JPH05312595A - 格子円柱作製方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、格子円柱を安価に量産することを
目的とする。 【構成】 この発明は、ロータリーエンコーダのロータ
として用いられる格子円柱を作製する格子円柱作製方法
であって、中空の金型７の内側に格子パターン８を機械
加工で形成し、この金型７の中空部の中心に金属軸９を
固定して金型７の中空部にプラスチックを流し込むこと
によりこのプラスチックを金属軸９と一体に成形して格
子円柱を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はロータリーエンコーダの
ロータとして用いられる格子円柱を作製する格子円柱作
製方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ロータリーエンコーダは回転量や回転速
度などの検出を行うための装置として知られ、ロータリ
ーエンコーダのロータとしては円板状のものや円柱状の
ものが用いられる。従来、エンコーダを用いた移動量測
定方法としては、被検体たる単周期的構造の構造物を単
色の点状光源からの発散性の光束で照射して上記構造物
の単周期的構造に対応する拡大的な影絵的回折格子パタ
ーンを光センサーの位置に発生せしめ、上記構造物の照
射光束を横切る方向への移動に伴う上記影絵的回折格子
パターンの移動量を上記光センサーにより検知して上記
構造物の移動量を測定する移動量測定方法が特開昭６３
ー４７６１６号公報に記載されている。

【０００３】また、特開昭６４ー２９７５１３号公報に
は、線状光源からの可干渉性の光を周期的構造を持つ被
検体に照射し、この被検体の照射光束を横切る方向への
移動に伴う上記影絵的回折格子パターンの移動量を光セ
ンサーにより検知して上記構造物の移動量を測定する移
動量測定方法が記載されている。

【０００４】さらに、特開平２ー５７９１３号公報に
は、被検体と同軸で一体化された円柱体に光源からの光
を照射し、上記被検体上の回折格子パターンに対応する
影絵的回折格子パターンの移動を光センサーにより検知
して円柱体の回転量を測定する回転量測定方法が記載さ
れている。

【０００５】上記特開平２ー５７９１３号公報記載の回
転量測定方法は上記特開昭６３ー４７６１６号公報記載
の移動量測定方法や上記特開昭６４ー２９７５１３号公
報記載の移動量測定方法を利用したものであり、被検体
に形成された格子パターンを影絵的に拡大して影絵的回
折格子パターンを発生させるので、格子パターンの格子
ピッチが極めて細かくてもロータの回転に伴う格子パタ
ーンの移動を光学的に容易に、且つ確実に検知できる。
従って、影絵的回折格子パターンを利用するロータリー
エンコーダの特徴を活かすには、ロータリーエンコーダ
のロータにおける格子パターンのピッチを小さくする方
が良い。

【０００６】ロータリーエンコーダのロータを作製する
方法としては、マグネティック・リソグラフィーを利用
する方法や、フォトエッチングによる方法がある。
前者は、円柱体の円周面に磁性膜を形成し、この磁性
膜に磁気ヘッドで格子状の磁化パターンを書き込んだ後
にその上に磁性コロイド流体を塗布して格子パターンを
可視化する方法である。

【０００７】後者は、円柱状基体の周面上にフォトレ
ジスト層を形成してこのフォトレジスト層に所望の格子
パターンの光学像を結像光学系により結像して露光した
後に、フォトレジスト層を現像して格子パターンに従う
部分を残し、そのフォトレジスト層をマスクとして円柱
状基体をウェットエッチングしてフォトレジスト層のマ
スクを除去する方法である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記方法，では、
微細な格子パターンを形成することは可能であるが、格
子円柱を安価に量産することは難しい。

【０００９】本発明は上記欠点を改善し、格子円柱を安
価に量産することができる格子円柱作製方法を提供する
ことを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、ロータリーエンコーダのロ
ータとして用いられる格子円柱を作製する格子円柱作製
方法であって、中空の金型の内側に格子パターンを機械
加工で形成し、この金型の中空部の中心に金属軸を固定
して前記金型の中空部にプラスチックを流し込むことに
よりこのプラスチックを前記金属軸と一体に成形して格
子円柱を作製し、請求項２記載の発明は、請求項１記載
の格子円柱作製方法において、前記格子円柱の外周面に
金属反射膜を形成する。

【００１１】

【実施例】図２〜図４は光学式ロータリーエンコーダの
一例を示す。このロータリーエンコーダでは、被検体は
周期的構造物である回折格子パターン１を円柱体の周面
に設けた格子円柱からなるロータ２である。この格子円
柱２は回転軸２ａが駆動機構により回転駆動され、点状
光源（若しくは線状光源）３からの可干渉性の光束によ
り回折格子パターン１が照射されて回折格子パターン１
に対応する拡大的な影絵的回折格子パターン１ａが発生
する。この影絵的回折格子パターン１ａは固定スリット
板４のアパーチャを通して光電変換素子からなる光セン
サー５に結像され、回折格子パターン１の光源３による
照射光束を横切る方向への回転に伴う影絵的回折格子パ
ターンの移動を光センサー５により検知して格子円柱２
の回転量を測定する。ここに、点状光源３は半導体レー
ザや発光ダイオード等を用いることができるが、図４に
示すように半導体レーザ３ａを用いることが好ましい。
このロータリーエンコーダでは被検体が格子円柱２であ
り、この格子円柱２上の回折格子パターン１が光センサ
ー５による検知位置まで連続した拡大的影絵的回折格子
パターンとして投影されるので、被検体の移動量測定が
容易になる。

