JPH0533224A - 紡出スライバーの太さ斑感知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 紡出スライバーの製造過程においてはスライ
バーのローラー巻き付き等、種々の要因により、規定よ
り太い、又は細い異常スライバーが発生する。本発明は
これらを直ちに検知し、紡績設備の運転を停止せしめる
新規な感知装置の提供を目的としている。 【構成】 紡出スライバー（１）の太さに応答してその
間隙が変位する一対の回転把持ローラー対（５）（６）
と、該ローラー対（５）（６）の一方（６）にその一端
が固着し、前記間隙の変位を増幅して他端に伝える増幅
レバー（３１）と、該増幅レバー（３１）の他端により
作動する非接触型感知作用入出力装置（３３）（３４）
からなり、該入出力装置（３３）（３４）がスライバー
（１）走行用の駆動源に連結していることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主としてスライバーの
紡出機構において、その紡出スライバーの太さ斑を感知
し機台を停止せしめる装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在のスライバー紡出工程における各ロ
ーラーへの綿絡みによるトラブルは、あらゆる面で悪影
響を及ぼしている。例えば、綿が絡まる事により紡出ス
ライバーの太さが規定値より細く紡出されることや、紡
出異常で発生する斑が製品の品質及び製造工程での生産
効率に大きな影響を及ぼすことである。即ち、該工程で
のスライバー斑は次工程でドラフトされる事により太糸
及び細糸部分が更に拡大され、この部分の除去に多大な
時間と労力とが費やされることとなる。加えて該斑部分
は除去された後廃棄するしか後処理方法が無く、原料費
及び加工費を考慮するとこれらによる損失は極めて莫大
なものとなる。加えて、ローラーへの綿絡みによるトラ
ブルの修復時間，生産効率及び破損部品の交換費用等の
経済的側面においても更なる負担を強いられることとな
る。更に、万一製品に該欠点を混入したまま出荷すると
即クレームとなり、損害賠償は多大なものとなる。現在
のところ、感知装置を様々な場所へ設置することで各ロ
ーラーへの綿絡みを早く感知し機台を停止しようとする
考え方が主体で、太さ斑を感知し機台を停止しようとす
る方策は取られていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】現行の感知方法及び装
置を検討してみると、各ローラーの異常変位によって綿
絡みを機械的に感知し、なるべく機台設備の損壊度合が
軽度の内に停止せしめんとする機台設備保護の観点から
のみ設置されたものであり、スライバー品質そのものを
保証するための装置ではない。従って、現在非常に大き
な問題となっているローラーへの綿絡み等に起因して太
さが変化し、規格外のスライバーが紡出されることによ
る品質面での対応は全くなされていない状況であり、現
状ではこういった規格外スライバーが何ら制御される事
なく紡出されている。今までのところ、このようなスラ
イバーの太さ斑を制御しようとする実用的且つ経済性の
ある感知及び停止方法や装置は存在していない。しかし
て前述の従来感知方法及び装置では、変位感知部分に感
知装置として接触型スイッチを使用しているが、当該型
のスイッチはその感知能力が極めて鈍く且つ作動範囲の
調整がほとんど不可能であり、トラブルの度合が大きく
なってからでないと感知できないという致命的な欠点を
有しており、その際の欠陥スライバー判定，摘出に多大
な労力と時間を要し、又、不十分な摘出による欠陥スラ
イバーの正品への混入によるトラブル懸念が前述の通り
常に存在する。またスイッチ寿命も短くこれに係る交換
工数や部品費用も大きくならざるをえない。こういった
感知装置を綿絡みの恐れのあるローラーへ設置すること
は、操業面で大きな不安を残す材料となる。

