JPH05304847A - ジャガイモ葉巻ウイルスに対して抵抗性を有するジャガ イモ及びその作出方法 - Google Patents

ジャガイモ葉巻ウイルスに対して抵抗性を有するジャガ イモ及びその作出方法

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JPH05304847A
JPH05304847A JP4135561A JP13556192A JPH05304847A JP H05304847 A JPH05304847 A JP H05304847A JP 4135561 A JP4135561 A JP 4135561A JP 13556192 A JP13556192 A JP 13556192A JP H05304847 A JPH05304847 A JP H05304847A
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potato
plrv
coat protein
virus
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Takeshi Matsumura
健 松村
Kazusato Ooshima
一里 大島
Eishiro Yomo
英四郎 四方
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HOKKAIDO GREEN BIO KENKYUSHO KK
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HOKKAIDO GREEN BIO KENKYUSHO K
HOKKAIDO GREEN BIO KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ジャガイモ葉巻ウイルスに対して抵抗性を有
するジャガイモ並びにその作出方法及び当該作出方法に
用いる発現プラスミドの提供。 【構成】 ジャガイモ葉巻ウイルスの外被蛋白質をコー
ドする遺伝子を組み込んだ組み換えベクターにより、ジ
ャガイモの細胞を形質転換して、当該形質転換細胞を再
分化させることを特徴とするジャガイモ葉巻ウイルスに
対して抵抗性を有するジャガイモの作出方法、当該抵抗
性ジャガイモ及び上記組み換えベクター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジャガイモ葉巻ウイル
ス (以下「PLRV」と記載する) の外被蛋白質をコー
ドする遺伝子で形質転換することを特徴とするPLRV
に対して抵抗性を有するジャガイモの作出方法、当該方
法に用いる組換えプラスミド、及び当該方法により作出
されたPLRVに対して抵抗性を有するジャガイモに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】タバコモザイクウイルス (以下「TM
V」と記載する) やキュウリモザイクウイルス (以下
「CMV」と記載する) 等の植物ウイルスはその感染に
より農作物に多大な被害を与えるものである。その上、
これらのウイルスの防除は一般的に困難であり、当該ウ
イルスに対して抵抗性を有する、ウイルス耐性植物の作
出が産業上期待されている。
【0003】而して、近年ウイルス耐性植物の作出を最
終的な目的として、植物ウイルスの外被蛋白質遺伝子c
DNAを組み込んだ形質転換植物を作出する試みが進め
られている。 (1) その最初の例として、TMVの外被蛋白質遺伝子
cDNAを組み込んだタバコを用いて、外被蛋白質がT
MVの感染・増殖を阻害する作用を有することが明らか
にされた(サイエンス (Science), 232, 738-743, 198
6: バイロロジー(Virology), 158, 126-132, 1987)。
【0004】以来、CMV(バイオ/テクノロジー (Bi
o/Technology), 6, 549-557, 1988)、アルファルファ
・モザイク・ウイルス(エンボ・ジャーナル (EMBO
J.), 6,1845-1851, 1987: バイロロジー (Virology),
159, 299-305, 1987 )、ジャガイモXウイルス (以下
「PVX」と記載する) (エンボ・ジャーナル (EMBO
J.), 7, 1273-1280, 1988)、タバコ・ストリーク・ウ
イルス(バイロロジー(Viro-logy), 164, 383-389, 198
