JPH05320196A - ヒトカルシトニン重合蛋白質 - Google Patents

ヒトカルシトニン重合蛋白質

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JPH05320196A
JPH05320196A JP4172111A JP17211192A JPH05320196A JP H05320196 A JPH05320196 A JP H05320196A JP 4172111 A JP4172111 A JP 4172111A JP 17211192 A JP17211192 A JP 17211192A JP H05320196 A JPH05320196 A JP H05320196A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、アミド化を行なえるような構造を有
するヒトカルシトニン前駆体の繰り返し配列を有する巨
大分子の蛋白質をコ−ドし、かつ、その巨大分子の蛋白
質をプロテア−ゼ処理することにより最終的に該ヒトカ
ルシトニン前駆体を得られるように、該巨大分子蛋白質
をコ−ドするタンデム・リピ−ト型遺伝子を設計し、該
巨大分子蛋白質、該巨大分子蛋白質をコ−ドするタンデ
ム・リピ−ト型遺伝子等を提供するものである。 【効果】本発明を利用することにより、従来の遺伝子操
作法に比較して数倍〜数十倍のヒトカルシトニンを一時
に生産することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトカルシトニンを製
造するためのヒトカルシトニン重合蛋白質、該蛋白質を
コ−ドするDNA に関する。
【0002】
【従来の技術】カルシトニンは血清中のカルシウムイオ
ン濃度を低下させる作用を有しており、骨粗鬆症、骨ペ
−ジェット病、高カルシウム血症等の治療薬として有用
である(バイオインダストリ−、第6巻、778頁、(1
989))。カルシトニンは32個のアミノ酸から成り、C
末端のPro 残基のカルボキシル基がアミド化されている
ペプチドホルモンである。従来、ヒト、サケ、ウナギ、
ニワトリ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ラット由来のものが知
られているが、その分子構造を比較すると、アミノ酸組
成において動物種間で相互に差がある。ヒト以外の異種
動物由来のカルシトニンを上述の治療薬として使用する
場合には、異種蛋白質としての抗原性を示す恐れがあ
り、患者への再度の投与はアナフィラキシ−・ショック
を起こす危険性がある。従って、治療薬として用いられ
るカルシトニンはヒト型が好ましい。カルシトニンは哺
乳動物の甲状腺で産生されるが(藤田拓男、折茂肇:カ
ルシトニン、ライフサイエンス出版、(1984))、その生
産量は微量であるため、天然型のヒトカルシトニンを組
織より大量に採取することは不可能である。
【0003】この点を克服し、相当量のヒトカルシトニ
ンを得るための方法として、(1) 化学合成法による生産
(R.Neher et al: Helvetica Chimica Acta. 51,1900,
(1986))、(2) 遺伝子操作による組換え型ヒトカルシト
ニンの生産 (特開昭58-501121 号、特開昭58-203953
号、特開平1-10999 号)の報告例がある。
【0004】特に(2) の方法は、目的物を大量に採取
し、生産上のコストを下げることを可能にした。
【0005】一方、遺伝子操作の分野において、同一の
ペプチドの収量を飛躍的に増大せしめる方法が開拓され
た。
【0006】すなわち、通常は、ペプチドホルモンを遺
伝子操作の技術により生産させる場合、そのアミノ酸配
列をコ−ドする遺伝子一つを好適な発現ベクタ−に挿入
し、これを用いて形質転換させた宿主を培養することに
より目的物質を発現せしめて採取する方法が採られてい
る。この方法において、分子量が小さいペプチドホルモ
ンの場合は、安定な状態で発現させるために、他の蛋白
質と融合させた融合蛋白質として得るように構築した発
現ベクタ−により宿主を形質転換させ、発現させた融合
蛋白質より目的のペプチドを得る方法が通常用いられ
る。そして、目的ペプチドの生産量の増大は、効率良く
発現しうる宿主−ベクタ−系を選択するか、形質転換さ
せた宿主の量を増加させるための適切な培養条件を選択
するか、または、得られた融合蛋白質よりいかに効率よ
く目的ペプチドを切断するかに依存する。
【0007】しかしながら、得られた融合蛋白質におい
て、目的ペプチドの分子量としての占める割合が小さい
場合は、目的ペプチドを高い収量で得ることができな
い。
【0008】そこで、融合蛋白質内での目的ペプチドの
占める割合を増大させるために、目的ペプチドをコ−ド
する遺伝子を複数個結合させたもの(以下、「タンデム
・リピ−ト型遺伝子」という。)を挿入した発現ベクタ
−を構築し、これを用いて形質転換させた宿主を培養す
ることにより、多量の目的ペプチドを発現採取する方法
が報告された(Shen : Proc.Natl. Acad. Scie. U.S.A.
