JPH05334881A - 相転移型記録媒体及び相転移型記録方法 - Google Patents

相転移型記録媒体及び相転移型記録方法

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JPH05334881A
JPH05334881A JP4139368A JP13936892A JPH05334881A JP H05334881 A JPH05334881 A JP H05334881A JP 4139368 A JP4139368 A JP 4139368A JP 13936892 A JP13936892 A JP 13936892A JP H05334881 A JPH05334881 A JP H05334881A
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recording
layer
phase transition
semiconductor
phase
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JP4139368A
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Toshiyuki Samejima
俊之 鮫島
Masateru Hara
昌輝 原
Naoki Sano
直樹 佐野
Paru Gosain Daramu
パル ゴサイン ダラム
Setsuo Usui
節夫 碓井
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録の安定化がはかられ、且つ低コストでS
/N比の良好な記録媒体において、多値又は多ビット記
録を可能にすることを目的とする。 【構成】 基体1上に、IV族元素を主成分とする半導体
層2、4と、これら半導体層2、4より高融点の耐熱性
を有する保護層3とを交互に積層し、多層構成として設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、相転移、特に結晶質─
非晶質(アモルファス)間の相転移を利用する相転移型
記録媒体及び相転移型記録方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】レーザビームにより記録を行う光記録材
料として、結晶質─非晶質間の相転移を利用する光相変
化材料がある。その代表的な材料としては、例えばTe
をベースとしたカルコゲナイド系の多元合金(Te−A
s─Ge、TeOx ─Sn─Ge、Te─Se─Sb
等)等がある。
【0003】また、特開平1─258242号公報に
は、結晶質─非晶質間の相転移により記録消去を行う記
録層を有する相転移型記録媒体において、記録層に隣接
してこの記録層より熱伝導率の大きい材料から成る冷却
層を全面に設け、この冷却層によって記録層全体を急冷
することにより、安定な高速記録・消去の達成を図った
記録媒体が提案されている。
【0004】しかしながらこのようなカルコゲナイド系
の多元合金は、一般に結晶質─非晶質間の相転移の転移
温度が低い。例えばTe─As─Geでは120℃、T
eO x ─Sn─Geでは130℃である。このように転
移温度が低いことは、書き込みや消去を容易に行うこと
ができる点では有利であるが、記録の安定性の点では好
ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方本出願人は先に特
開平3−208333号公報において、非晶質または多
結晶のSi薄膜またはGe薄膜にレーザビームを照射し
て溶融し、その後固化して非晶質化することにより、緻
密で均質な非晶質Si薄膜又は非晶質Ge薄膜を形成す
る方法を提案した。
【0006】そして更に、上述したような記録の安定性
の問題に鑑みて、本出願人は特願平3─201356号
出願において、基板上にIV族元素を主成分とする半導体
薄膜から成る記録層を設け、この記録層に厚さの大なる
部分と小なる部分とを設け、比較的小なる厚さを有する
部分にレーザビームを照射してこの部分を非晶質化する
ことにより、非晶質化されていない部分との光学的特性
の差によって例えば反射率の違いによって記録を行うよ
うにした相転移型の光記録媒体を提案した。
【0007】この光記録媒体においては、その記録層の
