JPH0532363A - 炉内シール装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｃ反りを起こしやすい広幅、薄物ストリップ
においてすり疵の発生を防止する。 【構成】 複数のセクションに分割されてなるストリッ
プの横型連続熱処理炉において、ストリップ１へ向けて
ガス体を噴出させるスリット状のノズルを有するフロー
タ５、６、７、８をストリップの上下に対向させて配し
たシールフロータを各セクション端部に設置し、各ノズ
ルよりそのセクションの雰囲気ガス体を噴出させてスト
リップを浮揚支持するとともにガス流によりセクション
内の雰囲気を遮断する炉内シール装置で、上部フロータ
５、６の前後にストリップの幅方向中央部分へ向けてガ
ス体を噴出させるスリット状のガイドノズル９、10を設
けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属等のストリップを
連続処理するフロータ式熱処理炉において、ストリップ
を熱風流に乗せて浮揚させつつ搬送するフロータノズル
を炉内の区分に用いたシールフロータの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属等のストリップを連続処理する連続
処理ラインの熱処理炉等においては、ストリップに直接
接触することなしにこれを搬送する手段として、従来の
支持ローラによるいわゆるハースローラ方式に代わり、
ストリップを熱風流に乗せて浮揚させつつ搬送するフロ
ータ方式と呼ばれる支持方式が採用されるようになって
いる。また、炉内を雰囲気ガスや温度分布等の操業条件
により複数のセクションに分割し、セクションを区分す
る位置に設置するシール装置についても同様にストリッ
プに直接接触することを避けるため、フロータを上下に
対向させて配したシールフロータが使用される。

【０００３】これらのフロータは、ストリップ幅に相当
する細長いスリット状のノズルからガスを噴出させるこ
とによって、ベルヌーイの定理によりストリップとの間
に圧力を発生し、これが支持力となるものであるが、圧
力の大きさはノズルとストリップの距離に反比例するの
で、通常この距離は 100mm以下という小さいものであ
る。このため、ストリップに形状不良部分があったり、
張力や速度の急変があったりするとストリップがノズル
に接触し、接触部分にすり疵が発生するおそれがある。
特に、薄鋼板のストリップ等においては、幅方向中央が
凸状となる「Ｃ反り」と呼ばれる現象がしばしば見られ
る。Ｃ反りの原因は、主としてストリップが当該熱処理
炉に到達した時点で残留している巻きぐせである。すな
わち、巻取り軸または搬送計のブライドルロール等の巻
きかけで生じた巻きぐせが、ストリップを長手方向に巻
き戻した場合にＣ反りとして現れるのである。このＣ反
りによる凸状部分がフロータ部を通過する際に接触疵が
発生しやすい。これを防止するため、特開昭60-218433
号公報によれば、フロータ部分の圧力室内に、ガスノズ
ルの先端よりも周面がストリップ側に突出し、ストリッ
プ走行速度と同一周速度で回転するロールを組み込むこ
とが提案されている。図３はその断面図で、１はストリ
ップ、５は上部フロータ、７は下部フロータ、11は上部
ロール、12は下部ロールである。この構成により、スト
リップとフロータとの接触は防止することができるが、
回転するロールを圧力室内に設置しているため、駆動軸
まわりの圧力シールや駆動装置等の設備を必要とし、メ
ンテナンスも困難であるなどの問題を有する。

【０００４】そこで、同様の目的で、フロータの前後す
なわち圧力室の外側に、ストリップが接触しても疵を生
じない材質のガイドローラを設置することも行われてい
る。このガイドローラは、自由に回転するが、駆動はし
ない。図４は、このようなガイドローラを設置したシー
ルフロータの例で、ストリップの連続熱処理炉の側面よ
り見た断面図である。ストリップ１は、炉壁の鉄皮２お
よび断熱材３で構成される熱処理炉を左から右へ搬送さ
れ、この間に必要な熱処理を受ける。この図で左側はＡ
セクション、右側はＢセクションとなっていて、炉温、
雰囲気ガス等が両セクションでは異なるため、各セクシ
ョン端部にはストリップへ向けてガス体を噴出させるス
リット状のノズルを有するフロータをストリップの上下
に対向させて配したシールフロータが設けられ、境界部
分では両セクションの２基のシールフロータが接してい
る。５、６が上フロータ、７、８が下フロータで、Ａセ
クション側の上下フロータ５、７にはＡセクションの雰
囲気ガスが、Ｂセクション側の上下フロータ６、８には
Ｂセクションの雰囲気ガスが送り込まれ、それぞれのノ
ズルより吹き出してストリップを浮揚支持すると同時に
セクション内の雰囲気を遮断している。上フロータ５、
６の前後にガイドローラ13、14が設けられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このガイド
ローラは設置する高さによってＣ反りを押さえる効果に
相違があり、上フロータの下面よりも下げて設置すると
Ｃ反りを押さえる効果は増大するが、同時にガイドロー
ラの磨耗・損傷が激しくなり、またストリップにも疵と
はならないものの接触跡が強く残り、模様が生じて品質
上看過できないようになるので、上フロータの下面とほ
ぼ同一レベルで使用する結果、Ｃ反りを押さえる効果は
不十分であった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、単一または複
数のセクションに分割されてなるストリップの水平型連
続熱処理炉において、ストリップへ向けてガス体を噴出
させるノズルを有するフロータを該ストリップの上下に
対向させて配したシールフロータを各セクションの端部
に設置し、各ノズルよりそのセクションの雰囲気ガス体
を噴出させて該ストリップを浮揚支持するとともにガス
流によりセクション内の雰囲気を遮断する炉内シール装
置であって、上部フロータおよび／または下部フロータ
の前面または後面に、該ストリップの少なくとも幅方向
中央部分へ向けてガス体を噴出させるノズルを設けたこ
とを特徴とする。

