JPH0532418A - 結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法 - Google Patents
結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法Info
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- JPH0532418A JPH0532418A JP21301091A JP21301091A JPH0532418A JP H0532418 A JPH0532418 A JP H0532418A JP 21301091 A JP21301091 A JP 21301091A JP 21301091 A JP21301091 A JP 21301091A JP H0532418 A JPH0532418 A JP H0532418A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 陽イオン交換容量が高く、残留陰イオン不純
物濃度が低く、粒子形状や大きさが均一で比表面積が高
く、樹脂中への分散性に優れており、しかも、製造工程
が複雑でなく大量生産が可能で工業的製法に適した高純
度の結晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提
供する。 【構成】 三塩化アンチモンを加水分解し、得られたオ
キシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化し、得られた
酸化反応生成物スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥して五
酸化アンチモン水和物を製造するに当たり、上記酸化反
応生成物スラリーの濾過洗浄に続いて、加圧下に80〜
200℃で2時間以上の結晶化処理を行う五酸化アンチ
モン水和物の製造方法である。 【効果】 本発明により得られる五酸化アンチモン水和
物は、陽イオン交換容量が高く無機イオン交換体用とし
て、又、高純度であるので、例えばIC封止樹脂の難燃
化剤として使用される樹脂フィラーとして有用である。
物濃度が低く、粒子形状や大きさが均一で比表面積が高
く、樹脂中への分散性に優れており、しかも、製造工程
が複雑でなく大量生産が可能で工業的製法に適した高純
度の結晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提
供する。 【構成】 三塩化アンチモンを加水分解し、得られたオ
キシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化し、得られた
酸化反応生成物スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥して五
酸化アンチモン水和物を製造するに当たり、上記酸化反
応生成物スラリーの濾過洗浄に続いて、加圧下に80〜
200℃で2時間以上の結晶化処理を行う五酸化アンチ
モン水和物の製造方法である。 【効果】 本発明により得られる五酸化アンチモン水和
物は、陽イオン交換容量が高く無機イオン交換体用とし
て、又、高純度であるので、例えばIC封止樹脂の難燃
化剤として使用される樹脂フィラーとして有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、三塩化アンチモンを
原料にして結晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方
法に係り、特に高純度で陽イオン交換容量が高く、残留
陰イオン不純物濃度も低くて高純度の結晶性五酸化アン
チモン水和物を製造する方法に関する。
原料にして結晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方
法に係り、特に高純度で陽イオン交換容量が高く、残留
陰イオン不純物濃度も低くて高純度の結晶性五酸化アン
チモン水和物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】五酸化アンチモン水和物は、合成樹脂、
繊維等の難燃化剤として樹脂中に配合する樹脂フィラー
として利用されるだけでなく、ナトリウムイオン等の無
機陽イオンに対する無機イオン交換体としても利用され
ている。
繊維等の難燃化剤として樹脂中に配合する樹脂フィラー
として利用されるだけでなく、ナトリウムイオン等の無
機陽イオンに対する無機イオン交換体としても利用され
ている。
【0003】そして、この様な五酸化アンチモン水和物
の製造方法としては、例えば、五塩化アンチモン(Sb
Cl5 )を加水分解する方法(特公昭53−40.59
5号公報)や、三酸化アンチモン(Sb2 O3)を酸化
する方法(特公昭62−21,730号公報、特公平2
−23,484号公報)や、三塩化アンチモン(SbC
l3 )を酸化する方法(特開昭63−185,822号
公報、特開昭63−282,126号公報)等が知られ
ている。しかしながら、上記五塩化アンチモンを加水分
解する方法では、アモルファス状態のものやガラス質状
態のものが得られるだけで結晶性のものが得られず、陽
イオン交換容量の高いものが得られないという問題があ
り、また、上記三酸化アンチモンを酸化する方法では、
高純度の五酸化アンチモン水和物が得られず、しかも、
三酸化アンチモンを製造し、これを酸化する工程が複雑
であり、全体として製品コストが高くなるという問題が
あり、更に、上記三塩化アンチモンを酸化する方法で
は、反応が急激に進行し、大量に反応させるのは危険で
あり、工業的製法として適さないという問題がある。
の製造方法としては、例えば、五塩化アンチモン(Sb
Cl5 )を加水分解する方法(特公昭53−40.59
5号公報)や、三酸化アンチモン(Sb2 O3)を酸化
する方法(特公昭62−21,730号公報、特公平2
−23,484号公報)や、三塩化アンチモン(SbC
l3 )を酸化する方法(特開昭63−185,822号
公報、特開昭63−282,126号公報)等が知られ
ている。しかしながら、上記五塩化アンチモンを加水分
解する方法では、アモルファス状態のものやガラス質状
態のものが得られるだけで結晶性のものが得られず、陽
イオン交換容量の高いものが得られないという問題があ
り、また、上記三酸化アンチモンを酸化する方法では、
高純度の五酸化アンチモン水和物が得られず、しかも、
三酸化アンチモンを製造し、これを酸化する工程が複雑
であり、全体として製品コストが高くなるという問題が
あり、更に、上記三塩化アンチモンを酸化する方法で
は、反応が急激に進行し、大量に反応させるのは危険で
あり、工業的製法として適さないという問題がある。
【0004】ところで、この様な五酸化アンチモン水和
物については、それが樹脂フィラーとしての用途である
場合には、粒子形状や大きさが均一であって樹脂中への
分散性に優れ、かつ、例えばIC封止樹脂の難燃化剤と
して使用する様な場合にはアルミニウム配線の腐食の問
題を解消して耐用年数を向上させる目的で特にイオン性
