JPH05331817A - 濁水通過型防波構造体 - Google Patents

濁水通過型防波構造体

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JPH05331817A
JPH05331817A JP16222792A JP16222792A JPH05331817A JP H05331817 A JPH05331817 A JP H05331817A JP 16222792 A JP16222792 A JP 16222792A JP 16222792 A JP16222792 A JP 16222792A JP H05331817 A JPH05331817 A JP H05331817A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 河川の河口が形成された港内領域を静穏領域
とし、かつ、河川より港内に流出した土砂を含む濁水
を、港内より港外に排出できる防波構造体を提供するこ
と。 【構成】 濁水通過型ケーソン10は、河川42の河口
42aと対向する海域40に配置される。このケーソン
10で仕切られる港内44に臨む内表面12には第1開
口22が形成され、港外46に臨む外表面14には第2
開口24が形成され、両開口を結ぶ濁水通過孔20が設
けられている。第1開口22は第2開口24よりも高い
位置に形成され、港外46の波の進退による外表面14
付近での水位の変動に伴い、港内44に流出した濁水を
濁水通過孔20を介して港外46に排出する。この濁水
の通過効果は、波反射面18にて下方に反射された波を
波流入口30を介して濁水通過孔20に流入させること
で促進される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は防波構造体に関し、特に
河川の河口と対向する港内領域に配置される濁水通過型
防波構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】港外からの波を防ぎ、港内を静穏領域に
確保する防波構造体として、下記の2つのタイプが知ら
れている。
【0003】その1つは、ケーソンと称されるもので、
海底の捨て石マウンド上に設置されるプレキャスト製の
コンクリート構造体である。このケーソンは、海底から
水面上方に伸びる垂直な壁を形成し、港外からの波を防
波する構造となっている。
【0004】他の1つは、杭式消波構造体であり、海底
に打ち込み固定される垂直杭に、消波板を固定したもの
である。この消波板は、表面から裏面に貫通する多数の
消波孔を有し、ケーソンのように海底から海面の上方に
伸びる壁を形成するものではなく、波力エネルギーの高
い海域の表層と対応する領域のみ設置されるものであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の防
波構造体を河川、特に大規模な河川の河口が形成された
港内に配置した場合には、下記のような問題が生ずる。
【0006】例えば、ケーソンタイプの防波構造体を河
口と対向する港内領域に設置した場合には、このケーソ
ンは港外からの波を防いで港内を静穏領域に確保できる
が、その一方で、河川から流出する河川水の流れをも塞
き止めてしまう。この河川水は大量の土砂を含んだ濁水
であるため、河川水の流れを塞き止めることで、港内に
大量の土砂が堆積してしまう。この結果、船舶が港内を
通過するに十分な水深を確保できなくなってしまう。さ
らに、周辺の底質環境の悪化も予想される。
【0007】この種のケーソンタイプの防波構造体とし
て、港内外の海水の交換を行って港内の汚染を防止する
ものがある。しかし、この種のケーソンタイプの場合に
あっては、波圧力の作用により港外から港内に向かう流
れが主となり、河川から流出する濁水を港外に導く作用
はさほど期待できない。
【0008】一方、杭式消波構造体をその種の港内領域
に設置した場合にも、河川から流出する濁水は消波板に
より塞き止められてしまう。濁水は、特に海域の表層に
強い流れが形成されるため、杭式消波構造体の海底付近
は港内外が連通したとしても、海域の表層に強い流れが
形成される濁水流は消波板により塞き止められ、結果と
してケーソンタイプの防波構造体を設置した場合と同様
な問題が生ずる。
【0009】そこで、本発明の目的とするところは、港
外からの波を防いで港内を静穏領域に確保できると共
に、河川から流出する濁水を港外に通過させることがで
き、もって港内に大量の土砂が堆積することのない濁水
通過型防波構造体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、河川
の河口と対向する港内領域に配置される濁水通過型防波
構造体であって、港外に臨んだ外表面と、港内側に臨ん
