JPH05308219A - マイクロ波検出器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プリント配線基板の上に下面が開口した立体
回路部品を組み合わせて、ホーンアンテナとキャビティ
を構成し、安価で小型のマイクロ波検出器を実現する。 【構成】 プリント配線基板１０の金属膜１１を覆うよ
うに下面が開口した立体回路部品１２を取り付ける。こ
れでホーンアンテナとキャビティとを構成する。キャビ
ティ内に第１局部発振器のマイクロ波基板１７を収納す
る。ホーンアンテナのスロート部にミキサダイオード１
４を取り付ける。ミキサダイオード１４の取付け点の下
面側に中間周波数処理回路部１８を取り付け、これをシ
ールドケース１９で覆う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、計測機器などから発
せられるマイクロ波を検出して報知するマイクロ波検出
器に関し、特に、ホーンアンテナによる受信電波と局部
発振器の出力とを周波数混合する受信周波数変換部の構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】レーダー式スピード測定器から発射され
たマイクロ波を検出してアラームを発するように構成さ
れたマイクロ波検出器が従来から知られている。一般的
な交通監視用レーダー式スピード測定器の場合、１０Ｇ
Ｈｚ帯（Ｘバンド）、２４ＧＨｚ帯（Ｋバンド）、３５
ＧＨｚ帯（Ｋａバンド）のいずれかの帯域のマイクロ波
を使用している。この種のスピード測定器を検出対象機
器とするマイクロ波検出器は、所定のバンドのマイクロ
波を以下のような構成のスーパーヘテロダイン方式の回
路で受信するようになっている。

【０００３】受信アンテナとしては一般にホーンアンテ
ナが使用されている。そのホーンアンテナのスロート部
の給電点にミキサダイオードが設置される。また、ホー
ンアンテナのスロート部の奥に局部発振器を構成するマ
イクロ波回路が設けられる。ホーンアンテナによる受信
信号と局部発振器の出力とがミキサダイオードにて周波
数混合される。また、ホーンアンテナによる受信入力が
局部発振器の動作に悪影響を与えないように、ミキサ段
と局部発振器との間に適宜なフィルタを設ける。導波管
を使用する立体回路によりミキサおよび局部発振器を構
成するタイプと、マイクロストリップラインを使用する
マイクロ波集積回路でミキサ部分および局部発振器を構
成するタイプとが知られている。

【０００４】特許出願公表昭和６１年５００９４４号公
報にこの種のマイクロ波検出器の一つの典型的な構造が
示されている。その従来技術の概要を図１に示してい
る。

【０００５】図１に示す構造では、下面が開口したアル
ミニウムダイキャスト製のアンテナ部品２がプリント配
線基板１の上面にネジ止めされる。プリント配線基板１
の上面には所定のパターンで金属膜（銅箔）３が形成さ
れており、その金属膜３の上に覆い被さるようにアンテ
ナ部品２が取り付けられ、金属膜３によってアンテナ部
品２の開口した下面が塞がれた状態となる。アンテナ部
品２はホーンアンテナ部２ａだけでなく２つのシールド
ケース部２ｂと２ｃが一体に形成されており、シールド
ケース部２ｂはホーンアンテナ部２ａのスロート部の奥
につながった形になっている。

【０００６】下面が開口したホーンアンテナ部２ａは単
独ではホーンアンテナとして機能せず、これをプリント
配線基板１上に取り付け、ホーンアンテナ部２ａの開口
した下面が金属膜３で塞がれることによってホーンアン
テナとして機能する。

【０００７】プリント配線基板１とシールドケース部２
ｂで囲まれた空間内にマイクロ波集積回路４が収納され
る。マイクロ波集積回路４は、誘電体基板上に第１局部
発振器（図示省略）と、その出力をミキサダイオード４
ｂに導くマイクロストリップラインと、ホーンアンテナ
部２ａの中央に一体に形成されているリッジ２ｄと接触
していてアンテナ入力の注入を受けるフィードストリッ
プ４ａと、第１局部発振器の出力とアンテナ入力との周
波数混合出力が入力される第１中間周波数フィルタ４ｃ
などが実装されている。

