JPH0533178A - チタン基体不溶性電極及びその製造方法 - Google Patents
チタン基体不溶性電極及びその製造方法Info
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- JPH0533178A JPH0533178A JP3207243A JP20724391A JPH0533178A JP H0533178 A JPH0533178 A JP H0533178A JP 3207243 A JP3207243 A JP 3207243A JP 20724391 A JP20724391 A JP 20724391A JP H0533178 A JPH0533178 A JP H0533178A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】苛酷な環境条件の海水や溶液の電解に用いる高
い不溶性と耐久性を有するチタン基体貴金属被覆不溶性
電極とその製造方法を現出するものである。 【構成】白金、或いは、白金族元素を所定量添加して配
合した白金合金製のワイヤー電極を用いてチタン基体を
所定形状にワイヤー放電加工により形成するプロセスに
おいて放電現象により白金合金がチタン基体に対し相互
に拡散した状態で放散し強固な不溶性の高い非晶質を含
む強固な金属表面となり、その際、水等の電解液が白金
族元素添加白金合金とチタン基体の双方を急速に冷却す
ることにより急冷凝固表面金属が形成される。 【効果】チタン基体と白金族元素添加白金合金の相互拡
散を伴った急冷凝固金属が出来ることにより不溶性が高
く、剥離が生ぜず、在来態様に比し消耗量が著しく少い
不溶性のチタン基体電極を得ることが出来、ワイヤー電
極も再加工して利用することが出来、加工液中に飛散し
た電極材も回収出来、製造歩留りが良く、著しく経済性
を高くすることが出来る。
い不溶性と耐久性を有するチタン基体貴金属被覆不溶性
電極とその製造方法を現出するものである。 【構成】白金、或いは、白金族元素を所定量添加して配
合した白金合金製のワイヤー電極を用いてチタン基体を
所定形状にワイヤー放電加工により形成するプロセスに
おいて放電現象により白金合金がチタン基体に対し相互
に拡散した状態で放散し強固な不溶性の高い非晶質を含
む強固な金属表面となり、その際、水等の電解液が白金
族元素添加白金合金とチタン基体の双方を急速に冷却す
ることにより急冷凝固表面金属が形成される。 【効果】チタン基体と白金族元素添加白金合金の相互拡
散を伴った急冷凝固金属が出来ることにより不溶性が高
く、剥離が生ぜず、在来態様に比し消耗量が著しく少い
不溶性のチタン基体電極を得ることが出来、ワイヤー電
極も再加工して利用することが出来、加工液中に飛散し
た電極材も回収出来、製造歩留りが良く、著しく経済性
を高くすることが出来る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】開示技術は、各種の電解処理に用
いられるチタン基体に貴金属を被覆した不溶性電極とそ
の製造の技術分野に属する。
いられるチタン基体に貴金属を被覆した不溶性電極とそ
の製造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、淡水化を図る海水を電解、
自動車製造業等の工業における硫酸浴中や高腐蝕性溶液
の電解等が広く用いられているが、その際溶液による経
時的な化学的腐蝕や通電時の電気化学的変化等が生じる
苛酷な環境条件下で通電機能が変化しない電極、就中、
アノードが必要であり、そこで電極には秀れた不溶性と
耐久性を具備する電極特性が要求されるようになってき
ている。
自動車製造業等の工業における硫酸浴中や高腐蝕性溶液
の電解等が広く用いられているが、その際溶液による経
時的な化学的腐蝕や通電時の電気化学的変化等が生じる
苛酷な環境条件下で通電機能が変化しない電極、就中、
アノードが必要であり、そこで電極には秀れた不溶性と
耐久性を具備する電極特性が要求されるようになってき
ている。
【0003】かかる特性を具備する不溶性電極として、
