JPH0532787U - スクロール型流体機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 旋回スクロールのすりこぎ運動に際しても、
各スクロールの外方部のチップシール溝縁の肉部の強度
を確保し、その変形・破損を防止する。 【構成】 旋回スクロールおよび固定スクロールのうず
巻き状ラップの先端に設けられるチップシール溝の幅お
よび同溝に嵌装されるチップシールの幅を、内方部では
広く、外方部では狭く形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はスクロール型流体機械に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図２は従来のスクロール型圧縮機の縦断面図、図３は同圧縮機の旋回スクロー ルの平面図である。図において、１は密閉ハウジングで、カップ状本体２とこれ にボルト３によって締結されたフロントエンドプレート４とこれにボルト５によ って締結された筒状部材６とからなっている。この筒状部材６を貫通する回転軸 ７はベアリング８及び９を介してハウジング１に回転自在に支持されている。ハ ウジング１内には固定スクロール１０及び旋回スクロール１４が配設されている 。

【０００３】 固定スクロール１０は端板１１とその内面に立設されたうず巻き状ラップ１２ とを備え、この端板１１はボルト１３によってカップ状本体２に締結されている 。端板１１の外周面とカップ状本体２の内周面とを密接させることによってハウ ジング１内が仕切られ、端板１１の外側には吐出キャビティ３１が形成され、端 板１１の内側には吸入室２８が形成されている。また、端板１１の中央には吐出 ポート２９が穿設され、この吐出ポート２９は吐出弁３０によって開閉されるよ うになっている。旋回スクロール１４は端板１５とその内面に立設されたうず巻 き状ラップ１６とを備えている。このうず巻き状ラップ１６は固定スクロール１ ０のうず巻き状ラップ１２と実質的に同一の形状を有している。

【０００４】 旋回スクロール１４と固定スクロール１０とは相互に所定距離だけ偏心し、か つ、１８０°だけ角度をずらせて噛み合わされている。かくして、うず巻き状ラ ップ１２の先端面に埋設されたチップシール１７は端板１５の内面に密接し、う ず巻き状ラップ１６の先端面に埋設されたチップシール１８は端板１１の内面に 密接し、うず巻き状ラップ１２と１６の側面は複数個所で線接触してうず巻きの 中心に対してほぼ点対称をなす複数の圧縮室１９ａ，１９ｂが形成されている。

【０００５】 端板１５の外面中央部に突設された円筒状ボス２０の内部にはドライブブッシ ュ２１が旋回軸受２３を介して回転自在に嵌装され、このドライブブッシュ２１ に穿設されたスライド溝２４内には回転軸７の内端に偏心して穿設された偏心駆 動ピン２５がスライド可能に嵌合されている。そして、このドライブブッシュ２ １には旋回スクロールの公転旋回運動による動的アンバランスを平衡させるため のバランスウェイト２７が取り付けられている。端板１５の外面の外周縁とフロ ントエンドプレート４の内面との間にはスラスト軸受３６及びオルダム接手から なる自転阻止機構２６が介装されている。なお、３７は回転軸７に固定されたバ ランスウェイトである。

【０００６】 以上の構成において、回転軸７を回転させると、偏心駆動ピン２５、ドライブ ブッシュ２１、ボス２０等からなる旋回駆動機構を介して旋回スクロール１４が 駆動され、旋回スクロール１４はオルダム接手２６によってその自転を阻止され ながら公転旋回半径を半径とする円軌道上を公転旋回運動する。すると、うず巻 き状ラップ１２と１６の側面の線接触部が次第にうず巻きの中心方向へ移動し、 この結果、圧縮室１９ａ，１９ｂはその容積を減じながらうず巻きの中心方向へ 移動する。これに伴って、図示していない吸入口を通って吸入室２８へ流入した ガスがうず巻き状ラップ１２と１６の外終端開口部から各圧縮室１９ａ，１９ｂ 内へ取り込まれて圧縮されながら中央の室２２に至り、ここから吐出ポート２９ を通り吐出弁３０を押し開いて吐出キャビティ３１へ吐出され、そこから図示し ていない吐出口を経て流出する。

【０００７】 図３は上記圧縮機の旋回スクロールの平面図であり特にチップシールの装着状 態の詳細を示すものである。チップシール１８は旋回スクロール１４のうず巻き 状ラップ１６の先端面に埋設され、形状はうず巻き状ラップと同一形状とし、中 央部から外方部まで一様の幅に形成されている。固定スクロールにおいても上記 チップシール部の構成は同様である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のスクロール型圧縮機においては、圧縮ガスのガス圧力を利用してチ ップシール１７及び１８を溝内で浮き上がらせ、チップシール１７は端板１５の 内面に密接し、チップシール１８は端板１１の内面に密接し、半径方向への圧縮 ガス漏れを防ぐ構造となっている。この場合必然的にチップシール幅はうず巻き 状ラップ幅より小さく、このためできるラップ形状に沿ったチップスキマが存在 する。効率向上のためにはこのスキマをできるだけ小さくする必要が有り、従来 チップシール幅をうず巻き状ラップ幅にできるだけ近づける方法がとられてきた 。