81, 4627, (1984) )。この方法により、発現ベクタ−
に挿入された目的ペプチドをコ−ドする遺伝子の個数に
対応した量だけの目的ペプチドを発現させることが可能
になり、従来の1個の遺伝子を挿入した発現ベクタ−を
使用する場合に比較して、数倍の生産量を確保できるよ
うになった。
【0009】ヒトカルシトニンを遺伝子操作により生産
する場合にも、上述のタンデム・リピ−ト型遺伝子を挿
入した発現ベクタ−を構築し、宿主を形質転換させるこ
とにより、従来に比較して更に大量のヒトカルシトニン
を生産せしめることが可能になる。
【0010】ヒトカルシトニンの8位のMet 残基をVal
残基に変換したヒトカルシトニンについては、タンデム
・リピ−ト型遺伝子にて発現させた報告例がある(I.Iv
anovet al: Biotechnol. Appl. Biochem. 11, 401,(198
9)) 。しかし、現在まで、天然型と同じアミノ酸配列を
有する組換え型ヒトカルシトニンに関して、タンデム・
リピ−ト型遺伝子を挿入した発現ベクタ−によるヒトカ
ルシトニンの製造に成功した例はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、(1) カルシ
トニンは、C末端アミノ酸のPro 残基のカルボキシル基
がアミド化されており、この酸アミドはカルシトニンの
生理活性発現に必須である。遺伝子操作によりC末端ア
ミドを持つペプチドを得る場合、ペプチド鎖が合成され
た後に人為的にC末端カルボキシル基のアミド化反応を
行わねばならず、従って、組換え体としては、アミド化
を行えるような構造を有するヒトカルシトニン前駆体と
して生産する必要がある。具体的には、ヒトカルシトニ
ンのC末端のPro 残基に一つ以上のアミノ酸が結合した
ヒトカルシトニン前駆体(以下、「前駆体ペプチド」と
いう。)を一単位としたペプチドを最終的に得るよう
に、タンデム・リピ−ト型遺伝子を設計する必要がある
こと、(2) タンデム・リピ−ト型遺伝子により翻訳され
る蛋白質はアミノ酸の繰返し配列を有する巨大分子の蛋
白質として得られる。このものにプロテア−ゼによる加
水分解処理を行うことにより、最終的に上記の一単位の
前駆体ペプチドが得られるようタンデム・リピ−ト型遺
伝子を設計する必要があり、且つ、該プロテア−ゼは、
ヒトカルシトニン自体を切断しないものを選択する必要
があること、(3) タンデム・リピ−ト型遺伝子は、前駆
体ペプチドをコ−ドする遺伝子を複数個連結させたもの
であり、この連結においては、通常の遺伝子操作で用い
られる手法を採らざるをえず、かかる手法により、上記
(1) (2) の必要性を満足しなければならないこと等の問
題点があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するタンデム・リピ−ト型遺伝子を構築し、本
発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は、(1) タンデム・リピ
−ト型遺伝子でコ−ドされる蛋白質であって、 一般式(I): (N) −α−δ−X−[ δ−β−δ−X]n−δ−γ−(C) (I) (式中、Xは、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸
配列のうち、アミノ酸番号1〜33までのアミノ酸配列
から成るペプチド、α、β及びγは以下の[(i )〜
(iii )]の条件を同時に満たす同一または異なった一
つまたは二つ以上のアミノ酸残基[(i )式中の−α−
δをコ−ドするDNA 配列中に、制限酵素の認識配列が存
在し、(ii)式中のδ−γ−をコ−ドするDNA 配列中
に、制限酵素の認識配列が存在し、その配列は(i )に
示す認識配列とは異なり、(iii )式中のβをコ−ドす
るDNA 配列は、式中の−α−δ及びδ−γ−をコ−ドす
るDNA 配列を、各々対応する制限酵素で切断後、連結し
たものである。]、δはArg 残基又はGlu 残基、nは1
から20までの整数、(N) はN末端、(C) はC末端を示
す。)で表されるヒトカルシトニン重合蛋白質、(2) 上
記(1) 項記載のヒトカルシトニン重合蛋白質をコ−ドす
るDNA 、から構成される。
【0014】本発明の一つの態様は、タンデム・リピ−
ト型遺伝子でコ−ドされる蛋白質であって、 一般式(I): (N) −α−δ−X−[ δ−β−δ−X]n−δ−γ−(C) (I) (式中、Xは、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸
配列のうち、アミノ酸番号1〜33までのアミノ酸配列
から成るペプチド、α、β及びγは以下の[(i )〜
(iii )]の条件を同時に満たす同一または異なった一
つまたは二つ以上のアミノ酸残基[(i )式中の−α−
δをコ−ドするDNA 配列中に、制限酵素の認識配列が存
在し、(ii)式中のδ−γ−をコ−ドするDNA 配列中
に、制限酵素の認識配列が存在し、その配列は(i )に
示す認識配列とは異なり、(iii )式中のβをコ−ドす
るDNA 配列は、式中の−α−δ及びδ−γ−をコ−ドす
るDNA 配列を、各々対応する制限酵素で切断後、連結し
たものである。]、δはArg 残基又はGlu 残基、nは1
から20までの整数、(N) はN末端、(C) はC末端を示
す。)で表されるヒトカルシトニン重合蛋白質である。
【0015】ヒトカルシトニンは配列番号1に示される
アミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜32までのアミ
ノ酸配列で、そのC末端のPro 残基のカルボキシル基が
アミド化されたものである。しかし、大腸菌などの微生
物で生産させた場合、細胞中ではC末端アミド化反応は
行われない。そこで、ヒトカルシトニンのC末端に1つ
以上のアミノ酸を付加した前駆体として生産させたあ
と、アミド化を行う必要がある。この前駆体を得るため
に、上述のタンデム・リピ−ト型遺伝子を用いる。
【0016】タンデム・リピ−ト型遺伝子を用いて発現
させた重合蛋白質から、1単位のヒトカルシトニン前駆
体を切り出すためのプロテア−ゼの切断部位はヒトカル
シトニンのアミノ酸配列中に存在しないものに限定され
る。本発明においては、Arg残基又はGlu 残基が好まし