8 )、タバコ・ラットル・ウイルス(バイロロジー (Vi
rology), 159, 299-305, 1987: バイロロジー (Virolo
gy), 167, 649-652,1988)、ダイズ・モザイク・ウイル
ス(バイオ/テクノロジー (Bio/Technology), 7, 1257
-1262, 1989 )について、同様に外被蛋白質遺伝子cD
NAを組み込んだタバコが、それらのウイルスの感染・
増殖に対して抵抗性を示した。さらに、TMVの外被蛋
白質遺伝子cDNAを組み込んだトマトは、野外におい
てもTMVに対する抵抗性を示すことが報告されている
(バイオ/テクノロジー (Bio/Technology), 6, 403-40
9, 1988)。
【0005】タバコやトマト以外に、PVXの外被蛋白
質遺伝子cDNAを組み込んだジャガイモ(バイオ/テ
クノロジー (Bio/Technology), 7, 273-278, 1989 )及
びPVXの外被蛋白質遺伝子cDNAと両者を組み込ん
だジャガイモ(バイオ/テクノロジー (Bio/Technolog
y), 8, 127-134, 750-754, 1990)においてもウイルス
に対する抵抗性が示された。
【0006】(2) PLRVは約6kbの一本鎖RNAゲ
ノムを持つ直径24nmのアブラムシ媒介性の球状ウイルス
(CMI/AAB ディスクリプションズ・オブ・プラント・バ
イラス (Descrip. Plant Virus) No.36)で、ルテオウイ
ルスを代表するウイルスである。なお、本ゲノムは、5'
末端にゲノム結合蛋白質 (VPg)を持つことを特徴とす
る。
【0007】また、PLRVの外被蛋白質をコードする
遺伝子の塩基配列はすでに6例報告されている(ジャー
ナル・オブ・ジェネラル・バイロロジー (J. gen. Viro
l),70, 783-788, 1037-1051, 1989: ジャーナル・オブ
・ジェネラル・バイロロジー(J. gen. Virol), 71, 719
-724, 1990: ヌークレイックアシド・リサーチ(Nuclei
c Acids Res.), 17, 1768, 1989: アーカイブス・オブ
・バイロロジー(Arch. Virol. 105, 153-163, 1989:
フエブス・レターズ (FEBS LETTERS),245, 51-56, 198
9)。そして、当該塩基配列は各々異なることが判明し
ている。
【0008】そして、PLRVの外被蛋白質遺伝子cD
NAをジャガイモの細胞に組み込んだ例は、1例報告さ
れている(プラント・モレクラー・バイオロジー(Plant
Mol. Biol.), 17, 431-439, 1991)。しかしながら、
試験された対象が少なく (4個体) 、ウイルス抵抗性形
質転換体の作出効率、ウイルス抵抗性の程度は明らかに
されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、上記PLRVの外被蛋白質をコー
ドする遺伝子を用いたPLRVに対して抵抗性を有する
ジャガイモの作出にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、前記のPLRVとは別に、北海道で葉巻病に侵
されたジャガイモの葉よりウイルスを分離して (以下
「PLRV−H」と記載する) 、かかるPLRV−Hの
遺伝子をcDNAとしてクローニングしたうえで、その
外被蛋白質をコードするcDNAを単離し、塩基配列を
決定した (1991年4月に日本植物病理学会において発
表) 。この結果PLRV−Hの外被蛋白質をコードする
遺伝子は、前記のPLRVの外被蛋白質をコードする遺
伝子と、その塩基配列が異なることが明らかになった。
【0011】そして、驚くべきことに、かかるPLRV
−Hの外被蛋白質をコードする遺伝子由来のcDNAで
形質転換したジャガイモ細胞を再分化して得られるジャ
ガイモは、PLRVに対して強い抵抗性を有することを
見出し本発明を完成した。すなわち本発明は、(1) 配
列番号1に示される塩基配列を有するDNAを組み込ん
だ組み換えベクターにより、ジャガイモの細胞を形質転
換して、当該形質転換細胞を再分化させることを特徴と
するジャガイモ葉巻ウイルスに対して抵抗性を有するジ
ャガイモの作出方法、(2) (1) 記載の方法により作
出されたジャガイモ、(3) 植物において機能するプロ
