JPH05317928A - 圧延ロールの補修方法 - Google Patents
圧延ロールの補修方法Info
- Publication number
- JPH05317928A JPH05317928A JP4122042A JP12204292A JPH05317928A JP H05317928 A JPH05317928 A JP H05317928A JP 4122042 A JP4122042 A JP 4122042A JP 12204292 A JP12204292 A JP 12204292A JP H05317928 A JPH05317928 A JP H05317928A
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- JP
- Japan
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- layer
- roll
- grinding
- hardness
- rolling
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Abstract
(57)【要約】
【目的】圧延用高硬度ロールの研削時に生じるスクラッ
チ状の表面疵を有する表面損傷層のみを容易に除去して
圧延ロールの補修を行う。 【構成】圧延ロール胴部の表層部に下地処理としてNi
層を形成し、次いでレーザー光を照射してロール表層部
にオーステナイトを残留させることにより、前記表層部
を軟化層に変成した後、その軟化層を除去する。
チ状の表面疵を有する表面損傷層のみを容易に除去して
圧延ロールの補修を行う。 【構成】圧延ロール胴部の表層部に下地処理としてNi
層を形成し、次いでレーザー光を照射してロール表層部
にオーステナイトを残留させることにより、前記表層部
を軟化層に変成した後、その軟化層を除去する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延ロール、特に圧延
用高硬度ロールの補修方法に関する。
用高硬度ロールの補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の圧延ロールの耐摩耗性の向上は、
目覚ましいものがある。たとえば、特開平1-240634号、
同 2-25205号、同 2-88745号、同3-126838号、同3-1938
48号、同3-219047号公報等に開示されているような熱間
圧延用ワークロールとして使用される高炭素系ハイス
(高速度工具鋼)ロールは、含有する高硬度炭化物と高
硬度のマトリックスにより優れた耐摩耗性が期待されて
いる。
目覚ましいものがある。たとえば、特開平1-240634号、
同 2-25205号、同 2-88745号、同3-126838号、同3-1938
48号、同3-219047号公報等に開示されているような熱間
圧延用ワークロールとして使用される高炭素系ハイス
(高速度工具鋼)ロールは、含有する高硬度炭化物と高
硬度のマトリックスにより優れた耐摩耗性が期待されて
いる。
【0003】しかし、耐摩耗性に優れていても、ある程
度使用することにより、磨耗を避けることができず、特
にロール軸方向中央部の磨耗が大きくクラウンが付き、
圧延材の板厚精度が悪くなる。したがって、ロールを研
磨または研削により補修することが必要となる。
度使用することにより、磨耗を避けることができず、特
にロール軸方向中央部の磨耗が大きくクラウンが付き、
圧延材の板厚精度が悪くなる。したがって、ロールを研
磨または研削により補修することが必要となる。
【0004】このような高硬度ロールを研削する際に
は、その優れた耐摩耗性ゆえに研削が困難で研削効率が
著しく低下するなどの問題が生じていた。
は、その優れた耐摩耗性ゆえに研削が困難で研削効率が