【０００８】プリント配線基板１上のシールドケース２
ｃで覆われる部分には、図示省略しているが、第２局部
発振器と、第２局部発振出力とマイクロ波集積回路４の
出力とを周波数混合する第２周波数混合回路と、第２周
波数混合回路の出力を入力とするフィルタなどが実装さ
れている（これらの回路を中間周波数処理回路部５と称
する）。この中間周波数処理回路部５の出力を検波する
検波回路や、検波出力から所定の受信信号を弁別する弁
別回路や、弁別出力に応答してアラーム信号を発するア
ラーム回路などがプリント配線基板１の下面側に実装さ
れる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】図１のように、プリン
ト配線基板１に形成した金属膜３をホーンアンテナの構
成要素の一部とする構造は、単体で完全にホーンアンテ
ナとして機能するアンテナ部品を用いた構造に比べてコ
スト面で有利になるし、装置の小型化の面でも有利であ
る。また前記の従来技術では、マイクロ波集積回路４に
第１局部発振器や第１周波数混合回路、中間周波数フィ
ルタが作られており、立体回路であるホーンアンテナの
入力を平面回路であるマイクロ波集積回路４のフィード
ストリップ４ａに注入する構成になっている。マイクロ
ストリップラインを使ったマイクロ波集積回路は小型
化、無調整化の面では確かに優れているが、誘電体基板
上のマイクロストリップ導体のパータン精度を細密にす
る必要があり、高度な設計技術が要求されるとともに、
工作精度や部品歩留りの面ではかえって不利である。特
にアンテナ入力をマイクロ波集積回路に効率よく注入す
るためのリッジ２ｄとフィードストリップ４ａの関係に
非常に高度な技術が要求される。その点、導波管を用い
た立体回路の場合、立体回路本体の製作後にアイリスや
ピンなどの整合手段によって容易に特性を調整すること
ができる。従って設計および製作の容易さの面では立体
回路の方が有利である。

【００１０】また図１の従来の構成では、マイクロ波集
積回路４における中間周波数フィルタ４ｃがアンテナ入
力および第１局部発振器の出力に晒されているため、周
波数によっては雑音が発生するなどの悪影響を受ける。
また、中間周波数処理回路部５の上面側はシールドケー
ス２ｃで覆われるが下面側もシールドするためには、プ
リント配線基板１のこの部分の下面側にシールド用の金
属膜を形成しておく必要がある。そうするとこの部分の
下面側は他の回路の実装には利用できない。従って基板
面積全体が大きくならざるを得ない。さらに、シールド
ケース部２ｂ内のマイクロ波集積回路４の出力をシール
ドケース部２ｃ内の中間周波数処理回路部５に伝える接
続手段が面倒だという問題がある。例えばプリント配線
基板１の上面側にマイクロ波集積回路５から中間周波数
処理回路部５に至る配線パターンを形成した場合、その
パターンとアンテナ部品２とを絶縁しなければならな
い。また例えば、ピンやアイレットなどでマイクロ波集
積回路４の表面からプリント配線基板１の裏面までを貫
通接続し、基板１の下面の配線パターンで中間周波数処
理回路部５の下まで導き、そこで再度ピンやアイレット
などかスルーホール処理などで基板１の上面側の中間周
波数処理回路部５と接続する必要がある。いずれにして
も非常に面倒である。

【００１１】この発明は前述した従来の問題点に鑑みな
されたもので、その目的は、プリント配線基板上に形成
した金属膜をホーンアンテナおよびマイクロ波立体回路
の構成要素の一部として使用するマイクロ波検出器であ
って、第１周波数混合部とその周辺回路および第２周波
数混合部とその周辺回路をシンプルな構造で小型に実装
することができるようにすることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】そこでこの発明では、以
下の構造〜によってマイクロ波検出器のアンテナお
よび受信周波数変換部を構成した。

【００１３】下面が開口した金属製の立体回路部品が
プリント配線基板の上面に取り付けられ、この基板の上
面に形成されている金属膜によって前記立体回路部品の
開口した下面が塞がれた状態となり、前記立体回路部品
と前記金属膜とによってホーンアンテナと、このホーン
アンテナのスロート部の奥につながるキャビティとが構
成されている。

【００１４】前記ホーンアンテナのスロート部の給電
点に位置し、前記立体回路部品と前記プリント配線基板
とに挾み込まれた状態でミキサダイオードが取付けられ
ている。

