JPH05320944A - 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材 - Google Patents
成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材Info
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- JPH05320944A JPH05320944A JP15759792A JP15759792A JPH05320944A JP H05320944 A JPH05320944 A JP H05320944A JP 15759792 A JP15759792 A JP 15759792A JP 15759792 A JP15759792 A JP 15759792A JP H05320944 A JPH05320944 A JP H05320944A
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- Japan
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- aluminum material
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルミニウム材の成形性、溶接性、耐食性を
改善し、自動車構造材、特にボディーの製造を容易にす
る。 【構成】 元素周期表第4族及び第2族の金属のうち1
種以上を含有する化合物から形成される第1層と、その
上に潤滑性無機化合物で形成される第2層とからなる皮
膜を表面に形成したアルミニウム材。
改善し、自動車構造材、特にボディーの製造を容易にす
る。 【構成】 元素周期表第4族及び第2族の金属のうち1
種以上を含有する化合物から形成される第1層と、その
上に潤滑性無機化合物で形成される第2層とからなる皮
膜を表面に形成したアルミニウム材。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車構造用部材、特
にボディー用として用いられる成形性、溶接性、耐食性
に優れたアルミニウム材に関するものである。
にボディー用として用いられる成形性、溶接性、耐食性
に優れたアルミニウム材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の燃費向上、高性能化を目的とし
た車体重量の低減が望まれ、従来使用されていた鉄鋼材
料にかわって比重が鉄の約1/3 であるアルミニウム材の
使用が増えつつある。アルミニウム材は軽量であるばか
りでなく、耐食性、加工性、表面処理等に優れ、更に再
生が容易であるところから自動車用材料として最も注目
されている。そして現在ボディー、ホイール、バンパ
ー、熱交換器、エンジン等に用いられており、更に応用
範囲も増えつつある。アルミニウム材を自動車ボディー
として用いる場合、その製造方法や工程は従来の鉄およ
び鉄鋼材料を用いた場合と基本的に同じであり、成形
性、溶接性、接着性、塗装後の耐食性及び美観等が要求
される。
た車体重量の低減が望まれ、従来使用されていた鉄鋼材
料にかわって比重が鉄の約1/3 であるアルミニウム材の
使用が増えつつある。アルミニウム材は軽量であるばか
りでなく、耐食性、加工性、表面処理等に優れ、更に再
生が容易であるところから自動車用材料として最も注目
されている。そして現在ボディー、ホイール、バンパ
ー、熱交換器、エンジン等に用いられており、更に応用
範囲も増えつつある。アルミニウム材を自動車ボディー
として用いる場合、その製造方法や工程は従来の鉄およ
び鉄鋼材料を用いた場合と基本的に同じであり、成形
性、溶接性、接着性、塗装後の耐食性及び美観等が要求
される。
【0003】ボディーは次の工程で造られる。 1.成形;コイルもしくはコイルより所定の寸法に切断
した板より所定の形状に成形する。 2.接合;溶接及び/又は接着にて周辺部と接合する。
その際従来の鉄及び鉄鋼材と組合わされて次工程へ流れ
る。 3.表面処理;脱脂(アルカリ系洗浄剤を使用)、水
洗、表面調整(コロイダルチタン酸塩処理)、化成処理
(りん酸亜鉛処理)、水洗(場合によってはクロム酸系
溶液による後処理を中間に行う)、乾燥する。 4.塗装;下塗り(電着塗装)、中塗り、上塗り 5.艤装