不純物、例えば塩素イオン(Cl- )やナトリウムイオ
ン(Na+ )がなく高純度であることが要求される。ま
た、この五酸化アンチモン水和物が無機イオン交換体と
しての用途に使用される場合には、粒子形状や大きさが
均一で比表面積が高いだけでなく、通常は陽イオン交換
体として使用されることから、例えばナトリウムイオン
に対する陽イオン交換容量が高いことが要求され、その
ためにはアモルファス状態であるよりも結晶状態である
方が優れており、また結晶性も高くなればなるほど良好
であり、更にそれ自身に含有される陽イオン不純物が少
ないことを必要とする。そして、この五酸化アンチモン
水和物は、単に陽イオン交換体として単独で使用される
だけでなく、IC樹脂封止のような場合には例えばビス
マス化合物等の陰イオン交換体と混合して使用される
が、混合使用すると各々の単独時に示したイオン交換容
量の低下が見られることがある。この原因を究明したと
ころ、従来品の五酸化アンチモンにCl- イオンが含有
されていることに起因していることが分かった。この様
な場合には、陰イオン不純物の含有量を可及的に少なく
し、併用される陰イオン交換体の陰イオン交換容量を損
なわないようにすることが必要である。このため、無機
イオン交換体用として使用する五酸化アンチモン水和物
については、単に陽イオン交換容量を高くするだけでな
く、陰イオン及び陽イオン不純物の双方の含有量を可及
的に減少させる必要がある。
物については、それが樹脂フィラーとしての用途である
場合には、粒子形状や大きさが均一であって樹脂中への
分散性に優れ、かつ、例えばIC封止樹脂の難燃化剤と
して使用する様な場合にはアルミニウム配線の腐食の問
題を解消して耐用年数を向上させる目的で特にイオン性
不純物、例えば塩素イオン(Cl- )やナトリウムイオ
ン(Na+ )がなく高純度であることが要求される。ま
た、この五酸化アンチモン水和物が無機イオン交換体と
しての用途に使用される場合には、粒子形状や大きさが
均一で比表面積が高いだけでなく、通常は陽イオン交換
体として使用されることから、例えばナトリウムイオン
に対する陽イオン交換容量が高いことが要求され、その
ためにはアモルファス状態であるよりも結晶状態である
方が優れており、また結晶性も高くなればなるほど良好
であり、更にそれ自身に含有される陽イオン不純物が少
ないことを必要とする。そして、この五酸化アンチモン
水和物は、単に陽イオン交換体として単独で使用される
だけでなく、IC樹脂封止のような場合には例えばビス
マス化合物等の陰イオン交換体と混合して使用される
が、混合使用すると各々の単独時に示したイオン交換容
量の低下が見られることがある。この原因を究明したと
ころ、従来品の五酸化アンチモンにCl- イオンが含有
されていることに起因していることが分かった。この様
な場合には、陰イオン不純物の含有量を可及的に少なく
し、併用される陰イオン交換体の陰イオン交換容量を損
なわないようにすることが必要である。このため、無機
イオン交換体用として使用する五酸化アンチモン水和物
については、単に陽イオン交換容量を高くするだけでな
く、陰イオン及び陽イオン不純物の双方の含有量を可及
的に減少させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
上記従来法における種々の問題を解消することができ、
樹脂フィラーとして及び/又は無機イオン交換体用とし
て要求される性能を備えた五酸化アンチモン水和物を製
造することができる新しい結晶性五酸化アンチモン水和
物の製造方法を開発すべく鋭意研究を重ね、本発明を完
成した。従って、本発明の目的は、陽イオン交換容量が
高く、残留陰イオン不純物濃度が低く、しかも、製造工
程が複雑でなく大量生産が可能で工業的製法に適した高
純度の五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提供す
ることにある。また、本発明の目的は、結晶水として1
〜5分子の水を含み、粒子形状や大きさが均一で比表面
積が高く、無機イオン交換体用として適した高純度の結
晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提供する
ことにある。更に、本発明の目的は、粒子形状や大きさ
が均一であって樹脂中への分散性に優れ、例えばIC封
止樹脂の難燃化剤として使用される樹脂フィラーとして
有用な高純度の結晶性五酸化アンチモン水和物を製造す
る方法を提供することにある。
上記従来法における種々の問題を解消することができ、
樹脂フィラーとして及び/又は無機イオン交換体用とし
て要求される性能を備えた五酸化アンチモン水和物を製
造することができる新しい結晶性五酸化アンチモン水和
物の製造方法を開発すべく鋭意研究を重ね、本発明を完
成した。従って、本発明の目的は、陽イオン交換容量が
高く、残留陰イオン不純物濃度が低く、しかも、製造工
程が複雑でなく大量生産が可能で工業的製法に適した高
純度の五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提供す
ることにある。また、本発明の目的は、結晶水として1
〜5分子の水を含み、粒子形状や大きさが均一で比表面
積が高く、無機イオン交換体用として適した高純度の結
晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提供する
ことにある。更に、本発明の目的は、粒子形状や大きさ
が均一であって樹脂中への分散性に優れ、例えばIC封
止樹脂の難燃化剤として使用される樹脂フィラーとして
有用な高純度の結晶性五酸化アンチモン水和物を製造す
る方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、三
塩化アンチモンを純水で加水分解し、得られたオキシ塩
化アンチモンを過酸化水素水で酸化し、得られた酸化反
応生成物スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥する五酸化ア
ンチモン水和物の製造に於いて、上記酸化反応生成物ス
ラリーの濾過・洗浄に続いて、更に、加圧下に80〜2
00℃で2時間以上の加圧精製処理を行う結晶性五酸化
アンチモン水和物の製造方法である。
塩化アンチモンを純水で加水分解し、得られたオキシ塩
化アンチモンを過酸化水素水で酸化し、得られた酸化反
応生成物スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥する五酸化ア
ンチモン水和物の製造に於いて、上記酸化反応生成物ス
ラリーの濾過・洗浄に続いて、更に、加圧下に80〜2
00℃で2時間以上の加圧精製処理を行う結晶性五酸化
アンチモン水和物の製造方法である。
【0007】本発明方法において、原料として使用する
三塩化アンチモン(SbCl3 )は、それがどの様な方
法で製造されたものであってもよいが、好ましくは純度
99.0重量%以上のものであり、より好ましくは蒸留
により精製された純度99.99重量%以上のものであ
り、且つ重金属類の不純物含有量が1.0ppm以下、
ウラン、トリウム等の放射性元素の不純物含有量を0.
