JPH05331590A - 鋳型内黒鉛球状化処理合金及び黒鉛球状化処理方法 - Google Patents

鋳型内黒鉛球状化処理合金及び黒鉛球状化処理方法

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JPH05331590A
JPH05331590A JP16225292A JP16225292A JPH05331590A JP H05331590 A JPH05331590 A JP H05331590A JP 16225292 A JP16225292 A JP 16225292A JP 16225292 A JP16225292 A JP 16225292A JP H05331590 A JPH05331590 A JP H05331590A
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 湯道の途中に設けられた反応室内に装填さ
れ、この反応室内を鋳鉄溶湯が通過する際に溶解して鋳
鉄溶湯を黒鉛球状化処理するのために用いられる鋳型内
黒鉛球状化処理合金であって、Mg3〜8重量%、希土
類元素0.4〜9重量%、Bi0.4〜3重量%、Si
40〜50重量%、残部がFe及び不可避的不純物から
なり、かつAlが0.5重量%以下、総酸素量が0.1
重量%以下に精練され、0.5〜5mmの粒度範囲を有
することを特徴とする鋳型内黒鉛球状化処理合金、及
び、この合金を用いた鋳型内黒鉛球状化処理法を提供す
る。 【効果】 Bi量を厳密にコントロールして鋳鉄中に含
有することができ、より微細な黒鉛組織を有し、優れた
物性の球状黒鉛鋳鉄を得ることができると共に、より薄
肉の球状黒鉛鋳鉄を熱処理なしで簡単かつ確実に得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湯道の途中に設けられ
た反応室内に装填され、この反応室内を鋳鉄溶湯が通過
する際に溶解して鋳鉄溶湯を黒鉛球状化処理するために
用いられる鋳型内黒鉛球状化処理合金及び黒鉛球状化処
理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】球状黒
鉛鋳鉄の製造方法の中で、鋳型内黒鉛球状化処理法(通
称インモールド法)は、鋳鉄溶湯の湯道の途中に黒鉛球
状化合金を装填した反応室を設け、鋳鉄溶湯をこの反応
室内に通過させるもので、この場合、用いられる黒鉛球
状化処理合金固有の溶解係数(反応係数ともいう)に基
づき、鋳込速度や処理前の鋳鉄溶湯中のS量及び目標残
留Mg量により算出された反応室中を一定温度範囲の鋳
鉄溶湯が通過する際に、予めその反応室内に装填された
黒鉛球状化処理合金を均質に溶解し、製品全体に所定の
Mg量を残留させることにより、目的とする性質を有し
た球状黒鉛鋳鉄を得る黒鉛球状化処理方法である。ここ
で、上述した溶解係数は黒鉛球状化処理合金の化学組
成、粒度分布による固有の係数である。
【0003】この鋳型内黒鉛球状化処理法は、球状化処
理された鋳鉄溶湯が球状化処理後直ちに鋳型内に鋳込ま
れるため、置き注ぎ法等、球状化処理から鋳込みまでに
一定の時間を要する他の黒鉛球状化処理方法に比べて、
黒鉛球状化現象を主に支配する元素であるMgの気化及
び酸化や復硫による損耗現象(通称フェーディング)の
影響を受けないため、また球状化合金中に含まれる希土
類元素やCa,Al,Siなどの接種効果により、微細
な黒鉛組織、微細な共晶セル組織を有した球状黒鉛鋳鉄
を得易いことが一般に知られている。
【0004】このように微細な黒鉛組織を得ることは、
チル化により製造困難な球状黒鉛鋳鉄鋳物の薄肉化の可
能性を高めるとともに、耐衝撃性等の機械的性質及び切
削加工性を向上させる等、球状黒鉛鋳鉄製造上重要な課
題であり、最近においては、更に黒鉛組織を微細化する
ことが要望されている。
【0005】従来、黒鉛組織を微細化する方法として
は、Biを鋳鉄溶湯中に添加することが知られている。
即ち、Biは、基本的には鋳鉄中の黒鉛晶出を阻外する
元素であり、球状黒鉛鋳鉄にあっては、黒鉛球状化阻外
元素であるが、適当量の存在によって黒鉛の微細化、共
晶セル数を増加させる元素として知られ、Biを含有す