した板より所定の形状に成形する。 2.接合;溶接及び/又は接着にて周辺部と接合する。
その際従来の鉄及び鉄鋼材と組合わされて次工程へ流れ
る。 3.表面処理;脱脂(アルカリ系洗浄剤を使用)、水
洗、表面調整(コロイダルチタン酸塩処理)、化成処理
(りん酸亜鉛処理)、水洗(場合によってはクロム酸系
溶液による後処理を中間に行う)、乾燥する。 4.塗装;下塗り(電着塗装)、中塗り、上塗り 5.艤装
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来よりこのような自
動車ボディー用として供されるアルミニウム材には次の
ような問題点を抱えている。
動車ボディー用として供されるアルミニウム材には次の
ような問題点を抱えている。
【0005】1.成形性不良;自動車ボディー用として
現在主流の鉄鋼材と比較するとアルミニウム材は軟質で
伸びが小さいため、型かじりをおこしやすく、割れ、肌
荒れ等が生じ易いところから成形性が劣る。
現在主流の鉄鋼材と比較するとアルミニウム材は軟質で
伸びが小さいため、型かじりをおこしやすく、割れ、肌
荒れ等が生じ易いところから成形性が劣る。
【0006】2.溶接性不良;スポット溶接時、アルミ
ニウム材は電極寿命が鋼材に比べて極端に劣るため、車
体の生産効率が著しく低下する。即ちアルミニウム材の
スポット溶接では溶着現象が起り易いこと、及び同一の
電極で適切なナゲットを得ることができる溶接打点数が
著しく短いため、溶着が起る前や適切なナゲットができ
なくなる前に電極形状をドレッシングによって整えた
り、あるいは新品電極と交換する頻度も多くなり、この
ことが溶接効率ひいては自動車車体の生産効率に多大な
る影響を及ぼしている。
ニウム材は電極寿命が鋼材に比べて極端に劣るため、車
体の生産効率が著しく低下する。即ちアルミニウム材の
スポット溶接では溶着現象が起り易いこと、及び同一の
電極で適切なナゲットを得ることができる溶接打点数が
著しく短いため、溶着が起る前や適切なナゲットができ
なくなる前に電極形状をドレッシングによって整えた
り、あるいは新品電極と交換する頻度も多くなり、この
ことが溶接効率ひいては自動車車体の生産効率に多大な
る影響を及ぼしている。
【0007】3.耐食性不良;塗装後過酷環境により促
進耐久試験を行うと糸状の腐食(糸錆腐食:Filifom co
rrosion )が生じ易く、外觀上美観を損なうばかりでな
く、更に進行した場合には機能上問題を生じる。
進耐久試験を行うと糸状の腐食(糸錆腐食:Filifom co
rrosion )が生じ易く、外觀上美観を損なうばかりでな
く、更に進行した場合には機能上問題を生じる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み種々
検討の結果、自動車構造用部材、特にボディー用として
用いられる成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウ
ム材を開発したものである。
検討の結果、自動車構造用部材、特にボディー用として
用いられる成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウ
ム材を開発したものである。
【0009】即ち本発明は、アルミニウム材表面に成形
させた皮膜が、元素周期表第4族及び第2族の金属のう
ち1種以上を含有する化合物から形成される第1層と、
その上に潤滑性無機化合物で形成される第2層を有する
ことを特徴とするもので、この際第1層が、その金属換
算でアルミニウム材の表面に対して5〜200mg/m2の
該金属元素を含有する厚さであったり、また第2層がア
ルカリ金属の含水ほう酸塩からなり、その付着量がアル
カリ金属換算でアルミニウム材の表面に対して10〜1
000mg/m2 であって水洗あるいはアルカリ脱脂による
溶解残渣が1mg/m2 未満であったり、更に第1層におい
て、電極接触面側がスポット溶接接合面側の2/3 倍以下
の厚さであるのは有効である。
させた皮膜が、元素周期表第4族及び第2族の金属のう
ち1種以上を含有する化合物から形成される第1層と、
その上に潤滑性無機化合物で形成される第2層を有する
ことを特徴とするもので、この際第1層が、その金属換