5ppb以下であるのが好ましい。また、三塩化アンチ
モンは、そのまま単体状態又は塩酸水溶液に溶解させた
状態のいずれであってもよい。
三塩化アンチモン(SbCl3 )は、それがどの様な方
法で製造されたものであってもよいが、好ましくは純度
99.0重量%以上のものであり、より好ましくは蒸留
により精製された純度99.99重量%以上のものであ
り、且つ重金属類の不純物含有量が1.0ppm以下、
ウラン、トリウム等の放射性元素の不純物含有量を0.
5ppb以下であるのが好ましい。また、三塩化アンチ
モンは、そのまま単体状態又は塩酸水溶液に溶解させた
状態のいずれであってもよい。
【0008】この三塩化アンチモンの加水分解は、通
常、三塩化アンチモンの重量比で10倍以上の水に三塩
化アンチモンを加えて、室温〜60℃、好ましくは25
〜40℃の温度で30分〜2時間行う。この加水分解反
応で使用する水としては、生成物であるオキシ塩化アン
チモン(Sb4 O5 Cl2 )中に混入する不純物、例え
ばNH4 + イオン、Na+ イオン、K+ イオン、Cl-
イオン等の混入量を可及的に減少させるために純水、例
えば電気伝導度が5μs/cm以下の純水を使用するの
がよい。
常、三塩化アンチモンの重量比で10倍以上の水に三塩
化アンチモンを加えて、室温〜60℃、好ましくは25
〜40℃の温度で30分〜2時間行う。この加水分解反
応で使用する水としては、生成物であるオキシ塩化アン
チモン(Sb4 O5 Cl2 )中に混入する不純物、例え
ばNH4 + イオン、Na+ イオン、K+ イオン、Cl-
イオン等の混入量を可及的に減少させるために純水、例
えば電気伝導度が5μs/cm以下の純水を使用するの
がよい。
【0009】この様に三塩化アンチモンを加水分解して
得られた反応混合物については、次に濾過し、洗浄して
加水分解生成物であるオキシ塩化アンチモンを得る。こ
のオキシ塩化アンチモンの洗浄は、結晶に付着したCl
- イオンなどを可及的に除去し、これによって最終製品
の五酸化アンチモン水和物中に混入するCl- イオン等
の量を可及的に減少させる。この生成したオキシ塩化ア
ンチモンの洗浄は、洗浄濾液中の電気伝導度が100μ
s/cm以下、好ましくは30μs/cm以下であっ
て、Cl- イオン濃度が50ppm以下、好ましくは1
0ppm以下となるまで行うのがよい。この様にして調
製されたオキシ塩化アンチモンは粒度分布が比較的狭
く、平均粒径が15〜30μm程度の結晶である。
得られた反応混合物については、次に濾過し、洗浄して
加水分解生成物であるオキシ塩化アンチモンを得る。こ
のオキシ塩化アンチモンの洗浄は、結晶に付着したCl
- イオンなどを可及的に除去し、これによって最終製品
の五酸化アンチモン水和物中に混入するCl- イオン等
の量を可及的に減少させる。この生成したオキシ塩化ア
ンチモンの洗浄は、洗浄濾液中の電気伝導度が100μ
s/cm以下、好ましくは30μs/cm以下であっ
て、Cl- イオン濃度が50ppm以下、好ましくは1
0ppm以下となるまで行うのがよい。この様にして調
製されたオキシ塩化アンチモンは粒度分布が比較的狭
く、平均粒径が15〜30μm程度の結晶である。
【0010】次に、得られたオキシ塩化アンチモンは、
水に分散させて固形分濃度3〜30重量%のスラリーに
調製されて過酸化水素水で酸化されるが、所望によりこ
の酸化に先駆けて、加圧下に80〜200℃で2時間以
上の前段加圧精製処理を行うのがよい。調製したオキシ
塩化アンチモンのスラリーにおける固形分濃度が3重量
%より低いと、処理量が増して装置容積が過大になって
経済的でなく、30重量%より高くなると、スラリーが
高粘度となって攪拌や輸送に問題が生じる。また、この
前段加圧精製処理は、通常、オートクレーブを使用し、
80〜200℃、好ましくは120〜150℃で2時間
以上、好ましくは2〜24時間の範囲で行われ、処理圧
力はその処理温度における飽和蒸気圧下、すなわち1.
