JPH05327560A - エコーキャンセラ - Google Patents

エコーキャンセラ

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JPH05327560A
JPH05327560A JP12896392A JP12896392A JPH05327560A JP H05327560 A JPH05327560 A JP H05327560A JP 12896392 A JP12896392 A JP 12896392A JP 12896392 A JP12896392 A JP 12896392A JP H05327560 A JPH05327560 A JP H05327560A
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JP
Japan
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power value
signal
sample time
value
tap coefficient
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Application number
JP12896392A
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English (en)
Inventor
Takashi Obara
隆 小原
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 通話信号パワー値を演算精度を低下させるこ
となく少ない演算量で算出可能とし、これによりタップ
係数更新処理に要する処理時間を短縮する。 【構成】 受話信号パワー値を算出する際に、1サンプ
ルタイム前の受話信号パワー値をパワー値レジスタ20
gに記憶しておき、現サンプルタイムにおいて新たに受
話信号レジスタ20aに入力された受話信号レベルの2
乗値と、最も古いサンプルタイムにおける受話信号レベ
ルの2乗値とを、2乗計算部20hでそれぞれ算出す
る。そして、上記パワー値レジスタ20gに記憶された
1サンプルタイム前の受話信号パワー値に対し、上記2
乗計算部20hで算出された、新たな受話信号レベルの
2乗値および最も古いサンプルタイムにおる受話信号レ
ベルの2乗値を、加算器20jおよび減算器20kでそ
れぞれ加算および減算し、これにより現サンプルタイム
における受話信号パワー値を算出するようにしたもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有線電話装置や自動車
電話装置、携帯電話装置、コードレス電話装置などの音
声通信装置において、送受話路間で発生する回線エコー
や音響エコーを消去するために用いられるエコーキャン
セラに関する。
【0002】
【従来の技術】通信回線においては、加入者線のような
2線区間と長距離中継線のような4線区間とが混在して
いる。4線区間と2線区間とを接続する4線−2線変換
器には一般にハイブリッドトランスが使用される。しか
し、線路インピーダンスにはバラツキがあるため、ハイ
ブリッドトランスにおいて完全なインピーダンス整合を
取ることは困難である。このため、通信回線では4線−
2線変換器において回線エコーが発生する。
【0003】また、ハンドセットの代わりに電話装置本
体に設けられたスピーカとマイクロホンとを使用して通
話を行なう、いわゆるハンズフリー通話機能を有してい
る電話装置や、同様の通話形態を採るテレビ会議システ
ムでは、スピーカから発生された受話音声が壁や天井で
反射してマイクロホンに回り込むため、音響エコーが発
生する。
【0004】これらのエコーは、特にディジタル通信方
式を採用した通信システムや、通信回線中に例えば通信
衛星を介在する通信システムのように、伝送遅延量が比
較的大きい通信システムにあっては、通信品質の著しい
劣化を招き非常に好ましくない。
【0005】例えば、ディジタル自動車電話システムに
おいては、無線周波数の有効利用の観点から低ビットレ
ートの音声符号化器が使用され始めている。低ビットレ
ートの音声符号化器としては、例えば4〜8kbpsで比較
的良好な音声品質を得ることが可能なCELP(Code E
xcited Linear Prediction)方式、あるいはその改良型
であるVSELP(vector Sun Excited Linear Predic
tion)方式が用いられる。CELP方式の詳細な点につ
