JPH0532418A - 結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法 - Google Patents

結晶性五酸化アンチモン水和物の製造方法

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JPH0532418A
JPH0532418A JP21301091A JP21301091A JPH0532418A JP H0532418 A JPH0532418 A JP H0532418A JP 21301091 A JP21301091 A JP 21301091A JP 21301091 A JP21301091 A JP 21301091A JP H0532418 A JPH0532418 A JP H0532418A
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antimony
antimony pentoxide
pentoxide hydrate
hydrate
ion
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Akihiro Suzuki
章弘 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 陽イオン交換容量が高く、残留陰イオン不純
物濃度が低く、粒子形状や大きさが均一で比表面積が高
く、樹脂中への分散性に優れており、しかも、製造工程
が複雑でなく大量生産が可能で工業的製法に適した高純
度の結晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提
供する。 【構成】 三塩化アンチモンを加水分解し、得られたオ
キシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化し、得られた
酸化反応生成物スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥して五
酸化アンチモン水和物を製造するに当たり、上記酸化反
応生成物スラリーの濾過洗浄に続いて、加圧下に80〜
200℃で2時間以上の結晶化処理を行う五酸化アンチ
モン水和物の製造方法である。 【効果】 本発明により得られる五酸化アンチモン水和
物は、陽イオン交換容量が高く無機イオン交換体用とし
て、又、高純度であるので、例えばIC封止樹脂の難燃
化剤として使用される樹脂フィラーとして有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、三塩化アンチモンを
原料にして結晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方
法に係り、特に高純度で陽イオン交換容量が高く、残留
陰イオン不純物濃度も低くて高純度の結晶性五酸化アン
チモン水和物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】五酸化アンチモン水和物は、合成樹脂、
繊維等の難燃化剤として樹脂中に配合する樹脂フィラー
として利用されるだけでなく、ナトリウムイオン等の無
機陽イオンに対する無機イオン交換体としても利用され
ている。
【0003】そして、この様な五酸化アンチモン水和物
の製造方法としては、例えば、五塩化アンチモン(Sb
Cl5 )を加水分解する方法(特公昭53−40.59
5号公報)や、三酸化アンチモン(Sb2 3)を酸化
する方法(特公昭62−21,730号公報、特公平2
−23,484号公報)や、三塩化アンチモン(SbC
3 )を酸化する方法(特開昭63−185,822号
公報、特開昭63−282,126号公報)等が知られ
ている。しかしながら、上記五塩化アンチモンを加水分
解する方法では、アモルファス状態のものやガラス質状
態のものが得られるだけで結晶性のものが得られず、陽
イオン交換容量の高いものが得られないという問題があ
り、また、上記三酸化アンチモンを酸化する方法では、
高純度の五酸化アンチモン水和物が得られず、しかも、
三酸化アンチモンを製造し、これを酸化する工程が複雑
であり、全体として製品コストが高くなるという問題が
あり、更に、上記三塩化アンチモンを酸化する方法で
は、反応が急激に進行し、大量に反応させるのは危険で
あり、工業的製法として適さないという問題がある。
【0004】ところで、この様な五酸化アンチモン水和
物については、それが樹脂フィラーとしての用途である
場合には、粒子形状や大きさが均一であって樹脂中への
分散性に優れ、かつ、例えばIC封止樹脂の難燃化剤と
して使用する様な場合にはアルミニウム配線の腐食の問
題を解消して耐用年数を向上させる目的で特にイオン性
不純物、例えば塩素イオン(Cl- )やナトリウムイオ
ン(Na+ )がなく高純度であることが要求される。ま
た、この五酸化アンチモン水和物が無機イオン交換体と
しての用途に使用される場合には、粒子形状や大きさが
均一で比表面積が高いだけでなく、通常は陽イオン交換
体として使用されることから、例えばナトリウムイオン
に対する陽イオン交換容量が高いことが要求され、その
ためにはアモルファス状態であるよりも結晶状態である
方が優れており、また結晶性も高くなればなるほど良好