5〜6気圧程度である。この前段加圧精製処理の処理温
度が80℃より低く又は1.5気圧より低いと熱水抽出
による遊離不純物イオンの除去率が低くなり、また、2
00℃より高く又は6気圧を越える加圧下としてもこの
遊離不純物イオンの除去率がさほど向上せず、経済的で
ない。この前段加圧精製処理により、オキシ塩化アンチ
モンのCl- イオン濃度が5ppm以下とすることが出
来、結果として最終製品の五酸化アンチモン水和物の純
度が向上する。
水に分散させて固形分濃度3〜30重量%のスラリーに
調製されて過酸化水素水で酸化されるが、所望によりこ
の酸化に先駆けて、加圧下に80〜200℃で2時間以
上の前段加圧精製処理を行うのがよい。調製したオキシ
塩化アンチモンのスラリーにおける固形分濃度が3重量
%より低いと、処理量が増して装置容積が過大になって
経済的でなく、30重量%より高くなると、スラリーが
高粘度となって攪拌や輸送に問題が生じる。また、この
前段加圧精製処理は、通常、オートクレーブを使用し、
80〜200℃、好ましくは120〜150℃で2時間
以上、好ましくは2〜24時間の範囲で行われ、処理圧
力はその処理温度における飽和蒸気圧下、すなわち1.
5〜6気圧程度である。この前段加圧精製処理の処理温
度が80℃より低く又は1.5気圧より低いと熱水抽出
による遊離不純物イオンの除去率が低くなり、また、2
00℃より高く又は6気圧を越える加圧下としてもこの
遊離不純物イオンの除去率がさほど向上せず、経済的で
ない。この前段加圧精製処理により、オキシ塩化アンチ
モンのCl- イオン濃度が5ppm以下とすることが出
来、結果として最終製品の五酸化アンチモン水和物の純
度が向上する。
【0011】上記三塩化アンチモンの加水分解によっ
て、あるいは更に上記前段加圧精製処理を施して得られ
たオキシ塩化アンチモンは、固形分濃度3〜30重量%
のスラリー状態で過酸化水素水により酸化される。この
酸化反応は、通常、5〜35重量%の濃度を有する過酸
化水素水を過酸化水素/三塩化アンチモンのモル比(H
2 O2 /SbCl3 )が0.5〜6.5の範囲、好まし
くは1〜3の範囲となるように使用し、反応温度90℃
以上、好ましくは90〜100℃の範囲で2時間以上、
好ましくは2〜5時間の範囲で行う。過酸化水素水の使
用量がモル比(H2 O2 /SbCl3 )0.5より少な
いと、酸化不足になってオキシ塩化アンチモン(Sb4
O5 Cl2 )や三酸化アンチモン(Sb2 O3 )等が残
留して転化率が低下し、また、6.5より多くなって
も、酸化の効果が変わらないほか、かえって過剰の過酸
化水素により架橋現象が生じ、ゲル化し易くなる。ま
た、反応温度については、90℃より低いと、反応速度
が遅くなって反応終了までに長時間を必要とする。
て、あるいは更に上記前段加圧精製処理を施して得られ
たオキシ塩化アンチモンは、固形分濃度3〜30重量%
のスラリー状態で過酸化水素水により酸化される。この
酸化反応は、通常、5〜35重量%の濃度を有する過酸
化水素水を過酸化水素/三塩化アンチモンのモル比(H
2 O2 /SbCl3 )が0.5〜6.5の範囲、好まし
くは1〜3の範囲となるように使用し、反応温度90℃
以上、好ましくは90〜100℃の範囲で2時間以上、
好ましくは2〜5時間の範囲で行う。過酸化水素水の使
用量がモル比(H2 O2 /SbCl3 )0.5より少な
いと、酸化不足になってオキシ塩化アンチモン(Sb4
O5 Cl2 )や三酸化アンチモン(Sb2 O3 )等が残
留して転化率が低下し、また、6.5より多くなって
も、酸化の効果が変わらないほか、かえって過剰の過酸
化水素により架橋現象が生じ、ゲル化し易くなる。ま
た、反応温度については、90℃より低いと、反応速度
が遅くなって反応終了までに長時間を必要とする。
【0012】上記酸化反応によって得られた酸化反応生
成物スラリーは、次に濾過され、洗浄された後に加圧下
に80〜200℃で2時間以上の加圧精製処理に付され
るが、必要に応じて、この加圧精製処理に先駆けてpH
1〜6に調整される。このpH調整処理は、スラリー中
に残留するCl- イオンを可及的に除去するのが目的で
あり、好ましくはアンモニア又は炭酸アンモニウムが使
用され、残留Cl- イオンをNH4 Clの形で除去す
る。このアンモニアを使用したpH調整処理を行うと、
最終製品の五酸化アンチモン水和物の中性域テストでイ
オン交換容量が例えば2〜3meq/gにまで上昇す
る。なお、最終製品の五酸化アンチモン水和物を陰イオ
ン交換体と混合して使用する場合には、残留NH4 + イ
オンを更に水洗又はCO2 ガス吹込等で除去し、或いは
0.1Nの硝酸溶液で処理することによってH+ 型の陽
イオン交換体へとコンディショニングする手段を併用す
ることも出来る。
成物スラリーは、次に濾過され、洗浄された後に加圧下
に80〜200℃で2時間以上の加圧精製処理に付され
るが、必要に応じて、この加圧精製処理に先駆けてpH
1〜6に調整される。このpH調整処理は、スラリー中
に残留するCl- イオンを可及的に除去するのが目的で
あり、好ましくはアンモニア又は炭酸アンモニウムが使
用され、残留Cl- イオンをNH4 Clの形で除去す
る。このアンモニアを使用したpH調整処理を行うと、
最終製品の五酸化アンチモン水和物の中性域テストでイ
オン交換容量が例えば2〜3meq/gにまで上昇す
る。なお、最終製品の五酸化アンチモン水和物を陰イオ
ン交換体と混合して使用する場合には、残留NH4 + イ
オンを更に水洗又はCO2 ガス吹込等で除去し、或いは
0.1Nの硝酸溶液で処理することによってH+ 型の陽
