JPH0533811U - 浄水器用濾過布 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 給水時と給水を停止した際における浄水器の
カートリッジケース内の濾過布表面からの粉末活性炭の
層剥離を防止する。 【構成】 カートリッジケース内に装着される長方形状
の袋状濾過布を不織布で形成してその一方の面側に毛羽
立てを行い、毛羽(1) を有する側を表面側として吐出管
用穴(3) を備えた濾過布(4) となし、給水濾過作用時に
濾過布(4) の表面に形成された粉末活性炭の層が給水停
止後においてこの毛羽で保持されるように構成した。 【効果】 給水中に濾過布の表面に付着して形成された
粉末活性炭の層は、給水を停止しても毛羽による粉末活
性炭の保持作用によって脱落することなく残留させるこ
とができ、次の給水時に直ちに浄水作用を開始すること
ができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、浄水器に用いる濾過布、殊に飲料水の浄水器に内装されるカートリ ッジ用に好適な濾過布に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、水道水から美味しい水を得るために浄水器が用いられるようになり、各 種の浄水器が市販されるに至っている。そして浄水器用の濾過布としては、特開 平１−３０４０９５号公報に記載されているような繊維状活性炭をフェルト状に したもの、あるいは実開昭５８−１４６９５号公報にみられるように帯状の炭素 繊維不織布が一般的に広く使用されている。このような繊維状活性炭や炭素繊維 不織布は、浄水性能の点においては問題はないが、浄水中に脱落繊維が混入する 恐れがある。この懸念は不織布繊維間を接着することによって改善することがで きるが、飲料水に用いる場合の接着剤の選定が難しく、むしろ使用しない方が好 ましい。

【０００３】 このことから、近年においては例えば実開平２−１０８７０５号公報に記載さ れているように、吐出管を備えた袋状の濾過布を、給水管を備えたカートリッジ ケース内に装入し、カートリッジケース内の濾過布の外側に粉末活性炭を納入し てなるカートリッジを用いた浄水器が好んで使用されるに至っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが上記のような浄水用のカートリッジを備えた浄水器においては、浄水 作用中、給水された水の流れによって濾過布の表面に粉末活性炭が付着して活性 炭の層が形成されるが、給水が停止されると層状となっていた粉末活性炭の一部 が剥離されて脱落する。そして次に給水されると再び粉末活性炭層が形成される が、使用水量即ち給水量が少ない場合には粉末活性炭層の形成が不十分となって 所期の浄水効果を得ることが困難である。 本考案は、上記不都合を改善することができる浄水器用の濾過布を提供するも のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は濾過布の表面に毛羽を形成し、この毛羽により粉末活性炭の層を残留 させることによって上記不都合を改善した。 即ち本考案による濾過布は、上記実開平２−１０８７０号公報にみられるよう に、長方形の袋状をなし、その長辺側の適所に浄水の吐出管用の穴が設けられて なる浄水器用濾過布において、濾過布を不織布で形成し、その濾過布の表面とな る側に毛羽立て加工を施して無数の毛羽で覆われた面となし、しかるのち袋状の 濾過布となしたものである。

【０００６】 本考案の濾過布にてきようする不織布の繊維としては、ポリオレフィン、ポリ エステル、ポリアミド等からなる単一、複合繊維と、特に限定をするものではな いが、濾過精度の点からいくと分割型複合繊維を分割させ、極細繊維としたもの が好ましく、更に残留塩素を吸着可能なポリアミドを用いることが好ましい。

【０００７】 上記繊維をカード法、クロスレイヤー法、ランダムウェバー法、湿式抄造法、 ニードルパンチ法、高圧液体流法等により不織布となすが、分割型複合繊維を用 いていて分割不十分の場合は、更に超音波法、ニードルパンチ法、高圧液体流法 により分割を促進させる。この時、不織布の目付は１００〜２００g/m²、好まし くは１２０〜１５０g/m²である。

【０００８】 そして上記不織布を一方が繊維成分（複合繊維の場合は低融点成分）の軟化点 以上、融点未満の温度を有す加熱ロールと常温ロールからなるロール加工機で処 理する。この時、常温ロールは彫刻を有するエンボスロールであってもよい。ロ ール加工機の線圧は２０〜６０kg/cm が好ましい。上記ロール加工機で不織布を 処理することにより、加熱ロール側を通過した面が平滑化されて濾過精度が向上 する。

【０００９】 次に不織布の常温ロール側を通過した面にバフィング処理を施すことにより毛 羽立てを行う。このバフィング処理手段としては、不織布を速度３〜５m/min で もって移動させ、回転数５００〜１０００r.p.m.、１００〜５００メッシュのサ ンドペーパーを表面に備えた摩擦ロールを用いるとよい。そしてバフィング処理 したこの不織布を長方形に裁断し、平滑な面を内側にして二つ折り、あるいは二 枚重ねした後、周辺をヒートシーラーによりヒートシールして長方形の袋状濾過 布とする。この長方形の袋状濾過布の長方形の一方の長辺の適所、好ましくは中 央部に浄水用の吐出管が挿入できる穴をカッターあるいはヒートカッターで形成 して浄水器用濾過布となす。この吐出管用穴は袋状不織布となす前に設けてもよ い。また上記濾過布の浄水通過性と形態保持のために、プラスチック製の可撓性 網状シートを内装し、吐出管に保持させることが望ましい。