であり、更にそれ自身に含有される陽イオン不純物が少
ないことを必要とする。そして、この五酸化アンチモン
水和物は、単に陽イオン交換体として単独で使用される
だけでなく、IC樹脂封止のような場合には例えばビス
マス化合物等の陰イオン交換体と混合して使用される
が、混合使用すると各々の単独時に示したイオン交換容
量の低下が見られることがある。この原因を究明したと
ころ、従来品の五酸化アンチモンにCl- イオンが含有
されていることに起因していることが分かった。この様
な場合には、陰イオン不純物の含有量を可及的に少なく
し、併用される陰イオン交換体の陰イオン交換容量を損
なわないようにすることが必要である。このため、無機
イオン交換体用として使用する五酸化アンチモン水和物
については、単に陽イオン交換容量を高くするだけでな
く、陰イオン及び陽イオン不純物の双方の含有量を可及
的に減少させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
上記従来法における種々の問題を解消することができ、
樹脂フィラーとして及び/又は無機イオン交換体用とし
て要求される性能を備えた五酸化アンチモン水和物を製
造することができる新しい結晶性五酸化アンチモン水和
物の製造方法を開発すべく鋭意研究を重ね、本発明を完
成した。従って、本発明の目的は、陽イオン交換容量が
高く、残留陰イオン不純物濃度が低く、しかも、製造工
程が複雑でなく大量生産が可能で工業的製法に適した高
純度の五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提供す
ることにある。また、本発明の目的は、結晶水として1
〜5分子の水を含み、粒子形状や大きさが均一で比表面
積が高く、無機イオン交換体用として適した高純度の結
晶性五酸化アンチモン水和物を製造する方法を提供する
ことにある。更に、本発明の目的は、粒子形状や大きさ
が均一であって樹脂中への分散性に優れ、例えばIC封
止樹脂の難燃化剤として使用される樹脂フィラーとして
有用な高純度の結晶性五酸化アンチモン水和物を製造す
る方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、三
塩化アンチモンを純水で加水分解し、得られたオキシ塩
化アンチモンを過酸化水素水で酸化し、得られた酸化反
応生成物スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥する五酸化ア
ンチモン水和物の製造に於いて、上記酸化反応生成物ス
ラリーの濾過・洗浄に続いて、更に、加圧下に80〜2
00℃で2時間以上の加圧精製処理を行う結晶性五酸化
アンチモン水和物の製造方法である。
【0007】本発明方法において、原料として使用する
三塩化アンチモン(SbCl3 )は、それがどの様な方
法で製造されたものであってもよいが、好ましくは純度
99.0重量%以上のものであり、より好ましくは蒸留
により精製された純度99.99重量%以上のものであ
り、且つ重金属類の不純物含有量が1.0ppm以下、
ウラン、トリウム等の放射性元素の不純物含有量を0.
5ppb以下であるのが好ましい。また、三塩化アンチ
モンは、そのまま単体状態又は塩酸水溶液に溶解させた
状態のいずれであってもよい。
【0008】この三塩化アンチモンの加水分解は、通
常、三塩化アンチモンの重量比で10倍以上の水に三塩
化アンチモンを加えて、室温〜60℃、好ましくは25
〜40℃の温度で30分〜2時間行う。この加水分解反
応で使用する水としては、生成物であるオキシ塩化アン
チモン(Sb4 5 Cl2 )中に混入する不純物、例え
ばNH4 + イオン、Na+ イオン、K+ イオン、Cl-
イオン等の混入量を可及的に減少させるために純水、例
えば電気伝導度が5μs/cm以下の純水を使用するの
がよい。
【0009】この様に三塩化アンチモンを加水分解して
得られた反応混合物については、次に濾過し、洗浄して
加水分解生成物であるオキシ塩化アンチモンを得る。こ
のオキシ塩化アンチモンの洗浄は、結晶に付着したCl
- イオンなどを可及的に除去し、これによって最終製品
の五酸化アンチモン水和物中に混入するCl- イオン等
の量を可及的に減少させる。この生成したオキシ塩化ア
ンチモンの洗浄は、洗浄濾液中の電気伝導度が100μ
s/cm以下、好ましくは30μs/cm以下であっ
て、Cl- イオン濃度が50ppm以下、好ましくは1
0ppm以下となるまで行うのがよい。この様にして調
製されたオキシ塩化アンチモンは粒度分布が比較的狭
く、平均粒径が15〜30μm程度の結晶である。
【0010】次に、得られたオキシ塩化アンチモンは、
水に分散させて固形分濃度3〜30重量%のスラリーに
調製されて過酸化水素水で酸化されるが、所望によりこ
の酸化に先駆けて、加圧下に80〜200℃で2時間以
上の前段加圧精製処理を行うのがよい。調製したオキシ
塩化アンチモンのスラリーにおける固形分濃度が3重量
%より低いと、処理量が増して装置容積が過大になって
経済的でなく、30重量%より高くなると、スラリーが
高粘度となって攪拌や輸送に問題が生じる。また、この
前段加圧精製処理は、通常、オートクレーブを使用し、
80〜200℃、好ましくは120〜150℃で2時間
以上、好ましくは2〜24時間の範囲で行われ、処理圧
力はその処理温度における飽和蒸気圧下、すなわち1.