る添加合金(特開昭59−43843号公報)及びBi
を含有する接種剤(特開昭58−45311号公報)も
提案されている。
【0006】しかし、前者の添加合金は主に置き注ぎ処
理用のものであるが、Biは蒸気圧が高いため、置き注
ぎ法では時間経過と共にフェーディングによるBiの損
耗によって接種効果の持続が難しく、残留Bi量が安定
せず、その効果が不安定である。また、後者の接種剤を
用いる注湯流接種方法等の鋳込み直前添加方法或いは鋳
型内接種方法では、添加される接種剤の溶解性の限界に
より、接種剤の添加量に制限があり(通常0.2%以
下)、必然的に接種剤中に多量のBiを含有する必要性
を生じることになるが、接種剤中のBi含有量を増加さ
せることは後述するように接種剤の製造を困難とし、ま
た、鋳鉄製造技術上経験的に非金属介在物に起因する鋳
造欠陥を生じ易い。更に上述の添加手段ではBiの鋳鉄
溶湯中への溶解量が不安定であり、鋳鉄中へのBi含有
量の微少コントロール及び均質性の確保は不可能であ
る。
【0007】また、黒鉛球状化処理合金中に単にBiを
含有させた合金も開発されているが、後述するように鋳
型内黒鉛球状化処理合金は固有の溶解係数を有し、従っ
てその化学組成及び粒度に厳密な制約を受けるため、上
述した既存のBi含有黒鉛球状化処理合金をそのまま鋳
型内黒鉛球状化処理合金として用いることは不可能であ
る。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
Biのフェーディングによる不安定性を解消し得、ま
た、Bi添加量を厳密にコントロールすることができ、
従来法における溶湯中へのBi添加の困難性を克服し得
ると共に、より薄肉の球状黒鉛鋳鉄を熱処理なしに得る
ことを可能とした鋳型内黒鉛球状化処理合金及び黒鉛球
状化処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、黒鉛球
状化処理方法として鋳型内黒鉛球状化処理方法を採用す
ること、この場合、その黒鉛球状化合金として、Mg3
〜8重量%、希土類元素0.4〜9重量%、Bi0.4
〜3重量%、Si40〜50重量%、残部がFe及び不
可避的不純物からなり、かつAlが0.5重量%以下、
総酸素量が0.1重量%以下に精練され、0.5〜5m
mの粒度範囲を有するものを使用し、Biを上記特定量
において含有する黒鉛球状化合金を用いて鋳型内黒鉛球
状化処理することが有効であることを知見した。
【0010】即ち、鋳型内黒鉛球状化処理法では、約1
%の黒鉛球状化処理合金を反応室に装填するが、この添
加量は前述した接種剤のみによる添加方法に比べて約2
〜15倍の添加量に値する。従って、鋳鉄中の残留Bi
量を不安定、不均質とする原因となる添加剤中のBi含
有量を低位にすることができるため、既存のBi添加方
法に比べて残留Bi量を狭い範囲でコントロールするこ
とが可能となり、鋳型内黒鉛球状化処理合金中に目標残
留量に見合ったBi量を含有せしめれば、黒鉛球状化処
理合金が溶解する際にMgと共に一様に鋳鉄溶湯中に溶
解され、前述した他の方法によるBi添加に比べより安
定かつ確実に目標とする残留Bi量を得ることができる
ことを見い出した。
【0011】それ故、本発明によって鋳型内黒鉛球状化
処理法が本来有している黒鉛組織が微細化するという特
長に加えて、そのシステム上の特徴をBiの損耗防止及
び目標とする残留Bi量の高精度のコントロールに活か
すことにより、従来の鋳型内黒鉛球状化処理法や既存の
Bi添加方法では不可能であった更なる微細な黒鉛組織
を有した球状黒鉛鋳鉄を得ることが可能となったもので
ある。
【0012】他方、薄肉球状黒鉛鋳鉄製造に当たり、鋳
鉄溶湯が急激に冷却されることにより、準安定系凝固に
よるレデブライトの晶出が促進され、硬くて脆いチル組
織が残留することによって健全な鋳鉄が得難いことは周
知のことであり、また、上記レデブライトの晶出を防止
するには、黒鉛粒数を増加させることが有効な手段であ
ることも一般に知られているところであるが、本発明に
より得られる球状黒鉛鋳鉄は、従来法よりも、安定、確
実に微細な黒鉛組織であるため、本発明により、従来法
では不可能であった薄肉球状黒鉛鋳鉄の製造が可能であ
ることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0013】従って、本発明は、(1)湯道の途中に設
けられた反応室内に装填され、この反応室内を鋳鉄溶湯
が通過する際に溶解して鋳鉄溶湯を黒鉛球状化処理する
ために用いられる鋳型内黒鉛球状化処理合金であって、
Mg3〜8重量%、希土類元素0.4〜9重量%、Bi
0.4〜3重量%、Si40〜50重量%、残部がFe
及び不可避的不純物からなり、かつAlが0.5重量%
以下、総酸素量が0.1重量%以下に精練され、0.5
〜5mmの粒度範囲を有することを特徴とする鋳型内黒
鉛球状化処理合金、及び、(2)湯道の途中に黒鉛球状
化処理合金を装填した反応室を設け、この反応室内を鋳
鉄溶湯が通過する際に上記黒鉛球状化処理合金を溶解さ
せて鋳鉄溶湯を黒鉛球状化処理し、この黒鉛球状化処理
された鋳鉄溶湯を鋳型に鋳込むようにした黒鉛球状化処
理方法において、上記黒鉛球状化処理合金として、Mg
3〜8重量%、希土類元素0.4〜9重量%、Bi0.
4〜3重量%、Si40〜50重量%、残部がFe及び
不可避的不純物からなり、かつAlが0.5重量%以
下、総酸素量が0.1重量%以下に精練され、0.5〜
5mmの粒度範囲を有するものを用いたことを特徴とす
る黒鉛球状化処理方法を提供する。
【0014】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明の鋳型内黒鉛球状化処理合金は、上述したようにF
e、Siを主成分とし、Mg、希土類元素、Biを上記
特定量で含有するものである。
【0015】ここで、鋳型内黒鉛球状化処理合金中のM
gは鋳型内球状化処理法における反応室設計に用いる溶
解係数の基準となる元素であり、Mgが3重量%より少
ないと黒鉛球状化処理合金の添加量も多くなり、また反
応室表面積も広くなることにより、鋳物製品とならない
反応室の重量も増大し、鋳造歩留り(製品重量/鋳込重
量)が低下するので、極めて非経済的で実用的でない。
他方、Mgが8重量%より多いと、溶解速度が増加する
ことにより、反応室表面積が小さくなることによって残
留Mg量が不安定となる上、現場的には鋳込み最終部で
の吹き上げ現象(通称バックファイア)も大きく、甚だ
危険である。このため、本発明による合金中のMg含有
量は3〜8重量%とすることが必要である。
【0016】また、Bi含有量は肉厚30mmまでの通
常の球状黒鉛鋳鉄の黒鉛微細化に効果的と一般に言われ
ている。残留Bi量0.002〜0.007重量%(但
し肉厚の厚い大型鋳物ではその約3倍の添加を行う場合
もある)を鑑み、0.4〜3重量%とすることが有効で
ある。
【0017】一方、Ce等希土類元素は鋳型内黒鉛球状
化処理合金にとって必ずしも必須の元素ではないが、B
iは黒鉛球状化処理合金中の大部分を占めるFe及びS
iと合金化せず(或いは合金化が不明である)、他方M
g,Ceとは容易に合金化するため、必要量のBiを安
定的に含有せしることを目的とした本発明の黒鉛球状化
処理合金にとっては必須の元素となり、0.4重量%以
上の添加が必要である。また、黒鉛球状化処理合金の製
造温度領域である1200〜1400℃ではBiとCe
はCeとCe3Biという安定した共晶を形成するた
め、Ce最大含有量をBiの含有量の3倍と規定し、従
って最大含有量を9重量%とすることが有効である。
【0018】本発明の鋳型内黒鉛球状化処理合金中のA
l量は0.5重量%以下とすることが必要である。即
ち、Alについては黒鉛球状化処理合金製造に用いられ
る原料の約60%を占めるFe−Si中に通常1〜2%
含有されているが、鋳型内黒鉛球状化法では球状化処理
された鋳鉄溶湯が脱滓処理されずに鋳型内に鋳込まれる
ため、Alに起因する鋳造欠陥(例えばドロス欠陥やピ
ンホール欠陥)を生じ易く、できる限り低減させるべき
であるが、0.5重量%以下であれば問題はない。
【0019】また、上述したように、鋳型内黒鉛球状化
処理法は、それに用いられる黒鉛球状化処理合金固有の
溶解係数により反応室等の鋳造方案が決定される。一
方、黒鉛球状化処理合金中に存在する酸素は主にSi,
Al,Mg,Ce,Caなどの活性元素と酸化物を構成