材料としてIV族元素を主成分とする半導体薄膜を用いる
ことから、融点が高く、結晶質─非晶質間の相転移の転
移温度もカルコゲナイド系の多元合金に比べて本質的に
高く、記録の安定化をはかることができる。またこの場
合、カルコゲナイド系多元合金のように組成制御を行う
必要がないので製造が容易であるばかりでなく、低コス
トである。更に、この記録媒体は記録層の材料としてカ
ルコゲナイド系の多元合金を用いた媒体に比べて信号対
雑音比(S/N比)も高いという利点を有している。
【0008】しかしながらこの光記録媒体においては、
多値記録或いは多ビット記録を行うことができない。本
発明は、このような記録の安定化がはかられ、且つ低コ
ストでS/N比の良好な記録媒体において、多値又は多
ビット記録を可能にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は相転移型記録媒
体は、その一例の略線的拡大断面図を図1に示すよう
に、基体1上に、IV族元素を主成分とする半導体層2、
4と、これら半導体層2、4より高融点の耐熱性を有す
る保護層3とを交互に積層し、多層構成として設ける。
【0010】また本発明相転移型記録方法は、その一例
の説明図を図2A〜Cに示すように、基体1上に、IV族
元素を主成分とする半導体層2、4と、この半導体層
2、4より高融点の耐熱性を有する保護層3とを交互に
積層して多層構成として成る相転移型記録媒体に対し、
少なくとも1ステップ以上の段階のエネルギーを有する
エネルギービームを例えば図2Aにおいて矢印Lで示す
ように照射して、半導体層2及び4の少なくとも一層以
上、例えば図2Cに示すように、第1及び第2の半導体
層2及び4に相転移を生じさせることにより記録を行
う。
【0011】
【作用】上述したように、本発明相転移型記録媒体は、
IV族元素を主成分とする半導体層2、4をこれに比し高
融点の耐熱性を有する保護層3とを介して交互に積層し
て多層構成とするものであり、このような多層構成の膜
に対し、1ステップ以上の段階のエネルギーを有するエ
ネルギービームを照射することによって、多層構成とさ
れた各半導体層2、4の相転移が可能であることが本発
明者等の鋭意考察研究の結果判明した。
【0012】図3に半導体層、例えば水素化シリコン薄
膜(a−Si:H)単層に対してXeClエキシマレー
ザ光を照射した場合の、その照射エネルギー密度と溶融
後の固相化の膜厚に対する状態図、いわゆる相図を示
す。図3において曲線31は、各膜厚に対して非晶質状
態の半導体薄膜が溶融した後、固相化によって表面が滑
らかで良質な結晶となるしきい値エネルギー密度を示
す。即ちこの場合、半導体層に対し120〜150mJ
/cm2 程度以下のエネルギー密度のレーザ照射を施す
場合は半導体層は何ら相変化を生じないが、120〜1
50mJ/cm2 を越える曲線31以上のエネルギー密
度による照射を行う領域Aに相当する状態では、溶融後
の相は表面が滑らかで良質な結晶質となる。
【0013】また曲線33は、溶融─固相化後の半導体
薄膜の膜質が結晶質となるも、その表面が粗面化するし
きい値エネルギー密度を示し、この曲線33を越える領
域Cの状態においては、固相化後の半導体薄膜はいわゆ
る多結晶の状態となり、電気的特性に劣る半導体薄膜と
なる。
【0014】そして曲線32は、溶融─固相化後の半導
体薄膜が結晶質となるか非晶質となるかのしきい値を示
す。即ち曲線32以上で曲線33より下の領域Bに相当
するエネルギー密度のレーザを照射する場合は、その固
相化後の半導体薄膜は良質の滑らかな膜質となるものの
非晶質半導体薄膜となる。また一旦この領域Bとなる条
件で溶融─固相化が行われても、再び領域Aとなる条件
で溶融─固相化を行うときは、領域Aの相即ち滑らかな
結晶化がなされる。
【0015】このようなSi半導体薄膜単層の相転移態
様については、例えばT.Sameshima,S.Usuiによる“J.Ap
pl.Phys. 70(3) 1 August 1991, p1261-1288”に報告さ
れている。またこのような相転移は、Si半導体薄膜の
みならず、Ge半導体薄膜、SiGe化合物半導体薄膜
等においても同様に起こることが例えば本出願人の出願
に係る特願平3─201536号出願において述べられ
ている。
【0016】そして本発明者等の研究によれば、このよ
うな半導体薄膜を保護層を介して多層構成とした場合に
