1985、L387−L390頁(Ja
panease Journal of Applied Physics, Vol.24, No.6,
1985, L387-L390)。いずれの場合も蛍光X線検出には
X線のエネルギを測定できる半導体X線検出器(エス
エス デー:ソリッド ステイト ディテクタ、SS
D:Solid State Detector)を採用していた。この検出
器は単一検知子からなるホトダイオードであり、X線の
エネルギを測定する能力を有しているが空間的な位置情
報を知ることはできない。このため、上記の報告では図
2に示すように該検出器の前面にスリットを設けて蛍光
X線の空間的分布を測定する方法がとられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、深さ情報を知
る上で重要な蛍光X線取り出し臨界角(図3に示すよう
に、蛍光X線の空間分布で輝度が最も高くなる角度を臨
界角と呼ぶ)は、蛍光X線のエネルギや対象物の層厚さ
などできまり、X線の全反射臨界角に近い15ミリラジ
アン以下の小角度である。一方、LSIのような微小部
の測定には一次ビームの微細化が必要となる。このよう
な条件下では、先の図2のような系では一次ビームの照
射位置と取り出し角決定用のスリットの光軸を一致させ
るのが難しくなるうえ、各対象物の表面はかならずしも
試料台表面と平行でないため、対象物表面から決定する
必要のある測定蛍光X線の取り出し角を精度良く決定す
るのが難しいという問題を有していた。
【0005】本発明の目的は、上記の対象物表面から測
った蛍光X線の取り出し角を精度良く決定できるように
することにより、蛍光X線の空間輝度分布の取り出し角
依存性から被測定対象物表面近傍の極薄層の膜厚あるい
は元素の深さ方向分布を高精度で測定可能とする蛍光X
線分析装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1においては、X線ビームあるいは
電子ビームを対象物の測定面の上方向から照射する手段
を有し、上記測定面の被照射部より励起放出された蛍光
X線のエネルギと輝度の空間分布を、X線検出素子の多
数個を平面配列してなる2次元X線検出器により検出す
る構成の蛍光X線分析装置とする。
【0007】請求項2においては、請求項1の装置が、
さらにX線発生装置から放射されたX線ビームのうち特
定方向の特定領域のX線のみを通過させもしくは集束さ
せる微細X線ビーム形成手段を有する構成の蛍光X線分
析装置とする。
【0008】請求項3においては、請求項1あるいは2
の装置が2次元X線検出器を蛍光X線放射部方向に対し
て前後、上下及び左右方向に移動させると共に各位置に
おいて一次ビームを回転中心にその周りに回転駆動させ
る検出器駆動手段と、これらの空間任意位置で2次元X
線検出器からの検出電荷量の2次元分布情報を記憶する
画像収集手段と、これらの記憶内容を読み出して電荷量
を入射X線のエネルギと輝度に変換処理する情報処理手
段とを有する構成の蛍光X線分析装置とする。
【0009】請求項4においては、請求項3の情報処理
手段が、前記画像収集手段から読み出した情報を用いて
前記X線検出器の空間各位置でのX線のエネルギスペク
トルを解析し、その中から特定のエネルギを持つX線の
みを抽出し、かつそのエネルギを持つX線の空間輝度分
布を求め、さらにこれらのエネルギと輝度分布の情報を
前記画像収集手段内に読み出し可能に書き込む処理を行
う蛍光X線分析装置とする。
【0010】請求項5においては、請求項3の情報処理
手段が、X線検出器を蛍光X線放射部方向に対して前後
移動させた場合の前部設定位置及び後部設定位置での2
次元分布情報を前記画像収集手段から読み出して、その
後部位置における分布像の前部位置での像からの広が
り、検出器素子面内での移動量、検出器の前後移動方向
とその移動距離より蛍光X線放射位置を求める処理を行
う蛍光X線分析装置とする。
【0011】請求項6においては、請求項3の情報処理
手段が、X線検出器を一次ビームを回転中心にその周り
に回転させた場合の2次元分布情報を前記画像収集手段
から読み出して、各回転位置での2次元分布比較を行
い、回転に伴って発生、消滅するX線を、対象物測定面
の被照射部からの回折X線あるいは一次ビームの一部で
あると判定して2次元分布像から除去する処理を行う蛍
光X線分析装置とする。
【0012】請求項7においては、請求項3の装置が、
被測定対象物を搭載している試料台を水平方向に移動さ
せる試料台駆動手段を有し、前記画像収集手段は、一次
ビームと2次元X線検出器の配置を固定し試料台のみを