イオン交換体へとコンディショニングする手段を併用す
ることも出来る。
【0013】濾過して得られた或いはその後にpH調整
処理された酸化反応生成物スラリーは次に洗浄される
が、この洗浄処理は、Sb2 O5 ドライベースで20〜
70重量倍の純水を使用し、洗浄濾液のCl-イオン濃
度が50ppm以下、好ましくは5ppm以下になるま
で行われる。なお、この洗浄処理は、通常その濾液の電
気伝導度が数100μs/cm以下、好ましくは100
μs/cm以下になるまで行われ、この際に使用される
水は、30℃以下であって電気伝導度5μs/cm以下
の純水であり、濾過方法としては例えば真空濾過、加圧
濾過、遠心分離等の方法が採用される。
処理された酸化反応生成物スラリーは次に洗浄される
が、この洗浄処理は、Sb2 O5 ドライベースで20〜
70重量倍の純水を使用し、洗浄濾液のCl-イオン濃
度が50ppm以下、好ましくは5ppm以下になるま
で行われる。なお、この洗浄処理は、通常その濾液の電
気伝導度が数100μs/cm以下、好ましくは100
μs/cm以下になるまで行われ、この際に使用される
水は、30℃以下であって電気伝導度5μs/cm以下
の純水であり、濾過方法としては例えば真空濾過、加圧
濾過、遠心分離等の方法が採用される。
【0014】この様にして洗浄された五酸化アンチモン
水和物は、純水で固形分濃度3〜30重量%のスラリー
に調製されて加圧精製処理に付される。この加圧精製処
理は、上記オキシ塩化アンチモンに対して行われる前段
加圧精製処理条件と同様であり、通常、オートクレーブ
を使用し、80〜200℃、好ましくは120〜150
℃で2時間以上、好ましくは2〜24時間の範囲で行わ
れ、処理圧力はその処理温度における飽和蒸気圧下、す
なわち1.5〜6気圧程度である。この加圧精製処理の
処理温度が80℃より低いと熱水抽出による遊離不純物
イオンの除去率が低くなり、また、200℃より高くし
てもこの遊離不純物イオンの除去率がさほど向上せず、
経済的でない。この加圧精製処理により、五酸化アンチ
モン水和物の純度が向上すると共に、その結晶化度が向
上し、結果として最終製品の五酸化アンチモン水和物の
純度や陽イオン交換容量が向上する。この加圧精製処理
により、Cl- イオン濃度は、5ppm以下、通常は1
〜5ppmレベルになる。
水和物は、純水で固形分濃度3〜30重量%のスラリー
に調製されて加圧精製処理に付される。この加圧精製処
理は、上記オキシ塩化アンチモンに対して行われる前段
加圧精製処理条件と同様であり、通常、オートクレーブ
を使用し、80〜200℃、好ましくは120〜150
℃で2時間以上、好ましくは2〜24時間の範囲で行わ
れ、処理圧力はその処理温度における飽和蒸気圧下、す
なわち1.5〜6気圧程度である。この加圧精製処理の
処理温度が80℃より低いと熱水抽出による遊離不純物
イオンの除去率が低くなり、また、200℃より高くし
てもこの遊離不純物イオンの除去率がさほど向上せず、
経済的でない。この加圧精製処理により、五酸化アンチ
モン水和物の純度が向上すると共に、その結晶化度が向
上し、結果として最終製品の五酸化アンチモン水和物の
純度や陽イオン交換容量が向上する。この加圧精製処理
により、Cl- イオン濃度は、5ppm以下、通常は1
〜5ppmレベルになる。
【0015】上記洗浄処理を経て得られたウエット状態
の結晶性五酸化アンチモン水和物は、次に105〜20
0℃、好ましくは110〜150℃で5〜15時間、好
ましくは8〜12時間の条件で乾燥し、得られた凝集物
を例えばピンディスクミル、ボールミル、ジェットミル
等の粉砕機で粉砕し、例えばミクロンシフター等の分級
機を使用して325メッシュ(44μm)以下にふるい
分けすることにより、製品の結晶性五酸化アンチモン水
和物となり、このものは一次粒子0.1〜0.5μm、
二次粒子0.5〜2.5μm及び比表面積30〜50m
2 /g並びに陽イオン交換容量1.2〜2.5meq/
g(Na+ )の性状、物性を有し、手で簡単に解砕出来
る程度に凝集力が低い。
の結晶性五酸化アンチモン水和物は、次に105〜20
0℃、好ましくは110〜150℃で5〜15時間、好
ましくは8〜12時間の条件で乾燥し、得られた凝集物
を例えばピンディスクミル、ボールミル、ジェットミル
等の粉砕機で粉砕し、例えばミクロンシフター等の分級
機を使用して325メッシュ(44μm)以下にふるい
分けすることにより、製品の結晶性五酸化アンチモン水
和物となり、このものは一次粒子0.1〜0.5μm、
二次粒子0.5〜2.5μm及び比表面積30〜50m
2 /g並びに陽イオン交換容量1.2〜2.5meq/
g(Na+ )の性状、物性を有し、手で簡単に解砕出来
る程度に凝集力が低い。
【0016】
【作用】本発明方法においては、純水のみで加水分解し
て得られたオキシ塩化アンチモンは、アルカリを使用し
ないので陽イオン濃度の増加が無く得られ、又それに続
く酸化反応も過酸化水素で行うので、陰イオン・陽イオ
ン不純物の混入がない。次いで加圧精製処理を行うが、
その理由は未だ正確には不明であるが、事実として、高
純度化と結晶化とを同時に発現させることが出来、陽イ
オン交換容量を高めることが出来、しかも、粒子形状や
大きさが均一で比表面積も高い五酸化アンチモン水和物
が得られる。更に、原料三塩化アンチモンとして三塩化
アンチモンの塩酸水溶液を使用する場合などに於いて、
オキシ塩化アンチモン中のCl- イオン濃度を低減させ
るために、前段加圧精製を行えば、最終的に得られる結
晶性五酸化アンチモンの純度を一層向上することが出来
る。
て得られたオキシ塩化アンチモンは、アルカリを使用し
