JPH05331712A - Na1−x Ti2+x Al5−x O12斜方晶系トンネル構造 化合物の繊維または膜状物の製造方法 - Google Patents
Na1−x Ti2+x Al5−x O12斜方晶系トンネル構造 化合物の繊維または膜状物の製造方法Info
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- JPH05331712A JPH05331712A JP4140740A JP14074092A JPH05331712A JP H05331712 A JPH05331712 A JP H05331712A JP 4140740 A JP4140740 A JP 4140740A JP 14074092 A JP14074092 A JP 14074092A JP H05331712 A JPH05331712 A JP H05331712A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 曳糸性、均一性、安定性に優れ、紡糸性も良
好な紡糸原液の製造と粘性調整を簡便かつ容易とするこ
とができ、しかも得られる繊維または膜状物を密とす
る。 【構成】 一般式Na1-x Ti2+x Al5-x O12(x:
0〜0.5 )で示される斜方晶系トンネル構造を有する化
合物の製造に際し、Ti成分としてアルコキシドを、A
l成分としてアルコキシドおよび/または無機塩を、ま
た、Na成分として炭酸塩を原料とし、前記一般式の所
要の組成割合に配合して、クエン酸あるいは酒石酸とシ
ュウ酸を含む混合有機酸水溶液に溶解し、これを濃縮し
て紡糸液とし、次いでこれを押し出して繊維または膜状
物に成形した後に焼成する。
好な紡糸原液の製造と粘性調整を簡便かつ容易とするこ
とができ、しかも得られる繊維または膜状物を密とす
る。 【構成】 一般式Na1-x Ti2+x Al5-x O12(x:
0〜0.5 )で示される斜方晶系トンネル構造を有する化
合物の製造に際し、Ti成分としてアルコキシドを、A
l成分としてアルコキシドおよび/または無機塩を、ま
た、Na成分として炭酸塩を原料とし、前記一般式の所
要の組成割合に配合して、クエン酸あるいは酒石酸とシ
ュウ酸を含む混合有機酸水溶液に溶解し、これを濃縮し
て紡糸液とし、次いでこれを押し出して繊維または膜状
物に成形した後に焼成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、曳糸性、均一性、安
定性に優れ、紡糸性も良好な紡糸原液の製造と粘性調整
を簡便かつ容易とすることができ、しかも得られる繊維
または膜状物を密とすることのできるNa1-x Ti2+x
Al5-x O12斜方晶系トンネル構造化合物の繊維または
膜状物の製造方法に関するものである。
定性に優れ、紡糸性も良好な紡糸原液の製造と粘性調整
を簡便かつ容易とすることができ、しかも得られる繊維
または膜状物を密とすることのできるNa1-x Ti2+x
Al5-x O12斜方晶系トンネル構造化合物の繊維または
膜状物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般式Na1-x Ti2+x Al5-x O
12(x:0〜0.5 )で示される斜方晶系トンネル構造を
有する化合物は、耐熱性、断熱性に優れており、耐熱・
断熱材料として有用である。またこの化合物は、これま
でにプラスチック、金属、セメント等の補強材料として
用いられてきている。
12(x:0〜0.5 )で示される斜方晶系トンネル構造を
有する化合物は、耐熱性、断熱性に優れており、耐熱・
断熱材料として有用である。またこの化合物は、これま
でにプラスチック、金属、セメント等の補強材料として
用いられてきている。