耐蝕性金属であるチタンの基体に貴金属である白金、或
いは、白金族元素添加白金合金を所定厚さに被覆した電
極が用いられている。
耐蝕性金属であるチタンの基体に貴金属である白金、或
いは、白金族元素添加白金合金を所定厚さに被覆した電
極が用いられている。
【0004】そして、かかる貴金属の被覆方法として
は、これまでメッキ、或いは、クラッド、更には焼付等
の手段が用いられている。
は、これまでメッキ、或いは、クラッド、更には焼付等
の手段が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のいずれの被覆方法によっても、チタン基体と被覆貴金
属との密着性が不充分であったり不完全であるために電
極として使用すると、電気化学的に境界部が溶解し、そ
の結果、物理的機械的強度が低下する不都合さがあり、
極端な場合、不測にして剥離する虞がある欠点を有して
おり、そのため、業界にあっては優れた不溶性と耐久性
を有する電極の開発が強く望まれている。
のいずれの被覆方法によっても、チタン基体と被覆貴金
属との密着性が不充分であったり不完全であるために電
極として使用すると、電気化学的に境界部が溶解し、そ
の結果、物理的機械的強度が低下する不都合さがあり、
極端な場合、不測にして剥離する虞がある欠点を有して
おり、そのため、業界にあっては優れた不溶性と耐久性
を有する電極の開発が強く望まれている。
【0006】
【発明の基礎的背景】一方、機械製造業に於いては当業
者に周知の如く形状が複雑で加工が煩瑣な機械装置部品
や材質的に成形困難な金型の加工等に放電加工技術が広
く利用されている。
者に周知の如く形状が複雑で加工が煩瑣な機械装置部品
や材質的に成形困難な金型の加工等に放電加工技術が広
く利用されている。
【0007】該種放電加工のうちのワイヤー放電加工
は、所定の金属製の細径のワイヤーを電極として使用
し、該ワイヤー電極に所定の張力を印加した状態で被加
工物に対して相対的に移動しながら該被加工物とワイヤ
ー電極間に水等の加工液を介して放電を発生させ、この
放電エネルギーで被加工物を所定形状に加工するもので
ある。
は、所定の金属製の細径のワイヤーを電極として使用
し、該ワイヤー電極に所定の張力を印加した状態で被加
工物に対して相対的に移動しながら該被加工物とワイヤ
ー電極間に水等の加工液を介して放電を発生させ、この
放電エネルギーで被加工物を所定形状に加工するもので
ある。
【0008】ところで、出願人はかねてよりこの放電加
工の周辺技術を実験的にも、理論的にもさまざまな角度
から試行錯誤的に研究していたものであるが、当業者と
して前記電解用の不溶性電極の開発を模索していたとこ
ろからワイヤー放電加工において、被加工物にチタン基
体を、ワイヤー電極に白金、或いは、白金族元素添加白
金合金材を用いた実験を行ったところチタン基体に該白
金、或いは、白金族元素添加白金合金材が層状に強固に
付着した結果を知見し、更に体系的試験分析を重ねて以
下のようなメカニズムを解明し、電解用不溶性電極の開
発を実用化レベルまで達成することが出来た。
工の周辺技術を実験的にも、理論的にもさまざまな角度
から試行錯誤的に研究していたものであるが、当業者と
して前記電解用の不溶性電極の開発を模索していたとこ
ろからワイヤー放電加工において、被加工物にチタン基
体を、ワイヤー電極に白金、或いは、白金族元素添加白
金合金材を用いた実験を行ったところチタン基体に該白
金、或いは、白金族元素添加白金合金材が層状に強固に
付着した結果を知見し、更に体系的試験分析を重ねて以
下のようなメカニズムを解明し、電解用不溶性電極の開
発を実用化レベルまで達成することが出来た。
【0009】かかるワイヤー放電加工により生じるチタ
ン基体への白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極
材の付着による被覆現象は、ワイヤー放電加工時の放電
現象によりワイヤー電極からの当該電極材の放散転移を
介して生じるもの(したがって、当然のことながらワイ
ヤー電極の消耗量がチタン基体への付着被覆量にな