【０００７】

【作 用】本発明によれば、上シールフロータの前後
に、従来のガイドローラに代えてＣ反り押さえ用のガイ
ドノズルを設け、炉内雰囲気ガスまたはこれと共通の成
分を有するガスを吹き出させるようにしたので、非接触
でＣ反り部を押し下げることができ、充分にＣ反りを押
さえる効果を発揮する高さに設置することが可能となっ
た。

【０００８】

【実施例】図１に本発明の一実施例を示す。この図は、
ストリップの連続熱処理炉の側面より見た断面図で、シ
ール装置部分のみを示している。ストリップ１は、炉内
を左から右へ搬送される。この図で左側はＡセクショ
ン、右側はＢセクションとなっていて、炉温、雰囲気ガ
ス等が両セクションでは異なるため、各セクション端部
にはストリップへ向けてガス体を噴出させるスリット状
のノズルを有するフロータをストリップの上下に対向さ
せて配したシールフロータが設けられ、境界部分では両
セクションの２基のシールフロータが接している。５、
６が上フロータ、７、８が下フロータで、Ａセクション
側の上下フロータ５、７にはＡセクションの雰囲気ガス
が、Ｂセクション側の上下フロータ６、８にはＢセクシ
ョンの雰囲気ガスが送り込まれ、それぞれのノズルより
吹き出してストリップを浮揚支持すると同時にセクショ
ン内の雰囲気を遮断している。上部フロータの前後に、
さきのガイドローラに代わってガイドノズル９、10が設
けられている。ガイドノズル９には上シール５と同一ガ
スが、ガイドノズル10には上シール６と同一ガスが使用
される。

【０００９】図２は、図１のガイドノズルの位置で、進
行方向から見た側面図である。ガイドノズル10は、スト
リップの少なくとも幅方向中央部分へ向けてガス体を噴
出させるスリット状のノズルであるから、破線で示した
Ｃ反り傾向のストリップが噴出ガスにより凸部を下方に
抑えられて実線のように偏平となり、接触を起こすこと
なく上下フロータ６、８のギャップを通過し得ることを
示している。

【００１０】ガイドノズル９、10の取り付け高さは、上
部フロータ５、６と等しいか、やや低くするのが望まし
い。したがって、ガイドノズル９、10へのストリップの
接触をさらに予防するために、ガイドノズル９、10の前
後に保護ローラを設けてもよい。なお、一般にＣ反りは
上流工程での巻きぐせの履歴によるので、工場やライン
に特有の傾向として凸状または凹状のいずれかの形に発
生する傾向があるので、この実施例ではガイドノズルを
上側のみに設けているが、凹状に発生する傾向のあるセ
クションや、凹凸いずれも発生するライン等においては
ガイドノズルを下側、あるいは上下に設ければよいこと
はいうまでもない。

【００１１】以上の説明で明らかなように、本発明の炉
内シール装置は、その炉が単一セクションの炉であれば
その両端に、複数のセクションに分割されてなる炉であ
れば各セクションの両端に設けることによりその目的を
達成することができる。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、Ｃ反りを起こしやすい
広幅、薄物ストリップにおいてすり疵を大幅に減少させ
ることができた。幅1000〜1280mm、厚み0.35mmの薄鋼板
を処理した横型熱処理炉の例で見ると、従来 148コイル
処理して16.2％にすり疵が発生していたが、本発明の実
施後66コイルについて、すり疵は全く認められていな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の炉内シール装置の側面より見た断面図
である。

【図２】図１を進行方向から見た側面図である。

【図３】従来の技術を示す側面より見た断面図である。

【図４】従来の他の技術を示す側面より見た断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ストリップ ５、６ 上フロータ ７、８ 下フロータ ９、10 ガイドノズル 13、14 ガイドローラ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 単一または複数のセクションに分割され
   てなるストリップの水平型連続熱処理炉において、スト
   リップへ向けてガス体を噴出させるノズルを有するフロ
   ータを該ストリップの上下に対向させて配したシールフ
   ロータを各セクションの端部に設置し、各ノズルよりそ
   のセクションの雰囲気ガス体を噴出させて該ストリップ
   を浮揚支持するとともにガス流によりセクション内の雰
   囲気を遮断する炉内シール装置であって、上部フロータ
   および／または下部フロータの前面または後面に、該ス
   トリップの少なくとも幅方向中央部分へ向けてガス体を
   噴出させるノズルを設けたことを特徴とする水平型連続
   熱処理炉の炉内シール装置。