JPH05320734A - ステンレス溶鋼へのイットリウムの添加方法 - Google Patents

ステンレス溶鋼へのイットリウムの添加方法

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JPH05320734A
JPH05320734A JP34644991A JP34644991A JPH05320734A JP H05320734 A JPH05320734 A JP H05320734A JP 34644991 A JP34644991 A JP 34644991A JP 34644991 A JP34644991 A JP 34644991A JP H05320734 A JPH05320734 A JP H05320734A
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JP
Japan
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stainless steel
molten
steel
ladle
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JP34644991A
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English (en)
Inventor
Yuji Tanaka
勇次 田中
Takeshi Ishiguro
毅志 石黒
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】Y含有ステンレス鋼製造時のYの添加歩留を安
定化し、鋳造時のノズル詰まりを防止する。 【構成】取鍋またはタンディッシュ内のCr含有量が11重
量%以上のステンレス溶鋼内部にYとCaとを同時に浸漬
添加し、溶鋼中にYとともにCaを30ppm 以上含有させ
る。 【効果】ノズル詰まりが減り耐酸化性Y含有ステンレス
鋼の生産性が向上し、かつ成分調整が容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐酸化鋼として使用
されるイットリウム(以下、Yと記す)含有ステンレス
鋼を製造する際のY添加方法に係わり、特にYの添加歩
留を安定化し、取鍋またはタンディッシュからの出湯時
にノズル詰まりを防止することができるステンレス溶鋼
へのY添加方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ステンレス鋼にYを添加する
と、高温寿命が改善されることはよく知られている。例
えば、Yを1〜2%添加した25〜37.5%Crのステンレス
鋼を酸素中で高温酸化すると、Cr2O3 の表面皮膜の内層
にY2O3あるいはYCrO3 が生成し、Cr2O3 の皮膜の固着性
が改善されて耐高温酸化性が向上するといわれている
(J.Electrochem Soc. 108巻 (1961年)490頁) 。また、
Yを1%添加した25%Crステンレス鋼あるいは20%Cr−
25%Ni−Nbステンレス鋼を CO2中で高温酸化した場合
も、金属層と酸化物層の界面に少量のY2O3が生成し、表
面に形成された酸化物の固着性が改善されると報告され
ている J.Iron Steel Inst. 204 巻 (1966年)355頁、Co
rr. Sci.5巻(1965 年)701頁 。
【0003】一方、耐酸化鋼としては、Alを含有するフ
ェライト系ステンレス鋼が従来から用いられている。し
かし、近年自動車排ガスのメタルキャタライザー用素材
のようにさらに高い耐酸化性を有する素材の要求が強ま
り、Y含有ステンレス鋼が実用化されてきた。
【0004】しかしながら、Y含有ステンレス鋼を製造
する場合、下記のような製造上の問題がある。すなわ
ち、Yは非常に酸化されやすいので、ステンレス溶鋼
に添加したときの歩留りの変動が大きく、成分調整が困
難である。YはAlより強い脱酸力を有しており、Y添
加時の脱酸生成物は Al2O3より高い比重(4.84)をもつ微
細な固体Y2O3となる。このため、取鍋またはタンディッ
シュ内でのY2O3の浮上除去は Al2O3より困難であり、溶
鋼中に残存したY2O3が出湯時にノズル内に集積してノズ
ル詰まりが発生しやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決するためになされたものであり、その目的は取鍋ま
たはタンディッシュ内のステンレス溶鋼にYを添加した
ときのYの添加歩留を安定化し、出湯時のノズル詰まり
を防止できるステンレス溶鋼へのY添加方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明のステンレス溶
鋼へのY添加方法は、製鋼炉から出鋼されたCrを11重量
%以上を含有するステンレス溶鋼にYを添加する工程に
おいて、取鍋またはタンディッシュ内の上記ステンレス
溶鋼の内部に、YとCaを同時に添加し、溶鋼中にYを0.
