JPH0531969Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、椅子における座板やテーブルの天板
等を昇降させたり、椅子の背凭部を前後傾動調節
するため等に使用するガススプリングの制御操作
装置の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

従来から、椅子における座板を昇降動させるガ
ススプリングとか、背凭部の前後傾動角度を調節
するためのガススプリングとかの制御弁を操作す
る装置として、例えば先行技術の特公昭62−
57325号公報には、座受体等の箇所に横向きに配
設した操作レバーの基端部をクランク状に屈曲形
成し、該操作レバーの長手方向中途部を回動支点
にして上下回動するとき、前記クランク状の基部
にてガススプリングの制御弁用のプツシユロツド
を押圧するように構成することが開示されてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

この構成によれば、操作レバーのグリツプ部を
上向き回動した時点で前記プツシユロツドを押圧
した状態を保持するため、当該操作レバーの上向
き回動姿勢を保持する係止手段が別途必要とな
り、必要部品点数が多くなると共に、作業者は操
作レバーの回動操作とは別に前記係止手段を操作
する必要があることから操作の手間が掛かるとい
う問題があつた。

本考案は、前記先行技術の欠点を解消すること
を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕 この目的を達成するため本考案は、椅子におけ
る座板を昇降し、又は背凭部を傾動させる等のた
めのガススプリングにおける制御弁用プツシユロ
ツドの近傍に、操作レバーの長手方向中途部の回
動支点の支持部を設け、操作レバーの適宜部位に
は、前記プツシユロツドの先端に対面する押圧部
を、当該操作レバーの回動に従つてプツシユロツ
ドの出没方向軸線と直角な平面に沿つて移動でき
るように形成し、該押圧部の表面には、前記プツ
シユロツドの先端が嵌つて底面に接当するカム溝
を形成し、該カム溝の底面を操作レバーの一方向
への回動操作につれてプツシユロツドを後退さ
せ、操作レバーの他方向への回動操作につれてプ
ツシユロツドの突出を許容する傾斜カム面に形成
し、且つ前記カム溝にはプツシユロツドを大きく
後退させた位置で位置保持する係止部を設けたも
のである。

〔考案の作用・効果〕

この構成による操作レバーの回動支点を支持部
は、椅子の場合の座受体や取付け枠体等に設ける
ことができる。

本考案の操作レバーにおける押圧部は、回動支
点回りの操作レバーの回動方向と平行状に移動で
きるものであり、且つガススプリングにおけるプ
ツシユロツドの出没方向と直角な平面上で移動す
るものである。

そして、プツシユロツドの先端と対面させた押
圧部の表面には、プツシユロツドの先端が嵌るカ
ム溝を凹み形成するものであつてこのカム溝の底
面にはプツシユロツドの先端が接当する。

しかも、カム溝の底面を操作レバーの一方向へ
の回動操作につれてプツシユロツドを後退させ、
操作レバーの他方向への回動操作につれてプツシ
ユロツドの突出を許容する傾斜カム面に形成した
ものであるから、このカム溝は、操作レバーの回
動操作によつてプツシユロツドがカム溝からはみ
出すことがない、いわゆる確動カムの一種である
と共に、プツシユロツドの先端がカム溝の底面で
ある傾斜カム面に常時接当し、その傾斜カム面の
凹凸に従つて出没するので正面カム（端面カム）
の一種でもある。

このような構成の操作レバーを作業者が手元部
を持つて回動すると、プツシユロツドの先端がカ
ム溝に沿うように嵌つた状態で、押圧部が平面上
を移動することになり、カム溝底面の傾斜カム面
に沿つてプツシユロツド先端が突出したり後退し
て、ガススプリングのシリンダ内の圧力を調節し
たり、ガススプリング自体の長さ調節等の制御が
実行できることになる。