おいても同様に各相を個別に相転移、即ち非晶質─結晶
質の相転移を可逆に行うことができることが判明した。
即ち上述した図1に示す例においては、結晶化及び非晶
質化するしきい値エネルギー密度として、後段の実施例
に詳細に説明するように、上下の半導体薄膜2及び4を
共に非晶質化する場合とか、上層のみ非晶質化する場合
または結晶質化する場合等に応じてそれぞれ1ステップ
以上の多段階のエネルギー密度を選定することにより、
各層を異なった相状態とすることができる。例えば図1
に示す2層構成とする場合は、上下層共に非晶質(a2
/a1 )か結晶質(c2 /c1 )、或いは上下層が異な
る状態(a2 /c1 又はc2 /a1 )の4通りの相状態
とすることができる。
【0017】半導体薄膜の相状態が変化することによっ
て、その光学定数(屈折率、消衰定数)は大きく異な
り、各層の相状態に対応する記録を行うことによって、
例えば反射率の変化によって多値記録(多ビット記録)
の記録再生が可能となる。
【0018】従って、このような本発明記録媒体及びこ
れを用いた記録方法によれば、カルコゲナイド系多元合
金等の比較的高価な材料を用いることなく、安価なS
i、Ge等の材料を用いて構成することができて、記録
の安定化をはかると共に多値記録が可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明記録媒体及びその記録方法の一
例を詳細に説明する。この例においては、IV族元素を主
成分とする半導体材料としてSiを用いて、またこれよ
り高融点の耐熱性を有する保護層材料としてSiO2
用いた場合を示す。
【0020】実施例1 先ず、図1に示すように、半導体層を2層構成とした相
転移型記録媒体を作成した。この例においてはガラスよ
り成る基板1の上に、CVD法(化学的気相成長法)等
により非晶質シリコン(a−Si)層を厚さt1 を10
nmとして被着した後XeClエキシマレーザ等のレー
ザビームを照射して結晶化して第1の半導体層2を形成
した。そしてこの上にSiO2 等より成る保護層3を厚
さt2 を10nmとして被着して、更にCVD法等によ
りa−Si層を厚さt3 を10nmとして被着した後レ
ーザビームを照射して結晶化を行って第2の半導体層4
を形成し、半導体層が保護層を介して積層された2層構
成の相転移型記録媒体を構成した。
【0021】このような2層構成の媒体に対する記録方
法としては、1ステップ以上、この場合3段階のエネル
ギーを有するエネルギービームを照射することにより、
半導体層2及び4の少なくとも一層以上に相転移を生じ
させることにより記録を行うことができる。以下、図面
を参照して記録方法の一例を詳細に説明する。
【0022】先ず第1及び第2の半導体層2及び4の両
層を非晶質状態とする場合を説明する。この場合、図2
Aにおいて矢印Lで示すように、比較的高い例えば19
4mJ/cm2 のエネルギー密度Ehを有するXeCl
エキシマレーザ(波長308nm)を、パルス幅30n
sとして照射する。このとき、両半導体層2及び4は図
2Bにおいて点描を付して示すように、一旦溶融状態と
なり、その後図2Cに示すように、両層共に非晶質状態
となる。これは、前述の図3において説明した単層の相
図において、両半導体層2及び4が共に、領域Bのエネ
ルギー密度のレーザが照射された状態に相当する。つま
り、この場合両半導体層2及び4は共に、表面が滑らか
な非晶質状態となる。
【0023】次に図4A〜Cを参照して、上層の第2の
半導体層4のみを非晶質化する場合を説明する。先ず図
4Aに示すように、上述のエネルギー密度に比し低い例
えば181mJ/cm2 のエネルギー密度Em(Em<
Eh)を有するXeClエキシマレーザを同様にパルス
幅30nsとして照射する。この場合、図4Bに示すよ
うに上層の第2の半導体層4のみが、点描を付して示す
ように溶融状態となり、その後図4Cに示すように固相
化して非晶質状態となる。この場合、上層の第2の半導
体層4のみが、図3において領域Bのエネルギー密度の
レーザが照射されて表面が滑らかな非晶質状態となる。
【0024】次に図5A〜Cを参照して、下層の第1の
半導体層2のみを非晶質化する場合を説明する。先ずこ
の場合図2Cに示す上下両層2及び4が非晶質状態とな
るように比較的高いエネルギー密度Ehのレーザビーム
を照射した後、図5Aにおいて矢印Lで示すように、更