算でアルミニウム材の表面に対して5〜200mg/m2の
該金属元素を含有する厚さであったり、また第2層がア
ルカリ金属の含水ほう酸塩からなり、その付着量がアル
カリ金属換算でアルミニウム材の表面に対して10〜1
000mg/m2 であって水洗あるいはアルカリ脱脂による
溶解残渣が1mg/m2 未満であったり、更に第1層におい
て、電極接触面側がスポット溶接接合面側の2/3 倍以下
の厚さであるのは有効である。
【0010】
【作用】上記の問題点に関して検討の結果、次のような
ことが判明した。 1.成形性 アルミニウム材は鋼板に比較して摩擦係数が大きく、プ
レス金型に凝着し易い性質を持つため成形性が劣り、こ
れを改善するためにはアルミニウム材の表面に、高硬
度、潤滑性を付与する処理が有効である。高硬度で且つ
潤滑性を付与する方法としては、表面に元素周期表第4
族及び第2族の金属のうち1種以上の金属を含有する化
合物皮膜を形成することが有効であるが、この化合物皮
膜の上に潤滑性無機化合物からなる第2層を設けること
で、更に摩擦係数を減少させ、成形性を向上させること
が可能となる。
ことが判明した。 1.成形性 アルミニウム材は鋼板に比較して摩擦係数が大きく、プ
レス金型に凝着し易い性質を持つため成形性が劣り、こ
れを改善するためにはアルミニウム材の表面に、高硬
度、潤滑性を付与する処理が有効である。高硬度で且つ
潤滑性を付与する方法としては、表面に元素周期表第4
族及び第2族の金属のうち1種以上の金属を含有する化
合物皮膜を形成することが有効であるが、この化合物皮
膜の上に潤滑性無機化合物からなる第2層を設けること
で、更に摩擦係数を減少させ、成形性を向上させること
が可能となる。
【0011】2.溶接性 通常アルミニウム材を同一の銅系電極を用いて連続的に
スポット溶接を繰り返すと、電極先端の通電径が打点と
共に拡大し、これにともなう材料中の電流密度の低下に
よってナゲット径も減少し、ついには電極寿命となる
が、アルミニウム材の場合は鋼板と比べてその電極先端
径の拡大速度が著しく大きいことに特徴がある。
スポット溶接を繰り返すと、電極先端の通電径が打点と
共に拡大し、これにともなう材料中の電流密度の低下に
よってナゲット径も減少し、ついには電極寿命となる
が、アルミニウム材の場合は鋼板と比べてその電極先端
径の拡大速度が著しく大きいことに特徴がある。
【0012】したがってこのような現象に着目し、その
原因について鋭意検討した結果、アルミニウム材の連続
打点溶接の場合には電極先端の通電部に溶融アルミニウ
ムが付着し、その酸化物が打点とともに堆積し、これが
絶縁層を形成してついには電極とこの絶縁層の間でスパ
ークを起こし、その際に電極が虫食い状に欠損していく
ことを見出した。そしてこのようなアルミニウム材の特
有現象が電極先端径の拡大を促進し、電極寿命が極端に
劣化することを知見した。よってスパークの原因となる
不均一な酸化皮膜を除去し、均一で適切な電気抵抗が得
られるようにすることが重要であり、そのためにはアル
ミニウム材の表面の化学皮膜の膜質と膜厚のコントロー
ルが極めて有効であり、電極接触面側がスポット溶接接
合面側の2/3 以下の厚さになるように調整することで良
好な溶接性を確保することが可能となる。
原因について鋭意検討した結果、アルミニウム材の連続
打点溶接の場合には電極先端の通電部に溶融アルミニウ
ムが付着し、その酸化物が打点とともに堆積し、これが
絶縁層を形成してついには電極とこの絶縁層の間でスパ
ークを起こし、その際に電極が虫食い状に欠損していく
ことを見出した。そしてこのようなアルミニウム材の特
有現象が電極先端径の拡大を促進し、電極寿命が極端に
劣化することを知見した。よってスパークの原因となる
不均一な酸化皮膜を除去し、均一で適切な電気抵抗が得
られるようにすることが重要であり、そのためにはアル
ミニウム材の表面の化学皮膜の膜質と膜厚のコントロー
ルが極めて有効であり、電極接触面側がスポット溶接接
合面側の2/3 以下の厚さになるように調整することで良
好な溶接性を確保することが可能となる。
【0013】3.塗装後耐食性 通常アルミニウム製ボディーの塗装材に発生する糸錆
は、表面の傷等塗装膜の欠陥を起点としたものであり、
塩素等が存在する腐食環境下にて腐食性物質がアルミニ
ウム素地に達し、アルミニウム素地を腐食することが主
な原因である。よってアルミニウム素地に対して強力な