そして、操作レバーの押圧部におけるカム溝に
は、プツシユロツドを大きく後退させた位置で位
置保持する係止部を設けたものであるから、操作
レバーを一方向に回動してプツシユロツドを後退
させる作業中、その後退量が大きい箇所（カム溝
の底面が浅い箇所）で操作レバーの回動操作を中
止すれば、前記カム溝における係止部にプツシユ
ロツドの先端が係止し、位置保持できるし、他方
向に回動する等すれば、プツシユロツド先端は至
極簡単に前記係止部から外れて元の位置に戻すこ
とができるので、従来技術のように別途操作レバ
ーの位置保持用の手段を設ける必要がない。

このように、本考案に従えば、操作レバーの押
圧部表面に所定の深さに変化する傾斜カム面を備
えたカム溝を形成し、且つのカム溝の中途部に係
止部を設けるだけで良いから、ガススプリングの
制御操作装置としての構造が至極簡単であると共
に、操作レバーの操作作業にも手間が掛からない
という効果を奏するのである。

〔実施例〕

次に本考案を椅子に適用した実施例について説
明すると、第１図に示す椅子１は、筒状支柱２ａ
に昇降用のガススプリング３を備えた脚体２と、
該ガススプリング３にて昇降する取付け枠体４
と、取付け枠体４の後部に回動自在に取付く背凭
支持枠７とから成る。

取付け枠体４は、昇降用のガススプリング３の
上部外周を支持する嵌合部５と、その上方に適宜
隙間を隔てて位置する天板部６とから成り、天板
部６及び嵌合部５の前端を枢支軸８を介して回動
自在に連設する一方、嵌合部５の後部と背凭支持
枠７の下端とをリンク９と連結ピン１０，１１を
介して連結し、前記天板部６の後端と背凭支持枠
７の基端とを支持ピン１２にて連結する。

また、前記天板部６の下方にて嵌合部５の一側
に前後方向に配設された背凭傾動用のガススプリ
ング１３の後端は背凭支持枠７側の連結ピン１１
に取付き、前記枢支軸８に回動自在に取付くブラ
ケツト１４に対してガススプリング１３の前端部
を固着し、後述の操作レバー１５の操作にて傾動
用のガススプリング１３が伸張動すると、天板部
６の後端が上向き回動すると同時に背凭支持枠７
が後向きに回動するように構成するものである。

天板部６の上面には、クツシヨン１６ａ付きの
座板１６をねじ止め等にて取付き、カバー体１７
は取付け枠体４を下方から覆うものである。

取付け枠体４における嵌合部５は昇降用のガス
スプリング３の上部外周を下方から挿入してきつ
ちりと嵌るように筒状に形成し、該嵌合部５に嵌
つた昇降用のガススプリング３の上端に上向き突
出する制御弁用プツシユロツド１８が上方に臨
む。

取付け枠体４における天板部６下面と前記嵌合
部５の上面との間には、前記ガススプリング３の
制御弁用のプツシユロツド１８を押圧操作するた
めの操作杆１９が配設できる空間を設ける。

前記傾動用ガススプリング１３のプツシユロツ
ド２０は、前記平面視コ字状のブラケツト１４に
おける左右一対の側板２１，２１を連結する連結
板２２から前方に突出付勢してあり、このプツシ
ユロツド２０を押圧操作するための操作レバー１
５は、第４図から第７図までに示すように、長手
軸２３の一端に手元部２４を、他端に縦板状の押
圧部２５を、各々一体的に形成し、長手軸２３に
は左右一対の回動支点となる枢軸２６，２６を設
ける。

操作レバー１５における枢軸２６，２６は、前
記ブラケツト１４の一側板２１から横向きに突設
した側面視コ字型の切り溝状である一対の支持部
２７，２７に回動自在に支持されるものである。