【0003】従来より、このNa1-x Ti2+x Al5-x
O12斜方晶系トンネル構造化合物を製造する方法として
は、フラックス法が知られている(特願昭62−41160
号,特公平3−21485 号)。この方法は、モリブデン酸
アルカリをフラックスとして用いて高温から徐冷し、溶
解−析出反応で繊維状単結晶を育成する方法である。一
方、従来より、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の無機
繊維の多結晶体繊維製造方法として、前駆ポリマー法、
スラリー法、無機塩法、ゾル−ゲル法などが知られてい
る。
O12斜方晶系トンネル構造化合物を製造する方法として
は、フラックス法が知られている(特願昭62−41160
号,特公平3−21485 号)。この方法は、モリブデン酸
アルカリをフラックスとして用いて高温から徐冷し、溶
解−析出反応で繊維状単結晶を育成する方法である。一
方、従来より、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の無機
繊維の多結晶体繊維製造方法として、前駆ポリマー法、
スラリー法、無機塩法、ゾル−ゲル法などが知られてい
る。
【0004】前駆ポリマー法は、−Al−O−からなる
主鎖を有する無機重合体のポリアルミノキサンを含む粘
稠溶液にけい酸エルテルを混合し、乾式紡糸して焼成す
る方法である。スラリー法は、Al2 O3 微粉および少
量のMgCl2 ・6H2 Oにバインダー成分としてAl
2 (OH)5 C1・2.2 H2 Oを加えて粘稠なスラリー
とし、これを乾式紡糸して焼成する方法である。
主鎖を有する無機重合体のポリアルミノキサンを含む粘
稠溶液にけい酸エルテルを混合し、乾式紡糸して焼成す
る方法である。スラリー法は、Al2 O3 微粉および少
量のMgCl2 ・6H2 Oにバインダー成分としてAl
2 (OH)5 C1・2.2 H2 Oを加えて粘稠なスラリー
とし、これを乾式紡糸して焼成する方法である。
【0005】無機塩法は、アルミニウム塩の水溶液にポ
リエチレンオキサイドやPVAなどの水溶性有機高分子
を加え、さらに水溶性ポリシロキサンを混合して粘稠液
とし、ノズルより吹き出して焼成する方法である。ゾル
−ゲル法は、HCOO- 、CH3 COO- などのイオン
を含むアルミナゾルにシリカゲル、ほう酸を加えて粘稠
液とし、これを紡糸して焼成する方法である。
リエチレンオキサイドやPVAなどの水溶性有機高分子
を加え、さらに水溶性ポリシロキサンを混合して粘稠液
とし、ノズルより吹き出して焼成する方法である。ゾル
−ゲル法は、HCOO- 、CH3 COO- などのイオン
を含むアルミナゾルにシリカゲル、ほう酸を加えて粘稠
液とし、これを紡糸して焼成する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
フラックス法については、長繊維のものを得ることが無
理なばかりでなく、高価なフラックスを使用するため、
回収工程を必要とし、そのために製造コストが高くなる
という問題がある。そこで、Na1-x Ti2+x Al5-x
O12斜方晶系トンネル構造化合物の製造に多結晶体繊維
の製造方法を適用することが考えられるが、この場合に
は、紡糸液を用い、紡糸して繊維とするために、紡糸原
液が重要であり、溶液の粘性、曳糸性、均一性、安定性
の諸物性とともに、紡糸原液の製造が容易で、かつ紡糸
性が優れていることが重要な要素となる。
フラックス法については、長繊維のものを得ることが無
理なばかりでなく、高価なフラックスを使用するため、
回収工程を必要とし、そのために製造コストが高くなる
という問題がある。そこで、Na1-x Ti2+x Al5-x
O12斜方晶系トンネル構造化合物の製造に多結晶体繊維