く(一般式(I)中のδ)、これに対応するプロテア−
ゼとして、Arg 残基については、クロストリパイン、ト
リプシン、マウス顎下腺プロテア−ゼ、トロンビン、カ
リクレイン、プラスミン、カテプシンB1 又は微生物の
トリプシン様酵素( `The Enzymes' ed. by P.D.Baye
r, AcademicPress, New York, 3, 721, (1971) )等、G
lu 残基については、V8プロテア−ゼ又はウニの孵化酵
素等が用いられるが、好適には、クロストリパインもし
くはトリプシン又はV8プロテア−ゼが用いられる。
【0017】また、ヒトカルシトニンのアミノ酸配列の
C末端のPro 残基に隣接したアミノ酸(配列表の配列番
号1に示されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号33
のアミノ酸)としてはカルボキシペプチダ−ゼYによる
アミド化にはLeu 残基、Ile残基、Val 残基、Phe 残基
又はAla 残基が用いられるが、好適にはLeu 残基が用い
られる。一方、ペプチジルグリシンαアミデイティング
モノオキシゲナ−ゼによるアミド化にはGly 残基が適し
ている。
【0018】以上のことを考慮し、本発明者らは、配列
表の配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち、アミノ
酸番号1〜34から成るペプチド(一般式(I)におけ
るX−δ)を、重合蛋白質から切り出す1単位の前駆体
ペプチドとして選んだ。
【0019】また、重合蛋白質より1単位の前駆体ペプ
チドを切り出すためには、重合蛋白質のアミノ酸配列中
で、該前駆体ペプチドのアミノ酸配列のN末端側に、Ar
g 残基或いはGlu 残基が隣接して付加されていなくては
成らない。
【0020】上記の前駆体ペプチドのN末端側にArg 残
基又はGlu 残基が隣接したペプチドをコ−ドする遺伝子
を、重合蛋白質を発現させるためのタンデム・リピ−ト
型遺伝子を構築するための1単位とするためには、該遺
伝子中のArg 残基又はGlu 残基をコ−ドする領域を含む
上流域又は下流域(式中(I)の−α−δ又はδ−γ−
をコ−ドする領域)に制限酵素による認識配列を存在せ
しめる必要がある。ここで選ばれる制限酵素による認識
配列としては、上流域と下流域とでは異なる配列で、且
つ、同一の突出末端を生じるものが好ましく、BamHI と
Bgl IIあるいは、SalIとAvaIなどの組み合わせが良い。
また、突出末端ではなく、平滑末端を生じるものでも可
能である。さらに、同一の突出末端を生じなくとも、T4
ポリメラ−ゼ等により末端平滑化できるものであれば良
い。
【0021】一般式(I)中のβをコ−ドするDNA 配列
は、式中の−α−δ及びδ−γ−をコ−ドするDNA 配列
を、各々対応する制限酵素で切断後、連結したものであ
る。この場合、得られるタンデム・リピ−ト型遺伝子
を、上流から翻訳させた場合に、アミノ酸へのリ−ディ
ング・フレ−ムがずれないように上記制限酵素認識配列
を存在させるのが好ましいが、リ−ディング・フレ−ム
がずれる場合には、サイトダイレクトミュ−タジェネシ
ス法などを用いて、連結後、リ−ディング・フレ−ムを
合せることも可能である。
【0022】本発明の他の一つの態様は、ヒトカルシト
ニン重合蛋白質をコ−ドするDNA 配列に関する。このよ
うなDNA 配列としては、一般式(I)をコ−ドするDNA
配列を全て含む。具体的な例としては、配列表の配列番
号2に示されるヌクレオチド配列のうち、ヌクレオチド
番号1〜234に示されるDNA 配列(一般式(I)にお
いてn=1 のペプチドをコ−ドするDNA 配列)が挙げられ
るが、本発明はこれに限定されない。
【0023】以下に、タンデム・リピ−ト型遺伝子の構
築方法について説明する。タンデム・リピ−ト型遺伝子
を構築するための基本となる遺伝子(一般式(I)にお
いて、n=0 の時のアミノ酸配列をコ−ドするDNA 配列:
以下、「基本遺伝子I」という。) を得る方法として
は、臓器よりmRNAを抽出して作成したcDNA又はジェノミ
ックDNA を用いて遺伝子操作技術によって作成する方法
あるいは化学合成法があるが、化学合成法が最も適して
いる。
【0024】化学合成法による場合、そのDNA 配列の設
計に際しては、発現させる宿主のコドン使用頻度及び、
二次構造を考慮しなければならない。配列表の配列番号
3に示されるヌクレオチド配列のうち、ヌクレオチド番
号1〜120に大腸菌で発現させる場合の基本遺伝子I
のDNA 配列の一例を示す。このDNA 配列においては、配
列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち、アミ
ノ酸番号33で示されるアミノ酸残基がLeu 残基で、一
般式(I)におけるδがArg 残基であるように設計され
ており、更にその遺伝子の上流域と下流域には、タンデ
ム・リピ−ト型遺伝子を構築するために各々、BamHI と
Bgl IIによる切断部位を設けてある。また、基本遺伝子
Iより下流( 配列表の配列番号3に示されるヌクレオチ
ド配列のうち、ヌクレオチド番号121〜130)に
は、翻訳終止コドンを設けてあり、さらにその下流には
発現ベクタ−への挿入を容易にするために、SalIによる
切断部位を付加している。但し、このSalIによる切断部
位は必須のものではない。
【0025】上記遺伝子の合成法の一例を以下に記載す
る。先ず、配列表の配列番号4〜9で示される6種のポ
リヌクレオチド断片をDNA 合成機(例えば、Applied Bi
osystems社のModel 380B型)を用いて合成する。次に、
配列表の配列番号4と5、6と7、8と9で示されるポ
リヌクレオチドの組み合わせでアニ−リングしたあと、
得られた3つの断片をライゲ−ションし、基本遺伝子I
の下流に翻訳終止コドンとSalI切断部位を有する遺伝子
( 以後、「 基本遺伝子II」 という。) を得ることができ
る。
【0026】次に、得られた基本遺伝子IIを、例えば大
腸菌のプラスミドpUC 18のBamHI とSalIの間に挿入し、
このプラスミドを、例えば、大腸菌JM 109株に導入す
る。宿主細胞の形質転換は、例えば宿主細胞が大腸菌の