に低い例えば160mJ/cm2 程度のエネルギー密度
El(El<Em<Eh)を有するXeClエキシマレ
ーザを、この場合においてもパルス幅30nsとして照
射する。このとき、図5Bに示すように、上層の第2の
半導体層4が一旦溶融するが、この場合、この第2の半
導体層4のみが図3において領域Aのエネルギー密度の
レーザを照射した状態となり、図5Cに示すように下層
の第1の半導体層2は非晶質状態のまま、上層の第2の
半導体層4が結晶化されることとなる。
【0025】図6A〜Dを参照して、上下両半導体層2
及び4が共に結晶質状態に戻される場合を示す。この場
合、例えば図6Aに示すように上下両層2及び4が非晶
質状態の記録媒体に対し、181mJ/cm2 程度のエ
ネルギー密度Emを有するXeClエキシマレーザをパ
ルス幅30nsとして照射し、一旦下層の第1の半導体
層のみを結晶質状態とした後、図6Cに示すように、更
に低い160mJ/cm2 程度のエネルギー密度Elの
XeClエキシマレーザを同様にパルス幅30nsとし
て照射して、図6Dに示すように上層の第2の半導体層
4をも結晶質状態とする。
【0026】このようにして、本発明記録方法により、
上下2層構成の半導体層を有する相転移型記録媒体に対
し、4つの異なる相状態を記録することができる。そし
て上述の図2C、図4C、図5C及び図6Dに示す各相
状態においては、それぞれこれらに対しレーザ光を照射
したときの反射率が大きくことなるため、その変化によ
って、記録内容を読み出すことができる。
【0027】尚、上述の相転移において照射レーザのエ
ネルギー密度が350mJ/cm2を越える場合は、少
なくとも上層の第2の半導体層4が、その表面が粗面化
された結晶状態となってしまい、また150mJ/cm
2 未満の場合は、両層共に相変化を生じない。従って、
この場合150mJ/cm2 以上で350mJ/cm 2
未満の3段階のエネルギー密度を選定して、相変化を行
うことができる。しかしながらそのエネルギー密度の値
は上述の実施例に限られることなく、ある程度の増減範
囲をもって選定することができる。
【0028】またこの実施例1においては、Si層が多
層構成とされているため、全体としてのエネルギービー
ムの反射率が変化し、単層構成の場合に比しエネルギー
ビームを吸収し易くなっている。このため、図3におい
て説明したしきい値エネルギーに比して、上述のしきい
値エネルギーの値が全体的に低減化していることがわか
る。
【0029】実施例2 次に、図7に示すように、第1〜第3の半導体層2、4
及び6が保護層3及び5を介して積層されて3層構成と
された相転移型記録媒体及びその記録方法の一例を示
す。この場合においても、ガラス等より成る基板1上
に、順次CVD法等によりa−Si半導体層を被着した
後、レーザビームを照射して結晶化して第1の半導体層
2を形成した後、SiO2 等を被着して保護層3を形成
する。同様に、CVD法等によりa−Si半導体層を被
着した後レーザを照射して結晶化して第2の半導体層4
を形成した後、SiO2 等より成る保護層5を形成し、
更にこの上にCVD法等によりa−Si半導体層を被着
してレーザ照射を行って結晶化して第3の半導体層6を
形成し、3層構成の相転移型記録媒体を構成する。
【0030】このような3層構成の媒体においては、各
層の相状態の組合せが8通りあり、照射ビームのエネル
ギーを多段階に制御することによって、8組の相状態を
得ることができる。以下この記録方法について説明す
る。
【0031】第1〜第3の半導体層2、4及び6に対
し、全ての層が完全に溶融されて非晶質化されるしきい
値エネルギーをE3 、上層の2層即ち第2及び第3の半
導体層4及び6のみが非晶質化されるしきい値エネルギ
ーをE2 (E2 <E3 )、最上層の第3の半導体層6の
みが非晶質化されるしきい値エネルギーをE1 (E1
2 <E3 )とする。これらエネルギーの値は、各層の
材料及び膜厚、間に介在させる保護層の熱伝導率等の条
件によって適宜選定し得るものである。
【0032】初期の相状態が3層全て結晶質状態である
とき、他の7通りの相状態を得るためのレーザエネルギ
ー条件は、下記の表1に示すように表される。
【0033】
【表1】
【0034】これら表1においては非晶質状態をa、結
晶質状態をcとして、下層から順に1〜3の符号を付し
て各層の相状態を示す。例えば全層が結晶質状態の場合
