JPH0531645A - 工作機械の加工液濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工作機械の加工液に混入した切屑を除去し、
加工液を循環使用するための濾過装置に関し、加工液槽
の液面に浮遊する傾向のある切屑の場合でも完全に回収
除去できるようにすることを目的とする。 【構成】 チップコンベア１の汚濁液槽３の上面に、該
上面と同一高さ位置にフィルタ１４を介在させた浄化液
排出口６を設け、更にフィルタ１４より高い位置から導
管１５を経て浄化した加工液を浄化槽２へ流入させる。
これにより、常に液面が汚濁液槽３の上面より高い位置
に維持される。また、チップコンベア１のスクレーパ１
１を汚濁液槽３の上面内壁及びフィルタ１４に沿って循
環移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工作機械における切削
／研削加工の際に工具とワークの間の潤滑や冷却のため
及び切屑の搬出のために使用された加工液から、これに
混入した切屑を濾過して除去し、加工液を再生して循環
使用するための濾過装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】工作機械に付属する加工液の濾過装置
は、水平部を構成する汚濁液槽とそれから斜めに立ち上
がって端部に切屑の排出口を有する傾斜部を構成する切
屑搬送路と、汚濁液槽と切屑搬送路とにわたって循環
し、切屑をかき集める複数のスクレーパとからなるチッ
プコンベアと、フィルタを介して汚濁液槽からの処理ず
みの加工液を受領するように該汚濁液槽に隣設された浄
化液槽とからなっている。

【０００３】このフィルタは一般的には加工液中に浸漬
され、内部から吸引し、吸引した浄化液を浄化液槽に導
き、フィルタが目詰まりしたら交換するという形式であ
る。切屑が混入した汚濁加工液は汚濁液槽の所定箇所に
設けられた入口からその内部に導入され、該槽の底に沈
澱した切屑は、チップコンベアの駆動につれて槽の底面
に摺接して移動するそのスクレーパによって収拾され、
槽の傾斜部に沿って持ち上げられ、液面から脱して切屑
排出口から系外に排出される。こうして切屑を除かれて
清浄化された加工液は、前記フィルタを通じて浄化液槽
内に流入し、ここから再び工作機械に戻されて加工処理
に使用される。この時、汚濁加工液槽の上面は密閉され
ておらず、従って加工液の液面は汚濁液槽の上縁より必
ず低い位置にあった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】加工液と共に汚濁液槽
内に流入した切屑は、表面張力あるいはカール状に巻い
てその内部に取り込まれた空気のために液面に浮遊する
傾向が見られる。この傾向はアルミ等の軽量材料の場合
に特に著しく、スクレーパを槽の内部で循環しても切屑
は槽の液面付近に堆積して収拾されず、最後には槽から
加工液や切屑が溢れ出て周囲を汚したり、又は加工液を
劣化させる原因となる。

【０００５】本発明は、従来技術におけるこのような問
題点を解決し、液面に浮遊する傾向のある切屑の場合で
も完全に回収除去でき、加工液の浄化が可能な濾過装置
を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的は、切屑の混入
した汚濁加工液を貯留する汚濁液槽と、該汚濁液槽に連
なり上昇位置にある切屑排出口へ向けて前記汚濁液槽内
の切屑を搬送する切屑搬送路と、前記汚濁液槽から前記
切屑搬送路にわたって循環し切屑をすくい取り前記切屑
排出口まで搬送する複数のスクレーパとを有するチップ
コンベア、及び該チップコンベアの隣に設けられ、前記
汚濁液槽内の汚濁加工液を濾過して貯留する浄化液槽か
らなる工作機械の加工液濾過装置において、前記汚濁液
槽上面に汚濁加工を受け入れる汚濁液導入口を開口し、
更に前記汚濁液槽上面に該上面と同一高さ位置にフィル
タを介在させた浄化液排出口を設け、該フィルタより高
い位置に開口した導管を通過させて浄化した加工液を前
記浄化液排出口から前記浄化液槽内に流入させると共
に、前記スクレーパを前記汚濁液槽の上下の内壁面と前
記フィルタに沿って循環移動させるように構成したこと
を特徴とする工作機械の加工液濾過装置によって達成さ
れる。