するが、この酸化物量の多少は黒鉛球状化処理合金の溶
解性を左右し、従って酸化物、即ち合金中に含有される
酸素量を一定範囲に制約することが合金固有の溶解係数
を決定する要素となり、この点から本発明の合金中の総
酸素含有量は0.1重量%以下であることが必要であ
る。なお、大気中で製造、管理される黒鉛球状化処理合
金中の総酸素量を一定量に保持することは製造上困難で
あるが、脱酸精練により総酸素含有量を上記一定量以下
に制約することができる。
【0020】更に、鋳型内黒鉛球状化処理合金固有の溶
解係数を決定する要素は上述した合金構成元素の他にそ
の合金の粒度範囲も重要な因子である。即ち、鋳型内黒
鉛球状化処理では、反応室に流入した鋳鉄溶湯が一定の
速度で反応室中の黒鉛球状化処理合金を溶解することに
より均一にMg等の合金元素を含有することが前提とな
るため、合金の粒度範囲が一定でないと合金の嵩密度に
変動を生じ、従って鋳鉄溶湯との総接触面面積の変動に
より合金元素の溶け込み量が一定に保たれないことにな
る。従って鋳型内黒鉛球状化処理合金は限定された粒度
範囲内に製造されなければならず、この点から本発明に
よる鋳型内黒鉛球状化処理合金は、0.5〜5mmの粒
度範囲のものを用いるものである。
【0021】本発明の鋳型内黒鉛球状化処理合金は、以
上のような組成、形態を有するものであるが、このよう
に構成された鋳型内黒鉛球状化処理合金中に、更に穏や
かな接種効果を持たせることを目的としてCa,Ba或
いはZrのうち少なくとも1種の元素を含有させてもよ
い。但し、これらの元素は鋳鉄溶湯中の酸素と容易に化
合し、スラグ等の非金属介在物を生成し易く、結果的に
それらに起因する鋳造欠陥を誘引するため、これらの元
素の総含有量を最大1%と制限する必要がある。この場
合、総含有量0.2%以下では求められる接種効果は十
分期待されないため、これらの元素の添加量は1%以
下、特に0.2〜1%とすることが好ましい。
【0022】本発明の黒鉛球状化処理合金は、鋳型内黒
鉛球状化処理に用いられるものであり、その使用法、鋳
型内黒鉛球状化処理の方法としては、公知方法を採用す
ることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0024】〔実施例,比較例〕表1に示す組成の各種
鋳型内黒鉛球状化処理合金を調製した。ここで、表中B
i1,Bi2,Bi3は本発明によるBi含有の合金例
であり、STDは比較のために用いられた従来型の鋳型
内黒鉛球状化処理合金である。なお、Biの効果のみを
比較するために、他の黒鉛球状元素(Mg,希土類元素
(RE),Ca)はほぼ同水準とし、合金の粒度は全て
1〜4mm(4mm以上10重量%以下、1mm以下1
0重量%以下)とした。
【0025】
【表1】
【0026】次に、上記合金を用いて鋳鉄溶湯の鋳型内
黒鉛球状化処理を行い、処理された鋳鉄溶湯を鋳型に鋳
込んだ。ここで、装置の概略は図1に示す通りであり、
図2に示す寸法の鋳造試験片A〜Dを得るため、鋳型A
〜Dを図1に示すように配備した。この場合、試験片A
〜Dは同一処理された鋳鉄溶湯の肉厚感度性を調査する
ため7.5,15,30,50mmの肉厚とした。本鋳
型寸法は、鋳型内黒鉛球状化処理法に一般的に用いる鋳
造方案の基本式に従い設計されたものであり、図1中の
反応室に表1に示した各種合金を同量ずつそれぞれ3水
準(全鋳込み重量に対して0.4,0.8,1.2重量
%)装填した。なお、鋳型は無機自硬性鋳型(CO
2型)を用いた。
【0027】また、鋳鉄溶湯としては、高純度銑鉄、電
解鉄、金属硅素を用いてほぼ同一化学組成(目標C:
3.8重量%、Si:2.0重量%)に配合されたもの
を用い、高周波誘導炉にて溶製された鋳鉄溶湯を約15
50℃に昇温後通電を停止し、約1452℃まで温度降
下した時点で、上記鋳型内に注湯した。なお、注湯速度
はほぼ同一速度とし、鋳型内反応室を通過する鋳鉄溶湯
の温度及び通過速度を一定条件に保ち、得られた鋳鉄組
織が表1の各合金の化学組成の影響にのみ評価される条
件とした。
【0028】なお、図1,2中、黒丸は温度センサ配置
部位、白丸は熱伝対配置部位を示し、Eは分析用チル板
である。
