JPH0531023U - 素線絶縁導体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 セグメントの全層に亙る素線が良好な絶縁被
膜を有し、且つその絶縁被膜の形成も容易な素線絶縁導
体を提供することである。 【構成】 素線絶縁導体の各セグメント２の最外層の絶
縁素線をエナメル絶縁素線１ａとし、各セグメント２の
残りの内層の絶縁素線を酸化被膜絶縁素線１ｂとした。 【効果】 セグメント２の最外層にエナメル絶縁素線１
ａを配置してたので、内層の裸素線１ｂ′を酸化して酸
化被膜絶縁素線１ｂとする際に、ドラムに多段巻きされ
るセグメント２に最外層の素線の傷付き防止用の不織布
を施さないで済む。このためセグメント２内にアンモニ
アガスを良好に通気して裸素線１ｂ′を均一に酸化し、
良好な酸化絶縁被膜を形成できるので、素線絶縁導体
は、エナメル絶縁素線１ａよりなる最外層から酸化被膜
絶縁素線１ｂの内層まで全層の素線が良好な絶縁被膜を
有したものとなる。素線１ｂの酸化絶縁被膜の形成も容
易である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、絶縁素線を多層配列したセグメントを周方向に複数個配置した素線 絶縁導体に関し、特にそのセグメントの全層に亙る素線に良好な絶縁被膜を有す る素線絶縁導体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば電力ケーブルに使用される素線絶縁導体は、数十本の絶縁銅素線を断面 略扇形に多層配列したセグメントを周方向に複数個配置してなっており、その複 数個のセグメント配列の外側に内部半導電層、絶縁層、外部半導電層及び金属シ ース等を設けることにより電力ケーブルとされる。

【０００３】 この素線絶縁導体を製造するためには、数十本の裸銅素線を多層配列して撚り をかけることによりセグメントにした後、セグメントをドラムに巻いて酸化処理 槽に入れ、酸化処理槽内でセグメント内に酸化性ガスとしてアンモニアガスを通 気して素線を酸化し、素線の表面にＣｕＯの銅酸化被膜からなる絶縁被膜を形成 することを行なっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記の裸銅素線の酸化処理の際、セグメントはドラムに多段に巻かれる。この ためセグメント同士の擦れによりセグメントの最外層に位置する裸素線に傷が発 生し易く、これを防止するためにセグメントに不織布を施すことを行なっている が、この不織布を施したことによりセグメント内へのアンモニアガスの通気が悪 化する。

【０００５】 このためセグメントの多層配列された素線の均一な酸化処理が難しく、セグメ ントの全層に亙る素線に良好な絶縁被膜を形成することは困難であった。又その 絶縁被膜の形成も、セグメントに不織布を施して酸化処理することにより行なう ので容易でない問題もあった。

【０００６】 このようなことから、セグメントの全層に亙る素線が良好な絶縁被膜を有し、 且つその絶縁被膜の形成も容易な素線絶縁導体の開発が望まれているが、このよ うな特性を具備した素線絶縁導体は未だ提案されていない。

【０００７】 従って本考案の目的は、セグメントの全層に亙る素線が良好な絶縁被膜を有し 、且つその絶縁被膜の形成も容易な素線絶縁導体を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的は本考案に係る素線絶縁導体にて達成される。要約すれば本考案は、 絶縁素線を多層配列したセグメントを周方向に複数個配置した素線絶縁導体にお いて、前記各セグメントの最外層に位置される絶縁素線をエナメル絶縁素線とし 、前記各セグメントの残りの絶縁素線を酸化被膜絶縁素線としたことを特徴とす る素線絶縁導体。

【０００９】

【実施例】

図１は、本考案の素線絶縁導体の一実施例を示す断面図、図２は、図１の素線 絶縁導体のセグメントを示す断面図である。本考案の素線絶縁導体は、図１に示 すように、従来と同様、基本的に、絶縁銅素線１を断面略扇形に多層配列したセ グメント２を周方向に複数個配置してなっており、その複数個のセグメント２の 配列の外側に内部半導電層３、絶縁層４、外部半導電層５及び金属シース６等を 設けることにより電力ケーブル７とされる。