【０００７】

【作用】切屑の混入した汚濁加工液は汚濁液導入口を通
じて汚濁液槽内に流入し、更にフィルタを通過し、該フ
ィルタより高い位置にある導管を通過して浄化液槽に流
入する。従って、その液面は常に汚濁液槽の上面より高
い位置に維持されることになる。その状態でチップコン
ベヤが作動されると、スクレーパは汚濁液槽の上下の内
壁面と摺接あるいは微小間隙を保ちながら駆動される。
槽の底に沈澱した切屑は、スクレーパの下方周回経路に
沿う進行につれて槽の底面に沿って移動し、切屑排出口
から系外に排出される。液面近くに浮遊している切屑は
スクレーパの上方周回経路に沿う進行につれて強制的に
槽の底に沈められ、前述の経路を通って排出される。同
時に、スクレーパは浄化液排出口のフィルタ下面にも摺
接、あるいは微小な間隙を保ちながら走行し、濾過され
て付着した切屑を除去してフィルタの目詰まりを防止す
る。

【０００８】このようにして切屑を除去されて清浄化さ
れた加工液は、浄化液排出口に流入し、ここから浄化液
槽を経て再び工作機械に戻されて加工処理に使用され
る。以下、図面に示す好適実施例に基づいて、本発明を
更に詳細に説明する。

【０００９】

【実施例】図１，２に示すように、本発明の加工液の濾
過装置は並列されたチップコンベア１と浄化液槽２とか
らなり、これらが台車に搭載されて工作機械（図示しな
い）の近くに設置される。浄化液槽２は水平に設置され
た細長い平坦な液槽であるが、チップコンベア１は浄化
液槽２よりやや低い高さレベルに設置された水平部即ち
汚濁液槽と、これから斜め前方に立ち上がった傾斜部即
ち切屑搬送路４とから構成され、ほぼＺ状をなしてい
る。

【００１０】汚濁液槽３の後部領域の上面には、工作機
械から排出される切屑８の混入した汚濁加工液を導入す
るための汚濁液導入口５が設けられ、その前方には後述
する浄化液排出口６が設けられ、汚濁液槽３は後者を通
じて前記浄化液槽２と連通している。前記切屑搬送路４
の先端は下方に向かって開放され、切屑排出口７を形成
している。そして、前記汚濁液導入口５，浄化液排出口
６及び切屑排出口７を除くチップコンベア１の他の領域
は、すべて液密に密閉されている。

【００１１】このチップコンベア１の内部には、複数の
スクレーパ１１が汚濁液槽３，切屑搬送路４を通じてほ
ぼその全長にわたって循環できるようにエンドレス状に
設置されている。チップコンベア１は左右一対のチェー
ン１０と、これを架橋するように所定のピッチで直立し
て設置された板状の複数のスクレーパ１１とからなり、
チェーン１０の周回経路の一端に設けられた鎖車１２を
介して駆動手段１３によって矢印方向に駆動可能となっ
ている。スクレーパ１１には数本置きにゴム製の弾性プ
レートが配置され、その先端縁が汚濁液槽３の上下の内
壁面に摺接あるいは微小な間隙を保つような寸法関係が
設定され、且つ各所で案内支持されて円滑に循環できる
ように構成されている。

【００１２】汚濁液槽３の上面に設けられている前記浄
化液排出口６はメッシュプレートからなるフィルタ１４
が該上面と同一面高さに設けられ、前記スクレーパ１１
はこの領域を通過する際にこのフィルタ１４の下面に摺
接あるいは微小間隙を維持して走行するように構成され
ている。浄化液排出口６を形成するハウジングの側壁に
は前記浄化液槽２に通じる導管１５が設けられ、フィル
タ１４を通過してハウジング内に上昇して来た加工液
は、この導管１５を経て浄化液槽２に導入される。

【００１３】この装置の作用について次に説明する。切
屑８が混入して汚濁した加工液は、工作機械から前記汚
濁液導入口５を通じて汚濁液槽３内に流入する。そして
槽内の液面レベルが前記浄化液排出口６の導管１５の高
さに達すると、フィルタ１４で濾過された加工液が導管
１５を通じて浄化液槽２内に流入を始める。