防食効果が得られるような皮膜を形成することが解決の
重要なポイントであり、アルミニウム表面の化学皮膜の
膜質及び膜厚が大きく影響することがわかった。
は、表面の傷等塗装膜の欠陥を起点としたものであり、
塩素等が存在する腐食環境下にて腐食性物質がアルミニ
ウム素地に達し、アルミニウム素地を腐食することが主
な原因である。よってアルミニウム素地に対して強力な
防食効果が得られるような皮膜を形成することが解決の
重要なポイントであり、アルミニウム表面の化学皮膜の
膜質及び膜厚が大きく影響することがわかった。
【0014】以上の知見をもとに、本発明者等は種々検
討の結果、成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウ
ム材を開発するに至った。
討の結果、成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウ
ム材を開発するに至った。
【0015】本発明において、アルミニウム材の第1層
の皮膜を得る方法としては、元素周期表第4族及び第2
族の金属、例えばSi、Ti、Zr、Hf、Ca、Z
n、Ba等の中から1種以上を含有する酸性又はアルカ
リ性の溶液にて処理することが行われるが、それ以外に
も塗布による方法等、特に限定されるものではない。こ
れら皮膜の幾何学的構造は処理条件によって決まるもの
であり、特に制限はないが、表面の摩擦抵抗を下げるこ
とで成形性が向上することから、表面は極力平滑である
ことが好ましい。また、皮膜形成処理の前処理は特に実
施せず、圧延後直接皮膜形成処理を行っても良いが、通
常はアルミニウム材製造工程中に生成した不均一皮膜を
除去する目的で酸、アルカリ中でエッチング、酸溶液中
でマスット(不溶解性残渣)除去を適宜選択して行うこ
とが望ましい。
の皮膜を得る方法としては、元素周期表第4族及び第2
族の金属、例えばSi、Ti、Zr、Hf、Ca、Z
n、Ba等の中から1種以上を含有する酸性又はアルカ
リ性の溶液にて処理することが行われるが、それ以外に
も塗布による方法等、特に限定されるものではない。こ
れら皮膜の幾何学的構造は処理条件によって決まるもの
であり、特に制限はないが、表面の摩擦抵抗を下げるこ
とで成形性が向上することから、表面は極力平滑である
ことが好ましい。また、皮膜形成処理の前処理は特に実
施せず、圧延後直接皮膜形成処理を行っても良いが、通
常はアルミニウム材製造工程中に生成した不均一皮膜を
除去する目的で酸、アルカリ中でエッチング、酸溶液中
でマスット(不溶解性残渣)除去を適宜選択して行うこ
とが望ましい。
【0016】本発明において第1層に含有する上記金属
元素の量をアルミニウム材の表面積に対して5〜200
mg/m2 としたのは、5mg/m2 以上含有すると塗装後の耐
食性に優れるからであり、一方5mg/m2 未満ではアルミ
ニウム素地に対する防食効果が不十分であるばかりでな
く、所望の電気抵抗が得られず、溶接性を低下させてし
まい、他方200mg/m2 を越えると電気抵抗が大きすぎ
るため、溶解不可となるからである。また電極接触面側
の膜厚がスポット溶接接合面側の2/3 倍以下の厚さにな
るように調整することで、電極面側でのスパーク発生防
止及びアルミニウム材の電極面上への溶着防止に大きな
効果が現れる。また接合面側のみ酸化皮膜を形成し、電
極接種面側には酸化皮膜を形成させない、いわゆる片面
処理も溶接性向上に効果がある。
元素の量をアルミニウム材の表面積に対して5〜200
mg/m2 としたのは、5mg/m2 以上含有すると塗装後の耐
食性に優れるからであり、一方5mg/m2 未満ではアルミ
ニウム素地に対する防食効果が不十分であるばかりでな
く、所望の電気抵抗が得られず、溶接性を低下させてし
まい、他方200mg/m2 を越えると電気抵抗が大きすぎ
るため、溶解不可となるからである。また電極接触面側
の膜厚がスポット溶接接合面側の2/3 倍以下の厚さにな
るように調整することで、電極面側でのスパーク発生防
止及びアルミニウム材の電極面上への溶着防止に大きな
効果が現れる。また接合面側のみ酸化皮膜を形成し、電
極接種面側には酸化皮膜を形成させない、いわゆる片面
処理も溶接性向上に効果がある。
【0017】また、第2層のアルカリ金属のほう酸塩と
しては、メタほう酸、四ほう酸のNa塩、K塩、Li塩
