JPH05319393A - 航空機自動操縦装置及び主舵面固着検知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 航空機の主舵面が着氷等で固着したときはト
リム舵面がこれをバックアップするため自動操縦装置は
主舵面の固着を検知できず主舵面の固着に気付かず、こ
れが飛行状況に影響が出た時点では回復不能の事態に到
ることが起こる。本発明は、自動操縦装置のトリム舵面
制御信号が、主舵面の固着時にはレベル又はタイミング
において主舵面正常時に異なることに着目し、主舵面の
固着を検知しパイロットに警報する装置を提供すること
を目的とする。 【構成】 自動操縦装置のコンピュータ１から出された
主舵面３の制御指令出力はサーボモータ２に供給される
が、主舵面３が固着して動かないときは主舵面の制御指
令出力が継続して出し続けられる。規定の時間遅れのあ
と、トリム駆動回路からトリム舵面制御指令出力がトリ
ムアクチュエータ４へ出される。主舵面固着のときにこ
のトリム舵面制御指令に現れる、主舵面正常のときとの
制御指令における出力パルス数との差から主舵面固着を
検知して故障モニタパネル６に表示する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、航空機の自動操縦装
置、特に主舵面の固着故障をパイロットに警報しうるよ
うにした自動操縦装置及びその主舵面固着検知装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】最近の小型航空機（ターボプロップやビ
ジネス・ジェット機クラス）では自動操縦装置の搭載が
定着化しており、機能的にもフライト・ディレクタが統
合されていて、姿勢（ピッチ／ロール）、機首方位並び
に高度保持モードで運用されるのが常である。

【０００３】このように自動操縦装置を作動させ、姿
勢，機首方位及び高度保持モードで運航している場合
に、図３に示すように、主舵面を制御する指令出力Ａを
出しても主舵面が固着故障発生のため操作されない事態
が起こっても主舵面固着の検知手段がない上、自動操縦
装置がトリム舵面をバックアップ的に作動させるための
トリム舵面制御指令出力Ｂを出してトリム舵面を操作
し、正常姿勢で高度保持を継続するので主舵面固着は隠
れた故障となる。

【０００４】気が付いた時点では、自動操縦装置からの
トリム制御指令出力Ｂが当該軸のトリム舵面を最大位置
まで制御していることとなりマニュアル操舵による回復
が非常に難しくなる場合がある。

【０００５】なお、主舵面の固着故障は次のような原因
により発生する。 （１） 各舵面の防除氷装置の故障又は操作忘れで着氷
し固着 （２） 主舵面作動機構の故障による固着

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記したよ
うに主舵面の固着が発生したときにこれを速やかに検知
してパイロットに警報を発することのできる自動操縦装
置を提供することを課題としている。

【０００７】また、本発明は、自動操縦装置のための作
動が確実で構造の簡単な主舵面固着検知装置を提供する
ことを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、飛行中正常作
動している自動操縦装置のために隠されてしまう主舵面
の固着を自動操縦装置のトリム舵面制御指令出力を注意
深くモニタすることにより検知できるということに注目
し、正常時のトリム舵面制御指令出力の大きさ（トリム
電圧、トリムパルス数など）とトリム舵面制御指令出力
の発生タイミング（継続時間など）を基準に、基準外の
トリム舵面制御指令出力値を検知し、パイロットにトリ
ムの異常を知らしめるものである。

【０００９】

【作用】自動操縦装置における主舵面とトリム舵面の制
御は、図４の（１）に示すように主舵面制御のためのサ
ーボ出力電圧Ａ₁ がある時間（通常約３秒）以上継続す
ると、トリム舵面制御のための出力Ｂ₁ も発生するよう
設計されている。

【００１０】このトリム舵面制御指令出力Ｂ₁ は、機体
のエレベータ・トリム，エルロン・トリム又はラダー・
トリム・アクチュエータを作動させ主舵面の負荷を軽く
し常に主舵面のダイナミック・レンジを最大限に保つよ
う作用している。