著しく低下するなどの問題が生じていた。
【0005】そこで、高硬度ロールの研削効率を高める
ために特殊な砥石が開発されつつある。
ために特殊な砥石が開発されつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な砥石を用いることで研削スピードを改善できるとして
も、従来の砥石研磨法では、ロール胴部に最大深さ20
μm程度のスクラッチ状の表面疵が発生するため、圧延
中にその表面疵が製品に転写されて、製品品質を著しく
低下させることとなる。このスクラッチ状の表面疵が発
生する原因は定かではないが、研削中に砥粒が砥石から
分離し砥石とロール間に挟まれて押込み疵になると推定
される。
な砥石を用いることで研削スピードを改善できるとして
も、従来の砥石研磨法では、ロール胴部に最大深さ20
μm程度のスクラッチ状の表面疵が発生するため、圧延
中にその表面疵が製品に転写されて、製品品質を著しく
低下させることとなる。このスクラッチ状の表面疵が発
生する原因は定かではないが、研削中に砥粒が砥石から
分離し砥石とロール間に挟まれて押込み疵になると推定
される。
【0007】しかも、そのスクラッチ状の表面疵が発生
すると、圧延用高硬度ロールの特徴である優れた耐摩耗
性のため、鋼材40本ないし50本圧延する間も消えず
に残存するため、歩留りを低下させる大きな原因となっ
ている。
すると、圧延用高硬度ロールの特徴である優れた耐摩耗
性のため、鋼材40本ないし50本圧延する間も消えず
に残存するため、歩留りを低下させる大きな原因となっ
ている。
【0008】したがって、本発明の課題は、圧延用高硬
度ロールの研削時に生じるスクラッチ状の表面疵を残留
させることなく補修することにある。
度ロールの研削時に生じるスクラッチ状の表面疵を残留
させることなく補修することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は上記
のようなスクラッチ状の表面疵を除去するために鋭意検
討をしたところ、以下のような事実、すなわち、 1.最大深さ20μm程度の表面疵を含む表面層のみを
ロール使用前に軟化させ、摩耗もしくは研削して除去す
ればよいこと。 2.そのためには、圧延ロール胴部の表層部に下地処理
としてNi層を形成した後、Ni層を含むロール表層部
を超急熱溶融凝固処理することにより、Niをロール母
材に拡散させ硬度の低いオーステナイトを多量に残留さ
せればよいこと。 3.さらに、そのような薄層の熱処理には、従来から専
ら高硬度化や表面の凹凸付加を目的として用いられてい
るレーザー光の照射が意外にも利用できること。 4.また、別な方法として、クラウンの付いたロールを
研削する前に、ロール表層部にNi層を形成し、レーザ
ー光の照射により、表層部を軟化し、この軟化層を研削
により除去すればよいこと。ただし、この場合、ロール
エッジ部は中央部より深く研削しなければないらないの
で、ロール中央部よりロールの両エッジ部の軟化層の深
さを厚くしておくことが好適であること。
のようなスクラッチ状の表面疵を除去するために鋭意検
討をしたところ、以下のような事実、すなわち、 1.最大深さ20μm程度の表面疵を含む表面層のみを
ロール使用前に軟化させ、摩耗もしくは研削して除去す
ればよいこと。 2.そのためには、圧延ロール胴部の表層部に下地処理
としてNi層を形成した後、Ni層を含むロール表層部
を超急熱溶融凝固処理することにより、Niをロール母
材に拡散させ硬度の低いオーステナイトを多量に残留さ
せればよいこと。 3.さらに、そのような薄層の熱処理には、従来から専
ら高硬度化や表面の凹凸付加を目的として用いられてい
るレーザー光の照射が意外にも利用できること。 4.また、別な方法として、クラウンの付いたロールを
研削する前に、ロール表層部にNi層を形成し、レーザ
ー光の照射により、表層部を軟化し、この軟化層を研削