いては、M.R.Schroeder 氏とB.S.Atal氏の“Code-Excit
ed Linear Prediction(CELP):High-Quality Spe
ach At Very Low Bit Rates ”in Proc.ICASSP.1985,p
p.937〜939 に述べられている。これらの符号化方式を
採用した装置では、一般に音声信号を低ビットレートに
圧縮するためにフレーム単位で符号化処理が行なわれ、
またバースト誤りに対する訂正能力を高めるためにイン
タリーブが用いられている。このため、ディジタル自動
車電話システムにおける伝送遅延は片道で約100msec に
もなる。
【0006】そこで、従来よりこの種のシステムでは、
エコーパスの特性を適応フィルタによりインパルス応答
のかたちで推定してエコーパスと同一の特性を有する擬
似エコー信号を生成し、この擬似エコー信号を通話信号
から差し引くことにより通話信号中に含まれるエコー成
分を消去する、いわゆるエコーキャンセラが使用されて
いる。ディジタル自動車電話システムでは、一般に移動
局に音響エコーを消去するための音響エコーキャンセラ
が、また基地局に回線エコーをキャンセルするための回
線エコーキャンセラが設けられる。
【0007】図3は、音響エコーキャンセラを備えたデ
ィジタル自動車電話装置の構成の一例を示すものであ
る。同図において、図示しない基地局から無線チャネル
を介して送られた無線搬送波信号は、アンテナ1で受信
されたのちアンテナ共用器(DUP)2を介して受信回
路(RX)3に入力され、ここで周波数シンセサイザ
(SYN)4から出力される局部発振信号とミキシング
されて中間周波信号に周波数変換される。そして、この
受信中間周波信号は、ディジタル復調回路(DEM)6
によりフレーム同期およびビット同期が確立されたうえ
でディジタル復調される。尚、上記フレーム同期および
ビット同期により得られた同期信号は制御回路(CON
T)30に入力される。
【0008】上記ディジタル復調回路6から出力された
復調信号には、符号化通話信号と制御信号とがあり、こ
のうち制御信号は制御回路30に供給されて識別され
る。一方符号化通話信号は、A/D変換器7でサンプル
されたのち誤り訂正復号回路(CH−DEC)8で誤り
訂正復号される。そして、この誤り訂正復号された符号
化通話信号は、音声復号回路(SP−DEC)9で復号
化処理が施され、さらにD/A変換器10でアナログ通
話信号に戻されたのち、スイッチ11を介してハンズフ
リースピーカ12から話者に向け拡声出力される。な
お、ハンドセット通話モードが設定されている場合に
は、スイッチ11はハンドセット13側に切替わってい
る。このため、上記アナログ通話信号はスイッチ11を
介してハンドセット13のスピーカ14から出力され
る。
【0009】一方、ハンズフリー通話中の話者の送話音
声は、ハンズフリーマイクロホン16により集音されて
送話信号に変換されたのち、スイッチ17を介してA/
D変換器18に入力され、ここで先ず所定のサンプリン
グ周期でディジタル化される。そして、このディジタル
送話信号は、切替スイッチ19を介してエコーキャンセ
ラ20に入力され、このエコーキャンセラ20で音響エ
コーがキャンセルされたのち、切替スイッチ21を介し
て音声符号回路(SP−COD)22に入力され、ここ
で符号化される。なお、ハンドセット通話モードが設定
されている場合には、スイッチ17はハンドセット13
側に切替わり、また切替スイッチ19,21はエコーキ
ャンセラ20側にそれぞれ切替わっている。したがっ
て、この場合にはハンドセット13のスピーカ15によ
り集音され音電変換された送話信号が、A/D変換器1
8でディジタル化されたのちエコーキャンセラ20を迂
回して音声符号回路22に入力され、符号化される。
【0010】そうして符号化された送話信号は、制御回
路30から出力される制御信号とともに誤り訂正符号回
路(CH−COD)23で誤り訂正符号化され、さらに
D/A変換器24でアナログ信号に変換されたのち、デ
ィジタル変調回路(MOD)25に入力される。このデ
ィジタル変調回路25では、上記符号化送話信号により
ディジタル変調された送信中間周波信号が出力され、送
信回路(TX)5に入力される。送信回路5では、上記
変調された送信中間周波信号が周波数シンセサイザ4か
ら出力される局部発振信号とミキシングされて無線周波
信号に周波数変換される。そして、この無線周波信号は
送信電力増幅器で所定の電力レベルに増幅されたのち、
アンテナ共用器2を介してアンテナ1から基地局へ向け
て送信される。
【0011】尚、31は発信スイッチやダイヤルキーな