【００１１】例えば、自動操縦装置を作動させ、機首方
位及び高度保持モードで正常に飛行中、急に着氷気象に
出会い主舵面が突如固着されると、図４の（２）に示す
ように主舵面制御の為の指令出力Ａ₂ を出し続けると共
に、この出力継続によって、自動操縦装置はトリム・ア
クチュエータを使い機体を操縦するよう図４の（２）に
Ｂ₂ で示すトリム舵面制御指令を出し、主舵面の固着故
障を隠すが、この時のトリム舵面制御指令出力Ｂ₂ は主
舵面が正常な場合の出力Ｂ₁ とは明確に異なる。

【００１２】この制御指令出力の相違を早期に検知する
ことにより、パイロットに対し異常を警報することがで
きる。

【００１３】

【実施例】図１は本発明による装置の１実施例を示した
ものである。自動操縦装置のコンピュータ１から出力さ
れた主舵面の操舵指令は該当するサーボ・モータ２に供
給されるが、何らかの理由で主舵面３が固着故障して動
かない場合、コンピュータ１の操舵指令が継続して出力
される。

【００１４】このため、規定の時間遅れの後コンピュー
タ内部のトリム駆動回路からトリム・アクチュエータ４
にトリム舵面制御指令出力が供給されトリム舵面５が動
き、この動きにより機体が制御されコンピュータ１から
のサーボ・モータ２への主舵面制御指令出力は減少し、
トリム・アクチュエータ４へのトリム制御指令出力も最
終的にはゼロとなる。

【００１５】この作動期間中、トリム舵面制御指令出力
は故障モニタパネル６でモニタされ、予め設定されてい
る、１トリム制御当たりのトリム・パネル数（又はトリ
ム電圧）よりも多いことを検知する。

【００１６】この事態を検知後は、図２に示すように、
故障モニタパネル６の前面にあるＬＥＤ表示器上に、予
め各軸の舵面毎にプログラムされているパイロットへの
アドバイス文章を表示する。

【００１７】故障モニタ・パネル６は、パイロットの目
につきやすい計器板のシュラウドの上面又は下面に装着
するとパイロットは、すぐ気がつき主舵面の異常の有無
を確認後パネル前面のAcknowledge ボタン８を押して、
アドバイス表示を消す。

【００１８】なお、以上説明した実施例では、主舵面の
固着をトリム舵面制御指令出力のパルス数で検知する場
合を示したが、本発明では、トリム舵面制御指令出力の
大きさ及び発生タイミングの少なくともいづれか一方か
ら主舵面固着を検知するようにしてよい。

【００１９】また、主舵面固着のパイロットへの警報も
図２のようなものの他種々のやり方を採用できることは
いうまでもない。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば自動操縦装置のトリム舵
面制御指令出力をモニタし主舵面の固着故障を検知でき
るので、これを故障モニタパネル等により警報すれば、
突如発生する着氷気象条件での舵面の固着等の故障の発
見の確率が高くなる。ワン・マン・パイロットでの運航
機体では極めて効果がある。

【００２１】本発明による装置は検知方式が簡単で製品
化のコストも低く、機体とのインターフェイスも極めて
簡素である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による自動操縦装置の１実施例を示す系
統図

【図２】本発明による装置で採用する故障警報装置の例
を示す斜視図

【図３】従来の自動操縦装置の構成を示す系統図

【図４】自動操縦装置における主舵面及びトリム舵面の
制御指令の状態を示す線図で、（１）は主舵面が正常の
とき、（２）は主舵面固着の場合を示す。

【符号の説明】

１ 自動操縦装置のコンピュータ ２ 主舵面操作用のサーボモータ ３ 主舵面 ４ トリムアクチュエータ ５ トリム舵面 ６ 故障モニタパネル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主舵面操作指令出力及び同主舵面操作指
   令出力が所定時間以上継続したときトリム舵面制御指令
   出力を発生するように構成された自動操縦装置におい
   て、前記トリム舵面制御指令出力の状態から同トリム舵
   面制御指令が主舵面の固着故障によって発生したか否か
   を判別する信号処理装置と、同信号処理装置が主舵面の
   固着故障を検知したときそれを表示する表示器を設けた
   ことを特徴とする航空機自動操縦装置。
2. 【請求項２】 トリム舵面制御指令出力の大きさ及び発
   生タイミングの少なくともいづれかから主舵面の固着異
   常を検知するトリム信号処理回路と、同トリム信号処理
   回路が検知した主舵面の固着異常を表示する表示装置を
   有することを特徴とする航空機自動操縦装置用の主舵面
   固着検知装置。