JPH0531038B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、配管サポートに係り、特に狭隘部で
あり溶接により完全固定で配管を支持する場合に
好適な配管サポートに関するものである。

〔従来の技術〕

従来の配管サポートは、機械工学便覧に記載の
ようにＵボルト及びその他機械的な配管を支持す
る配管サポートとなつていた。これらの配管サポ
ートは、全て取付性及び取付スペースを十分有す
る場合に限定されており、取付スペース及び作業
性が極めて悪い場合、特に原子力発電プラントの
炉内の狭隘部に適合するような配管サポートにつ
いては、配慮されていなかつた。更に、狭隘部で
あるがため加工、特に溶接による加工変形を利用
した配管を完全固定する如き配管サポートについ
ても、前述のように配慮されていなかつた。

例えば、沸騰水型原子力発電プラントの炉内配
管の場合について以下に述べる。炉内配管の内、
原子炉炉心に必要な冷却材流量を供給するジエツ
トポンプの計測配管について説明する。

第４図は、沸騰水型原子炉圧力容器の断面図で
ある。第４図において、１は原子炉圧力容器、２
は、原子炉圧力容器１内に取り付けられ、原子炉
圧力容器１外部に設置されている再循環ポンプ
（図示せず）と共に、原子炉再循環系を構成する
ジエツトポンプで原子炉出力の増減に伴ない必要
な流量を炉心３へ供給するように構成されてい
る。

第５図はジエツトポンプ２の詳細図を示し、５
は再循環配管に接続されるライザエルボ、６はラ
イザ管、７はトラジシヨンピース、８はエルボ、
９はノズル、１０はミキサー、１１はデイフユー
ザ、１２はブラケツト、１３はライザブレース、
１４はビームボルトである。そして、ライザエル
ボ５、ライザ管６及びトラジシヨンピース７は一
体に溶接され、エルボ５の端部は原子炉圧力容器
１に溶接で固定されている。さらに、ライザ管６
の横方向の振動を防止するためライザブレース１
３により原子炉圧力容器１に固定されている。ジ
エツトポンプ２は、必要な流量を炉心３へ供給す
る機能の他に炉心流量計測と云う重量な機能を有
している。炉心流量の計測は、ジエツトポンプデ
イフユーザ１１に設けられた計装配管により、デ
イフユーザテーパ部の差圧を検出することにより
行つている。

第６図は、原子炉圧力容器１及びジエツトポン
プデイフユーザ１１部分の断面説明図である。ジ
エツトポンプ２は原子炉内に第３図に示す如く20
個据え付けられており、２個毎のグループに分け
られ、それぞれのデイフユーザに設けられた計装
配管１５は各グループ毎に集められ原子炉圧力容
器計装ノズル４より外部へ取り出されている。第
７図は計装配管１５が取り付けられた複数のデイ
フユーザ１１の展開図、第８図は第７図のデイフ
ユーザの詳細図である。

以上のようにジエツトポンプの計測配管は構成
されており非常に狭隘部であり、サポートを取付
けることがスペース的に困難な個所である。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術は、ジエツトポンプの計測配管の
ように、非常に狭隘な部分に設定された配管を完
全固定に支持する配管サポートの構造及び取付ス
ペースがない（作業者の接近が極めて困難）場合
のサポート構造の点について配慮がされておら
ず、特に、ジエツトポンプおよび計測配管（ジエ
ツトポンプと同時）が据付完了した場合の取付
で、完全固定出来るサポートが無く、配管の振動
対応のための配管サポートの追加設定、しいては
プラントの信頼性及び安全性において問題があつ
た。また、ジエツトポンプ・計測配管は、配管サ
イズが1/4^B（約14ミリメートル）で板厚が2.2ミ
リメートルときわめて薄肉であり、上述のように
サポートを狭隘部で、かつ完全固定となるような
状態に取付けることが、きわめて困難とされてい
た。