【０００４】以上のような事柄から現在の設備では、紡
出スライバーの太さ斑を制御しようとする目的に立った
設置はなく、また感知装置の信頼性や耐久性、或いはそ
の設置場所に起因するメンテナンスの低位作業性や感度
調整の不可といった面で多くの問題点を残しており、効
果的と呼ぶに相応しい感知装置の提案，設備は未だなれ
ておらず、これらの問題点を解消したスライバー感知停
止装置の出現が待たれていた。本発明はこの点に鑑み、
紡出スライバーの太さ斑を感知し規格外スライバーに対
し機台を停止せしめるという全く新しい観点から発明さ
れたもので、斑を制御し、併せて既設感知装置の種々の
問題点をも包含克服すべく、感度が優れ、メンテナンス
フリーで且つ信頼性・耐久性に富む感知停止装置の提供
を目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は次の構成を備えている。即ち紡出スライバー
の太さに応答してその間隙が変位する上下又は左右一対
の回転把持ローラー対と、該ローラー対の一方にその一
端が固着し、前記間隙の変位を増幅して他端に伝えるレ
バーと、該レバーの他端により移動する非接触型感知作
用入出力装置からなり、該入出力装置が紡出スライバー
走行用の駆動源に連結していることを要旨とする構成で
ある。

【０００６】前記本発明の構成要件について更に具体的
に説明すると、本発明のローラー対は、ローラーと該ロ
ーラーにスプリングで圧着されたるローラー、より好ま
しくはフランジ付きローラーと該ローラーにスプリング
で圧着されたるローラーよりなり、これらで回転把持ロ
ーラー対を構成している。本発明ではこれらを総称して
ローラー対という。より好ましい態様において、フラン
ジ付きローラーと該ローラーにスプリングで圧着された
るローラーを用いる理由は、スライバーをローラー通過
時に該ローラー対によってなる溝内へ収束、一定圧で充
填させることにより、該スライバーの太さ変動をより正
確にスプリングで圧着されたるローラーの軸部移動量に
表現せしめることが出来、極めて微小な太さ斑をも感知
出来ることを可能ならしめるからである。本発明の増幅
レバーは、一端に感知作用作動用の適宜の形状を施した
小孔を設けた構成としており、ここでいう適宜の形状と
は、紡出スライバーの太さ斑管理幅にあわせて設定され
るものである。該小孔の形状により該管理幅は、細い部
分から太い部分まで連続的に無数の設定が可能である。
本発明の感知作用とは、例えば光であり、高周波であ
り、磁束である。

【０００７】

【作用】上述のような本発明装置を設けることにより、
ローラー対へ至るまでの各部ローラーで綿絡みが発生し
たり、何らかの不測の事態によりスライバー太さの変動
があった場合、ローラー対の可動側軸部がスライバー太
さ変化量に応じて動き、その間隙を応答せしめ、その微
小変位を増幅レバーが増幅し規定範囲を越えた変位が生
じた場合は、予め調整設置してあった非接触型出力装置
の発する感知作用を増幅レバーが遮ることで非接触型感
知作用入力装置を作動せしめ得、瞬時に機台を停止させ
ることが可能となり、斑による品質不良スライバーの紡
出を皆無にすることができ、且つ機台への被害を最小限
に留め得ることが可能となる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明は、先に述べた通り、スライバー紡出機構
において、スライバーの太さ変化を機械的に捕捉するた
めのローラー対と、該ローラー対の可動側軸部に固着
し、捕捉した変位を増幅し感知部へ伝達する増幅レバー
と、感知作用の非接触型出力装置と、増幅レバーの遮断
による該作用の変位を感知する非接触型感知作用入力装
置を主要構成とするものである。スライバー紡出機構の
一つである練条機を例に取り、本発明の感知装置の設置
方法を概念的に示す図１と、該装置設置方法の詳細部分
を斜視図で示す図２を参照して本発明装置を具体的に説
明する。

