JPH05332923A - 酸素イオン濃度分析方法および装置 - Google Patents

酸素イオン濃度分析方法および装置

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JPH05332923A
JPH05332923A JP14064092A JP14064092A JPH05332923A JP H05332923 A JPH05332923 A JP H05332923A JP 14064092 A JP14064092 A JP 14064092A JP 14064092 A JP14064092 A JP 14064092A JP H05332923 A JPH05332923 A JP H05332923A
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JP
Japan
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molten salt
oxygen ion
bath
plating
ion concentration
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JP14064092A
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Hirofumi Kuraho
浩文 蔵保
Junichi Uchida
淳一 内田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融塩Al系電気めっき浴のような溶融塩浴中
の酸素イオン濃度を連続的かつ迅速に分析する方法およ
び装置。 【構成】 溶融塩の赤外線吸収スペクトルの波数1200〜
1800cm-1の領域に現れる酸素イオンに起因する吸収波形
の吸光度より酸素イオン濃度を求める。 【効果】 浴中の酸素イオン濃度を常時監視できるの
で、適当な酸素イオン低減化処理と組合わせることによ
り、浴中酸素イオン濃度を所定範囲内に管理でき、良好
な品質の製品を安定して製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の溶融塩浴中の酸
素イオン濃度を、精度よく簡便に分析する方法および装
置に関する。本発明は、例えば、塩化物溶融塩を用いる
AlまたはAl合金電気めっき(以下、溶融塩Al系電気めっ
きという)の連続めっき操業において、めっき品質に影
響を及ぼす浴中酸素イオン濃度をめっき操業中連続的に
分析し、安定しためっき製品を得るのに役立つ技術であ
る。
【0002】
【従来の技術】溶融塩浴は、高能率の電池システムや水
溶液からの析出が困難な金属の採取・めっき等の媒体
(電解質)として使用されている。溶融塩電池の例とし
ては、Li−Al/FeS2系、Al/FeS2系等の溶融塩二次電池
がある。溶融塩浴による金属の採取・めっきの例として
は、ハロゲン化物 (通常は塩化物) 浴によるAlやMgの電
解精練、上記の溶融塩Al系電気めっき等が挙げられる。
【0003】例えば、溶融塩Al系電気めっきに用いられ
る溶融塩浴は、AlCl3 とMCl(M=Na、K、Liなどのア
ルカリ金属) を主成分とする混合塩化物溶融塩から構成
される。この塩化物溶融塩に合金成分イオンを添加する
ことによって、Al−Mn、Al−Ti、Al−Ni、Al−Si、Al−
CrなどのAl合金電気めっきが可能となる。
【0004】このような溶融塩浴中に不純物が混入する
と、製品品質・操業条件が影響を受ける。特に、塩化物
溶融塩浴は吸湿性であるため水分が混入し易く、水分が
混入すると下記(1) および(2) 式のような反応が起こ
り、酸素イオン (AlOCl) が生成する。