モーター配列、配列番号1に示される塩基配列、及びタ
ーミネーター配列を有することを特徴とする (1) 記載
の方法において用いる組み換えプラスミドを提供するも
のである。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。P
LRV−Hの外被蛋白質由来のcDNAの塩基配列の決
定は、「大島, 松村等, 1991年4月, 日本植物病理学会
要旨集」に記載した通り行なうことができる。より具体
的かつ詳細には、後記参考例において開示する。次にP
LRV−H外被蛋白質発現用プラスミドは以下のように
して調製される。
【0013】クローニングされたPLRV−H外被蛋白
質の遺伝子をコードするcDNA断片を制限酵素によっ
て切り出し、リガーゼ反応により、かかる制限酵素断片
をそのまま、相補的な開裂末端を有する植物発現用プラ
スミドに結合することによって調製することが可能であ
る。あるいは、必要に応じて植物発現用プラスミドの制
限酵素開裂末端に相補的な配列を有する合成リンカーを
上記制限酵素断片に結合させて加工した制限酵素断片を
リガーゼ反応を用いて植物発現用プラスミドに結合する
ことによって結合することができる。
【0014】用いられる植物発現用プラスミドは、構造
遺伝子挿入部分の上流に植物において機能するプロモー
ター配列を有し、かつ下流にターミネーター配列を有す
るものが好ましい。このような植物発現用プラスミドと
しては、例えばpBI121 (クローンテック社製) 、 pCaMV
CN (ファルマシア製) 等を挙げることができる。このよ
うにして調製された発現用プラスミドを所望のジャガイ
モの細胞に導入する。当該方法としては、例えばエレク
トロポレーションにより行う方法 (Fromm M. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 5824-5828)、アグロ
バクテリウムを介した方法 (Horsch R. B. et al., Sci
ence, 227, 1229-1231, 1985) 、マイクロインジェクシ
ョンによる方法 (Grossway A. et al., Mol. Gen. Gene
t,202, 179-185, 1985)等が挙げられる。
【0015】そして、形質転換されたジャガイモの細胞
を植物体に分化させる方法としては、リーフディスクか
らの再分化方法 (M. De Block. Thero. Appl. Genet, 7
6,767-774, 1988)、チューバーディスクからの再分化方
法 (Sheerman S., et al.,Plant Cell Reports, 7, 13-
16, 1988)等の既に知られた方法を採ることができる。
【0016】なお、作出の対象となるジャガイモの品種
は、特に限定されず、例えば、メークイン、ワセシロ、
トヨシロ、農林1号、紅丸、男爵等を広く用いることが
できる。
【0017】
【実施例】以下、参考例及び実施例を挙げて本発明を具
体的に説明する。 <参考例> 1. ウイルス核酸の分離 PLRVをPhysalis floridanaに接種して、25℃で4
週間程度ウイルスを増殖させた後、感染葉を生重の2倍
量の0.1M クエン酸緩衝液 ((pH6.0) 0.5%メルカプト
エタノールを含む) 中で磨砕した。得られた破砕液に1
%(W/V) になるようにドリセラーゼを加え、28℃で2時
間攪拌後、クロロホルム:ブタノール混液 (1:1) を
加えてさらに攪拌した後、低速遠心分離 (5,000回転、
15分間4℃マルサン1OBローター) により植物成分を除
去した。上層にpH7.0になるまで0.2 M リン酸2ナトリ
ウム溶液を加えた後、それぞれ終濃度が8%(W/V) 及び
0.2M になるようにポリエチレングリコール♯6000及び
塩化ナトリウムを加え、室温で1時間攪拌後4℃で1晩
静置した。低速遠心分離 (同上) により得られた沈澱を
緩衝液で溶解した後、終濃度1%なるようにトリトンX-
100 を加え、再度低速遠心分離 (10,000回転、10分間、
佐久間製作所6DB6ローター) した上清を高速遠心分離
(27,000回転3時間4℃日立工機RP30-2ローター) し
た。得られた沈澱を0.1M リン酸緩衝液pH7.0に溶解し
た後、10−40%(W/V) の蔗糖密度勾配遠心分離 (22,500
回転、3時間15℃日立工機RPS27 ローター) を行った。
ウイルス分画をISCOフラクショネーター (UA-2モニタ