が実用可能なものである。このようなアルカリ金属のほ
う酸塩は、含水するものと無水のものとが存在するが、
水洗あるいはアルカリ脱脂時の溶解性は含水結晶構造の
ほうが優れており、本発明では含水ほう酸塩を用いるこ
とが好ましい。この第2層の形成方法としては、上記化
合物の水溶液と接触させ、これを乾燥することで容易に
得ることができる。
しては、メタほう酸、四ほう酸のNa塩、K塩、Li塩
が実用可能なものである。このようなアルカリ金属のほ
う酸塩は、含水するものと無水のものとが存在するが、
水洗あるいはアルカリ脱脂時の溶解性は含水結晶構造の
ほうが優れており、本発明では含水ほう酸塩を用いるこ
とが好ましい。この第2層の形成方法としては、上記化
合物の水溶液と接触させ、これを乾燥することで容易に
得ることができる。
【0018】しかして含水ほう酸塩中のアルカリ金属元
素の付着量を10〜1000mg/m2としたのは、10mg/
m2 未満では成形性改善の十分な効果が得られず、10
00mg/m2 を越えると成形性を改善効果が飽和してしま
うためである。さらに成形工程後の水洗あるいはアルカ
リ脱脂工程での溶解残渣が1mg/m2 を越えると、化成処
理工程に悪影響を及ぼすが、付着量が1000mg/m2 を
越えると溶解残渣が1mg/m2 を越える危険性がでてくる
ためである。
素の付着量を10〜1000mg/m2としたのは、10mg/
m2 未満では成形性改善の十分な効果が得られず、10
00mg/m2 を越えると成形性を改善効果が飽和してしま
うためである。さらに成形工程後の水洗あるいはアルカ
リ脱脂工程での溶解残渣が1mg/m2 を越えると、化成処
理工程に悪影響を及ぼすが、付着量が1000mg/m2 を
越えると溶解残渣が1mg/m2 を越える危険性がでてくる
ためである。
【0019】本発明におけるアルミニウム材とは、アル
ミニウム合金を含むものであり、板材に限らず押出材、
鋳物等製造方法は特に限定しない。また本発明法はコイ
ルより所定の寸法に切り出した板にて処理を行ってもよ
いが、コイルにて連続的に実施した方が効率も良く生産
性に寄与することは言うまでもない。
ミニウム合金を含むものであり、板材に限らず押出材、
鋳物等製造方法は特に限定しない。また本発明法はコイ
ルより所定の寸法に切り出した板にて処理を行ってもよ
いが、コイルにて連続的に実施した方が効率も良く生産
性に寄与することは言うまでもない。
【0020】以下本発明を実施例について説明するが、
本発明がこのような実施例の記載によって何ら制約を受
けるものではないことは言うまでもない。また本発明に
は以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外
にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者
の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得
るものであることが理解されるべきである。
本発明がこのような実施例の記載によって何ら制約を受
けるものではないことは言うまでもない。また本発明に
は以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外
にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者
の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得
るものであることが理解されるべきである。
【0021】
【実施例】JISA5182(Al−0.3wt%Mn−
4.5wt%Mg合金)を溶解、鋳造、均質化処理、熱間
圧延、冷間圧延、仕上げ焼鈍により1.0mmの板厚コイ
ル連続処理にて仕上げ、市販のアルカリ系洗浄剤による
エッチンチグ、水洗、硝酸によるスマット除去、水洗を
行い、表1に示す化学皮膜処理、ほう酸塩処理を行って
アルミニウム材を造った。
4.5wt%Mg合金)を溶解、鋳造、均質化処理、熱間
圧延、冷間圧延、仕上げ焼鈍により1.0mmの板厚コイ
ル連続処理にて仕上げ、市販のアルカリ系洗浄剤による
エッチンチグ、水洗、硝酸によるスマット除去、水洗を
行い、表1に示す化学皮膜処理、ほう酸塩処理を行って
アルミニウム材を造った。