【0005】 H2O + AlCl3 → Al(OH)Cl2 + HCl ‥‥‥ (1) Al(OH)Cl2 → AlOCl + HCl ‥‥‥ (2) 浴中の酸素イオン濃度が一定限度を超えると、Al系めっ
き皮膜の表面性状が著しく劣化し、合金組成も変化する
ため、安定しためっき品質を保持するためには、浴中酸
素イオン濃度を常時分析し、管理しなければならない。
そのためには、浴中酸素イオン濃度を迅速かつ連続的に
分析し、分析結果をめっき操業条件にすばやくフィード
バックして、酸素イオン濃度を制御することが必要とな
る。
【0006】溶融塩浴中の酸素イオン濃度の測定に関し
て、先に本発明者らは、カールフィッシャー滴定法を利
用した測定方法及び装置を提案した (特開平1−260362
号)。この測定方法は、酸素イオンがカールフィッシャ
ー試薬と定量的に反応することを利用したものである。
【0007】この方法は、溶融塩浴中の酸素イオン濃度
を精度よく分析することができるが、溶融塩浴から試料
をサンプリングし、これを試薬と反応させて分析するた
め、測定は断続的にならざるを得ず、溶融塩浴中の酸素
イオン濃度を連続的に分析または監視することはできな
い。また、測定に時間がかかるため、測定結果をすぐに
めっき操業条件にフィードバックすることも困難であ
る。
【0008】Acta Chemica Scandinavica, A40 (1986)
pp. 445-451 には、AlCl3-MCl系溶融塩浴中の酸素イオ
ンを赤外線スペクトルを用いて検出することが報告され
ている。しかし、この論文は、AlCl3-MCl系溶融塩浴中
の酸素イオンの検出が赤外線分光法で可能であることを
指摘するにとどまり、該溶融塩浴中の酸素イオンの濃度
をこの方法で定量的に分析できることは教えていない。
ましてや、Al−Mn合金めっき浴等のように、合金成分イ
オンが浴中に添加された溶融塩浴については、酸素イオ
ンの検出例すらない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上に説明したように、
溶融塩浴中の酸素イオン濃度を連続的かつ迅速に分析可
能な方法は、未だ開発されていない。そのため、例え
ば、溶融塩Al系電気めっきの操業において、安定しため
っき品質を確保するのに不可欠な作業である、塩化物溶
融塩浴中の酸素イオン濃度を常時分析し、分析結果をめ
っき操業条件にフィードバックさせ、浴中の酸素イオン
濃度の変動に迅速に対応した処置をとるということがで
きないでいた。
【0010】本発明は、この点を解決することを課題と
する。具体的には、本発明の目的は、溶融塩浴中の酸素
イオン濃度を連続的かつ迅速に分析する方法およびこの
方法に用いる分析装置を提供することである。これによ
り、溶融塩Al系電気めっき浴などの溶融塩浴中の酸素イ
オン濃度の変動の迅速な感知とフィードバックが可能と
なり、操業中に溶融塩浴中の酸素イオン濃度を一定範囲
内に厳密に管理することができる。その結果、表面性状
の良好なAl系電気めっき鋼板を長期間にわたって安定し
て製造することが可能となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述したように、カール
フィッシャー滴定法を利用した溶融塩浴中の酸素イオン
濃度の測定は、定量的な分析方法ではあるが、断続的測
定しかできず、測定結果をフィードバックして連続操業
の管理に利用するには適していない。本発明者らは、滴
定によらない溶融塩浴中の酸素イオン濃度分析法とし
て、分光学的手法に的を絞って検討した結果、赤外線吸
収スペクトルの測定によって浴中酸素イオン濃度を定量
的に精度よく分析できることを見出し、本発明を完成さ
せた。
【0012】ここに、本発明は、溶融塩浴中の酸素イオ
ン濃度の分析方法であって、この溶融塩の赤外線吸収ス
ペクトルの波数1200〜1800cm-1の領域に現れる酸素イオ