【００１２】図１は本発明の一実施例を説明するための
図である。この実施例は上記ロータリーエンコーダのロ
ータとして用いられる回折格子パターン１を周面に有す
る格子円柱２を作成する方法であり、図１に示すように
中空部６を有する金型７の内側に機械加工で例えば正弦
波状の格子パターン８を形成し、この金型７の中空部６
の中心に金属軸９を固定して金型７の中空部６にプラス
チックを流し込んでこのプラスチックを金属軸９と一体
に成形することによって格子円柱を作製する。この場
合、金型７の中空部６にはプラスチックの射出成形法等
によりプラスチックを射出し、プラスチックを金属軸９
と一体に成形する。

【００１３】この格子円柱は金属軸９が回転軸となる。
プラスチックの材料としては微細な成形が可能であるポ
リカーボネイト等の材料を用いる。中空部６を有する金
型７の内側に形成する格子パターン８の格子ピッチは数
μｍ〜１０μｍとし、高精度の回転制御による機械加工
技術によって達成する。プラスチック成形により作製す
る格子円柱の外周面には中空の金型７の内側に形成され
た格子パターン８が複写される。このような格子円柱の
微細成形の精度に影響を及ぼす各種の要因としては成形
材料であるプラスチックの材質，射出成形温度，射出
圧，中空の金型７の形状，金属軸９の形状，形成される
格子パターンの格子ピッチや形態などがある。

【００１４】この実施例では、金型７の内側に機械加工
で格子パターン８を形成し、この金型７の中空部６の中
心に金属軸９を固定して金型７の中空部６にプラスチッ
クを流し込んでこのプラスチックを金属軸９と一体に成
形することによって格子円柱を作製するので、格子円柱
を安価に大量生産することが可能であり、高精度で低コ
ストの光学式ロータリーエンコーダを実現することがで
きる。

【００１５】この実施例の格子円柱は図２に示すように
光学式ロータリーエンコーダのロータ２として用いられ
て点状光源（若しくは線状光源）３からの可干渉性の光
束により回折格子パターン１が照射され、光センサー５
による検知位置まで連続した拡大的な影絵的回折格子パ
ターン１ａが鮮明に発生する。この影絵的回折格子パタ
ーン１ａは固定スリット板４のアパーチャを通して光電
変換素子からなる光センサー５に結像されて光センサー
５により検知されることにより格子円柱の回転量が測定
され、光センサー５から極めてＳ／Ｎの大きい検知信号
が得られる。

【００１６】金型７の内側に機械加工で凹凸の形状に形
成される格子パターン８としては正弦波状の格子パター
ン以外に図６に示すように矩形波状の格子パターン８ａ
に形成してもよく、半月状や三角波状等の各種の形状の
格子パターンに形成してもよい。このように格子パター
ン８の凹凸の形状を各種の形状に形成した格子円柱に点
状光源（若しくは線状光源）３からの可干渉性の光束を
照射すると、その格子パターン８の凹凸の形状に対応す
る拡大的な影絵的回折格子パターン１ａが発生し、格子
パターン８の凹凸の形状に格子円柱の円周方向（回転方
向）へ周期性を持たせれば、いずれの形状の格子パター
ン８でもその拡大的な影絵的回折格子パターン１ａを光
センサー５により検知して格子円柱の回転量を測定する
ことが可能である。

【００１７】また、上記実施例において、金属軸９の代
りに図５に示すように径の大きい金属軸９ａを用いるよ
うにしてもよい。また、本発明の他の実施例では上記実
施例で作製した格子円柱の外周面に金属反射膜を形成す
るようにした。

【００１８】

【発明の効果】以上のように請求項１記載の発明によれ
ば、中空の金型の内側に格子パターンを機械加工で形成
し、この金型の中空部の中心に金属軸を固定して前記金
型の中空部にプラスチックを流し込むことによりこのプ
ラスチックを前記金属軸と一体に成形して格子円柱を作
製するので、格子円柱を安価に量産することが可能であ
り、高精度で低コストの光学式ロータリーエンコーダを
実現することができる。

【００１９】また、請求項２記載の発明によれば、請求
項１記載の格子円柱作製方法において、前記格子円柱の
外周面に金属反射膜を形成するので、同様に格子円柱を
安価に量産することが可能であり、高精度で低コストの
光学式ロータリーエンコーダを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明するための断面図であ
る。

【図２】光学式ロータリーエンコーダの一例を示す斜視
図である。

【図３】半導体レーザを用いたロータリーエンコーダを
示す側面図である。

【図４】上記ロータリーエンコーダの拡大的影絵的回折
格子パターン発生状態を示す側面図である。

【図５】本発明の他の実施例を説明するための断面図で
ある。

【図６】本発明の他の実施例を説明するための断面図で
ある。

【符号の説明】

６ 中空部 ７ 金型 ８，８ａ 格子パターン ９，９ａ 金属軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 晴彦 東京都新宿区中落合４丁目10番７号 (72)発明者 山口 友行 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ロータリーエンコーダのロータとして用い
   られる格子円柱を作製する格子円柱作製方法であって、
   中空の金型の内側に格子パターンを機械加工で形成し、
   この金型の中空部の中心に金属軸を固定して前記金型の
   中空部にプラスチックを流し込むことによりこのプラス
   チックを前記金属軸と一体に成形して格子円柱を作製す
   ることを特徴とする格子円柱作製方法。
2. 【請求項２】請求項１記載の格子円柱作製方法におい
   て、前記格子円柱の外周面に金属反射膜を形成すること
   を特徴とする格子円柱作製方法。