【0022】このアルミニウム材について、成形性試
験、溶接性試験、塗装後耐食性試験を行った。その結果
を表1に併記した。
験、溶接性試験、塗装後耐食性試験を行った。その結果
を表1に併記した。
【0023】成形性試験は、表面に0.5 g/m2 の洗浄
油を塗布した後、70mmφに打ち抜いたサンプルを径3
3mmφの高速円筒絞り加工(加工速度500mm/sec)を
行い、円筒側面にかじりや割れが発生したものを不良
(×)、これら欠陥が発生しなかったものを良(○)と
した。
油を塗布した後、70mmφに打ち抜いたサンプルを径3
3mmφの高速円筒絞り加工(加工速度500mm/sec)を
行い、円筒側面にかじりや割れが発生したものを不良
(×)、これら欠陥が発生しなかったものを良(○)と
した。
【0024】溶接性試験は、溶接機にインバーター式直
流溶接機を用い、電極形状は円錐台頭(CF)型で先端
径5.0mmφのCr−Cu合金を使用し、溶接条件とし
て、加圧150Kgf 、初期加圧時間20/50 秒、通電時間
6/50秒、保持時間5/50秒、溶接電流15KAで溶接を行
い、電極寿命を評価した。評価は溶着するまでの打点数
又はナゲット径が4t1/2 (t:板厚)を下回るまでの
打点数のいずれか少ない打点数でその効果を判定し、打
点数が500点未満を不良(×)、500〜1000点
を普通(△)、1000〜2000点を良好(○)、2
000点以上を最良(◎)とした。
流溶接機を用い、電極形状は円錐台頭(CF)型で先端
径5.0mmφのCr−Cu合金を使用し、溶接条件とし
て、加圧150Kgf 、初期加圧時間20/50 秒、通電時間
6/50秒、保持時間5/50秒、溶接電流15KAで溶接を行
い、電極寿命を評価した。評価は溶着するまでの打点数
又はナゲット径が4t1/2 (t:板厚)を下回るまでの
打点数のいずれか少ない打点数でその効果を判定し、打
点数が500点未満を不良(×)、500〜1000点
を普通(△)、1000〜2000点を良好(○)、2
000点以上を最良(◎)とした。
【0025】塗装後耐食性試験は、処理後のコイルから
70×150mmのテストピースを切り出し、弱アルカリ
系脱脂剤を用いて43℃×2分の脱脂を行い、水洗を行
った後、コロイダルチタン系の液にて室温×30秒の表
面調整を行い、そのままの状態で市販のリン酸亜鉛処理
液にて43℃×2分の化成処理を行った。その後水洗乾
燥を行った後、カチオン電着塗装による下塗り、更に吹
きつけによる中塗り、上塗りを行ってサンプルを作製し
た。この時のトータル塗膜厚さは約100μmである。
このサンプルの表面にアルミニウム素地まで達するクロ
スカットを入れ、JISZ2371による塩水噴霧試験
を24時間行い、その後50℃×95%RHの湿潤雰囲
気にて2000時間放置した後にクロスカット部から発
生した糸錆(糸状腐食)の最大長さを測定した。糸錆長
さ4mm以上を不良(×)、2〜4mmを普通(○)、2m
以下を良好(◎)とした。
70×150mmのテストピースを切り出し、弱アルカリ
系脱脂剤を用いて43℃×2分の脱脂を行い、水洗を行
った後、コロイダルチタン系の液にて室温×30秒の表
面調整を行い、そのままの状態で市販のリン酸亜鉛処理
液にて43℃×2分の化成処理を行った。その後水洗乾
燥を行った後、カチオン電着塗装による下塗り、更に吹
きつけによる中塗り、上塗りを行ってサンプルを作製し
た。この時のトータル塗膜厚さは約100μmである。
このサンプルの表面にアルミニウム素地まで達するクロ
スカットを入れ、JISZ2371による塩水噴霧試験
を24時間行い、その後50℃×95%RHの湿潤雰囲
気にて2000時間放置した後にクロスカット部から発
生した糸錆(糸状腐食)の最大長さを測定した。糸錆長
さ4mm以上を不良(×)、2〜4mmを普通(○)、2m
以下を良好(◎)とした。
【0026】
【表1】
【0027】表1から明らかなように、本発明例による
ものは、従来例と比較して成形性、溶接性、塗装後の耐
食性の何れもが優れていることが判る。これに対し本発
明の条件から外れる比較例では、成形性又は塗装後の耐
食性の何れかが劣るばかりか、溶接性が不十分であるこ
とが判る。
ものは、従来例と比較して成形性、溶接性、塗装後の耐
食性の何れもが優れていることが判る。これに対し本発
明の条件から外れる比較例では、成形性又は塗装後の耐