ンに起因する吸収波形の吸光度より酸素イオン濃度を求
めることを特徴とする、溶融塩浴中の酸素イオン濃度分
析方法、を要旨とする。
【0013】別の側面では、本発明は、一端が溶融塩浴
槽に開口し、外面加熱手段を備えた試料導入管と、該試
料導入管の他端に一端が連結されたフロー・セルを備え
た赤外分光光度計と、該フロー・セルの他端に連結さ
れ、外面加熱手段を備えた試料排出管とを具備すること
を特徴とする、溶融塩浴中の酸素イオン濃度の連続分析
装置、を要旨とする。
【0014】
【作用】図1に、酸素イオン濃度が異なる2種類のAl−
Mn合金めっき用の塩化物溶融塩(AlCl3-MCl-MnCl2系)
の赤外線吸収スペクトル (光路長20 mm 、窓材NaCl) を
示す。この2種類の塩化物溶融塩およびの酸素イオ
ン濃度は、カールフィッシャー滴定法で分析して、が
0.065 mol/kg、が0.15 mol/kg であった。
【0015】図1の赤外線吸収スペクトルからわかるよ
うに、波数1200〜1800cm-1の領域に酸素イオン濃度と相
関する吸収ピークがいくつかあることが判明した。特に
明瞭なのは、1350cm-1付近および1480cm-1付近の吸収ピ
ークである。このような波数領域に酸素イオンに帰属し
うる吸収ピークがあることは新しい知見である。
【0016】酸素イオン濃度が異なる多数のAlCl3-MCl
-MnCl2系溶融塩の試料を用いて赤外線吸収スペクトルを
測定することにより求めた、波数1350cm-1付近の吸収ピ
ークの吸光度と酸素イオン濃度との関係を図2に示す。
溶融塩試料中の酸素イオン濃度は、上と同様にカールフ
ィッシャー滴定法により測定した。図2からわかるよう
に、吸光度が酸素イオン濃度に正比例し、良好な相関関
係が得られた。従って、この曲線を検量線として、赤外
線吸収スペクトルの酸素イオンの吸収ピークの吸光度か
ら酸素イオン濃度を求めることができる。
【0017】波数1200〜1800cm-1の領域においては、い
ずれの波数の吸収でも、図2と同様の吸光度と溶融塩中
の酸素イオン濃度との相関関係が得られる。従って、測
定に利用する吸収ピークの波数は、波数1200〜1800cm-1
の領域内であれば特に制限されない。また、吸収ピーク
位置での吸光度の代わりに、酸素イオンに起因する吸収
波形の中でピーク位置をずらせた特定の波数に対応する
吸光度を求め、その吸光度と溶融塩中の酸素イオン濃度
との相関関係を求める方法を採ることもできる。ただ
し、吸光度が最大となる1350cm-1付近のピークを利用す
ることが、感度が最も高くなることから最も好ましい。
【0018】赤外分光分析を利用した本発明の溶融塩浴
中の酸素イオン濃度の分析に利用しうる分析装置の概略
を図3に示す。この分析装置は、溶融塩試料の導入管A
および排出管Bと、一端が導入管Aに、他端が導入管B
に連結された赤外線照射用フロー (流れ) セル11を備え
た赤外分光光度計10から構成される。試料導入管Aの一
端は溶融塩浴槽 (図示せず)に開口し、この浴槽から抜
き出された溶融塩の試料が導入管Aを経て連続してセル
11に流れ、排出管Bを経て排出されるようになってい
る。
【0019】試料導入管Aおよび試料排出管Bは、いず
れも管内での試料の凝固によるパイプ閉塞を防止するた
めに、適当な外面加熱手段 (例、加熱ケーブル、熱風吹
きつけなど) を設けて、管内を流れる溶融塩試料を保温
する。この保温温度は、溶融塩が管内を円滑に流れるよ
うに保持できる範囲内であれば特に制限されない。導入
管および排出管のパイプ材質としては、普通鋼、ステン
レス鋼、アルミニウム等の金属材料、あるいはガラス、
石英などが可能である。
【0020】フロー・セル11は、赤外線を透過する2枚
の窓板 (11a, 11b) を対向させてなる窓部を備えた、角
筒状のセルである。赤外線透過性で、溶融塩に耐える窓
材として適当な材料には、NaCl、KBr 、シリコン板、ダ