水平移動させたときの各移動位置での検出器出力を2次
元分布情報として記憶し、前記情報処理手段は、これら
の記憶内容を読み出して試料台の水平移動により生じる
2次元分布像の移動量より、被測定対象物表面の検出器
もしくは試料台表面に対する角度を決定する処理を行う
蛍光X線分析装置とする。
【0013】請求項8においては、請求項3の装置が、
平行な複数の一次ビーム群を間隔をあけ、かつ、各ビー
ムを相互に独立に照射可能に被測定対象物に照射する一
次ビーム発生源を有し、前記画像収集手段は、対象物と
2次元X線検出器の配置は固定で上記各一次ビームを照
射したときの検出器出力を2次元分布情報として記憶
し、前記情報処理手段は、これらの記憶内容を読み出し
て各一次ビーム照射による2次元分布像の移動量より、
被測定対象物表面に対する検出器の相対配置を決定する
処理を行う蛍光X線分析装置とする。
【0014】
【作用】蛍光X線の検出器として、X線検出素子の多数
個を2次元状に配列してなる、例えばチャージ カップ
ルド デバイス(CCD;Charge Coupled Device)を
検出素子とするCCDチップよりなる、2次元X線検出
器を用いることにより、各単位素子にX線が入射したと
きに発生する電子−正孔対の数は入射X線のエネルギと
比例関係にあるので、この関係を利用して発生電荷量よ
り入射X線のエネルギを求めることができ、このエネル
ギの時間的蓄積として輝度を求めることができ、したが
って、蛍光X線のエネルギと輝度の空間分布を求めるこ
とができる。
【0015】一次ビームを微細化して対象物の測定面に
照射させる構成としたことで、LSIチップなどの表面
微小部の不良個所も非破壊分析が可能となる。一次ビー
ムの微細化には、一次ビームが電子線の場合は、公知
の、電極板による静電偏向あるいは電磁コイルによる磁
界偏向法を用いることができ、一方、X線ビームの場合
は、本発明で例示するように、ガラスなどの管に入射し
たX線をその内壁で反射させ収束することにより、微細
ビームを得ることができる。なおこの管内壁反射法以外
に、湾曲型の鏡を複数個組合せて収束することによって
も微細X線ビームとすることができる。
【0016】上記した装置に、2次元X線検出器を蛍
光X線放射部方向に対して前後、上下及び左右方向に移
動させ、かつ、各位置において一次ビームを回転中心に
その周りに回転駆動させることのできる検出器駆動手
段、これらの各空間任意位置で2次元X線検出器から
の検出電荷量の2次元分布情報を記憶する画像収集手
段、その記憶内容を読み出して電荷量を入射X線のエ
ネルギと輝度に変換処理し、かつ、変換後の情報を再び
画像収集手段に書き込んだり、複数の分布情報相互間の
比較など、所定の処理を、予め設定された手順に従って
処理する情報処理手段、被測定対象物を搭載している
試料台をその面内で移動させる試料台駆動手段、平行
な複数の一次ビーム群を間隔をあけ、かつ、各ビームを
相互に独立に照射可能に被測定対象物に照射する一次ビ
ーム発生源、を付加する構成としたことで、以下に述べ
るような各種の測定が可能となる。
【0017】上記、、の構成により、2次元X線
検出器の前後移動各位置で測定されたX線の2次元分布
像の検出素子面内での移動量と方向を求め、これらを組
合せることにより、一次ビーム照射部と検出器の相対角
度を決定できる。
【0018】一次ビームと検出器は固定しておき、上記
あるいはの構成により、対象物表面の所望測定部と
その近接部とに一次ビームを照射し、所望部とその近接
部で得られた蛍光X線の2次元分布像の変位量を上記
、の構成により求めることにより、被測定対象物の
表面の分析が可能となる。
【0019】一次ビームと被測定対象物を固定してお
き、上記の検出器駆動手段により、検出器を一次ビー
ムを回転中心にその周りに回転させ、、の構成によ
り検出器の各設定回転位置で得られた2次元検出像のう
ちで変化した部分を、一次X線ビームの検出器への直接
入射成分あるいは回折X線として抽出し、2次元像より
除去できる。
【0020】
【実施例】
実施例1 本実施例による蛍光X線分析装置を図1に示す。X線源
として18kW電力を入力可能な回転対陰極X線発生装
置1を用いた。そのX線取り出し窓に近接してX線微細
ビームを形成するためのガラス細管2を取り付けた。管
はX線入射端開口径30μm、出射端径7μmそして長
さ50mmの寸法で回転放物面内壁形状を有する。分析
室3は0.05mPaまで排気可能であり、該ガラス
管、試料台4およびX線検出器5はこの真空室内に設置
した。ここで、ガラス細管2のX線出射端から試料台4
上の被測定対象物6までの距離を20mmとしたとき測