の製造方法を適用することが考えられるが、この場合に
は、紡糸液を用い、紡糸して繊維とするために、紡糸原
液が重要であり、溶液の粘性、曳糸性、均一性、安定性
の諸物性とともに、紡糸原液の製造が容易で、かつ紡糸
性が優れていることが重要な要素となる。
【0007】このような観点からすると、前駆ポリマー
法は、均一性は高いものの、紡糸原液を作るための製造
プロセスの制御が難しいという問題がある。ゾル−ゲル
法の場合には、その濃縮段階において、沈澱や濁りが生
じたり、また、急激に粘度が増大したりするため、濃縮
の制御が難しい。また、無機塩法は、繊維形態を付与す
る粘性を水溶性有機重合体で行っているため、調液段階
でゲル化してしまうなど原液の安定性を欠くことがあ
る。スラリー法は、いわゆる不均一系であり、紡糸原液
を構成する固体粒子の粒度、添加量、分散状態などが微
妙に紡糸性に影響を及ぼし、制御が難しいなどの欠点が
ある。
法は、均一性は高いものの、紡糸原液を作るための製造
プロセスの制御が難しいという問題がある。ゾル−ゲル
法の場合には、その濃縮段階において、沈澱や濁りが生
じたり、また、急激に粘度が増大したりするため、濃縮
の制御が難しい。また、無機塩法は、繊維形態を付与す
る粘性を水溶性有機重合体で行っているため、調液段階
でゲル化してしまうなど原液の安定性を欠くことがあ
る。スラリー法は、いわゆる不均一系であり、紡糸原液
を構成する固体粒子の粒度、添加量、分散状態などが微
妙に紡糸性に影響を及ぼし、制御が難しいなどの欠点が
ある。
【0008】これらの問題を解消するために、この発明
の発明者らは、すでに特開平2−196027号(特願平1−
14675 号)公報において、Na1-x Ti2+x Al5-x O
12斜方晶系トンネル構造化合物を製造する際に、Ti成
分としてチタンアルコキシドを、Al成分として該成分
のアルコキシド、有機塩または無機塩を、また、Na成
分として該成分の炭酸塩を用い、上記一般式で示される
組成割合に配合した原料を、(Ti+Al)の総量に対
して1.0 倍モル以上の量のクエン酸、酒石酸の単独また
は混合の有機酸水溶液に溶解し、濃縮して紡糸液とし、
次いでこれを紡糸して繊維または膜状物に成形した後
に、1200〜1400℃で焼成する方法を提案している。
の発明者らは、すでに特開平2−196027号(特願平1−
14675 号)公報において、Na1-x Ti2+x Al5-x O
12斜方晶系トンネル構造化合物を製造する際に、Ti成
分としてチタンアルコキシドを、Al成分として該成分
のアルコキシド、有機塩または無機塩を、また、Na成
分として該成分の炭酸塩を用い、上記一般式で示される
組成割合に配合した原料を、(Ti+Al)の総量に対
して1.0 倍モル以上の量のクエン酸、酒石酸の単独また
は混合の有機酸水溶液に溶解し、濃縮して紡糸液とし、
次いでこれを紡糸して繊維または膜状物に成形した後
に、1200〜1400℃で焼成する方法を提案している。
【0009】しかしながら、この方法は、Na1-x Ti
2+x Al5-x O12斜方晶系トンネル構造化合物の製造に
有効ではあるものの、無機成分に対する有機成分の割合
が大きいために、焼成段階において多孔状となり、実使
用段階において脆い等の改善すべき余地が残されてい
る。またこの方法の場合には、(Ti+Al)の総量に
対する有機酸の量を1.0 倍モル未満にすると、合成段階
において沈澱が析出する等の問題もある。
2+x Al5-x O12斜方晶系トンネル構造化合物の製造に
有効ではあるものの、無機成分に対する有機成分の割合
が大きいために、焼成段階において多孔状となり、実使
用段階において脆い等の改善すべき余地が残されてい
る。またこの方法の場合には、(Ti+Al)の総量に
対する有機酸の量を1.0 倍モル未満にすると、合成段階