場合にはHanahan の方法(Hanahan,D.: J.Mol.Biol.16
6,557,(1983) ) 、すなわちCaCl2 やMgCl2 またはRbCl
を共存させて調製したコンピテント細胞に該組換えDNA
体を加える方法により実施することができる。なお、ベ
クタ−としてはプラスミド以外にもラムダ系のファ−ジ
ベクタ−も用いることができる。
【0027】上記により得られる形質転換株より、目的
の遺伝子断片が挿入されたものを選び、合成された遺伝
子のDNA の配列決定を、マキサム- ギルバ−トの化学修
飾法(Maxam,A.M.and Gilbert,W.:"Methods in Enzymol
ogy" 65,499,(1980)) や M13ファ−ジを用いるジデオキ
シヌクレオチド鎖終結法(Messing,J.and Vieira,J.:Ge
ne 19,269,(1982)) 等により確認できる。
【0028】ここで、DNA の配列決定が行われた基本遺
伝子IIを用いて、タンデム・リピ−ト型遺伝子を構築す
ることができる。このフロ−チャ−トを図1に示す。
【0029】まず、pUC 18のBamHI-SalI間に基本遺伝子
IIを挿入したプラスミド(図1、a)をBglII およびSa
lIで切断する。切断後、BglII -SalI 間に、基本遺伝子
IIを挿入すると、前駆体ペプチドをコ−ドする遺伝子
が、前駆体ペプチド間をつなぐペプチド( 以下、「 リン
カ−ペプチド」 という。) に対応するヌクレオチド配列
(以下、「DNA リンカ−」という。)を介して二つ連結
されたものを得ることができる(図1、b)。
【0030】この場合、BamHI 切断部位とBglII 切断部
位とで連結された部位(図1、b:(Ba/Bg):AGATCC )
は、BamHI(GGATCC) およびBglII (AGATCT)の認識配列と
は異なり、両酵素により切断されない。また、ここで得
られるタンデム・リピ−ト型遺伝子は、上流から翻訳さ
れる場合に、アミノ酸へのリ−ディング・フレ−ムがず
れないように上記制限酵素認識配列が付加されている。
【0031】次に、図1、bのプラスミドをBglII およ
びSalIで切断する。切断後、BglII-SalI 間に、基本遺
伝子IIを挿入することにより、3つの前駆体ペプチドを
コ−ドする遺伝子が連結されたタンデム・リピ−ト型遺
伝子を得ることができる。このような操作を順次行うこ
とにより、複数個の前駆体ペプチドをコ−ドする遺伝子
が連結されたタンデム・リピ−ト型遺伝子を得ることが
できる。
【0032】構築方法の別法として、挿入する基本遺伝
子IIの代わりに、既に作成したタンデム・リピ−ト型遺
伝子を用いることができる。例えば、図1、bのプラス
ミドより、タンデム・リピ−ト型遺伝子を含むBamHI-Sa
lI断片を抽出し、この断片を、図1、bのプラスミドの
BglII -SalI 間に挿入することにより、4つの前駆体ペ
プチドをコ−ドする遺伝子が連結されたタンデム・リピ
−ト型遺伝子を得ることができる(図1,c)。
【0033】以上のような方法を適宜組み合わせること
により、複数個の前駆体ペプチドをコ−ドする遺伝子が
連結されたタンデム・リピ−ト型遺伝子の構築が実施さ
れる。
【0034】このように構築されたタンデム・リピ−ト
型遺伝子は、宿主を形質転換させるのに好適なベクタ−
DNA に挿入することにより、他の原核生物または真核生
物の宿主細胞を形質転換させることができる。さらに、
これらのベクタ−に適当なプロモ−タ−および形質発現
にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主
細胞においてタンデム・リピ−ト型遺伝子を発現させる
ことができる。
【0035】原核生物の宿主としては、例えば大腸菌や
枯草菌等が挙げられる。大腸菌のベクタ−としては一般
にpBR322やpUC 系のプラスミドがよく用いられるが、こ
れに限定されない。また、枯草菌のベクタ−としてはpT
UB228 (Ohmura,K.et al: J.Biochem.95, 87, (1984))
等が用いられるが、これに限定されない。
【0036】真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆
虫、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物としては、例え
ば、サルの細胞であるCOS 細胞(Gluzman,Y.: Cell 23,
175,(1981)) やチャイニ−ズ・ハムスタ−卵巣細胞(CH
O) のジヒドロ葉酸レダクタ−ゼ欠損株(Urlaub,G. and
Chasin,L.A.: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 77, 4216,
(1980)) 等が良く用いられているが、これに限定されな
い。
【0037】本発明の一部は、タンデム・リピ−ト型遺
伝子を宿主細胞に導入し、該遺伝子を発現させ、重合蛋
白質を得ることにある。形質転換体の培養の好ましい操
作、条件は発現させる宿主−ベクタ−系の種類に応じて
選択される。
【0038】該タンデム・リピ−ト型遺伝子をシグナル
配列を含む遺伝子に連結させて発現させる場合、宿主と
して動物細胞または枯草菌、酵母、糸状菌等を用いる
と、生成した重合蛋白質は細胞外に分泌されて、培養ろ
液中に蓄積される。また、大腸菌を用いた場合には、ペ
リプラズム画分或いは培養ろ液中に蓄積される。
【0039】一方、シグナル配列を持たない遺伝子と連
結させた場合、生成した重合蛋白質は多くの場合、不溶
性の蛋白質成分として、その細胞内にインクル−ジョン
・ボディ−(封入体)を形成する。従って、この場合、
目的物を採取するためには、培養液を遠心分離後、その
沈殿画分の菌体を集め、破砕する必要がある。菌体破砕
の方法としては、超音波処理、リゾチウム処理または凍
結融解処理等を採用することができる。
【0040】大腸菌で発現させた場合を例に挙げて、重
合蛋白質の調製法を説明する。
【0041】上述したプラスミド(図1)は、タンデム
・リピ−ト型遺伝子が大腸菌のプラスミドpUC 18に挿入
されており、pUC 18のlac プロモ−タ−支配下のlacZ遺
伝子に、リ−ディング・フレ−ムが合うように連結され