はc 3 /c2 /c1 、全層が非晶質状態の場合はa3
2 /a1 と表す。
【0035】先ずケース2で示すa3 /a2 /a1 の状
態とするには、エネルギーEがE≧E3 とされて成るエ
ネルギービーム、例えばXeClエキシマレーザを照射
することによって、3層全てを相転移させることができ
る。
【0036】またケース3で示すa3 /a2 /c1 の状
態とするには、エネルギーEがE3>E≧E2 のエネル
ギービーム例えばレーザを照射することによって、上層
の第2及び第3の半導体層4及び6のみを非晶質化する
ことができる。
【0037】更に、ケース4で示すa3 /c2 /a1
状態とするには、一旦エネルギーEがE≧E3 なるエネ
ルギービームを照射して全層を非晶質化した後、エネル
ギーEがE2 >E≧E1 なる第2回のエネルギービーム
の照射を行って、上層の第3の半導体層6を非晶質化
し、中間の第2の半導体層4は充分溶融されずに結晶化
のみの相転移が行われるようにして、相転移を行うこと
ができる。
【0038】またケース5で示すa3 /c2 /c1 の状
態とするには、エネルギーEがE2>E≧E1 なるエネ
ルギービームを照射して、上層の第3の半導体層6のみ
が非晶質化されることにより得ることができる。
【0039】ケース6で示すc3 /a2 /a1 の状態と
するには、第1回のエネルギービームとしてE≧E3
るエネルギービームを照射して、一旦全層2、4及び6
を非晶質化した後、第2回のエネルギービームとしてE
1 >Eなるビームを照射することによって、上層の第3
の半導体層6のみを結晶化することにより、上述の相状
態とすることができる。
【0040】更に、ケース7で示すc3 /a2 /c1
状態とするには、第1回のエネルギービームとしてE3
>E≧E2 なるエネルギービームを照射して、上層の第
2及び第3の半導体層4及び6のみを非晶質化した後、
第2回のエネルギービームとしてE1 >Eなるビームを
照射することによって、最上層の第3の半導体層6のみ
を再び結晶化することができる。
【0041】そしてケース8で示すc3 /c2 /a1
状態とするには、第1回のエネルギービームとしてE≧
3 なるエネルギービームを照射して、一旦全層2、4
及び6を非晶質化した後、第2回のエネルギービームと
してE2 >E≧E1 なるエネルギービームを照射して、
中間の第2の半導体層4は充分溶融されずに結晶化のみ
の相転移が行われるようにして、a3 /c2 /a1 の状
態とした後、第3回のエネルギービームとしてE1 ≧E
なるエネルギービームを照射して、上層の第3の半導体
層6を結晶化して、上述のc3 /c2 /a1 の状態を得
ることができる。
【0042】このようにして、各層をそれぞれ結晶質─
非晶質間相転移することができ、合計8通りの相状態を
得ることができる。そしてこれらの各状態においては、
その光学定数例えば反射率が大きくことなることから、
この反射率の違いによって記録の読み出しを行うことが
できる。
【0043】またこの3層構成の場合においても、照射
するエネルギービームは、少なくとも上層が過剰なエネ
ルギービーム照射により粗面化されないようにそのしき
い値が上限として選定され、またその下限としては、少
なくとも上層が結晶化するエネルギー未満のエネルギー
ビームでは何らの相変化を生じないことからこのエネル
ギーを下限とすることができる。
【0044】また、この3層構成の記録媒体において各
レーザエネルギーE1 〜E3 の値としては、その材料及
び膜厚等によって適宜選定することができる。
【0045】このように、本発明によれば2層或いは3
層、またはそれ以上の多層構成とした相転移型記録媒体
によって、多値記録が可能となる。
【0046】尚、上述の各実施例においては保護層とし
てSiO2 を用いたが、この保護層の材料としては、各
半導体層材料に比し高融点の耐熱性を有する他、各半導
体層を相転移させるエネルギービーム又は読み出しのた
めのレーザ光等を透過する材料であれば良い。従って、
SiO2 の他、10nm程度の膜厚とするときはW(タ
ングステン)等を用いることができる。
【0047】また、半導体Si等が溶融後固相化する際
には潜熱が放出されるので、固化した半導体層がこの潜
熱によって再加熱されて固相成長で結晶化する場合があ
る。このため、保護層として所要の熱拡散係数を有する