る。)であることが慎重を期して反復した実験分析から
確かめられたものであり、しかも、放電現象であるため
に付着した白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極
材とチタン基体との界面に、相互に亘る拡散を伴った強
固な結合が存在する事実が確認され、加えて、この放電
現象によって生じる被覆厚さは、ワイヤー放電加工条件
を変化することによって任意に変えることが出来ること
も実験により見出だした。
ン基体への白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極
材の付着による被覆現象は、ワイヤー放電加工時の放電
現象によりワイヤー電極からの当該電極材の放散転移を
介して生じるもの(したがって、当然のことながらワイ
ヤー電極の消耗量がチタン基体への付着被覆量にな
る。)であることが慎重を期して反復した実験分析から
確かめられたものであり、しかも、放電現象であるため
に付着した白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極
材とチタン基体との界面に、相互に亘る拡散を伴った強
固な結合が存在する事実が確認され、加えて、この放電
現象によって生じる被覆厚さは、ワイヤー放電加工条件
を変化することによって任意に変えることが出来ること
も実験により見出だした。
【0010】更に、ワイヤー放電により生じるチタン基
体への白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極材の
拡散を伴った付着は、放電加工における加工液である水
が放電加工により生じたチタン基体溶融金属を飛散さ
せ、極間外に除去すると共に、放電現象により生ずる拡
散を伴った溶融状態の白金、或いは、白金族元素添加白
金合金電極材とチタン基体の双方を急速に冷却するため
に、極めて不溶性の高い非晶質を含む急冷凝固表面金属
となっている事実も実験により確認された。
体への白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極材の
拡散を伴った付着は、放電加工における加工液である水
が放電加工により生じたチタン基体溶融金属を飛散さ
せ、極間外に除去すると共に、放電現象により生ずる拡
散を伴った溶融状態の白金、或いは、白金族元素添加白
金合金電極材とチタン基体の双方を急速に冷却するため
に、極めて不溶性の高い非晶質を含む急冷凝固表面金属
となっている事実も実験により確認された。
【0011】このことによって、上記ワイヤー放電加工
によるチタン基体への白金、或いは、白金族元素添加白
金合金付着を介しての電極材をかねてより模索していた
電解用不溶性電極への転用技術として応用研究への可能
性を見出だしたものである。
によるチタン基体への白金、或いは、白金族元素添加白
金合金付着を介しての電極材をかねてより模索していた
電解用不溶性電極への転用技術として応用研究への可能
性を見出だしたものである。
【0012】又、ワイヤー放電により生ずるチタン基体
への白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極材の拡
散を伴った付着による被覆金属が、急速冷却により非晶
質を含む急冷凝固表面金属の状態となっていることか
ら、電解用電極としての評価方法であるアノード特性試
験によって従来の白金メッキチタン基体電極材と比較し
極めて消耗量が小さい不溶性電極となる事実を実験分析
により確認出来た。
への白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極材の拡
散を伴った付着による被覆金属が、急速冷却により非晶
質を含む急冷凝固表面金属の状態となっていることか
ら、電解用電極としての評価方法であるアノード特性試
験によって従来の白金メッキチタン基体電極材と比較し
極めて消耗量が小さい不溶性電極となる事実を実験分析
により確認出来た。
【0013】
【発明の目的】この出願の発明の目的は、上述全く異な