イヤモンドなどがある。図示のセルは、窓の隙間から溶
融塩が漏出しないように固定器11c で押さえつけた構造
となっている。図示していないが、赤外分光光度計10
は、他にこの窓部に赤外線を照射する手段と、窓部を透
過した光の1200〜1800cm-1の領域内の所定波数の光強度
を測定し、吸光度を表示する手段とを一般に備えてい
る。こうして測定された酸素イオンの吸収ピークの波数
での吸光度または、酸素イオンに起因する吸収波形の内
の特定の波数の吸光度から、上述したような検量線によ
り、溶融塩試料中の酸素イオン濃度を求めることができ
る。この酸素イオン濃度の決定は、手動で行うこともで
きるが、検量線のデータを内蔵した自動計算・表示装置
を利用すれば瞬時に試料中の酸素イオン濃度を知ること
ができる。
【0021】本発明の酸素イオン濃度分析装置を、溶融
塩Al系電気めっきにおけるめっき浴中の酸素イオン濃度
の連続分析に利用した例を、次に図4により説明する。
めっきされる鋼帯1は、表面清浄化・活性化のための適
当な前処理を施した後、めっき槽2に送られ、対向する
2枚の陽極板3の間を通過する間に、槽内の溶融塩めっ
き浴4の電解によるAlまたはAl合金の電析を両面に受け
る。5は鋼帯を陰極とするための通電ロール、6は鋼帯
を方向変換させるデフレクタロール、7は直流電源であ
る。図示のめっき槽では、デフレクタロールにより方向
変換した鋼帯は、別の2枚の陽極板の間を通って、さら
にめっきが行われ、めっき槽から出ていく。この時の通
板速度、電流密度等のめっき条件を調整することによ
り、所望付着量のAl系めっき皮膜を鋼帯上に形成するこ
とができる。
【0022】本発明による分析を行うために、めっき槽
2から溶融塩めっき浴4の一部を抜き出し、再びめっき
槽2に戻す、溶融塩浴循環経路8が付設されている。こ
の循環経路8の途中には、溶融塩の搬送のためのポンプ
9と赤外分光光度計10とが設けられ、循環経路8の赤外
分光光度計より上流部分が試料導入管、下流部分が試料
排出管となる。図示していないが、循環経路8は、この
中で溶融塩が凝固しないように、上述したような適当な
外面加熱手段を保温のために備えている。
【0023】循環経路8は赤外分光光度計10のフロー・
セル11と直結しているので、この循環経路内を流れる溶
融塩浴の試料の所定波数での赤外線吸光度を連続的に測
定することができる。赤外分光光度計で測定された吸光
度のデータは、図示例では、検量線を内蔵した酸素イオ
ン濃度計算処理・表示器12に送られ、使用した波数での
検量線により溶融塩試料中の酸素イオン濃度が算出さ
れ、表示される。
【0024】これにより、めっき槽内の溶融塩浴中の酸
素イオン濃度を迅速かつ連続的に知ることができるの
で、酸素イオン濃度の変動に対応した処置を機敏に実施
することができる。即ち、酸素イオン濃度が所定の酸素
イオン濃度管理域 (めっき性状を良好に維持できる酸素
イオン濃度域) の上限を超えた場合には、すぐに酸素イ
オン低減化処理 (例、乾燥塩化水素ガスの溶融塩浴への
吹き込み、電解除去など) を行う。こうして、めっき槽
内の溶融塩浴中の酸素イオン濃度を一定以下に確実に管
理することができ、結果として良好な表面性状を持つめ
っき鋼板を安定して連続めっきにより製造することがで
きる。
【0025】なお、図4に示した例は、図5(a) に示す
ように、溶融塩試料の全量がめっき槽2→導入管A→分
光光度計のセル11→排出管B→めっき槽2と流れる、完
全循環系の例である。本発明の分析では、滴定法と異な
り、試料が化学反応を受けないので、測定に供した試料
の全量をめっき槽に循環させることができ、分析に伴う
廃液処理が不要となる。
【0026】所望により、溶融塩試料は、図5(b) に示
すように、分光光度計10で酸素イオン濃度を測定した
後、全量を排出管Bを経て廃棄してもよい (特に、抜き