ないので陽イオン濃度の増加が無く得られ、又それに続
く酸化反応も過酸化水素で行うので、陰イオン・陽イオ
ン不純物の混入がない。次いで加圧精製処理を行うが、
その理由は未だ正確には不明であるが、事実として、高
純度化と結晶化とを同時に発現させることが出来、陽イ
オン交換容量を高めることが出来、しかも、粒子形状や
大きさが均一で比表面積も高い五酸化アンチモン水和物
が得られる。更に、原料三塩化アンチモンとして三塩化
アンチモンの塩酸水溶液を使用する場合などに於いて、
オキシ塩化アンチモン中のCl- イオン濃度を低減させ
るために、前段加圧精製を行えば、最終的に得られる結
晶性五酸化アンチモンの純度を一層向上することが出来
る。
【0017】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
方法を具体的に説明する。
方法を具体的に説明する。
【0018】実施例1
蒸留により精製して得られた純度99.99重量%、ウ
ラン、トリウム等の放射性元素含有量0.5ppb以下
の三塩化アンチモン223gを30重量%塩酸水溶液8
2g中に溶解し、得られた溶液305gを攪拌しながら
56〜58℃でイオン交換水3,500ml中に添加
し、生成したオキシ塩化アンチモン(Sb4 O5 C
l2 )の沈澱物を濾過して回収した。得られたオキシ塩
化アンチモンのケーキを、30℃の純水750ml中に
分散して濾過するという方法で、濾液中のCl- イオン
濃度が100ppm以下になるまで繰り返し洗浄した。
この時の洗浄の繰り返し回数は6回であった。
ラン、トリウム等の放射性元素含有量0.5ppb以下
の三塩化アンチモン223gを30重量%塩酸水溶液8
2g中に溶解し、得られた溶液305gを攪拌しながら
56〜58℃でイオン交換水3,500ml中に添加
し、生成したオキシ塩化アンチモン(Sb4 O5 C
l2 )の沈澱物を濾過して回収した。得られたオキシ塩
化アンチモンのケーキを、30℃の純水750ml中に
分散して濾過するという方法で、濾液中のCl- イオン
濃度が100ppm以下になるまで繰り返し洗浄した。
この時の洗浄の繰り返し回数は6回であった。
【0019】この様にして得られたオキシ塩化アンチモ
ンのケーキをイオン交換水750ml中に分散させ、こ
れに35重量%過酸化水素水250gを添加し、95℃
に昇温して2時間酸化反応を行った。反応終了後、得ら
れた反応混合物中に15重量%アンモニア水溶液(NH
4 OH水溶液)を添加し、pH9.5に調整した。その
後、この反応混合物を遠心分離器で固液分離し、得られ
たケーキをイオン交換水750ml/回でリパルプ洗浄
し、濾液中のCl- イオン濃度が50ppm以下になる
まで繰り返し洗浄した。この時の洗浄の繰り返し回数は
5回であった。
ンのケーキをイオン交換水750ml中に分散させ、こ
れに35重量%過酸化水素水250gを添加し、95℃
に昇温して2時間酸化反応を行った。反応終了後、得ら
れた反応混合物中に15重量%アンモニア水溶液(NH
4 OH水溶液)を添加し、pH9.5に調整した。その
後、この反応混合物を遠心分離器で固液分離し、得られ
たケーキをイオン交換水750ml/回でリパルプ洗浄
し、濾液中のCl- イオン濃度が50ppm以下になる
まで繰り返し洗浄した。この時の洗浄の繰り返し回数は
5回であった。
【0020】更に、得られたケーキ250gをイオン交
換水500ml中に分散させ、0.1N硝酸溶液でpH
3に調整し、次いで15重量%アンモニア水溶液を添加
してpH9.5に調整し、イオン交換水750ml/回
でリパルプ洗浄して濾液中のNO3 - イオン濃度が50
ppm以下になるまで繰り返し洗浄した。この時の洗浄
の繰り返し回数は3回であった。
換水500ml中に分散させ、0.1N硝酸溶液でpH
3に調整し、次いで15重量%アンモニア水溶液を添加
してpH9.5に調整し、イオン交換水750ml/回
でリパルプ洗浄して濾液中のNO3 - イオン濃度が50
ppm以下になるまで繰り返し洗浄した。この時の洗浄
の繰り返し回数は3回であった。
【0021】この様にして得られたケーキ250gをイ
オン交換水500ml中に分散させ、オートクレーブ中
に仕込んで4.5気圧、150℃、2時間の条件で結晶
化処理し、その後、遠心分離器で固液分離してウエット
状態の結晶性五酸化アンチモン水和物を得た。この様に
して得られた結晶性五酸化アンチモン水和物を箱型乾燥
器に入れ、105℃で10時間の条件で乾燥し、次いで
乳鉢で解砕して325メッシュの振動フルイにかけてふ
るい分けし、ふるい下分から製品として五酸化アンチモ
ン水和物168gを得た。
オン交換水500ml中に分散させ、オートクレーブ中
に仕込んで4.5気圧、150℃、2時間の条件で結晶
化処理し、その後、遠心分離器で固液分離してウエット
状態の結晶性五酸化アンチモン水和物を得た。この様に
して得られた結晶性五酸化アンチモン水和物を箱型乾燥
器に入れ、105℃で10時間の条件で乾燥し、次いで
乳鉢で解砕して325メッシュの振動フルイにかけてふ
るい分けし、ふるい下分から製品として五酸化アンチモ
ン水和物168gを得た。
【0022】この様にして製造された五酸化アンチモン
水和物について、残留塩素イオン濃度(ppm)、残留
放射性元素濃度(ppb)、一次粒子の粒径(μm)、
二次粒子の粒径(μm)、粒子形状、陽イオン交換容量
(Na+ 、meq/g)、Sb2 O3 混入量(wt
%)、比表面積(m2 /g)、付着水量(wt%)、及
びナトリウムイオン濃度(Na+ 、ppm)を測定し
た。なお、残留塩素イオン濃度は、試料10gについて