る分野の技術を巧みに利用し、ワイヤー放電加工機にお
ける放電現象が被加工物表面への電極材料の強固な付着
を伴い、更に付着した電極材料は加工液を用いて急速に
冷却されることを見出だし、従来よりこの分野の常識で
あった電極材料概念を覆す、他に類を見ない極めて特徴
的な電解技術としての優れたチタン基体不溶性電極を提
供するものである。
る分野の技術を巧みに利用し、ワイヤー放電加工機にお
ける放電現象が被加工物表面への電極材料の強固な付着
を伴い、更に付着した電極材料は加工液を用いて急速に
冷却されることを見出だし、従来よりこの分野の常識で
あった電極材料概念を覆す、他に類を見ない極めて特徴
的な電解技術としての優れたチタン基体不溶性電極を提
供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段・作用】上述目的に沿い先
述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成
は、前述課題を解決するために、白金、或いは、白金族
元素添加白金合金をワイヤー電極とし、チタン基体を被
加工物とし、被加工液を介してワイヤー放電加工して所
定形状の電極に成形加工してチタン基体不溶性電極と
し、該チタン基体不溶性電極はワイヤー電極材をチタン
基体に対し相互拡散を伴った非晶質を含む急冷凝固表面
金属層として被覆され、加工液がチタン基体とワイヤー
電極を急冷し、強固な被覆層を形成し、該被覆層の厚み
は放電加工条件により変えることが出来、ワイヤー電極
は加工後再利用し、加工液中に飛散したワイヤー電極材
は回収利用出来るようにした技術的手段を講じたもので
ある。
述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成
は、前述課題を解決するために、白金、或いは、白金族
元素添加白金合金をワイヤー電極とし、チタン基体を被
加工物とし、被加工液を介してワイヤー放電加工して所
定形状の電極に成形加工してチタン基体不溶性電極と
し、該チタン基体不溶性電極はワイヤー電極材をチタン
基体に対し相互拡散を伴った非晶質を含む急冷凝固表面
金属層として被覆され、加工液がチタン基体とワイヤー
電極を急冷し、強固な被覆層を形成し、該被覆層の厚み
は放電加工条件により変えることが出来、ワイヤー電極
は加工後再利用し、加工液中に飛散したワイヤー電極材
は回収利用出来るようにした技術的手段を講じたもので
ある。
【0015】
【実施例】次に、この出願の発明の実施例を図面を参照
して実験に基づいて説明すれば以下の通りである。
して実験に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0016】この出願の発明の電解用の不溶性電極を製
造するべく具体的装置としては、通常一般のワイヤー放
電加工機でよいが、又、電極である貴金属ワイヤーは白
金、及び、白金族元素を所定量添加配合した白金合金と
を周公知の在来技術である溶解、加工方法を用いて作製
した。
造するべく具体的装置としては、通常一般のワイヤー放
電加工機でよいが、又、電極である貴金属ワイヤーは白
金、及び、白金族元素を所定量添加配合した白金合金と
を周公知の在来技術である溶解、加工方法を用いて作製
した。
【0017】より具体的態様としては、アーク溶解にて
素材金属を溶解後、通常の鋳造、熱処理、伸線加工手段
により直径0.2mm、長さ3000mの所定形状長さ
の線材を作製した。
素材金属を溶解後、通常の鋳造、熱処理、伸線加工手段
により直径0.2mm、長さ3000mの所定形状長さ
の線材を作製した。
【0018】白金族添加元素としては、パラジウム、イ
リジウム、ロジウム、ルテニウムがワイヤー電極として
の線材の機械的特性とチタン基体への被覆後の耐摩耗
性、及び、不溶性に良好であり、又、加工性の点からそ
の添加量は30%以下が理想的であることを実験により
確認した。
リジウム、ロジウム、ルテニウムがワイヤー電極として
の線材の機械的特性とチタン基体への被覆後の耐摩耗
性、及び、不溶性に良好であり、又、加工性の点からそ