【0029】図3〜5に表1の各合金によって鋳型内黒
鉛球状化処理された鋳鉄のMg,Bi,Si含有量をそ
れぞれ示す。各元素ともに、添加量の増加に従い、ほぼ
一定の割合で増加しており、特にBiについてはBi添
加量と含有Bi量が良い対応を示しており、このことは
本発明の合金による鋳型内でのBi添加が安定かつ均質
に行われていることを示している。
【0030】なお、参考写真1〜16に、上記実験によ
り鋳型A〜Dに鋳込まれた球状黒鉛鋳鉄試験片A〜Dの
肉厚部の金属顕微鏡組織写真(ナイタール腐食)を示
す。
【0031】また、図6〜8に、試験片A〜Dの各肉厚
部を鋳鉄溶湯の冷却速度に換算する一方、参考写真1〜
16の組織写真を画像解析し、黒鉛球状化率、黒鉛粒
数、フェライト面積率を測定することにより一定の冷却
速度(即ち、一定の肉厚部)での表1の各合金の鋳鉄組
織に及ぼす影響を定量的に解析した結果を示す。その結
果より、各肉厚部ともBiの添加量(即ち、Bi含有
量)の増加に伴い、黒鉛粒径が小さくなり、粒数が増加
していることがわかる。また、基地組織についてはパー
ライト化が促進される最小肉厚部を除き、フェライト面
積率の増加が顕著である。殊に従来型の鋳型内球状化処
理合金に対して、Biの存在は大きな差異となって現わ
れていることがわかる。
【0032】即ち、冷却速度の遅い厚肉部では黒鉛粒数
については大差ないものの、Biの炭素原子の拡散防止
効果により、従来型合金によるものと比較し、高い黒鉛
球状化率を維持しており、対フェーディング効果に優れ
ていることを示している。他方、冷却速度の影響よりフ
ェーディングの影響のない薄肉部では、従来型合金によ
るものと比べ黒鉛球状化率に差異は見られないものの、
黒鉛粒数及びフェライト面積率ともに大幅な増加を示し
ている。このことは本発明の合金による鋳型内黒鉛球状
化処理によって、従来の合金によるものよりもより薄肉
のダクタイル鋳鉄を無チルの状態で得られることを示し
ている。また上記以外の中間肉厚部についてもBi含有
量と黒鉛粒数、フェライト面積率との間に良い対応を示
しており、本発明による合金中のBi含有量を調整する
ことによって、目的とするダクタイル鋳鉄組織が得られ
ることを示しており、このことは本発明による合金によ
り鋳型内黒鉛球状化処理することによって、初めて安定
的に得られるものである。
【0033】更に、図9,10に本実験で得られた試験
片A〜D各部から採取された各試験片の機械的性質を示
す。引っ張り強さに関しては各試験片とも冷却速度が大
きくなる(即ち薄肉化する)に従い、増加する傾向にあ
るが、Biを含有した本発明の合金による試料は従来型
の合金で処理されたものに比べて引っ張り強さは大き
く、特に薄肉部では2倍近くの値を示している。他方の
伸び率についても薄肉化に従い各試料とも増加傾向を示
すが、本発明の合金による試料は従来型の合金で処理さ
れたものに対する同一肉厚部での比較において1.5〜
2倍の優れた伸び率を示している。即ち、本発明の合金
で処理された球状黒鉛鋳鉄は従来型合金によるものより
も高強度、高靭性を示す優れた機械的性質を有する球状
黒鉛鋳鉄であることがわかる。
【0034】なお、最もBi含有量の多いBi3にて処
理された試料のうち、最薄肉部での伸び率が他試料の結
果と異なり減少傾向を示しているが、これはBi含有量
が過多のため鋳鉄中にBiの偏析部を生じるためと思わ
れる。このことは鋳鉄中にBiを含有させ、黒鉛粒数を
増やし、より薄肉の鋳鉄を得たり、あるいは上述した優
れた機械的性質を有する鋳鉄を得るためには、鋳鉄中に
含有されるBi量を厳密に管理する必要があることを示
している。
【0035】以上の実験結果より、本発明のBi含有鋳
型内黒鉛球状化処理合金による鋳型内黒鉛球状化処理
は、通常のBi含有黒鉛球状化合金による置注ぎ処理や
Bi含有接種剤による処理においては困難であったより
広い範囲でかつより正確な量のBiを鋳鉄中に含有せし
めることを可能とし、更に本発明により得られた鋳鉄
は、既存の方法の中では微細黒鉛組織を得易いことで知
られている従来の鋳型内黒鉛球状化処理法によって得ら
れた鋳鉄に比べても、より微細な黒鉛組織と優れた機械