どのキースイッチ群および液晶表示器などが配置された
コンソールユニット(CU)であり、ハンドセット通話
モードとハンズフリー通話モードとを択一的に指定入力
するためのモード指定スイッチもこのコンソールユニッ
ト31に設けられている。また、40は電源回路であ
り、電池41の出力電圧を基に所要の動作電圧Vccを生
成して各回路部に給電する。
【0012】エコーキャンセラ20は、受話信号レジス
タ20aと、タップ係数レジスタ20bと、トランスバ
ーサルフィルタからなる適応フィルタ20cと、演算器
20dと、タップ係数更新部20eと、受話信号パワー
算出部20fとから構成される。受話信号レジスタ20
aには、音声復号回路9から出力されたディジタル受話
信号がそのサンプルタイムに従って順次取り込まれて蓄
積される。適応フィルタ20cでは、上記受話信号レジ
スタ20aに蓄積されたディジタル受話信号と、上記タ
ップ係数レジスタ20bに記憶されたタップ係数とを基
に畳み込み演算が行なわれ、これにより擬似エコー信号
が生成される。この擬似エコー信号は演算器20dに供
給される。演算器20dでは、A/D変換器18より入
力されたディジタル送話信号から上記擬似エコー信号が
差し引かれ、これによりディジタル送話信号に含まれる
音響エコー成分が消去される。
【0013】タップ係数更新部20eでは、上記演算器
20dで消去されずに通過する残差信号を最小にするた
めに、タップ係数メモリ20bに記憶されたタップ係数
を更新するための演算処理が行なわれる。したがって、
適応フィルタ20dの伝達関数はエコーパスの伝達関数
に次第に近づき、両伝達関数が等しくなると残差信号レ
ベルは略零となる。
【0014】ところで、上記タップ係数更新部20eに
おけるタップ係数の更新アルゴリズムとしては、従来よ
り例えば最小二乗平均法(LMS)を正規化した学習同
定法(NLMS)が多く用いられている。この学習同定
法によるアルゴリズムは、演算量が比較的少なくて済み
しかも良好な特性を示すという利点を有する。第(1)式
は、N次の適応フィルタのタップ係数をhi (i=1〜
N)とするときの学習同定法の更新式を示したものであ
る。
【0015】
【数1】
【0016】ただし、x(j-i) は遠端話者信号レベル、
つまり受話信号レジスタ20aに入力される受話信号の
レベル、e(j) は演算器20dから出力されたディジタ
ル送話信号に含まれる残差信号レベル、またμはステッ
プサイズをそれぞれ示している。この更新演算式のうち
右辺の分母に相当する受話信号パワー値の算出が、受話
信号パワー算出部20fにおいて行なわれる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この種の適
応アルゴリズムを用いてタップ係数の更新を行なう従来
のエコーキャンセラでは、受話信号パワー算出部20f
において、各サンプルタイムごとにその受話信号パワー
値を算出するために、N回の乗算とN−1回の加算とを
行なわなければならない。このため、受話信号パワー算
出部20fにおける1サンプルタイムごとの演算量が非
常に多くなり、これにより処理時間が長くなるという問
題点があった。
【0018】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、通話信号のパワー値を演
算精度を低下させることなく少ない演算量で算出できる
ようにし、これによりタップ係数更新処理に要する処理
時間を短縮することができるエコーキャンセラを提供す
ることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、任意のサンプルタイムkにおける通話信号
パワー値が、その一つ前のサンプルタイムk−1におけ
る通話信号パワー値と共通要素が多い点に着目し、サン
プルタイムkにおける通話信号パワー値を算出する際
に、前サンプルタイムk−1における通話信号パワー値
を記憶しておき、変化する要素のみを演算して、上記記
憶してある通話信号パワー値に対しこの変化要素の演算
値を加減算することにより、サンプルタイムkにおける
通話信号パワー値を算出するようにしたものである。
【0020】すなわち、タップ係数更新のための通話信
号パワー値算出手段には、一つ前のサンプルタイムで算
出された通話信号パワー値を記憶するためのパワー値記
憶手段と、第1および第2の2乗値算出手段と、加減算
を行なう演算手段とが設けられる。第1および第2の2
乗値算出手段では、通話信号の記憶手段に記憶されてい
る最も古いサンプルタイムにおける通話信号レベルおよ
び最も新しいサンプルタイムにおける通話信号レベルの