の添加量は30%以下が理想的であることを実験により
確認した。
【0019】又、電解用電極の基体であるチタン材料は
加工率30%の幅100mm、長さ100mm、厚さ2
0mmの純チタン材、及び、AMS4930チタン合金
を用いたが、形状、及び、加工率、更には材質は任意に
選択出来、しかも、被覆材の物理的、機械的、電気化学
的特性に変化のないことを実験により確認した。
加工率30%の幅100mm、長さ100mm、厚さ2
0mmの純チタン材、及び、AMS4930チタン合金
を用いたが、形状、及び、加工率、更には材質は任意に
選択出来、しかも、被覆材の物理的、機械的、電気化学
的特性に変化のないことを実験により確認した。
【0020】ワイヤー放電加工条件はそれぞれの条件変
化範囲をパルス幅を0.15〜1.85μs、パルス休
止時間を2〜16μs、電流波高値を4.5〜58A、
無負荷電圧を30〜100V、ワイヤー送り速度を8〜
15m/min、ワイヤー電極の張力を0.1〜0.5
kgf、被覆加工速度を0.1〜1mm/minとして
行い、チタン基体表面に白金、或いは、白金族元素添加
白金合金が強固に拡散を伴い被覆されていることを確認
し、加えて、この拡散を伴い被覆された金属が非晶質を
含む急冷凝固表面金属となっていることが確認され、こ
の際ワイヤー放電加工条件が極めて不溶性の高い電極を
製造するきめ手になることも実験により確認した。
化範囲をパルス幅を0.15〜1.85μs、パルス休
止時間を2〜16μs、電流波高値を4.5〜58A、
無負荷電圧を30〜100V、ワイヤー送り速度を8〜
15m/min、ワイヤー電極の張力を0.1〜0.5
kgf、被覆加工速度を0.1〜1mm/minとして
行い、チタン基体表面に白金、或いは、白金族元素添加
白金合金が強固に拡散を伴い被覆されていることを確認
し、加えて、この拡散を伴い被覆された金属が非晶質を
含む急冷凝固表面金属となっていることが確認され、こ
の際ワイヤー放電加工条件が極めて不溶性の高い電極を
製造するきめ手になることも実験により確認した。
【0021】又、このようにして作製された白金、或い
は、白金族元素添加白金合金が被覆されたチタン基体不
溶性電極は、一般の走査型電子顕微鏡により表面検鏡観
察を行うと共に、同様に一般の表面荒さ計により、表面
荒さを測定し、更に、これまた一般の蛍光X線膜厚計を
用い電極材被覆層の厚さを測定し、加えて、同様一般の
X線回折装置を用い被覆材質調査を行い、最後にテープ
テスト、及び、繰返し折曲げ試験による被覆材剥離強度
試験を行った結果、チタン基体不溶性電極として必要な
物理的、機械的特性を満足する電極であることを確認し
た。
は、白金族元素添加白金合金が被覆されたチタン基体不
溶性電極は、一般の走査型電子顕微鏡により表面検鏡観
察を行うと共に、同様に一般の表面荒さ計により、表面
荒さを測定し、更に、これまた一般の蛍光X線膜厚計を
用い電極材被覆層の厚さを測定し、加えて、同様一般の
X線回折装置を用い被覆材質調査を行い、最後にテープ
テスト、及び、繰返し折曲げ試験による被覆材剥離強度
試験を行った結果、チタン基体不溶性電極として必要な
物理的、機械的特性を満足する電極であることを確認し
た。
【0022】上述の如く、チタン基体に対する白金、或
いは、白金族元素添加白金合金の被覆厚さはワイヤー放
電加工条件を変化することによって任意に設定すること
が可能であり、又、被覆材の結合強度も従来のメッキよ
りも強固なものであることが分かる。
いは、白金族元素添加白金合金の被覆厚さはワイヤー放
電加工条件を変化することによって任意に設定すること
が可能であり、又、被覆材の結合強度も従来のメッキよ
りも強固なものであることが分かる。
【0023】この強固な結合強度の技術的理由は、ワイ
ヤー放電加工により生ずる必然的な放電現象によりチタ
ン基体と白金電極材の界面に拡散を伴った強固な結合が
存在することによる。
ヤー放電加工により生ずる必然的な放電現象によりチタ
ン基体と白金電極材の界面に拡散を伴った強固な結合が
存在することによる。
【0024】又、この出願の発明の製造方法により作製