により除去すればよいこと。ただし、この場合、ロール
エッジ部は中央部より深く研削しなければないらないの
で、ロール中央部よりロールの両エッジ部の軟化層の深
さを厚くしておくことが好適であること。
【0010】等を見出し本発明を成すに至った。
【0011】すなわち、本発明は、圧延ロール胴部の表
層部に下地処理としてNi層を形成し、次いでレーザー
光を照射してロール表層部にオーステナイトを残留させ
ることにより、前記表層部を軟化層に変成した後、その
軟化層を除去することを特徴とするものである。
層部に下地処理としてNi層を形成し、次いでレーザー
光を照射してロール表層部にオーステナイトを残留させ
ることにより、前記表層部を軟化層に変成した後、その
軟化層を除去することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明によれば、圧延用ロール胴部の表層部に
Ni層を形成し、レーザー光を照射して硬度の低いオー
ステナイトを組織中に残留させることにより、前記表層
部を表面軟化層に変成することができる。
Ni層を形成し、レーザー光を照射して硬度の低いオー
ステナイトを組織中に残留させることにより、前記表層
部を表面軟化層に変成することができる。
【0013】この圧延用ロール胴部の表層部にNi層を
形成する場合、当該ロールを使用した後、研削前にNi
層を形成する方法と、ロール使用後、研削してからNi
層を形成する方法の両者を含む。
形成する場合、当該ロールを使用した後、研削前にNi
層を形成する方法と、ロール使用後、研削してからNi
層を形成する方法の両者を含む。
【0014】そして、その耐摩耗性の低下した表面軟化
層を摩耗または研磨、研削することにより、前記表層部
を容易に除去することができる。
層を摩耗または研磨、研削することにより、前記表層部
を容易に除去することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例によりさら
に具体的に説明する。一般に、高炭素系ハイスロールに
代表される圧延用高硬度ロールの表面組織は、低硬度で
組織的に不安定なオーステナイトを可能な限り低減させ
た基地組織たとえばマルテンサイト、ベーナイトやパー
ライトの焼き戻し組織となっている。つまり、ロールの
表面組織から残留オーステナイトを可能な限り低減させ
ることが圧延用高硬度ロール製造上の技術通念である。
に具体的に説明する。一般に、高炭素系ハイスロールに
代表される圧延用高硬度ロールの表面組織は、低硬度で
組織的に不安定なオーステナイトを可能な限り低減させ
た基地組織たとえばマルテンサイト、ベーナイトやパー
ライトの焼き戻し組織となっている。つまり、ロールの
表面組織から残留オーステナイトを可能な限り低減させ
ることが圧延用高硬度ロール製造上の技術通念である。
【0016】しかし、このような焼入れ組織を有する高
硬度ロールの表層部に、レーザー光を照射して急速加熱
急速冷却することにより、不完全焼入れの状態つまり硬
度の低いオーステナイトを組織中に残留させることが可
能である。
硬度ロールの表層部に、レーザー光を照射して急速加熱
急速冷却することにより、不完全焼入れの状態つまり硬
度の低いオーステナイトを組織中に残留させることが可
能である。
【0017】そこで、本発明では、圧延用高硬度ロール
の研削時に生じたスクラッチ状の表面疵を含む表層部
に、まずNiめっきで下地処理した後、レーザー発振器
により発振されたレーザー光を照射し、表面疵を含むロ
ール表層部をNiめっき層ごと急速溶融急速凝固させる
ことにより、Niを表面疵を含むロール表層部に拡散さ
せ、残留オーステナイトの生成を促進させ、その表層部
を硬度の低い表面軟化層に変成する。
の研削時に生じたスクラッチ状の表面疵を含む表層部
に、まずNiめっきで下地処理した後、レーザー発振器
により発振されたレーザー光を照射し、表面疵を含むロ