だ内表面と、前記内表面に開口する第1開口から、この
第1開口より低い位置にて前記外表面に開口する第2開
口に連通する濁水通過孔と、を有することを特徴とす
る。
【0011】請求項2の発明は、請求項1の構成に加え
て更に、前記外表面の上端より港内側に向けて伸びる波
案内面と、この波案内面により案内された波を下方に向
けて反射する波反射面と、前記波案内面に開口する第3
開口より、前記濁水通過孔の途中に開口する第4開口に
連通し、前記波反斜面にて反射された波を前記濁水通過
孔に流入させる波流入孔と、を設けたことを特徴とす
る。
【0012】請求項3の発明は、請求項1の構成に加え
て更に、前記内表面の上端より港外側に向けて伸びる段
差面を有し、前記濁水通過孔の前記第1開口が前記段差
面に開口していることを特徴とする。
【0013】
【作用】請求項1の発明によれば、港外からの波は防波
構造体の外表面によって防止され、港内領域を静穏に確
保できる。また、防波構造体の外表面から内表面に連通
する通過孔が設けられているが、内表面に開口する第1
開口は、外表面に開口する第2開口よりも高い位置にあ
る。従って、港外から港内に向かう海水の通過経路は上
昇経路となり、その一方、港内から港外に向かう海水の
通過経路は下降経路となる。このような経路を形成する
ことにより、比較的水深の深い位置にある第2開口付近
の海水の波力エネルギーは小さく、たとえ港外から港内
に向かう流れが、波圧力により付勢されたとしても、こ
の流れは自然力に反する方向になるため、港外から港内
への海水の流入を低減できる。その一方で、港内から港
外へ向かう通過孔は下降経路となり、特に波が引いた際
の水位差および吸引力を利用して水位の高い港内側から
水位の低くなった港外側に向けて、海域の特に表層の濁
水を通過させることができる。
【0014】請求項2の発明によれば、港外側からの波
は波案内面により導かれ、波反斜面により反射されて、
第3開口,波流入孔および第4開口を介して濁水通過孔
に導かれ、港内から港外へ向かう濁水流の排出効果を促
進することができる。
【0015】請求項3の発明によれば、濁水が海域の表
層に形成されることに着目し、この表層の濁水は段差面
に開口する第1開口より、濁水通過孔を介して、港外の
第2開口を介して流出する。
【0016】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について図面
を参照して具体的に説明する。
【0017】第一実施例 まず、本実施例に係る防波構造体が設置される領域につ
いて、図3を参照して説明する。
【0018】図3に示すように海域40に臨む港岸には
河川42の河口42aが形成されている。海域40を港
内44および港外46に仕切るための防波堤50aが形
成され、この防波堤50aの延長線上であって、河口4
2aと対向する設置領域52に、実施例に係る濁水通過
型防波構造体が複数設置される。この設置領域52に設
置される防波構造体により、同図の矢印54方向に進む
波の浸入を防止すると共に、同図の矢印56に示す濁水
流を港内44より港外46に通過させるものである。な
お、図中の防波堤50bは、港湾48を更に静穏領域に
確保するためのものである。
【0019】次に、図3の設置領域52に設置される濁
水通過型ケーソン10の構造について図1および図2を
参照して説明する。
【0020】このケーソン10は、設置領域52に形成
された基礎捨石58上に設置され、港内44に臨む内表
面12と、港外46に臨む外表面14を有している。外
表面14の上端14aは、内表面12の上端12aより
低く形成され、外表面14の上端14aより港内44に
向けて、たとえば斜め上方に傾斜した傾斜面16aおよ
び水平面16bから成る波案内面16が設けられてい
る。更に、波案内面16の後端16cより上方にのびる
波反射面18が設けられ、この波反射面18は上端に向
かうに従い港外46側に傾いて湾曲形成されている。
【0021】内表面12および外表面14を貫通する濁
水通過孔20が例えば2つ設けられ、この濁水通過孔2
0の一方の開口端すなわち内表面12に開口する第1開
口22よりも、他方の開口端すなわち外表面14に開口
する第2開口24は、鉛直方向にて低い位置に形成され
ている。なお、第1開口22の口径は、好ましくは濁水
層の厚さより大きく、また、港内44の平均水位Lが第
1開口22の口径の範囲内にあることが好ましい。この
濁水通過孔20は、第1開口22よりケーソン10のほ
ぼ中心まで直線的に連通する直線通路26と、この直線
通路26の端部より第2開口24に向けて下方に湾曲し
て連通する湾曲通路28とを有している。 更に、波案
内面16の水平面16bより濁水通過孔20に貫通する
波流入孔30が設けられている。この波流入孔30の一