【００１５】前記キャビティ内にマイクロ波回路基板
に実装された第１局部発振器が収納されている。

【００１６】前記ミキサダイオードの出力端子がその
取付け位置における前記プリント配線基板の下面側に貫
通しており、前記基板の下面における前記貫通点の周辺
に第１中間周波数フィルタ、第２ミキサ回路、第２局部
発振器を含む中間周波数処理回路部が実装されている。

【００１７】前記プリント配線基板の下面側に前記中
間周波数処理回路部を覆うようにシールドケースが取り
付けられている。

【００１８】

【作用】前記の立体回路部品とプリント配線基板上の金
属膜とによってホーンアンテナとキャビティとが構成さ
れ、キャビティ内に第１局部発振器が収容され、その出
力とアンテナ入力とが立体回路モードで前記ミキサダイ
オードにて周波数混合される。ミキサダイオードの出力
端子はその取付け点にて前記プリント配線基板の下面側
に貫通し、基板の下面側に実装された中間周波数処理回
路部に導入される。中間周波数処理回路部は前記基板の
下面側に取り付けられた前記シールドケースによって覆
われ、かつ上面側の前記金属膜によって完全にシールド
される。

【００１９】

【実施例】図２と図３にこの発明の一実施例によるマイ
クロ波検出器の構造を示している。長方形のプリント配
線基板１０の上面側に広い面積の金属膜（銅箔）１１が
所定パターンで形成されている。アルミニウムダイキャ
スト製の立体回路部品１２がプリント配線基板１０の金
属膜１１の部分に覆い被さるようにネジにより取り付け
られる。立体回路部品１２はホーンアンテナ部１２ａと
キャビティ部１２ｂとを有するが、下面が完全に開口し
ており、これをプリント配線基板１０上に取り付けるこ
とで立体回路部品１２の開口した下面が金属膜１１によ
って塞がれる。このように立体回路部品１２をプリント
配線基板１０上に取り付けることで、ホーンアンテナ
と、そのスロート部の奥につながるキャビティが構成さ
れる。また、立体回路部品１２のホーンアンテナスロー
ト部の近くにはネジ式のピン整合器２０ａと２０ｂが取
り付けられている。

【００２０】立体回路部品１２のホーンアンテナ部１２
ａのスロート部にはボス部１２ｃが一体に形成されてお
り、このボス部１２ｃと対向するプリント配線基板１０
側にはスルーホール１３が形成されている。スルーホー
ル１３には金属製の台座１５のピン状の脚部がバネワッ
シャー１６を介して嵌め込まれる。この台座１５の上面
側の穴と前記ボス部１２ｃの穴は同一軸線上にあり、ピ
ル型ミキサダイオード１４の両端のピン部分がボス部１
２ｃと台座１５とにそれぞれ嵌め込まれている。これに
よってミキサダイオード１４はプリント配線基板１０と
立体回路部品１２とに挾み込まれた状態でホーンアンテ
ナのスロート部給電点に配置されている。

【００２１】プリント配線基板１０の金属膜１１と立体
回路部品１２のキャビティ部１２ｂとで囲まれたキャビ
ティ内にマイクロ波基板１７が収納されている。このマ
イクロ波基板１７には第１局部発振器が実装されてい
る。第１局部発振器の発振出力はキャビティ内の空間に
放射され、前記ホーンアンテナのスロート部に達する。
このスロート部にミキサダイオード１４が配置されてお
り、アンテナ入力と第１局部発振出力とが立体回路モー
ドで周波数混合される。

【００２２】ミキサダイオード１４の取付け用の台座１
５はミキサダイオード１４の端子も兼ねている。つまり
ミキサダイオード１４の出力はプリント配線基板１０の
スルーホール１３に嵌め込まれた台座１５を介して基板
１０の下面側に導かれる。

【００２３】プリント配線基板１０の下面における前記
スルーホール１３の周辺部分に中間周波数処理回路部１
８が平面実装方式により実装されている。中間周波数処
理回路部１８には、ミキサダイオード１４の出力を入力
とする第１中間周波数フィルタと、第２局部発振器と、
第２局部発振出力と第１中間周波数フィルタの出力とを
周波数混合する第２ミキサ回路などが含まれる。そし
て、この中間周波数処理回路部１８を覆い被すようにシ
ールドケース１９がプリント配線基板１０の下面側に取
り付けられる。