本発明は、上記に鑑み考案されたものであり、
その目的は、狭隘部の取付・作業性を念願に配管
サポート構造とし、かつ完全固定にするために、
狭隘部での取付性を考慮し、且つ配管の固定を確
実にすることを目的にしている。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の目的を達成するための手段は、配管の
通されるＵ字形溝を備えた配管サポート、前記Ｕ
字形溝に収まる第１部分とその第１部分と重ねら
れて交差する第２部分とを一体にされているサポ
ートバーとを備え、前記配管を前記Ｕ字形溝に通
した後に、第２の部分を前記配管サポートに積載
させて前記第１部分を前記Ｕ字形溝に嵌め込み、
次に前記配管サポートと前記サポートバーとを溶
接してその溶接による変形により配管との〓間を
減少施工することを特徴とした配管のサポート方
法である。

〔作用〕

配管サポートとサポートバーとを溶接すること
により配管の外周囲全週をサポートにより囲むこ
とが出来、これとともにその溶接による変形をも
つて配管との〓間を減少方向に管理し配管のサポ
ートを確実にし、さらには、配管サポートにサポ
ートバーを組付ける際には、サポートバーの第２
の部分を配管サポートに積載するだけで配管サポ
ートとサポートバーとの位置決め行えるからその
後の溶接作業も楽であつて狭隘部の作業に適し、
その上、配管サポートとサポートバーとを溶接す
ることが配管との〓間管理作業にも通じることと
成りますから、配管サポートとサポートバーとの
組付けと配管との〓間を管理することの両作業が
同時に行えてより一層より狭隘部の作業に適する
という作用が得られます。

〔実施例〕

本実施例の配管サポートは、Ｕ字形の溝をもつ
サポート本体を配管に設定し、その後前記Ｕ字形
の溝部にサポートバーをはめ込み、各々を所定の
溶接条件を維持しながら溶接することにより、サ
ポート本体部のＵ字形の部材がサポートバーを配
管に押し付ける方向に変形（この変形は、溶接以
前のＵ字形の溝部寸法を0.5ミリメートルから1.0
ミリメートル狭める方向に変形することになる。）
すると同時に、前記変形によりサポート設定時生
ずる配管とサポート本体との隙間約0.5ミリメー
トルを０からマイナス0.5ミリメートルとなるこ
とにより、完全に配管とサポート本体の隙間を無
くすることが可能となる。これにより、予めサポ
ート本体は、本体に所定の溶接により取付けられ
ているため、完全固定の配管支持方式がとれるこ
ととなる。

また、上記配管とサポート本体の溶接による変
形は、第９図に示すように、実機での溶接条件を
一定値で管理することを考慮し一定の入熱条件の
もとで、配管サポートのＵ字形溝により形成され
るl₁寸法及びl₁寸法の長さl₂について（尚、配管
サポートの厚みは一定にし、l₁およびl₂寸法のみ
パラメータサーベイを実施した。）適量変化させ
ることにより、l₁寸法部の配管サポートがどの程
度変化するかをパラメータサーベイを実施した。
これによると、第９図に示すように、Ｕ字形溝部
の寸法がl₁寸法は、二次曲線のように変化するこ
とが明らかとなり、当該配管の仕上状態および配
管と本体との据付寸法に応じた変形量をあらかじ
め知つておくことにより、むやみに配管に拘束力
を加えたり、配管と配管サポートとの隙間が発生
する等、所定の施工が出来ない等の問題は発生す
ることは皆無にすることができる。

また、本体と配管サポートおよび配管サポート
とサポートバーの溶接については、前述の応力腐
食割れ対策を考慮した溶接を行うとともに、配管
及び配管サポート、サポートバー何れも応力腐食
割れ対策材を使用することにより、特に問題とな
るような溶接施工とはならない。

更に、作業性の悪い狭隘部での溶接施工につい
ては、通常の溶接トーチの長さを治具により改善
したものを採用することにより、十分信頼性の高
い作業が可能である。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第１図から第３図に
より説明する。

第１図に、ジエツトポンプ計測配管について本
発明による配管サポートを取付けた場合の全体概
要を示す。（ジエツトポンプおよび計測配管につ
いては、前述の従来技術において、第４図から第
８図にて説明しているので、本図では省略する。）
１１はジエツトポンプデイフユーザ、１５はジエ
ツトポンプ計測配管、１６は、本発明による配管
サポート、１７は、配管サポート１６に設けたＵ
字形溝、１８は、Ｕ字形溝１７に装着し、計測配
管１５をサポート・拘束するサポートバーを示
す。デイフユーザ１１と計測配管１５の間隔は、
約25〜33ミリメートルであり、また、当該部は、
第４図に示すように狭隘部（作業者が立つのにや
つとのスペースである。）であるため、単純な板
状サポートとし、容易に当該部に装着できるよう
Ｕ字形溝１７を有している。