ている。このプラスミドをpUCal m (m:前駆体ペプチド
をコ−ドする遺伝子の数を表す)と命名する。pUCalm
を用いて、大腸菌YA21株を形質転換し、形質転換株YA21
/pUCal m を得る。得られた形質転換株を、2 x YT培地
(16 g トリプトン、10 g イ−ストエキストラクト、
5 g 塩化ナトリウムをそれぞれ1 l の溶液に含む)にア
ンピシリン25μg/ml添加したものを用いて、37℃、8時
間振とう培養した後、同培地(アンピシリン25μg/ml添
加)に0.5%植菌し、37℃、16時間振とう培養する。この
時、目的とする重合蛋白質は、菌体内で、インクル−ジ
ョン・ボディ−として蓄積される。
【0042】次に、培養液から遠心分離により、菌体を
集め、適当な緩衝液で洗浄後、超音波処理により、菌体
を破砕する。重合蛋白質は、不溶成分として存在してい
るので、菌体破砕物を遠心分離後、沈殿画分を回収し、
トライトンX-100などの界面活性剤を含む緩衝液で洗浄
する。再度遠心分離することにより、不純物は上清画分
に移り、沈殿画分に、目的とする重合蛋白質を得ること
ができる。この時、重合蛋白質はβ−ガラクトシダ−ゼ
の部分ペプチド鎖がそのN末端に結合した融合蛋白質と
して得られる。
【0043】本発明の他の一つの態様は、該重合蛋白質
より、前駆体ペプチドを得ることにあり、該重合蛋白質
をプロテア−ゼにより、切断することにより、達成され
る。シグナル配列を持たない遺伝子にタンデム・リピ−
ト型遺伝子を連結して発現させた場合、重合蛋白質は多
くの場合、不溶性の蛋白質成分として生成される。この
場合、培養後、調製してきた重合蛋白質をプロテア−ゼ
により切断するとき、蛋白質可溶化剤を加えることによ
り、可溶化するのが好ましい。蛋白質可溶化剤として
は、塩酸グアニジン、尿素などが採用されるが、特に、
尿素が好適である。
【0044】また、シグナル配列を持つ遺伝子にタンデ
ム・リピ−ト型遺伝子を連結して発現させた場合は、可
溶性であるので、蛋白質可溶化剤を加える必要はない。
【0045】調製した重合蛋白質のプロテア−ゼによる
切断は、一般式(I)中のδで示されるアミノ酸残基を
Arg 残基とした場合には、用いられるプロテア−ゼとし
ては、クロストリパインが採用される。また、一般式
(I)中のδで示されるアミノ酸残基をGlu 残基とした
場合には、用いられるプロテア−ゼとしては、V8プロテ
ア−ゼが採用される。
【0046】具体的な例として、前述のプラスミドpUCa
l m を発現ベクタ−とし、宿主を大腸菌YA21株とし
て、重合蛋白質を発現させ、調製してきたときのプロテ
ア−ゼによる切断について説明する。
【0047】形質転換株YA21/pUCal m を前述のように
培養し、重合蛋白質を調製すると、不溶成分として調製
されるので、尿素を加えて、これを可溶化する。つい
で、クロストリパインによる切断を行うために、尿素の
濃度を下げる。クロストリパインは、蛋白質中のArg 残
基のカルボキシル基側のみのペプチド結合を切断するプ
ロテア−ゼであるので、本発明の切断反応には好適であ
る。前記の重合蛋白質を含む尿素希釈溶液に、活性型ク
ロストリパインを添加し、pH8.0 付近、37℃、2〜4時
間の条件で切断反応を行うことにより、切断反応が行え
る。
【0048】上記のように、重合蛋白質を切断して得ら
れる前駆体ペプチドは、反応溶液をイオン交換カラムク
ロマトグラフィ−、ゲルろ過カラムクロマトグラフィ−
等を用いて分離精製することできるが、逆相系カラムク
ロマトグラフィ−を用いるのが最適である。
【0049】最終的に、以上のようにして得られる前駆
体ペプチドより、天然型と同一の構造を有するヒトカル
シトニン(C末端のPro 残基がアミド化されたもの)を
得ることができる。
【0050】この方法としては、前駆体ペプチドのC末
端(一般式(I)中のδで示されるアミノ酸残基)がAr
g 残基の場合には、pH 8付近、37℃、1〜2時間の条件
のもとで、カルボキシペプチダ−ゼBを作用させること
により、Arg 残基の除去を行う。このようにして得られ
た反応溶液について、前述と同様なカラムクロマトグラ
フィ−操作を行うことにより、配列表の配列番号1に示
されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜33のア
ミノ酸配列からなるペプチドを得ることができる。
【0051】次に、上記のようにして得たペプチドを、
カルボキシペプチダ−ゼYを用い、(特開昭62-29997
号)、C末端のアミド化を行うことにより、天然型と同
一の構造を有するヒトカルシトニンが得られる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、これに限定されない。
【0053】実施例1.基本遺伝子IIの化学合成 宿主を大腸菌とした場合の基本遺伝子IIの設計にあたっ
ては、ヒトカルシトニンのアミノ酸配列に基づき、大腸
菌のコドン使用頻度(Sharp,P.M. et al.:Nucleic Aci
ds Res. 16, 8207,(1988))及び、二次構造を考慮にい
れた。前駆体ペプチドをコ−ドする遺伝子の上流域及び
下流域には、該遺伝子を重合せしめるために必要な制限
酵素(BamHI及びBglII )による認識配列を付加した。更
にその下流には発現プラスミドへの挿入を考慮し、制限
酵素(SalI)による認識配列を付加した。配列表の配列番
号3に示されるヌクレオチド配列のうち、ヌクレオチド
番号1〜130にそのDNA 配列を示した。
【0054】基本遺伝子IIの全合成は、配列表の配列番
号4〜9に示す39から43塩基の長さよりなる6種のポリ
ヌクレオチド(以下、それぞれを「F1」「F2」「F3」
「F4」「F5」 「F6」という。)をApplied Biosystems社
のModel 380B DNA合成機を用いて行った。合成後、各ポ
リヌクレオチドは、尿素を含む10%ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動にて精製を行った。アニ−リングおよび T
4 DNA リガ−ゼによるポリヌクレオチドの連結反応は、
池原らの方法に従った(Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A.