100mlの純水を使用し、120℃、20時間の条件
で熱水抽出を行い、イオンクロマトグラフィーを使用し
て抽出液中の塩素イオン濃度を測定することにより行っ
た。また、二次粒子の粒径は、レーザー式粒度分布測定
器〔セイシン企業(株)製商品名:SKレーザー PR
O−7000S〕を使用し、超音波処理1分間の平均粒
子径を測定して求めた。更に、陽イオン交換容量につい
ては、1ml中にナトリウムイオン(Na+ )と塩素イ
オン(Cl- )とをそれぞれ1meq(ミリ当量)含有
するNaCl標準液を用意し、これを規定量の純水で希
釈し、この溶液中に正確に秤量した試料3gを添加し、
室温で24時間攪拌したのち、これを0.2μmメンブ
ランフィルターで濾過し、濾液を回収してその一部を採
取し、原子吸光分析によりナトリウムイオン(Na+ )
を測定し、その結果からイオン交換された値を求めるイ
オン交換容量(中性)測定法により測定した。結果は以
下の通りであった。 残留塩素イオン濃度 4ppm 残留放射性元素濃度 0.5ppb以下 一次粒子の粒径 0.2μm 二次粒子の粒径 0.9μm 粒子形状 Sb2 O5 ・4H2 O、球形 陽イオン交換容量(Na+ ) 1.80meq/g Sb2 O3 混入量 0.1重量%以下 比表面積 38m2 /g また、Na、K、Fe、Al、Ca、Mg、Ti、N
i、Cr、Cu、Pb、As、Znの不純物濃度は総計
0.5ppm以下であった。
水和物について、残留塩素イオン濃度(ppm)、残留
放射性元素濃度(ppb)、一次粒子の粒径(μm)、
二次粒子の粒径(μm)、粒子形状、陽イオン交換容量
(Na+ 、meq/g)、Sb2 O3 混入量(wt
%)、比表面積(m2 /g)、付着水量(wt%)、及
びナトリウムイオン濃度(Na+ 、ppm)を測定し
た。なお、残留塩素イオン濃度は、試料10gについて
100mlの純水を使用し、120℃、20時間の条件
で熱水抽出を行い、イオンクロマトグラフィーを使用し
て抽出液中の塩素イオン濃度を測定することにより行っ
た。また、二次粒子の粒径は、レーザー式粒度分布測定
器〔セイシン企業(株)製商品名:SKレーザー PR
O−7000S〕を使用し、超音波処理1分間の平均粒
子径を測定して求めた。更に、陽イオン交換容量につい
ては、1ml中にナトリウムイオン(Na+ )と塩素イ
オン(Cl- )とをそれぞれ1meq(ミリ当量)含有
するNaCl標準液を用意し、これを規定量の純水で希
釈し、この溶液中に正確に秤量した試料3gを添加し、
室温で24時間攪拌したのち、これを0.2μmメンブ
ランフィルターで濾過し、濾液を回収してその一部を採
取し、原子吸光分析によりナトリウムイオン(Na+ )
を測定し、その結果からイオン交換された値を求めるイ
オン交換容量(中性)測定法により測定した。結果は以
下の通りであった。 残留塩素イオン濃度 4ppm 残留放射性元素濃度 0.5ppb以下 一次粒子の粒径 0.2μm 二次粒子の粒径 0.9μm 粒子形状 Sb2 O5 ・4H2 O、球形 陽イオン交換容量(Na+ ) 1.80meq/g Sb2 O3 混入量 0.1重量%以下 比表面積 38m2 /g また、Na、K、Fe、Al、Ca、Mg、Ti、N
i、Cr、Cu、Pb、As、Znの不純物濃度は総計
0.5ppm以下であった。
【0023】比較例1
実施例1で使用したと同じ三塩化アンチモン203.7
gを30重量%塩酸水溶液75.3g中に溶解し、得ら
れた溶液279gを攪拌しながら31〜34℃でイオン
交換水3,500ml中に添加し、加水分解した。得ら
れた反応混合物に15重量%アンモニア水溶液(NH4
OH水溶液)を添加して中和し、引続きその反応混合物
中に35重量%過酸化水素水250gを添加し、95℃
に昇温して2時間酸化反応を行った。この酸化反応終了
後、室温で15重量%アンモニア水溶液を添加して中和
し、遠心分離器で固液分離した。得られたケーキをイオ
ン交換水750ml/回でリパルプ洗浄し、濾液中のC
l- イオン濃度が100ppm以下になるまで繰り返し
洗浄した。この時の洗浄の繰り返し回数は7回であっ
た。
gを30重量%塩酸水溶液75.3g中に溶解し、得ら
れた溶液279gを攪拌しながら31〜34℃でイオン
交換水3,500ml中に添加し、加水分解した。得ら
れた反応混合物に15重量%アンモニア水溶液(NH4
OH水溶液)を添加して中和し、引続きその反応混合物
中に35重量%過酸化水素水250gを添加し、95℃
に昇温して2時間酸化反応を行った。この酸化反応終了
後、室温で15重量%アンモニア水溶液を添加して中和
し、遠心分離器で固液分離した。得られたケーキをイオ
ン交換水750ml/回でリパルプ洗浄し、濾液中のC
l- イオン濃度が100ppm以下になるまで繰り返し
洗浄した。この時の洗浄の繰り返し回数は7回であっ
た。
【0024】その後、上記実施例1と同じ方法で、乾
燥、粉砕、ふるい分けを行い、製品として五酸化アンチ
モン水和物160gを得た。得られた五酸化アンチモン
水和物について、実施例と同様にその特性を測定した。
結果は以下の通りであった。 残留塩素イオン濃度 600ppm 残留放射性元素濃度 0.5ppb以下 一次粒子の粒径 0.2μm 二次粒子の粒径 1.5μm 粒子形状 Sb2 O5 ・4H2 O、球形 陽イオン交換容量(Na+ ) 0.53meq/g Sb2 O3 混入量 5重量% 比表面積 32m2 /g また、Na、K、Fe、Al、Ca、Mg、Ti、N
i、Cr、Cu、Pb、As、Znの不純物濃度は総計
で1.0ppmであった。
燥、粉砕、ふるい分けを行い、製品として五酸化アンチ