5〜6気圧程度である。この前段加圧精製処理の処理温
度が80℃より低く又は1.5気圧より低いと熱水抽出
による遊離不純物イオンの除去率が低くなり、また、2
00℃より高く又は6気圧を越える加圧下としてもこの
遊離不純物イオンの除去率がさほど向上せず、経済的で
ない。この前段加圧精製処理により、オキシ塩化アンチ
モンのCl- イオン濃度が5ppm以下とすることが出
来、結果として最終製品の五酸化アンチモン水和物の純
度が向上する。
【0011】上記三塩化アンチモンの加水分解によっ
て、あるいは更に上記前段加圧精製処理を施して得られ
たオキシ塩化アンチモンは、固形分濃度3〜30重量%
のスラリー状態で過酸化水素水により酸化される。この
酸化反応は、通常、5〜35重量%の濃度を有する過酸
化水素水を過酸化水素/三塩化アンチモンのモル比(H
2 2 /SbCl3 )が0.5〜6.5の範囲、好まし
くは1〜3の範囲となるように使用し、反応温度90℃
以上、好ましくは90〜100℃の範囲で2時間以上、
好ましくは2〜5時間の範囲で行う。過酸化水素水の使
用量がモル比(H2 2 /SbCl3 )0.5より少な
いと、酸化不足になってオキシ塩化アンチモン(Sb4
5 Cl2 )や三酸化アンチモン(Sb2 3 )等が残
留して転化率が低下し、また、6.5より多くなって
も、酸化の効果が変わらないほか、かえって過剰の過酸
化水素により架橋現象が生じ、ゲル化し易くなる。ま
た、反応温度については、90℃より低いと、反応速度
が遅くなって反応終了までに長時間を必要とする。
【0012】上記酸化反応によって得られた酸化反応生
成物スラリーは、次に濾過され、洗浄された後に加圧下
に80〜200℃で2時間以上の加圧精製処理に付され
るが、必要に応じて、この加圧精製処理に先駆けてpH
1〜6に調整される。このpH調整処理は、スラリー中
に残留するCl- イオンを可及的に除去するのが目的で
あり、好ましくはアンモニア又は炭酸アンモニウムが使
用され、残留Cl- イオンをNH4 Clの形で除去す
る。このアンモニアを使用したpH調整処理を行うと、
最終製品の五酸化アンチモン水和物の中性域テストでイ
オン交換容量が例えば2〜3meq/gにまで上昇す
る。なお、最終製品の五酸化アンチモン水和物を陰イオ
ン交換体と混合して使用する場合には、残留NH4 +
オンを更に水洗又はCO2 ガス吹込等で除去し、或いは
0.1Nの硝酸溶液で処理することによってH+ 型の陽
イオン交換体へとコンディショニングする手段を併用す
ることも出来る。
【0013】濾過して得られた或いはその後にpH調整
処理された酸化反応生成物スラリーは次に洗浄される
が、この洗浄処理は、Sb2 5 ドライベースで20〜
70重量倍の純水を使用し、洗浄濾液のCl-イオン濃
度が50ppm以下、好ましくは5ppm以下になるま
で行われる。なお、この洗浄処理は、通常その濾液の電
気伝導度が数100μs/cm以下、好ましくは100
μs/cm以下になるまで行われ、この際に使用される
水は、30℃以下であって電気伝導度5μs/cm以下
の純水であり、濾過方法としては例えば真空濾過、加圧
濾過、遠心分離等の方法が採用される。
【0014】この様にして洗浄された五酸化アンチモン
水和物は、純水で固形分濃度3〜30重量%のスラリー
に調製されて加圧精製処理に付される。この加圧精製処
理は、上記オキシ塩化アンチモンに対して行われる前段
加圧精製処理条件と同様であり、通常、オートクレーブ
を使用し、80〜200℃、好ましくは120〜150
℃で2時間以上、好ましくは2〜24時間の範囲で行わ
れ、処理圧力はその処理温度における飽和蒸気圧下、す
なわち1.5〜6気圧程度である。この加圧精製処理の
処理温度が80℃より低いと熱水抽出による遊離不純物
イオンの除去率が低くなり、また、200℃より高くし
てもこの遊離不純物イオンの除去率がさほど向上せず、
経済的でない。この加圧精製処理により、五酸化アンチ
モン水和物の純度が向上すると共に、その結晶化度が向
上し、結果として最終製品の五酸化アンチモン水和物の
純度や陽イオン交換容量が向上する。この加圧精製処理
により、Cl- イオン濃度は、5ppm以下、通常は1
〜5ppmレベルになる。
【0015】上記洗浄処理を経て得られたウエット状態
の結晶性五酸化アンチモン水和物は、次に105〜20
0℃、好ましくは110〜150℃で5〜15時間、好
ましくは8〜12時間の条件で乾燥し、得られた凝集物