において沈澱が析出する等の問題もある。
【0010】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来のNa1-xTi2+x Al5-x O
12斜方晶系トンネル構造化合物の繊維または膜状物の製
造方法の欠点を解消し、曳糸性、均一性、安定性に優
れ、紡糸性も良好な紡糸原液の製造と粘性調整を簡便か
つ容易とすることができ、しかも得られる繊維または膜
状物を密とすることのできるNa1-x Ti2+x Al5-x
O12斜方晶系トンネル構造化合物の繊維または膜状物の
製造方法を提供することを目的としている。
されたものであり、従来のNa1-xTi2+x Al5-x O
12斜方晶系トンネル構造化合物の繊維または膜状物の製
造方法の欠点を解消し、曳糸性、均一性、安定性に優
れ、紡糸性も良好な紡糸原液の製造と粘性調整を簡便か
つ容易とすることができ、しかも得られる繊維または膜
状物を密とすることのできるNa1-x Ti2+x Al5-x
O12斜方晶系トンネル構造化合物の繊維または膜状物の
製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
上記の目的を達成するために、高価なフラックスを使用
するフラックス法ではなく、多結晶体繊維の製造法の適
用が有利であることに着目し、さらに固有の問題を解決
するべく鋭意研究を重ねた結果、組成原料として特定の
ものを用い、これを特定の有機酸を組み合わせた水溶液
に溶解し、濃縮すると、紡糸に適する粘稠液が簡便かつ
容易に得られ、また、この粘稠液を押出成形し、焼成す
ることにより、所期の目的が達成できることを見い出
し、この発明を完成した。
上記の目的を達成するために、高価なフラックスを使用
するフラックス法ではなく、多結晶体繊維の製造法の適
用が有利であることに着目し、さらに固有の問題を解決
するべく鋭意研究を重ねた結果、組成原料として特定の
ものを用い、これを特定の有機酸を組み合わせた水溶液
に溶解し、濃縮すると、紡糸に適する粘稠液が簡便かつ
容易に得られ、また、この粘稠液を押出成形し、焼成す
ることにより、所期の目的が達成できることを見い出
し、この発明を完成した。
【0012】すなわち、この発明は、一般式Na1-x T
i2+x Al5-x O12(x:0〜0.5)で示される斜方晶
系トンネル構造を有する化合物の製造に際し、Ti成分
としてアルコキシドを、Al成分としてアルコキシドお
よび/または無機塩を、また、Na成分として炭酸塩を
原料とし、前記一般式の所要の組成割合に配合て、クエ
ン酸あるいは酒石酸とシュウ酸を含む混合有機酸水溶液
に溶解して、これを濃縮して紡糸液とし、次いでこれを
押し出して繊維または膜状物に成形した後に焼成するこ
とを特徴とするNa1-x Ti2+x Al5-x O12斜方晶系
トンネル構造化合物の繊維または膜状物の製造方法を提
供するものである。
i2+x Al5-x O12(x:0〜0.5)で示される斜方晶
系トンネル構造を有する化合物の製造に際し、Ti成分
としてアルコキシドを、Al成分としてアルコキシドお
よび/または無機塩を、また、Na成分として炭酸塩を
原料とし、前記一般式の所要の組成割合に配合て、クエ
ン酸あるいは酒石酸とシュウ酸を含む混合有機酸水溶液
に溶解して、これを濃縮して紡糸液とし、次いでこれを
押し出して繊維または膜状物に成形した後に焼成するこ
とを特徴とするNa1-x Ti2+x Al5-x O12斜方晶系
トンネル構造化合物の繊維または膜状物の製造方法を提
供するものである。
【0013】さらに詳しく説明すると、この発明におい
ては、前記Na1-x Ti2+x Al5- x O12斜方晶系トン
ネル構造化合物の製造に際しては、次のような特定成分
を原料として用いる。Ti成分としては、そのアルコキ