【００２４】なおプリント配線基板１０の上面側の前記
金属膜１１のパターンは、立体回路部品１２の下面の開
口を塞ぐだけでなく、中間周波数処理回路部１８のシー
ルドとしても機能するようにそのパターンが設定されて
いる。また図に示すように下面のシールドケース１９と
上面の立体回路部品１２とは同一のネジでもってプリン
ト配線基板１０に取り付けられるようになっている。ま
た図示省略しているが、検波回路、受信信号弁別回路、
アラーム回路などの低周波回路はプリント配線基板１０
の他の領域に実装される。

【００２５】図４は図２と図３に示した実施例の変形例
を示している。ここではプリント配線基板１０の下面側
の中間周波数処理回路部１８に含まれる第２局部発振器
のスイープ調整用のトリマ抵抗器２１をスルーホールを
介してプリント配線基板１０の上面側に取り付けてい
る。

【００２６】図５はプリント配線基板１０の下面におけ
る中間周波数処理回路部１８の位置を前記実施例と少し
異ならせた構成例を示している。このように中間周波数
処理回路部１８はミキサダイオード１４が取り付けられ
るスルーホール１３の周辺の適宜な位置に設ければよ
い。

【００２７】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明で
は、プリント配線基板の上面に形成した金属膜をホーン
アンテナの構成要素の一部とするとともに、ホーンアン
テナのスロート部の奥につながるキャビティの構成要素
の一部として利用し、アンテナ入力と第１局部発振出力
とを立体回路モードで周波数混合する構成としている。
従って、平面回路モードで動作するマイクロ波集積回路
を用いた従来技術と異なり、立体回路の要所要所に設け
たピン整合器などの簡単な調整手段でもってアンテナお
よび周波数混合部の動作特性を簡単に最適化することが
でき、設計、生産および調整がいずれも容易で低コスト
化を図ることができる。また、ホーンアンテナのスロー
ト部に取り付けたミキサダイオードの端子がプリント配
線基板の下面側に貫通し、その貫通点の周辺に中間周波
数処理回路部が実装され、その回路部が基板下面に取り
付けたシールドケースで覆われる。したがってミキサダ
イオードと中間周波数処理回路部との接続が最短経路で
極めて簡単に行えるとともに、第１中間周波数フィルタ
がアンテナ入力や第１局部発振出力に晒されることがな
く、雑音のない良好な動作を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のマイクロ波検出器の構造を示す分解斜視
図である。

【図２】この発明の一実施例によるマイクロ波検出器の
構造を示す分解斜視図である。

【図３】図２におけるプリント配線基板の下面側の構造
を示す分解斜視図である。

【図４】この発明の他の実施例によるマイクロ波検出器
の構造を示す分解斜視図である。

【図５】この発明の他の実施例に係るマイクロ波検出器
におけるプリント配線基板の下面側の構造を示す分解斜
視図である。

【符号の説明】

１０ プリント配線基板 １１ 金属膜 １２ 立体回路部品 １２ａ ホーンアンテナ部 １２ｂ キャビティ部 １２ｃ ボス部 １３ スルーホール １４ ピル型ミキサダイオード １５ 台座 １６ バネワッシャー １７ マイクロ波基板 １８ 中間周波数処理回路部 １９ シールドケース ２０ａ、２０ｂ ピン整合器 ２１ トリマ抵抗器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 以下の構造〜によってアンテナおよ
   び受信周波数変換部が構成されていることを特徴とする
   マイクロ波検出器。 下面が開口した金属製の立体回路部品がプリント配線
   基板の上面に取り付けられ、この基板の上面に形成され
   ている金属膜によって前記立体回路部品の開口した下面
   が塞がれた状態となり、前記立体回路部品と前記金属膜
   とによってホーンアンテナと、このホーンアンテナのス
   ロート部の奥につながるキャビティとが構成されてい
   る。 前記ホーンアンテナのスロート部の給電点に位置し、
   前記立体回路部品と前記プリント配線基板とに挾み込ま
   れた状態でミキサダイオードが取付けられている。 前記キャビティ内にマイクロ波回路基板に実装された
   第１局部発振器が収納されている。 前記ミキサダイオードの出力端子がその取付け位置に
   おける前記プリント配線基板の下面側に貫通しており、
   前記基板の下面における前記貫通点の周辺に第１中間周
   波数フィルタ、第２ミキサ回路、第２局部発振器を含む
   中間周波数処理回路部が実装されている。 前記プリント配線基板の下面側に前記中間周波数処理
   回路部を覆うようにシールドケースが取り付けられてい
   る。