的性質が得られることが認められた。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、Bi量を厳密にコント
ロールして鋳鉄中に含有することができ、より微細な黒
鉛組織を有し、優れた物性の球状黒鉛鋳鉄を得ることが
できると共に、より薄肉の球状黒鉛鋳鉄を熱処理なしで
簡単かつ確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例,比較例で用いた黒鉛球状化処
理装置の概略図である。
【図2】同装置で得られる球状黒鉛鋳鉄試験片の側面図
である。
【図3】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によるMgの添
加量と残留量との関係を示すグラフである。
【図4】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によるBiの添
加量と残留量との関係を示すグラフである。
【図5】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金による目標Si
と残留量との関係を示すグラフである。
【図6】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によって処理さ
れた各肉厚部の黒鉛球状化率と冷却速度との関係を示す
グラフである。
【図7】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によって処理さ
れた各肉厚部の黒鉛粒数と冷却速度との関係を示すグラ
フである。
【図8】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によって処理さ
れた各肉厚部のフェライト率と冷却速度との関係を示す
グラフである。
【図9】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によって処理さ
れた各肉厚部の引張り強さと冷却速度との関係を示すグ
ラフである。
【図10】各種鋳型内黒鉛球状化処理合金によって処理
された各肉厚部の伸び率と冷却速度との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊豆井 省三 福島県二本松市高田100番地 東北三菱自 動車部品株式会社内 (72)発明者 小口 威朗 東京都千代田区大手町二丁目6番1号 信 越化学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯道の途中に設けられた反応室内に装填
    され、この反応室内を鋳鉄溶湯が通過する際に溶解して
    鋳鉄溶湯を黒鉛球状化処理するために用いられる鋳型内
    黒鉛球状化処理合金であって、Mg3〜8重量%、希土
    類元素0.4〜9重量%、Bi0.4〜3重量%、Si
    40〜50重量%、残部がFe及び不可避的不純物から
    なり、かつAlが0.5重量%以下、総酸素量が0.1
    重量%以下に精練され、0.5〜5mmの粒度範囲を有
    することを特徴とする鋳型内黒鉛球状化処理合金。
  2. 【請求項2】 Ca,Ba及びZrのうち少なくとも1
    種の元素を総含有量で0.2〜1%含有する請求項1記
    載の鋳型内黒鉛球状化処理合金。
  3. 【請求項3】 湯道の途中に黒鉛球状化処理合金を装填
    した反応室を設け、この反応室内を鋳鉄溶湯が通過する
    際に上記黒鉛球状化処理合金を溶解させて鋳鉄溶湯を黒
    鉛球状化処理し、この黒鉛球状化処理された鋳鉄溶湯を
    鋳型に鋳込むようにした黒鉛球状化処理方法において、
    上記黒鉛球状化処理合金として、Mg3〜8重量%、希
    土類元素0.4〜9重量%、Bi0.4〜3重量%、S
    i40〜50重量%、残部がFe及び不可避的不純物か
    らなり、かつAlが0.5重量%以下、総酸素量が0.
    1重量%以下に精練され、0.5〜5mmの粒度範囲を
    有するものを用いたことを特徴とする黒鉛球状化処理方
    法。
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