を例えばピンディスクミル、ボールミル、ジェットミル
等の粉砕機で粉砕し、例えばミクロンシフター等の分級
機を使用して325メッシュ(44μm)以下にふるい
分けすることにより、製品の結晶性五酸化アンチモン水
和物となり、このものは一次粒子0.1〜0.5μm、
二次粒子0.5〜2.5μm及び比表面積30〜50m
2 /g並びに陽イオン交換容量1.2〜2.5meq/
g(Na+ )の性状、物性を有し、手で簡単に解砕出来
る程度に凝集力が低い。
【0016】
【作用】本発明方法においては、純水のみで加水分解し
て得られたオキシ塩化アンチモンは、アルカリを使用し
ないので陽イオン濃度の増加が無く得られ、又それに続
く酸化反応も過酸化水素で行うので、陰イオン・陽イオ
ン不純物の混入がない。次いで加圧精製処理を行うが、
その理由は未だ正確には不明であるが、事実として、高
純度化と結晶化とを同時に発現させることが出来、陽イ
オン交換容量を高めることが出来、しかも、粒子形状や
大きさが均一で比表面積も高い五酸化アンチモン水和物
が得られる。更に、原料三塩化アンチモンとして三塩化
アンチモンの塩酸水溶液を使用する場合などに於いて、
オキシ塩化アンチモン中のCl- イオン濃度を低減させ
るために、前段加圧精製を行えば、最終的に得られる結
晶性五酸化アンチモンの純度を一層向上することが出来
る。
【0017】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
方法を具体的に説明する。
【0018】実施例1 蒸留により精製して得られた純度99.99重量%、ウ
ラン、トリウム等の放射性元素含有量0.5ppb以下
の三塩化アンチモン223gを30重量%塩酸水溶液8
2g中に溶解し、得られた溶液305gを攪拌しながら
56〜58℃でイオン交換水3,500ml中に添加
し、生成したオキシ塩化アンチモン(Sb4 5
2 )の沈澱物を濾過して回収した。得られたオキシ塩
化アンチモンのケーキを、30℃の純水750ml中に
分散して濾過するという方法で、濾液中のCl- イオン
濃度が100ppm以下になるまで繰り返し洗浄した。
この時の洗浄の繰り返し回数は6回であった。
【0019】この様にして得られたオキシ塩化アンチモ
ンのケーキをイオン交換水750ml中に分散させ、こ
れに35重量%過酸化水素水250gを添加し、95℃
に昇温して2時間酸化反応を行った。反応終了後、得ら
れた反応混合物中に15重量%アンモニア水溶液(NH
4 OH水溶液)を添加し、pH9.5に調整した。その
後、この反応混合物を遠心分離器で固液分離し、得られ
たケーキをイオン交換水750ml/回でリパルプ洗浄
し、濾液中のCl- イオン濃度が50ppm以下になる
まで繰り返し洗浄した。この時の洗浄の繰り返し回数は
5回であった。
【0020】更に、得られたケーキ250gをイオン交
換水500ml中に分散させ、0.1N硝酸溶液でpH
3に調整し、次いで15重量%アンモニア水溶液を添加
してpH9.5に調整し、イオン交換水750ml/回
でリパルプ洗浄して濾液中のNO3 - イオン濃度が50
ppm以下になるまで繰り返し洗浄した。この時の洗浄
の繰り返し回数は3回であった。
【0021】この様にして得られたケーキ250gをイ
オン交換水500ml中に分散させ、オートクレーブ中
に仕込んで4.5気圧、150℃、2時間の条件で結晶
化処理し、その後、遠心分離器で固液分離してウエット
状態の結晶性五酸化アンチモン水和物を得た。この様に
して得られた結晶性五酸化アンチモン水和物を箱型乾燥
器に入れ、105℃で10時間の条件で乾燥し、次いで
乳鉢で解砕して325メッシュの振動フルイにかけてふ
るい分けし、ふるい下分から製品として五酸化アンチモ
ン水和物168gを得た。
【0022】この様にして製造された五酸化アンチモン
水和物について、残留塩素イオン濃度(ppm)、残留
放射性元素濃度(ppb)、一次粒子の粒径(μm)、
二次粒子の粒径(μm)、粒子形状、陽イオン交換容量
(Na+ 、meq/g)、Sb2 3 混入量(wt
%)、比表面積(m2 /g)、付着水量(wt%)、及
びナトリウムイオン濃度(Na+ 、ppm)を測定し
た。なお、残留塩素イオン濃度は、試料10gについて
100mlの純水を使用し、120℃、20時間の条件
で熱水抽出を行い、イオンクロマトグラフィーを使用し
て抽出液中の塩素イオン濃度を測定することにより行っ