【００１０】

【作用】

本考案の浄水器用濾過布をカートリッジケースに装着し、ケース内に粉末活性 炭を入れて浄水器にセットして給水すると、水の流動によって濾過布の表面に粉 末活性炭の層が形成され、その際粉末活性炭の一部が毛羽間に入り込む。その後 給水を停止しても毛羽によって粉末活性炭が保持され、濾過布の表面に粉末活性 炭の層として残留し、次の給水時の浄水作用を奏する。そしてこの層は水道水中 の錆等の異物などの通過を効果的に阻止する。

【００１１】

【実施例】

繊維断面においてポリエステルとポリエチレンの２成分が交互に配してなる１ ６分割の放射線状型複合繊維を溶融押出紡糸し、延伸後、切断することにより、 太さ３デニール、長さ５１mmの分割型複合繊維を得た。この繊維を１００重量％ 用いてカード機によりカードウェッブとし、高圧水流処理（ウォーターニードル パンチング）して繊維の分割と交絡を行い、目付１５０g/m²の極細繊維不織布と なした。

【００１２】 この不織布を１１０℃の加熱ロールと常温の平ロールからなるロール加工機で 線圧３０kg/cm 、速度３m/min で処理し、加熱ロールの通過側のポリエチレン成 分を軟化溶融してその表面を平滑化した。次に表面平滑化側とは反対の側を速度 ４m/min 、回転数７００r.p.m.、２５０メッシュのサンドペーパーロールでバフ ィング処理を行い、その加工面全面に毛羽を形成した。

【００１３】 この不織布を３００mm×５００mmの方形に切断した後、図１に示しているよう に、毛羽(1) が外側になるように二つ折りにし、１５０mm×５００mmの長方形と したのち、１５０mm×５００mmの長方形不織布の３辺をヒートシーラーによりヒ ートシール(2) し、袋状とした後、ヒートシール(2) されていない辺の中央部を ヒートカッターにより約１０mm切断し、吐出管用穴(3) を設けることにより本考 案の浄水器用濾過布(4) となしたものである。

【００１４】 上記濾過布を浄水器に好ましく適用した態様を図２に示している。即ち一方の 面に毛羽(1) が形成された不織布を上記同様に３００mm×５００mmの長方形に切 断した後、毛羽(1) が外側になるように二つ折りにし、まず折り目線側の辺の中 央部をヒートカッターにより約１０mm切断して吐出管挿入用穴(3) を設け、この 孔(3) に下部にスリット(11)を備えた吐出管(10)を挿入してプラスチック製のネ ット状スペーサーシート(12)を上記スリット(11)に狭持させて不織布間に内装し 、しかるのちヒートシーラーにより３辺をヒートシール(2) し、さらに上記孔(3 ) の周縁を吐出管(10)に熱接着(5) して、図２に示したような１５０mm×５００ mmの長方形不織布の袋状の濾過布(4) と吐出管(10)およびスペーサーシート(12) とからなるフィルター(13)となして使用するとよい。

【００１５】 そして図３および図４に示しているように、上記フィルター(13)を浄水器(20) のカートリッジケース(21)内にジグザグに折り曲げて装入したのちカートリッジ ケース(21)内に２０μｍの粉末活性炭(22)を１７０ｇ（カートリッジケースの容 量の１／３程度）を入れ、蓋をして浄水器(20)内へ装着した。

【００１６】 この浄水器(20)の給水管(23)を水道蛇口に接合し給水すると、水道水は給水管 (23)を通って粉末活性炭(22)と接触し、粉末活性炭(22)を拡散させながら拡散し た粉末活性炭(22)とともに濾過布(4) 側に移動し、水流作用によつて粉末活性炭 は濾過布(4) の表面に付着して層を形成し、水は粉末活性炭(22)で浄化されて濾 過布(4) の袋部内に入り、吐出管(10)を通って吐出管(24)から浄水として吐出さ れる。 このようにして約５分間使用したのち給水をとめ、浄水器(20)を外し解体して カートリッジケース(21)の蓋を開け、フィルター(13)を観察したところ、濾過布 (4) の全表面には粉末活性炭(22)の層が残存し、濾過布(4) 表面の毛羽(1) の効 果が確認された。

【００１７】

【考案の効果】

このように本考案の濾過布は長方形の袋状をなし、その長辺側の適所に浄水の 吐出管用の穴が設けられてなる浄水器用濾過布において、濾過布(4) が不織布で 形成され、その濾過布(4) の表面側に毛羽立て加工が施されて無数の毛羽(1) を 有しているから、給水を停止しても濾過布(4) の表面から粉末活性炭(22)の層が 脱落することなく残留し、またこの層は水流等で移動することもなく、次の給水 時に直ちに浄水作用を開始することができる。そのうえ濾過布(4) が不織布であ り袋状の成形も容易であるから安価で扱い易く、家庭用浄水器におけるカートリ ッジケースの内装用の濾過布として好適となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の浄水器用濾過布の部分破断斜視図であ
る。

【図２】図１の濾過布の使用状態を例示した部分破断正
面図である。

【図３】本考案の濾過布を内装した浄水器の内部構造を
示した断面側面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１ 毛羽 ２ ヒートシール ３ 吐出管用穴 ４ 濾過布 １０ 吐出管 １２ スペーサーネット １３ フィルター

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長方形の袋状をなし、その長辺側の適所
   に浄水の吐出管用の穴が設けられてなる浄水器用濾過布
   において、濾過布が不織布で形成され、その濾過布の表
   面側に毛羽立て加工が施されていることを特徴とする浄
   水器用濾過布。