ール表層部をNiめっき層ごと急速溶融急速凝固させる
ことにより、Niを表面疵を含むロール表層部に拡散さ
せ、残留オーステナイトの生成を促進させ、その表層部
を硬度の低い表面軟化層に変成する。
【0018】そして、この表面軟化層を圧延初期におい
て急速に磨耗させるか、もしくは圧延前に研削、または
研磨、あるいはこれらの組み合わせにより、前記のスク
ラック状の表面疵を除去するものである。そして、この
ようにNiめっき下地処理をすることにより、より硬度
の低い表面軟化層を得ることが可能となった。
て急速に磨耗させるか、もしくは圧延前に研削、または
研磨、あるいはこれらの組み合わせにより、前記のスク
ラック状の表面疵を除去するものである。そして、この
ようにNiめっき下地処理をすることにより、より硬度
の低い表面軟化層を得ることが可能となった。
【0019】なお、レーザー発振器としては、軟化処理
深さの観点から、CO2 ガスレーザーやヤグ(YAG)
レーザーが好適である。レーザー照射条件であるレーザ
ー出力やエネルギー密度等は、表面疵の生じている表層
部の厚みを考慮して選択すればよい。また、レーザー光
は連続発振によりロール胴部軸方向または周方向のいず
れの方向に平行して照射しても本発明の効果に変わりは
ない。
深さの観点から、CO2 ガスレーザーやヤグ(YAG)
レーザーが好適である。レーザー照射条件であるレーザ
ー出力やエネルギー密度等は、表面疵の生じている表層
部の厚みを考慮して選択すればよい。また、レーザー光
は連続発振によりロール胴部軸方向または周方向のいず
れの方向に平行して照射しても本発明の効果に変わりは
ない。
【0020】ロール表層部およびNiめっき層は、レー
ザー光照射により急速加熱し溶融させた後、自然冷却に
より十分な急速冷却凝固させることもできるし、外部か
ら強制的に冷却を加えても本発明の効果を損なわない。
ザー光照射により急速加熱し溶融させた後、自然冷却に
より十分な急速冷却凝固させることもできるし、外部か
ら強制的に冷却を加えても本発明の効果を損なわない。
【0021】下地処理としてのNiめっきの方法として
は、電気めっき法を一般的に用いることができるが、N
i層を表面に形成できる方法であれば、たとえば溶射、
蒸着などの方法も採用できる。また、Niめっき層の厚
みは、ロールの焼き入れ特性、化学組成、または軟化す
べき層の深さ(つまりスクラッチ状疵の深さ)などによ
り決定できるが、0.2〜5μm が好適である。0.2 μm
未満であると、Niが母材側に十分拡散せず、他方で5
μm を超えるとNiが母材側に過度に拡散していまい、
所望の表面軟化層深さを得ることができない傾向がある
からである。
は、電気めっき法を一般的に用いることができるが、N
i層を表面に形成できる方法であれば、たとえば溶射、
蒸着などの方法も採用できる。また、Niめっき層の厚
みは、ロールの焼き入れ特性、化学組成、または軟化す
べき層の深さ(つまりスクラッチ状疵の深さ)などによ
り決定できるが、0.2〜5μm が好適である。0.2 μm
未満であると、Niが母材側に十分拡散せず、他方で5
μm を超えるとNiが母材側に過度に拡散していまい、
所望の表面軟化層深さを得ることができない傾向がある
からである。
【0022】本発明を好適に適用できるロール材質とし
ては、高炭素系ハイス以外に高Cr鋳鉄(C:2.0 〜3.
0 %、Si:0.4 〜1.0 %、Mn:0.5 〜1.5 %、Ni:0.5
〜2.0 %、Cr:13〜20%、Mo:2.0 %以下)や高合金グ
レン鋳鉄(C:2.5 〜3.5 %、Si:0.5 〜1.2 %、Mn:
0.5 〜1.0 %、Ni:3.5 〜5.0 %、Cr:0.5 〜2.5 %、
Mo:1.0 %以下)等のように焼入れ性の良い化学成分を
有するものである。
ては、高炭素系ハイス以外に高Cr鋳鉄(C:2.0 〜3.