方の開口端である第3開口が波案内面16に開口し、そ
の他方の開口である第4開口34が濁水通過孔20の流
路途中に開口している。なお、図1(B)に示す断面図
にて、湾曲通路28および波流入孔30とで仕切られる
波受けブロック36が、特に波力エネルギーの高い港外
46の表層付近の波を反射するのに寄与する。したがっ
て、この波受けブロック36は、濁水通過孔20の内の
直線通路26の延長線上に配置するのが好ましい。
【0022】上述した構造の濁水通過型ケーソン10
を、河川42の河口42aと対向する港内領域に配置す
ることで、図3の矢印54方向より波が到達しても、ケ
ーソン10の外表面14にてこれを反射し、港内44を
静穏領域に確保できる。特に、エネルギーの高い海域の
表層の波は、外表面14の内の波受けブロック36ある
いは波反斜面18にて押し返すことができる。この内、
波受けブロック36は濁水通過孔20の直線通路26の
延長上に存在するため、波が直線通路20に浸入するこ
とを防止でき、港外46の海水が港内44側に向けて逆
流することを防止できる。
【0023】一方、図3の河川42より河口42aを介
して港内44に流出した濁水は、多量の土砂を含み、特
にこの流れは海域の表層において強い流れを形成する。
このこの濁水流は、河口42aと対向する位置に配置さ
れたケーソン10の内表面12に到達し、しかも、海域
の表層付近にて内表面12に形成された濁水通過孔20
の第1開口22に到達することになる。ところで、この
ケーソン10の外表面14側では、波が繰り返し押し寄
せ、波の進退に伴って、外表面14近傍の港外46の水
位が変動することになる。特に、波が引いた際には、こ
の水位は港内44側よりも低くなり、それに伴って、港
内44側の海水を港外46側に引き込む吸引力を生ず
る。この結果、ケーソン10の内表面12に到達した濁
水は、濁水通過孔20の第1開口22より、図1(B)
の矢印60方向に沿って浸入し、この第1開口22より
も高さ方向にて低い位置に形成された第2開口24に向
かって、同図の矢印64方向に沿って進行することにな
り、この濁水が港内44より港外46に通過されること
になる。一方、波がケーソン10の外表面14に押し寄
せた際には、エネルギーの高い表層付近の波は波受けブ
ロック36および波反射面18に反射され、エネルギー
の低い第2開口24付近の海水は、濁水通過孔20を図
1(B)の矢印66方向に沿って逆流するエネルギーが
低くなっている。しかも、この第2開口24に続く濁水
通過孔20は上方に湾曲する湾曲通路28として形成さ
れているので、その通路28に沿って浸入する海水のエ
ネルギーが減衰され、港内44側に到達することを防止
できる。
【0024】更に加えて、本実施例では、外表面14に
押し寄せた波のエネルギーの一部を利用して、港内44
より港外46に向けて濁水が排出される効果を促進して
いる。エネルギーの高い表層の波の一部は、波案内面1
6より案内されて波反斜面18に到達する。この波反射
面18に到達した波の一部は、鉛直下方に向かう方向に
反射される。この波反射面18の下方には第3開口32
が開口しており、この開口32より浸入した波は、波流
入孔30およびその他端の第4開口34を介して、図1
(B)の矢印62で示すように濁水通過孔20の途中よ
り流入することになる。この流入した波は、濁水通過孔
20の内の湾曲通路28に沿って再び港外46に流れ込
み、この流れの形成により濁水が港内44より港外46
に排出される効果を促進することができる。
【0025】第2実施例 図4(A),(B)に示す濁水通過型ケーソン70は、
港内44に臨む内表面72の上端72aの高さが、港外
46に臨む外表面74の上端74aよりも低くなってい
る。そして、内表面72の上端72aより港外46側に
向けて例えば、水平に伸びる段差面76を有している。
この濁水通過型ケーソン70には、2列3段の濁水通過
孔80が計6つ設けられ、上段の濁水通過孔を80aと
し、中段の濁水通過孔を80bとし、下段の濁水通過孔
を80cとしている。各濁水通過孔80の内表面72に
開口する第1開口82の高さが、外表面74に開口する
第2開口84の高さよりも高くなっている。更に、上段
の濁水通過孔80aの第1開口82aは、段差面76に
開口しており、他の2つの濁水通過孔80b,80cの
第1開口82b,82cは、内表面72に開口してい
る。
【0026】このような濁水通過型ケーソン70によっ
ても、図3の矢印54方向に向かう波は、外表面74に
より反射されて、港内44を静穏領域に確保できる。更
に、濁水通過孔82は、港内44側に開口した第1開口
82より下降傾斜して、港外46側に開口する第2開口
84に向かっているので、第1実施例と同様に、港内4
4に流出した濁水を港外46に排出でき、港外46より
押し寄せる波を港内44に流入させることがない。特