【０００９】図１において、１は紡出されたスライバー
を表わし矢印Ａ方向に走行する。２はフロントトップロ
ーラー、３はフロントボトムローラー、４はストリッピ
ングローラー、５及び６はローラー対（本実施例では、
フランジ付きローラーと該ローラーにスプリングで圧着
されたローラーを使用。以下溝型ローラー対と言
う。）、７はスライバー収納装置、８はスライバー収納
容器を表わす。増幅レバー３１は溝型ローラー５，６の
可動側（６）の軸受部に固定し、該増幅レバー３１の非
固定端に小孔３２を設けている。非接触型の感知作用を
行う出力装置３３及び同じくその入力装置３４は、前記
増幅レバー３１の小孔３２上に感知作用軸３５を設定し
ている。

【００１０】図２にて上記構成を更に詳細に説明する
と、溝型ローラー対５及び６は夫々スプリング９により
互に圧着されており、筒状支持体１５及び１６に軸受を
介して支持されている。溝型ローラー対５・６の一端に
は互に噛合されたギヤ１３及び１４が設置されている。
該ギヤ１３は図示しない他のギヤを介して動力を得、ギ
ヤ１４に伝達し、夫々溝型ローラー対５及び６を回転さ
せる。筒状支持体１５は図示しない機台本体に直接固定
されており、筒状支持体１６は該筒状支持体１６に直接
固定されたブラケット１０と、支持棒１２及び前記機台
に固定されたブラケット１１を介して機台に固定されて
いる。このため筒状支持体１６、溝型ローラー６及びギ
ヤ１４は、ブラケット１０を介して支持棒１２を支点と
して円弧状運動を行うことができる。増幅レバー３１は
筒状支持体１６に位置調整可能に取り付けており、増幅
レバー３１の非取付端に小孔３２を設ける。非接触型感
知作用出力装置３３及び非接触型感知作用入力装置３４
は、小孔３２上に感知作用軸３５を設定している。

【００１１】次に、以上の通り構成される感知装置の作
動状態について図３及び図４を参照して説明する。図３
においてスライバー１が溝型ローラー対５，６へ至る以
前のいずれかのローラーへ絡み、溝型ローラー対５，６
へ供給されるスライバーの太さが減少した場合、或いは
供給原料の斑により規定値より細いスライバーが該溝型
ローラー対５，６へ供給された場合、又は何らかの事態
により該溝型ローラー５，６へのスライバー供給が無く
なった場合、溝型ローラー６の軸部及び筒状支持体１６
がスプリング９の復元力によって支持棒１２を回動の中
心とし矢印Ｂ方向へ移動する。該微小移動量は即時に該
増幅レバー３１へと伝達される。該微小移動量は該増幅
レバー３１を伝達する際に、該増幅レバー長に見合った
だけの増幅がなされ、矢印Ｃ方向へ大きく移動する。予
め設定されていた出力装置３３の小孔３２を介して確保
されていた感知作用軸３５が、該移動により小孔３２の
移動で遮られ、スライバーの規定以上の変位を非接触型
感知作用入力装置３４が感知し、機台を停止せしめる。

【００１２】次に、溝型ローラー対５，６のいずれか片
方或いは両方にスライバー１が絡んだ場合、或いは供給
原料の斑により規定値より太いスライバーが溝型ローラ
ー対５，６へ供給された場合は、溝型ローラー６の軸部
及び筒状支持体１６はスプリング９に逆らって支持棒１
２を支点中心とし矢印Ｄ方向へ移動する。前述と同様に
増幅レバー３１を伝播する間に増幅された移動量によっ
て増幅レバー３１は矢印Ｅ方向へ大きく移動し、同様に
非接触型感知作用出力装置３３の感知作用軸３５が遮ら
れ、スライバーの規定範囲外の変位を非接触型感知作用
入力装置３４が感知し、機台を停止せしめるに至る。