た。また、二次粒子の粒径は、レーザー式粒度分布測定
器〔セイシン企業(株)製商品名:SKレーザー PR
O−7000S〕を使用し、超音波処理1分間の平均粒
子径を測定して求めた。更に、陽イオン交換容量につい
ては、1ml中にナトリウムイオン(Na+ )と塩素イ
オン(Cl- )とをそれぞれ1meq(ミリ当量)含有
するNaCl標準液を用意し、これを規定量の純水で希
釈し、この溶液中に正確に秤量した試料3gを添加し、
室温で24時間攪拌したのち、これを0.2μmメンブ
ランフィルターで濾過し、濾液を回収してその一部を採
取し、原子吸光分析によりナトリウムイオン(Na+
を測定し、その結果からイオン交換された値を求めるイ
オン交換容量(中性)測定法により測定した。結果は以
下の通りであった。 残留塩素イオン濃度 4ppm 残留放射性元素濃度 0.5ppb以下 一次粒子の粒径 0.2μm 二次粒子の粒径 0.9μm 粒子形状 Sb2 5 ・4H2 O、球形 陽イオン交換容量(Na+ ) 1.80meq/g Sb2 3 混入量 0.1重量%以下 比表面積 38m2 /g また、Na、K、Fe、Al、Ca、Mg、Ti、N
i、Cr、Cu、Pb、As、Znの不純物濃度は総計
0.5ppm以下であった。
【0023】比較例1 実施例1で使用したと同じ三塩化アンチモン203.7
gを30重量%塩酸水溶液75.3g中に溶解し、得ら
れた溶液279gを攪拌しながら31〜34℃でイオン
交換水3,500ml中に添加し、加水分解した。得ら
れた反応混合物に15重量%アンモニア水溶液(NH4
OH水溶液)を添加して中和し、引続きその反応混合物
中に35重量%過酸化水素水250gを添加し、95℃
に昇温して2時間酸化反応を行った。この酸化反応終了
後、室温で15重量%アンモニア水溶液を添加して中和
し、遠心分離器で固液分離した。得られたケーキをイオ
ン交換水750ml/回でリパルプ洗浄し、濾液中のC
- イオン濃度が100ppm以下になるまで繰り返し
洗浄した。この時の洗浄の繰り返し回数は7回であっ
た。
【0024】その後、上記実施例1と同じ方法で、乾
燥、粉砕、ふるい分けを行い、製品として五酸化アンチ
モン水和物160gを得た。得られた五酸化アンチモン
水和物について、実施例と同様にその特性を測定した。
結果は以下の通りであった。 残留塩素イオン濃度 600ppm 残留放射性元素濃度 0.5ppb以下 一次粒子の粒径 0.2μm 二次粒子の粒径 1.5μm 粒子形状 Sb2 5 ・4H2 O、球形 陽イオン交換容量(Na+ ) 0.53meq/g Sb2 3 混入量 5重量% 比表面積 32m2 /g また、Na、K、Fe、Al、Ca、Mg、Ti、N
i、Cr、Cu、Pb、As、Znの不純物濃度は総計
で1.0ppmであった。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、陽イオン交換容量が高
く、そして、残留陰イオン不純物濃度が低く、しかも、
大量生産が可能で工業的製法に適した高純度の結晶性五
酸化アンチモン水和物を製造することができ、無機イオ
ン交換体用として、あるいは、例えばIC封止樹脂の難
燃化剤として使用される樹脂フィラーとして有用な高純
度の五酸化アンチモン水和物を有利に製造することがで
きる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三塩化アンチモンを純水で加水分解し、
    得られたオキシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化
    し、得られた酸化反応生成物スラリーを濾過し、洗浄
    し、乾燥する五酸化アンチモン水和物の製造に於いて、
    上記酸化反応生成物スラリーの濾過・洗浄に続いて、更
    に、加圧下に80〜200℃で2時間以上の加圧精製処
    理を行うことを特徴とする結晶性五酸化アンチモン水和
    物の製造方法。
  2. 【請求項2】 三塩化アンチモンを加水分解して得られ
    たオキシ塩化アンチモンを過酸化水素水で酸化する前
    に、加圧下に80〜200℃で2時間以上の前段加圧精
    製処理を行う請求項1記載の結晶性五酸化アンチモン水
    和物の製造方法。
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