81, 5956 (1984) )。
【0055】精製したポリヌクレオチドはF2からF5の5'
末端をリン酸化し、F1とF2、F3とF4、F5とF6の組み合わ
せでアニ−ルしたのちに、T4 DNAリガ−ゼによって連結
して、基本遺伝子IIを得た。
【0056】実施例2.大腸菌におけるヒトカルシトニ
ン重合蛋白質発現プラスミドの構築 図1にヒトカルシトニン重合蛋白質発現プラスミドの構
築の模様を示す。
【0057】実施例1で得た基本遺伝子IIの5'末端をリ
ン酸化したものを、発現ベクタ−pUC 18のBamHI とSalI
の間に挿入し、pUCal 1 (図1、a)を得た。挿入され
た遺伝子断片はジデオキシヌクレオチド鎖終結法によ
り、そのDNA の配列を確認した。
【0058】次に、pUCal 1 のBglII とSalI の間に、
基本遺伝子IIの5'末端をリン酸化したものを挿入して、
pUCal 2 (図1、b)を得た。ここで用いたBamHI とBg
lIIは同一の突出末端を有しており、連結可能であると
共に、その連結部位はBamHI及びBglII の両者によって
再切断はされない。
【0059】次に、pUCal 2 をBamHI とSalIで切断し、
6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、その小断片
をゲルより抽出した。また、これとは別に、pUCal 2 を
BglII とSalI で切断し、1%アガロ−スゲル電気泳動を
行い、その大断片をゲルより抽出した。ここで得た二つ
の断片を連結することにより、pUCal 4 (図1、c)を
得た。次に、同様に、pUCal 2 の BamHI-SalI 小断片
と、pUCal 4 のBglII -SalI 大断片を連結することによ
り、pUCal 6 を得た。この操作を上記の種々のプラスミ
ドの組み合わせで行うことにより、前駆体ペプチドをコ
−ドする遺伝子を複数個並べた発現プラスミドを得た。
【0060】実施例3.大腸菌での発現 先に得たpUCal 1 ,pUCal 2 ,pUCal 4 等のプラスミドは
pUC 18のlac プロモ−タ−支配下のlacZ遺伝子にリ−デ
ィング・フレ−ムが合うように連結されているので、こ
れらのプラスミドを宿主に導入することにより発現が可
能である。図2に、pUCal 4 で予想される重合蛋白質の
模式図を、また、配列表の配列番号10にpUCal 4 で発
現される重合蛋白質のアミノ酸配列を示した。
【0061】上記の種々の発現プラスミドで大腸菌YA21
株(F- λ-leu met relA)を常法により、形質転換した。
発現プラスミドを保持するYA21株をアンピシリン25μg/
mlを含む2 x YT培地(16 g トリプトン(Difco) 、10 g
イ−ストエキストラクト(Difco) 、5g 塩化ナトリウム
をそれぞれ1 l の溶液に含む) にて、37℃で 16 時間振
とう培養を行った。種々の発現プラスミドを保持するYA
21株の培養後の全菌体蛋白質について、13% ポリアクリ
ルアミドSDS ゲル電気泳動を行った。ここで多量に発現
している蛋白質が、前駆体ペプチドを含む重合蛋白質で
あることは、抗ヒトカルシトニン抗血清を用いたウエス
タン・ブロット法により確認した。
【0062】実施例4.重合蛋白質の調製 上記発現プラスミドを導入した大腸菌YA21株をアンピシ
リン25μg/mlを含む2 x YT培地にて、37℃で8 時間振と
う培養を行った後、アンピシリン25μg/mlを含む2 x YT
培地100ml に0.5%(v/v) 植菌し、37℃で16時間振とう培
養を行った。培養終了時、重合蛋白質はYA21株の菌体内
でインクル−ジョン・ボディ−を形成していた。
【0063】培養終了後、菌体を3000 x g 5分の遠心分
離により集め、20mlの緩衝液A(50mM Tris(hydroxymeth
yl)aminomethane, pH8.0 1mM EDTA, 50mM塩化ナトリウ
ム) に懸濁し、リゾチ−ム(シグマ社製)を1mg 加えて
5℃で20分間保温した。その後、超音波処理にて菌体を
破砕し、高速遠心分離(11000 x g, 20分) にて、インク
ル−ジョン・ボディ−を沈殿として得た。この沈殿画分
にはまだ菌体断片が多量に含まれているので、トライト
ンX-100を0.5%(v/v) 含む緩衝液Aで洗浄した。洗浄
後、遠心分離し、その沈殿画分を少量の20mM Tris(hydr
oxymethyl)aminomethane (pH8.1)に懸濁し、これを重合
蛋白質の粗調製液とした。
【0064】このようにして調製することにより、100m
l 培養あたり、pUCal 4 ,pUCal 6 ,pUCal 8 を保持する
YA21株で、各々2.2mg,4.8mg,3.4mg の重合蛋白質を得る
ことができた。
【0065】実施例5.ヒトカルシトニン重合蛋白質か
らの前駆体ペプチドの調製 (1) 重合蛋白質より前駆体ペプチドを得るために、重合
蛋白質のクロストリパインによる切断を行った。発現ベ
クタ−pUCal 6 を用いて大腸菌の培養により得られた重
合蛋白質の粗調製液、1.7ml(総蛋白質量:16.6mg,重合蛋
白質: 約30% 含有)に、 3.3ml の10M尿素、450 μl
の1M Tris(hydroxymethyl)aminomethane、150 μl のβ
−メルカプトエタノ−ルを加え、37℃、1時間放置し
た。ついで、5.0ml の20mM 硝酸カルシウムを加え、pH
7.8 に調製後、活性化クロストリパイン(シグマ社製 :
12.3 酵素単位)を加えて37℃、2時間反応させた。
【0066】反応は、800 μl のトリフルオロ酢酸を加
えることにより停止させ、得られた反応溶液を遠心分離
後、上清液を回収した。
【0067】目的物( 前駆体ペプチド) の精製は高速液
体クロマトグラフィ−により行った。100 μl の上記反
応上清液を20% アセトニトリルを含む0.1%トリフルオロ
酢酸で平衡化した TSKgel ODS-120T逆相系カラム(4.6
x 250mm )(東ソ−(株)製)に供与し、アセトニトリ
ルの直線濃度勾配法(20-30%(0-5分)、30-40%(5-15 分)、
40-50%(15-20分) )を用いて1.0ml / 分の流速で溶出
し、紫外部225nm で検出したところ、14.48 分(ピ−ク
I ),15.54 分(ピ−クII)に2つの主ピ−クが得られ
た。これらのピ−ク画分をそれぞれ分取し、得られた物
質について、Applied Biosystems社製プロテインシ−ケ
ンサ−470 A型を用いてアミノ酸配列分析を行ったとこ
ろ、ピ−クIIは配列表の配列番号10に示されるアミノ
酸配列のうち、アミノ酸番号16〜49のアミノ酸配列
から成るペプチドであった(以後、「hCT-Leu-Arg」とい
う) 。
【0068】またピ−クI は、配列表の配列番号10に
示されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号16〜53