【００１４】この時点でチップコンベア１が作動を開始
し、スクレーパ１１を矢印方向に周回させる。汚濁液槽
３の上部内壁は槽内の液面より低いレベル位置にあるの
で、汚濁液槽３内部は加工液で充満している。従って、
軽量で空気を含んだ切屑は上部内壁面に接した状態で浮
遊し、上部内壁面に摺接あるいは微小間隙を維持して上
方周回経路に沿って移動するスクレーパ１１によって図
で右方に掻き寄せられる。スクレーパによって衝撃を加
えられた切屑は沈澱を開始し、浮いたままの切屑は周回
端で下方周回経路に転じる際に強制的に液槽の底に移動
させられる。このような切屑及びそれ以前に既に沈澱し
ている切屑は、下方周回経路を移動するスクレーパ１１
によって図で左方に移動させられつつ次第に集められ、
切屑搬送路４に沿って液面から離脱し、更に上方に搬送
されて、最後に切屑排出口７から外に放出される。

【００１５】このようにして切屑８を除去されて清浄化
された加工液は、連続的に徐々に浄化液槽２に流入す
る。浄化された加工液は、浄化液槽２の内部に設置され
たストレーナ１６を通じてポンプ１７によって吸い出さ
れ、再び工作機械側に戻されて加工処理に循環使用され
る。なお、スクレーパ１１は上方周回経路を移動する際
に、汚濁液槽３の上面と同一高さに設けられたフィルタ
１４の下面にも摺接あるいは微小な間隙を維持して走行
し、この表面を清掃するので、フィルタ１４は目詰まり
することなく常に良好な液の濾過が保証される。

【００１６】更にフィルタ１４は箱型状に形成された枠
体１８の底面に設けられており、導管１５の入口に当た
る枠体１８には第２のフィルタ１９が設けられている。
そしてこの枠体１８は浄化液排出口６を構成するハウジ
ングに着脱自在に収納可能になっている。これはフィル
タ１４によって一次濾過された加工液がフィルタ１９に
よって二次濾過されて浄化液槽２へ流入するので、枠体
１８内に微細な切屑が溜まることになり、これを掃除す
るときの作業性を良くするための措置である。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、チップコンベアのスク
レーパの下方周回経路だけでなく、上方周回経路をも汚
濁液槽内に完全に浸漬し、液面に浮遊する傾向のある切
屑を前記上方周回経路を移動するチップコンベアのスク
レーパによって強制的に槽の底に沈ませ、次に下方周回
経路を移動するスクレーパによって外部に排出するよう
にしたので、切屑の排出性が向上する。

【００１８】また、浄化液排出口を汚濁液槽上部に設
け、フィルタを通過させて浄化加工液を噴出させるよう
にし、しかもこのフィルタの下面に沿ってスクレーパが
走行してフィルタの目詰まりを防止するようにしたの
で、保守作業を殆ど要せず、しかも加工液の溢れや劣化
のない濾過装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の加工液濾過装置の構成を示す側断面図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１…汚濁液槽 ２…浄化液槽 ３…汚濁液槽 ４…切屑搬送路 ５…汚濁液導入口 ６…浄化液排出口 ７…切屑排出口 ８…切屑 １０…チェーン １１…スクレーパ １２…鎖車 １３…駆動手段 １４…フィルタ １５…導管 １６…ストレーナ １７…ポンプ １８…枠体 １９…フィルタ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 切屑の混入した汚濁加工液を貯留する汚
   濁液槽と、該汚濁液槽に連なり上昇位置にある切屑排出
   口へ向けて前記汚濁液槽内の切屑を搬送する切屑搬送路
   と、前記汚濁液槽から前記切屑搬送路にわたって循環し
   切屑をすくい取り前記切屑排出口まで搬送する複数のス
   クレーパとを有するチップコンベア、及び該チップコン
   ベアの隣に設けられ、前記汚濁液槽内の汚濁加工液を濾
   過して貯留する浄化液槽からなる工作機械の加工液濾過
   装置において、前記汚濁液槽上面に汚濁加工を受け入れ
   る汚濁液導入口を開口し、更に前記汚濁液槽上面に該上
   面と同一高さ位置にフィルタを介在させた浄化液排出口
   を設け、該フィルタより高い位置に開口した導管を通過
   させて浄化した加工液を前記浄化液排出口から前記浄化
   液槽内に流入させると共に、前記スクレーパを前記汚濁
   液槽の上下の内壁面と前記フィルタに沿って循環移動さ
   せるように構成したことを特徴とする工作機械の加工液
   濾過装置。