された白金、或いは、白金族元素添加白金合金が被覆さ
れたチタン基体不溶性電極は、アノード特性評価方法で
ある25℃の1mol/l硫酸水溶液と1mol/l硫
酸ナトリウムを含む水溶液中にて、カソードに白金、ア
ノードにチタン基体不溶性電極供試材を用いて電流密度
100A/dm2 の定電流電解試験を行った結果、アノ
ード特性について従来技術による白金メッキチタン基体
不溶性電極と比較し極めて消耗量が少ない理想的な不溶
性電極であることを実験により確認された。
された白金、或いは、白金族元素添加白金合金が被覆さ
れたチタン基体不溶性電極は、アノード特性評価方法で
ある25℃の1mol/l硫酸水溶液と1mol/l硫
酸ナトリウムを含む水溶液中にて、カソードに白金、ア
ノードにチタン基体不溶性電極供試材を用いて電流密度
100A/dm2 の定電流電解試験を行った結果、アノ
ード特性について従来技術による白金メッキチタン基体
不溶性電極と比較し極めて消耗量が少ない理想的な不溶
性電極であることを実験により確認された。
【0025】この消耗量が極めて小さいという根拠は、
前述の如く放電加工における加工液である水がワイヤー
放電加工時の放電現象により生ずるチタン基体表面への
拡散を伴った溶融状態の電極材を急速に冷却する為に、
極めて不溶性の非晶質を含む急冷凝固表面金属となって
いることに他ならない。
前述の如く放電加工における加工液である水がワイヤー
放電加工時の放電現象により生ずるチタン基体表面への
拡散を伴った溶融状態の電極材を急速に冷却する為に、
極めて不溶性の非晶質を含む急冷凝固表面金属となって
いることに他ならない。
【0026】又、この出願の発明の製造方法による白
金、或いは、白金族元素添加白金合金ワイヤー電極の消
耗率はチタン基体に対する付着被覆量に等しく、又、使
用済みのワイヤー電極は適宜に再加工して再利用出来、
更に、加工液中に飛散した電極材もすべて回収可能であ
り、したがって、結果的に経済性の高いことも立証出来
た。
金、或いは、白金族元素添加白金合金ワイヤー電極の消
耗率はチタン基体に対する付着被覆量に等しく、又、使
用済みのワイヤー電極は適宜に再加工して再利用出来、
更に、加工液中に飛散した電極材もすべて回収可能であ
り、したがって、結果的に経済性の高いことも立証出来
た。
【0027】上述実施例に則す具体的実験例を以下に示
す。
す。
【0028】
【実験例】チタン基体、及び、電極材材質、更にはワイ
ヤー放電加工条件を次の表1に示す。
ヤー放電加工条件を次の表1に示す。
【0029】
【表1】
又、作製されたチタン基体への白金、或いは、白金族元
素添加白金合金の付着被覆厚さ、及び、表面荒さ、更に
は被覆材剥離試験結果を次の表2に示す。
素添加白金合金の付着被覆厚さ、及び、表面荒さ、更に
は被覆材剥離試験結果を次の表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】実験に基づく5ミクロンの電極材被覆厚さ
を得る理想的なワイヤー放電加工条件である番号1の実
験例は、パルス幅を0.3μs、パルス休止時間を9μ
s、電流波高値を29A、無負荷電圧を80V、ワイヤ
ー電極の送り速度を6.8m/min、ワイヤー電極の
張力を0.4kgf、被覆加工速度を1mm/minと
することによりチタン基体表面に白金を強固に拡散を伴
い被覆することが出来たものである。
を得る理想的なワイヤー放電加工条件である番号1の実
験例は、パルス幅を0.3μs、パルス休止時間を9μ
s、電流波高値を29A、無負荷電圧を80V、ワイヤ
ー電極の送り速度を6.8m/min、ワイヤー電極の
張力を0.4kgf、被覆加工速度を1mm/minと
することによりチタン基体表面に白金を強固に拡散を伴
い被覆することが出来たものである。
【0032】番号5の実験例には番号1の実験例と同条
件の製造方法により作製した白金被覆チタン基体を真空
中300℃にて30分間熱処理を行い、被覆白金を結晶
化した電極アノード特性結果を示した。
件の製造方法により作製した白金被覆チタン基体を真空
中300℃にて30分間熱処理を行い、被覆白金を結晶
化した電極アノード特性結果を示した。