のアミノ酸配列から成るペプチドで、即ち hCT-Leu-Arg
のC末端側に(N)-Ala・Asp・Pro・Arg-(C) のリンカ−ペプ
チドが付加したものであった。
【0069】クロストリパイン切断反応を更に長時間続
けると、ピ−クI が減少するとともに、ピ−クIIが増加
した。上記の高速液体クロマトグラフィ−をくりかえす
ことにより、ピ−クII物質(hCT-Leu-Arg) を採取した。
【0070】次に、ピ−クII物質(1.5mg )についてカ
ルボキシペプチダ−ゼB(シグマ社)を作用させ、C末
端Arg 残基の除去反応を行った。ピ−クII物質の溶解度
を増強させるため反応の前処理として、R.David Coleの
方法(C.H.Hirs :"Method inEnzymology" 11, 206(196
7))に従い、ジスルフィド結合の1 、7 位Cys 残基を可
逆的S−スルホン酸化反応を行った。反応物は、10mM重
炭酸アンモニウムで平衡化したTSKgel-ODS-120T 逆相系
カラム(4.6 x 250mm )(東ソ−(株)製)を用いた高
速液体クロマトグラフィ−に付した。アセトニトリルに
よる濃度直線勾配法(条件は、前述と同じ)を用いて1.
0ml / 分の流速で溶出し、紫外部225nm で検出すること
により 11.27 分にS−スルホン酸化目的物を認め、こ
れを分取した。分取液(1.3mg 前駆体ペプチドを含む)
に等量の蒸留水を加えた後、0.087酵素単位のカルボキ
シペプチダ−ゼBを加え37℃、30分反応させた。反応液
を上記と同一条件のもとで高速液体クロマトグラフィ−
に付したところ、10.37 分にピ−クが検出された。 分
取したピ−ク画分物質について、脱スルホン酸化反応を
行った後、アミノ酸配列分析を行ったところ、配列表の
配列番号10に示されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸
番号16〜48のアミノ酸配列から成るペプチド(以
後、「hCT-Leu」という。) であった。
【0071】さらに、C末端のArg 残基が除去されてい
ることを確認するために、Hitachi835 型アミノ酸自動
分析計によりアミノ酸組成分析を行った。その結果を表
1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】以上の結果から、このピ−ク物質が、hCT-
Leu-Arg のC末端Arg 残基が除去されたhCT-Leu である
ことを確認した。上記の高速液体クロマトグラフィ−を
繰り返すことにより、目的とするhCT-Leu を採取した。
【0074】実施例6.C末端アミド化反応 実施例5で得られたhCT-Leu より天然型と同一構造を有
するヒトカルシトニンを生成させるために、C末端アミ
ド化反応を行った。本反応は、基本的には特開昭62-299
97号記載の方法に従って実施された。
【0075】すなわち、50 μl のS−スルホン酸化hC
T-Leu 溶液(40% ジメチルスルホキシド溶液)に400 μ
l の5.68M アンモニア溶液(アンモニア水−塩酸、pH9.
5 )、50 μl カルボキシペプチダ−ゼY溶液(1.7mg/
ml) を加え、50℃、30分放置した。反応は、100 μl
蟻酸及び 1500 μl の8M尿素を加え停止させた。反応
溶液の210 μl を10mM重炭酸アンモニウムで平衡化した
TSKgel ODS-120T 逆相系カラム(7.8 x 300mm )(東ソ
−(株)製)に付した。アセトニトリルによる直線濃度
勾配法(0-10%(0-4 分)、10-55%(4-60 分)) を用いて
2.5 ml/ 分の流速で溶出し、紫外部225nm で検出したと
ころ、32.67 分のヒトカルシトニンの標準品と一致する
位置に主ピ−クが 53%の収率で得られた。ピ−ク画
分物質を採取し、脱スルホン酸化反応の後、アミノ酸組
成分析及びアミノ酸配列分析を行い、天然型と同一構造
を有するヒトカルシトニンであることを確認した。
【0076】
【発明の効果】本発明を利用することにより、従来の遺
伝子操作法に比較して数倍〜数十倍のヒトカルシトニン
を、一時に生産することが可能になる。
【0077】
【配列表】
配列番号;1 配列の長さ:34 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド ハイポセティカル配列:No 配列の特徴: 1-32 E mat peptide 33 E Gly、 Leu、 Ile、 Val、 Phe または Ala 34 E Arg または Glu 配列 Cys Gly Asn Leu Ser Thr Cys Met Leu Gly Thr Tyr Thr Gln Asp Phe 1 5 10 15 Asn Lys Phe His Thr Phe Pro Gln Thr Ala Ile Gly Val Gly Ala Pro 20 25 30 Xaa Xaa 配列番号:2 配列の長さ:234 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:No 配列の特徴: 2-232 E CDS 1- 6 E BamHI 認識部位 229-234 E BglII 認識部位 配列 G GAT CCG CGT TGC GGT AAT CTG TCT ACT TGC ATG CTG GGC ACT TAC 46 Asp Pro Arg Cys Gly Asn Leu Ser Thr Cys Met Leu Gly Thr Tyr 1 5 10 15 ACC CAG GAC TTC AAC AAA TTC CAC ACC TTC CCG CAG ACT GCA ATC GGC 94 Thr Gln Asp Phe Asn Lys Phe His Thr Phe Pro Gln Thr Ala Ile Gly 20 25 30 GTT GGA GCA CCG CTG CGT GCA GAT CCG CGT TGC GGT AAT CTG TCT ACT 142 Val Gly Ala Pro Leu Arg Ala Asp Pro Arg Cys Gly Asn Leu Ser Thr 35 40 45 TGC ATG CTG GGC ACT TAC ACC CAG GAC TTC AAC AAA TTC CAC ACC TTC 190 Cys Met Leu Gly Thr Tyr Thr Gln Asp Phe Asn Lys Phe His Thr Phe 50 55 60 CCG CAG ACT GCA ATC GGC GTT GGA GCA CCG CTG CGT GCA GAT 232 Pro Gln Thr Ala Ile Gly Val Gly Ala Pro Leu Arg Ala Asp 65 70 75 CT 234 配列番号:3 配列の長さ:130 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:No 配列の特徴: 2-124 E CDS 1- 6 