01重量%以上含有させるとともに、Caを30ppm 以上含有
させることを特徴としている。
【0007】本発明のY添加方法は、電気炉または転炉
で一次脱炭、還元精錬され、AOD炉またはVOD炉な
どの精錬炉で二次脱炭、還元、仕上精錬されたCrを11重
量%以上を含むフェライト系、オーステナイト系ステン
レス溶鋼に適用することができる。ここで、Cr含有量が
11重量%以上のステンレス鋼を対象とするのは、Cr含有
量がこれより低いものは基本的に耐酸化性が悪く、Y添
加の意義がないからである。
【0008】本発明方法の実施に用いる添加剤として
は、塊状あるいはワイヤー状の金属YまたはFe−Y合金
と、塊状の金属Ca、Fe−Ca合金またはCa−Si合金との混
合物を用いることができる。また、塊状あるいは鉄被覆
を施したワイヤー状のY−Ca合金またはY−Ca−Si合金
を使用してもよい。
【0009】Y添加工程において、YおよびCaをステン
レス溶鋼内部に同時に浸漬添加するには、通常用いられ
る手段、例えば、浸漬棒の先端に複数の孔を設けた鋼製
容器を取付け、その内部に上記の添加剤を封入し、浸漬
棒を用いて溶鋼内部に浸漬添加するケージ添加法が採用
できる。取鍋添加の場合は製鋼炉からの出鋼流直下の溶
鋼中、タンディッシュ添加の場合は取鍋からの出湯流直
下の溶鋼中に添加するのがよい。また、タンディッシュ
内の溶鋼内部に浸漬添加する場合は取鍋からの出湯流直
下の溶鋼に鉄被覆を施したワイヤー状のY−Ca合金、Y
−Ca−Si合金を、出湯速度に応じた供給速度で連続的に
給線して添加する方法、あるいは取鍋からの出湯流をAr
シールし、出鋼流直下の溶鋼中に連続供給装置から上記
添加材を連続的に供給する方法などを用いてもよい。
【0010】
【作用】ステンレス溶鋼内部にYを単独添加する従来法
に対し、YとCaとを同時添加した場合の作用効果につい
て試験結果に基づいて説明する。
【0011】VOD炉で20%Cr−5%Alステンレス鋼を
溶製して取鍋に受け、その溶鋼中にFe−Y(35 %) 合金
単独またはFe−Y(35 %) 合金と金属Caとの混合物を前
述のケージ添加法で浸漬添加して、溶鋼中にYを0.02重
量%含有させた。その後取鍋内の溶鋼をタンディッシ
ュ、浸漬ノズルを介して連続鋳造し、鋳造時の鋳造速度
の変化を調査した。この時、タンディッシュ内の溶鋼ヘ
ッドは一定に保持して連続鋳造を行ったので、浸漬ノズ
ルにノズル詰まりが発生すると、鋳造速度が低下するこ
とになる。
【0012】図1に、20%Cr−5%Al−0.02%Y含有ス
テンレス溶鋼中のCa含有量と連続鋳造初期および末期の
鋳造速度との関係を整理して示した。この図に示すよう
に、溶鋼中のCa含有量が 30ppmより少ない場合には、連
続鋳造末期の鋳造速度が大幅に低下しており、浸漬ノズ
ルにノズル詰まりが発生していることが明らかである。
これに対してCa含有量 30ppm以上の領域では、連続鋳造
初期と末期との鋳造速度の差はほとんどなく、ノズル詰
まりの発生傾向は全く認められない。
【0013】上記のようにCaによってノズル詰まりが防
止できる理由は、溶鋼中にYと 30ppm 以上のCaが共存
することにより CaO− Al2O3−Y2O3三元系の複合脱酸生
成物( 融体 )が生成し、これが高融点のために固体状の
Y2O3、Al2O3 のような浸漬ノズル内で集積する酸化物が
生じないことによると考えられる。
【0014】図2は20%Cr−5%Alステンレス鋼にYを
単独で含有させた場合、およびYとCa30〜40ppm を共存
させた場合における耐酸化性を対比して示す図である。
なお、耐酸化性は1150℃の空気雰囲気中で90時間の高温
酸化を行った後の酸化増量で表した。同図に示すよう
に、Yを含まない20%Cr−5%Alステンレス鋼は異常酸
化が生じているが、Yを0.01%以上含有させることによ
り、従来から知られているように耐酸化性が向上する。
一方、本発明法を実施してCaを 30ppm以上含有させても
耐酸化性が劣化することはなく、優れた耐酸化性が維持
されている。
【0015】以下実施例により本発明法を具体的に説明
する。
【0016】
【実施例1】表1に示す組成のステンレス溶鋼をVOD
炉で溶製して取鍋に出鋼した。つぎに前述したケージ添
加法でFe−Y(35重量%) 合金とFe−Ca合金 (Ca分32
%) との混合物を溶鋼中に同時に浸漬添加した。その後
取鍋内の溶鋼をタンディッシュに受鋼し、浸漬ノズルを
介して鋳型内に注湯し、連続鋳造を行って、表2に示す
組成のY、Ca含有20%Cr−5%Alステンレス鋼を製造し
た。
【0017】比較例1はケージ添加に際し、Fe−Y(35
重量%) 合金を単独で添加したものである。表3にFe−
Y合金、Fe−Ca合金のCa換算添加量とYの添加歩留およ
びその標準偏差を示す。
【0018】表3に示すように、Yは酸化されやすいた
め添加歩留りは低い。しかし、実施例1は比較例1に比