それぞれの2乗値が算出される。そして、上記演算手段
において、上記パワー値記憶手段に記憶されている一つ
前のサンプルタイムにおける通話信号パワー値に対し、
上記第1の2乗値算出手段により算出された通話信号レ
ベルの2乗値の減算および上記第2の2乗値算出手段に
より算出された通話信号レベルの2乗値の加算がそれぞ
れ行なわれ、これにより新たな通話信号パワー値が算出
される。この算出された通話信号パワー値は、タップ係
数の更新処理に供されるとともに、次のサンプルタイム
における通話信号パワー値の算出のために上記パワー値
記憶手段に記憶される。
【0021】
【作用】この結果本発明によれば、通話信号パワー値算
出手段では、任意のサンプルタイムにおける通話信号パ
ワー値を算出する際に、その一つ前のサンプルタイムに
おいて得られた通話信号パワー値を基に、このパワー値
を構成する各要素のうち変化した要素についてのみ演算
が行なわれ、その演算値が上記一つ前のサンプルタイム
における通話信号パワー値に対し加減算されることによ
り、現サンプルタイムにおける通話信号パワー値が算出
される。このため、各サンプルタイムごとに、その都度
通話信号パワー値を構成するすべての要素について演算
を行なって新たな通話信号パワー値を算出する場合に比
べて、通話信号パワー値を算出するために必要な演算量
は大幅に減少される。したがって、タップ係数更新演算
処理の処理時間は短縮され、これによりタップ係数更新
制御の応答性が向上される。また、演算のためのクロッ
ク速度を低速にすることができ、これにより回路の消費
電力を低減することも可能となる。
【0022】
【実施例】図1は、本発明の一実施例に係わるエコーキ
ャンセラを設けたディジタル自動車電話装置の構成を示
す回路ブロック図である。なお、同図において前記図3
と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略す
る。
【0023】本実施例のエコーキャンセラ200は、シ
フトレジスタからなる受話信号レジスタ20aと、タッ
プ係数レジスタ20bと、トランスバーサルフィルタか
らなる適応フィルタ20cと、エコー消去用の演算器2
0dと、タップ係数更新部20eと、受話信号パワー値
算出部200fとから構成されている。
【0024】タップ係数レジスタ20aには、ディジタ
ル受話信号がそのサンプルタイムごとにシフトされなが
ら複数サンプルタイム(Nサンプルタイム)分記憶され
る。タップ係数レジスタ20bには、上記適応フィルタ
20cにおいて用いられるタップ系数値が記憶される。
適応フィルタ20cでは、上記受話信号レジスタ20a
に記憶されている受話信号と、上記タップ係数レジスタ
20bに記憶されているタップ係数とを基に畳み込み演
算が行なわれ、これにより音響エコーパスの伝達特性に
対応した擬似エコー信号が生成される。演算器20dで
は、この適応フィルタ20cにより生成された擬似エコ
ー信号を、A/D変換器18より切り替えスイッチ19
を介して入力されたディジタル送話信号から差し引くた
めのディジタル演算処理が行なわれる。
【0025】ところで、タップ係数更新部20eでは、
第(1) 式に示した学習同定法による更新式に従ってタッ
プ係数を更新するための演算処理が行なわれるが、この
更新式のうち右辺分母に対応する受話信号のパワー値に
ついては受話信号パワー値算出部200fにおいて求め
られる。この受話信号パワー値算出部200fは、図示
するごとくパワー値レジスタ20gと、2乗計算部20
hと、左シフト部20iと、加算器20jと、減算器2
0kとから構成される。
【0026】パワー値レジスタ20gには、各サンプル
タイムごとに、上記減算器20kから出力された受話信
号パワー値の算出結果が、次のサンプルタイムにおける
パワー値算出のために記憶される。2乗計算部20hで
は、各サンプルタイムごとに、上記受話信号レジスタ2
0aに記憶されている最も新しいサンプルタイムにおけ
る受話信号レベルの2乗値と、1サンプルタイム前に記
憶されていた最も古いサンプルタイムにおける受話信号
レベルの2乗値とがそれぞれ算出される。加算器20j
では、上記パワー値レジスタ20gに記憶されている1
サンプルタイム前の受話信号パワー値に、上記2乗計算
部20hにより算出された、最も新しいサンプルタイム
における受話信号レベルの2乗値を加算するための演算
が行なわれる。減算器20kでは、上記加算器20jか
ら出力された受話信号パワー値から、上記2乗計算部2
0hにより算出された、最も古いサンプルタイムにおけ
る受話信号レベルの2乗値を減算するための演算が行な
われる。そして、この演算により得られた受話信号パワ