材料を用いることによって、このような潜熱を吸収する
冷却効果を得ることができ、結晶質から非晶質への相転
移を確実に行うようになすことができる。
【0048】更にまた、これら各媒体においては、記録
に対応する相状態を確実に保持するために、例えば格子
状パターンに積層半導体層を横切る深さにエッチングを
行い、各積層半導体層間の溝内を断熱性を有する材料で
埋込む等して、隣り合う各記録部をより確実に独別に相
転移させるようにして、クロストークの低減化をはかる
こともできる。
【0049】尚、本発明相転移型記録媒体は、上述の実
施例に限定されることなく、例えば半導体層材料として
IV族元素を主成分とする例えばGeや、SiとGeの化
合物等種々の材料を用いることができ、また4層以上の
半導体層を積層する多層構成とする等、種々の材料構成
とすることができる。また本発明相転移型記録方法にお
いてもまた、例えばエネルギービームとして他のレーザ
ビームを用いる等、上述の実施例に限ることなく種々の
態様を採り得ることはいうまでもない。
【0050】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、相転移
温度がカルコゲナイド系材料に比し比較的高く記録の安
定性がはかられ、勝つ比較的安価な材料をもって構成し
得る多値記録が可能な相転移型記録媒体、及び多値記録
が可能な相転移型記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明相転移型記録媒体の一例の略線的拡大断
面図である。
【図2】本発明相転移型記録方法の一例の説明図であ
る。
【図3】半導体層の相図である。
【図4】本発明相転移型記録方法の一例の説明図であ
る。
【図5】本発明相転移型記録方法の一例の説明図であ
る。
【図6】本発明相転移型記録方法の一例の説明図であ
る。
【図7】本発明相転移型記録媒体の他の例の略線的拡大
断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1の半導体層 3 保護層 4 第2の半導体層 5 保護層 6 第3の半導体層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
フロントページの続き (72)発明者 ダラム パル ゴサイン 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 碓井 節夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、IV族元素を主成分とする半導
    体層と、上記半導体層より高融点の耐熱性を有する保護
    層とが交互に積層されて多層構成とされて成る相転移型
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 基体上に、IV族元素を主成分とする半導
    体層と、上記半導体層より高融点の耐熱性を有する保護
    層とが交互に積層されて成る相転移型記録媒体に対し、 少なくとも1ステップ以上の段階のエネルギーを有する
    エネルギービームを照射して、上記半導体層の少なくと
    も一層以上に相転移を生じさせることにより記録を行う
    ようにしたことを特徴とする相転移型記録方法。
JP4139368A 1992-05-29 1992-05-29 相転移型記録媒体及び相転移型記録方法 Pending JPH05334881A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4927690A (en) * 1986-01-13 1990-05-22 The Dow Chemical Company Thermoformable laminated packaging material
US8557627B2 (en) 2009-12-29 2013-10-15 Samsung Electronics Co., Ltd. Methods of forming a phase change layer and methods of fabricating a phase change memory device including the same

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