シドを用いる。このチタンアルコキシドとしては、たと
えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノ
ルマルブトキシド等を挙げることができる。
ては、前記Na1-x Ti2+x Al5- x O12斜方晶系トン
ネル構造化合物の製造に際しては、次のような特定成分
を原料として用いる。Ti成分としては、そのアルコキ
シドを用いる。このチタンアルコキシドとしては、たと
えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノ
ルマルブトキシド等を挙げることができる。
【0014】Al成分としては、Alのアルコキシドお
よび/または無機塩を用いる。アルコキシドとしては、
たとえばアルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニ
ウムトリノルマルブトキシド、アルミニウムトリエトキ
シド等を例示することができ、無機塩としては塩化物、
硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。また、Na成分として
は、その炭酸塩を用いる。この炭酸塩を後述する有機酸
水溶液と混合するとCO2 を放出して透明均一な溶液と
なる。
よび/または無機塩を用いる。アルコキシドとしては、
たとえばアルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニ
ウムトリノルマルブトキシド、アルミニウムトリエトキ
シド等を例示することができ、無機塩としては塩化物、
硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。また、Na成分として
は、その炭酸塩を用いる。この炭酸塩を後述する有機酸
水溶液と混合するとCO2 を放出して透明均一な溶液と
なる。
【0015】これらの原料は、前記一般式の所要の組成
割合となるように配合する。次いで、これらの原料化合
物をクエン酸あるいは酒石酸とシュウ酸の混合有機酸水
溶液に溶解し、濃縮する。すると、曳糸性を有する粘稠
液となる。この場合、クエン酸あるいは酒石酸の量およ
びシュウ酸の量を、各々、原料成分の(Al+Ti)の
総モルに対して1/10倍モル以上および1/5倍モル
以上とする。これらの量に満たないと、紡糸原液が不均
一化したり、あるいは曳糸性を示さず、また、固化する
ことが困難ともなり、繊維または膜状物が形成し得ない
場合がある。
割合となるように配合する。次いで、これらの原料化合
物をクエン酸あるいは酒石酸とシュウ酸の混合有機酸水
溶液に溶解し、濃縮する。すると、曳糸性を有する粘稠
液となる。この場合、クエン酸あるいは酒石酸の量およ
びシュウ酸の量を、各々、原料成分の(Al+Ti)の
総モルに対して1/10倍モル以上および1/5倍モル
以上とする。これらの量に満たないと、紡糸原液が不均
一化したり、あるいは曳糸性を示さず、また、固化する
ことが困難ともなり、繊維または膜状物が形成し得ない
場合がある。
【0016】なお、有機酸水溶液は、金属アルコキシド
1モルに対し、20〜50倍モルの水を用いることが好
ましい。また、原料化合物を有機酸水溶液に溶解する時
には、有機酸水溶液への添加順序を考慮することが望ま
しい。たとえばその添加順序として、まず、クエン酸ま
たは酒石酸とシュウ酸の混合有機酸水溶液に、Al成分
としての無機塩を添加する。溶解後、得られた透明溶液
にチタンアルコキシドと残りのAl成分としてのアルミ
ニウムアルコキシドを添加し、攪拌溶解する。次いで、
得られた透明溶液にNa成分として炭酸塩を添加するこ
とができる。
1モルに対し、20〜50倍モルの水を用いることが好
ましい。また、原料化合物を有機酸水溶液に溶解する時