【０００９】 スクロール型圧縮機においては、その運転時、旋回スクロールは圧縮ガス力に より姿勢が傾けられ、すりこぎ運動を行なう。この時外方側の旋回スクロールの ラップ先端が端板に接触し、旋回スクロールの転倒力を受けてチップシール溝の 縁を構成するラップ先端の肉部が大きな力を受けることとなる。上記の様に効率 向上のためチップシール幅をうず巻き状ラップ幅にできるだけ近づけたスクロー ル型圧縮機では、チップシール溝の縁を構成する前記肉部の幅が薄く、強度不足 となりその部分の変形、破損を生じることがあった。

【００１０】 本考案は、上記従来技術の欠点を解消し、旋回スクロールのすりこぎ運動に際 しても、外方部のチップシール溝の縁の肉部の強度を確保し、その変形・破損を 防止することのできるスクロール型流体機械を提供しようとするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記課題を解決したものであって、それぞれの端板の内面にうず巻き 状ラップが立設されている固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて複 数の圧力流体室を形成し、同旋回スクロールを自転を阻止しながら公転旋回運動 させるスクロール型流体機械において、旋回スクロールおよび固定スクロールの うず巻き状ラップの先端に設けられるチップシール溝の幅および同溝に嵌装され るチップシールの幅を、内方部では広く、外方部では狭く形成したことを特徴と するスクロール型流体機械に関するものである。

【００１２】

【作用】

本考案においては上記構成を具えているため、スクロール型圧縮機の運転時、 隣接する圧縮室間の圧力差が大きい内方部では、チップスキマが従来通り小さく 圧縮機の効率低下はなく、隣接する圧縮室間の圧力差が小さい外方部では、チッ プスキマが大きくなるが、差圧が小さいため効率低下への影響度は小さく、溝縁 の内部の強度アップにより信頼性が向上する。

【００１３】

【実施例】

図１は本考案の一実施例の旋回スクロール１４の平面図である。図において、 １６はうず巻き状ラップ、１８はチップシール、１００はチップシール溝である 。本実施例では、内方部からＡ−Ａ線まではチップシール溝の溝幅が広く（した がってチップシール溝の縁の幅は狭く）、Ａ−Ａ線から外方部まではチップシー ル溝の溝幅が狭く（したがってチップシール溝の幅は広く）形成されている。チ ップシールはチップシール溝に嵌装されるので、溝幅の広い部分ではチップシー ル幅も広く、溝幅の狭い部分ではチップシール幅も狭い。上記構成は固定スクロ ールにおいても同様である。

【００１４】 本実施例のスクロール型圧縮機においては、旋回スクロール、固定スクロール のうず巻き状ラップ先端に埋設したチップシールの幅を、隣接する圧縮室間の筒 内圧力差が大きい内方部では従来通り広くして、圧縮機の効率低下を防ぎ、隣接 する圧縮室間の筒内圧力差が小さい外方部ではチップシールの幅を狭くし、溝縁 の幅を広くして、旋回スクロールのすりこぎ運動によるうず巻き状ラップの先端 の接触に対して、溝縁肉部の強度を向上させたものである。

【００１５】

【考案の効果】

本考案のスクロール型流体機械においては、旋回スクロールおよび固定スクロ ールのうず巻き状ラップの先端に設けられるチップシール溝の幅および同溝に嵌 装されるチップシールの幅を、内方部では広く、外方部では狭く形成してあるの で、旋回スクロールのすりこぎ運動に際しても、各スクロールの外方部のチップ シール溝縁の肉部の強度を確保し、その変形・破損を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の旋回スクロールの平面図。

【図２】従来のスクロール型圧縮機の縦断面図。

【図３】従来の旋回スクロールの平面図。

【符号の説明】

１０ 固定スクロール １４ 旋回スクロール １２ うず巻き状ラップ １６ うず巻き状ラップ １７ チップシール １８ チップシール １００ チップシール溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 それぞれの端板の内面にうず巻き状ラッ
   プが立設されている固定スクロールと旋回スクロールと
   を噛み合わせて複数の圧力流体室を形成し、同旋回スク
   ロールを自転を阻止しながら公転旋回運動させるスクロ
   ール型流体機械において、旋回スクロールおよび固定ス
   クロールのうず巻き状ラップの先端に設けられるチップ
   シール溝の幅および同溝に嵌装されるチップシールの幅
   を、内方部では広く、外方部では狭く形成したことを特
   徴とするスクロール型流体機械。