ー値は、上記パワー値レジスタ20gおよびタップ係数
更新部20eに供給される。
【0027】なお、左シフト部20iは、上記加算器2
0jから出力される2乗和値のオーバフローを防止する
ためのもので、2乗計算部20hから出力された、最も
新しいサンプルタイムにおける受話信号レベルの2乗値
を左方向に1ビットシフトしてその値を小さくしてい
る。また、それに伴いタップ係数更新部20eは、上記
左シフト部20iのシフト処理によるパワー値の減少分
を補償するために、第(1) 式に示した更新式の分子の値
を上記シフト処理によるパワー値の減少割合に応じて変
化させる処理を行なっている。
【0028】次に、以上のように構成されたエコーキャ
ンセラ200の動作を、図2(a),(b)を用いて説
明する。いまサンプルタイムkでのタップ更新のための
演算処理が終了し、これによりパワー値レジスタ20g
に、図2の(a)に示される受話信号パワー値x2 (k)
〜x2 (k-N) が記憶されたとする。この受話信号パワー
値x2 (k) 〜x2 (k-N) のうちで、次のサンプルタイム
k+1においても変化しない部分は、図2のBに示す部
分x2 (k) 〜x2 (k+1-N) である。これに対し上記受話
信号パワー値x2 (k) 〜x2 (k-N) のうち、最も古いサ
ンプルタイムk−Nにおいて得られたパワー値x2 (k-
N) は、次のサンプルタイムk+1においては図2
(b)に示すように不要になる。また、次のサンプルタ
イムk+1においては、新たに得られるパワー値x2 (k
+1) が、上記変化しない部分Bのパワー値x2 (k) 〜x
2 (k+1-N) に図2(b)に示されるように追加される。
【0029】すなわち、サンプルタイムk+1における
受話信号パワー値の算出処理においては、不要になる最
も古いサンプルタイムk−Nにおいて得られたパワー値
2 (k-N) と、新たに追加されるパワー値x2 (k+1) と
をそれぞれ算出し、1サンプルタイム前の受話信号パワ
ー値x2 (k) 〜x2 (k-N) に対し、上記パワー値x2 (k+
1) およびパワー値x2 (k-N) をそれぞれ加算および減
算すればよいことになる。
【0030】このような原理に基づいて、本実施例の受
話信号パワー値算出部200fでは、受話信号レジスタ
20aに1サンプルタイムの受話信号レベルが入力され
ると、2乗計算部20hにおいて、上記受話信号レジス
タ20aに新たに記憶された受話信号レベルの2乗値
と、最も古いサンプルタイムにおける受話信号レベルの
2乗値とがそれぞれ算出される。そして、このうち新た
なサンプルタイムにおける受話信号レベルの2乗値は、
左シフト部20iにより例えば1ビット左シフトされて
これにより値が低減されたのち、加算器20jに入力さ
れる。この加算器20jでは、パワー値レジスタ20g
から読み出された1サンプルタイム前の受話信号パワー
値に、上記左シフト部20iから出力された2乗値が加
算され、その加算後のパワー値は減算器20kに入力さ
れる。この減算器20kでは、上記加算器20jから出
力されたパワー値から、上記2乗計算部20hから出力
された最も古いサンプルタイムにおける受話信号レベル
の2乗値が減算される。そして、この減算後の受話信号
パワー値が、現サンプルタイムにおけるパワー値として
タップ係数更新部20eに供給される。また、このパワ
ー値は次のサンプルタイムにおける受話信号パワー値の
算出のために、パワー値レジスタ20gに記憶される。
以後同様に、各サンプルタイムごとに上記動作が繰り返
される。
【0031】上記受話信号パワー値算出部200fにお
いて新たな受話信号パワー値が得られるごとに、タップ
係数更新部20eでは、第(1) 式に示した学習同定法に
よる更新式に基づいて新たなタップ係数が算出される。
そして、タップ係数レジスタ20bに記憶されているタ
ップ係数は、この新たなタップ係数に書き替えられる。
したがって、適応フィルタ20cにおいて生成される擬
似エコー信号は、1サンプルタイムごとに上記更新され
た上記タップ係数値に従って変化する。すなわち、適応
フィルタ20cでは、エコーパスの伝達特性の変化に追
従して最適な擬似エコー信号が生成される。したがっ
て、演算器20dから出力される残差信号のレベルは常
に最小となる。
【0032】このように本実施例では、受話信号パワー
値を算出する際に、1サンプルタイム前の受話信号パワ
ー値をパワー値レジスタ20gに記憶しておき、現サン
プルタイムにおいて新たに受話信号レジスタ20aに入
力された受話信号レベルの2乗値と、最も古いサンプル
タイムにおける受話信号レベルの2乗値とを、2乗計算