には、有機酸水溶液への添加順序を考慮することが望ま
しい。たとえばその添加順序として、まず、クエン酸ま
たは酒石酸とシュウ酸の混合有機酸水溶液に、Al成分
としての無機塩を添加する。溶解後、得られた透明溶液
にチタンアルコキシドと残りのAl成分としてのアルミ
ニウムアルコキシドを添加し、攪拌溶解する。次いで、
得られた透明溶液にNa成分として炭酸塩を添加するこ
とができる。
【0017】有機酸水溶液にAl成分およびTi成分と
してのアルコキシドを先に添加すると、透明溶液を得る
ためには有機酸成分が(Ti+Al)成分に対し等モル
程度必要となり、焼成による細孔の形成を避けることが
できない。また、有機酸成分が(Ti+Al)成分に対
し等モルより少ない場合には、調液中に沈澱が生成し、
その後の繊維形成が不可能となる場合がある。
してのアルコキシドを先に添加すると、透明溶液を得る
ためには有機酸成分が(Ti+Al)成分に対し等モル
程度必要となり、焼成による細孔の形成を避けることが
できない。また、有機酸成分が(Ti+Al)成分に対
し等モルより少ない場合には、調液中に沈澱が生成し、
その後の繊維形成が不可能となる場合がある。
【0018】以上の操作により透明均一な溶液が得られ
る。これを加熱し、粘度を1〜100ポイズ程度にまで濃
縮すると、曳糸性を有する粘稠液が得られる。この粘稠
液は、加熱乾燥大気中で急速に固化するため、60〜9
0℃の乾燥大気中で紡糸するのが好ましい。なお、紡糸
に際して、ノズルを用いると長繊維が得られ、スリット
より押し出すと膜状物が得られる。また、太目の口径ノ
ズルより押し出し、火炎で焼成吹き飛ばすと極細の短繊
維とすることができる。
る。これを加熱し、粘度を1〜100ポイズ程度にまで濃
縮すると、曳糸性を有する粘稠液が得られる。この粘稠
液は、加熱乾燥大気中で急速に固化するため、60〜9
0℃の乾燥大気中で紡糸するのが好ましい。なお、紡糸
に際して、ノズルを用いると長繊維が得られ、スリット
より押し出すと膜状物が得られる。また、太目の口径ノ
ズルより押し出し、火炎で焼成吹き飛ばすと極細の短繊
維とすることができる。
【0019】得られた繊維または膜状物から水分を除去
し、1000℃付近まで空気中で昇温して有機物を分解除去
した後に、およそ1200〜1400℃程度で焼成する。1200℃
未満では焼結が完結せず、また、1400℃を越えると溶融
する。こうして、Na1-x Ti2+x Al5-x O12斜方晶
系トンネル構造化合物の繊維または膜状物が得られる。
得られた繊維または膜状物は密となる。
し、1000℃付近まで空気中で昇温して有機物を分解除去
した後に、およそ1200〜1400℃程度で焼成する。1200℃
未満では焼結が完結せず、また、1400℃を越えると溶融
する。こうして、Na1-x Ti2+x Al5-x O12斜方晶
系トンネル構造化合物の繊維または膜状物が得られる。
得られた繊維または膜状物は密となる。
【0020】
【実施例】次に実施例を示し、この発明の製造方法につ
いてさらに詳しく説明する。実施例1 この例は、有機酸としてクエン酸及びシュウ酸を使用
し、無機塩として、硝酸アルミニウムを使用して、組成
式Na1-x Ti2+x Al5-x O12(x=0.2 )の繊維を
合成する場合の例である。
いてさらに詳しく説明する。実施例1 この例は、有機酸としてクエン酸及びシュウ酸を使用
し、無機塩として、硝酸アルミニウムを使用して、組成
式Na1-x Ti2+x Al5-x O12(x=0.2 )の繊維を
合成する場合の例である。
【0021】まず、クエン酸一水和物4.90gおよびシュ
ウ酸二水和物1.76g、硝酸アルミニウム九水和物12.0g
を蒸留水50mlに溶解した溶液に、チタンテトライソプ
ロポキシド6.25gを加え、約一時間攪拌すると、透明な