0 %、Si:0.4 〜1.0 %、Mn:0.5 〜1.5 %、Ni:0.5
〜2.0 %、Cr:13〜20%、Mo:2.0 %以下)や高合金グ
レン鋳鉄(C:2.5 〜3.5 %、Si:0.5 〜1.2 %、Mn:
0.5 〜1.0 %、Ni:3.5 〜5.0 %、Cr:0.5 〜2.5 %、
Mo:1.0 %以下)等のように焼入れ性の良い化学成分を
有するものである。
【0023】なお、本発明の表面疵除去方法は、熱間ま
たは冷間の鋼板、形鋼、線材、製管等の圧延用ロールに
発生する摩耗、焼付け、肌荒れ等の表面損傷の除去に利
用できる他、ロールプロフィール計測器と組み合わせ
て、インライン、オフラインのロールプロフィール管理
にも利用できる。
たは冷間の鋼板、形鋼、線材、製管等の圧延用ロールに
発生する摩耗、焼付け、肌荒れ等の表面損傷の除去に利
用できる他、ロールプロフィール計測器と組み合わせ
て、インライン、オフラインのロールプロフィール管理
にも利用できる。
【0024】(実施例1)次に、本発明の効果を実施例
により明らかにする。表1に示す化学成分を有する高炭
素系ハイスにより円板状試験片(φ100mm ×30mm)を3
個作成し、いずれも砥石により側面を研磨して、最大1
5μm程度のスクラッチ疵を発生させた。そのうち1個
にさらにNiめっき処理(電気めっき法による)を施し
た後、その側面をCO2 ガスレーザーにより急速溶融、
急速凝固処理して本発明の円板状試験片とした。また、
Niめっき処理せずに、側面をレーザー光により急速溶
融急速凝固処理したものを比較例、全く何も処理したか
ったものを従来例とした。いすれも、レーザー照射条件
は、レーザー出力450W, 照射加工速度30m/minで連続発
振し、シールドガスとしてArを30リットル/min 使用
した。その結果得られた本発明の試験片の深さ方向の硬
度分布および断面金属組織顕微鏡写真をそれぞれ、図1
および図2に示す。本発明の試験片は、スクラッチ状の
表面疵の存在する15μm程度迄が、十分に硬度低下し
ていることが判った。
により明らかにする。表1に示す化学成分を有する高炭
素系ハイスにより円板状試験片(φ100mm ×30mm)を3
個作成し、いずれも砥石により側面を研磨して、最大1
5μm程度のスクラッチ疵を発生させた。そのうち1個
にさらにNiめっき処理(電気めっき法による)を施し
た後、その側面をCO2 ガスレーザーにより急速溶融、
急速凝固処理して本発明の円板状試験片とした。また、
Niめっき処理せずに、側面をレーザー光により急速溶
融急速凝固処理したものを比較例、全く何も処理したか
ったものを従来例とした。いすれも、レーザー照射条件
は、レーザー出力450W, 照射加工速度30m/minで連続発
振し、シールドガスとしてArを30リットル/min 使用
した。その結果得られた本発明の試験片の深さ方向の硬
度分布および断面金属組織顕微鏡写真をそれぞれ、図1
および図2に示す。本発明の試験片は、スクラッチ状の
表面疵の存在する15μm程度迄が、十分に硬度低下し
ていることが判った。
【0025】また、母地部は熱的に何ら影響を受けてい
ないことが硬度変化から確認された。
ないことが硬度変化から確認された。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例2)実施例1で得られた、本発明
例、比較例および従来例の各試験片について、図3に示
す転動式熱間摩耗試験機により熱間摩耗試験を実施し
た。なお、図3において、1はロール試験片、2は相手
材、3は高周波コイル、4は冷却水、5は水切り用エア
ーである。
例、比較例および従来例の各試験片について、図3に示
す転動式熱間摩耗試験機により熱間摩耗試験を実施し
た。なお、図3において、1はロール試験片、2は相手
材、3は高周波コイル、4は冷却水、5は水切り用エア
ーである。
【0028】その結果、図4に示すように、従来例およ
び比較例においては、スクラッチ状の表面疵がなかなか
消失しなかったのに対し、本発明例では、表面から深さ
15μm迄が試験開始後急速に摩耗し表面疵が除去され
ていることが判った。また、表面軟化層が摩耗した後
は、従来例および比較例と同じ摩耗率になっていること
も確認された。さらに、Niめっき下地処理しなかった
比較例は、図1に示すように、表層部の硬度低下が十分
でなかったために、本発明例の比較してスクラッチ状の
表面疵の除去に時間がかかることも判明した。さらに、
深さ15μm摩耗後の断面金属組織顕微鏡観察から、レ
ーザーによる軟化処理を受けたスクラッチ状の表面疵の
存在する表面軟化層が完全に除去されていることおよび
ロール表面性状もクラック等もなく非常に良好であるこ
とが確認された。
び比較例においては、スクラッチ状の表面疵がなかなか
消失しなかったのに対し、本発明例では、表面から深さ
15μm迄が試験開始後急速に摩耗し表面疵が除去され