出した溶融塩試料の流量がごく小さい場合) 。或いは、
図5(c) に示すように、分光光度計10の下流側で排出管
Bを分岐させ、試料の一部のみを廃棄し、残りはめっき
槽2に循環させてもよい。図5(c) に示すように、分岐
管に弁を設ければ、全量循環や全量廃棄を含めて循環量
と廃棄量を自由に調節でき、例えば、めっき槽への溶融
塩の補給量に見合った量を廃棄していけば、めっき槽内
の溶融塩の組成と量を連続めっき操業中一定に保持でき
る。図5(d) に示すように、循環用の溶融塩と廃棄する
溶融塩との分岐を分光光度計10より上流側で行うことも
できる。
【0027】上に説明した以外に、本発明の方法は、12
00〜1800cm-1の波数領域に酸素イオンの吸収がある各種
溶融塩浴中の酸素イオン濃度の分析に有用である。この
ような溶融塩の例には、AlCl3-NaCl、AlCl3-NaCl-KCl、
AlCl3-NaCl-KCl-MnCl2などがある。
【0028】
【実施例】実施例1 予めアルカリ脱脂、酸洗、水洗の前処理を施し、不活性
雰囲気下にて乾燥した冷延鋼帯に対して、AlCl3−NaCl
−KCl−MnCl2 系溶融塩浴 (AlCl3:NaCl:KCl=62:24:
14モル%, Mn 3000 ppm 、浴温 200℃) を用いて、溶融
塩電解めっき法によりAl−Mn合金連続めっきを行った。
めっき条件は、電流密度20 A/dm2であった。
【0029】使用しためっき装置は、図5(b) に示すよ
うな、めっき槽に連結した廃棄型の酸素イオン濃度分析
装置を備えたものであった。この分析装置の試料経路
(導入管と排出管) はいずれも外面より加熱ケーブルで2
00 ℃に保温された普通鋼製のパイプであり、導入管は
めっき槽の中央部に開口していた。酸素イオン濃度分析
装置は光路長20 mm のフロー・セル (窓材NaCl) を備え
た赤外分光光度計と計算・表示装置とから構成されるも
のであった。
【0030】めっき槽内の溶融塩浴を5ml/minの流量で
連続的に試料導入管に抜き出し、上記分析装置で溶融塩
浴中の酸素イオン濃度を連続的に測定した。Al−Mn合金
めっきの場合、溶融塩浴中の酸素イオン濃度が0.5 重量
%を超えると、めっき外観 (めっき皮膜の光沢度または
平滑度で評価されるめっき表面性状) の劣化が著しくな
ることが予め判明していたため、酸素イオン濃度分析装
置で測定された酸素イオン濃度が0.3 重量%に達した時
点で、乾燥塩化水素ガスをめっき浴中に吹き込む酸素イ
オン低減化処理を実施した。
【0031】こうしてAl−Mn合金連続めっきを続けた時
の、分析装置で測定された溶融塩めっき浴中の酸素イオ
ン濃度とめっき外観の経時変化を図6に示す。図6から
わかるように、時間が経過するにつれて、周囲雰囲気か
らの水分の混入、鋼帯による水の持込みなどが原因で浴
中の酸素イオン濃度は増大し、それにつれてめっき外観
も低下していった。しかし、本発明の分析を利用して酸
素イオン濃度が0.3 %に達した時点で直ぐに酸素イオン
低減化処理を行うと、浴中の酸素イオン濃度は急減し、
めっき外観も直ぐに最初の最もよい状態に戻った。これ
を繰り返すことにより、連続めっき中のめっき浴中の酸
素イオン濃度を0.3 重量%以下に確実に管理することが
でき、めっき外観も4.5 〜5と非常に良好な範囲に維持
することができた。
【0032】比較のために、浴中酸素イオン濃度測定の
ためのめっき浴試料の抜取りを行わず、酸素イオン低減
化処理も行わずに、上記と同様の条件でAl−Mn合金連続
めっきを実施した場合には、めっき開始から6時間後に
はめっき外観が著しく悪化して、連続めっき操業を中止
した。
【0033】実施例2 Al−Ti合金溶融塩めっき浴 (AlCl3:NaCl:KCl=62:24:
14モル%, Ti 3000 ppm 、浴温 200℃) を使用した以外