部20hでそれぞれ算出している。そして、上記パワー
値レジスタ20gに記憶された1サンプルタイム前の受
話信号パワー値に対し、上記2乗計算部20hで算出さ
れた、新たな受話信号レベルの2乗値および最も古いサ
ンプルタイムにおる受話信号レベルの2乗値を、加算器
20jおよび減算器20kでそれぞれ加算および減算
し、これにより現サンプルタイムにおける受話信号パワ
ー値を算出している。
【0033】したがって本実施例であれば、受話信号パ
ワー値を構成するすべてのサンプルタイムのパワー値の
うち、前サンプルタイムから値が変化するパワー値のみ
を算出すればよいことになるので、各サンプルタイムご
とにその都度すべてのサンプルタイムのパワー値を算出
してそれらを加算する演算を行なっていた従来の回路に
比べて、演算量を大幅に減らすことができる。このた
め、タップ係数の処理時間を短縮することができ、これ
によりタップ係数更新処理の応答性を向上させることが
できる。また、パワー値算出演算のためのクロック速度
を低速にすることができ、これにより回路の消費電力を
低減することができる。
【0034】また本実施例であれば、最新サンプルタイ
ムにおける受話信号レベルの2乗値を左シフト部20i
で左シフトすることにより値を低減し、この値が低減さ
れた2乗値を前サンプルタイムにおける受話信号パワー
値に加算するようにしたので、この加算後の受話信号パ
ワー値の値が大きくなり過ぎ、これによりオーバフロー
を生じる不具合を防止することができる。すなわち、桁
数の少ない比較的小形の演算回路により受話信号パワー
値を算出することが可能となる。
【0035】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、上記実施例では、先ず最新サンプ
ルタイムにおける受話信号レベルの2乗値を前サンプル
タイムにおける受話信号パワー値に加算し、次にその加
算結果から最も古いサンプルタイムにおる受話信号レベ
ルの2乗値を減算することにより、新たな受話信号パワ
ー値を算出するようにした。しかし、先ず前サンプルタ
イムにおける受話信号パワー値から最も古いサンプルタ
イムにおる受話信号レベルの2乗値を減算し、次にこの
減算結果に上記最新サンプルタイムにおける受話信号レ
ベルの2乗値を加算することにより、新たな受話信号パ
ワー値を算出するように構成してもよい。このように構
成すると、演算過程におけるパワー値の最大値を減少さ
せることができ、これにより場合によっては左シフト部
20iを不要にすることも可能となる。
【0036】その他、パワー値記憶手段、2乗値算出手
段、および前サンプルタイムの受話信号パワー値に対し
最新および最古のサンプルタイムの各2乗値を加減算す
るための演算手段の構成や演算手順、さらにはエコーキ
ャンセラを構成する他の各回路部の構成等についても、
本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施でき
る。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、タップ係
数更新のための通話信号パワー値算出手段に、前サンプ
ルタイムで算出された通話信号パワー値を記憶するため
のパワー値記憶手段と、第1および第2の2乗値算出手
段と、加減算を行なう演算手段とを設けている。そし
て、第1および第2の2乗値算出手段において、通話信
号の記憶手段に記憶されている最も古いサンプルタイム
における通話信号レベルおよび最も新しいサンプルタイ
ムにおける通話信号レベルのそれぞれの2乗値を算出
し、上記演算手段において、上記パワー値記憶手段に記
憶されている前サンプルタイムにおける通話信号パワー
値に対し、上記第1の2乗値算出手段により算出された
通話信号レベルの2乗値の減算および上記第2の2乗値
算出手段により算出された通話信号レベルの2乗値の加
算をそれぞれ行なって、新たな通話信号パワー値を算出
するようにしたものである。
【0038】したがって本発明によれば、通話信号のパ
ワー値を演算精度を低下させることなく少ない演算量で
算出することができ、これによりタップ係数更新処理に
要する処理時間を短縮することができるエコーキャンセ
ラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるエコーキャンセラを
備えたディジタル自動車電話装置の構成を示す回路ブロ
ック図。
【図2】図1に示したエコーキャンセラの受話信号パワ
ー値算出部の演算動作を説明するための模式図。
【図3】従来のエコーキャンセラを備えたディジタル自