食性の何れかが劣るばかりか、溶接性が不十分であるこ
とが判る。
【0028】
【発明の効果】このように本発明によれば、アルミニウ
ム材の成形性、溶接性、耐食性を改善し、自動車構造
材、特にボディーの製造を容易する等工業上顕著な効果
を奏するものである。
ム材の成形性、溶接性、耐食性を改善し、自動車構造
材、特にボディーの製造を容易する等工業上顕著な効果
を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 難波江 元広 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河アルミニウム工業株式会社内 (72)発明者 谷 俊夫 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河アルミニウム工業株式会社内 (72)発明者 栗原 正明 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河アルミニウム工業株式会社内 (72)発明者 加藤 治 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河アルミニウム工業株式会社内 (72)発明者 馬渕 昌樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (4)
- 【請求項1】 アルミニウム材表面に形成された皮膜
が、元素周期表第4族及び第2族の金属のうち1種以上
の金属を含有する化合物から形成される第1層と、その
上に潤滑性無機化合物で形成される第2層を有すること
を特徴とする成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニ
ウム材。 - 【請求項2】 元素周期表第4族及び第2族の金属のう
ち1種以上の金属を含有する化合物から形成される第1
層が、その金属換算でアルミニウム材の表面に対して5
〜200mg/m2 の該金属元素を含有する厚さである請求
項1記載の成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウ
ム材。 - 【請求項3】 潤滑性無機化合物で形成される第2層が
アルカリ金属の含水ほう酸塩からなり、その付着量がア
ルカリ金属換算でアルミニウム材の表面に対して10〜
1000mg/m2 であり、水洗あるいはアルカリ脱脂によ
る溶解残渣が1mg/m2 未満であることを特徴とする請求
項1、又は2記載の成形性、溶接性、耐食性に優れたア
ルミニウム材。 - 【請求項4】 元素周期表第4族及び第2族の金属のう
ち1種以上の金属を含有する化合物から形成される第1
層において、電極接触面側がスポット溶接接合面側の2/
3 倍以下の厚さである請求項1、2、又は3記載の成形
性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15759792A JPH05320944A (ja) | 1992-05-25 | 1992-05-25 | 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15759792A JPH05320944A (ja) | 1992-05-25 | 1992-05-25 | 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05320944A true JPH05320944A (ja) | 1993-12-07 |
Family
ID=15653192
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15759792A Pending JPH05320944A (ja) | 1992-05-25 | 1992-05-25 | 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05320944A (ja) |
-
1992
- 1992-05-25 JP JP15759792A patent/JPH05320944A/ja active Pending
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