ー) で採取し、高速遠心分離 (36,000回転3時間4℃日
立工機RP65ローター) を行い蔗糖を抜いた後、再び0.01
M リン酸緩衝液pH7.0に溶解し純化ウイルスとした。
【0018】純化ウイルス溶液にフェノール:クロロホ
ルム (V/V=1:1)を加えて5分間振とうした後、10,000g
で5分間遠心分離した。中間変性層がなくなるまでこの
操作を繰り返した。水層に1/10量の3M 酢酸ナトリウム
と2.5倍量のエタノールを加えて静置し、PLRV−R
NAを沈澱させる。10,000gで5分間遠心分離後、得ら
れた沈澱を乾燥させた後滅菌蒸留水に溶解し、PLRV
−RNAの精製標品とした。 2. PLRV外被蛋白質遺伝子のcDNAクローニング イギリスで分離されたPLRVstrainlの外被蛋
白質遺伝子 (ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロ
ジー (J. gen. Virol.), 70, 1037-1051, 1989) の塩基
配列を参考にして配列番号1に示す塩基配列を有する合
成DNAプライマーPLRVp12 と配列番号2に示す塩基配
列を有する合成プライマーPLRVp14 を「Applied Biosys
tems model 380A DNA synthesizer 」で合成した。PL
RV−RNAを鋳型に合成プライマーPLRVp12 とアマシ
ャム (Amersham社製) cDNA合成キットを用いてcD
NAを合成した。合成したcDNA断片と合成DNAプ
ライマーPLRVp12 及びPLRVp14 を用いてPCR反応を行
った。
【0019】PCR反応により増幅されたcDNA断片
を制限酵素 SacI (宝酒造社製) で切断後、pUC119 (宝
酒造社製) の SacI部位にDNAリガーゼを用いてサブ
クローニングした。得られた組換えプラスミドをpPLRV2
5 と命名し、これを用いて大腸菌Escherichia coli MV
1184株 (宝酒造社製) を形質転換した。この形質転換体
Escherichia coli MV1184/pPLRV25 は、工業技術院微
生物工業技術研究所に微生物菌寄第12932号 (FERM
P-12932) として寄託されている。 3. DNAシークエンス解析 DNAシークエンスはジデオキシヌクレオチド法 (Mess
ing J., Meth. Enzymol., 101, 20-78, 1983) に従い7
−デア・ザ・シークエンス・キット (宝酒造社製) を用
いて行った。pPLRV25 について「ヌクレイック・アシズ
・リサーチ (Nucleic Acids Resarch)、12, 7813-7827,
1985 」に記載されている方法に準じてアルカリ変性を
行い、 M13M4プライマー、 M13RVプライマー (宝酒造社
製) 及び配列番号3に示す塩基配列を有する PLRVp22プ
ライマー、配列番号4に示す塩基配列を有する PLRVp23
プライマーを用いてプラスミド・シークエンスを行っ
た。
【0020】かかるDNAシークエンス解析により決定
されたPLRV−Hの外被蛋白質の遺伝子をコードする
cDNAの塩基配列を配列番号5に示した。また当該塩
基配列より推定されるアミノ酸配列を配列番号6に示し
た。
【0021】
【実施例1】 発現用プラスミドの調製 組換えプラスミドpPLRV25、1μg を含むDNA溶液を
2ユニットの制限酵素Pma CI (宝酒造社製) と2ユニッ
トの SacI (宝酒造社製) およびそれぞれの制限酵素に
添付されている緩衝液を10%(V/V) になるように加え、
37℃で2時間反応させて5'上流領域16塩基を含む 644塩
基のPLRV−Hの外被蛋白質をコードしているcDN
A断片を単離した。次に植物発現ベクターpBI121 (クロ
ーンテック社製) 1μg を2ユニットの制限酵素 SmaI
(宝酒造社製)、 SacI (宝酒造社製)を用いて上記の方
法で切断した。さらに、前記cDNA断片とpBI121の制
限断片を2ユニットのT4 DNAリガーゼ (宝酒造社
製)存在下、16℃1時間反応させて発現プラスミドを調
製し、これをpBILR1と命名した。この発現用プラスミド
pBILR1の構築図を図1に示す。これを用いてE. coli
HB101株 (フナコシ社製) を形質転換した。
【0022】
【実施例2】 PLRVに対して抵抗性を有するジャガ