動車電話装置の構成の一例を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
1…アンテナ 2…アンテナ共用
器(DUP) 3…受信回路(RX) 4…周波数シンセ
サイザ(SYN) 5…送信回路(TX) 6…ディジタル復
調回路(DEM) 7,18,52…A/D変換器 8…誤り訂正復号
回路(CHDEC) 9…音声復号回路(SPDEC) 10,24,53
…D/A変換器 11,17,21,26,190…切替スイッチ 12…ハンズフリースピーカ 13…ハンドセッ
ト 14…ハンドセットスピーカ 15…ハンドセッ
トマイクロホン 16…ハンズフリーマイクロホン 200…エコーキ
ャンセラ 20a…受話信号レジスタ 20b…タップ係
数レジスタ 20c…適応フィルタ 20d…エコー消
去用演算器 20e…タップ係数更新部 200f…受話信
号パワー値算出部 20g…パワー値レジスタ 20h…2乗計算
部 20i…左シフト部 20j…加算器 20k…減算器 22…音声符号回
路(SPCOD) 23…誤り訂正符号回路(CHCOD) 25…ディジタル変調回路(MOD) 30…制御回路 31…コンソール
ユニット(CU) 40…電源回路 41…電池

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送話信号路と受話信号路との間で一方の
    信号路の通話信号が他方の信号路に回り込むことにより
    発生するエコー信号を消去するために設けられるエコー
    キャンセラにおいて、 前記一方の信号路の通話信号レベルを、所定のサンプル
    周期に従って複数のサンプルタイム分だけ記憶するため
    の信号記憶手段と、 タップ係数を記憶するためのタップ係数記憶手段と、 前記信号記憶手段に記憶された通話信号レベルとタップ
    係数記憶手段に記憶されているタップ係数とを基に畳み
    込み演算を行なって擬似エコー信号を生成するための適
    応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段により生成された擬似エコー信号
    を前記他方の信号路の通話信号から差し引いて、エコー
    信号成分が消去された通話信号を前記他方の信号路へ出
    力するための消去演算手段と、 学習同定法により定義された適応アルゴリズムに従って
    所定の演算を行ない、この演算結果を基に前記タップ係
    数記憶手段に記憶されているタップ係数を更新するため
    のタップ係数更新手段と、 各サンプルタイムごとに、前記信号記憶手段に記憶され
    ている通話信号レベルを基に、前記タップ係数更新手段
    の演算に必要な通話信号パワー値を算出するためのパワ
    ー値算出手段とを具備し、 この信号パワー値算出手段は、 前サンプルタイムにおいて算出された通話信号パワー値
    を記憶するためのパワー値記憶手段と、 前記信号記憶手段に記憶されている最も古いサンプルタ
    イムにおける通話信号レベルの2乗値を算出するための
    第1の2乗値算出手段と、 前記信号記憶手段に記憶されている最も新しいサンプル
    タイムにおける通話信号レベルの2乗値を算出するため
    の第2の2乗値算出手段と、 前記パワー値記憶手段に記憶されている前サンプルタイ
    ムにおける通話信号パワー値に対し、前記第1の2乗値
    算出手段により算出された通話信号レベルの2乗値の減
    算、および前記第2の2乗値算出手段により算出された
    通話信号レベルの2乗値の加算をそれぞれ行ない、この
    加減算により得られた通話信号パワー値を、前記タップ
    係数更新手段に供給するとともに、次のサンプルタイム
    における通話信号パワー値の算出のために前記パワー値
    記憶手段に記憶させるための演算手段とを備えたことを
    特徴とするエコーキャンセラ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009100181A (ja) * 2007-10-16 2009-05-07 Panasonic Electric Works Co Ltd 拡声通話装置

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JP2009100181A (ja) * 2007-10-16 2009-05-07 Panasonic Electric Works Co Ltd 拡声通話装置

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