ていることが判った。また、表面軟化層が摩耗した後
は、従来例および比較例と同じ摩耗率になっていること
も確認された。さらに、Niめっき下地処理しなかった
比較例は、図1に示すように、表層部の硬度低下が十分
でなかったために、本発明例の比較してスクラッチ状の
表面疵の除去に時間がかかることも判明した。さらに、
深さ15μm摩耗後の断面金属組織顕微鏡観察から、レ
ーザーによる軟化処理を受けたスクラッチ状の表面疵の
存在する表面軟化層が完全に除去されていることおよび
ロール表面性状もクラック等もなく非常に良好であるこ
とが確認された。
【0029】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、圧延用高
硬度ロールの研削時に生じるスクラッチ状の表面疵を有
する表面損傷層のみを容易に除去してロールの補修を行
うことができ、もって圧延製品品質の向上を図ることが
できる。
硬度ロールの研削時に生じるスクラッチ状の表面疵を有
する表面損傷層のみを容易に除去してロールの補修を行
うことができ、もって圧延製品品質の向上を図ることが
できる。
【図1】本発明法により得られたロールの深さ方向の硬
度分布を表すグラフである。
度分布を表すグラフである。
【図2】表面軟化層の金属組織の顕微鏡写真(倍率 300
倍)である。
倍)である。
【図3】熱間摩擦試験の概要を示す説明図である。
【図4】本発明例、比較例および従来例の摩耗率を比較
したグラフである。
したグラフである。
1…ロール試験片、2…相手材、3…高周波誘導コイ
ル、4…冷却水、5…水切り用エアー
ル、4…冷却水、5…水切り用エアー
Claims (1)
- 【請求項1】圧延ロール胴部の表層部に下地処理として
Ni層を形成し、次いでレーザー光を照射してロール表
層部にオーステナイトを残留させることにより、前記表
層部を軟化層に変成した後、その軟化層を除去すること
を特徴とする圧延ロールの補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4122042A JPH05317928A (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 圧延ロールの補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4122042A JPH05317928A (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 圧延ロールの補修方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05317928A true JPH05317928A (ja) | 1993-12-03 |
Family
ID=14826170
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4122042A Pending JPH05317928A (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 圧延ロールの補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05317928A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110158079A (zh) * | 2019-06-03 | 2019-08-23 | 湖北开明高新科技有限公司 | 破碎机的单齿辊破齿及主轴磨损修复工艺 |
CN112589105A (zh) * | 2020-12-08 | 2021-04-02 | 首钢集团有限公司 | 一种冷轧支承辊的修复方法 |
CN114517294A (zh) * | 2022-01-28 | 2022-05-20 | 营口裕隆光电科技有限公司 | 一种用于激光熔覆修复80CrNi3W冷轧辊的冶金粉末 |
-
1992
- 1992-05-14 JP JP4122042A patent/JPH05317928A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110158079A (zh) * | 2019-06-03 | 2019-08-23 | 湖北开明高新科技有限公司 | 破碎机的单齿辊破齿及主轴磨损修复工艺 |
CN112589105A (zh) * | 2020-12-08 | 2021-04-02 | 首钢集团有限公司 | 一种冷轧支承辊的修复方法 |
CN114517294A (zh) * | 2022-01-28 | 2022-05-20 | 营口裕隆光电科技有限公司 | 一种用于激光熔覆修复80CrNi3W冷轧辊的冶金粉末 |
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