べて、添加歩留の標準偏差は半減している。このように
歩留が安定するためYの成分調整が容易になる。添加歩
留のばらつきは、添加前の溶鋼中酸素のばらつきに起因
すると考えられる。本発明法でYの添加歩留が安定する
理由は、まずCaが融解(839 ℃) 、蒸発(1480 ℃) して
脱酸するため、初期酸素の変動が緩和され、その後Yが
融解(1520 ℃) し、溶鋼中に残存するCa、溶鋼中のAlと
の複合脱酸が起こることによると考えられる。
【0019】表4に浸漬ノズルのノズル詰まりの発生状
況とチャージ当たりの連続鋳造所要時間とを示す。同表
に示すように、実施例1ではノズル詰まりの発生は認め
られず、チャージ当たりの連続鋳造所要時間は比較例1
に比べて約40%短縮され、生産性が向上した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【実施例2】VOD炉で溶製した低炭素18−8ステンレ
ス溶鋼を取鍋に出鋼し、その後取鍋内の溶鋼をタンディ
ッシュに受鋼し、浸漬ノズルを介して連続鋳造を行っ
た。連続鋳造時に取鍋からの出鋼流直下のタンディッシ
ュ内溶鋼中に、鉄被覆を施したY(60重量%) −Ca(40
重量%) 合金ワイヤーを鋳造速度に応じた供給速度で送
線して浸漬添加し、表5に示す組成のY−Ca含有18−8
ステンレス鋼を製造した。Y−Ca合金の添加量は 1.2 k
g/溶鋼トンである。
【0025】比較例2では、Y(90重量%) −Ca(10 重
量%) 合金ワイヤーを実施例2と同じ添加量で浸漬添加
し、表5に示す組成のY−Ca含有18−8ステンレス鋼を
製造した。
【0026】表6に連続鋳造初期および末期における鋳
造速度とチャージ当たり連続鋳造所要時間とを示す。
【0027】表5に示すように、実施例2と比較例2は
Y−Ca合金の添加量を等しくしたが、実施例2はY−Ca
合金のCa含有量を高めたので、製造鋼中のCa含有量は 3
0ppm以上が得られている。一方、比較例2はCa含有量5
ppm である。
【0028】表6に示すように、実施例2では連続鋳造
中ほとんど一定の鋳造速度が維持され、浸漬ノズルの詰
まりの発生は認められない。これに対しCa含有量が少な
い比較例2ではノズル詰まりが発生し、連続鋳造所要時
間が大幅に延長し、生産性が低下した。実施例2でノズ
ル詰まりが防止される理由は、溶鋼中に融体のY2O3−Ca
O系複合脱酸生成物が生ずるためと考えられる。
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
【発明の効果】本発明方法によれば、ステンレス溶鋼中
に安定した添加歩留でYを添加することができ、Yの含
有量調整が容易になる。さらに、連続鋳造時に浸漬ノズ
ルのノズル詰まりを防止できるので、鋳造速度が一定と
なり、Y含有ステンレス鋼の生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】20%Cr−5%Al−0.02%Y含有ステンレス溶鋼
中のCa含有量と連続鋳造初期および末期の鋳造速度との
関係を示す図である。
【図2】20%Cr−5%Alステンレス鋼にYを単独で含有
させた場合、およびYとCa30〜40ppm を共存させた場合
とにおける耐酸化性を対比して示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 33/06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製鋼炉から出鋼されたCrを11重量%以上含
    有するステンレス溶鋼にイットリウムを添加する工程に
    おいて、取鍋またはタンディッシュ内の上記ステンレス
    溶鋼の内部に、イットリウムとCaを同時に添加し、溶鋼
    中にイットリウムを0.01重量%以上含有させるとともに
    Caを30ppm 以上含有させることを特徴とするステンレス
    溶鋼へのイットリウムの添加方法。
JP34644991A 1991-12-27 1991-12-27 ステンレス溶鋼へのイットリウムの添加方法 Pending JPH05320734A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4869439A (en) * 1987-07-03 1989-09-26 Kabushiki Kaisha Tokai-Rika Denki-Seisakusho Seat belt system

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4869439A (en) * 1987-07-03 1989-09-26 Kabushiki Kaisha Tokai-Rika Denki-Seisakusho Seat belt system

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