このサポートは、最初に、所定のデイフユーザ
１１の外周部に配管サポート１６を溶接にて取付
け、次にサポートバー１８を、配管サポート１６
に設けられたＵ字形溝１７にはめ込む。はめ込み
は、計測配管１５の外周面に密着させるよう設定
し、その後、配管サポート１６とサポートバー１
８を溶接することにより取付けるものである。

第２図に、第１図を上方から見た場合の平面図
を示す。１９は、デイフユーザ１１と配管サポー
ト１６の溶接部、２０は配管サポート１６とサポ
ートバー１８の溶接部を示す。

第３図に、第２図の右側面図を示す。

以上、第１図から第３図に本発明による配管サ
ポートの取付・構造について説明したが、次にそ
の詳細を以下に説明する。配管サポート１６を溶
接１９によりデイフユーザに取付けた（計測配管
１５に対して90°に取付ける。）後に、サポートバ
ー１８を計測配管１５に隙間が無いように設定
し、仮り付け溶接によりサポートバー１８を固定
する。この固定後、前述の第９図にて説明したよ
うに、あらかじめ、配管サポート１６のＵ字溝１
７が所定の溶接条件下で適量の変形量をもつて収
縮（0.5〜1.0ミリメートル）することにより、計
測配管１５との隙間が０ミリメートル以下になる
ように完全固定の状態で据付けられることにな
る。

ジエツトポンプ計測配管のように、ジエツトポ
ンプ本体の振動、あるいは、原子炉圧力容器外部
に位置する再循環ポンプの吐出水の脈動による振
動に対し、共振等が生じこれによる配管損傷等を
考えた場合の配管支持方法としては、本発明によ
る配管サポートが最適である。

以上のように、本実施例によれば、非常に狭隘
部での取付性及び当該部の配管とサポートの隙間
を溶接により、完全に無くすことが可能であり、
完全固定のサポートが要求される場合等にあつて
は、その効果は十分である。

更に、建設中であつて、ジエツトポンプおよび
計測配管が据付完了している場合において振動防
止策を講ずる際にも、取付性及び完全固定方式の
配管支持方法を十分検討しており、問題なく据付
けられ、その効果は十分である。

また、本発明によるサポート構造・形状等にお
いて変更したサポート、あるいは、本発明による
溶接による変形を利用し、機械的に変形させた場
合も本発明の応用・変形例の一種とみなされる。
更に、本発明の配管サポート及びサポートバーの
溶接位置・方法等を変更した場合のものも本発明
の一種とみなされる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、建設中や据付け完了している
配管の周辺環境のようにその環境が作業スペース
として狭隘であつても配管を容易且つ確実に固定
するサポートとしての効果を奏することが出来、
これにより、配管の健全性しいてはプラントの安
全性・信頼性の向上に多いに寄与できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の配管サポートの概要図、第２
図は第１図の平面図、第３図は第２図の右側面
図、第４図は原子炉圧力容器の縦断面図、第５図
はジエツトポンプの全体図、第６図は第４図のジ
エツトポンプ部の平面図、第７図は第６図の展開
したデイフユーザの計測配管の配置図、第８図は
デイフユーザ部の詳細図、第９図は本発明の配管
サポートの溶接による変形量のテスト結果を示す
図である。 １１……デイフユーザ、１５……計測配管、１
６……配管サポート、１７……Ｕ字形溝、１９，
２０……溶接部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 配管の通されるＵ字形溝を備えた配管サポー
   ト、前記Ｕ字形溝に収まる第１部分とその第１部
   分と重ねられて交差する第２部分とを一体にされ
   ているサポートバーとを備え、前記配管を前記Ｕ
   字形溝に通した後に、第２の部分を前記配管サポ
   ートに積載させて前記第１部分を前記Ｕ字形溝に
   嵌め込み、次に前記配管サポートと前記サポート
   バーとを溶接してその溶接による変形により配管
   との〓間を減少施工することを特徴とした配管の
   サポート方法。