溶液が得られた。この溶液にアルミニウムトリイソプロ
ポキシド3.27gを加え、約半日攪拌すると、透明均一な
溶液となった。さらに、この溶液に炭酸ナトリウム0.42
gを徐々に加え、炭酸ガスを放出させ透明均一な溶液と
なるまで攪拌を行った。以上の操作はすべて室温で行っ
た。
ウ酸二水和物1.76g、硝酸アルミニウム九水和物12.0g
を蒸留水50mlに溶解した溶液に、チタンテトライソプ
ロポキシド6.25gを加え、約一時間攪拌すると、透明な
溶液が得られた。この溶液にアルミニウムトリイソプロ
ポキシド3.27gを加え、約半日攪拌すると、透明均一な
溶液となった。さらに、この溶液に炭酸ナトリウム0.42
gを徐々に加え、炭酸ガスを放出させ透明均一な溶液と
なるまで攪拌を行った。以上の操作はすべて室温で行っ
た。
【0022】得られた溶液を100 ℃に加熱して粘度が10
0 ポイズになるまで濃縮した。濃縮した溶液は良好な曳
糸性を有するものであった。次いで、適当な粘性状態の
ものをノズルより60℃の乾燥大気雰囲気下で押し出
し、直径5〜100 μmの長繊維が得られた。この繊維は
無色透明であった。得られた繊維を100 ℃で一晩乾燥し
た後、1000℃まで8時間で昇温し、次いで1300℃で10
時間焼成した。
0 ポイズになるまで濃縮した。濃縮した溶液は良好な曳
糸性を有するものであった。次いで、適当な粘性状態の
ものをノズルより60℃の乾燥大気雰囲気下で押し出
し、直径5〜100 μmの長繊維が得られた。この繊維は
無色透明であった。得られた繊維を100 ℃で一晩乾燥し
た後、1000℃まで8時間で昇温し、次いで1300℃で10
時間焼成した。
【0023】得られた繊維は、若干量のフロイデンバー
ジャイトおよびα−アルミナを含む斜方晶系トンネル構
造を有するチタノアルミン酸塩繊維であった。実施例2 この例は、有機酸として酒石酸およびシュウ酸を、ま
た、無機塩に硝酸アルミニウムを用いて、組成式Na
1-x Ti2+x Al5-x O12(x=0.2 )の繊維を合成す
る場合の例である。
ジャイトおよびα−アルミナを含む斜方晶系トンネル構
造を有するチタノアルミン酸塩繊維であった。実施例2 この例は、有機酸として酒石酸およびシュウ酸を、ま
た、無機塩に硝酸アルミニウムを用いて、組成式Na
1-x Ti2+x Al5-x O12(x=0.2 )の繊維を合成す
る場合の例である。
【0024】まず、酒石酸3.50gおよびシュウ酸二水和
物1.76g、硝酸アルミニウム九水和物12.0gを蒸留水5
0mlに溶解し、以下、実施例1と同様にして、若干量の
フロイデンバージャイトおよびα−アルミナを含む斜方
晶系トンネル構造を有するチタノアルミン酸塩長繊維が
得られた。実施例3 この例は、有機酸としてクエン酸およびシュウ酸を使用
し、また、無機塩としては塩化アルミニウムを使用し
て、組成式Na1-x Ti2+x Al5-x O12(x=0.2 )
の繊維を合成する場合の例である。
物1.76g、硝酸アルミニウム九水和物12.0gを蒸留水5
0mlに溶解し、以下、実施例1と同様にして、若干量の
フロイデンバージャイトおよびα−アルミナを含む斜方
晶系トンネル構造を有するチタノアルミン酸塩長繊維が
得られた。実施例3 この例は、有機酸としてクエン酸およびシュウ酸を使用
し、また、無機塩としては塩化アルミニウムを使用し
て、組成式Na1-x Ti2+x Al5-x O12(x=0.2 )
の繊維を合成する場合の例である。
【0025】まず、クエン酸一和物4.90gおよびシュウ
酸二水和物4.42g、塩化アルミニウム六水和物5.79gを
蒸留水50mlに溶解した溶液に、チタンテトライソプロ
ポキシド6.25gを加え、約一時間攪拌し、透明な溶液と
した。この溶液にアルミニウムトリイソプロポキシド4.