【0033】尚、当該番号5の実験例の実験結果はこの
出願の発明が被加工物表面への電極材料の強固な付着が
得られる実験事実に留まらず、耐蝕性、不溶性に優れた
非晶質を含む急冷凝固表面金属を作製する独創的で画期
的方法であることの実験事実を示している。
出願の発明が被加工物表面への電極材料の強固な付着が
得られる実験事実に留まらず、耐蝕性、不溶性に優れた
非晶質を含む急冷凝固表面金属を作製する独創的で画期
的方法であることの実験事実を示している。
【0034】又、アノード特性測定結果を横軸に電解時
間(hour),縦軸に消耗量(g/dm2 )をとった
図1のグラフに示す。
間(hour),縦軸に消耗量(g/dm2 )をとった
図1のグラフに示す。
【0035】そして、白金、或いは、白金族元素添加白
金合金を被覆したチタン基体不溶性電極の被覆材の走査
型電子顕微鏡写真の例を上記表1の実験例1と4につい
て図2、図3、又、対応するX線回折結果の一例を横軸
に2θ(角度)、縦軸にCPS(X線強度)をとったグ
ラフの図4、図5に示した。
金合金を被覆したチタン基体不溶性電極の被覆材の走査
型電子顕微鏡写真の例を上記表1の実験例1と4につい
て図2、図3、又、対応するX線回折結果の一例を横軸
に2θ(角度)、縦軸にCPS(X線強度)をとったグ
ラフの図4、図5に示した。
【0036】
【発明の効果】以上、この出願の発明によれば、この出
願の発明による製造方法により作製された白金、或い
は、白金族元素添加白金合金を被覆したチタン基体不溶
性電極は淡水化を行う海水の電解、各種工場での硫酸浴
中や高腐蝕性溶液の電解に広く用いる著しく苛酷な環境
条件下で充分に満足し得る電解特性を現出する優れた不
溶性と耐久性を有する不溶性電極であって、従来のチタ
ン基体に貴金属である白金、或いは、白金族元素添加白
金合金の作製方法である、メッキ、或いは、クラッド、
更には焼付等の手段による被覆方法では被覆層とチタン
基体との密着性が不充分であったり、不完全であるため
に電極として使用すると電気化学的に境界部が溶解し、
物理的、機械的強度が低下し、剥離する等の問題を全て
解決することが可能となる優れた不溶性と耐久性がある
チタン基体貴金属被覆不溶性電極を現出することが出来
る優れた効果が奏される。
願の発明による製造方法により作製された白金、或い
は、白金族元素添加白金合金を被覆したチタン基体不溶
性電極は淡水化を行う海水の電解、各種工場での硫酸浴
中や高腐蝕性溶液の電解に広く用いる著しく苛酷な環境
条件下で充分に満足し得る電解特性を現出する優れた不
溶性と耐久性を有する不溶性電極であって、従来のチタ
ン基体に貴金属である白金、或いは、白金族元素添加白
金合金の作製方法である、メッキ、或いは、クラッド、
更には焼付等の手段による被覆方法では被覆層とチタン
基体との密着性が不充分であったり、不完全であるため
に電極として使用すると電気化学的に境界部が溶解し、
物理的、機械的強度が低下し、剥離する等の問題を全て
解決することが可能となる優れた不溶性と耐久性がある
チタン基体貴金属被覆不溶性電極を現出することが出来
る優れた効果が奏される。
【0037】更に、この出願の発明は、相互に全くこと
なる分野の技術を巧みに利用し、しかも、ワイヤー放電
加工により生ずるチタン基体との拡散を伴った溶融状態
の白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極材を水等
の加工液により急速に冷却することにより、極めて不溶
性の高い非晶質を含む急冷凝固表面金属被膜を作製出来
る効果があり、又、ワイヤー放電加工技術により形状が
複雑加工困難な不溶性電極も作製出来、更に、使用済み
のワイヤー電極は再加工して再利用に供することが出
来、加工液中に飛散した電極材も回収可能であることか
ら、製品歩留りの向上は勿論のこと、資材の有効利用か
ら著しくコストダウンが図れるという利点もあり、電極
業界のみならず、放電加工業界への貢献も極めて大なる
ものがある効果が奏される。
なる分野の技術を巧みに利用し、しかも、ワイヤー放電