【００１３】図４は、増幅レバー３１の一端に設けられ
たる小孔３２の形状について説明するものである。該小
孔３２の形状は、本発明の感度調整を司る極めて重要な
点であり、その一例を示した。図４（ａ）に示す小孔３
２Ａは最も一般的に用いられる形状を表わしたものであ
る。今、生産管理上紡出すべきスライバーの太さ斑管理
幅を若干緩めても良い場合はスライバーの太さ斑の実状
に応じ図４（ｂ）に示す小孔３２Ｂのような長円形状の
ものを適宜設定すれば良いこととなる。又、該スライバ
ー斑の太い部分のみ捕足しようとするなら増幅レバー３
１の図３の矢印Ｅ方向の動きに厳しく、矢印Ｃ方向の動
きに緩く小孔３２の形状を設定すれば良い。即ち、図４
（ｃ）に示す小孔３２Ｃのような増幅レバー３１の中心
線より、小孔３２Ｃの中心が、図３の矢印Ｅ方向にずれ
て設定された形状の長円形のものを用いれば良いことと
なる。このように該小孔３２の形状を適宜選定する事に
よってどのような管理要求にも即応が可能となる。

【００１４】上述の通り、本実施例によって明らかな様
に予め設定されたスライバー太さ斑管理限界を越えたス
ライバーに対し感知された変位信号により、極めて微小
な太さ斑に対しても、或いは機台トラブル発生後の頗る
微小な時期に、極めて迅速に機台を停止せしめ得る。本
装置の設置により今まで野放しになっていた太さ斑を持
つスライバーの紡出を確実に制御することが可能とな
る。また様々な場所へ設置されていた既設の感知装置を
すべて廃棄することができ、メンテナンス性が飛躍的に
向上する。加えて非接触型感知作用入出力装置３３及び
３４の採用により、高速応答，耐久性，信頼性が得ら
れ、且つ増幅レバー３１の長さと小孔３２を適宜設定す
ることにより感度の増幅・調整も極めて厳格なものから
緩いものまで非常に幅広くしかも細かく調整設定可能と
なる。更に、本発明の設置にあっては取付方法も非常に
容易で、現有設備に簡単に組み込むことが可能である。
なお、前記実施例では、練条機における例を挙げたが、
本発明はこれに限定されず、種々のスライバー紡出設備
にも適用できるものである。

【００１５】

【発明の効果】本発明に係る感知装置は以上に述べた如
くであり、下記各項の効果を奏する。 極めて微小なスライバー太さ変動の制御が可能とな
り、後工程及びユーザーへ品質の安定した均質スライバ
ー及び製品の供給が図れる。 感度の微調整が可能となり、スライバー紡出精度の
飛躍的向上が図れ、生産性の向上に大きく寄与できると
共に、生産・品質の両管理面において異なる肌理細かい
対応が可能となる。 設備への綿絡み等のトラブルが極めて微小なる時期
に感知でき、トラブル処理工数の削減，補修部品費の削
減，機台の長寿命化が期待でき、スライバー紡出歩留の
向上及び経費節減につながる。 既設感知スイッチの全廃が可能となり、シンプルで
且つ信頼性の向上が図れる。 現有設備への組み込みが容易に行え且つ、メンテナ
ンスも容易であるため至便性に富み、実用性が極めて高
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例装置の設置位置を示す説明図である。

【図２】実施例装置の全体を示す斜視図である。

【図３】実施例装置の駆動状態を示す説明図である。

【図４】本発明に用いられる増幅レバーの小孔形状を示
す説明図である。

【符号の説明】

１…紡出スライバー ５及び６…ローラー対 ３１…増幅レバー ３２…小孔 ３３…非接触型感知作用出力装置 ３４…非接触型感知作用入力装置 ３５…感知作用軸

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 紡出スライバー（１）の太さに応答して
   その間隙が変位する上下又は左右一対の回転把持ローラ
   ー対（５）（６）と、該ローラー対（５）（６）の一方
   （６）にその一端が固着し、前記間隙の変位を増幅して
   他端に伝える増幅レバー（３１）と、該増幅レバー（３
   １）の他端により作動する非接触型感知作用入出力装置
   （３３）（３４）からなり、該入出力装置（３３）（３
   ４）が、スライバー（１）走行用の駆動源に連結してい
   ることを特徴とする紡出スライバーの太さ斑感知装置。