定位置で直径6μmの一次X線ビーム7が得られた。試
料台4と検出器5を図に示した方向8に移動あるいは回
転させるための検出器駆動装置9を設けた。検出素子に
はX線検出素子の多数個を平面配列してなるCCDチッ
プ10を用いた。本素子は通常の可視光用に設けられる
受光部前部のレンズ系や保護層をすべて除去し、被測定
物から放射された2次X線11が直接CCDチップ内の
各単位受光素子に照射される構造とした。また微弱なX
線を測定するにはチップの暗電流を低減する必要がある
ため該チップを熱伝導性の良い銅板に接触させ、その板
の裏面を液体窒素だめ12に浸積することにより、素子
の温度を200Kまで冷却可能とした。CCDチップの
半導体基板内に発生した電荷の2次元分布情報は、画像
収集装置13に取り込まれ記憶される。この情報は情報
処理装置14により読みだされ、電荷量をチップ内の各
受光素子位置での入射X線のエネルギと輝度に変換して
画像表示装置15に検出X線の輝度の2次元分布と各位
置でのエネルギとして表示できるようにした。また、こ
の変換された情報を再び画像収集装置の記憶領域に書き
込み、解析目的にあった各種データ処理に供せるように
した。
【0021】本装置を用いて試料基板16、例えばSi
基板上に銅を1nm、3nm、7nm、10nmそして
20nmの厚さに蒸着し、各試料から放射される銅の蛍
光X線17の取り出し角18を測定した。測定にあたっ
てはX線源としてMoをおよびWを用い、一次X線ビー
ムを試料台に対して直角方向から照射し、試料台面内で
照射部方向に移動可能なようにしたCCD2次元X線検
出器で蛍光X線の空間分布を測定した。使用したCCD
チップ内の単位素子は約10μm×10μmであり、X
線照射部とCCDチップ面までの距離は50mmから2
00mmまで可変である。したがって、X線空間分布面
分解能は約0.2ミリラジアン〜0.05ミリラジアン
である。
【0022】20nmの銅を蒸着した試料について、上
記距離を50mmと100mmの位置に設定したときの
銅の蛍光X線の輝度の取り出し角の依存性を測定した結
果、いずれも図3と同様な特性を示した。検出器の各位
置間でのCCD受光部面内での蛍光X線の最高輝度部の
位置の変化量と方向及び検出器の移動方向より、一次X
線の照射位置と銅蒸着表面から計った蛍光X線取り出し
臨界角を決定することができた。測定された臨界角は、
7.5ミリラジアンであった。この値は銅に銅の特性X
線を照射する場合の全反射臨界角の7.2ミリラジアン
と良く一致しており、先に示した文献からの報告にある
全反射臨界角と取り出し角臨界角が一致するという予測
と良く合致することが示された。このことにより、本発
明による取り出し角決定法は精度が高いことが確認され
た。なお上と同じ光学配置で、検出器のみを一次ビーム
を回転中心軸として回転し、上記と同じ方法で取り出し
臨界角を求めることにより、上記よりさらに精度良く試
料面内一次X線の照射位置と試料面の決定ができること
を確認した。さらに、この実験にあたっては図4に示す
ように試料台4の表面と被測定対象物6の間にくさび1
9を差し込み、対象物表面の検出器に対する角度を意図
的に変えて測定した。試料台と対象物表面との角度に関
係無く、蛍光X線の臨界取り出し角は上記に近い値が得
られ、任意の対象物表面でも本発明によれば精度良く取
り出し角を決定できることがわかった。
【0023】銅の蒸着膜厚が1nm、3nm、7nmそ
して10nmについても同様の測定を行った。その結
果、図5に示したように取り出し臨界角は膜厚に対し依
存性を示した。図の膜厚は原子間力顕微鏡により求めた
値を採用した。これより、あらかじめ膜厚と臨界角の関
係の曲線を求めておくことにより、極薄膜の非破壊膜厚
測定が可能であることを示した。ただし、1〜7nmの
極膜厚では膜自体が連続でないため、膜の島状部の平均
を膜厚として表示した。
【0024】以上のように、本実施例では一次X線の入
射角を試料面から90°に設定した。この配置では被測
定薄膜が上記のように薄くなると受光される蛍光X線の
輝度も非常に低くなる。輝度を高めるには一次X線の入
射角を低角度にして非照射領域を増大することが考えら
れる。しかしながら、対象物面内の照射域が数ミリメー
タに及ぶと、各位置からの放射蛍光X線の輝度分布が重
畳し、最高輝度を示す空間位置が広がるため、取り出し
角の決定精度が犠牲になる。したがって、一次X線の入
射角は要求される取り出し角精度と装置全体の感度から
決めなければならない。また低角入射では、入射と対面
方向に検出器を設置すると一次X線の一部や回折X線を
蛍光X線と同じに検出するため、これらが測定の妨げと
なる。これを避けるには、検出器を一次ビームを回転中