イモの作出 (1) 発現用プラスミドpBILR1のアグロバクテリウムへ
の導入 実施例1で得られた発現用プラスミドpBILR1をヘルパー
プラスミドpRK2013 を保有するE. coli HB101 (クロー
ンテック社製) の存在下で、トリペアレンタル接合によ
ってAgrobacterium tumefaciens LBA4404 (クローンテ
ック社製) に導入した。
【0023】すなわち、前記の組換えプラスミドpBILR1
を持つE.coli HB101、ヘルパープラスミドpRK2013 を持
E. coli HB101と腫瘍形成遺伝子が除去された改変非
組換えプラスミドpAL4404 を持つA. tumefaciens LBA4
404の培養液をそれぞれ等量ずつ混合し、28℃に一晩静
置した後、リファンピシン (シグマ社製) (100μg/ml)
、カナマイシン (明治製菓社製) (25μg/ml) 、及び
ストレプトマイシン (半井化学社製) (300μg/ml) を含
む培地上にまき、pBILR1を保有するA. tumefaciens
選択した。
【0024】(2) ジャガイモ細胞への導入及び再分化 PLRV外被蛋白質cDNAを植物発現用ベクターに組
み込んだ組換えプラスミドのジャガイモへの導入は、チ
ューバーディスク法を用いた。すなわち、バレイショ
(品種:メークイン、ワセシロ、トヨシロ、農林1号、
紅丸、男爵) の塊茎の皮をむき、1%次亜塩素酸ソーダ
溶液で15分間殺菌し、滅菌蒸留水で6回洗浄した。この
塊茎から殺菌したコルクボーラーで約1cmの円柱を打ち
抜き、2−3mmの厚さのディスクに切り、前記 (1) で
調製したpBILR1を保有するA. tumefaciensの培養液中
に15分間浸した。この後、MS修正培地 (3%蔗糖、0.
1μg/mlインドール酢酸、0.1μg/mlジベレリン、0.1
μg/mlアブシジン酸、2μg/mlゼアチンリボシドpH5.
9) 上に72時間置床した後、カナマイシン(100μg/ml)
とカーベニシリン (シグマ社製(500μg/ml))を含むMS
修正培地 (ホルモンは上と同じ) 上に置いて、21℃ (16
時間照明、8時間暗期) で培養した。4−6週間後、デ
ィスク表面からカルスが形成され、シュートが誘導され
た。
【0025】このシュートを切り取り、ホルモンを含ま
ないMS培地 (抗生物質は上と同じ) で培養した。1−
2週間後に発根してきた植物体をバーミキュライトの入
ったビニールポット (径10cm) に移植して人工気象器で
育成した。 (3) 再分化植物体におけるPLRV−Hの外被蛋白質
遺伝子導入の確認及びかかる遺伝子の発現の確認 DNAの解析 ポットに移植した上記再分化ジャガイモの葉を採取し、
「クローニングとシークエンス植物バイオテクノロジー
実験マニュアル:第252-256頁」 (渡辺格監修、杉浦昌
弘編集、農村文化社、1989) に記載された方法に従っ
て、当該葉の細胞の全DNAを抽出した。次に、15μg
の当該DNAをHindIII (宝酒造社製) で完全に消化
し、サザンブロットハイブリダイゼーションを行った。
なお、このハイブリダイゼーションは、DNA Labeling k
it (ベーリンガー社製) で標識したプラスミドpBILRlを
プローブとして行った。ハイブリダイゼーション及び遺
伝子の検出には、DIG DNA Luminecent kit (ベーリンガ
ー社製) を用い、その用法に従って行った。このサザン
ブロット解析の結果を図2に示す。この結果、PLRV
外被蛋白質遺伝子が1コピー〜3コピー核DNAに組み
込まれていることを確認した。 ELISAによるPLRV−H外被蛋白質発現の確認 形質転換ジャガイモの葉を生重の5倍量の0.01M PBS T
緩衝液 (135mM 塩化ナトリウム、1.5mM リン酸2水素カ
リウム、 20mM リン酸水素2ナトリウム、2.7mM 塩化カ
リウム、3.1mM アジ化ソーダ、0.05%(v/v)tween20・pH
7.2)で磨砕後、3000g、15分間の低速遠心分離により得
られた上清を粗汁液とした。抗PLRV γ−グロブリ
ン (ベーリンガー社製) でコーティングしたマイクロタ
イタープレートに 200μl の上記粗汁液を加え、4℃で
一晩反応させた。反応後、マイクロタイタープレート
は、0.01M PBS-T 緩衝液で洗浄し、PLRVエンザイム
コンジュゲート (ベーリンガー社製) を加え37℃で3時
間反応させた。反応後のマイクロタイタープレートを0.