【００１０】 本考案によれば、図２に示すように、セグメント２を構成する絶縁銅素線１の うちのセグメント２の最外層に位置する素線１ａが、絶縁被膜としてエナメル被 膜を有するエナメル絶縁素線とされ、セグメント２の残りの内層に位置する素線 １ｂが、従来と同様な銅酸化被膜を有する酸化被膜絶縁素線とされている。

【００１１】 上記の素線絶縁導体を製造するには、先ず、普通の裸の銅素線１ｂ′を略扇形 に多層配列し、これを内層としてその最外層上にエナメル絶縁素線１ａを配列し て撚りをかけることにより、裸素線１ｂ′の内層及びエナメル絶縁素線１ａの最 外層からなるセグメント２にする。次いで内層の裸素線１ｂ′に酸化絶縁被膜を 形成するために、セグメント２をドラムに多段巻きして酸化処理槽に入れる。こ のとき本考案では不織布を施すことなくセグメント２を多段巻きするが、セグメ ント２の最外層をエナメル絶縁素線１ａとしているために、裸の素線のときとは 違って不織布を施さないで多段巻きしても傷が付きずらく、例え傷が付いて絶縁 素線１ａの銅表面が露出したとしても、酸化処理により酸化絶縁被膜が形成され るので問題ない。

【００１２】 次いで酸化処理層内でセグメント２内にアンモニアガスを通気して内層の裸素 線１ｂ′を酸化することにより、素線１ｂ′の表面にＣｕＯの銅酸化被膜からな る酸化絶縁被膜を形成し、素線１ｂ′を酸化被膜絶縁素線１ｂとする。そしてそ の後セグメント２を周方向に複数個配置して素線絶縁導体と為せばよい。

【００１３】 以上のような素線絶縁導体によれば、セグメント２の内層の裸素線１ｂ′の酸 化絶縁被膜形成時に、ドラムに多段巻きされたセグメント２に不織布を施してい ないので、セグメント２内にアンモニアガスが良好に通気して、内層の全層に亙 る素線１ｂ′が均一に酸化処理され、内層の絶縁素線１ｂの酸化絶縁被膜が全層 とも良好に形成される。従って素線絶縁導体は、エナメル絶縁素線１ａよりなる 最外層から酸化被膜絶縁素線１ｂの内層までセグメント２の全層に亙って素線が 良好な絶縁被膜を有したものになる。又内層の絶縁素線１ｂの酸化絶縁被膜の形 成も、酸化処理時にセグメント２に不織布を施さないので容易である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の素線絶縁導線は、各セグメントにおける最外層 の絶縁素線をエナメル絶縁素線とし、各セグメントの残りの内層の絶縁素線を酸 化被膜絶縁素線とした構成になっており、セグメントの最外層にエナメル絶縁素 線を配置しているので、内層の絶縁素線の酸化絶縁被膜を形成する際に、ドラム に多段に巻かれるセグメントに素線の傷付き防止用の不織布を施さないで済む。 従って内層の素線はアンモニアガスによる酸化が均一に行なれて良好な酸化絶縁 被膜が形成されるので、素線絶縁導線は、エナメル絶縁素線よりなる最外層から 酸化被膜絶縁素線の内層までセグメントの全層に亙って素線が良好な絶縁被膜を 有したものになる。又内層の素線の酸化絶縁被膜の形成も、セグメントに不織布 を施すことが不要なので容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の素線絶縁導体の一実施例を示す断面図
である。

【図２】図１の素線絶縁導体のセグメントを示す断面図
である。

【符号の説明】

１ 絶縁銅素線 １ａ エナメル絶縁素線 １ｂ 酸化被膜絶縁素線 １ｂ′ 裸銅素線 ２ セグメント ７ 電力ケーブル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁素線を多層配列したセグメントを周
   方向に複数個配置した素線絶縁導体において、前記各セ
   グメントの最外層に位置される絶縁素線をエナメル絶縁
   素線とし、前記各セグメントの残りの絶縁素線を酸化被
   膜絶縁素線としたことを特徴とする素線絶縁導体。