90gを加え、約半日攪拌すると、透明均一な溶液となっ
た。さらに、この溶液に炭酸ナトリウム0.42gを徐
々に加え、炭酸ガスを放出させ、透明均一な溶液となる
まで攪拌を行った。以上の操作はすべて室温で行った。
酸二水和物4.42g、塩化アルミニウム六水和物5.79gを
蒸留水50mlに溶解した溶液に、チタンテトライソプロ
ポキシド6.25gを加え、約一時間攪拌し、透明な溶液と
した。この溶液にアルミニウムトリイソプロポキシド4.
90gを加え、約半日攪拌すると、透明均一な溶液となっ
た。さらに、この溶液に炭酸ナトリウム0.42gを徐
々に加え、炭酸ガスを放出させ、透明均一な溶液となる
まで攪拌を行った。以上の操作はすべて室温で行った。
【0026】以下、実施例1と同様にして、若干量のフ
ロイデンバージャイドおよびα−アルミナを含む斜方晶
系トンネル構造を有するチタノアルミン酸塩長繊維が得
られた。
ロイデンバージャイドおよびα−アルミナを含む斜方晶
系トンネル構造を有するチタノアルミン酸塩長繊維が得
られた。
【0027】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この発明に
よって、Na1-x Ti2+x Al5-x O 12斜方晶系トンネ
ル構造化合物の繊維または膜状物の製造において、前駆
体繊維を得る際に、紡糸原液の粘性を適宜なものに簡便
かつ容易に調整することができる。紡糸原液は、曳糸
性、均一性、安定性に優れるとともに、紡糸性も良好と
なり、しかもその製造が簡便かつ容易となる。また、前
駆体繊維を焼成すると、得られる無機繊維または膜状物
が密となる。
よって、Na1-x Ti2+x Al5-x O 12斜方晶系トンネ
ル構造化合物の繊維または膜状物の製造において、前駆
体繊維を得る際に、紡糸原液の粘性を適宜なものに簡便
かつ容易に調整することができる。紡糸原液は、曳糸
性、均一性、安定性に優れるとともに、紡糸性も良好と
なり、しかもその製造が簡便かつ容易となる。また、前
駆体繊維を焼成すると、得られる無機繊維または膜状物
が密となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式Na1-x Ti2+x Al5-x O
12(x:0〜0.5 )で示される斜方晶系トンネル構造を
有する化合物の製造に際し、Ti成分としてアルコキシ
ドを、Al成分としてアルコキシドおよび/または無機
塩を、また、Na成分として炭酸塩を原料とし、前記一
般式の所要の組成割合に配合して、クエン酸あるいは酒
石酸とシュウ酸を含む混合有機酸水溶液に溶解し、これ
を濃縮して紡糸液とし、次いでこれを押し出して繊維ま
たは膜状物に成形した後に焼成することを特徴とするN
a1-x Ti2+x Al5-x O12斜方晶系トンネル構造化合
物の繊維または膜状物の製造方法。 - 【請求項2】 クエン酸あるいは酒石酸とシュウ酸の混
合有機酸水溶液に、Al成分としての無機塩を溶解し、
次いでチタンアルコキシドと残りのAl成分としてのア
ルミニウムアルコキシドを溶解し、その後に、Na成分
としての炭酸塩を溶解する請求項1の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4140740A JPH05331712A (ja) | 1992-06-01 | 1992-06-01 | Na1−x Ti2+x Al5−x O12斜方晶系トンネル構造 化合物の繊維または膜状物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4140740A JPH05331712A (ja) | 1992-06-01 | 1992-06-01 | Na1−x Ti2+x Al5−x O12斜方晶系トンネル構造 化合物の繊維または膜状物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05331712A true JPH05331712A (ja) | 1993-12-14 |
Family
ID=15275613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4140740A Pending JPH05331712A (ja) | 1992-06-01 | 1992-06-01 | Na1−x Ti2+x Al5−x O12斜方晶系トンネル構造 化合物の繊維または膜状物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05331712A (ja) |
-
1992
- 1992-06-01 JP JP4140740A patent/JPH05331712A/ja active Pending
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