なお、操作レバー１５が枢軸２６箇所回りに回
動するとき、前記押圧部２５の表面がプツシユロ
ツド２０の先端と対面し、且つ前記表面がプツシ
ユロツド２０の出没方向軸線と直角な平面に沿
い、且つプツシユロツド２０から逃げずに移動で
きるように、実施例では、両枢軸２６，２６に合
成樹脂製等のブツシユ２８，２８を被嵌すると共
に、押圧部２５の背面を枢支軸８の外周に接当さ
せているが、その他の手段にて前記の平行状に押
圧部２５表面が移動できるように構成しても良い
のである。

そして、第６図及び第７図に示すように、押圧
部２５の表面には、前記プツシユロツド２０の先
端が嵌つて底面に接当するカム溝２９を形成し、
該カム溝２９の底面を操作レバーの一方向（実施
例では第５図の矢印Ａ方向、手元部２４の上向き
回動方向）への回動操作につれてプツシユロツド
２０を後退させる傾斜カム面３０（第７図の実線
で示す）と、操作レバー１５の他方向（実施例で
は第５図の矢印Ｂ方向、手元部２４の下向き回動
方向）への回動操作につれてプツシユロツド２０
の突出を許容する傾斜カム面３１（第７図の点線
で示す）とに形成する。

この場合、実施例では、前記カム溝２９のうち
操作レバー１５の手元部２４の上向き回動時の経
路を往路２９ａとし、手元部２４の下向き回動時
の経路を復路２９ｂとすると、この往路２９ａと
復路２９ｂは別経路で互いに略並行状に配設して
あり、且つ両経路の上下端部は連通しており、カ
ム溝２９は正面視で偏平なハート状をなす。

さらに、前記カム溝２９における往路２９ａの
上端部と復路２９ｂの上端との連接部において、
プツシユロツド２０を大きく後退させた位置とす
るように底面の深さを略最も浅くなるように形成
し、この位置におけるカム溝２９の下面壁にプツ
シユロツド２０の外周面が係止できる凹み状の係
止部３２を設けるのである。

従つて、この係止部３２にプツシユロツド２０
が入ると、その状態で操作レバー１５から手を離
しても、プツシユロツド２０が後退した状態を保
持することができるものである。

この構成により、操作レバー１５の手元部２４
を上向きに回動すれば、押圧部２５におけるカム
溝２９に嵌つて突出方向に付勢されたプツシユロ
ツド２０の先端はその下端側から往路２９ａに沿
つて順次上に移動（相対的に見て）することにな
り、該往路２９ａにおける順次深さが浅くなる傾
斜カム面３０にてプツシユロツド２０先端が押圧
されて後退し、これにてガススプリングの長さが
自由に変動し得るロツク解除状態とすることがで
きる。

従つて、この状態にて背凭部に力を加えること
により当該背凭部の前後傾動角度を調節できるか
ら、適宜の傾動角度が確保された位置にて操作レ
バー１５の手元部２４を下向きに回動すると、プ
ツシユロツド２０の先端が係止部３２から外れた
後、今度は復路２９ｂに沿つて下降し、そのとき
のカム溝２９における順次深くなる傾斜カム面３
１に沿つてプツシユロツド２０の先端は突出し、
ガススプリングはロツク状態となつてその長さが
略一定となり、且つガススプリングにおけるシリ
ンダ室内のエアの圧縮弾性によるスプリング作用
を付与することができるのである。

なお、図示実施例のようにカム溝２９における
往路と復路とが同じでない場合には、操作レバー
１５における枢軸２６は支持部２７に沿つて若干
移動する。

第８図及び第９図は、昇降用のガススプリング
３のプツシユロツド１８に対する制御操作装置と
して本考案を適用した図である。

この場合、取付け枠体４における嵌合部５に下
方から取付くガススプリング３上端のプツシユロ
ツド１８が上向きに突出しているので、このプツ
シユロツド１８の出没方向（上下方向）と直角な
水平方向に操作レバー３５を回動させその押圧部
３６も水平に移動させる必要がある。