01M PBS-T 緩衝液で洗浄後に、0.1% P−ニトロフェノ
ールフォスフェートを反応基質として37℃で2時間反応
させた後、A450 の吸光値をマクイロプレートリーダー
(バイオ・ラッド社製モデル2550 EIA reader)で測定し
た。この結果、いくつかの形質転換バレイショでPLR
V−H外被蛋白質が発現していることが明らかになっ
た。 ウエスタンブロット法によるPLRV外被蛋白質発
現の確認 上記と同様にして、粗汁液 (蛋白質量として70μg )
を、Laemmli (ネイチャー (Nature), 227, 680-685, 1
970 )の不連続電気泳動法 (SDS-PAGE、15%分離ゲル、
4%濃縮ゲル) を用いて蛋白質を分子量に従って分離し
た。次に、それら蛋白質をバイオ・ラッド社製トランス
・ブロット・セルを用いて、ウエスタン・ブロット用膜
ウエストラン (シュライッシャ アンド シュエル社製)
、または、イモブリン (ミリポア社製) に転写した(15
0ボルト/1〜1.5時間) 。これと抗PLRV γ−グロ
ブリン (0.1μg/ml) を反応させ (37℃/1時間) 、そ
の後TBS-Tween 溶液 (50mM Tris-HCl, pH7.4, 150mM Na
Cl, 0.05%(W/V))で洗浄した。さらにヤギ抗ラビットパ
ーオキシダーゼ (ザイメッド社製) を、抗PLRVγ−
グロブリンと反応 (37℃/1時間) させた。続いて、膜
を TBS-Tweenで5回洗った後 (室温/10分) イムノステ
イン法 (コニカイムノステインキットHRP IS-50B, コニ
カ社製) を組み合わせ、PLRV−H外被蛋白質の発現
の様子を確認した。この結果を参考写真1に示す。その
結果、全ての形質転換ジャガイモでPLRV外被蛋白質
の発現が確認された。 形質転換ジャガイモのPLRV耐病性の検討 ポット移植した形質転換ジャガイモ (実施例1) を1個
体から挿し木により5個体に増殖してウイルス接種試験
に用いた。すなわちウイルス接種には、PLRVに感染
したPhysalis floridana上で一週間飼育したアブラム
シ (Myzus persicae) を形質転換バレイショ1個体に
つき5頭つけて接種した。
【0026】同様にPLRVを接種した非形質転換ジャ
ガイモでは接種後4週間目には病徴が示されたが、形質
転換ジャガイモにおいては接種後16週間経過してもなん
ら病徴は認められなかった。その結果を参考写真2に示
す。なお、形質転換体全体に占める、全くの無病徴系統
は約70%であり、発病が通常よりも遅い遅延系統は、約
30%であった。
【0027】
【発明の効果】本発明によって、PLRVの外被蛋白質
をコードする遺伝子で形質転換することを特徴とするP
LRVに対して抵抗性を有するジャガイモの作出方法、
当該方法に用いる組換えプラスミド、及び当該方法によ
り作出されたPLRVに対して抵抗性を有するジャガイ
モが提供される。
【0028】
【配列表】
配列番号 : 1 配列の長さ : 21 配列の型 : 核酸 鎖の数 : 一本鎖 トポロジー : 直鎖状 配列の種類 : 他の核酸 合成DNAプライマー 配列 : GAACACTGAAGGAGCTCACTA 配列番号 : 2 配列の長さ : 32 配列の型 : 核酸 鎖の数 : 一本鎖 トポロジー : 直鎖状 配列の種類 : 他の核酸 合成DNAプライマー 配列 : GCTGCAGAGCTCTATTTGGGGTTTTGCAAAGC 配列番号 : 3 配列の長さ : 19 配列の型 : 核酸 鎖の数 : 一本鎖 トポロジー : 直鎖状 配列の種類 : 他の核酸 合成DNAプライマー 配列 : GTGGTGTACAACAACCAAG 配列番号 : 4 配列の長さ : 17 配列の型 : 核酸 鎖の数 : 一本鎖 トポロジー : 直鎖状 配列の種類 : 他の核酸 合成DNAプライマー 配列 : GGGAGTTGGAGTGGGTG 配列番号 : 5 