心軸として回転し、その回転とともに変化する一次X線
成分や回折X線を画像処理により除去するか、一次ビー
ム入射方向と対象物表面のなす面から外れた方向から蛍
光X線を測定すればよい。
【0025】実施例2 本実施例を図6により説明する。装置は実施例1とほぼ
同様の構成からなる。ただし、一次X線を主ビーム7と
50μmづつ離した相互に平行な副ビーム群20の複合
ビームで構成し、対象物表面にほぼ直角から照射した。
測定法は各ビームごとに単独で実施例1と同じ方法で行
った。各ビームごとに蛍光X線の取り出し臨界角を求
め、各ビームの照射位置と各臨界角との関係より対象物
表面のうねりと蒸着膜厚の分布を評価した。この結果、
一次X線照射部近傍では最高と最低で約20μmの差の
うねりが基板に存在することが確認された。膜厚は10
nmおよび20nm蒸着した対象物では測定領域面内で
均一であった。一方、7nm以下の膜厚の試料では照射
位置により得られる臨界角にばらつきが観察された。こ
れは蒸着膜が連続でないために生じたものである。以上
より、本実施例により本発明は被測定対象物の表面状態
を評価できることが確認された。
【0026】なお、実施例1と同様に単一ビームを用
い、試料台を面内で平行移動させ、各位置での臨界角測
定より、本実施例と同様の結果が得られることを確認し
た。ただし、試料台を精度良く移動させるのが難しく、
特に移動機構の機械的な遊びのため、データの再現性が
実施例2より劣ることがわかった。図1の23は試料台
4をその面内で平行移動させるための試料台駆動装置で
ある。
【0027】また、本実施例ではシリコン基板表面に種
々のエネルギでイオン打ち込みされたAsについても測
定した。打ち込みエネルギとAsの蛍光X線の取り出し
角は図7に示すように依存性があり、打ち込み層の深さ
の非破壊測定ができることを示している。また、As打
ち込み後の熱処理の有無によっても臨界角が変化し、か
つ、図3で示した臨界角より高角度における輝度の減衰
特性が熱処理の有無で異なることよりAsの濃度分布の
非破壊測定が可能であることがわかる。以上の測定は、
CCD検出器がフッ素までの蛍光X線の検出が可能であ
ったため、これ以上の重い元素に対して適用できた。
【0028】なお、実施例1および2ともに一次ビーム
として電子線を用いても同様の結果が得られた。ただ
し、実施例2では複数ビームとせず、偏向板により照射
位置を変えられるようにした。
【0029】
【発明の効果】従来の方法では、蛍光X線の取り出し角
は被測定対象物と検出器間に設けられた複数個のスリッ
トの設定位置より決めていた。この方法では一次ビーム
が微細な場合はスリットの光軸と照射位置を一致させる
のが難しく、精度良く角度を決定できないという難点が
あった。また単一スリットの場合は、試料台表面を基準
とした機械的位置読み取り機構により求められるスリッ
ト設定位置より蛍光X線の取り出し角度を決定するた
め、試料台表面と平行でない被測定対象物には適用でき
ないという欠点があった。これに対して、本発明によれ
ば、(1)蛍光X線取り出し臨界角を0.2ミリラジア
ン〜0.05ミリラジアンの高精度で決定できる、
(2)試料台表面と任意相対角度を持つ被測定対象物の
表面から取り出し角を決定できる、(3)試料台と検出
器間にスリットのような余分な物がないため、光学系お
よび装置全体を簡単にできる、(4)混在したエネルギ
を持つX線を検出した後、その中から所望の蛍光X線の
みを抽出してエネルギと輝度の空間分布を解析できるた
め、多層薄膜の各膜厚や元素分布を一回の測定で評価で
きる、(5)うねりや連続性など極薄膜の表面状態を解
析できる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成図。
【図2】従来装置の構成図。
【図3】蛍光X線の輝度とその取り出し角の関係図。
【図4】取り出し角検討用の実験図。
【図5】取り出し臨界角と銅膜厚の関係図。
【図6】本発明の第2の実施例の構成図。
【図7】取り出し角とAsイオン打ち込みエネルギの関
係図。
【符号の説明】
1…X線発生装置 2…微細X線ビーム形
成用ガラス管 3…分析室 4…試料台 5…X線検出器 6…被測定対象物 7…一次ビーム 8…検出器移動方向 9…検出器駆動装置 10…CCDチップ 11…2次X線 12…液体窒素だめ 13…画像収集装置 14…情報処理装置 15…画像表示装置 16…試料基板 17…蛍光X線 18…蛍光X線取り出
し角 19…くさび 20…副ビーム群 21…ソリット ステート ディテクタ 22…スリットまたはピンホール 23…試料台駆動装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線ビームあるいは電子ビームを対象物の