モン水和物160gを得た。得られた五酸化アンチモン
水和物について、実施例と同様にその特性を測定した。
結果は以下の通りであった。 残留塩素イオン濃度 600ppm 残留放射性元素濃度 0.5ppb以下 一次粒子の粒径 0.2μm 二次粒子の粒径 1.5μm 粒子形状 Sb2 O5 ・4H2 O、球形 陽イオン交換容量(Na+ ) 0.53meq/g Sb2 O3 混入量 5重量% 比表面積 32m2 /g また、Na、K、Fe、Al、Ca、Mg、Ti、N
i、Cr、Cu、Pb、As、Znの不純物濃度は総計
で1.0ppmであった。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、陽イオン交換容量が高
く、そして、残留陰イオン不純物濃度が低く、しかも、
大量生産が可能で工業的製法に適した高純度の結晶性五
酸化アンチモン水和物を製造することができ、無機イオ
ン交換体用として、あるいは、例えばIC封止樹脂の難
燃化剤として使用される樹脂フィラーとして有用な高純
度の五酸化アンチモン水和物を有利に製造することがで
きる。
く、そして、残留陰イオン不純物濃度が低く、しかも、
大量生産が可能で工業的製法に適した高純度の結晶性五
酸化アンチモン水和物を製造することができ、無機イオ
ン交換体用として、あるいは、例えばIC封止樹脂の難
燃化剤として使用される樹脂フィラーとして有用な高純
度の五酸化アンチモン水和物を有利に製造することがで
きる。
Claims (2)
- 【請求項1】 三塩化アンチモンを純水で加水分解し、
得られたオキシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化
し、得られた酸化反応生成物スラリーを濾過し、洗浄
し、乾燥する五酸化アンチモン水和物の製造に於いて、
上記酸化反応生成物スラリーの濾過・洗浄に続いて、更
に、加圧下に80〜200℃で2時間以上の加圧精製処
理を行うことを特徴とする結晶性五酸化アンチモン水和
物の製造方法。 - 【請求項2】 三塩化アンチモンを加水分解して得られ
たオキシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化する前
に、加圧下に80〜200℃で2時間以上の前段加圧精
製処理を行う請求項1記載の結晶性五酸化アンチモン水
和物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21301091A JPH0532418A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21301091A JPH0532418A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0532418A true JPH0532418A (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=16632004
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21301091A Pending JPH0532418A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0532418A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008300135A (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-11 | Hitachi Ltd | 燃料電池用複合電解質膜とその製造方法、膜電極接合体および燃料電池 |
CN102616846A (zh) * | 2012-04-05 | 2012-08-01 | 广西华锑科技有限公司 | 锑白炉气相冷却结晶装置 |
CN113060763A (zh) * | 2021-03-18 | 2021-07-02 | 刘明钢 | 应用于光学玻璃的粉末状五氧化二锑的制备方法 |
CN114713294A (zh) * | 2021-01-06 | 2022-07-08 | 中昊晨光化工研究院有限公司 | 一种废五氯化锑催化剂的处理系统及处理方法 |
-
1991
- 1991-07-31 JP JP21301091A patent/JPH0532418A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008300135A (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-11 | Hitachi Ltd | 燃料電池用複合電解質膜とその製造方法、膜電極接合体および燃料電池 |
CN102616846A (zh) * | 2012-04-05 | 2012-08-01 | 广西华锑科技有限公司 | 锑白炉气相冷却结晶装置 |
CN114713294A (zh) * | 2021-01-06 | 2022-07-08 | 中昊晨光化工研究院有限公司 | 一种废五氯化锑催化剂的处理系统及处理方法 |
CN113060763A (zh) * | 2021-03-18 | 2021-07-02 | 刘明钢 | 应用于光学玻璃的粉末状五氧化二锑的制备方法 |
CN113060763B (zh) * | 2021-03-18 | 2022-11-29 | 刘明钢 | 应用于光学玻璃的粉末状五氧化二锑的制备方法 |
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