E BamHI 認識部位 115-120 E BglII 認識部位 125-130 E SalI 認識部位 配列 G GAT CCG CGT TGC GGT AAT CTG TCT ACT TGC ATG CTG GGC ACT TAC 46 Asp Pro Arg Cys Gly Asn Leu Ser Thr Cys Met Leu Gly Thr Tyr 1 5 10 15 ACC CAG GAC TTC AAC AAA TTC CAC ACC TTC CCG CAG ACT GCA ATC GGC 94 Thr Gln Asp Phe Asn Lys Phe His Thr Phe Pro Gln Thr Ala Ile Gly 20 25 30 GTT GGA GCA CCG CTG CGT GCA GAT CTG TAA GTCGAC 130 Val Gly Ala Pro Leu Arg Ala Asp Leu 35 40 配列番号:4 配列の長さ:41 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:No 配列 GATCCGCGTT GCGGTAATCT GTCTACTTGC ATGCTGGGCA C 41 配列番号:5 配列の長さ:43 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:Yes 配列 GTGTAAGTGC CCAGCATGCA AGTAGACAGA TTACCGCAAC GCG 43 配列番号:6 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:No 配列 TTACACCCAG GACTTCAACA AATTCCACAC CTTCCCGCAG AC 42 配列番号:7 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:Yes 配列 ATTGCAGTCT GCGGGAAGGT GTGGAATTTG TTGAAGTCCT GG 42 配列番号:8 配列の長さ:41 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:No 配列 TGCAATCGGC GTTGGAGCAC CGCTGCGTGC AGATCTGTAA G 41 配列番号:9 配列の長さ:39 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA ハイポセティカル配列:No アンチセンス:Yes 配列 TCGACTTACA GATCTGCACG CAGCGGTGCT CCAACGCCG 39 配列番号;10 配列の長さ:166 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:タンパク質 ハイポセティカル配列:No 配列の特徴: 1-12 E β-Gal 付加ペプチド 16-47 E ヒトカルシトニン 54-85 E ヒトカルシトニン 92-123 E ヒトカルシトニン 130-161 E ヒトカルシトニン 配列 Met Thr Met Ile Thr Asn Ser Ser Ser Val Pro Gly Asp Pro Arg Cys 1 5 10 15 Gly Asn Leu Ser Thr Cys Met Leu Gly Thr Tyr Thr Gln Asp Phe Asn 20 25 30 Lys Phe His Thr Phe Pro Gln Thr Ala Ile Gly Val Gly Ala Pro Leu 35 40 45 Arg Ala Asp Pro Arg Cys Gly Asn Leu Ser Thr Cys Met Leu Gly Thr 50 55 60 Tyr Thr Gln Asp Phe Asn Lys Phe His Thr Phe Pro Gln Thr Ala Ile 65 70 75 80 Gly Val Gly Ala Pro Leu Arg Ala Asp Pro Arg Cys Gly Asn Leu Ser 85 90 95 Thr Cys Met Leu Gly Thr Tyr Thr Gln Asp Phe Asn Lys Phe His Thr 100 105 110 Phe Pro Gln Thr Ala Ile Gly Val Gly Ala Pro Leu Arg Ala Asp Pro 115 120 125 Arg Cys Gly Asn Leu Ser Thr Cys Met Leu Gly Thr Tyr Thr Gln Asp 130 135 140 Phe Asn Lys Phe His Thr Phe Pro Gln Thr Ala Ile Gly Val Gly Ala 145 150 155 160 Pro Leu Arg Ala Asp Leu 165
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトカルシトニン重合蛋白質の発現プラスミド
の構築のフロ−チャ−トを示す。
【図2】pUCal 4 で発現される重合蛋白質の模式図を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンデム・リピ−ト型遺伝子でコ−ドされ
    る蛋白質であって、 一般式(I): (N) −α−δ−X−[ δ−β−δ−X]n−δ−γ−(C) (I) (式中、 Xは、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列のう
    ち、アミノ酸番号1〜33までのアミノ酸配列から成る
    ペプチド、 α、β及びγは以下の[(i )〜(iii )]の条件を同
    時に満たす同一または異なった一つまたは二つ以上のア
    ミノ酸残基[(i )式中の−α−δをコ−ドするDNA 配
    列中に、制限酵素の認識配列が存在し、 (ii)式中のδ−γ−をコ−ドするDNA 配列中に、制限
    酵素の認識配列が存在し、その配列は(i )に示す認識
    配列とは異なり、 (iii )式中のβをコ−ドするDNA 配列は、式中の−α
    −δ及びδ−γ−をコ−ドするDNA 配列を、各々対応す
    る制限酵素で切断後、連結したものである。]、 δはArg 残基又はGlu 残基、 nは1から20までの整数、 (N) はN末端、(C) はC末端を示す。)で表されるヒト
    カルシトニン重合蛋白質。
  2. 【請求項2】請求項1記載のヒトカルシトニン重合蛋白
    質をコ−ドするDNA 。
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WO2007004538A1 (ja) * 2005-07-01 2007-01-11 Daiichi Sankyo Company, Limited 組換えタンパク質の製造方法

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