    測定面の上方向から照射する手段を有し、上記測定面の
    被照射部より励起放出された蛍光X線のエネルギと輝度
    の空間分布を、X線検出素子の多数個を平面配列してな
    る2次元X線検出器により検出することを特徴とする蛍
    光X線分析装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の装置は、X線発生装置から
    放射されたX線ビームのうち特定方向の特定領域のX線
    のみを通過させもしくは集束させる微細X線ビーム形成
    手段を有することを特徴とする蛍光X線分析装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の装置は、2次元X
    線検出器を蛍光X線放射部方向に対して前後、上下及び
    左右方向に移動させると共に各位置において一次ビーム
    を回転中心にその周りに回転駆動させる検出器駆動手段
    と、これらの空間任意位置で2次元X線検出器からの検
    出電荷量の2次元分布情報を記憶する画像収集手段と、
    これらの記憶内容を読み出して電荷量を入射X線のエネ
    ルギと輝度に変換処理する情報処理手段とを有すること
    を特徴とする蛍光X線分析装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の情報処理手段は、前記画像
    収集手段から読み出した情報を用いて前記X線検出器の
    空間各位置でのX線のエネルギスペクトルを解析し、そ
    の中から特定のエネルギを持つX線のみを抽出し、かつ
    そのエネルギを持つX線の空間輝度分布を求め、さらに
    これらのエネルギと輝度分布の情報を前記画像収集手段
    内に読み出し可能に書き込む処理を行うことを特徴とす
    る蛍光X線分析装置。
  5. 【請求項5】請求項3記載の情報処理手段は、X線検出
    器を蛍光X線放射部方向に対して前後移動させた場合の
    前部設定位置及び後部設定位置での2次元分布情報を前
    記画像収集手段から読み出して、その後部位置における
    分布像の前部位置での像からの広がり、検出器素子面内
    での移動量、検出器の前後移動方向とその移動距離より
    蛍光X線放射位置を求める処理を行うことを特徴とする
    蛍光X線分析装置。
  6. 【請求項6】請求項3記載の情報処理手段は、X線検出
    器を一次ビームを回転中心にその周りに回転させた場合
    の2次元分布情報を前記画像収集手段から読み出して、
    各回転位置での2次元分布比較を行い、回転に伴って発
    生、消滅するX線を、対象物測定面の被照射部からの回
    折X線あるいは一次ビームの一部であると判定して2次
    元分布像から除去する処理を行うことを特徴とする蛍光
    X線分析装置。
  7. 【請求項7】請求項3記載の装置は、被測定対象物を搭
    載している試料台を水平方向に移動させる試料台駆動手
    段を有し、前記画像収集手段は、一次ビームと2次元X
    線検出器の配置を固定し試料台のみを水平移動させたと
    きの各移動位置での検出器出力を2次元分布情報として
    記憶し、前記情報処理手段は、これらの記憶内容を読み
    出して試料台の水平移動により生じる2次元分布像の移
    動量より、被測定対象物表面の検出器もしくは試料台表
    面に対する角度を決定する処理を行うことを特徴とする
    蛍光X線分析装置。
  8. 【請求項8】請求項3記載の装置は、平行な複数の一次
    ビーム群を間隔をあけ、かつ、各ビームを相互に独立に
    照射可能に被測定対象物に照射する一次ビーム発生源を
    有し、前記画像収集手段は、対象物と2次元X線検出器
    の配置は固定で上記各一次ビームを照射したときの検出
    器出力を2次元分布情報として記憶し、前記情報処理手
    段は、これらの記憶内容を読み出して各一次ビーム照射
    による2次元分布像の移動量より、被測定対象物表面に
    対する検出器の相対配置を決定する処理を行うことを特
    徴とする蛍光X線分析装置。
JP4153428A 1992-06-12 1992-06-12 蛍光x線分析装置 Pending JPH05340898A (ja)

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