加工により生ずるチタン基体との拡散を伴った溶融状態
の白金、或いは、白金族元素添加白金合金電極材を水等
の加工液により急速に冷却することにより、極めて不溶
性の高い非晶質を含む急冷凝固表面金属被膜を作製出来
る効果があり、又、ワイヤー放電加工技術により形状が
複雑加工困難な不溶性電極も作製出来、更に、使用済み
のワイヤー電極は再加工して再利用に供することが出
来、加工液中に飛散した電極材も回収可能であることか
ら、製品歩留りの向上は勿論のこと、資材の有効利用か
ら著しくコストダウンが図れるという利点もあり、電極
業界のみならず、放電加工業界への貢献も極めて大なる
ものがある効果が奏される。
【図1】出願の発明の実施例のチタン基体不溶性電極の
アノード特性についての測定結果のグラフ図である。
アノード特性についての測定結果のグラフ図である。
【図2】第1実験例の被覆材表面の走査型電子顕微鏡写
真である。
真である。
【図3】第4実験例の被覆材表面の走査型電子顕微鏡写
真である。
真である。
【図4】第1実験例の被覆材のX線回折結果グラフ図で
ある。
ある。
【図5】第4実験例の被覆材のX線回折結果グラフ図で
ある。
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 小山 和明
埼玉県草加市青柳2丁目12番30号 石福金
属興業株式会社草加第一工場内
Claims (2)
- 【請求項1】チタン基体表面に白金、又は白金族元素添
加白金合金を両者間の相互拡散層を介して被覆し、且
つ、被覆した白金、又は白金族元素添加白金合金層が非
晶質を含む急冷凝固金属となっていることを特徴とする
チタン基体不溶性電極。 - 【請求項2】白金、又は、白金族元素添加白金合金を電
極とした放電加工によりチタン基体表面に白金、又は白
金族元素添加白金合金を被覆することを特徴とするチタ
ン基体不溶性電極の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3207243A JPH0533178A (ja) | 1991-07-25 | 1991-07-25 | チタン基体不溶性電極及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3207243A JPH0533178A (ja) | 1991-07-25 | 1991-07-25 | チタン基体不溶性電極及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0533178A true JPH0533178A (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=16536586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3207243A Pending JPH0533178A (ja) | 1991-07-25 | 1991-07-25 | チタン基体不溶性電極及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0533178A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2506729B (en) * | 2012-07-27 | 2015-08-05 | E2V Tech Uk Ltd | High frequency energy generator systems |
-
1991
- 1991-07-25 JP JP3207243A patent/JPH0533178A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2506729B (en) * | 2012-07-27 | 2015-08-05 | E2V Tech Uk Ltd | High frequency energy generator systems |
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