そのため、取付け枠体４における嵌合部５の上
面に断面コ字型のケース３７をボルト３８等にて
固着し、該ケース３７の上下両板３７ａ，３７ｂ
に操作レバー３５における枢軸３９を回動自在に
支持する切り溝状の支持部４０，４０を形成する
一方、前記ケース３７内に操作レバー３５におけ
る板状の押圧部３６の下面には、第６図及び第７
図と同様の下向き開放状のループ状等のカム溝４
１を形成するのであり、該カム溝４１の底面を操
作レバー３５の一方向（第９図の矢印Ｄ方向）へ
の回動操作につれてプツシユロツド１８を後退さ
せるのを許容する傾斜カム面４２（第８図の実線
で示す）に形成し、操作レバーの他方向（第９図
の矢印Ｃ方向）への回動操作につれてプツシユロ
ツド１８の突出を許容する傾斜カム面４３（第８
図の点線で示す）に形成し、且つ前記カム溝４１
の中途部にはプツシユロツド１８を大きく後退さ
せた位置で位置保持する係止部４４を設けるもの
である。

なお、これらの実施例において、操作レバーの
基端に回動支点である枢軸を設け、該枢軸と操作
レバーの手元部との中途部に押圧部を形成するよ
うにしても、前記と同様の作用を奏することは言
うまでもない。

さらに、押圧部におけるカム溝の往路と復路と
を、図示実施例のように平面視でいわゆるループ
状（エンドレス状）に形成しても良いし、往路と
復路とを同一経路（カム溝が一本の形状）となる
ようにしても良いのである。

このように、本考案に従えば、操作レバーをガ
ススプリングのプツシユロツドの突出部近傍にお
ける支持部に装着するだけで装着作業を完了でき
るし、操作レバーを回動する途次において、押圧
部に形成したカム溝における係止部にプツシユロ
ツドの先端が係止するだけで、そのプツシユロツ
ドの後退量の大きい状態（位置）を保持できる
等、ガススプリングの制御を操作レバーのワンタ
ツチ操作で実行できるという効果を有するのであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は椅子の
側面図、第２図は第１図の−視拡大平面図、
第３図は第２図の−視側面図、第４図は第３
図の−視要部拡大断面図、第５図は第４図の
−視要部断面図、第６図は押圧部の正面図、
第７図は第６図の−視断面図、第８図は他の
実施例断面図、第９図は第８図の−視断面図
である。 １……椅子、２……脚体、３……昇降用のガス
スプリング、１３……揺動用のガススプリング、
４……取付け枠体、５……嵌合部、６……天板
部、７……背凭支持枠、１４……ブラケツト、１
５，３５……操作レバー、１８，２０……プツシ
ユロツド、２７，４０……支持部、２６，３９…
…枢軸、２５，３６……押圧部、２９，４１……
カム溝、３０，３１，４２，４３……傾斜カム
面、３２，４４……係止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 椅子における座板を昇降し、又は背凭部を傾動
   させる等のためのガススプリングにおける制御弁
   用プツシユロツドの近傍に、操作レバーの長手方
   向中途部の回動支点の支持部を設け、操作レバー
   の適宜部位には、前記プツシユロツドの先端に対
   面する押圧部を、当該操作レバーの回動に従つて
   プツシユロツドの出没方向軸線と直角な平面に沿
   つて移動できるように形成し、該押圧部の表面に
   は、前記プツシユロツドの先端が嵌つて底面に接
   当するカム溝を形成し、該カム溝の底面を操作レ
   バーの一方向への回動操作につれてプツシユロツ
   ドを後退させ、操作レバーの他方向への回動操作
   につれてプツシユロツドの突出を許容する傾斜カ
   ム面に形成し、且つ前記カム溝にはプツシユロツ
   ドを大きく後退させた位置で位置保持する係止部
   を設けたことを特徴とするガススプリングの制御
   操作装置。