に、上段の濁水通過孔80aの第1開口82aは、濁水
の取り入れ口が上向きとなっていることから、海域の表
層の濁水が容易に第1開口82aに取り入れられ、港外
46への排出を促進することができる。
【0027】第3実施例 第1,第2実施例を組合わせた第3実施例に係る濁水通
過型ケーソン90は、図5(A),(B)に示すよう
に、内表面92の上端92aに続いて段差面100が形
成され、外表面94の上端94aに続いて例えば傾斜し
た波案内面96が形成される。上段の濁水通過孔110
は、港内44側に開口する第1開口112が段差面10
0に形成され、港外46側に開口する第2開口114
は、第1開口112よりも低い位置にて外表面94に形
成され、港内44より港外46に連通した下降傾斜通路
として構成されている。波案内面96の後方には、第1
実施例と同様に波反射面98が形成されている。波反射
面98で鉛直下方に反射された波を取り入れるために、
一端が波案内面96に開口する第3開口122とされ、
他端が濁水通過孔110の途中に開口する第4開口12
4とした波流入孔120が設けられている。
【0028】上記構造の第3実施例に係る濁水通過型ケ
ーソン90によれば、第1実施例および第2実施例を組
合わせた作用効果を確保することができ、港内44側を
静穏領域とすると共に、河川20より港内44に流出し
た濁水を、効率よく港外46に排出することが可能とな
る。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、防
波構造体の相対向する面に貫通する濁水通過孔は、港内
からの濁水を効果的に港外に排出でき、しかも、港外か
らの波はこの通過孔を通りにくい構造となっているの
で、防波により港内領域を静穏に確保できると共に、土
砂を含んだ濁水を効率よく港外に排出して、港内に土砂
が堆積することを防止できる。従って、港内を船舶が通
過するに足る水深を常に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は、第1実施例に係る濁水通過
型ケーソンの正面図および断面図である。
【図2】第1実施例に係る濁水通過型ケーソンの概略斜
視図である。
【図3】実施例に係る濁水通過型ケーソンが配置される
海域を説明する概略説明図である。
【図4】(A),(B)は、第2実施例に係る濁水通過
型ケーソンの正面図および断面図である。
【図5】第3実施例に係る濁水通過型ケーソンの断面図
である。
【符号の説明】
10,70,90 濁水通過型ケーソン 12,72,92 内表面 14,74,94 外表面 16,96 波案内面 18,98 波反射面 20,80,110 濁水通過孔 22,82,112 第1開口 30,120 波流入孔 32,122, 第3開口 34,124 第4開口 42 河川 42a 河口 44 港内 46 港外
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 桂司 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 河川の河口と対向する港内領域に配置さ
    れる濁水通過型防波構造体であって、 港外に臨んだ外表面と、 港内側に臨んだ内表面と、 前記内表面に開口する第1開口から、この第1開口より
    低い位置にて前記外表面に開口する第2開口に連通する
    濁水通過孔と、を有することを特徴とする濁水通過型防
    波構造体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記外表面の上端より港内側に向けて伸びる波案内面
    と、 この波案内面により案内された波を下方に向けて反射す
    る波反射面と、 前記波案内面に開口する第3開口より、前記濁水通過孔
    の途中に開口する第4開口に連通し、前記波反斜面にて
    反射された波を前記濁水通過孔に流入させる波流入孔
    と、 を設けたことを特徴とする濁水通過型防波構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記内表面の上端より港外側に向けて伸びる段差面を有
    し、前記濁水通過孔の前記第1開口が前記段差面に開口
    していることを特徴とする濁水通過型防波構造体。
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WO2013038721A1 (ja) * 2011-09-13 2013-03-21 Kamiya Minoru 海流・潮流・波浪を含む自然エネルギーを利用する発電構造物及び消波反転誘導曲面柱水路構造物

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