は、実施例1と同様にして、鋼帯にAl−Ti合金連続めっ
きを行った。めっき条件も実施例1と同様であった。但
し、塩化水素ガスの吹き込みによる酸素イオン低減化処
理は、測定された酸素イオン濃度が0.6重量%を超えて
から行った。
【0034】この時のめっき浴中の酸素イオン濃度とめ
っき外観の経時変化を図7に示す。実施例1と同様に、
浴中の酸素イオン濃度を連続的に監視することができ、
また酸素イオン低減化処理を併用することで、めっき浴
中の酸素イオン濃度をめっき外観を悪化させない範囲内
に管理することができた。その結果、めっきの表面性状
を良好に保持しつつAl−Ti合金連続電気めっきを行うこ
とができる。
【0035】
【発明の効果】本発明により、塩化物溶融塩浴中の酸素
イオン濃度を迅速かつ連続的に測定することが可能とな
る。しかも、測定用に連続的に抜き出した溶融塩試料
は、化学変化を受けないので、全量を浴に戻すことがで
きる。こうして測定された浴中の酸素イオン濃度値を操
業にフィードバックさせて、必要に応じて適当な酸素イ
オン低減化処理を実施することにより、浴中の酸素イオ
ン濃度を所定範囲内に確実に管理することができ、浴中
の酸素イオン濃度の増大により引き起こされる悪影響、
例えば、溶融塩Al系電気めっきにおけるめっき表面性状
の悪化を防止することができる。その結果、めっき製品
の品質が安定化し、歩留りが大きく改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素イオン濃度の異なる (は0.065 mol/kg、
は0.15 mol/kg)の塩化物溶融塩 (AlCl3-MCl-MnCl
2系) の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図2】上記溶融塩の波数1350cm-1付近の吸光度と酸素
イオン濃度との関係を示すグラフ (検量線) である。
【図3】本発明の分析装置の説明図である。
【図4】本発明の分析装置を組み込んだ鋼帯の溶融塩Al
系電気めっき装置の説明図である。
【図5】図5(a) 〜(d) は溶融塩試料の循環経路の各種
変更例を示す説明図である。
【図6】実施例1におけるめっき浴中酸素イオン濃度の
分析値とめっき外観の経時変化を示す図である。
【図7】実施例2におけるめっき浴中酸素イオン濃度の
分析値とめっき外観の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
A 試料導入管 B 試料排出管 1 鋼帯 2 めっき槽 3 陽極板 4 溶融塩めっき
浴 5 通電ロール 8 溶融塩浴循環
経路 10 赤外分光光度計 11 フロー・セル 11a, 11b 窓板 11c 固定器 12 演算・表示器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融塩浴中の酸素イオン濃度の分析方法
    であって、該溶融塩の赤外線吸収スペクトルの波数1200
    〜1800cm-1の領域に現れる酸素イオンに起因する吸収波
    形の吸光度より酸素イオン濃度を求めることを特徴とす
    る、溶融塩浴中の酸素イオン濃度分析方法。
  2. 【請求項2】 一端が溶融塩浴槽に開口し、外面加熱手
    段を備えた試料導入管と、該試料導入管の他端に一端が
    連結されたフロー・セルを備えた赤外分光光度計と、該
    フロー・セルの他端に連結され、外面加熱手段を備えた
    試料排出管とを具備することを特徴とする、溶融塩浴中
    の酸素イオン濃度の連続分析装置。
JP14064092A 1992-06-01 1992-06-01 酸素イオン濃度分析方法および装置 Withdrawn JPH05332923A (ja)

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