配列の長さ : 628 配列の型 : 核酸 鎖の数 : 二本鎖 トポロジー : 直鎖状 配列の種類 : cDNA 起源 : PLRV−H 配列 : ATGAGTACGGTCGTGGTTAAAGGAAATGTCAATGGTGGTGTACAACAACCAAGAAGGCGA 1 60 AGAAGGCAATCCCTTCGCAGGCGCGCTAACAGAGTTCAGCCAGTGGTTATGGTCACGGCC 61 120 CCTGGGCAACCCAGGCGCCGAAGACGTAGAAGAGGAGGCAATCGCCGCTCAAGAAGAACT 121 180 GGAGTTCCCCGAGGACGAGGCTCAAGCGAGACATTCGTGTTTACAAAGGACAACCTCGTG 181 240 GGCAACTCCCAAGGAAGTTTCACCTTCGGGCCGAGTCTATCAGACTGTCCGGCATTCAAG 241 300 GATGGAATACTCAAGGCCTACCATGAGTATAAGATCACAAGCATCTTACTTCAGTTCGTC 301 360 AGCGAGGCCTCTTCCACCTCCTCCGGCTCCATCGCTTATGAGTTGGACCCCCATTGCAAA 361 420 GTATCATCCCTCCAGTCCTACGTCAACAAGTTCCAAATTACGAAGGGCGGCGCCAAAACT 421 480 TATCAAGCGCGGATGATAAACGGGGTAGAATGGCACGATTCTTCTGAGGATCAGTGCCGG 481 540 ATACTGTGGAAGGGAAATGGAAAATCTTCAGA CACCGCAGGATCCTTCAGAGTCACCAT 541 600 CAGGGTGGCTTTGCAAAACCCCAAATAG 601 620 配列番号 : 6 配列の長さ : 208 配列の型 : アミノ酸 トポロジー : 直鎖状 配列の種類 : ペプチド 起源 : PLRV−H
【図面の簡単な説明】
【図1】 PLRV−Hの外被タンパク質遺伝子の発現
ベクターpBILRIの構築図。
【図2】 ジャガイモ形質転換体のサザンブロット解析
の結果を示す電気泳動図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】タバコやトマト以外に、PVXの外被蛋白
質遺伝子cDNAを組み込んだジャガイモ(バイオ/テ
クノロジー (Bio/Technology), 7, 273-278, 1989)及
びPVXの外被蛋白質遺伝子cDNAとPVYの外被蛋
白質遺伝子cDNAとの両者を組み込んだジャガイモ
(バイオ/テクノロジー (Bio/Technology), 8, 127-1
34, 750-754,1990)においてもウイルスに対する抵抗性
が示された。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示される塩基配列を有する
    DNAを組み込んだ組み換えベクターにより、ジャガイ
    モの細胞を形質転換して、当該形質転換細胞を再分化さ
    せることを特徴とするジャガイモ葉巻ウイルスに対して
    抵抗性を有するジャガイモの作出方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により作出されたジ
    ャガイモ。
  3. 【請求項3】 植物において機能するプロモーター配
    列、配列番号1に示される塩基配列、及びターミネータ
    ー配列を有することを特徴とする請求項1記載の方法に
    おいて用いる組み換えプラスミド。
JP4135561A 1992-04-30 1992-04-30 ジャガイモ葉巻ウイルスに対して抵抗性を有するジャガ イモ及びその作出方法 Pending JPH05304847A (ja)

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